(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060641
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240425BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240425BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240425BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240425BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240425BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240425BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J3/46
H02J7/35 K
H02J7/00 302A
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168021
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504358517
【氏名又は名称】有限会社ケー・アンド・ダブル
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】玉光 賢次
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩規
(72)【発明者】
【氏名】星野 晃司
(72)【発明者】
【氏名】直井 和子
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA11
5G503GB06
5H030AA10
5H030AS01
5H030BB01
5H030BB07
5H030BB21
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムの発電装置から得られる広域の発電電力から閾値以上の発電電力と閾値未満の発電電力とに分離することにより、微弱電力域の発電電力の回収効率ないし利用率を高め、電力変換効率を高め、システムの高出力化を図る。
【解決手段】日照量に応じて発電する二以上の発電装置(発電パネル4)と、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する二以上の電力分離部(6-1、6-2、6-3)と、前記電力分離部で分離された前記閾値未満の発電電力を合算し回収する電力回収部(8、9)と、閾値以上の前記発電電力を電力変換する二以上の第一電力変換部(パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3)と、前記電力回収部に回収された前記閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部(パワーコンディショナ13、15)とを含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日照量に応じて発電する二以上の発電装置と、
各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する二以上の電力分離部と、
前記電力分離部で分離された前記閾値未満の発電電力を合算し回収する電力回収部と、
前記閾値以上の発電電力を電力変換する二以上の第一電力変換部と、
前記電力回収部に回収された前記閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部と、を含む、太陽光発電システム。
【請求項2】
前記電力回収部は、前記閾値未満の発電電力を蓄電させる蓄電装置を含み、この蓄電装置の端子電圧が所定値以上に到達したとき、前記蓄電装置を放電する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記蓄電装置の放電電力と一または二以上の前記電力分離部で分離された前記閾値未満の発電電力を合算し、この合算電力を前記第二電力変換部に供給する、請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記電力分離部は、
前記発電装置と前記第一電力変換部との間を開閉する第一スイッチと、
前記発電装置と蓄電装置との間を開閉する第二スイッチと、
前記発電装置の発電電力が閾値以上であれば、前記第一スイッチを閉じて前記第二スイッチを開き、該発電電力が閾値未満であれば、前記第一スイッチを開いて前記第二スイッチを閉じる制御部と、
を含む、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記電力回収部は、
前記蓄電装置と前記第二電力変換部との間を開閉する第三スイッチと、
前記蓄電装置の端子電圧が所定値以上であれば、前記第三スイッチを閉じて前記蓄電装置を放電させ、該端子電圧が所定値未満であれば、前記第三スイッチを開く制御部と、
を含む、請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置と、
各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する一または二以上の電力分離部と、
前記閾値以上の発電電力を電力変換する一または二以上の第一電力変換部と、
前記閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部と、
を含む、太陽光発電システム。
【請求項7】
一または二以上の発電装置が日照量に応じて発電する工程と、
一または二以上の電力分離部が、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する工程と、
一または二以上の第一電力変換部が前記閾値以上の発電電力を電力変換する工程と、
第二電力変換部が、前記閾値未満の発電電力を電力変換する工程と、
を含む、太陽光発電システムの制御方法。
【請求項8】
前記閾値未満の発電電力を蓄電装置に蓄電させる工程と、
前記蓄電装置の端子電圧が所定値以上に到達したとき、前記蓄電装置を放電させ、該放電電力と前記電力分離部で分離された一または二以上の前記閾値未満の発電電力を合算し、この合算電力を前記第二電力変換部に供給する工程と、
を含む、請求項6に記載の太陽光発電システムの制御方法。
【請求項9】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置から発電電力を表す発電電力情報を取得する機能と、
電力分離部に各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離させ、前記閾値以上の発電電力を一または二以上の第一電力変換部に供給させ、前記閾値未満の発電電力を第二電力変換部に供給させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
電力回収部が、前記閾値未満の発電電力を蓄電装置に供給させ、該発電電力を蓄電させる機能と、
前記蓄電装置の端子電圧が所定値以上に到達したとき、前記蓄電装置を放電させ、該放電電力と前記電力分離部で分離された閾値未満の一または二以上の前記発電電力を合算させ、この合算電力を前記第二電力変換部に供給する機能と、
を前記コンピュータに実行させるための請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置と、閾値以上の発電電力を電力変換する一または二以上の第一電力変換部と、閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部とを備える太陽光発電システムの制御装置であって、
各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と閾値未満の発電電力とに分離する一または二以上の電力分離部を含む、太陽光発電システムの制御装置。
【請求項12】
日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置と、閾値以上の発電電力を電力変換する一または二以上の第一電力変換部と、閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部とを備える太陽光発電システムの制御装置であって、
各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する一または二以上の電力分離部と、
前記電力分離部で分離された一または二以上の前記閾値未満の発電電力を合算して前記第二電力変換部に供給する電力回収部と、
を含む、太陽光発電システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はたとえば、微弱電力域の発電電力の回収効率を図った太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電装置に太陽光発電パネルを用いて太陽光を受けて発電する太陽光発電システムでは、日射量に応じて発電するので、日射量に応じた発電電力が得られる。つまり、発電電力が日射量の影響を受け、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量の低下や変動が発電電力に影響する。微弱電力域で得られる発電電力ではパワーコンディショナの内部回路での消費電力により実用に耐える給電出力を得ることができない。
【0003】
このような太陽光発電システムに関し、太陽光発電パネルの発電電力が所定値以下の場合には、発電電力をキャパシタに充電し、この充電電力を変換して負荷や系統に出力するシステムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽光発電システムにおいて、太陽光発電パネルの発電電力は、日射量が減少すれば低下する。パワーコンディショナが微弱電力域の発電電力を受けると、電力変換動作が不安定になり、不安定動作を継続させることはシステム上、好ましいことではない。
【0006】
特許文献1には、閾値以下の発電電力をキャパシタに蓄電し、この蓄電電力を適時に使用しており、微弱電力の回収効率を高める上で合理的である。しかしながら、微弱電力を充電させるキャパシタの充電回路がスイッチを備え、微弱電力の充電時に閉じ、放電時にOFFさせる(開く)という構成である。このため、キャパシタの放電時には太陽光発電パネルからの発電電力の充電やその発電電力の利用ができないため、発電電力の変換効率の改善効果を減殺させるという課題がある。
【0007】
微弱電力域ないし高電力域を含む広域の発電電力をひとつのパワーコンディショナで電力変換することは、電力変換の効率化を低下させ、システムの高出力化を妨げるという課題がある。
【0008】
キャパシタの放電時、システムを通常回路に切り換えて発電電力の電力変換を行うことが可能である。この場合、切り換えに伴うタイムラグを生じ、発電電力=0の時間が頻発するという課題も無視できない。
【0009】
発電電力をパワーコンディショナに供給する出力モードと、発電電力をキャパシタに蓄電する蓄電モードとを切り換える場合には、両者を切り換えるための閾値の設定が不可欠である。この閾値を高レベル化すれば、蓄電電力量が増大するものの、パワーコンディショナに向ける発電電力量は減少するし、蓄電装置に用いられるキャパシタの充放電サイクル回数が多くなり、キャパシタの負担を増大させるという課題がある。
【0010】
閾値の低レベル化は、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量が不安定になる微弱電力域でモード切換えを頻発させ、このモード切換えによる消費電力が増大するという課題もある。
【0011】
本開示の発明者らは、微弱電力域ないし高電力域を含む広域の発電電力に対し、微弱電力域の発電電力に対応するパワーコンディショナを併設し、微弱電力域の発電電力の電力変換をすることが合理的であるとの知見を得るとともに、複数の発電パネルごとの電力変換の効率化が可能であるとの知見を得たのである。
【0012】
本開示の第一の目的は、太陽光発電システムの発電装置から得られる広域の発電電力を閾値以上の発電電力と閾値未満の発電電力とに分離することにより、微弱電力域の発電電力の回収効率ないし利用率を高め、電力変換効率を高め、システムの高出力化を図ることにある。
【0013】
また、本開示の第二の目的は、一または二以上の発電装置を備える太陽光発電システムにおいて、広域の発電電力から分離した閾値未満の発電電力を蓄電装置に回収し、この蓄電装置の発電電力と閾値未満の発電電力を合算して電力変換に向けることにより、微弱電力域の発電電力の回収効率ないし利用率を高め、電力変換効率を高め、システムの高出力化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの一側面によれば、日照量に応じて発電する二以上の発電装置と、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する二以上の電力分離部と、前記電力分離部で分離された前記閾値未満の発電電力を合算し回収する電力回収部と、前記閾値以上の発電電力を電力変換する二以上の第一電力変換部と、前記電力回収部に回収された前記閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部とを含む。
【0015】
この太陽光発電システムにおいて、前記電力回収部は、前記閾値未満の発電電力を蓄電させる蓄電装置を含み、この蓄電装置の端子電圧が所定値以上に到達したとき、前記蓄電装置を放電させてもよい。
【0016】
この太陽光発電システムにおいて、前記蓄電装置の放電電力と一または二以上の前記電力分離部で分離された前記閾値未満の発電電力を合算し、この合算電力を前記第二電力変換部に供給してもよい。
【0017】
この太陽光発電システムにおいて、前記電力分離部は、前記発電装置と前記第一電力変換部との間を開閉する第一スイッチと、前記発電装置と蓄電装置との間を開閉する第二スイッチと、前記発電装置の発電電力が閾値以上であれば、前記第一スイッチを閉じて前記第二スイッチを開き、該発電電力が閾値未満であれば、前記第一スイッチを開いて前記第二スイッチを閉じる制御部とを含んでもよい。
【0018】
この太陽光発電システムにおいて、前記電力回収部は、前記蓄電装置と前記第二電力変換部との間を開閉する第三スイッチと、前記蓄電装置の端子電圧が所定値以上であれば、前記第三スイッチを閉じて前記蓄電装置を放電させ、該端子電圧が所定値未満であれば、前記第三スイッチを開く制御部とを含んでもよい。
【0019】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの一側面によれば、日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置と、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する一または二以上の電力分離部と、前記閾値以上の発電電力を電力変換する一または二以上の第一電力変換部と、前記閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部とを含む。
【0020】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの制御方法の一側面によれば、一または二以上の発電装置が日照量に応じて発電する工程と、一または二以上の電力分離部が、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する工程と、一または二以上の第一電力変換部が前記閾値以上の発電電力を電力変換する工程と、第二電力変換部が、前記閾値未満の発電電力を電力変換する工程とを含む。
【0021】
この太陽光発電システムの制御方法において、前記閾値未満の発電電力を蓄電装置に蓄電させる工程と、前記蓄電装置の端子電圧が所定値以上に到達したとき、前記蓄電装置を放電させ、該放電電力と前記電力分離部で分離された一または二以上の前記閾値未満の発電電力を合算し、この合算電力を前記第二電力変換部に供給する工程とを含んでもよい。
請求項6に記載の太陽光発電システムの制御方法。
【0022】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置から発電電力を表す発電電力情報を取得する機能と、電力分離部に各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離させ、前記閾値以上の発電電力を一または二以上の第一電力変換部に供給させ、前記閾値未満の発電電力を第二電力変換部に供給させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0023】
このプログラムにおいて、電力回収部が、前記閾値未満の発電電力を蓄電装置に供給させ、該発電電力を蓄電させる機能と、前記蓄電装置の端子電圧が所定値以上に到達したとき、前記蓄電装置を放電させ、該放電電力と前記電力分離部で分離された閾値未満の一または二以上の前記発電電力を合算させ、この合算電力を前記第二電力変換部に供給する機能とを前記コンピュータに実行させてもよい。
【0024】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの制御装置の一側面によれば、日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置と、閾値以上の発電電力を電力変換する一または二以上の第一電力変換部と、閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部とを備える太陽光発電システムの制御装置であって、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と閾値未満の発電電力とに分離する一または二以上の電力分離部を含む。
【0025】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの制御装置の一側面によれば、日照量に応じて発電する一または二以上の発電装置と、閾値以上の発電電力を電力変換する一または二以上の第一電力変換部と、閾値未満の発電電力を電力変換する第二電力変換部とを備える太陽光発電システムの制御装置であって、各発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と、閾値未満の発電電力とに分離する一または二以上の電力分離部と、前記電力分離部で分離された一または二以上の前記閾値未満の発電電力を合算して前記第二電力変換部に供給する電力回収部とを含む。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 発電装置の発電電力を閾値以上の発電電力と閾値未満の発電電力に分離でき、閾値以上の発電電力は専用の第一電力変換部によって高効率で電力変換でき、閾値未満の発電電力は専用の第二電力変換部によって高効率で電力変換できるので、閾値未満の発電電力を含む発電電力を効率よく交流出力に変換して取り出すことができ、太陽光発電システムの高効率化を図ることができる。
【0027】
(2) 閾値未満の発電電力は電力回収部で回収して第二電力変換部に供給でき、二以上の閾値未満の発電電力は電力回収部で合算して合算電力として取り出すことができ、この合算電力を専用の第二電力変換部で電力変換できるので、閾値未満の発電電力を含む発電電力を効率よく交流出力に変換することができる。
【0028】
(3) 閾値未満の発電電力を回収する電力回収部に蓄電装置を備え、この蓄電装置に一または二以上の閾値未満の発電電力を蓄電させて回収すれば、閾値未満の発電電力の回収率を高めることができる。発電電力が閾値未満の場合であっても、閾値未満の発電電力で蓄電装置の充放電機能を利用することができ、閾値未満の発電電力を第二電力変換部で効率よく交流出力に変換して取り出すことができ、太陽光発電システムの高効率化を実現できる。しかも、閾値未満の発電電力を蓄電させる蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき蓄電装置を放電させ、この放電電力と閾値未満の発電電力を合算し、この合算電力を第二電力変換部に供給することができるので、閾値未満の発電電力をロスすることなく、効率よく交流出力に変換して取り出すことができる。
【0029】
(4) 発電電力が閾値未満の場合にも第二電力変換部の停止を防止でき、または仮に第二電力変換部の停止が生じても、その停止期間を短くできるので、交流出力を増加させることができる。
【0030】
(5) 発電電力が閾値未満の場合、蓄電装置の放電電力と閾値未満の発電電力を合算した合算電力を一定電力に調整して第二電力変換部に供給できる。電力回収部に蓄電装置を備えている場合、合算電力を用いない場合に比較し、蓄電装置の放電速度を遅延させることができ、この遅延により蓄電装置の充放電サイクル数を低減でき、結果として蓄電装置の耐久性を高めることができる。
【0031】
(6) 曇天や雨天など、日射量レベルが変動しても、この変動に対応した閾値を設定できるので、気象条件に応じた太陽光発電システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、第一の実施の形態に係る太陽光発電システムを示す図である。
【
図2】
図2は、第一の実施の形態に係るコントローラの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、蓄電デバイスの端子間電圧Vcの推移を示す図である。
【
図4】
図4は、太陽光発電システムの制御シーケンスの電力分離制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、太陽光発電システムの制御シーケンスの電力回収制御を示す図である。
【
図6】
図6は、太陽光発電システムの制御シーケンスの一部を示す図である。
【
図7】
図7は、電力分離部の一部および電力回収部の動作例を示す動作テーブルである。
【
図8】
図8のAは、充電モードの蓄電デバイスの充放電プロファイルを示す図であり、
図8のBは、充放電サイクル中に、SW16-12をON/OFFした時の放電速度の違いを説明するための図である。
【
図9】
図9のAは、従前の閾値未満の発電電力の回収を示す図であり、
図9のBは、本開示の閾値未満の発電電力の回収を示す図である。
【
図10】
図10は、第二の実施の形態に係る太陽光発電システムを示す図である。
【
図11】
図11のA、BおよびCは、各太陽光発電パネルの発電電力の推移を示す図であり、
図11のDは、閾値未満の発電電力の合算を示す図である。
【
図12】
図12は、第三の実施の形態に係る太陽光発電システムを示す図である。
【
図13】
図13のAは、日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号より引用した「蓄電素子一本当たりの電力損失」を示すテーブル(日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号、第3章リチウムイオン電池を安全に使う―その1 充放電評価と内部抵抗評価 ティ・アンド・シー・テクニカル 下田 洋道)であり、
図13のBは日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号より引用した「内部抵抗の測定結果」を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第一の実施の形態〕
図1は、第一の実施の形態に係る太陽光発電システム2(以下単に「発電システム2」と称する)を示している。
図1に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されるものではない。
【0034】
<発電システム2>
この発電システム2は本開示の太陽光発電システムの一例である。この発電システム2は三組の太陽光発電パネル4-1、4-2、4-3(以下単に「発電パネル4-1、4-2、4-3」と称する)、電力分離部6-1、6-2、6-3、電力回収部8、コントローラ10、第一のパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3とともに一組の第二のパワーコンディショナ13を備えている。
【0035】
<発電パネル4-1、4-2、4-3>
各発電パネル4-1、4-2、4-3は、本開示の一または二以上の発電装置の一例である。各発電パネル4-1、4-2、4-3は少なくとも日射量に応じて発電し、発電パネル4-1、4-2、4-3から日射量に応じた発電電力Sが得られるとする。各発電電力Sは、発電パネル4-1、4-2、4-3の立地条件、気象条件によって変化するが、説明を簡略化するため、各発電パネル4-1、4-2、4-3から得られる発電電力Sを以て説明する。この発電電力Sは各発電パネル4-1、4-2、4-3から得られる発電量の一例である。
【0036】
<電力分離部6-1、6-2、6-3>
電力分離部6-1、6-2、6-3は、本開示の一または二以上の電力分離部の一例である。各電力分離部6-1、6-2、6-3は、各発電パネル4-1、4-2、4-3から個別に発電電力Sを受ける。この発電電力Sを分離するための基準として閾値Sthが設定されている。各電力分離部6-1、6-2、6-3によれば、各発電パネル4-1、4-2、4-3からの発電電力Sが閾値Sth以上の発電電力Sと、閾値Sth未満の発電電力Sに分離される。
【0037】
電力分離部6-1には、第一回路部14-11に第一スイッチ16-11(以下、単に「SW16-11」と称する)、第二回路部14-12にダイオード18-1および第二スイッチ16-12(以下、単に「SW16-12」と称する)が設置されている。S≧Sthであれば、SW16-11=閉(以下、「ON」と称する)、SW16-12=開(以下、「OFF」と称する)、S<Sthであれば、SW16-11=OFF、SW16-12=ONに制御する。したがって、閾値Sth以上の発電電力Sはパワーコンディショナ12-1に供給されるのに対し、閾値Sth未満の発電電力Sは電力回収部8に供給され、この電力回収部8からパワーコンディショナ13に供給される。
【0038】
電力分離部6-2には、第一回路部14-21に第一スイッチ16-21(以下、単に「SW16-21」と称する)、第二回路部14-22にダイオード18-2および第二スイッチ16-22(以下、単に「SW16-22」と称する)が設置されている。S≧Sthであれば、SW16-21=ON、SW16-22=OFF、S<Sthであれば、SW16-21=OFF、SW16-22=ONに制御する。したがって、閾値Sth以上の発電電力Sはパワーコンディショナ12-2に供給されるのに対し、閾値Sth未満の発電電力Sは電力回収部8に供給され、この電力回収部8からパワーコンディショナ13に供給される。
【0039】
電力分離部6-3には、第一回路部14-31に第一スイッチ16-31(以下、単に「SW16-31」と称する)、第二回路部14-32にダイオード18-3および第二スイッチ16-32(以下、単に「SW16-32」と称する)が設置されている。S≧Sthであれば、SW16-31=ON、SW16-32=OFF、S<Sthであれば、SW16-31=OFF、SW16-32=ONに制御する。したがって、閾値Sth以上の発電電力Sはパワーコンディショナ12-3に供給されるのに対し、閾値Sth未満の発電電力Sは電力回収部8に供給され、この電力回収部8からパワーコンディショナ13に供給される。
【0040】
したがって、各発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sは、閾値Sth以上の発電電力Sと、閾値Sth未満の発電電力Sとに分離され、閾値Sth以上の発電電力Sが該当するパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3に供給され、閾値Sth未満の発電電力Sがパワーコンディショナ13に供給される。
【0041】
<電力回収部8>
電力回収部8は、閾値Sth未満の発電電力Sを蓄電デバイス20に回収する本開示の電力回収部の一例である。蓄電デバイス20の端子間電圧Vcに対し、上限閾値電圧として所定値VcH、下限閾値電圧として所定値VcLが設定されている。
【0042】
この実施の形態に係る電力回収部8には、蓄電デバイス20とともに第三回路部14-4に第四スイッチ16-4(以下、単に「SW16-4」と称する)が設置されている。Vc<VcHの場合、SW16-4=OFF(充電モード)、Vc≧VcHの場合、SW16-4=ON(放電モード)となる。充電モードでは、蓄電デバイス20が、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上が閾値Sth未満の発電電力Sを受け、この発電電力Sを充電する。放電モードでは、蓄電デバイス20が放電し、この放電電力と、該当する一または二以上の発電パネル4-1、4-2、4-3からの閾値Sth未満の発電電力Sとを合算し、この合算電力P1がパワーコンディショナ13に供給される。
【0043】
<蓄電デバイス20>
この蓄電デバイス20は発電パネル4-1、4-2、4-3に共通であり、閾値Sth未満の発電電力Sを充電して回収する手段である。端子間電圧Vcは本開示の蓄電装置の端子電圧の一例であり、その電圧レベルが蓄電デバイス20の充電状態または放電状態を表す。
【0044】
この蓄電デバイス20には発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電圧に対応させて直列接続された複数の蓄電デバイスセルが設置されている。この蓄電デバイスセルにはたとえば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどの各種電気化学キャパシタやリチウムイオン電池などの二次電池が利用可能であるが、蓄電量が電圧に正確に比例する電気化学キャパシタ、さらには、充放電サイクル寿命が優れる電気二重層キャパシタが好適である。また、蓄電デバイス20には同一の蓄電デバイスに代えてたとえば、特性の異なる他の蓄電デバイスを直列に接続してもよい。
【0045】
<コントローラ10>
コントローラ10は、本開示の制御部の一例である。このコントローラ10はたとえば、コンピュータで構成される。コントローラ10は、各電力計22-1、22-2、22-3から発電電力情報を取得し、発電電力情報を制御情報に用いて電力分離部6-1、6-2、6-3による電力分離制御と、電力回収部8による蓄電デバイス20を用いた電力回収制御を行う。
【0046】
電力分離制御は常時、電力計22-1、22-2、22-3から発電電力情報を取得し、発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sが閾値Sth以上であるか否かを監視する。S≧Sth以上であれば、該当するSW16-11、SW16-21、SW16-31の何れかまたは二以上をONに制御し、かつ該当するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上をOFFに制御する。また、S<Sthであれば、該当するSW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上をOFFに制御し、かつ該当するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上をONに制御する。これにより、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から得られる閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sとに分離される。
【0047】
電力回収制御は、蓄電デバイス20の端子間電圧Vcを常時監視し、端子間電圧Vcが電圧閾値である所定値VcH以上かを判定する。Vc<VcHであれば、SW16-4=OFF、Vc≧VcHであれば、SW16-4=ONに制御する。
【0048】
<電力計22-1、22-2、22-3>
電力計22-1は、発電パネル4-1の発電電力Sを計測し、この発電電力Sの多寡を表す発電電力情報を取得する。電力計22-2は、発電パネル4-2の発電電力Sを計測し、この発電電力Sの多寡を表す発電電力情報を取得する。また、電力計22-3は、発電パネル4-3から発電電力Sを計測し、この発電電力Sの多寡を表す発電電力情報を取得する。したがって、コントローラ10には常時、電力計22-1、22-2、22-3から発電電力Sを表す発電電力情報が提供される。
【0049】
<閾値Sth>
コントローラ10には、発電電力Sに対して閾値Sthが設定される。この閾値Sthは、SW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32の開閉(OFF・ON)条件を表す電力値である。つまり、この閾値Sthはたとえば、発電パネル4-1、4-2、4-3から発電電力Sを受けた際、少なくとも、各パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3が安定で十分高い効率で電力変換が可能な発電電力Sに相当する下限電力値であればよい。
【0050】
<SW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32>
各SW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32は、コントローラ10で制御可能なたとえば、半導体スイッチ、リレーなどの開閉手段で構成される。
【0051】
<ダイオード18-1、18-2、18-3>
ダイオード18-1は、SW16-12に直列に接続されており、発電パネル4-1から蓄電デバイス20またはパワーコンディショナ13に対して順方向である。したがって、ダイオード18-1は、蓄電デバイス20またはパワーコンディショナ13から発電パネル4-1またはパワーコンディショナ12-1に対して逆方向である。
【0052】
ダイオード18-2は、SW16-22に直列に接続されており、発電パネル4-2から蓄電デバイス20またはパワーコンディショナ13に対して順方向である。したがって、ダイオード18-2は、蓄電デバイス20またはパワーコンディショナ13から発電パネル4-2またはパワーコンディショナ12-2に対して逆方向である。
【0053】
ダイオード18-3は、SW16-32に直列に接続されており、発電パネル4-3から蓄電デバイス20またはパワーコンディショナ13に対して順方向である。したがって、ダイオード18-3は、蓄電デバイス20またはパワーコンディショナ13から発電パネル4-2またはパワーコンディショナ12-3に対して逆方向である。
【0054】
したがって、蓄電デバイス20は、ダイオード18-1、18-2、18-3によってパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3および発電パネル4-1、4-2、4-3と分離されている。
【0055】
そして、SW16-12、SW16-22、SW16-32の何れかまたは二以上が導通したとき、閾値Sth未満の発電電力Sからダイオード18-1、18-2、18-3の順方向降下電圧Vfだけ低下した電圧が蓄電デバイス20に加えられる。
【0056】
第三回路部14-4は第一回路部14-11、14-21、14-31からダイオード18-1、18-2、18-3で分離でき、第一回路部14-11、14-21、14-31との干渉を回避できる。
【0057】
<パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3>
各パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3は閾値Sth以上の発電電力Sを電力変換する本開示の一または二以上の第一電力変換部の一例である。つまり、各パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3は、閾値Sth以上の発電電力Sに対応する専用の第一電力変換部を構成している。
【0058】
パワーコンディショナ12-1には電力分離部6-1からの閾値Sth以上の発電電力Sを受けて電力変換するための手段として、第一の最大電力点追従制御部(MPPT:Maximum Power Point Tracking)24-1(以下、「MPPT24-1」と称する)、第一のDC-DCコンバータ26-1、第一のインバータ28-1などが含まれている。
【0059】
MPPT24-1は、発電パネル4-1の発電出力が最大になる最適な電圧Vと電流Iの積(最大電力点または最適動作点)を自動的に求める制御を行い、この最大電力点追従制御により自動的に最大の発電出力を得る。
【0060】
DC-DCコンバータ26-1は、MPPT24-1で得られた直流電力、第一回路部14-11側で得られる直流電力を既定直流電圧の直流電力に変換する。
【0061】
インバータ28-1は、本開示の直交変換手段の一例である。このインバータ28-1は、DC-DCコンバータ26-1から直流電力を受け、これらを系統に適合する既定の交流電力たとえば、定格200Vの交流電力に変換する。
【0062】
このパワーコンディショナ12-1の構成はパワーコンディショナ12-2、12-3も同様である。パワーコンディショナ12-2には、電力分離部6-2からの閾値Sth以上の発電電力Sを受けて電力変換するための手段として、第二のMPPT24-2、第二のDC-DCコンバータ26-2、第二のインバータ28-2などが含まれており、またパワーコンディショナ12-3にも電力分離部6-3からの閾値Sth以上の発電電力Sを受けて電力変換するための手段として、第三のMPPT24-3、第三のDC-DCコンバータ26-3、第三のインバータ28-3などが含まれている。
【0063】
したがって、閾値Sth以上の発電電力Sを受けたパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3には系統に適合する既定の交流電力たとえば、定格200Vの交流電力が得られ、この交流電力が負荷30-1、30-2、・・・・や図示しない系統に給電される。
【0064】
<パワーコンディショナ13>
パワーコンディショナ13は、閾値Sth未満の発電電力Sを電力変換する本開示の第二電力変換部の一例である。つまり、パワーコンディショナ13は、閾値Sth未満の発電電力Sに対応する専用の第二電力変換部を構成している。このパワーコンディショナ13は電力回収部8から閾値Sth未満の発電電力S、蓄電デバイス20の放電電力を受け、これらの電力を変換してたとえば、高効率で交流電圧200Vを生成して負荷30-1、30-2、・・・に供給し、または図示しない系統に出力することができる。
【0065】
この実施の形態に係るパワーコンディショナ13にはDC-DCコンバータ26-4およびインバータ28-4を備え、他のパワーコンディショナ12-1~12-3と異なり、一定電力に調整された閾値Sth未満の発電電力Sを受けるので、既述のMPPTの設置はない。
【0066】
DC-DCコンバータ26-4は、第三回路部14-4側からの定電力制御により得られる直流電力を受け、この直流電力を既定直流電圧の直流電力に変換する。
【0067】
インバータ28-4は、同様に直交変換手段の一例である。このインバータ28-4は、DC-DCコンバータ26-4から直流電力を受け、これらを系統に適合する既定の交流電力、既述のたとえば、定格200Vの交流電力に変換し、この交流電力を系統に合流させる。
【0068】
<コントローラ10>
図2は、第一の実施の形態に係るコントローラ10の一例を示し、
図1と同一部分には同一符号を付してある。このコントローラ10は本開示の制御装置の一例である。このコントローラ10はコンピュータを備え、発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力情報、蓄電デバイス20の蓄電量情報などを用いて、電力分離制御としてSW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32の切換制御と、電力回収制御としてSW16-4の開閉制御を行う。
【0069】
このコントローラ10は、制御部32、SW駆動部34-1、34-2、34-3、34-4、34-5、34-6、34-7、情報提示部36、操作入力部38などを備えている。制御部32は本開示の電力分離制御のための制御部の一例であるとともに、電力回収制御のための制御部の一例である。また、この制御部32は発電電力監視部、蓄電電力監視部、スイッチなどの制御手段の一例である。この制御部32は図示しないプロセッサ、記憶部、入出力部などを備え、発電電力情報や蓄電デバイス20の端子間電圧情報を取得して情報処理を実行し、SW駆動部34-1、34-2、34-3、34-4、34-5、34-6、34-7などを制御する。プロセッサは、記憶部にあるOS(Operating System)、蓄電制御プログラム、データベースなどを用いて、情報の格納、読出しまたは演算などの情報処理や制御を実行する。記憶部はROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備え、蓄電制御プログラムやデータベースを格納してプロセッサによる演算処理などに用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。
【0070】
SW駆動部34-1は制御部32の制御によりSW16-11を開閉し、これに同期して、SW駆動部34-2は制御部32の制御によりSW16-12を開閉する。SW駆動部34-3は制御部32の制御によりSW16-21を開閉し、これに同期して、SW駆動部34-4は制御部32の制御によりSW16-22を開閉する。SW駆動部34-5は制御部32の制御によりSW16-31を開閉し、これに同期して、SW駆動部34-6は制御部32の制御によりSW16-32を開閉する。そして、SW駆動部34-7は制御部32の制御によりSW16-4を開閉する。
【0071】
情報提示部36は制御部32の制御によりたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示素子に制御情報などの情報提示を行う。
【0072】
操作入力部38は制御部32の制御によりタッチパネルなどの入力機器を用いて制御情報などの操作によって入力が可能である。
【0073】
<蓄電デバイス20の充放電とSW16-4のON、OFF>
図3は、蓄電デバイス20の充電および放電による端子間電圧Vcの推移とSW16-4のON、OFFの関係を示している。
図3において、端子間電圧Vcは蓄電デバイス20の充電および放電の推移、所定値VcHは端子間電圧Vcの上限閾値電圧、所定値VcLは端子間電圧Vcの下限閾値電圧を示している。
【0074】
端子間電圧Vcが充電によって上昇している場合、Vc≧VcHで、SW16-4=ON、端子間電圧Vcが放電によって下降している場合、Vc≦VcLで、SW16-4=OFFになる。この場合、充電時定数と放電時定数が異なる。端子間電圧Vcの推移は充電と放電の推移が異なるとともに、SW16-4のONとOFFには電圧差が設定される。つまり、端子間電圧Vcが放電によって下降する場合には、Vc≦VcHからVc=VcLの範囲でSW16-4=ONを維持する。このようなSW16-4の開閉にヒステリシスが設定されており、蓄電デバイス20の充放電による端子間電圧Vcの変動でSW16-4のチャタリングを防止する。
【0075】
<制御部32による制御機能>
制御部32は、制御プログラムの実行により、a)発電電力情報取得部、b)発電電力監視部、c)発電電力の閾値判定部、d)蓄電デバイス20の端子間電圧情報取得部、e)端子間電圧監視部、f)端子間電圧Vcの閾値判定部、g)電力分離制御のためのSW制御部、h)電力回収制御のためのSW制御部などの制御機能を実現する。
【0076】
a)発電電力情報取得部
発電電力情報取得部は、制御部32の制御により常時(少なくとも発電システム2の動作中)、電力計22-1、22-2、22-3から発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力情報を取得する。この発電電力情報は、制御部32の記憶部にあるデータベースに格納する。
【0077】
b)発電電力監視部
発電電力監視部は、制御部32の制御により常時、電力計22-1、22-2、22-3から取得した発電電力情報を監視する。
【0078】
c)発電電力の閾値判定部
制御部32には発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sに対する閾値Sthが設定されている。発電電力の閾値判定部は、制御部32の制御により、既述の電力計22-1、22-2、22-3から取得した発電電力情報が表す発電電力Sと閾値Sthとを対比し、発電電力Sが閾値Sth以上か未満かを判定し、その判定結果としてSW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32を開閉するための制御情報を出力する。
【0079】
d)端子間電圧情報取得部
蓄電デバイス20の端子間電圧情報取得部は、制御部32の制御により、常時(少なくとも発電システム2の動作中)、蓄電デバイス20から端子間電圧情報を取得する。この端子間電圧情報は、蓄電デバイス20の端子間の電圧であり、充電電圧または放電後の残留電荷による電圧を表す。この端子間電圧情報は、制御部32の記憶部にあるデータベースに格納する。
【0080】
e)端子間電圧監視部
端子間電圧監視部は、端子間電圧情報から端子間電圧Vcの推移、つまり、蓄電デバイス20の充電状態を監視する。
【0081】
f)端子間電圧Vcの閾値判定部
制御部32には端子間電圧Vcに対する閾値として所定値VcH(V)および所定値VcL(V)が設定されている。所定値VcHはたとえば、蓄電デバイス20の満充電電圧であり、所定値VcLはたとえば、放電管理電圧である。
【0082】
端子間電圧Vcの閾値判定部は制御部32の制御により、端子間電圧Vcと所定値VcHまたは所定値VcLとを対比し、端子間電圧Vcが所定値VcH以上か所定値VcL(V)以下かを判定し、その判定結果としてSW16-4を開閉するための制御情報を出力する。
【0083】
g)電力分離制御のためのSW制御部(電力分離制御部)
SW制御部は、発電パネル4-1、4-2、4-3から得られる発電電力Sが閾値Sth以上か未満かに応じてSW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上を閉じる(ON)制御であり、閉じられたSW16-11、16-21、16-31に対応してSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上を開く(OFF)制御でもある。つまり、SW16-11:SW16-12、SW16-21:SW16-22、SW16-31:SW16-32が同期して相反する関係である。
【0084】
発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth以上であれば、SW制御部は、制御部32の制御により該当するSW16-11、16-21、16-31を導通させるための制御出力を出力する。このとき、SW駆動部34-1、34-3、34-5の駆動出力が該当するSW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上を導通させる。
【0085】
このとき、SW制御部は、制御部32の制御により該当するSW16-12、16-22、16-32を遮断(OFF=絶縁)させるための制御出力を出力する。SW駆動部34-2、34-4、34-6の駆動出力が該当するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上を遮断させる。このとき、該当するSW16-11、16-21、16-31を開くための制御出力を出力し、該当するSW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上が開かれる。
【0086】
h)電力回収制御のためのSW制御部(電力回収制御部)
このSW制御部は、制御部32の制御によりSW16-4を開閉する。発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth(kW)未満で、蓄電デバイス20の端子間電圧Vcが所定値VcL以下であれば、SW制御部は、制御部32の制御によりSW16-4を開く。このとき、蓄電デバイス20は充電モードである。
【0087】
発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth未満で、蓄電デバイス20の端子間電圧Vcが所定値VcH以上になれば、SW制御部は、制御部32の制御によりSW16-4を導通する。このとき、蓄電デバイス20は放電状態となる。同時に、SW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上が導通状態であるので、該当する発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが第三回路部14-4を通してパワーコンディショナ13のDC-DCコンバータ26-4に供給される。このとき、パワーコンディショナ13から変換出力が負荷30-1、30-2などに供給される。
【0088】
<SW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32の開閉、SW16-4の開閉、電力分離部6-1、6-2、6-3の電力分離出力、電力回収部8の電力回収出力>
1)第一出力モード
第一出力モードは、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth以上の場合である。発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sが第一回路部14-11、14-21、14-31の何れかまたは二以上を通してパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3の何れかまたは二以上に供給される。
【0089】
2)充電モード
充電モードは、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth未満の場合である。発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sが第二回路部14-12、14-22、14-32の何れかまたは二以上を通して蓄電デバイス20に供給される。
【0090】
このとき、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth未満であって、蓄電デバイス20の端子間電圧VcがVc<VcHの場合(
図5のF117のNOの場合)、蓄電デバイス20が充電される。
【0091】
3)第二出力モード(放電モードを含む)
蓄電デバイス20の端子間電圧VcがVc≧VcHのとき(
図5のF117のYESの場合)、SW16-4=ONで、蓄電デバイス20が放電モードに切り換わり、第二出力モードとなる。蓄電デバイス20の放電電力はパワーコンディショナ13に供給される。同時に、閾値Sth未満の発電電力Sが第二回路部14-12、14-22、14-32の何れかまたは二以上を通してパワーコンディショナ13に供給される。
【0092】
<発電システム2の制御シーケンス>
発電システム2の制御シーケンスには発電電力Sの閾値判定に基づく第一回路部14-11、14-21、14-31、第二回路部14-12、14-22、14-32の開閉制御(電力分離制御)と、蓄電デバイス20を含む電力回収制御による第三回路部14-4の開閉制御(蓄電デバイス20の充放電制御)が含まれ、これらは並行処理である。
【0093】
図4および
図5は、発電システム2の制御シーケンスを示している。この制御シーケンスは本開示の制御方法、プログラムまたは制御装置の動作手順の一例である。この制御シーケンスにおいて、Fは工程、Fに付した番号は工程順の一例である。各図に共通に記載した符号X、Yは、シーケンス間の連結子を示している。
【0094】
この制御シーケンスには、発電電力情報の取得(F101)、発電電力Sの監視(F102)、蓄電デバイス20の端子間電圧情報の取得(F103)、端子間電圧Vcの監視(F104)が含まれる。電力分離制御(F105)には、発電電力Sの閾値判定(F107)、SW切換え(F108)、第一出力モード(F109)、負荷または系統への出力(F110)、SW切換え(F111)、充電モード(F112)が含まれる。電力回収制御(F106)には、SW16-4の状態判定(F113)、端子間電圧Vcの判定(F114)、SW16-4の切換え(F115)、充電待機モード(F116)、端子間電圧Vcの判定(F117)、SW16-4の切換え(F118)、第二出力モード(F119)、負荷または系統への出力(F120)、充電モード(F121)が含まれる。
【0095】
発電システム2を動作させると、制御部32は、動作中、電力計22-1、22-2、22-3から発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力情報を取得し(F101)、各発電電力Sを監視する(F102)とともに、蓄電デバイス20の端子間電圧Vcを取得し(F103)、端子間電圧Vcを監視する(F104)。この端子間電圧Vcの監視(F104)に続いて、電力分離制御(F105)、電力回収制御(F106)に遷移する。
【0096】
電力分離制御(F105)では、制御部32が発電電力Sの閾値判定を行う(F107)。S≧Sthであれば(F107のYES)、制御部32は該当するSW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上を閉じ、該当するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上を開く制御をし(F108)、第一出力モードを実行する(F109)。この第一出力モードでは、閾値Sth以上の発電電力Sを第一回路部14-11、14-21、14-31の何れかまたは二以上から該当するパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3の何れかまたは二以上に供給する。発電電力Sを受けたパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3の何れかまたは二以上は、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上からの発電電力Sを交流電力に変換し、この交流電力を負荷30-1、30-2、・・・や系統に供給する(F110)。
【0097】
F107の判定において、S≧Sthでない場合(F107のNO)、制御部32は該当するSW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上を開き、該当するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上を閉じる制御をし(F111)、充電モードを実行する(F112)。この充電モードでは、閾値Sth未満の発電電力Sを発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは2以上から蓄電デバイス20に供給し、充電する。
【0098】
電力回収制御(F106)では、蓄電デバイス20が充電中か放電中かの判定として、制御部32は、SW16-4=ONであるかを判定する(F113)。
【0099】
SW16-4=ONであれば(F113のYES)、蓄電デバイス20が放電中であるので、制御部32は蓄電デバイス20の放電完了の判定として、端子間電圧Vcの閾値判定を行う(F114)。Vc≦VcLであれば(F114のYES)、蓄電デバイス20は放電を完了しているので、制御部32はSW16-4=OFFに制御し(F115)、充電待機モードにする(F116)。この充電待機モードはVc≦VcLで、充電モード再開まで待機状態を維持する。
【0100】
F113において、SW16-4=ONでなければ(F113のNO)、蓄電デバイス20が充電または充電待機中であるので、充電完了の判定として制御部32は端子間電圧Vcの閾値判定を行う(F117)。Vc≧VcHであれば(F117のYES)、蓄電デバイス20が充電を完了しているので、制御部32はSW16-4=ONに制御し(F118)、蓄電デバイス20の放電を開始するとともに第二出力モードを実行する(F119)。この第二出力モードでは、蓄電デバイス20の放電電力とともに、同時刻の閾値Sth以下の発電電力Sを発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上からパワーコンディショナ13に供給する。パワーコンディショナ13は、第三回路部14-4からのこれらの入力電力を交流電力に変換し、この交流電力を負荷30-1、30-2、・・・や系統に供給する(F120)。
【0101】
F114において、Vc≦VcLでなければ(F114のNO)、蓄電デバイス20の放電を継続し、制御部32は第二出力モードを実行する(F119)。
【0102】
F117において、Vc≧VcHでなければ(F117のNO)、蓄電デバイス20の充電を継続するため、制御部32は充電モードを実行する(F121)。この充電モードでは、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から閾値Sth未満の発電電力Sが蓄電デバイス20に充電される。
【0103】
<発電システム2における電力回収部8の出力制御>
この発電システム2における電力回収部8の出力制御では発電パネル4-1、4-2、4-3に対応するため、その制御内容は複雑である。このため、この制御内容について、
図6は、たとえば、発電パネル4-1の発電電力Sの推移(A)で発電システム2の制御シーケンスを実行した場合の蓄電デバイス20の端子間電圧Vc(B)、SW開閉状態(C)、パワーコンディショナ13の出力(D)、動作モード(E)の推移の一例を示している。この制御シーケンスは本開示の制御方法、プログラムまたは蓄電制御の一例である。
【0104】
図6のAは、既述の発電パネル4-1の発電電力Sの推移を示している。この例では閾値Sth以上を維持していた発電電力Sが時点t1で閾値Sth未満に低下し、閾値Sth未満を継続した後、時点t12で閾値Sth以上に推移している。
【0105】
図6のBは、蓄電デバイス20の端子間電圧Vc(充放電状態)の推移を示している。この蓄電デバイス20の充放電は発電電力Sに依存し、この例では閾値Sth以上を維持していた発電電力Sが閾値Sth未満になった時点t1で充電を開始し、時点t2で所定値VcHに到達し、放電を開始する。時点t3で所定値VcLに達し、再び充電を開始し、時点t4で所定値VcHに到達している。
【0106】
図6のCは、区間C1~区間C13のSW16-11、16-12、16-4の開閉状態を示している。区間C1~区間C13の開閉条件とSW16-11、16-12、16-4の開閉状態は以下の通りである。
【0107】
区間C1(~t1: S≧Sth): SW16-11=ON、SW16-12=OFF
区間C2(t1~t2: S<Sth、Vc<VcH): SW16-11=OFF、SW16-12=ON、SW16-4=OFF
区間C3(t2~t3: Vc≧VcL): SW16-4=ON
区間C4(t3~t4: Vc<VcH): SW16-4=OFF
区間C5(t4~t5: Vc≧VcL): SW16-4=ON
区間C6(t6~t7: Vc<VcH): SW16-4=OFF
区間C7(t7~t8: Vc≧VcL): SW16-4=ON
区間C8(t8~t9: Vc<VcH): SW16-4=OFF
区間C9(t9~t10: Vc≧VcL): SW16-4=ON
区間C10(t10~t11: Vc<VcH): SW16-4=OFF
区間C11(t11~t12: Vc≧VcL): SW16-4=ON
区間C12(t12~t13: S≧Sth,Vc≧VcL): SW16-11=ONSW16-12=OFF
区間C13(t13~: Vc<VcL): SW16-4=OFF
【0108】
図6のDは、区間C1~C13の交流出力を示している。
区間C1は、発電パネル4-1の閾値Sth以上の発電電力Sが得られる電力領域である。この領域では、発電パネル4-1の発電電力Sが第一回路部14-11からパワーコンディショナ12-1に供給され、このパワーコンディショナ12-1から交流出力が得られる。
【0109】
区間C2からC11は閾値Sth未満の電力領域である。この領域では、SW16-4=ONのとき、蓄電デバイス20の放電電力で底上げされた閾値Sth未満の発電電力Sが蓄電デバイス20の放電電力で底上げされた第二回路部14-12および第三回路部14-4を通してパワーコンディショナ13に供給され、このパワーコンディショナ13から交流出力が得られる。
【0110】
区間C13は区間C12から移行した閾値Sth以上の電力領域であり、この領域では、発電パネル4-1の発電電力Sが第一回路部14-11からパワーコンディショナ12-1に供給され、このパワーコンディショナ12-1から交流出力が得られる。
【0111】
図6のEは、動作モードのステータスを示している。
区間C1:第一出力モードE1
区間C2、C4、C6、C8、C10:充電モードEc
区間C3、C5、C7、C9、C11:第二出力モードE2(放電領域)
区間C12:第一出力モードE1および第二出力モードE2
区間C13:第一出力モードE1
【0112】
なお、発電システム2の制御において、充電モードから第一出力モードに切り換えられても、蓄電デバイス20の放電は所定値VcLに到達するまで継続させる。
【0113】
この発電システム2におけるパワーコンディショナ13には、パワーコンディショナ13の制御により、発電パネル4-1からの閾値Sthよりも充分大きい一定電力が流れ込む制御をするものとする。これは蓄電デバイス20が過充電状態になることを防止するためである。また、この一定電力値はパワーコンディショナ13の効率が充分高くなる電力値に設定する。
【0114】
図7は、電力分離部6-1ないし6-3のうち、電力分離部6-1および電力回収部8について、
図6に示した動作テーブルを示している。この動作テーブルでは、項目欄に発電電力S、端子間電圧Vc、SW16-11、16-12、16-4を取り、区間C1~C13のステータスを示している。
【0115】
<蓄電デバイス20の充放電プロファイル>
SW16-12のON/OFFでのプロファイルについて、SW16-12=ONまたはSW16-12=OFFの場合、蓄電デバイス20の放電電力の大小、放電時間の長短、充放電サイクル数(単位時間あたりの放電回数)を比較している。
【0116】
図8のAは、蓄電デバイス20の放電時にSW16-12=OFFの場合の充放電プロファイルを示している。蓄電デバイス20は、2kWで充電し、5kWで放電の後、1kWで充電し、5kWで放電の後、0.5kWで充電し、5kWで放電する状態を示している。時間軸tに示す、tlossは、発電パネル4-1の発電電力Sが蓄電デバイス20への充電やパワーコンディショナ13への供給に寄与しないロスタイムである。つまり、発電電力Sが活用されない期間を表している。
【0117】
これに対し、
図8のBは、本開示に係る、蓄電デバイス20の放電時にSW16-12=ON時の充放電プロファイルを示している。蓄電デバイス20は、2kWで充電の後、放電し、1kWで充電した後、放電し、0.5kWで充電し、5kWで放電する状態を示している。
【0118】
この場合、蓄電デバイス20の放電電力と発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の発電電力Sの和がたとえば、5kWになるように制御するので、蓄電デバイス20の放電電力は小さくなり、放電時間が長くなる。したがって、既述のロスタイムはなく、既述の充放電サイクル数が減少する。
【0119】
<発電システム2の動作例>
ア)発電パネル4-1、4-2、4-3のすべての発電電力Sが閾値Sth以上であれば、対応するSW16-11、SW16-21、SW16-31はON状態、対応するSW16-12、SW16-22、SW16-32はOFF状態に制御し、各発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sが対応する電力分離部6-1、6-2、6-3を通して分離された閾値Sth以上の発電電力Sが対応する各パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3に供給される。各パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3に供給された発電電力SはMPPT制御による最大化処理を経て既定の電力に変換される。
【0120】
イ)たとえば、発電パネル4-1の発電電力Sが閾値Sth未満であれば、対応するSW16-11をOFF状態、対応するSW16-12をON状態に制御する。この動作により発電パネル4-1の発電電力Sが蓄電デバイス20に供給され、その充電が開始される。このとき、発電パネル4-2や発電パネル4-3の発電電力Sが閾値Sth未満に移行した場合には、同様の動作により同時に蓄電デバイス20に充電される。また、発電パネル4-1,4-2,4-3のいずれかまたは二以上の発電電力Sが閾値Sth以上に復帰した場合、対応するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上をOFF、SW16-11、16-21、16-31の何れかまたは二以上をONに制御し、第一出力モードに切り換える。
【0121】
ウ)蓄電デバイス20の端子間電圧Vcが所定値VcHに達したら、SW16-4をONに制御し、一定電力をパワーコンディショナ13で受けて電力変換を行う。このとき、SW16-12、16-22、16-32の何れかまたは全部がON状態であればそれを維持する。つまり、微弱電力発電状態である発電パネル4-1、4-2、4-3に対応するSW16-12、16-22、16-32の何れかまたは二以上をONに制御する。これにより、蓄電デバイス20の放電電力と、微弱電力発電状態の発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは全部からの微弱発電電力を合算し、この合算電力がパワーコンディショナ13に供給される。
【0122】
エ)端子間電圧Vcが所定値VcLに下降したとき、SW16-4をOFFに制御し、パワーコンディショナ13に対する第三回路部14-4からの電力受け入れを停止する。これにより、蓄電デバイス20の充電が開始される。
【0123】
各発電パネル4-1、4-2、4-3で得られる発電電力Sが閾値Sth以上になった場合には既述のア)の制御に戻す。このとき、蓄電デバイス20の端子間電圧Vc>VcLであれば、蓄電デバイス20の放電はVc≦VcLになるまでパワーコンディショナ13に電力供給を継続する。Vc≦VcLになれば、その時点でSW16-4はOFFに制御し、蓄電デバイス20は次の微弱発電電力受け入れまで待機する。
【0124】
なお、この発電システム2においては発電パネル4-1、4-2、4-3の独自の閾値Sth1、Sth2、Sth3を設定してもよい。パワーコンディショナ13の制御により、発電パネル4-1、4-2、4-3の閾値Sthの総和(Sth1+Sth2+Sth3)よりも充分大きい一定電力がパワーコンディショナ13に流れ込む制御としてもよい。この制御は、蓄電デバイス20が過充電状態になることを防止するためである。また、パワーコンディショナ13に加えられる一定電力値はパワーコンディショナ13の効率が充分高くなる電力値に設定する。
【0125】
<第一の実施の形態の効果>
この第一の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0126】
(1) 発電パネル4-1、4-2、4-3の各発電電力Sを閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sに分離でき、閾値Sth以上の発電電力Sは専用のパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3の何れかまたは二以上を以て高効率で電力変換でき、閾値Sth未満の発電電力Sは専用のパワーコンディショナ13によって高効率で電力変換できる。したがって、閾値Sth以上の発電電力S、閾値Sth未満の発電電力Sの双方を効率よく交流出力に変換して取り出すことができ、太陽光発電システムの高効率化を図ることができる。つまり、第一出力モードでは、パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3の何れかまたは二以上から変換効率が十分高い閾値Sth以上の発電電力Sを通常の電力変換により高効率で交流出力を取り出すことができる。
【0127】
(2) 閾値Sth未満の発電電力Sは、この発電電力Sを蓄電デバイス20に蓄電し、端子間電圧Vcが所定値VcHに到達したとき、蓄電デバイス20を放電させ、この放電電力と閾値Sth未満の発電電力Sを加算して、パワーコンディショナ13に供給して電力変換を行うことができ、変換効率が低い閾値Sth未満の発電電力Sを効率よく交流出力に変換して取り出すことができる。
【0128】
(3) 発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から閾値Sth未満の発電電力Sが得られている場合には、電力分離部6-1、6-2、6-3の何れかまたは二以上を通して蓄電デバイス20に充電し、端子間電圧Vcが所定値VcHに到達することを監視し、端子間電圧Vcが所定値VcHに到達したとき、第三回路部14-4を通して放電させる。蓄電デバイス20を放電するとき、この放電電力と発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上の閾値Sth未満の発電電力Sが電力回収部8を以て合算され、この合算電力がパワーコンディショナ13に供給される。この結果、パワーコンディショナ13の電力変換機能の一時停止の頻度を軽減でき、その結果、第二出力モードにおいても発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上からの微弱発電電力のロスを低減でき、交流出力総量を増加させることができる。
【0129】
(4) 蓄電デバイス20の放電電力と閾値Sth未満の発電電力Sを合算した合算電力がパワーコンディショナ13に供給されるので、このような合算電力を用いない場合と比較して、蓄電デバイス20の放電速度を遅くでき、このため蓄電デバイス20の充放電サイクル数を減少させ、その結果、蓄電デバイス20の劣化を抑制でき、耐久性を高めることができる。
【0130】
(5) SW16-11、16-12、16-21、16-22、16-31、16-32、16-4の頻繁な切り換えを抑制でき、SW切換え手段としてリレーを用いた場合、その損耗を抑制でき、部品寿命を延ばすことができる。
【0131】
(6) 第二出力モードでは、蓄電デバイス20からの放電電力に加え、閾値Sth未満の微弱な発電電力Sもパワーコンディショナ13に供給され、第一出力モードと同様にパワーコンディショナ13の電力変換によって交流出力を取り出すことができ、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの回収率ないし利用率を高め、発電システム2の総合的な電力変換効率を高めることができる。
【0132】
(7) 曇天や雨天など、日射量レベルが変動しても、この変動に対応した閾値Sthを設定できるので、気象条件に適合して高効率の変換出力が得られる発電システム2を実現できる。
【0133】
(8)
図9のAは、たとえば、発電パネル4-1から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの推移を示している(従前モード)。このような閾値Sth未満の微弱な発電電力Sがパワーコンディショナ12-1に供給されると、頻繁に出力電力が電力=0に低下するため、正常な電力変換を得ることができない。
【0134】
これに対し、
図9のBは、閾値Sth未満の発電電力Sが発電システム2の第二出力モードで処理された場合を示している(本開示モード)。この発電システム2の第二出力モードでは、閾値Sth未満の発電電力Sが電力分離部6-1を通して蓄電デバイス20に充電され、この端子間電圧Vcが所定値VcH以上に到達したとき、この蓄電デバイス20を放電させ、この放電電力と閾値Sth未満の発電電力Sを合算し、この合算電力をパワーコンディショナ13に供給して電力変換を行う。この結果、発電電力S=0に低下することを回避でき、閾値Sth未満の発電電力Sを連続して交流出力に変換し、取り出すことができる。
【0135】
(9) この発電システム2は、MPPTを用いて最適な発電電力(V-I特性条件)で発電する事業用太陽光発電システムとして構成できる。このような複数の発電パネル4-1、4-2、4-3が設置され、複数の電力変換装置を利用することが一般的である。これは、発電システム2が大規模になればなるほど、各発電パネル4-1、4-2、4-3の日射状況が異なる場合がある。これをひとつのMPPTで制御することは、発電電力変換効率を悪化させるので、これを改善するためである。このような複数の発電パネル4-1、4-2、4-3とそれに対応する複数の変換装置を利用する場合には、各電力分離部6-1、6-2、6-3のそれぞれに蓄電デバイス20を設置して微弱電力を回収することは可能であるが、蓄電デバイス20の設置数の増加は経済性を悪化させることになる。そこで、本開示の発電システム2ではひとつの蓄電デバイス20を含む電力回収部8を用いて経済性を高めつつ、発電効率を高めることができる。つまり、蓄電デバイス20を含む電力回収部8の単一化は経済性に優れ、有益である。
【0136】
(10) 蓄電デバイス20の蓄電電力の放電電力に加えて、同時刻における各発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から得られる発電電力Sもパワーコンディショナ13に供給されるので、蓄電デバイス20の蓄電電力の放電が軽減され、蓄電デバイス20の寿命向上に大きく寄与する。
【0137】
〔第二の実施の形態〕
第二の実施の形態に係る発電システム2は、蓄電デバイス20を含む電力回収部8(第一の実施の形態)に代えて電力回収部9を備え、閾値Sth未満の発電電力Sを加算処理により電力変換するシステムである。
【0138】
図10は、第二の実施の形態に係る発電システム2の一例を示している。
図10において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0139】
電力回収部9は第三回路部14-4を備え、電力分離部6-1、6-2、6-3の各第二回路部14-12、14-22、14-32を集合させ、電力分離部6-1、6-2、6-3の何れかまたは二以上から得られる閾値Sth未満の発電電力Sを合算して回収する。この回収電力はパワーコンディショナ15に供給されている。このパワーコンディショナ15は本開示の第二電力変換部の一例である。
【0140】
第一の実施の形態では電力回収部8が閾値Sth未満の発電電力Sから一定電圧の発電電力Sの合算電力を出力するのに対し、この実施の形態ではパワーコンディショナ15に対する供給電力は定電力化されていない。このパワーコンディショナ15には他のパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3と同様にMPPT24-5、DC-DCコンバータ26-5、インバータ28-5が設置されている。電力分離部6-1、6-2、6-3の何れかまたは二以上で分離された閾値Sth未満の発電電力Sの合算電力を受け、この合算電力がMPPT24-5で最適な発電電力(V-I特性条件)に変換される。
【0141】
図11のAは、発電パネル4-1の発電電力Sの推移の一例を示し、
図11のBは、発電パネル4-2の発電電力Sの推移の一例を示し、
図11のCは、発電パネル4-3の発電電力Sの推移の一例を示している。
【0142】
発電パネル4-1の発電電力Sは
図11のAに示すように、時点t1に到達前まで閾値Sth以上を維持し(A1)、時点t1から時点t4の区間で閾値Sth未満に低下し(A2)、時点t4から閾値Sth以上に上昇している(A3)。
【0143】
発電パネル4-2の発電電力Sは
図11のBに示すように、時点t2に到達前まで閾値Sth以上を維持し(B1)、時点t2から時点t5の区間で閾値Sth未満に低下し(B2)、時点t5から閾値Sth以上に上昇している(B3)。
【0144】
発電パネル4-3の発電電力Sは
図11のCに示すように、時点t3に到達前まで閾値Sth以上を維持し(C1)、時点t3から時点t6の区間で閾値Sth未満に低下し(C2)、時点t6から閾値Sth以上に上昇している(C3)。
【0145】
発電パネル4-1、4-2、4-3の各発電電力Sは対応する電力分離部6-1、6-2、6-3によって閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sに分離される。
【0146】
図11のDは、電力回収部9に得られる回収電力Smを例示している。つまり、閾値Sth未満の発電電力Sは電力回収部9に回収され、この電力回収部9では一または二以上の閾値Sth未満の発電電力Sから回収電力Smが得られ、パワーコンディショナ15に供給される。この場合、電力回収部9の回収電力は以下の通りである。破線で示す回収電力Smは一つの閾値Sth未満の発電電力Sまたは二以上の閾値Sth未満の発電電力Sの加算電力を説明するための仮想電力を表す例示であり、本開示がこの仮想電力に限定されるものではない。
【0147】
時点t1~時点t2: 発電パネル4-1の発電電力S(=回収電力Sm)
時点t2~時点t3: 発電パネル4-1および発電パネル4-2の各発電電力Sの回収電力Sm
時点t3~時点t4: 発電パネル4-1、発電パネル4-2および発電パネル4-3の各発電電力Sの回収電力Sm
時点t4~時点t5: 発電パネル4-2および発電パネル4-3の各発電電力Sの回収電力Sm
時点t5~時点t6: 発電パネル4-3の発電電力S(=回収電力Sm)
【0148】
電力回収部9の回収電力Smはパワーコンディショナ15に供給され、規定の交流電力に変換される。この交流電力はパワーコンディショナ12-1~12-3と同様に負荷30-1、30-2、・・・や図示しない系統に供給することができる。
【0149】
<第二の実施の形態の効果>
この第二の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 発電パネル4-1、4-2、4-3の各発電電力Sは該当する電力分離部6―1、6-2、6-3で個別に閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sに分離でき、閾値Sth以上の発電電力Sは該当するパワーコンディショナ12-1、12-2、12-3で電力変換することができ、同時に閾値Sth未満の発電電力Sはパワーコンディショナ15で電力変換することができる。
【0150】
(2) 閾値Sth未満の発電電力Sは専用のパワーコンディショナ15で電力変換することができるので、パワーコンディショナ12-1、12-2、12-3側の負担を軽減できるとともに、微弱電力の回収効率を高め、電力変換効率を改善することができる。
【0151】
〔第三の実施の形態〕
第三の実施の形態に係る太陽光発電システム2は、蓄電デバイス20を含む電力回収部8(第一の実施の形態)に代えて電力分離部6で分離された閾値Sth未満の発電電力Sをパワーコンディショナ15に入力して電力変換するシステムである。
【0152】
図12は、第三の実施の形態に係る太陽光発電システム2を示している。
図12において、
図10と同一部分には同一符号を付してある。
【0153】
発電パネル4-1、4-2、4-3は一または二以上の本開示の発電装置の一例である。発電パネル4-1、4-2、4-3は並列に接続されており、単一の電力分離部6が設置されている。この実施の形態では3組の発電パネル4-1、4-2、4-3を設置しているが、単一の発電パネル4であってもよい。
【0154】
電力分離部6は、発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sを閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sに分離する。閾値Sth以上の発電電力Sの電力変換手段として、専用のパワーコンディショナ12が設置され、閾値Sth未満の発電電力Sの電力変換手段として、専用のパワーコンディショナ15が設置されている。パワーコンディショナ12は本開示の第一電力変換部の一例であり、パワーコンディショナ15は本開示の第二電力変換部の一例である。
【0155】
パワーコンディショナ15は、第二の実施の形態と同様にMPPT24-5、DC-DCコンバータ26-5、インバータ28-5が設置されている。
【0156】
発電パネル4で得られる発電電力Sは電力分離部6で閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sに分離される。閾値Sth以上の発電電力Sは、パワーコンディショナ12で既述の電力変換を経て規定の交流電力に変換される。この交流電力が負荷30-1、30-2、・・・や図示しない系統に供給される。閾値Sth未満の発電電力Sは、パワーコンディショナ15で既述の電力変換を経て規定の交流電力に変換される。この交流電力はパワーコンディショナ12と同様に負荷30-1、30-2、・・・や図示しない系統に供給される
【0157】
<第三の実施の形態の効果>
この第三の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 発電パネル4-1、4-2、4-3の発電電力Sは該当する電力分離部6で閾値Sth以上の発電電力Sと閾値Sth未満の発電電力Sとに分離でき、閾値Sth以上の発電電力Sは専用のパワーコンディショナ12で電力変換することができるとともに、閾値Sth未満の発電電力Sは専用のパワーコンディショナ15で電力変換することができる。
【0158】
(2) 閾値Sth以上の発電電力Sの電力変換と、閾値Sth未満の発電電力Sの電力変換の処理を分離でき、パワーコンディショナ12、15が担う負担の軽減を図ることができ、以て微弱電力の回収効率を高め、電力変換の高効率化を実現できる。
【実施例0159】
実施例1は蓄電デバイス20に電気二重層キャパシタを用いた発電システム2である。電気二重層キャパシタはリチウムイオン電池に比較し、内部抵抗が小さく、この抵抗による1(A)での電力損失が小さく、リチウムイオン電池の電力損失を基準にした電力損失の割合が異常に小さいことが確認された。
【0160】
この実施例1について、
図13のAに機械設計2015年11月号より引用した「蓄電素子一本当たりの電力損失」を示すテーブル(日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号、第3章リチウムイオン電池を安全に使う―その1 充放電評価と内部抵抗評価 ティ・アンド・シー・テクニカル 下田 洋道)、
図13のBに日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号より引用した「内部抵抗の測定結果」を示すグラフを引用する。
【0161】
図13のAによれば、リチウムイオン電池では抵抗が246[mΩ]と高いのに対し、電気二重層キャパシタでは11~0.3[mΩ]と極めて低く、電力損失が大幅に低いことがわかる。また、
図13のBによれば、リチウムイオン電池では放電により電池容量が低下すると内部抵抗が増加する傾向があり、この影響を受けることになるが、電気二重層キャパシタには斯かる現象は報告されていない。
【0162】
したがって、蓄電デバイス20に電気二重層キャパシタを用いた発電システム2によれば、電力損失が大幅に改善されたシステムを提供でき、微弱電力の回収率を高めることができる。
【0163】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この電気二重層キャパシタを用いた蓄電デバイス20によれば、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの充放電を迅速化できるとともに、電力損失を抑制することができ、電力の変換効率を高めることができる。
【0164】
(2) この電気二重層キャパシタを用いた蓄電デバイス20によれば、発電パネル4-1、4-2、4-3の何れかまたは二以上から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの回収効率を高めることができる。
【0165】
(3) この電気二重層キャパシタを用いた蓄電デバイス20によれば、従前の発電システムに比較し、閾値Sth未満の発電電力Sの回収効率を10%以上高めることができた。
この実施例2は、第一の実施の形態に係る発電システム2において、SW16-4の開閉機能をDC-DCコンバータ26-4の入力電圧制御機能で代用した構成である。
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態について説明した。本開示は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または本開示を実施するための形態に開示された本開示の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。