(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060644
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240425BHJP
B60J 1/02 20060101ALI20240425BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240425BHJP
【FI】
G02B27/01
B60J1/02 M
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168028
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】水落 正彦
(72)【発明者】
【氏名】長崎 拓真
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA15
2H199DA29
2H199DA33
2H199DA41
2H199DA46
3D344AA01
3D344AA03
3D344AA19
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成を実現することができる表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、光源75aからの光を透過し、Z方向に沿って並べられる複数のレンズ71~73と、複数のレンズ71~73をZ方向に沿う両外側から挟持する挟持部60c,92を有するレンズホルダ90及び下ケース部60aと、を備える。複数のレンズ71~73は、それぞれレンズ71~73の外周側に位置し、Z方向に沿って延び、挟持部60c,92の間で挟持されるようにZ方向に沿って一直線上に積み重なるように並ぶ複数の突出部71c~73c,71d~73dを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を透過し、前記光の進行方向に沿って並べられる複数のレンズと、
前記複数のレンズを前記進行方向に沿う両外側から挟持するレンズ挟持部を有する第1ケース部及び第2ケース部と、を備え、
前記複数のレンズは、それぞれ前記レンズの外周側に位置し、前記進行方向に沿って延び、前記レンズ挟持部の間で挟持されるように前記進行方向に沿って一直線上に積み重なるように並ぶ複数の積み重ね部を備える、
表示装置。
【請求項2】
前記各レンズ及び前記第2ケース部には、それぞれ、前記進行方向に沿って一直線上に並んだ位置決めジグ挿通用孔が形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の積み重ね部のうち第1積み重ね部及び第2積み重ね部が互いに接触する接触部の周囲を囲むリング部材を備える、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数のレンズの何れか一つのコリメートレンズは、前記複数のレンズのうち最も前記光源に近い位置に設けられ、
前記コリメートレンズの前記積み重ね部は、前記コリメートレンズ以外の前記レンズの前記積み重ね部よりも前記進行方向に沿う長さが長く形成されている、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の表示装置を備えるヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の表示装置は、一対の板バネが第1レンズ及び第2レンズを互いに離間する方向に付勢することによりレンズ群を保持していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、板バネが必要となるため、構成が複雑となっていた。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、より簡易な構成を実現することができる表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る表示装置は、光源からの光を透過し、前記光の進行方向に沿って並べられる複数のレンズと、前記複数のレンズを前記進行方向に沿う両外側から挟持するレンズ挟持部を有する第1ケース部及び第2ケース部と、を備え、前記複数のレンズは、それぞれ前記レンズの外周側に位置し、前記進行方向に沿って延び、前記レンズ挟持部の間で挟持されるように前記進行方向に沿って一直線上に積み重なるように並ぶ複数の積み重ね部を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、前記表示装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置において、より簡易な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す概略図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る照明装置の一部の断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る照明装置の一部の断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る下ケース部、ジグ、光源基板及び第1~第3レンズの分解斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る下ケース部、ジグ、光源基板及び第1~第3レンズの斜視図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係るベース基板の正面図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係るジグ、光源基板、第1レンズ及びベース基板の斜視図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係るレンズホルダの斜視図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係る第1レンズの正面図である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る第2レンズの正面図である。
【
図14】本開示の一実施形態に係る第3レンズの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置されている。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200の被投射部材の一例であるウインドシールド201に向けて像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはウインドシールド201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置100は、ウインドシールド201を介して見える実景に重畳するように表示面Aに虚像Vを表示する。
【0011】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10と、折り返しミラー20と、凹面ミラー30と、鏡駆動機構35と、ブラインドカバー65と、筐体60と、を備える。
【0012】
筐体60は、非透光性樹脂材料又は金属材料で形成されるとともに、中空の略直方体をなす。筐体60は、下ケース部60aと、上ケース部60bと、を備える。表示装置10は、照明装置70と、表示ユニット80と、を備える。
下ケース部60aは、上側に開口した有底箱状をなす。下ケース部60a内には、表示装置10、折り返しミラー20、凹面ミラー30、鏡駆動機構35及びブラインドカバー65が収容されている。ブラインドカバー65は、折り返しミラー20と凹面ミラー30の間の表示光Lの光路空間から表示装置10を隠すために設けられる。
【0013】
図6及び
図7に示すように、下ケース部60aは、下ケース部60aの内底面に形成される複数の挟持部60cを備える。各挟持部60cは、円板状に形成されている。各挟持部60cは、後述するレンズホルダ90との間で後述する各レンズ71~73を挟み込むことで各レンズ71~73を保持する。複数、本例では4つの挟持部60cは、後述する光源基板75の裏面の各角部に対応して設けられている。
また、
図7に示すように、下ケース部60aの内底面には、複数のジグ挿通用孔60dが形成されている。各ジグ挿通用孔60dには、位置決め用のジグ60jが挿通可能に形成されている。
【0014】
図2に示すように、上ケース部60bは、下ケース部60aの開口部を塞ぐ蓋体として機能する。上ケース部60bには、ウインドシールド201(
図1参照)に対向する位置に開口部61aが形成されている。上ケース部60bは、開口部61aを塞ぐ湾曲板状の窓部50を備える。窓部50は、表示光Lが通過するアクリル等の透光性樹脂材料からなる。
【0015】
図2に示すように、折り返しミラー20は、例えば、凹面鏡として構成され、表示装置10が出射した表示光Lを凹面ミラー30に向けて反射させる。
なお、折り返しミラー20は、平面鏡として構成されていてもよい。
【0016】
凹面ミラー30は、折り返しミラー20で反射した表示光Lをウインドシールド201に向けて拡大させつつ反射させる。
鏡駆動機構35は、凹面ミラー30を、車幅方向に沿って延びる回転軸Jを中心に回転可能に構成される。凹面ミラー30が回転軸Jを中心に回転することにより、視認者に対する表示光Lの照射位置が高さ方向に調整される。
【0017】
図2に示すように、表示ユニット80は、図示しない制御部による制御のもと、照明装置70からの照明光を受けて表示光Lを出射する。表示ユニット80は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示パネルを備える。
【0018】
図3及び
図6に示すように、照明装置70は、第1レンズ71と、第2レンズ72と、第3レンズ73と、複数の光源75aと、光源基板75と、レンズホルダ90と、リング部材95~98と、を備える。
以下の説明では、光源75aからの光が進む方向がZ方向と規定され、各レンズ71~73の長手方向がX方向と規定され、各レンズ71~73の短手方向がY方向と規定される。光源基板75及び各レンズ71~73は、Z方向に並べられている。
【0019】
光源基板75は、X方向に長い長方形板状をなす。各光源75aは、LED(Light Emitting Diode)からなり、光源基板75における第1レンズ71に対向する実装面に並べられている。本例では、複数の光源75aは、Y方向に3個、X方向に10個のマトリクス状に配置されている。
図7に示すように、光源基板75は、後述するジグ挿通用孔71h~73hにZ方向に重なる位置に複数、本例では3つのジグ挿通用孔75hが形成されている。
【0020】
図3に示すように、第1レンズ71は、複数の光源75aからの光を平行化するコリメートレンズであり、透明光学樹脂又は光学ガラスにより長方形板状に形成されている。第1レンズ71は、複数のレンズ部71aと、フランジ部71bと、それぞれ複数の突出部71c,71dと、を備える。
【0021】
複数のレンズ部71aは、マトリクス状に配列される複数の凸レンズであり、光を平行化する機能を有する。複数のレンズ部71aは、第1レンズ71の第2レンズ72側に対向する面に配置され、それぞれ第2レンズ72に向けて凸状に形成されている。
【0022】
図12に示すように、フランジ部71bは、第1レンズ71の外周側に位置し、長方形の枠板状に形成されている。フランジ部71bには、複数、本例では3つのジグ挿通用孔71hが形成されている。各ジグ挿通用孔71hは、フランジ部71bの外周側に開口したU字穴状をなす。3つのうち2つのジグ挿通用孔71hは、フランジ部71bのY方向に延びる2つの辺部それぞれのY方向の中央に設けられている。残りの1つのジグ挿通用孔71hは、フランジ部71bのX方向に延びる2つの辺部の一方(
図12の下側の辺部)のX方向の中央に設けられる。
【0023】
図3に示すように、突出部71c,71dは、フランジ部71bの各角部に配置され、フランジ部71bからZ方向の両側に延びる。
図4に示すように、突出部71dは、突出部71cと同一の軸Ax上に位置し、フランジ部71bの第2レンズ72側の面に設けられている。突出部71dは、第2レンズ72に向かって延びる円柱状、本例では、第2レンズ72に向かうにつれて径が小さくなる円錐台状に形成されている。
図6に示すように、突出部71dの軸Axに沿う方向の長さは、突出部71cの同方向の長さよりも長く形成されている。また、突出部71dの長さは、後述する各突出部72c,72d,73c,73dよりも長い。本例では、突出部71dの長さは、突出部72c,72d,73c,73dの長さを全て足し合わせた長さよりも長く、具体的には、この足し合わせた長さの2倍程度の長さである。
【0024】
図5に示すように、突出部71dは、突出部71dの本体部の先端面71fに形成される接触部71eを備える。接触部71eは、先端面71fの外径よりも小さい径の略半球状をなし、先端面71fの中央に位置する。接触部71eの頂点付近の面は、第2レンズ72の後述する突出部72cに接触している。
【0025】
図6に示すように、突出部71cは、フランジ部71bの光源基板75側の面に設けられている。突出部71cは、光源基板75に向かって延びる円柱状、本例では、光源基板75に向かうにつれて径が小さくなる円錐台状に形成されている。突出部71cは、突出部71cの本体部の下端面に接触部71eと同様の接触部71gを備える。接触部71gの頂点付近の面は、光源基板75の実装面に接触する。
【0026】
図4及び
図13に示すように、第2レンズ72は、微細な半円筒が並べられたレンチキュラレンズであり、透明光学樹脂又は光学ガラスにより長方形板状に形成される。第2レンズ72は、レンズ部72aと、レンズ部72aの周囲に形成されるフランジ部72bと、それぞれ複数の突出部72c,72dと、を備える。
【0027】
図13に示すように、フランジ部72bは、第2レンズ72の外周側に位置し、長方形の枠板状に形成されている。フランジ部72bには、複数、本例では3つのジグ挿通用孔72hが形成されている。各ジグ挿通用孔72hは、フランジ部72bの外周側に開口したU字穴状をなす。各ジグ挿通用孔72hは、上述した各ジグ挿通用孔71hにZ方向に対向して位置する。
【0028】
レンズ部72aは、第2レンズ72の両面にX方向に延びてY方向に半円筒状が並ぶように形成される。レンズ部72aは、第1レンズ71を経た光を表示ユニット80に合わせてY方向に拡散する機能を有する。
【0029】
図4に示すように、突出部72c,72dは、フランジ部72bの各角部に配置され、フランジ部72bからZ方向の両側に延びる。
図5に示すように、突出部72cは、フランジ部72bの第1レンズ71側の面に設けられている。突出部72cは、第1レンズ71に向かって延びる円柱状、本例では、第1レンズ71に向かうにつれて径が小さくなる円錐台状に形成されている。
【0030】
突出部72dは、突出部72cと同一の軸Ax上に位置し、フランジ部72bの第3レンズ73側の面に設けられている。突出部72dは、円板状に形成されている。突出部72dの軸Axに沿う方向の長さは、突出部72cの同方向の長さよりも短く形成されている。
【0031】
図5及び
図14に示すように、第3レンズ73は、透明光学樹脂または光学ガラスにより長方形板状に形成されている。第3レンズ73は、レンズ部73aと、レンズ部73aの周囲に形成されるフランジ部73bと、それぞれ複数の突出部72c,72dと、を備える。
【0032】
図14に示すように、フランジ部73bは、第3レンズ73の外周側に位置し、長方形の枠板状に形成されている。各ジグ挿通用孔73hは、フランジ部73bの外周側に開口したU字穴状をなす。各ジグ挿通用孔73hは、上述した各ジグ挿通用孔71hにZ方向に対向して位置する。
【0033】
第3レンズ73における第2レンズ72に対向する面は微細な半円筒が並べられたレンチキュラレンズ状に形成され、第3レンズ73における表示ユニット80に対向する面は表示ユニット80の液晶表示パネルに合わせて光線を拡散するための凹トロイダル状に形成されている。
【0034】
突出部73c,73dは、フランジ部73bの各角部に配置され、フランジ部73bからZ方向の両側に延びる。
図5に示すように、突出部73cは、フランジ部73bの第2レンズ72側の面に設けられている。突出部73cは、円板部と、円板部の下面73fの中央に位置する略半球状の接触部73eを備える。接触部73eの頂点付近の面は、第2レンズ72の突出部72dの上面に接触している。
【0035】
突出部73dは、突出部73cと同一の軸Ax上に位置し、フランジ部73bの両面のうちレンズホルダ90の後述する挟持部92側の面に設けられている。突出部73dは、円板状、本例では、挟持部92に向かうにつれて径が小さくなる円板状で形成されている。突出部73dの軸Axに沿う方向の長さは、突出部73cの同方向の長さよりも短く形成されている。
【0036】
図3及び
図4に示すように、レンズホルダ90は、遮光性樹脂又は遮光性金属により形成されている。レンズホルダ90は、枠部91と、挟持部92と、一対の側壁部93と、を備える。
枠部91は、第3レンズ73の光出射面側に位置し、第3レンズ73の光出射面の外周側に位置する。枠部91は、X方向に長い長方形の枠状をなす。
図11に示すように、枠部91には、上述した各ジグ挿通用孔71h,72h,73h,75hにZ方向に対向して位置する各ジグ挿通用孔91hが形成されている。
図11に示すように、枠部91は、枠部91の外周側に位置するネジ止め部91aを備える。ネジ止め部91aは、枠部91のX方向の中央に位置し、Y方向の外側に延びる。ネジ止め部91aは、下ケース部60aの内面の被固定部60e(
図8参照)に接触した状態でネジ(図示略)により固定される。
【0037】
一対の側壁部93は、枠部91のX方向の両端部に位置し、枠部91に直交する方向に延びる。一対の側壁部93は、各レンズ71~73をX方向から挟み込む位置に設けられている。各側壁部93は、各側壁部93の下端に位置するネジ止め部93aを備える。ネジ止め部93aは、側壁部93に直交するように、X方向の外側に向けて延びる。ネジ止め部93aは、下ケース部60aの内面の被固定部60f(
図8参照)に接触した状態でネジ(図示略)により固定される。
【0038】
図11に示すように、複数の挟持部92は、枠部91の内側の面(第3レンズ73の光出射面に対向する面)の各角部に1つずつ設けられている。
図5に示すように、各挟持部92は、突出部73dの上面に頂点付近が接触する半球状に形成されている。
【0039】
図5に示すように、リング部材97は、接触部73eの周囲を囲み、Z方向に貫通する円筒状をなす。リング部材97の上端は、突出部73cの下面73fに接触する。リング部材97の下端は、突出部72dの上面に接触する。リング部材97は、弾性部材であり、突出部73cの下面73fと突出部72dの上面の間で圧縮されている。リング部材97は、突出部73cの下面73fに接触する面と突出部72dの上面に接触する面に接着層を有する両面テープにより形成されている。よって、リング部材97は、軸Axを中心に、第2レンズ72の突出部72dと第3レンズ73の突出部73cを接着する。また、リング部材97は、接触部73eの周囲を囲むため、振動下で、接触部73eと突出部72dの上面の摩擦により粉が出たとしても、外部に噴出することを抑制する。
【0040】
図6に示すように、リング部材97以外のリング部材95,96,98も、リング部材97と同様に構成される。リング部材95は、接触部71gの周囲を囲み、突出部71cの下端部と光源基板75の実装面の間に位置する。リング部材96は、接触部71eの周囲を囲み、突出部71dの上端部と突出部72cの下端部の間に位置する。リング部材98は、挟持部92の周囲を囲み、突出部73dの上面とレンズホルダ90の挟持部92の周囲の間に位置する。
リング部材95~98により、各接触部71e,71g,73e及び挟持部92付近から粉が外に出ることが抑制されるとともに、突出部71c~73c,71d~73dが軸Ax上に一直線状に積み重なった状態が確実に保持される。
【0041】
次に、照明装置70の組み立て方法について説明する。この組み立て作業は、作業者によって行われるが、これに限らず、ロボットにより行われてもよい。
まず、
図7に示すように、下ケース部60aの各ジグ挿通用孔60dに、位置決め用のジグ60jが下ケース部60aの外側から挿通される。各ジグ60jは、軸Axに沿って延びる円柱状をなし、共通の基台8k(
図10参照)に固定されている。そして、
図8に示すように、各ジグ60jにジグ挿通用孔71h~73h,75hを挿通させることにより、光源基板75→第1レンズ71→第2レンズ72→第3レンズ73の順番で下ケース部60a内に挿入される。これにより、各レンズ71~73の突出部71c~73c,71d~73dが軸Ax上に一直線状に積み重ねられる。
【0042】
図9に示すように、リング部材95~98を装着するために、ベース基板8が用いられる。ベース基板8は、台紙により形成され、ジグ挿通用孔71h~73h,75hに対応する位置にジグ挿通用孔8hが形成されている。ベース基板8の一方の面の各角部にリング部材95~98の何れか一つが接着されている。ベース基板8は、接着したリング部材95が剥離容易となるように油性材料で形成されている。
【0043】
次に、
図10を参照しつつ、ベース基板8を利用してリング部材96を装着する場合について説明する。
光源基板75及び第1レンズ71が各ジグ60jに沿って下ケース部60aに挿入された後、4つのリング部材96を接着させたベース基板8を、各ジグ60jにベース基板8のジグ挿通用孔8hを挿通させつつ、各ジグ60jに沿って下ケース部60aに挿入される。これにより、第1レンズ71の接触部71eの周囲に、ベース基板8のリング部材96が接着される。そして、ベース基板8を各ジグ60jから取り外すことにより、ベース基板8からリング部材96が剥離するため、リング部材96が第1レンズ71の各突出部71dの上端に貼り付けられる。
【0044】
次に、第2レンズ72を各ジグ60jに沿って第1レンズ71に積み重ねることにより、第2レンズ72の突出部72cがリング部材96に接着する。これにより、リング部材96によって、第2レンズ72が第1レンズ71に対して固定される。
他のリング部材95,97,98も、リング部材96と同様に、ベース基板8を利用して装着される。
光源基板75、第1レンズ71、第2レンズ72及び第3レンズ73が下ケース部60a内に装着された後、同様に、各ジグ60jにレンズホルダ90のジグ挿通用孔91hを挿通させることにより、レンズホルダ90が下ケース部60aに装着される。そして、レンズホルダ90のネジ止め部91a,93aが下ケース部60aの被固定部60e,60fにネジ止めされることにより、下ケース部60aへの照明装置70の取り付けが完了となる。上述のように、ジグ60jを用いることにより、X方向とY方向に位置精度高く照明装置70の組み立てを行うことができる。
【0045】
図6に示すように、照明装置70では、各レンズ71~73それぞれの突出部71c~73c,71d~73dが軸Ax上に一直線状に積み重なるように並べられる。積み重なる突出部71c~73c,71d~73dは、レンズホルダ90の挟持部92と下ケース部60aの挟持部60cの間にZ方向(軸Axに沿う方向)から挟持されている。このとき、互いに接触する突出部71c~73c,71d~73dの間には力が作用しており、これにより、突出部71c~73c,71d~73dが保持される。
【0046】
図6に示すように、第1レンズ71は、第2レンズ72側に複数のレンズ部71aを有しているため、第1レンズ71と第2レンズ72の間には距離を空ける必要がある。光源75aの照射範囲75hは、光源75aからZ方向に離れるにつれて光断面の面積が広くなる。よって、第1レンズ71の根元部分は、照射範囲75hが到達しないスペースが存在している。このため、突出部71dの光源75a側の根元部を大径に形成することが可能となり、突出部71dを、他の突出部72c,72d,73c,73dよりも長く形成することが可能となる。
【0047】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)表示装置10は、光源75aからの光を透過し、光の進行方向の一例であるZ方向に沿って並べられる複数のレンズ71~73と、複数のレンズ71~73をZ方向に沿う両外側から挟持するレンズ挟持部の一例である挟持部60c,92を有する第1ケース部の一例であるレンズホルダ90及び第2ケース部の一例である下ケース部60aと、を備える。複数のレンズ71~73は、それぞれレンズ71~73の外周縁部であるフランジ部71b~73bに位置し、Z方向に沿って延び、挟持部60c,92の間で挟持されるようにZ方向に沿って一直線上に積み重なるように並ぶ複数の積み重ね部の一例である突出部71c~73c,71d~73dを備える。
この構成によれば、レンズホルダ90及び下ケース部60aの挟持部60c,92により複数のレンズ71~73が固定される。このように、レンズ71~73の固定に板バネが用いられないため、より簡易な構成を実現することができる。
また、板バネが用いられないため、レンズ71~73が粉を吹くことを抑制することができる。
さらに、板バネは製造が難しく、また、レンズに付勢する付勢力を製品毎に安定させることが困難であるが、上記構成によれば、安定的にレンズ71~73を固定することができる。
【0048】
(2)各レンズ71~73及び下ケース部60aには、それぞれ、Z方向に沿って一直線上に並んだ位置決めのジグ挿通用孔71h~73h,60dが形成されている。
この構成によれば、表示装置10の組み立て時に、ジグ挿通用孔71h~73h,60dに各ジグ60jが挿通されることにより、位置決めピンを下ケース部60aに形成することなく、各レンズ71~73を下ケース部60aに位置決めすることができる。
【0049】
(3)表示装置10は、第1積み重ね部の一例である突出部71d及び第2積み重ね部の一例である突出部72cが互いに接触する接触部の周囲を囲むリング部材96を備える。
この構成によれば、リング部材96により、突出部71dと突出部72cの接触により吹く粉が外部に出ることが抑制される。
【0050】
(4)複数のレンズ71~73の何れか一つのコリメートレンズである第1レンズ71は、複数のレンズ71~73のうち最も光源75aに近い位置に設けられている。第1レンズ71の突出部71dは、第1レンズ71以外の各レンズ72,73の突出部72c,72d,73c,73dよりもZ方向に沿う長さが長く形成されている。
この構成によれば、第1レンズ71の根元部分は、照射範囲75hが到達しないスペースが存在するため、突出部71dを、他の突出部72c,72d,73c,73dよりも長く形成することが可能となる。
【0051】
(5)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10を備える。
この構成によれば、レンズ71~73が粉を吹くことを抑制することができる。このため、粉により、ヘッドアップディスプレイ装置100が表示する虚像Vの表示品位が低下することが抑制される。
また、近年、虚像Vの画角の拡大に伴い、表示装置10の部品も大型化して、レンズ71~73の保持が難しくなっているが、表示装置10では、挟持部60c,92により突出部71c~73c,71d~73dが挟持されることにより、レンズ71~73を確実に保持することができる。
【0052】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0053】
(変形例)
上記実施形態においては、表示装置10は、3つのレンズ71~73を備えていたが、3つのレンズ71~73のうち何れか一つを省略してもよい。また、3つのレンズ71~73以外のレンズを備えていてもよい。
また、各レンズ71~73の機能、形状、配置は適宜変更可能である。
【0054】
上記実施形態においては、下ケース部60aの挟持部60cとレンズホルダ90の挟持部92の間に、積み重なる突出部71c~73c,71d~73dが挟持されていたが、下ケース部60aに限らず、ヒートシンクの挟持部とレンズホルダ90の挟持部92の間に積み重なる突出部71c~73c,71d~73dが挟持されていてもよい。このヒートシンクは、光源基板75からの発熱を外部に放熱する。この場合、ヒートシンクは、第2ケース部の一例である。
【0055】
上記実施形態においては、ジグ挿通用孔71h~73hはU字穴状に形成されていたが、円形の貫通孔として形成されてもよい。ジグ挿通用孔71h~73h,75hは省略されてもよい。
【0056】
上記実施形態においては、リング部材95~98は接着機能を有していたが、接着機能を有していなくてもよい。リング部材95~98のうち少なくとも何れか1つ以上は省略されてもよい。また、リング部材95~98の全てが省略されてもよい。
さらに、リング部材95~98に代えて接着剤が用いられていてもよい。
【0057】
上記実施形態においては、各接触部71e,71g,73e及び挟持部92が嵌まる凹部が形成されてもよい。
接触部71eは、突出部72cに設けられてもよく、同様に、接触部73eは、突出部72dに設けられてもよく、挟持部92は、突出部73dに設けられてもよい。
また、各接触部71e,71g,73e及び挟持部92は省略されてもよい。
上記実施形態における鏡駆動機構35は省略されてもよい。また、上記実施形態におけるブラインドカバー65は省略されてもよい。
各突出部71c~73c,71d~73dの長さは、適宜変更可能である。
また、突出部71c~73c,71d~73dの何れかが省略されてもよい。例えば、突出部72cが省略され、第1レンズ71の突出部71dがフランジ部72bに直接に接触していてもよい。
【0058】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は表示光Lを被投射部材の一例であるウインドシールド201に投射していたが、被投射部材はこれに限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【0059】
上記実施形態においては、表示装置10はヘッドアップディスプレイ装置100に適用されていたが、ヘッドアップディスプレイ装置100以外に適用されてもよい。例えば、表示装置10は、直視型の表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 視認者
8 ベース基板
8h,60d,71h~73h,75h,91h ジグ挿通用孔
8k 基台
10 表示装置
20 折り返しミラー
30 凹面ミラー
35 鏡駆動機構
50 窓部
60 筐体
60a 下ケース部
60b 上ケース部
60c,92 挟持部
60j ジグ
61a 開口部
65 ブラインドカバー
70 照明装置
60e,60f 被固定部
71 第1レンズ
72 第2レンズ
73 第3レンズ
71a,72a,73a レンズ部
71b~73b フランジ部
71c~73c,71d~73d 突出部
71e,71g,73e 接触部
71f 先端面
73f 下面
75 光源基板
75a 光源
75h 照射範囲
80 表示ユニット
90 レンズホルダ
91 枠部
91a,93a ネジ止め部
93 側壁部
95~98 リング部材
100 ヘッドアップディスプレイ装置
200 車両
201 ウインドシールド
A 表示面
J 回転軸
L 表示光
V 虚像
Ax 軸