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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060642
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】伝熱装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A61F7/10 351
A61F7/10 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168024
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大久保 祐甫
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099AA02
4C099CA11
4C099CA20
4C099EA08
4C099GA02
4C099GA08
4C099JA02
4C099LA07
4C099LA21
4C099NA02
4C099NA20
(57)【要約】
【課題】伝熱部と人の首の間の伝熱効率を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】伝熱装置は、人の首を冷却する冷却機能を有する伝熱装置である。伝熱装置は、ハウジングと、伝熱部と、首を冷却するためのファンとを備える。伝熱部は、ハウジングに収容され、首に接触する接触面を有する。ファンはハウジングに収容される。伝熱部は、接触面に対する押圧に応じて、ハウジングに対して相対的に可動である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の首を冷却する冷却機能を有する伝熱装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、前記首に接触する接触面を有する伝熱部と、
前記ハウジングに収容され、前記首を冷却するためのファンと
を備え、
前記伝熱部は、前記接触面に対する押圧に応じて、前記ハウジングに対して相対的に可動である、伝熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部は、前記接触面に対する押圧に応じて回動する、伝熱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部は、前記首の周方向における前記接触面の端部に対する押圧に応じて回動する、伝熱装置。
【請求項4】
請求項2に記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部は、前記首の長さ方向における前記接触面の端部に対する押圧に応じて回動する、伝熱装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部と前記ハウジングとの間に位置する弾性体を備える、伝熱装置。
【請求項6】
請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部または前記ハウジングの一方は、前記伝熱部が回動するための回動軸を有し、
前記伝熱部または前記ハウジングの他方は、前記回動軸を受ける受部を有する、伝熱装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部は、
前記接触面を有する伝熱板と、
前記伝熱板の冷却を行うことが可能なペルチェ素子と
有する、伝熱装置。
【請求項8】
請求項7に記載の伝熱装置であって、
前記伝熱部は、前記伝熱板及び前記ペルチェ素子を保持する保持部を有する、伝熱装置。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の伝熱装置であって、
前記冷却機能と、前記首を加熱する加熱機能とを備える、伝熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人の首を冷却する冷却装置が開示されている。特許文献1に開示される冷却装置は、人の首に接触する冷却プレートを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3224564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、冷却プレートに対する首の当たり具合が人によって異なることがある。その結果、冷却効率が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は上述の点に鑑みて成されたものであり、冷却装置等の伝熱装置が備える伝熱部と人の首と間の伝熱効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
伝熱装置が開示される。一の実施の形態では、伝熱装置は、人の首を冷却する冷却機能を有する伝熱装置である。伝熱装置は、ハウジングと、伝熱部と、首を冷却するためのファンとを備える。伝熱部は、ハウジングに収容され、首に接触する接触面を有する。ファンはハウジングに収容される。伝熱部は、接触面に対する押圧に応じて、ハウジングに対して相対的に可動である。
【発明の効果】
【0007】
伝熱部と人の首の間の伝熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】伝熱装置の一例を示す概略図である。
図2】伝熱装置の一例を示す概略図である。
図3】伝熱装置の一例を示す概略図である。
図4】伝熱装置の一例を示す概略図である。
図5】伝熱装置が人の首に取り付けられている様子の一例を示す概略図である。
図6】伝熱装置の電気的構成の一例を示す概略図である。
図7】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図8】伝熱装置の一部の断面構造の一例を示す概略図である。
図9】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図10】伝熱部の一例を示す概略図である。
図11】伝熱部の一例を示す概略図である。
図12】伝熱部の一例を示す概略図である。
図13】伝熱部の一例を示す概略図である。
図14】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図15】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図16】伝熱装置の一部の断面構造の一例を示す概略図である。
図17】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図18】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図19】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図20】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
図21】伝熱装置の一部の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び2は伝熱装置1の外観の一例を示す概略斜視図である。図3は、図1に示される伝熱装置1を図1の上側から見た様子の一例を示す概略図である。図4は、図3に示される伝熱装置1を図3の上側から見た様子の一例を示す概略図である。
【0010】
伝熱装置1は、人の首に取り付けられる。伝熱装置1は、人の首の冷却及び加熱の少なくとも一方を行うことが可能である。言い換えれば、伝熱装置1は、人の首を冷却する冷却機能と、人の首を加熱する加熱機能との少なくとも一方の機能を備える。加熱機能は、人の首を温める機能であるともいえる。
【0011】
伝熱装置1は、冷却機能及び加熱機能のうちの冷却機能だけを備えてもよい。あるいは、伝熱装置1は、冷却機能及び加熱機能のうちの加熱機能だけを備えてもよい。あるいは、伝熱装置1は、冷却機能及び加熱機能の両方を備えてもよい。冷却機能を備える伝熱装置1は冷却装置1ともいえ、加熱機能を備える伝熱装置1は加熱装置1ともいえる。冷却機能及び加熱機構を備える伝熱装置1は、冷却装置として機能するとともに、加熱装置としても機能する。
【0012】
図5は、伝熱装置1が人500の首501に取り付けられている様子の一例を示す概略図である。図5に示されるように、伝熱装置1は、例えば、首501に掛けられた状態で使用される。
【0013】
以後、伝熱装置1を説明する場合に右側と言えば、伝熱装置1が首501に取り付けられた状態での人500の右手側(図5の左側)を意味する。また、伝熱装置1を説明する場合に左側と言えば、伝熱装置1が首501に取り付けられた状態での人500の左手側(図5の右側)を意味する。また、伝熱装置1を説明する場合に上側と言えば、伝熱装置1が首501に取り付けられた状態での人500の頭側(図5の上側)を意味する。また、伝熱装置1を説明する場合に下側と言えば、伝熱装置1が首501に取り付けられた状態での人500の体側(図5の下側)を意味する。
【0014】
また、冷却機能及び加熱機能のうち冷却機能だけを備える伝熱装置1を冷却専用装置1と呼ぶことがある。また、冷却機能及び加熱機能のうち加熱機能だけを備える伝熱装置1を加熱専用装置1と呼ぶことがある。そして、冷却機能及び加熱機能の両方を備える伝熱装置1を冷却加熱装置1と呼ぶことがある。以下の説明では、特に断らない限り、伝熱装置1は冷却加熱装置1であるとする。
【0015】
図1~5に示されるように、伝熱装置1は、例えば、ハウジング2と、ハウジング2に収容された少なくとも一つの伝熱部3とを備える。伝熱装置1は、例えば、2つの伝熱部3を備える。伝熱部3は部分的にハウジング2から露出している。
【0016】
伝熱部3は、首501と接触する接触面30を有する。接触面30はハウジング2から露出している。伝熱部3は、首501の冷却及び加熱の少なくとも一方を行うことが可能である。冷却専用装置1では、伝熱部3は、首501の冷却及び加熱のうちの冷却のみを行うことが可能である。加熱専用装置1では、伝熱部3は、首501の冷却及び加熱のうちの加熱のみを行うことが可能である。冷却加熱装置1では、伝熱部3は、人の首の冷却及び加熱の両方を行うことが可能である。伝熱部3の接触面30が首501に接触することによって、首501が冷却されたり加熱されたりする。
【0017】
伝熱装置1では、伝熱部3は、例えば、動作モードとして、接触面30を冷却する伝熱部冷却モードと、接触面30を加熱する伝熱部加熱モードとを備える。伝熱部3の動作モードは後述する制御部11(図6参照)によって切り替えられる。伝熱部3の詳細は後述する。
【0018】
ハウジング2は、例えば首501に取り付けられる。ハウジング2は、例えば、概ね、略U字状に曲がる中空の直方体で構成されている。略U字状のハウジング2は、その底部が首501の後ろ側に位置するように、当該首501に掛けられる。
【0019】
ハウジング2は、例えば、一対の片側首回り部分20と、一対の片側首回り部分20を互いに接続する接続部分21とを備える。一方の片側首回り部分20は、首501の後ろ側から、首501の右の側面側を通って人500の前側に延びている。以後、当該一方の片側首回り部分20を右部分20Rと呼ぶことがある。また、他方の片側首回り部分20は、首501の後ろ側から、首501の左の側面側を通って人500の前側に延びている。以後、当該他方の片側首回り部分20を左部分20Lと呼ぶことがある。
【0020】
各片側首回り部分20は、例えば、首501の後ろ側から、人500の鎖骨付近まで延びている。各片側首回り部分20は、首501の外周面と対向する対向部分200と、対向部分200から人500の前側(例えば鎖骨付近)まで延びる前部分230とを備える。対向部分200は、首501の外周面に応じて湾曲している。対向部分200は、首501の後ろ側から首501の側面側まで延びている。
【0021】
以後、右部分20Rの対向部分200及び前部分230を、それぞれ右対向部分200及び右前部分230と呼ぶことがある。また、左部分20Lの対向部分200及び前部分230を、それぞれ左対向部分200及び左前部分230と呼ぶことがある。
【0022】
接続部分21は首501の真後ろ側に位置する。接続部分21は、右対向部分200の長手方向の一端(詳細には首501の後ろ側の一端)と、左対向部分200の長手方向の一端(詳細には首501の後ろ側の一端)とに繋がっている。
【0023】
各片側首回り部分20は、例えば、比較的硬い材料(例えばABS樹脂など)で構成されている。ABSは、acrylonitrile butadiene styreneの略語である。これに対して、接続部分21は、例えば、比較的軟らかい材料(例えばシリコン樹脂など)で構成されている。また、接続部分21内には、例えば、形状保持機能を有するフレキシブルチューブ210(図1参照) が配置されている。これにより、伝熱装置1での首501の真後ろ部分は、変形が容易であり、変形後の形状を維持することができる。よって、ユーザ(つまり人500)は、伝熱装置1の使用時に、例えば、一対の片側首回り部分20の開き具合(言い換えれば、右部分20Rと左部分20Lの開き具合)を調整したり、片側首回り部分20の姿勢を調整したりすることができる。
【0024】
なお、接続部分21が設けられずに、一対の片側首回り部分20が互いに直接接続されてもよい。この場合、一対の片側首回り部分20が互いにヒンジ接続されて、一対の片側首回り部分20の開き具合が調整可能とされてもよい。
【0025】
各片側首回り部分20の対向部分200には伝熱部3が収容されている。伝熱部3の接触面30は、対向部分200の表面の内側の面(言い換えれば首501側の面)から露出している。右対向部分200から露出する接触面30は、首501の右後ろ側の面と右の側面とに接触する。左対向部分200から露出する接触面30は、首501の左後ろ側の面と左の側面とに接触する。以後、右部分20Rに収容される伝熱部3を右伝熱部3と呼ぶことがあり、左部分20Lに収容される伝熱部3を左伝熱部3と呼ぶことがある。
【0026】
各片側首回り部分20は、ハウジング2の外側の空気をハウジング2内に取り込む吸気口250及び260を有する。吸気口250及び260は、例えば、片側首回り部分20の前部分230に設けられている。吸気口250は前部分230の表面の内側の面(言い換えれば首501側の面)に設けられている。吸気口260は前部分230の表面の外側の面(言い換えれば、首501側の面の反対側の面)に設けられている。吸気口250は、例えば複数の吸気穴251で構成されている。吸気口260は、例えば複数の吸気穴261で構成されている。
【0027】
各片側首回り部分20の前部分230には、吸気口250及び260からハウジング2内に空気を取り込むファン10が収容されている。ファン10は、軸流ファンであってもよいし、他の種類のファンであってもよい。ファン10が回転すると、吸気口250及び260から空気がハウジング2内に取り込まれる。ハウジング2の内部空間は、吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気が流れる通風路を構成する。
【0028】
図6は、伝熱装置1の電気的構成の一例を主に示す概略図である。図6に示されるように、伝熱装置1は、ファン10及び伝熱部3を制御する制御部11を備える。制御部11は、例えば制御回路ともいえる。制御部11は、例えば、回路を有する回路基板を備えてもよい。また、伝熱装置1は、ユーザ(つまり人500)の操作を受け付ける操作部12を備える。操作部12は、例えば少なくとも一つの操作ボタンで構成されている。制御部11及び操作部12はハウジング2に収容されている。
【0029】
図6に示されるように、伝熱装置1には、電源ケーブル610を通じてバッテリ600が接続される。バッテリ600で生成された電力(バッテリ電力ともいう)は、電源ケーブル610を通じて伝熱装置1に供給される。制御部11は、バッテリ電力に基づいて、ファン10及び伝熱部3を制御する。制御部11は、ファン10を回転させたり、ファン10の回転を停止させたりすることができる。制御部11は、伝熱部3の動作モードを伝熱部冷却モードに設定したり、伝熱部加熱モードに設定したりすることができる。なお、バッテリ600はハウジング2に内蔵されてもよい。
【0030】
ユーザは、操作部12を操作することによって、伝熱装置1にファン10を回転させたり、ファン10の回転を停止させたりすることができる。制御部11は、操作部12から出力される信号に基づいて、操作部12が受け付けた操作の内容を特定することが可能である。制御部11は、操作部12に対する操作に応じて、ファン10を回転させたり、ファン10の回転を停止させたりする。
【0031】
伝熱装置1は、動作モードとして、首501を冷却する冷却モードと、首501を加熱する加熱モードとを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、伝熱装置1を冷却モードで動作させたり、加熱モードで動作させたりすることができる。制御部11は、操作部12に対する操作に応じて、伝熱装置1の動作モードを切り替えることができる。
【0032】
冷却モードにおいて、制御部11は、伝熱部3の動作モードを伝熱部冷却モードに設定する。制御部11は、冷却モードにおいて、操作部12に対する操作に応じてファン10を回転させる。一方で、加熱モードにおいて、制御部11は、伝熱部3の動作モードを伝熱部加熱モードに設定する。そして、制御部11は、加熱モードにおいて、操作部12に対する操作の内容にかかわらず、ファン10を回転させない。なお、制御部11は、加熱モードにおいて、操作部12に対する操作に応じてファン10を回転させてもよい。
【0033】
右前部分230及び左前部分230のそれぞれには排気口270が設けられている。また、右対向部分200及び左対向部分200のそれぞれには排気口280が設けられている(図4参照)。各片側首回り部分20では、吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気が、排気口270及び280からハウジング2外に排出される。排気口270は、例えば複数の排気穴271で構成されている。排気口270は、首501に向かって開口する複数の排気穴271と、人500の下顎付近に向かって開口する複数の排気穴271とを備えている。排気口280は、例えば複数の排気穴271で構成されている。複数の排気穴281は、対向部分200での首501の後ろ側の部分の外側の面(言い換えれば、首501の面の反対側の面)に設けられている。
【0034】
右部分20R及び左部分20Lのそれぞれでは、ファン10が回転しているとき、吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気は、ファン10の働きによって、ハウジング2内を移動して排気口270及び280から排出される。排気口270から排出される空気は、首501と下顎付近とを冷却する。ファン10は首501を冷却するためのファンであるといえる。また、吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気は、後述するように、伝熱部加熱モードで動作する伝熱部3を冷却した後に排気口280から排出される。ファン10は、首501だけではなく伝熱部3を冷却するためのファンであるといえる。
【0035】
以後、右部分20Rに設けられた吸気口250、吸気口260、排気口270及び排気口280を、それぞれ、右吸気口250、右吸気口260、右排気口270及び右排気口280と呼ぶことがある。また、左部分20Lに設けられた吸気口250、吸気口260、排気口270及び排気口280を、それぞれ、左吸気口250、左吸気口260、左排気口270及び左排気口280と呼ぶことがある。また、右部分20Rに収容されるファン10を右ファン10と呼び、左部分20Lに収容されるファン10を左ファン10と呼ぶことがある。
【0036】
各対向部分200は、例えば、首501の長さ方向(言い換えれば高さ方向)に2分割することが可能である。対向部分200の上側部分と下側部分とは例えばねじ止めされる。図7は、右対向部分200から上側部分が取り外された様子の一例を示す概略図である。図8は、図4の矢視A-Aでの断面構造の一例を示す概略図である。図9は、右対向部分200から右伝熱部3が取り外された様子の一例を示す概略図である。
【0037】
伝熱部3は、例えば、接触面30を有する伝熱板31と、伝熱板31の冷却及び加熱を行うことが可能なペルチェ素子32とを備える。ペルチェ素子32は、伝熱部冷却モードにおいて伝熱板31を冷却し、伝熱部加熱モードにおいて伝熱板31を加熱する。また、伝熱部3は、伝熱部冷却モードにおいてペルチェ素子32で生じる熱を放熱する放熱器33を備える。また、伝熱部3は、伝熱板31とペルチェ素子32を保持する保持部35を備える。
【0038】
図10~13は伝熱部3の構成の一例を示す概略図である。図12及び13には、保持部35から伝熱板31が引き離された様子の一例が示されている。図10及び12には、伝熱部3を接触面30側から見た様子の一例が示されている。図11及び13には、伝熱部3を接触面30とは反対側から見た様子の一例が示されている。
【0039】
図1~3,9等に示されるように、対向部分200の内側部分(言い換えれば首501側の部分)には、当該対向部分200に収容された伝熱部3の接触面30を露出させる開口部201が設けられている。伝熱部3は、その接触面30が開口部201から露出するように対向部分200に取り付けられる。
【0040】
伝熱板31は、熱伝導性が高い材料で構成されている。伝熱板31は、例えば、アルミニウム等の熱伝導性が高い金属で構成されている。伝熱板31は、首501の外周面に応じて湾曲している。伝熱板31は、例えば、湾曲した角丸長方形を成している。伝熱板31は、接触面30を構成する第1主面311と、当該第1主面311とは反対側の第2主面312とを備える。
【0041】
ペルチェ素子32は、ペルチェ効果を利用した半導体素子であって、例えば板状を成している。ペルチェ素子32は、第1主面321と、当該第1主面321とは反対側の第2主面322とを備える。第1主面321は、伝熱板31の第2主面312に対して、熱伝導接合材34(図8及び13参照)で取り付けられる。熱伝導接合材34は、金属材料で構成されてもよいし、熱伝導グリースで構成されてもよいし、熱伝導粘着材で構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。
【0042】
ペルチェ素子32は吸熱面及び発熱面を有する。伝熱部冷却モードでは、ペルチェ素子32の第1主面321及び第2主面322がそれぞれ吸熱面及び発熱面となる。伝熱板31に取り付けられる第1主面321が吸熱面となることにより、伝熱板31がペルチェ素子32で冷却される。一方で、伝熱部加熱モードでは、ペルチェ素子32の第1主面321及び第2主面322がそれぞれ吸熱面及び発熱面となる。伝熱板31に取り付けられる第1主面321が発熱面となることにより、伝熱板31がペルチェ素子32で加熱される。
【0043】
伝熱部3を制御する制御部11は、当該伝熱部3が有するペルチェ素子32を制御する。制御部11は、ペルチェ素子32に流す電流の向きを変化させることによって、第1主面321を吸熱面としたり、発熱面としたりすることができる。つまり、制御部11は、ペルチェ素子32に流す電流の向きを変化させることによって、伝熱部3を伝熱部冷却モードで動作させたり、伝熱部加熱モードで動作させたりすることができる。
【0044】
放熱器33は、例えば、複数の板状の放熱フィンを備える。放熱器33は、例えば、熱伝導材料で構成される。放熱器33は、例えば、アルミニウム等の熱伝導性が高い金属で構成される。放熱器33は、ペルチェ素子32の第2主面322に取り付けられる。放熱器33は、第2主面322に対して、例えば熱伝導接合材で接合される。熱伝導接合材は、金属材料で構成されてもよいし、熱伝導グリースで構成されてもよいし、熱伝導粘着材で構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。伝熱部3の動作モードが伝熱部冷却モードである場合、言い換えれば、第2主面322が発熱面の場合、ペルチェ素子32で発生する熱は、放熱器33によって放熱される。これにより、ペルチェ素子32の冷却性能が向上する。
【0045】
保持部35は、例えば箱型を成している。伝熱板31は、保持部35に対して、例えばねじ止めされる。伝熱板31は、保持部35に対して、例えば2本のねじ37(図11及び13参照))で固定される。
【0046】
保持部35は、例えば、板状の底部350と、当該底部350の周端部に立設する周壁部358とを備える。さらに、保持部35は、周壁部358の上端部から外側に突出する一対のフランジ部359と、ペルチェ素子32を伝熱板31に対して押さえる押さえ部356とを備える。
【0047】
底部350の外形は、例えば、伝熱板31と同様に、湾曲した角丸長方形を成している。底部350は、第1主面351と、当該第1主面351とは反対側の第2主面352とを備える。周壁部358は、第2主面352の周端部に立設している。第2主面352は、箱型の保持部35の底面を構成している。
【0048】
周壁部358は、底部350の長手方向に沿って延在し、かつ互いに対向する一対の壁部358aを備える。一対のフランジ部359は、一対の壁部358aの上端部からそれぞれ外側に突出するとともに、一対の壁部358aにそれぞれ沿って延在している。
【0049】
伝熱板31は、底部350に対して第1主面351側に位置し、ペルチェ素子32及び放熱器33は底部350に対して第2主面352側に位置する。ペルチェ素子32及び放熱器33は、箱型の保持部35の内側空間に配置されている。底部350の中央部には開口部353が設けられている。伝熱板31は、開口部353を覆うように、保持部35に対して第1主面351側から取り付けられる。底部350の外形は、例えば、伝熱板31の外形よりも少し大きくなっている。
【0050】
ペルチェ素子32を伝熱板31に対して押さえる押さえ部356は、例えば略板状を成している。押さえ部356は、保持部35の一方の壁部358aの内側の面から、保持部35の他方の壁部358aの内側の面まで延びている。ペルチェ素子32の第2主面322においては、図8に示されるように、保持部35の底部350の長手方向(言い換えれば、首501の周方向)の一方端部322aが、放熱器33で覆われておらず放熱器33から露出している。押さえ部356は、ペルチェ素子32の第2主面322の一方端部322aに当接して、ペルチェ素子32を伝熱板31に対して押さえている。これにより、ペルチェ素子32は保持部35で保持される。
【0051】
伝熱板31の第2主面312には、2本のねじ37がそれぞれ螺合する2つのボス315が立設する。2つのボス315は、第2主面312の長手方向の両端部にそれぞれ設けられている。保持部35の底部350の第2主面352には、2本のねじ37がそれぞれ挿入される2つの筒部355が立設する。2つの筒部355は、第2主面352の長手方向の両端部にそれぞれ立設する。各筒部355は、第2主面352から底部350を貫通して第1主面351に達する。伝熱板31の2つのボス315は、第1主面351側から2つの筒部355にそれぞれ挿入される。
【0052】
ボス315は、筒部355の第1主面351側の開口355a(図12参照)から当該筒部355に挿入される。筒部355の内部には、ボス315を受ける環状受部が設けられている。ボス315は環状受部と当接するまで筒部355に挿入される。ねじ37のねじ部は、筒部355の第2主面352側の開口から当該筒部355に挿入される。ねじ37の頭部は、筒部355の開口355bの周縁部に当接する。筒部355に挿入されたねじ部は、環状受部の中央開口を通って、筒部355内のボス315と螺合する。これにより、伝熱板31が保持部35に固定される。
【0053】
保持部35に固定された伝熱板31の第2主面312のうち、底部350の第2主面352側から見た場合に開口部353から露出する露出領域に対して、ペルチェ素子32の第1主面321が取り付けられる。伝熱板31の第2主面312のうち露出領域以外の領域は、保持部35の底部350で覆われている。これにより、伝熱板31側の空間とペルチェ素子32側の空間とが熱的に分離されやすくなり、伝熱板31の首501に対する冷却効率及び加熱効率を向上させることができる。
【0054】
保持部35はハウジング2の対向部分200に取り付けられる。保持部35は、底部350の長手方向がハウジング2の長手方向に沿うように対向部分200に取り付けられる。保持部35が対向部分200に取り付けられたとき、一対のフランジ部359は、対向部分200における開口部201の周縁部分の内側の面(言い換えれば、ハウジング2の内部側の面)に対向する。
【0055】
本例では、伝熱装置1が冷却モードで動作する場合、ファン10によって吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気は、排気口270から排出されて首501を冷却するとともに、伝熱部冷却モードの伝熱部3を冷却する。そして、伝熱部3を冷却した空気は、排気口280からハウジング2外に排出される。伝熱部冷却モードの伝熱部3が冷却されることによって、伝熱部3の首501に対する冷却効率を向上することができる。
【0056】
右吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気(右側取り込み空気ともいう)は、右ファン10の働きにより、右排気口280に向かって流れる。そして、右側取り込み空気の一部は、右排気口270から排出され、右側取り込み空気の残りは伝熱部冷却モードの右伝熱部3を冷却する。右側取り込み空気は、右伝熱部3の放熱器33の複数の放熱フィンの間を通って、放熱器33を冷却する。図14の矢印700は、右側取り込み空気が右排気口280に向かって流れる様子を示している。放熱器33の板状の各放熱フィンは、右側取り込み空気が流れる方向と平行になるように設けられている。これにより、右側取り込み空気が複数の放熱フィンの間を流れやすくなる。伝熱部冷却モードの右伝熱部3を冷却した右側取り込み空気は、右排気口280から暖かい空気としてハウジング2外に排出される。
【0057】
同様に、左吸気口250及び260からハウジング2内に取り込まれた空気(左側取り込み空気ともいう)は、左ファン10の働きにより、左排気口280に向かって流れる。そして、左側取り込み空気の一部は、左排気口270から排出され、左側取り込み空気の残りは伝熱部冷却モードの左伝熱部3を冷却する。左伝熱部3を冷却した左側取り込み空気は、左排気口280から暖かい空気としてハウジング2外に排出される。
【0058】
このように、伝熱部冷却モードで動作する伝熱部3の放熱器33が、ハウジング2内に取り込まれた空気で冷却されることによって、放熱器33の放熱性能が向上する。これにより、ペルチェ素子32で発生した熱を効率よく放熱することができる。その結果、伝熱部3の冷却性能が向上する。
【0059】
本例では、伝熱部3は、ハウジング2に対して可動に取り付けられている。具体的には、伝熱部3の保持部35は、ハウジング2の対向部分200に対して可動に取り付けられている。そして、各伝熱部3は、その接触面30に対する押圧に応じて、ハウジング2に対して相対的に可動となっている。
【0060】
伝熱装置1は、図7及び8に示されるように、伝熱部3とハウジング2との間に位置する弾性体15を備える。弾性体15は、例えば、伝熱部3の保持部35とハウジング2の対向部分200との間に位置する。伝熱装置1は、例えば2つの弾性体15を備える。弾性体15は、例えば、ばねである。弾性体15は、例えば、コイルばねである。
【0061】
対向部分200は、2つの弾性体15の一端をそれぞれ受ける2つの受部207を備えている。各受部207は、例えば、概ね板状である。各受部207は、対向部分200の下側部分の内側の面(言い換えれば、ハウジング2の内部側の面)に立設している。受部207の一方の主面には凹部207a(図7~9参照)が設けられている。凹部207aの底面が弾性体15の一端を受けている。
【0062】
保持部35は、2つの弾性体15の他端をそれぞれ受ける2つの受部357を備える。受部357は、例えば、弾性体15の他端を受ける底部350の一部と、当該一部を取り囲む、第2主面352上の環状部とで構成されている。環状部は、弾性体15の端部の周囲を取り囲む。2つの受部357は、開口部353を挟むように、底部350の長手方向に沿って並んでいる。
【0063】
弾性体15は、例えば圧縮された状態で、ハウジング2の受部207と保持部35の受部357との間に配置される。これより、保持部35は首501側に付勢される。保持部35が首501側に付勢されることにより、保持部35の一対のフランジ部359は、対向部分200における開口部201の周縁部分の内側の面に当接する。これにより、伝熱装置1が首501に取り付けられていない状態で、伝熱部3がハウジング2に対して相対的に動きにくくなる。なお、弾性体15は、圧縮されない状態でハウジング2と伝熱部3との間に配置されてもよい。
【0064】
以上のような構成を備える伝熱装置1では、伝熱部3は、接触面30に対する押圧に応じて、移動したり回動したりすることができる。例えば、接触面30に対してほぼ均等に首501が当たって、伝熱装置1の重さにより接触面30にほぼ均等に押圧力がかかる場合を考える。この場合、図15に示されるように、伝熱部3は、全体的に、ハウジング2の内部側に向かう方向710(言い換えれば、首501から離れる方向)に移動する。伝熱部3全体の方向710への移動により各弾性体15はさらに圧縮される。その結果、接触面30が首501側に付勢され、接触面30と首501との密着性が向上する。接触面30に対して押圧力がかからなくなると、伝熱部3は、方向710とは逆方向に移動して元の位置に戻る。
【0065】
なお、伝熱装置1では、伝熱部3が方向710に必要以上に移動しないように、伝熱部3が方向710に一定量移動すると、伝熱部3の保持部35がハウジング2に当たって、伝熱部3がそれ以上移動しないようになっている。
【0066】
他の例として、首501の周方向(言い換えればハウジング2の延在方向)における接触面30の一方端部30aに首501が片当たりして、図15に示されるように、当該一方端部30aに押圧力720がかかる場合を考える。この場合、伝熱部3は、接触面30の一方端部30aに対する押圧に応じて回動する。具体的には、接触面30の一方端部30aに押圧力720がかかる場合、伝熱部3は、概ね、首501の周方向における接触面30の他方端部30bに近い受部357を支点に回動する。これにより、接触面30の一方端部30aがハウジング2の内部側に向かう方向721(言い換えれば、首501から離れる方向)に移動するように伝熱部3が回動する。その結果、接触面30の向きが変化して、接触面30に対する首501の片当たりが緩和される。接触面30の一方端部30aがハウジング2の内部側に移動することによって、一方端部30aに近い弾性体15がさらに圧縮される。そのため、接触面30が首501側に付勢され、接触面30と首501との密着性が向上する。接触面30の一方端部30aに対して押圧力720がかからなくなると、一方端部30aは方向721とは逆方向に移動して伝熱部3は元の姿勢に戻る。
【0067】
他の例として、首501の周方向における接触面30の他方端部30bに首501が片当たりして、図15に示されるように、当該他方端部30bに押圧力730がかかる場合を考える。この場合、伝熱部3は、接触面30の他方端部30bに対する押圧に応じて回動する。具体的には、接触面30の他方端部30bに押圧力730がかかる場合、伝熱部3は、概ね、接触面30の一方端部30aに近い受部357を支点に回動する。これにより、接触面30の他方端部30bがハウジング2の内部側に向かう方向731(言い換えれば、首501から離れる方向)に移動するように伝熱部3が回動する。その結果、接触面30の向きが変化して、接触面30に対する首501の片当たりが緩和される。接触面30の他方端部30bがハウジング2の内部側に移動することによって、他方端部30bに近い弾性体15がさらに圧縮される。そのため、接触面30が首501側に付勢され、接触面30と首501との密着性が向上する。接触面30の他方端部30bに対して押圧力730がかからなくなると、他方端部30bは方向731とは逆方向に移動して伝熱部3は元の姿勢に戻る。
【0068】
他の例として、首501の長さ方向(言い換えれば高さ方向)における接触面30の一方端部30cに首501が片当たりして、図16に示されるように、当該一方端部30cに押圧力740がかかる場合を考える。図16は、図7の矢視B-Bでの断面構造の一例を示す概略図である。接触面30の一方端部30cに押圧力740がかかる場合、伝熱部3は、接触面30の一方端部30cに対する押圧に応じて回動する。具体的には、伝熱部3は、概ね、2つの受部357を通る軸の回りに回動する。これにより、接触面30の一方端部30cがハウジング2の内部側に向かう方向741に移動するように伝熱部3が回動する。このとき、首501の長さ方向における接触面30の他方端部30dはハウジング2の外側に向かう方向に移動する。このような伝熱部3の回動により、接触面30の向きが変化して、接触面30に対する首501の片当たりが緩和される。接触面30の一方端部30cに対して押圧力740がかからなくなると、一方端部30cは方向741とは逆方向に移動して伝熱部3は元の姿勢に戻る。
【0069】
他の例として、接触面30の他方端部30dに首501が片当たりして、図16に示されるように、当該他方端部30dに押圧力750がかかる場合を考える。この場合、伝熱部3は、接触面30の他方端部30dに対する押圧に応じて回動する。具体的には、接触面30の他方端部30dに押圧力750がかかる場合、伝熱部3は、概ね、2つの受部357を通る軸の回りに回動する。これにより、接触面30の他方端部30dがハウジング2の内部側に向かう方向751に移動するように伝熱部3が回動する。このとき、接触面30の一方端部30cはハウジング2の外側に向かう方向に移動する。このような伝熱部3の回動により、接触面30の向きが変化して、接触面30に対する首501の片当たりが緩和される。接触面30の他方端部30dに対して押圧力750がかからなくなると、他方端部30dは方向751とは逆方向に移動して伝熱部3は元の姿勢に戻る。
【0070】
なお、伝熱装置1では、伝熱部3が必要以上に回動しないように、伝熱部3が一定量回動すると、伝熱部3の保持部35がハウジング2に当たって、伝熱部3がそれ以上回動しないようになっている。
【0071】
このように、伝熱装置1では、伝熱部3が、接触面30に対する押圧に応じて、ハウジング2に対して相対的に可動であることから、接触面30に対する首501の当たり具合を調整することが可能となる。これにより、伝熱部3と首501と間の伝熱効率を向上させることができる。例えば、伝熱部3が伝熱部冷却モードで動作する場合、伝熱部3の首501に対する冷却効率を向上させることができる。また、伝熱部3が伝熱部加熱モードで動作する場合、伝熱部3の首501に対する加熱効率を向上させることができる。
【0072】
また、伝熱部3が、接触面30に対する押圧に応じて回動可能である場合には、接触面30に対する首501の片当たりを緩和することができる。例えば、伝熱部3が、首501の周方向における接触面30の端部に対する押圧に応じて回動する場合には、首501の周方向における接触面30の端部に対して首501が片当たりしたとしても、その片当たりを緩和することができる。また、伝熱部3が、首501の長さ方向における接触面30の端部に対する押圧に応じて回動する場合には、首501の長さ方向における接触面30の端部に対して首501が片当たりしたとしても、その片当たりを緩和することができる。
【0073】
また、伝熱部3とハウジング2との間に弾性体15が設けられる場合には、伝熱部3の接触面30が押圧されたときに弾性体15が圧縮することによって、接触面30を首501側に付勢することが可能となる。これにより、接触面30と首501との間の密着性が向上し、伝熱部3と首501と間の伝熱効率を向上させることができる。
【0074】
なお、伝熱部3が伝熱部加熱モードで動作するとき、制御部11は、ペルチェ素子32で加熱される伝熱板31の温度を制御してもよい。この場合、例えば、伝熱板31の温度を検出するサーミスタが伝熱装置1に設けられる。サーミスタは、例えば、伝熱板31と保持部35の底部350との間に配置されてもよい。伝熱部3が伝熱部加熱モードで動作するとき、制御部11は、サーミスタでの検出温度が所定温度以上とならないように、ペルチェ素子32に流す電流の大きさを制御する。
【0075】
上記の例では、弾性体15は、ばねであったが、他の種類の弾性体であってもよい。例えば、弾性体15はゴムであってもよい。図17は、弾性体15がゴムである様子の一例を示す概略図である。図17は、上述の図9に相当する図である。図17の例では、弾性体15として、例えば円柱状のゴムが採用されている。なお、弾性体15として採用されるゴムの形状はこれに限られない。
【0076】
また、上記の例では、弾性体15の数は2つであったが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。弾性体15の数が1つである場合、弾性体15は、例えば、放熱器33のペルチェ素子32側の面とは反対側の面と、ハウジング2との間に設けられてもよい。あるいは、弾性体15としての比較的大きなゴムが、伝熱部3とハウジング2との間の空間を埋めるように設けられてもよい。
【0077】
また、伝熱装置1は、弾性体15の替わりに、伝熱部3を回動するための回動軸と当該回動軸を受ける受部とを備えてもよい。例えば、伝熱部3が回動軸を有し、ハウジング2が受部を有してもよい。図18はこの場合の伝熱装置1の右部分20Rの対向部分200(つまり、右対向部分200)と、当該対向部分200に取り付けられた右伝熱部3の一例を示す概略図である。図19は、図18に示される右対向部分200から上側部分を取り外した様子の一例を示す概略図である。なお、左対向部分200と、それに取り付けられた左伝熱部3の構成は、図18及び19の構成と同様である。
【0078】
図18及び19の例では、保持部35は、伝熱部3を回動するための一対の回動軸3500を備える(図19参照)。一対の回動軸3500は、例えば柱状であって、首501の周方向の周壁部358の両端部からそれぞれ外側に延びている。一対の回動軸3500は、同一直線上に配置されている。
【0079】
対向部分200は、一対の回動軸3500をそれぞれ受ける一対の受部208を備える。各受部208は、例えば凹部となっており、回動軸3500を回動自在に支持する。受部208は、回動軸3500を支持する支持部ともいえる。受部208は、対向部分200における開口部201の周縁に設けられている。なお、図19では、受部208における首501の高さ方向の片側半分が示されている。
【0080】
図18及び19の例では、伝熱板31は、保持部35に対して、ねじ止めではなく、係合固定されている。伝熱板31の第2主面312には例えば2つの係合爪317(図19参照)が設けられている。図19に示されるように、各係合爪317が、保持部35の周壁部358の開口端面に係合することによって、伝熱板31が保持部35に固定される。なお、上述の図7~16に示される伝熱部3においても、伝熱板31は、保持部35に対して、ねじ止めではなく、係合固定されてもよい。また、図18及び19の例において、伝熱板31は、保持部35に対して、ねじ止めされてもよい。
【0081】
図18及び19の例では、伝熱部3は、回動軸3500の回りに回動可能である。上述の図16の例と同様に、首501の長さ方向における接触面30の一方端部30c(図18参照)に押圧力がかかる場合、一方端部30cがハウジング2の内部側に向かう方向に移動し、かつ、首501の長さ方向における接触面30の他方端部30d(図18参照)がハウジング2の外側に向かう方向に移動するように、伝熱部3は回動軸3500の回りに回動する。また、接触面30の他方端部30dに押圧力がかかる場合、他方端部30dがハウジング2の内部側に向かう方向に移動し、かつ一方端部30cがハウジング2の外側に向かう方向に移動するように、伝熱部3が回動軸3500の周りに回動する。
【0082】
なお、図18及び19の例においても、伝熱部3が必要以上に回動しないように、伝熱部3が回動軸3500の回りに一定量回動すると、伝熱部3の保持部35がハウジング2に当たって、伝熱部3がそれ以上回動しないようになっている。
【0083】
図19の例では、伝熱部3が回動軸を有し、ハウジング2が受部を有しているが、ハウジング2が回動軸を有し、伝熱部3が受部を有してもよい。図20は、この場合の伝熱装置1の構成例を示す概略図である。図20には、図19に示される構造のうち伝熱部3とその周辺の構造に相当する構造が簡素化して示されている。
【0084】
図20の例では、ハウジング2の対向部分200は一対の回動軸209を備える。一対の回動軸209は、例えば柱状であって、対向部分200における開口部201の周縁から開口部201内に延びている。一対の回動軸209は同一直線上に配置されている。伝熱部3の保持部35は、一対の回動軸209をそれぞれ受ける一対の受部3510を備える。各受部3510は、例えば凹部となっており、回動軸209を回動自在に支持する。一対の受部3510は、首501の周方向の周壁部358の両端部にそれぞれ設けられている。伝熱部3は、回動軸209の回りに回動可能である。
【0085】
上記の例では、伝熱部3は、ハウジング2の長手方向に沿って概ね延びる回動軸3500,209の回りに回動可能であったが、首501の長さ方向に沿って延びる回動軸の回りに回動可能であってもよい。図21は、この場合の伝熱装置1の構成例を示す概略図である。図21には、伝熱部3とその周辺の構造を接触面30側から見た様子が簡素化して示されている。図21の上下方向は、首501の長さ方向と一致している。
【0086】
図21の例では、保持部35の周壁部358から延びる一対の回動軸3500が首501の高さ方向に沿って延びている。ハウジング2の対向部分200に設けられた一対の受部208は、首501の高さ方向に沿って並んでいる。
【0087】
図21の例では、首501の周方向における接触面30の一方端部30aに押圧力がかかる場合、一方端部30aがハウジング2の内部側に向かう方向に移動し、かつ首501の周方向における接触面30の他方端部30bがハウジング2の外側に向かう方向に移動するように伝熱部3が回動軸3500の周りに回動する。一方で、他方端部30bに押圧力がかかる場合、他方端部30bがハウジング2の内部側に向かう方向に移動し、かつ一方端部30aがハウジング2の外側に向かう方向に移動するように伝熱部3が回動軸3500の周りに回動する。図21の例でも、伝熱部3が必要以上に回動しないように、伝熱部3が回動軸3500の回りに一定量回動すると、伝熱部3の保持部35がハウジング2に当たって、伝熱部3がそれ以上回動しないようになっている。
【0088】
なお、図21の例においても、図20の例と同様に、首501の長さ方向に沿って延びる回動軸がハウジング2に設けられ、当該回動軸を受ける受部が伝熱部3に設けられてもよい。
【0089】
上記の例では、伝熱部3の数は2つであったが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、伝熱部3は、ハウジング2における首501の真後ろ部分に設けられてもよい。この場合、伝熱部3の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。後者の場合、例えば、ハウジング2における、首501の右側の側面に対向する部分に伝熱部3が設けられ、ハウジング2における、首501の左側の側面に対向する部分に伝熱部3が設けられてもよい。
【0090】
また、熱伝導接合材34による伝熱板31に対するペルチェ素子32の固定が強固である場合には、伝熱部3は保持部35を備えなくてもよい。この場合、回動軸3500あるいは受部3510は、例えば伝熱板31に設けられてもよい。
【0091】
また、伝熱装置1は、吸気口250及び260のどちらか一方を備えなくてもよい。また、伝熱装置1は、排気口270及び280のどちらか一方を備えなくてもよい。また、伝熱装置1は、ファン10と、吸気口250及び260と、排気口270及び280とを備えなくてもよい。また、複数の伝熱部3を備える伝熱装置1では、当該複数の伝熱部3の一部が、ハウジング2に対して相対的に可動でなくてもよい。
【0092】
以上のように、伝熱装置1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0093】
本開示には以下の内容が含まれる。
【0094】
一実施形態において、(1)伝熱装置は、人の首を冷却する冷却機能を有する伝熱装置であって、ハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記首に接触する接触面を有する伝熱部と、前記ハウジングに収容され、前記首を冷却するためのファンとを備え、前記伝熱部は、前記接触面に対する押圧に応じて、前記ハウジングに対して相対的に可動である。
【0095】
(2)上記(1)の伝熱装置において、前記伝熱部は、前記接触面に対する押圧に応じて回動する。
【0096】
(3)上記(2)の伝熱装置において、前記伝熱部は、前記首の周方向における前記接触面の端部に対する押圧に応じて回動する。
【0097】
(4)上記(2)または(3)の伝熱装置において、前記伝熱部は、前記首の長さ方向における前記接触面の端部に対する押圧に応じて回動する。
【0098】
(5)上記(1)から(4)のいずれか一つの伝熱装置において、前記伝熱部と前記ハウジングとの間に位置する弾性体を備える。
【0099】
(6)上記(2)から(5)のいずれか一つの伝熱装置において、前記伝熱部または前記ハウジングの一方は、前記伝熱部が回動するための回動軸を有し、前記伝熱部または前記ハウジングの他方は、前記回動軸を受ける受部を有する。
【0100】
(7)上記(1)から(6)のいずれか一つの伝熱装置において、前記伝熱部は、前記接触面を有する伝熱板と、前記伝熱板の冷却を行うことが可能なペルチェ素子と有する。
【0101】
(8)上記(7)の伝熱装置において、前記伝熱部は、前記伝熱板及び前記ペルチェ素子を保持する保持部を有する。
【0102】
(9)上記(1)から(7)のいずれか一つの伝熱装置において、前記冷却機能と、前記首を加熱する加熱機能とを備える。
【符号の説明】
【0103】
1 伝熱装置
2 ハウジング
3 伝熱部
10 ファン
15 弾性体
30 接触面
31 伝熱板
32 ペルチェ素子
35 保持部
208,3510 受部
209,3500 回動軸
図1
図2
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