(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060645
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20240425BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240425BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B27/01
H05K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168029
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】水落 正彦
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
5E348
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA29
2H199DA33
2H199DA42
2H199DA46
3D344AA08
3D344AB01
3D344AC25
5E348AA02
5E348AA03
5E348AA12
5E348AA32
(57)【要約】
【課題】回路基板の変形を抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を放射する表示装置と、第1面81a、及び第1面81aとは反対側の第2面81bを有する回路基板80と、回路基板80の第2面81b側に位置するホルダ70と、表示装置、回路基板80及びホルダ70を収容するケースと、を備える。回路基板80は、第1面81a上に位置し、第1面81aに交わる方向から外部の接続端子88が挿入されるコネクタ85を備える。ホルダ70は、第2面81bのうちコネクタ85に対応する箇所を支持する基板支持部75を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を放射する表示部と、
第1面、及び前記第1面とは反対側の第2面を有する回路基板と、
前記回路基板の前記第2面側に位置するホルダと、
前記表示部、前記回路基板及び前記ホルダを収容するケースと、を備え、
前記回路基板は、前記第1面上に位置し、前記第1面に交わる方向から外部の接続端子が挿入されるコネクタを備え、
前記ホルダは、前記第2面のうち前記コネクタに対応する箇所を支持する支持部を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ケース、前記回路基板及び前記ホルダは、前記回路基板及び前記ホルダを前記ケースに固定するためにネジが嵌合し、前記ネジのネジ軸方向に沿って一連で形成されるネジ穴部を備え、
前記ホルダは、前記ケースに形成される穴部に嵌まる位置決めピンを備え、
前記ネジ軸方向及び前記位置決めピンは、互いに平行であり、前記回路基板の前記第1面又は前記第2面に非垂直に交わる方向に延びる、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ケースに収容され、前記表示光を反射するミラーと、
前記ケース内に位置する前記表示部、前記回路基板及び前記ホルダを、前記ミラーにて反射した前記表示光が進行する光路空間から覆い隠すように、前記ケース内に設置されるブラインドカバーと、を備え、
前記ホルダは、前記ブラインドカバーと前記回路基板の間に挟まれて位置する、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、ハウジング内に設けられる回路基板を備え、この回路基板には、フレキシブル配線板の一端側が装着されるコネクタが搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、コネクタにフレキシブル配線板の一端側を挿入する際に、挿入圧が外力として回路基板に加わり、回路基板が変形するおそれがある。例えば、挿入圧が回路基板の面垂直方向に加わる構成では、特に、回路基板が変形しやすい。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、回路基板の変形を抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を放射する表示部と、第1面、及び前記第1面とは反対側の第2面を有する回路基板と、前記回路基板の前記第2面側に位置するホルダと、前記表示部、前記回路基板及び前記ホルダを収容するケースと、を備え、前記回路基板は、前記第1面上に位置し、前記第1面に交わる方向から外部の接続端子が挿入されるコネクタを備え、前記ホルダは、前記第2面のうち前記コネクタに対応する箇所を支持する支持部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヘッドアップディスプレイ装置において、回路基板の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係るブラインドカバー、回路基板及びホルダ等の分解斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る回路基板及びホルダの斜視図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るホルダの斜視図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る下ケース部、ブラインドカバー、回路基板及びホルダの断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る下ケース部、ブラインドカバー、回路基板及びホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置されている。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200の被投射部材の一例であるウインドシールド201に向けて像を表す表示光Lを放射する。表示光Lはウインドシールド201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置100は、ウインドシールド201を介して見える実風景に重畳するように表示面Aに虚像Vを表示する。
【0010】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10と、折り返しミラー20と、ミラーホルダ25と、凹面ミラー30と、ミラー駆動機構35と、ブラインドカバー65と、ケース60と、
図3に示すように、回路基板80と、ホルダ70と、パッキン89と、を備える。
【0011】
図2に示すように、ケース60は、非透光性樹脂材料により形成されるとともに、中空の略直方体をなす。ケース60は、下ケース部60aと、上ケース部60bと、を備える。
下ケース部60aは、上側に開口した有底箱状をなす。下ケース部60a内には、表示装置10、凹面ミラー30、折り返しミラー20、ミラーホルダ25、ミラー駆動機構35及びブラインドカバー65が収容されている。
【0012】
図3に示すように、下ケース部60aは、下ケース部60aの内底面に形成される表示部収容部60d及び基板収容部60eを備える。表示部収容部60d及び基板収容部60eは、車幅方向に沿うX方向に並べられる。表示部収容部60dには表示装置10(
図2参照)が収容される。基板収容部60eには回路基板80が収容される。
【0013】
図3に示すように、基板収容部60eは、車両前後方向に沿うZ方向に対して傾斜する傾斜方向Dに沿って形成され、傾斜方向Dに沿う向きに回路基板80を保持する。傾斜方向Dは、車両後方に向かうにつれてY方向(高さ方向)に高くなるように傾斜する。
【0014】
基板収容部60eは、コネクタ通過孔部60hと、複数のネジ穴部60cと、複数のピン受け部60uと、を備える。
コネクタ通過孔部60hは、下ケース部60aの内底面に形成される貫通孔を有し、この貫通孔内に後述するコネクタ85が位置する。コネクタ通過孔部60hは、基板収容部60eの下部に位置する。
【0015】
複数、本例では4つのネジ穴部60cは、基板収容部60eの外周側に配置されている。
図8に示すように、各ネジ穴部60cは、下ケース部60aの内底面に位置し、Y方向に延びる円柱状に形成されている。各ネジ穴部60cの上端面は、傾斜方向Dに沿うように傾斜して形成されている。各ネジ穴部60cの上端面には、ネジ78が螺合可能なネジ切り穴がY方向に沿うように形成されている。
【0016】
図3に示すように、複数、本例では2つのピン受け部60uは、4つのネジ穴部60cのうち対角線上に位置する2つのネジ穴部60cの近傍、本例では、2つのネジ穴部60cの傾斜方向Dの両外側に配置されている。ピン受け部60uには、後述する位置決めピン72p(
図4参照)が嵌合する。
【0017】
図2に示すように、上ケース部60bは、下ケース部60aの開口部を塞ぐ蓋体として機能する。上ケース部60bには、ウインドシールド201(
図1参照)に対向する位置に開口部61aが形成されている。上ケース部60bは、開口部61aを塞ぐ湾曲板状の窓部50を備える。窓部50は、表示光Lが通過するアクリル等の透光性樹脂材料からなる。
【0018】
図3及び
図6に示すように、ブラインドカバー65は、折り返しミラー20と凹面ミラー30の間で表示光Lが進む光路空間Spから表示装置10、回路基板80及びホルダ70を覆い隠すために設けられている。ブラインドカバー65は、迷光対策として設けられている。ブラインドカバー65は、遮光性の金属板材からなる。ブラインドカバー65を金属製とすることにより、樹脂製とする場合に比べて、耐熱性を上げることができる。ブラインドカバー65は、X方向に長い長方形板状をなし、傾斜方向Dに沿う向きに設けられる。
【0019】
図2に示すように、折り返しミラー20は、例えば、凹面鏡として構成され、表示装置10が放射した表示光Lを凹面ミラー30に向けて反射させる。折り返しミラー20は、凹面鏡であるため、凹面ミラー30との間で表示光Lがクロスする交点を形成する。
なお、折り返しミラー20は、平面鏡として構成されていてもよい。
【0020】
ミラーホルダ25は、折り返しミラー20を保持した状態で、下ケース部60aの側壁上端部に取り付けられる。
図3に示すように、ミラーホルダ25は、保持部25aと、接着部25bと、表示光通過部25cと、を備える。保持部25aは、折り返しミラー20の反射面の外周側を覆う枠状をなす。表示光通過部25cは、折り返しミラー20で反射した表示光Lが通過する開口部である。接着部25bは、表示光通過部25cの下部に位置し、X方向に長い長方形板状をなし、傾斜方向Dに沿う向きに設けられる。接着部25bの上面は、ブラインドカバー65の裏面(回路基板80及びホルダ70に対向する面)の上部に複数の接着材79dを介して接着されている。接着材79dは、両面テープ又は接着剤である。
【0021】
図2に示すように、凹面ミラー30は、折り返しミラー20で反射した表示光Lをウインドシールド201(
図1参照)に向けて拡大させつつ反射させる。
ミラー駆動機構35は、凹面ミラー30を、車幅方向に沿って延びる回転軸Jを中心に回転可能に構成されている。凹面ミラー30が回転軸Jを中心に回転することにより、視認者に対する表示光Lの照射位置が高さ方向に調整される。
【0022】
図2に示すように、表示装置10は、回路基板80に実装される制御素子による制御のもと、表示光Lを放射する。表示装置10は、照明装置11と、表示パネル15と、を備える。
表示パネル15は、照明装置11からの照明光を受けて表示光Lを放射する。表示パネル15は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示パネルを備える。
照明装置11は、複数のLED(Light Emitting Diode)と、各LEDからの照明光を調整して表示パネル15に放射するレンズ群と、を備える。
なお、表示装置10は、これに限らず、有機EL(Electro-Luminescence)パネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、又はDMD(Digital Micro mirror Device)素子を用いたものであってもよい。
【0023】
図4に示すように、回路基板80は、基板本体部81と、コネクタ85と、を備える。基板本体部81は、プリント基板であり、表示装置10及びミラー駆動機構35を制御する素子が実装され、フレキシブル配線板(図示略)を介して表示装置10及びミラー駆動機構35に電気的に接続されている。
基板本体部81は、2つの長方形が連結された略L字の板状をなす。
図3に示すように、基板本体部81は、各ネジ穴部60cの上面に設置されることにより、傾斜方向Dに沿う向きに設けられる。基板本体部81には、基板本体部81の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔81hが形成されている。各貫通孔81hは、円形をなし、ネジ78(
図8参照)の軸部が挿入されている。貫通孔81hは、ネジ穴部60cのネジ切り穴にY方向に連続して位置する。
【0024】
図6に示すように、基板本体部81は、第1面81aと、第2面81bと、を備える。第1面81aは、下ケース部60aの内底面を向く面である。第2面81bは、第1面81aの裏面であり、第1面81aと平行をなし、ホルダ70側を向く面である。
コネクタ85は、基板本体部81の第1面81aの下部に位置する。コネクタ85は、コネクタ通過孔部60h内に位置する。コネクタ85は、下ケース部60aの外部に露出している。コネクタ85には、フレキシブル配線板(図示略)の接続端子88が下ケース部60aの外部から接続可能である。フレキシブル配線板の接続端子88とは反対側の接続端子は、図示しない車両ECU(Electronic Control Unit)に接続されている。コネクタ85は、車両ECUとの間で情報を送受信するターミナルである。接続端子88は、コネクタ85に挿入方向Eから接続される。挿入方向Eは、基板本体部81の第2面81bに垂直な方向である。
【0025】
図3及び
図7に示すように、パッキン89は、基板本体部81の第1面81aとコネクタ通過孔部60hの周縁部の間に位置し、コネクタ通過孔部60hの周縁部に沿う枠板状をなす。パッキン89は、弾性材からなり、下ケース部60a内に水分及び塵埃等の異物が進入することを抑制し、コネクタ85から接続端子88を引き抜く際に基板本体部81にかかる力を緩和する。
【0026】
図6に示すように、ホルダ70は、回路基板80とブラインドカバー65の間に挟み込まれるように位置する。ホルダ70は、樹脂、例えば、ガラスファイバー入りのポリカーボネイトからなる。
図4及び
図5に示すように、ホルダ70は、本体枠部71と、複数の位置決め部72と、複数の固定部73と、複数の接着部74と、複数の基板支持部75と、を備える。
【0027】
本体枠部71は、傾斜方向Dに沿って延びる略長方形枠板状をなす。
図6に示すように、複数、本例では2つの接着材79aは、本体枠部71の上面とブラインドカバー65の裏面(光路空間Spとは反対側の面)の間に位置し、本体枠部71にブラインドカバー65を接着する。
図4に示すように、各接着材79aは、本体枠部71のX方向に延びる2つの辺部の上面に位置し、X方向に長い長方形状をなす。接着材79aは、両面テープ又は接着剤である。
【0028】
図4及び
図8に示すように、複数、本例では4つの固定部73は、本体枠部71の各角部に位置し、ネジ78(
図8参照)により基板本体部81の第2面81bに固定される。
固定部73は、ネジ78の頭部が収容される頭部収容部73aと、ネジ78の軸部が位置する軸通孔部73bと、を備える。頭部収容部73a及び軸通孔部73bは、Y方向に連続する異径の筒状で形成されている。頭部収容部73aは、上方向に開口し、ネジ78の頭部の外周面を隙間を持って囲む穴部を有し、この穴部の底面にネジ78の頭部の下面が接触する。軸通孔部73bは、この穴部の底面中央に位置し、上下方向に貫通し、ネジ78の軸部が挿通可能であり、頭部収容部73aよりも小径の孔を有する。頭部収容部73aの上端面と軸通孔部73bの下端面は、それぞれ、傾斜方向Dに沿う傾斜面として形成されている。軸通孔部73bの下端面は、基板本体部81の第2面81bに接触し、軸通孔部73bは貫通孔81hにY方向に連続している。
【0029】
図4に示すように、複数、本例では2つの位置決め部72は、4つの固定部73のうち対角線上に位置する2つの固定部73に連結して位置する。この2つの位置決め部72は、傾斜方向Dの両外側に位置する。各位置決め部72は、下方向に延びる位置決めピン72pを備える。位置決めピン72pは、固定部73と同一方向であって、第2面81bに対して非垂直方向であるY方向に延びる。各位置決めピン72pは、下ケース部60aのピン受け部60u(
図3参照)に嵌まることにより、ホルダ70が下ケース部60a内で位置決めされる。
【0030】
図4に示すように、複数の接着部74は、基板本体部81の第2面81bに接着される部位である。各接着部74は、本体枠部71の外周縁部に連結され、基板本体部81の第2面81bに向かうように延び、略L字状又は略V字状をなす。各接着部74の下端部は、接着材79bを介して第2面81bに接着される。接着材79bは、両面テープ又は接着剤である。複数、本例では2つの接着部74は、本体枠部71のX方向に延びる2つの辺部の中央に位置する。
【0031】
図5及び
図6に示すように、複数の基板支持部75は、基板本体部81の第2面81bを支持する部位である。各基板支持部75は、本体枠部71の基板本体部81に対向する面に位置し、第2面81bに向けてY方向に延びる突起として形成されている。各基板支持部75は、略円柱状をなし、例えば、第2面81bに近づくにつれて径が小さくなる先細り形状で、先端部が球状をなす。複数、本例では2つの基板支持部75は、X方向に並べられている。各基板支持部75の先端部は、第2面81bのうちコネクタ85の裏側部分に接触する。各基板支持部75は、自身の弾性力を、この接触箇所に付与する。
【0032】
図6に示すように、コネクタ85に接続端子88が挿入される際に、基板本体部81は、基板本体部81の厚さ方向に沿ってブラインドカバー65側への力Fを外力として受ける。このとき、ホルダ70は、ブラインドカバー65からの反力を受けつつ、複数の基板支持部75にて基板本体部81を力Fに対向するように支持する。これにより、基板本体部81の変形、特に、湾曲を抑制することができる。
【0033】
また、基板本体部81の第1面81aと下ケース部60aのコネクタ通過孔部60hの周縁部の間にパッキン89が介在している。よって、コネクタ85から接続端子88が取り外される際に、パッキン89が緩衝材として機能し、回路基板80にかかる力が緩和され、基板本体部81の変形を抑制することができる。
【0034】
次に、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て方法について説明する。
まず、
図3及び
図4に示すように、ホルダ70及び回路基板80は、図示しない治具により位置決めされる。この位置決めされた状態で、ホルダ70の各接着部74は、接着材79bを介して回路基板80の第2面81bに接着される。これにより、ホルダ70及び回路基板80が一体化される。このとき、回路基板80の各貫通孔81hは、回路基板80の厚さ方向にホルダ70の各固定部73に対向するように位置する。
【0035】
次に、一体化されたホルダ70及び回路基板80は、下ケース部60a内に組み入れられる。このとき、ホルダ70の位置決めピン72pが下ケース部60a内のピン受け部60uに嵌め込まれる。これにより、ホルダ70及び回路基板80が下ケース部60a内で位置決めされる。また、このとき、回路基板80のコネクタ85は、下ケース部60aのコネクタ通過孔部60hに挿入され、パッキン89はコネクタ通過孔部60hの周縁部と基板本体部81の第1面81aの間に挟まれる。また、この状態では、
図8に示すように、下ケース部60a内のネジ穴部60cは、Y方向において、回路基板80の各貫通孔81h及びホルダ70の各固定部73に連続して並べられる。よって、ネジ穴部60cのネジ切り穴、貫通孔81h及び軸通孔部73bの軸通孔がY方向に延びる一連のネジ穴として形成され、この一連のネジ穴にネジ78の軸部が嵌合可能である。この一連のネジ穴は、位置決めピン72pと平行であり、かつ、回路基板80の第2面81bに対して非垂直方向であるY方向に延びる。このため、ネジ78のネジ締め方向がY方向となり、ドライバ等の工具をY方向に沿う姿勢で、ネジ78をこの一連のネジ穴に螺合することができる。このネジ締め方向は、下ケース部60aの樹脂成形時の金型の抜き方向と一致させる。これにより、ネジ78のネジ締め方向を、下ケース部60aへの他の部材、例えば、表示装置10を固定する際に利用されるネジのネジ締め方向と同一方向とすることができる。このため、ネジ締め方向を統一することができ、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立てが容易となる。また、ネジ78のネジ締め時に、下ケース部60aの側壁60s(
図3参照)が工具の邪魔となることが抑制され、下ケース部60aの深い位置に回路基板80を設置することが可能となる。
【0036】
次に、下ケース部60a内には、一体化されたホルダ70及び回路基板80に加えて、表示装置10が収容された後、
図3に示すように、下ケース部60aの側壁上端部には折り返しミラー20を保持するミラーホルダ25が設置される。そして、ブラインドカバー65は、一体化されたホルダ70及び回路基板80、及び表示装置10を覆い隠すように、下ケース部60aに取り付けられる。ブラインドカバー65の裏面の外周側は、複数の接着材79cを介して下ケース部60aに接着され、複数の接着材79dを介してミラーホルダ25の接着部25bに接着されている。このとき、
図6に示すように、ブラインドカバー65の裏面は、複数の接着材79aを介して、ホルダ70の本体枠部71の上面に接着される。
次に、
図2に示すように、下ケース部60a内にミラー駆動機構35及び凹面ミラー30を収容し、その後に、下ケース部60aの開口部を上ケース部60bで閉じる。
以上で、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立てが完了する。
【0037】
ホルダ70は、基板支持部75を介して回路基板80を支持する機能に加えて、ブラインドカバー65の防振機能を有する。ブラインドカバー65は、下ケース部60aの板厚よりも薄い板厚の金属板材からなる。よって、ヘッドアップディスプレイ装置100に加わる振動に伴い、ブラインドカバー65が振動しやすい。この点、ホルダ70は、ブラインドカバー65の振動を吸収することにより、ブラインドカバー65の振動を抑制することができる。これにより、ブラインドカバー65の変形を抑制することができる。
【0038】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示光Lを放射する表示部の一例である表示装置10と、第1面81a、及び第1面81aとは反対側の第2面81bを有する回路基板80と、回路基板80の第2面81b側に位置するホルダ70と、表示装置10、回路基板80及びホルダ70を収容するケース60と、を備える。回路基板80は、第1面81a上に位置し、第1面81aに交わる方向から外部の接続端子88が挿入されるコネクタ85を備える。ホルダ70は、第2面81bのうちコネクタ85に対応する箇所を支持する支持部の一例である基板支持部75を備える。
この構成によれば、コネクタ85に接続端子88が挿入される際に挿入圧が回路基板80に加わっても、基板支持部75により回路基板80の変形を抑制することができる。
【0039】
(2)ケース60、回路基板80及びホルダ70は、回路基板80及びホルダ70をケース60内で固定するためにネジ78が嵌合し、ネジ軸方向(Y方向)に沿って一連で形成されるネジ穴部(ネジ穴部60cのネジ切り穴、回路基板80の貫通孔81h及び軸通孔部73bの軸通孔)を備える。ホルダ70は、ケース60に形成される穴部の一例であるピン受け部60uに嵌まる位置決めピン72pを備える。ネジ78のネジ軸方向及び位置決めピン72pは、互いに平行であり、回路基板80の第1面81a又は第2面81bに非垂直に交わる方向に延びる。
この構成によれば、ケース60の成形時の金型の抜き方向とネジ78のネジ軸方向を一致させることができる。これにより、回路基板80がネジ軸方向に対して傾斜した構成であっても、ネジ締め方向を金型の抜き方向とすることができる。よって、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て作業において、多方向からネジ締め作業を行うことが回避され、組み立て作業が容易となる。
また、ケース60の金型の抜き方向とネジ78のネジ軸方向を一致させることにより、ネジ78を締める際に工具がケース60の側壁60sに干渉することが抑制される。よって、回路基板80及びホルダ70のケース60内への組み付け作業が容易となる。
【0040】
(3)ヘッドアップディスプレイ装置100は、ケース60に収容され、表示光Lを反射する折り返しミラー20と、ケース60内に位置する表示装置10、回路基板80及びホルダ70を、折り返しミラー20にて反射した表示光Lが進行する光路空間Spから覆い隠すように、ケース60内に設置されるブラインドカバー65と、を備える。ホルダ70は、ブラインドカバー65と回路基板80の間に挟まれて位置する。
この構成によれば、ヘッドアップディスプレイ装置100に振動が加わったときに、ホルダ70が振動を吸収するように機能し、ブラインドカバー65の振動を抑制することができる。
【0041】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0042】
(変形例)
上記実施形態において、ブラインドカバー65は、金属以外、例えば、樹脂で形成されてもよい。
また、ブラインドカバー65は、省略されてもよい。この場合、ホルダ70は、回路基板80と上ケース部60bの壁部の間に位置してもよい。
【0043】
上記実施形態においては、基板支持部75の数は、2つであったが、1つ又は3つ以上であってもよい。
また、基板支持部75は、コネクタ85に対応する位置に設けられていたが、この位置に加えて他の位置にも設けられていてもよい。
さらに、基板支持部75の形状は、適宜変更可能であり、例えば、円錐状、多角錐状、立方体又は角柱状をなしていてもよい。
また、上記実施形態においては、基板支持部75は、本体枠部71と一体で形成されていたが、本体枠部71と別体で形成されていてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は、1組のホルダ70及び回路基板80を備えていたが、複数組のホルダ70及び回路基板80を備えていてもよい。
また、ホルダ70及び回路基板80の向きは、適宜変更可能であり、例えば、XZ平面、YZ平面、又はXY平面に沿っていてもよい。
さらに、ホルダ70及び回路基板80は、下ケース部60a内に限らず、下ケース部60aの外部に設けられていてもよく、下ケース部60aの外部に位置するホルダ70及び回路基板80を覆うように蓋により閉じられていてもよい。
また、ミラー駆動機構35は省略されてもよい。
また、パッキン89は省略されてもよい。
【0045】
上記実施形態においては、接続端子88がコネクタ85に挿入される挿入方向Eは、基板本体部81の第2面81bに垂直な方向であったが、第2面81bに交わる方向であれば垂直でなくてもよい。
また、コネクタ85は、ヘッドアップディスプレイ装置100の外部に露出していなくてもよく、ケース60内に位置していてもよい。
【0046】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は表示光Lを被投射部材の一例であるウインドシールド201に投射していたが、被投射部材は、これに限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 視認者
10 表示装置
11 照明装置
15 表示パネル
20 折り返しミラー
25 ミラーホルダ
25a 保持部
25b 接着部
25c 表示光通過部
30 凹面ミラー
35 ミラー駆動機構
50 窓部
60 ケース
60a 下ケース部
60b 上ケース部
60c ネジ穴部
60d 表示部収容部
60e 基板収容部
60h コネクタ通過孔部
60s 側壁
60u ピン受け部
61a 開口部
65 ブラインドカバー
70 ホルダ
71 本体枠部
72 位置決め部
72p 位置決めピン
73 固定部
73a 頭部収容部
73b 軸通孔部
74 接着部
75 基板支持部
78 ネジ
79a,79b,79c,79d 接着材
80 回路基板
81 基板本体部
81a 第1面
81b 第2面
81h 貫通孔
85 コネクタ
88 接続端子
89 パッキン
100 ヘッドアップディスプレイ装置
200 車両
201 ウインドシールド
A 表示面
D 傾斜方向
E 挿入方向
F 力
J 回転軸
L 表示光
V 虚像
Sp 光路空間