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特開2024-60646オンライン授業支援システム、オンライン授業支援プログラムおよびオンライン授業支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060646
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】オンライン授業支援システム、オンライン授業支援プログラムおよびオンライン授業支援方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/14 20060101AFI20240425BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240425BHJP
【FI】
G09B5/14
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168030
(22)【出願日】2022-10-20
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522410662
【氏名又は名称】株式会社EVO
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】ラノーラ ジョシュエル ナルシーザ
(72)【発明者】
【氏名】タン ミッシェル タンドゥゴン
(72)【発明者】
【氏名】松下 寛
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028AA12
2C028BA05
2C028BB04
2C028BC05
2C028BD01
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】教師端末と生徒端末との間で双方向性及びリアルタイム性に優れたオンライン授業を行えるオンライン授業支援システム、オンライン授業支援プログラム及びオンライン授業支援方法を提供する。
【解決手段】教師端末2・生徒端末3のタッチパネル10上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有し、自端末のノート画面に書込が開始される度にストロークIDを払い出すストロークID払出部41と、書込継続中、書込情報を取得する書込情報取得部42と、点列データをサーバ4へ送信する点列データ送信部43と、他端末の点列データをサーバ4から取得する点列データ取得部44と、他端末の書込を自端末のタッチパネル10上にリアルタイムで再現する書込再現部45とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバを介して教師端末と生徒端末との間で行われるオンライン授業を支援するオンライン授業支援システムであって、
前記教師端末および前記生徒端末の双方におけるタッチパネル上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有しており、
前記教師端末および前記生徒端末のそれぞれは、
自端末の前記ノート画面に書き込みが開始されるたびに、前記書き込みを識別するストロークIDを払い出すストロークID払出部と、
前記書き込みが継続している間、前記書き込みに係る書込位置と書込時刻とを含む書込情報を所定の時間間隔で取得する書込情報取得部と、
前記ストロークIDと前記書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔で前記サーバへ送信する点列データ送信部と、
他端末から送信された前記点列データを所定の時間間隔で前記サーバから取得する点列データ取得部と、
前記点列データ取得部が前記点列データを取得するたびに、前記ストロークIDが同一の前記書込情報に基づいて、他端末における前記書き込みを自端末の前記タッチパネル上にリアルタイムで再現する書込再現部と、
を有する、オンライン授業支援システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記教師端末または前記生徒端末から、過去に書き込みが行われた前記ノート画面の表示が要求されると、前記ノート画面に書き込まれた全ての書き込みに係る前記点列データを取得し、各点列データに含まれる書込位置を示す時系列の座標のうち、二番目以降の座標群を一つ前の座標に対する相対座標に変換するとともに、前記相対座標のそれぞれを一つの文字または記号に変換する点列データ圧縮部を有する、請求項1に記載のオンライン授業支援システム。
【請求項3】
前記教師端末および前記生徒端末のそれぞれは、前記点列データ圧縮部によって圧縮された点列データを取得すると、前記文字または記号のそれぞれを相対座標に変換するとともに、前記書込位置を示す一番目の座標に基づいて、二番目以降の相対座標を順次、前記書込位置を示す時系列の座標に復号化する点列データ復号部を有する、請求項2に記載のオンライン授業支援システム。
【請求項4】
前記教師端末のタッチパネル上に、複数の前記生徒端末におけるノート画面をリアルタイムで一覧表示するモニタリング機能を有しており、
前記生徒端末は、
背景画像を保有する背景レイヤと、生徒の書き込みを記録する生徒レイヤとを合成して前記ノート画面を表示する表示制御部と、
所定の時間間隔で前記生徒レイヤに書き込まれた全ての書き込みを書込画像として記憶する書込画像記憶部と、
所定の時間間隔で前記生徒レイヤへの全ての書き込みを取得し、前記書込画像と比較して新たに書き込まれた部分を差分画像として作成する差分画像作成部と、
前記背景画像と前記書込画像と前記差分画像とを合成して圧縮した低画質合成画像のデータサイズと、前記差分画像のデータサイズを算出するデータサイズ算出部と、
最初に前記背景画像および前記書込画像をサーバへ送信した後、所定の時間間隔で前記低画質合成画像または前記差分画像のうち、データサイズが小さい方を前記サーバへ送信する画像送信部と、
前記画像送信部が、前記差分画像を送信した後に前記低画質合成画像を送信する場合、前記書込画像と前記差分画像とを合成した高画質合成画像を記憶する高画質合成画像記憶部と、
を有しており、
前記画像送信部は、前記低画質合成画像を送信した後に前記差分画像を送信する場合、前記高画質合成画像と比較して新たに書き込まれた部分を前記差分画像として送信するとともに、
前記教師端末は、
最初に前記生徒端末のそれぞれから送信された前記背景画像および前記書込画像を前記サーバから取得した後、所定の時間間隔で前記生徒端末ごとの前記低画質合成画像または前記差分画像を取得する生徒画像取得部と、
前記サーバから前記低画質合成画像を受信した場合、前記低画質合成画像を復号化してノート画面として表示するとともに、前記サーバから前記差分画像を受信した場合、前記差分画像を前記背景画像および前記書込画像と合成してノート画面として表示する生徒画像表示部と、
を有しており、
前記サーバから前記差分画像を受信した場合、前記書込画像と前記差分画像とを合成した画像を新たな書込画像として記憶する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のオンライン授業支援システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記生徒端末から受信した前記背景画像のうち、前記教師端末へ一度送信した前記背景画像は前記教師端末へ送信しない重複送信防止部を有している、請求項4に記載のオンライン授業支援システム。
【請求項6】
サーバを介して教師端末と生徒端末との間で行われるオンライン授業を支援するオンライン授業支援プログラムであって、
前記教師端末および前記生徒端末の双方におけるタッチパネル上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有しており、
自端末の前記ノート画面に書き込みが開始されるたびに、前記書き込みを識別するストロークIDを払い出すストロークID払出部と、
前記書き込みが継続している間、前記書き込みに係る書込位置と書込時刻とを含む書込情報を所定の時間間隔で取得する書込情報取得部と、
前記ストロークIDと前記書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔で前記サーバへ送信する点列データ送信部と、
他端末から送信された前記点列データを所定の時間間隔で前記サーバから取得する点列データ取得部と、
前記点列データ取得部が前記点列データを取得するたびに、前記ストロークIDが同一の前記書込情報に基づいて、他端末における前記書き込みを自端末の前記タッチパネル上にリアルタイムで再現する書込再現部と、
してコンピュータを機能させる、オンライン授業支援プログラム。
【請求項7】
サーバを介して教師端末と生徒端末との間で行われるオンライン授業を支援するオンライン授業支援方法であって、
前記教師端末および前記生徒端末の双方におけるタッチパネル上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有しており、
自端末の前記ノート画面に書き込みが開始されるたびに、前記書き込みを識別するストロークIDを払い出すストロークID払出ステップと、
前記書き込みが継続している間、前記書き込みに係る書込位置と書込時刻とを含む書込情報を所定の時間間隔で取得する書込情報取得ステップと、
前記ストロークIDと前記書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔で前記サーバへ送信する点列データ送信ステップと、
他端末から送信された前記点列データを所定の時間間隔で前記サーバから取得する点列データ取得ステップと、
前記点列データ取得ステップにおいて前記点列データが取得されるたびに、前記ストロークIDが同一の前記書込情報に基づいて、他端末における前記書き込みを自端末の前記タッチパネル上にリアルタイムで再現する書込再現ステップと、
を有する、オンライン授業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うことができるオンライン授業支援システム、オンライン授業支援プログラムおよびオンライン授業支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、学校や学習塾等においては、ウェブ会議システムを利用したオンライン授業を行う機会が増えている。このオンライン授業を行うシステムとして、例えば、特開2022-109025号公報には、教師の顔を所定の角度から撮影した第1映像データと、第1映像データとは異なる角度で教師の顔を撮影した第2映像データとを取得するとともに、教師が注目する生徒に関する生徒情報を取得し、当該生徒情報に基づいて、生徒側端末の表示画面に第1映像データ又は第2映像データを表示させるオンライン授業システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-109025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、生徒の表示画面には、教師の顔を撮影した映像を表示し、教師の表示画面には、生徒の顔を撮影した映像を表示させるに過ぎない。このため、対面での授業に比べて、教師は生徒の手元を確認することができず、授業を理解しているのか、授業に集中しているのかなど、生徒の状況を把握するのが難しいという問題がある。一方、教師は黒板等に板書せず、テキストや問題を表示画面に表示させるだけであるため、生徒は授業を理解し難いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、他端末におけるノート画面への書き込みを自端末のノート画面上にリアルタイムで再現し、教師端末と生徒端末との間で双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うことができるオンライン授業支援システム、オンライン授業支援プログラムおよびオンライン授業支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るオンライン授業支援システムは、他端末におけるノート画面への書き込みを自端末のノート画面上にリアルタイムで再現し、教師端末と生徒端末との間で双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うという課題を解決するために、サーバを介して教師端末と生徒端末との間で行われるオンライン授業を支援するオンライン授業支援システムであって、前記教師端末および前記生徒端末の双方におけるタッチパネル上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有しており、前記教師端末および前記生徒端末のそれぞれは、自端末の前記ノート画面に書き込みが開始されるたびに、前記書き込みを識別するストロークIDを払い出すストロークID払出部と、前記書き込みが継続している間、前記書き込みに係る書込位置と書込時刻とを含む書込情報を所定の時間間隔で取得する書込情報取得部と、前記ストロークIDと前記書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔で前記サーバへ送信する点列データ送信部と、他端末から送信された前記点列データを所定の時間間隔で前記サーバから取得する点列データ取得部と、前記点列データ取得部が前記点列データを取得するたびに、前記ストロークIDが同一の前記書込情報に基づいて、他端末における前記書き込みを自端末の前記タッチパネル上にリアルタイムで再現する書込再現部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様として、過去に書き込みが行われたノート画面を表示する際の通信量を低減するという課題を解決するために、前記サーバは、前記教師端末または前記生徒端末から、過去に書き込みが行われた前記ノート画面の表示が要求されると、前記ノート画面に書き込まれた全ての書き込みに係る前記点列データを取得し、各点列データに含まれる書込位置を示す時系列の座標のうち、二番目以降の座標群を一つ前の座標に対する相対座標に変換するとともに、前記相対座標のそれぞれを一つの文字または記号に変換する点列データ圧縮部を有していてもよい。
【0008】
さらに、本発明の一態様として、サーバによって圧縮された点列データを正確に復号化するという課題を解決するために、前記教師端末および前記生徒端末のそれぞれは、前記点列データ圧縮部によって圧縮された点列データを取得すると、前記文字または記号のそれぞれを相対座標に変換するとともに、前記書込位置を示す一番目の座標に基づいて、二番目以降の相対座標を順次、前記書込位置を示す時系列の座標に復号化する点列データ復号部を有していてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様として、教師端末において複数の生徒端末におけるノート画面をリアルタイムで一覧表示する際の通信量を低減するとともに、画質の低下を抑制するという課題を解決するために、前記教師端末のタッチパネル上に、複数の前記生徒端末におけるノート画面をリアルタイムで一覧表示するモニタリング機能を有しており、前記生徒端末は、背景画像を保有する背景レイヤと、生徒の書き込みを記録する生徒レイヤとを合成して前記ノート画面を表示する表示制御部と、所定の時間間隔で前記生徒レイヤに書き込まれた全ての書き込みを書込画像として記憶する書込画像記憶部と、所定の時間間隔で前記生徒レイヤへの全ての書き込みを取得し、前記書込画像と比較して新たに書き込まれた部分を差分画像として作成する差分画像作成部と、前記背景画像と前記書込画像と前記差分画像とを合成して圧縮した低画質合成画像のデータサイズと、前記差分画像のデータサイズを算出するデータサイズ算出部と、最初に前記背景画像および前記書込画像をサーバへ送信した後、所定の時間間隔で前記低画質合成画像または前記差分画像のうち、データサイズが小さい方を前記サーバへ送信する画像送信部と、前記画像送信部が、前記差分画像を送信した後に前記低画質合成画像を送信する場合、前記書込画像と前記差分画像とを合成した高画質合成画像を記憶する高画質合成画像記憶部と、を有しており、前記画像送信部は、前記低画質合成画像を送信した後に前記差分画像を送信する場合、前記高画質合成画像と比較して新たに書き込まれた部分を前記差分画像として送信するとともに、前記教師端末は、最初に前記生徒端末のそれぞれから送信された前記背景画像および前記書込画像を前記サーバから取得した後、所定の時間間隔で前記生徒端末ごとの前記低画質合成画像または前記差分画像を取得する生徒画像取得部と、前記サーバから前記低画質合成画像を受信した場合、前記低画質合成画像を復号化してノート画面として表示するとともに、前記サーバから前記差分画像を受信した場合、前記差分画像を前記背景画像および前記書込画像と合成してノート画面として表示する生徒画像表示部と、を有しており、前記サーバから前記差分画像を受信した場合、前記書込画像と前記差分画像とを合成した画像を新たな書込画像として記憶してもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、サーバから教師端末への重複送信を防止し通信量を抑制するという課題を解決するために、前記サーバは、前記生徒端末から受信した前記背景画像のうち、前記教師端末へ一度送信した前記背景画像は前記教師端末へ送信しない重複送信防止部を有していてもよい。
【0011】
本発明に係るオンライン授業支援プログラムは、他端末におけるノート画面への書き込みを自端末のノート画面上にリアルタイムで再現し、教師端末と生徒端末との間で双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うという課題を解決するために、サーバを介して教師端末と生徒端末との間で行われるオンライン授業を支援するオンライン授業支援プログラムであって、前記教師端末および前記生徒端末の双方におけるタッチパネル上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有しており、自端末の前記ノート画面に書き込みが開始されるたびに、前記書き込みを識別するストロークIDを払い出すストロークID払出部と、前記書き込みが継続している間、前記書き込みに係る書込位置と書込時刻とを含む書込情報を所定の時間間隔で取得する書込情報取得部と、前記ストロークIDと前記書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔で前記サーバへ送信する点列データ送信部と、他端末から送信された前記点列データを所定の時間間隔で前記サーバから取得する点列データ取得部と、前記点列データ取得部が前記点列データを取得するたびに、前記ストロークIDが同一の前記書込情報に基づいて、他端末における前記書き込みを自端末の前記タッチパネル上にリアルタイムで再現する書込再現部と、してコンピュータを機能させる。
【0012】
本発明に係るオンライン授業支援方法は、他端末におけるノート画面への書き込みを自端末のノート画面上にリアルタイムで再現し、教師端末と生徒端末との間で双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うという課題を解決するために、サーバを介して教師端末と生徒端末との間で行われるオンライン授業を支援するオンライン授業支援方法であって、前記教師端末および前記生徒端末の双方におけるタッチパネル上に同一のノート画面をリアルタイムで表示するノート共有機能を有しており、自端末の前記ノート画面に書き込みが開始されるたびに、前記書き込みを識別するストロークIDを払い出すストロークID払出ステップと、前記書き込みが継続している間、前記書き込みに係る書込位置と書込時刻とを含む書込情報を所定の時間間隔で取得する書込情報取得ステップと、前記ストロークIDと前記書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔で前記サーバへ送信する点列データ送信ステップと、他端末から送信された前記点列データを所定の時間間隔で前記サーバから取得する点列データ取得ステップと、前記点列データ取得ステップにおいて前記点列データが取得されるたびに、前記ストロークIDが同一の前記書込情報に基づいて、他端末における前記書き込みを自端末の前記タッチパネル上にリアルタイムで再現する書込再現ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、他端末におけるノート画面への書き込みを自端末のノート画面上にリアルタイムで再現し、教師端末と生徒端末との間で双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るオンライン授業支援システムの一実施形態を示す図である。
図2】本実施形態の教師端末を示すブロック図である。
図3】本実施形態の生徒端末を示すブロック図である。
図4】本実施形態のサーバを示すブロック図である。
図5】本実施形態のノート画面を構成するレイヤを示す図である。
図6】本実施形態の点列データ圧縮部が用いる対応表を示す表である。
図7】本実施形態のノート共有機能の処理を示すフローチャートである。
図8】本実施形態において、ノート共有機能を実行中の(a)教師端末側のノート画面、および(b)生徒端末側のノート画面の一例を示す図である。
図9図7におけるページジャンプ処理を示すフローチャートである。
図10】本実施形態のモニタリング機能の処理を示すフローチャートである。
図11】本実施形態において、モニタリング機能を実行した教師端末のタッチパネル上に表示された各生徒端末のノート画面の一例を示す図である。
図12図10の続きを示すフローチャートである。
図13】教師端末において合成される前の背景画像A、書込画像Bおよび差分画像Cと、合成後のノート画面(A+B+C)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るオンライン授業支援システム、オンライン授業支援プログラムおよびオンライン授業支援方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のオンライン授業支援システム1を示す図であり、教師が使用する教師端末2と、生徒が使用する生徒端末3と、教師端末2と生徒端末3との間でデータの送受信を仲介するサーバ4とが、通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。そして、主として、以下に示す2つの機能を実行可能に構成されている。
【0017】
(i)ノート共有機能
教師端末2および生徒端末3の双方におけるタッチパネル10上に同一のノート画面をリアルタイムで表示する機能
(ii)モニタリング機能
教師端末2のタッチパネル10上に、複数の生徒端末3におけるノート画面をリアルタイムで一覧表示する機能
【0018】
以下、教師端末2、生徒端末3およびサーバ4のそれぞれについて説明する。なお、図1では、生徒端末3を3台使用する例が図示されているが、この台数に限定されるものではなく、オンライン授業の形態に応じて、個別指導や家庭教師の形態であれば1台としてもよく、学校や学習塾の形態であれば数十台としてもよい。
【0019】
本実施形態の教師端末2および生徒端末3は、タブレットやノートパソコン等のコンピュータによって構成されており、図2および図3に示すように、タッチパネル10と、通信手段20と、記憶手段30と、演算処理手段40とを有している。一方、サーバ4は、クラウドサーバ4等のコンピュータによって構成されており、図4に示すように、通信手段20と、記憶手段30と、演算処理手段40とを有している。以下、各構成手段について詳細に説明する。なお、教師端末2、生徒端末3およびサーバ4の構成のうち、同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
タッチパネル10は、表示機能および入力機能を兼ね備えたものである。本実施形態において、タッチパネル10は、教師端末2と生徒端末3との間で共有するノート画面を表示するとともに、タッチパネル10上でタッチ入力された場所の位置情報(座標)を出力する。なお、タッチパネル10へのタッチ入力には、スタイラスペンや指等が用いられる。
【0021】
通信手段20は、教師端末2、生徒端末3およびサーバ4に通信機能を実装するものである。本実施形態において、通信手段20は、第4世代(4G)や第5世代(5G)等のキャリアネットワーク規格や、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN規格に対応しており、いずれかの通信ネットワークを介して各種のデータを送受信するようになっている。
【0022】
記憶手段30は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段40が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段30は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されている。
【0023】
そして、教師端末2の記憶手段30は、図2に示すように、プログラム記憶部31と、背景画像記憶部32と、書込画像記憶部33とを有している。また、生徒端末3の記憶手段30は、図3に示すように、プログラム記憶部31と、背景画像記憶部32と、書込画像記憶部33と、高画質合成画像記憶部34とを有している。さらに、サーバ4の記憶手段30は、図4に示すように、プログラム記憶部31と、背景画像記憶部32と、書込画像記憶部33と、点列データ記憶部35と、モニタリング画像記憶部36とを有している。
【0024】
プログラム記憶部31には、本実施形態のオンライン授業支援方法を実行するためのオンライン授業支援プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段40がオンライン授業支援プログラム1aを実行することにより、教師端末2、生徒端末3およびサーバ4としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0025】
なお、オンライン授業支援プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやDVD-ROM等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体にオンライン授業支援プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ4等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式でオンライン授業支援プログラム1aを利用してもよい。
【0026】
背景画像記憶部32は、ノート画面の背景を構成する背景画像を記憶するものである。本実施形態において、ノート画面は、図5に示すように、背景画像を保有する背景レイヤと、教師の書き込みを記録する教師レイヤと、生徒の書き込みを記録する生徒レイヤとに分かれた三層構造となっている。このため、教師端末2側の背景画像記憶部32には、生徒端末3のそれぞれに対応付けて背景画像またはその識別IDが記憶されている。なお、背景画像としては、教科書や問題集等の教材画像、ノートのような罫線入り画像、あるいは白紙画像等が含まれる。
【0027】
書込画像記憶部33は、生徒によって書き込まれた書き込みの画像である書込画像を記憶するものである。本実施形態において、生徒端末3側の書込画像記憶部33は、生徒端末3における生徒レイヤに書き込まれた全ての文字、図形等からなる書込画像を記憶するものであり、所定の時間間隔で更新される。一方、教師端末2側の書込画像記憶部33は、サーバ4を介して生徒端末3から取得した書込画像を生徒端末3のそれぞれに対応付けて記憶するものであり、所定の時間間隔で更新される。また、教師端末2側の書込画像記憶部33には、サーバ4から後述する差分画像を受信した場合、当該差分画像と書込画像とを合成した画像が新たな書込画像として記憶される。
【0028】
高画質合成画像記憶部34は、生徒端末3において、書込画像と差分画像とを合成した高画質合成画像を記憶するものである。本実施形態では、モニタリング機能を実行する際、後述するとおり、差分画像作成部52が、所定の時間間隔で生徒レイヤへの書き込みを取得し、書込画像と比較して新たに書き込まれた部分を差分画像として作成する。この差分画像と書込画像とを合成した高画質合成画像は、更新後の書込画像と同一であるが、当該書込画像とは別に高画質合成画像記憶部34に記憶される。
【0029】
点列データ記憶部35は、サーバ4において、教師端末2または生徒端末3から送信された点列データを記憶するものである。本実施形態において、点列データ記憶部35は、ノート共有機能を実行している間、書き込みが行われている教師端末2または生徒端末3から所定の時間間隔で送信されてくる点列データを順次、記憶する。なお、点列データは、後述するとおり、ストロークIDと書込情報とからなり、他端末における書き込みを自端末で再現するための点列に関するデータである。
【0030】
また、本実施形態において、点列データ記憶部35には、教師端末2または生徒端末3によって過去に行われた書き込みに係る点列データが記憶されている。具体的には、書き込みを行ったユーザのユーザID、書き込みを行ったノート画面のノートID、当該ノート画面内のページ番号等に対応付けて、各ノート画面に書き込まれた全ての書き込みに係る点列データが記憶されている。
【0031】
モニタリング画像記憶部36は、サーバ4において、各生徒端末3のノート画面をモニタリングするための画像データを記憶するものである。本実施形態において、モニタリング画像記憶部36は、後述するとおり、所定の時間間隔ごとに生徒端末3から送信されてくる高画質モードでの差分画像、または低画質モードでの低画質合成画像が、各生徒端末3に対応付けて記憶される。
【0032】
つぎに、演算処理手段40は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、プログラム記憶部31にインストールされたオンライン授業支援プログラム1aを実行することにより、教師端末2、生徒端末3およびサーバ4としてのコンピュータを以下に示す各構成部として機能させる。
【0033】
具体的には、教師端末2および生徒端末3の演算処理手段40は、図2および図3に示すように、ストロークID払出部41と、書込情報取得部42と、点列データ送信部43と、点列データ取得部44と、書込再現部45と、ページ要求部46と、点列データ復号部47と、表示制御部48として機能する。また、教師端末2の演算処理手段40は、別途、生徒画像取得部49と、生徒画像表示部50として機能するとともに、生徒端末3の演算処理手段40は、別途、画像送信部51と、差分画像作成部52と、データサイズ算出部53として機能する。さらに、サーバ4の演算処理手段40は、点列データ圧縮部54と、重複送信防止部55として機能する。
【0034】
まず、上記構成部のうち、ノート共有機能において実行される、ストロークID払出部41と、書込情報取得部42と、点列データ送信部43と、点列データ取得部44と、書込再現部45と、ページ要求部46と、点列データ圧縮部54と、点列データ復号部47とについてより詳細に説明する。
【0035】
ストロークID払出部41は、書き込みを1ストロークごとに識別するストロークIDを払い出すものである。本実施形態において、ストロークID払出部41は、自端末(教師端末2または生徒端末3)のタッチパネル10において、スタイラスペンや指が触れてから移動し離れるまでの一連の書き込み動作を1ストロークとし、ノート画面に書き込みが開始されるたびに、新たなストロークIDを払い出すようになっている。
【0036】
書込情報取得部42は、書き込みに係る書込情報を取得するものである。本実施形態において、書込情報は、書き込みの動きや速度を再現するための情報であり、少なくとも書込位置と書込時刻とを含んでいる。このため、書込情報取得部42は、ノート画面に対する書き込みが継続している間、所定の時間間隔で、タッチパネル10から書込位置(x座標、y座標)を取得するとともに、自端末の内蔵時計から書込時刻を取得する。
【0037】
なお、書込情報としては、書込位置および書込時刻の他に、書き込みに使用した色、書き込み線の太さ、書き込みに使用したツール(ペン、蛍光ペン、消しゴム等)等の情報が含まれていてもよい。また、本実施形態では、書込情報を取得する時間間隔を約13ミリ秒に設定しているが、これに限定されるものではなく、ノート画面を共有する際のリアルタイム性を担保しうる時間間隔であればよい。
【0038】
点列データ送信部43は、ストロークIDと書込情報とからなる点列データをサーバ4へ送信するものである。本実施形態において、点列データ送信部43は、ストロークID払出部41が払い出したストロークIDと、書込情報取得部42によって取得された書込情報とからなる点列データを所定の時間間隔でサーバ4へ送信する。また、点列データには、点列データの送信元ユーザを識別するユーザIDと、書き込みが行われたページを識別するページ番号とが含まれていてもよい。なお、点列データ送信部43による送信間隔は、書込情報取得部42による書込情報の取得間隔と一致する。
【0039】
点列データ取得部44は、他端末から送信された点列データをサーバ4から取得するものである。本実施形態において、点列データ取得部44は、ノート共有機能が実行されている間、所定の時間間隔でサーバ4にアクセスし、ユーザIDおよびページ番号を指定して、ノート画面を共有中の他端末の点列データを取得する。この点列データの取得間隔も、ノート画面を共有する際のリアルタイム性を担保しうる時間間隔に設定される。
【0040】
書込再現部45は、他端末における書き込みを自端末のタッチパネル10上に再現するものである。本実施形態において、書込再現部45は、点列データ取得部44が点列データを取得するたびに、ストロークIDが同一の書込情報に基づいて、他端末における書き込みを自端末のタッチパネル10上にリアルタイムで再現する。
【0041】
具体的には、書込再現部45は、書込情報に含まれる書込位置(x座標、y座標)に対応するタッチパネル10上の点(以下、当該点という)を特定し、前の点の書込時刻から当該点の書込時刻までの時間間隔の間に、前の点から当該点までを結ぶ線を描写する。これにより、タッチパネル10上のノート画面には、他端末において書き込まれた書き込みがリアルタイムで再現される。また、本実施形態において、書込再現部45は、点と点とを結ぶ際に、3次ベジェ曲線で補間することにより、スタイラスペンや指の動きを再現し、一繋がりの滑らかな曲線としてノート画面に表示させるようになっている。
【0042】
ページ要求部46は、ノート共有機能において、複数のページからなるノート画面のうち、表示中のノート画面とは異なる他のノート画面の表示を要求するものである。本実施形態において、ページ要求部46は、タッチパネル10上に表示されたボタン等から所望のページが指定されると、当該ページに対応するページ番号をサーバ4へ送信する。
【0043】
点列データ圧縮部54は、サーバ4側の機能部であり、所定のノート画面に書き込まれた全ての書き込みに係る点列データを圧縮するものである。本実施形態において、点列データ圧縮部54は、教師端末2または生徒端末3のページ要求部46から受信したページ番号に対応する全ての点列データを点列データ記憶部35から取得する。
【0044】
そして、点列データ圧縮部54は、各点列データに含まれる書込位置を示す時系列の座標のうち、二番目以降の座標群を一つ前の座標に対する相対座標に変換するとともに、当該相対座標のそれぞれを一つの文字または記号に変換する。なお、点列データ圧縮部54は、過去に書き込みが行われたノート画面の表示が要求された場合に機能し、過去に書き込みされたことのないノート画面が要求された場合は機能しない。
【0045】
ここで、以下に示す点列データ(書込位置のx,y座標のみ示す)を圧縮する場合を例にして、点列データ圧縮部54による圧縮処理について具体的に説明する。
{"x":559.1, "y":223.7},
{"x":560.1, "y":224.6},
{"x":559.1, "y":224.6},
{"x":556.2, "y":225.6},
{"x":555.3, "y":225.6},
{"x":553.3, "y":225.6},
{"x":551.4, "y":225.6},
{"x":549.5, "y":224.6},
{"x":545.6, "y":223.7},
{"x":542.7, "y":223.7}
【0046】
まず、点列データ圧縮部54は、二番目以降の座標群を一つ前の座標に対する相対座標に変換する。例えば、二番目以降の座標群であるx、yのそれぞれについて、一つ前の座標に対する差を算出し、その差を10倍にすることで相対座標に変換する。これにより、上記点列データは以下のように変換される。
{"x":559.1, "y":223.7},
{"x":10, "y":9},
{"x":-10, "y":0},
{"x":-29, "y":10},
{"x":-9, "y":0},
{"x":-20, "y":0},
{"x":-19, "y":0},
{"x":-19, "y":-10},
{"x":-49, "y":-9},
{"x":-19, "y":0}
【0047】
ここで、2番目以降の点列データについて、空白(スペース)を区切り記号として、x,yの順に並べると、以下のとおりとなる。
"x":559.1,
"y":223.7,
"xys":"10 9 -10 0 -29 10 -9 0 -20 0 -19 0 -19 -10 -49 9 -19 0"
【0048】
つぎに、点列データ圧縮部54は、変換した相対座標のそれぞれを一つの文字または記号に変換する。ここで、手書き文字の場合、上記相対座標の数値は、-39から39の間の値になることがほとんどである。よって、この-39から39までの79通りの整数を図6に示すような対応表によって文字または記号に変換する。ただし、数値が-39より小さい場合、あるいは39より大きい場合、当該数値を40で除算した余りに対応する文字にするとともに、当該数値の絶対値を40で割った整数商の数だけ、記号"<"を左側に追加する。例えば、-49=<rとなり、92=<<Cとなる。
【0049】
この変則的な40進数を用いて上記点列データを変換すると、以下のようになり、数字区切り用の空白(スペース)は不要となる。
"x":559.1,
"y":223.7,
"xys":"A9q0?Ar0g0h0hq<rrh0?0"
【0050】
以上のような圧縮処理によれば、当初249文字であった点列データが、50文字まで圧縮されることとなる。なお、点列データ圧縮部54による圧縮処理は、上記方法に限定されるものではなく、データを圧縮しうる処理であれば適宜、変更してもよい。
【0051】
点列データ復号部47は、点列データ圧縮部54によって圧縮された点列データを復号化するものである。本実施形態において、点列データ復号部47は、点列データ圧縮部54によって圧縮された点列データを取得すると、圧縮時に使用された対応表(図6)と同一の対応表を用いて、文字または記号のそれぞれを相対座標に変換する。そして、点列データ復号部47は、書込位置を示す一番目の座標に基づいて、二番目以降の相対座標を順次、書込位置を示す時系列の座標に復号化する。すなわち、点列データ復号部47は、点列データ圧縮部54による圧縮処理と逆の処理を実行するようになっている。
【0052】
つぎに、演算処理手段40の上記構成部のうち、モニタリング機能において実行される各構成部を説明するにあたり、本実施形態のモニタリング機能について説明する。
【0053】
モニタリング機能を実現する方法としては、生徒端末3のスクリーンショット画像を所定時間おきにサーバ4経由で教師端末2に送信するという方法が考えられる。ただし、この方法では、ノート共有機能と同様の高解像度にするとサーバ4への負荷が大きくなる。一方、スクリーンショット画像の色数や解像度等を下げればデータ量は減らせるものの、低画質になるため見づらくなる等、利便性の低下を招く。
【0054】
そこで、本実施形態では、モニタリング機能のアルゴリズムを構築するにあたり、オンライン授業の特徴として、以下の点に着目した。
(1)教科書や問題集などの背景画像を動的に書き換えることは少ない。このため、背景画像の送信は1ページにつき一度だけでよい。
(2)教師端末2が一台に対して生徒端末3が多数の場合、教材となる背景画像は全生徒端末3において共通する。このため、背景画像の送信は1人分だけでよい。
(3)一度書き込んだ書き込みを消しゴム機能などで消去することは限定的にしか行われない。
(4)手書きによる書き込みという性質上、単位時間当たりに変化するデータはノート画面上のごく一部だけである。
【0055】
以上の点を踏まえて、本実施形態では、高画質と低データ量の双方を兼ね備えたアルゴリズムを考案した。具体的には、以下に示す2通りのモードを用意し、データ量が小さい方のモードを適宜選択しながら実行することとした。
【0056】
(A)高画質モード
生徒端末3側のノート画面を図5に示す背景レイヤと生徒レイヤとに分解し、最初に高画質な背景画像と書込画像を送信した後は、生徒レイヤに新たに書き込まれた部分の高画質な差分画像を逐次送信する一方、教師端末2側で全ての画像を合成して生徒端末3の高画質なノート画面を再現する。
(B)低画質モード
生徒端末3側で全てのレイヤを合成して圧縮した低画質合成画像を送信する一方、教師端末2側で低画質合成画像を復号化して生徒端末3の低画質なノート画面を再現する。
【0057】
なお、一般的には、高画質モードの方がデータ量は小さい傾向にある。ただし、高画質モードは、上記の通り、ノート画面上の動きが少ないことを前提とするアルゴリズムである。このため、以下のようなケースでは、低画質モードの方が平均的なデータ量は小さくなる。
・動画など動きの大きい教材等を背景画像として使用する場合
・文字ではなく絵を描く等、単位時間あたりの書き込みが多い場合
・1対1の個別指導のように、モニタリング対象の生徒端末3が少ない場合
・多数の生徒端末3が異なる教材を使用する等、背景画像が多種に渡る場合
【0058】
以上のようなモニタリング機能を実行する際、演算処理手段40は、表示制御部48と、画像送信部51と、重複送信防止部55と、差分画像作成部52と、データサイズ算出部53と、生徒画像取得部49と、生徒画像表示部50として機能する。以下、これらの各構成部について説明する。
【0059】
表示制御部48は、タッチパネル10におけるノート画面の表示を制御するものである。本実施形態において、表示制御部48は、図5に示すように、背景画像を保有する背景レイヤと、教師の書き込みを記録する教師レイヤと、生徒の書き込みを記録する生徒レイヤとを合成してノート画面を表示する。なお、本実施形態では、ノート画面に教師レイヤも合成しているが、モニタリング機能のみを実行するのであれば、教師レイヤを設ける必要はない。
【0060】
画像送信部51は、生徒端末3からサーバ4へ画像データを送信するものである。本実施形態において、画像送信部51は、まず最初に背景画像記憶部32に記憶されている使用中の背景画像およびその時点で書込画像記憶部33の生徒レイヤに書き込まれている書込画像をサーバ4へ送信する。その後は、所定の時間間隔で低画質合成画像または差分画像のうち、データサイズが小さい方をサーバ4へ送信するようになっている。また、本実施形態において、画像送信部51は、低画質合成画像を送信した後に差分画像を送信する場合、高画質画像記憶部に記憶されている高画質合成画像と比較して新たに書き込まれた部分を差分画像としてサーバ4へ送信する。
【0061】
重複送信防止部55は、サーバ4において、生徒端末3から受信した背景画像のうち、教師端末2へ一度送信した背景画像を教師端末2へ重複して送信しないようにするものである。本実施形態において、重複送信防止部55は、教師端末2からモニタリングを要求されると、モニタリング対象の全生徒端末3から送信された背景画像を確認する。そして、複数の生徒端末3において同一の背景画像が使用されている場合、その背景画像を一度だけ送信する。
【0062】
なお、本実施形態において、生徒端末3からサーバ4へ送信されるデータには、画像データ(差分画像または低画質合成画像)の他に、生徒を識別する生徒ID、ノート画面を識別するノートID、ノート画面のページを特定するページ番号、画像データが差分画像であるか低画質合成画像であるかを識別する画像タイプ、教師端末2が画像データをダウンロードするための画像URL(Uniform Resource Locator)等が含まれている。
【0063】
一方、サーバ4から教師端末2へ送信されるデータには、上述した生徒ID、ノートID、ページ番号、画像タイプ、画像URLの他、画像データの作成日時および最終更新日時等が含まれている。そして、モニタリングしようとする全生徒端末3分の上記データがサーバ4へ送信されるようになっている。
【0064】
差分画像作成部52は、モニタリング機能を実行する際、生徒端末3において、所定の時間間隔内に新たに書き込まれた部分を差分画像として作成するものである。本実施形態において、差分画像作成部52は、所定の時間間隔で生徒レイヤへの全ての書き込みを取得するとともに、書込画像記憶部33に記憶された書込画像(所定の時間経過前の書込画像)と比較し、新たに書き込まれた部分を差分画像として作成する。具体的には、書込画像内の各ピクセルにつき、前回のピクセル情報と新たなピクセル情報が同一の場合、そのピクセルを透明色とすることで、新たに書き加えられた部分のみが残って差分画像となる。
【0065】
データサイズ算出部53は、モニタリング機能を実行する際、生徒端末3からサーバ4へ送信する画像のデータサイズを算出するものである。具体的には、データサイズ算出部53は、背景画像と書込画像と差分画像とを合成して圧縮した低画質合成画像のデータサイズと、圧縮しない差分画像単体のデータサイズを算出する。
【0066】
生徒画像取得部49は、サーバ4から各生徒端末3の画像データを取得するものである。本実施形態において、生徒画像取得部49は、最初にモニタリングしようとする全生徒端末3のそれぞれから送信された背景画像および書込画像をサーバ4から取得する。その後、生徒画像取得部49は、所定の時間間隔でサーバ4にアクセスし、生徒端末3ごとの低画質合成画像または差分画像を取得する。そして、サーバ4から差分画像を受信した場合、当該差分画像と書込画像記憶部33に記憶されている書込画像とを合成した画像を新たな書込画像として保存する。
【0067】
また、本実施形態では、上述したとおり、サーバ4から教師端末2へ送信されるデータに、画像データの最終更新日時等が含まれている。このため、生徒画像取得部49は、サーバ4から画像データを取得する際、当該画像の最終更新日時が更新されている場合のみ、サーバ4からダウンロードする。一方、最終更新日時が更新されていない場合は、画像データをダウンロードしないことで、データ通信量が抑制される。
【0068】
生徒画像表示部50は、各生徒端末3におけるノート画面を表示するものである。本実施形態において、生徒画像表示部50は、サーバ4から低画質合成画像を受信した場合、圧縮する前の低画質合成画像を復号化してノート画面として表示する。一方、生徒画像表示部50は、サーバ4から差分画像を受信した場合、当該差分画像を背景画像および書込画像と合成してノート画面として表示する。
【0069】
つぎに、本実施形態のオンライン授業支援システム1、オンライン授業支援プログラム1aおよびオンライン授業支援方法による作用について説明する。
【0070】
まず、本実施形態のノート共有機能を用いてオンライン授業を行う場合、図7に示すように、教師端末2からサーバ4に対して、ノート画面を共有しようとする生徒端末3のユーザIDやページ番号等を指定してノート画面の共有を要求する(ステップS1)。この要求を受けたサーバ4は、指定された生徒端末3がノート画面の共有を許可していれば(ステップS2)、指定されたノート画面を表示することを命令する(ステップS3)。
【0071】
これにより、生徒端末3のタッチパネル10には、教師端末2のタッチパネル10に表示されているノート画面と同一のノート画面が表示される(ステップS4)。なお、以下の説明では、教師端末2のノート画面上における書き込みを生徒端末3のノート画面上に反映させる例について説明するが、処理主体を逆にすることで、生徒端末3のノート画面上における書き込みが教師端末2のノート画面上に反映される。
【0072】
教師端末2と生徒端末3との間でノート画面が共有された状態で、教師端末2のノート画面に書き込みが開始されると(ステップS5:YES)、ストロークID払出部41がストロークIDを払い出すとともに(ステップS6:ストロークID払出ステップ)、書込情報取得部42が書込情報を取得する(ステップS7:書込情報取得ステップ)。そして、これらのストロークIDと書込情報とからなる点列データが点列データ送信部43によってサーバ4へ送信される(ステップS8:点列データ送信ステップ)。
【0073】
その後、教師端末2では、所定時間が経過するたびに(ステップS9:YES)、書き込みが継続しているか否かが判定される(ステップS10)。そして、書き込みが継続している限り(ステップS10:YES)、書込情報取得部42により書込情報が取得され(ステップS7)、点列データとしてサーバ4へ送信され続ける(ステップS8)。これにより、1ストローク分の書き込みに係る点列データが、同一のストロークIDが付与された状態でサーバ4へ送信される。
【0074】
一方、1ストローク分の書き込みが終わると(ステップS10:NO)、ノート共有機能を実行している間(ステップS11:NO)、ステップS5へと戻り、新たな書き込みが開始されるたびに、上述したステップS6からステップS10までの処理が実行される。これにより、教師端末2のノート画面上における書き込みは、ストロークごとに異なるストロークIDが付与された点列データとしてサーバ4へ送信される。
【0075】
サーバ4では、教師端末2から所定の時間間隔で送信されてくる点列データを受信し(ステップS12)、点列データ記憶部35に順次、保存する(ステップS13)。これにより、サーバ4には、教師端末2のノート画面における書き込みを再現するための点列データが、常に最新の状態で蓄積される。
【0076】
一方、教師端末2とノート画面を共有している間、生徒端末3では、点列データ取得部44が、所定の時間間隔でサーバ4にアクセスし、ノート画面を共有中の教師端末2の点列データを取得する(ステップS14:点列データ取得ステップ)。そして、書込再現部45が、ストロークIDが同一の書込情報に基づいて、教師端末2における書き込みを生徒端末3のタッチパネル10上に再現する(ステップS15:書込再現ステップ)。
【0077】
その後、生徒端末3では、ページ要求部46によって、現在表示中のノート画面とは異なる他のページが要求されない限り(ステップS16:NO)、所定の時間間隔が経過するたびに(ステップS17:YES)、点列データ取得部44がサーバ4から点列データを取得し(ステップS14)、書き込みを再現する(ステップS15)。これにより、教師端末2のノート画面上で、図8(a)に示すような書き込みが行われると、生徒端末3のノート画面でも、図8(b)に示すように、教師による書き込みがリアルタイムで再現される。
【0078】
また、本実施形態では、書込再現部45が、間欠的な座標群(書込位置)からなる点列を3次ベジェ曲線で補間しながら連結する。これにより、教師による書き込みが、一繋がりの滑らかな曲線としてノート画面に表示される。このため、教師端末2のノート画面上で書き込まれた際のスタイラスペンや指の動きまでもが、生徒端末3のノート画面上で高精度に再現される。
【0079】
なお、本実施形態では、教師端末2一台と、複数台の生徒端末3との間でノート共有機能を実行している。このため、教師端末2における書き込みは、全ての生徒端末3におけるノート画面のそれぞれにおいて同時に再現される。一方、各生徒端末3における書き込みは、それぞれ異なる内容となるため、教師端末2のノート画面上には再現されないようになっている。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、教師端末2と生徒端末3とが1対1でノート画面を共有する場合等は、お互いの全ての書き込みが両端末のノート画面上で同時に再現されるようにしてもよい。
【0080】
一方、生徒端末3において、現在表示中のノート画面とは異なる他のページが要求されると(ステップS16:YES)、ページジャンプ処理が実行される(ステップS18)。具体的には、図9に示すように、まず、ページ要求部46が、指定されたページ番号をサーバ4へ送信し(ステップS21)、サーバ4側で受信されると(ステップS22)、点列データ圧縮部54が、当該ページに対応付けて記憶されている全ての点列データを点列データ記憶部35から取得する。(ステップS23)。
【0081】
つぎに、点列データ圧縮部54は、取得した各点列データに含まれる書込位置を示す時系列の座標のうち、二番目以降の座標群を一つ前の座標に対する相対座標に変換するともに(ステップS24)、当該相対座標のそれぞれを一つの文字または記号に変換する(ステップS25)。これにより、点列データのデータサイズが大幅に圧縮されるため、教師端末2や生徒端末3へ送信する際の通信量が低減し、通信ネットワークにかかる負荷が抑制される。
【0082】
圧縮された点列データは、指定されたページに対応する背景画像とともに、ノート画面を共有中の教師端末2および生徒端末3のそれぞれに送信される(ステップS26)。一方、教師端末2および生徒端末3のそれぞれは、サーバ4から背景画像および圧縮された点列データを受信すると(ステップS27)、点列データ復号部47が点列データを元通りに復号化し(ステップS28)、当該点列データに基づいて背景画像に全ての書き込みを一度に表示する(ステップS29)。
【0083】
これにより、過去に行われた書き込みが数百ストローク分、および数万点分の点列であっても、通信ネットワークへの負荷をそれほど増大させることなく、指定されたノート画面が過去の書き込みとともに短時間でスムーズに再現される。
【0084】
つぎに、本実施形態のモニタリング機能を用いてオンライン授業を行う場合の処理について、図10および図12を参照しつつ説明する。なお、図10図12のフローチャートでは、表記を簡素化するため、各種の画像データを以下のアルファベットで表記している。
A:背景画像
B:書込画像
C:Bに対する差分画像
D:書込画像と差分画像とを合成した高画質合成画像(B+C)
E:Dに対する差分画像
【0085】
図10に示すように、オンライン授業が開始されると、生徒端末3では、表示制御部48が背景レイヤの背景画像Aと、生徒レイヤの書込画像Bとを合成してノート画面を表示するとともに(ステップS31)、画像送信部51が当該背景画像Aおよび書込画像Bをサーバ4へ送信する(ステップS32)。
【0086】
これにより、サーバ4では、各生徒端末3から背景画像Aおよび書込画像Bを受信すると(ステップS33)、それぞれの画像データをそれぞれの生徒端末3に対応付けて背景画像記憶部32および書込画像記憶部33に保存する(ステップS34)。この状態で、教師端末2からサーバ4に対してモニタリングが要求されると(ステップS35)、重複送信防止部55が、モニタリング対象の全生徒端末3における背景画像Aが送信済みであるか否かを判定する(ステップS36)。
【0087】
その判定の結果、未送信の背景画像Aがあれば(ステップS36:NO)、教師端末2へ送信するとともに(ステップS37)、書込画像Bを送信する(ステップS38)。一方、背景画像Aは送信済みであれば(ステップS36:YES)、書込画像Bのみを送信する(ステップS38)。これにより、サーバ4から教師端末2に対して重複する背景画像Aの送信が防止されるため、通信量が抑制される。
【0088】
つづいて、教師端末2では、生徒画像取得部49が、モニタリング対象となる全生徒端末3分の背景画像Aおよび書込画像Bをサーバ4から受信すると(ステップS39)、それらの画像データを生徒端末3のそれぞれに対応付けて背景画像記憶部32および書込画像記憶部33に保存する(ステップS40)。そして、生徒画像表示部50が、各生徒端末3ごとに背景画像Aおよび書込画像Bを合成して表示する(ステップS41)。
【0089】
これにより、教師端末2のタッチパネル10には、図11に示すように、モニタリング対象とした全生徒端末3のノート画面がリアルタイムで一覧表示される。なお、図11では、生徒に対する注目度等に応じて、ノート画面の表示サイズを大・中・小の3種類に設定しているが、この構成に限定されるものではなく、全てのノート画面を同一サイズで表示してもよい。
【0090】
一方、生徒端末3では、最初に背景画像Aおよび書込画像Bをサーバ4へ送信した後(ステップS32)、差分画像作成部52が、所定の時間が経過するたびに(ステップS42:YES)、生徒レイヤへの全ての書き込みを取得し(ステップS43)、書込画像記憶部33に記憶された書込画像Bと比較して新たに書き込まれた部分を差分画像Cとして作成する(ステップS44)。
【0091】
つぎに、データサイズ算出部53が、背景画像A、書込画像Bおよび差分画像Cの3枚を合成して圧縮した低画質合成画像のデータサイズと、圧縮しない差分画像Cのみのデータサイズを算出し(ステップS45)、サーバ4へ送信すべき画像データを決定する。また、書込画像Bと差分画像Cとを合成した画像が、新たな書込画像Bとして書込画像記憶部33に記憶される(ステップS46)。
【0092】
そして、画像送信部51が、低画質合成画像または差分画像Cのうち、ステップS45で算出されたデータサイズが小さい方をサーバ4へ送信する。すなわち、低画質合成画像の方が小さければ(ステップS47:NO)、低画質モードとなり、前回も低画質モードであれば(ステップS48:NO)、低画質合成画像をサーバ4へ送信する(ステップS50)。一方、前回は高画質モードであった場合(ステップS48:YES)、書込画像Bと差分画像Cとを合成した画像を別途、高画質合成画像Dとして高画質合成画像記憶部34に記憶した後(ステップS49)、低画質合成画像をサーバ4へ送信する(ステップS50)。
【0093】
一方、ステップS45で算出されたデータサイズが、差分画像Cの方が小さい場合(ステップS47:YES)、高画質モードとなり、前回も高画質モードであれば(ステップS51:NO)、そのまま差分画像Cをサーバ4へ送信する(ステップS53)。一方、前回は低画質モードであった場合(ステップS51:YES)、高画質合成画像Dと比較して新たに書き込まれた部分を差分画像Eとして送信する(ステップS52)。
【0094】
これにより、一旦、低画質モードで低画質合成画像が送信されている間、サーバ4および教師端末2では、その間の高画質な差分画像を取得することができないものの、再度、高画質モードになったときに、低画質モードになる前の書込画像Dを基準とした差分画像Eが送信される。このため、高画質モードと低画質モードとが転々と切り替わっても、後述するとおり、教師端末2において、正確に高画質合成画像を再現することが可能となる。
【0095】
一方、サーバ4では、図12に示すように、生徒端末3のそれぞれから低画質モードにおける低画質合成画像、または高画質モードにおける差分画像C,Eを所定の時間間隔で次々と受信し(ステップS54)、これらの画像データが各生徒端末3に対応付けてモニタリング画像記憶部36に順次保存される(ステップS55)。
【0096】
他方、モニタリングを要求した教師端末2は、各生徒端末3ごとに背景画像Aおよび書込画像Bを合成して表示した後(ステップS41)、所定の時間が経過するたびに(ステップS56:YES)、生徒画像取得部49がサーバ4にアクセスし、生徒端末3ごとの低画質合成画像または差分画像C,Eを取得する(ステップS57)。
【0097】
このとき、本実施形態では、生徒画像取得部49が、書き込みが更新されている画像データのみサーバ4からダウンロードし、書き込みが更新されていない画像データはダウンロードしないため、通信ネットワークに係る負荷が低減される。
【0098】
そして、サーバ4から取得した画像が低画質合成画像の場合(ステップS58:圧縮後A+B+C)、生徒画像表示部50が当該低画質合成画像を復号化して表示する(ステップS59)。また、サーバ4から取得した画像が差分画像Cの場合(ステップS58:C)、生徒画像表示部50が、図13(a)に示すような背景画像Aと、図13(b)に示すような書込画像Bと、図13(c)に示すような差分画像Cとを合成し、図13(d)に示すようなノート画面(A+B+C)として表示する(ステップS60)。そして、書込画像Bと差分画像Cとを合成した画像を新たな書込画像Bとして保存する(ステップS61)。
【0099】
同様に、サーバ4から取得した画像が差分画像Eの場合(ステップS58:E)、生徒画像表示部50が当該差分画像Eを背景画像Aおよび書込画像Bと合成してノート画面(A+B+E)として表示する(ステップS62)。そして、書込画像Bと差分画像Eとを合成した画像を新たな書込画像Bとして保存する(ステップS63)。
【0100】
これにより、教師端末2において複数の生徒端末3におけるノート画面をリアルタイムでモニタリングする際の通信量が低減されるとともに、高い画質が維持される。また、高画質モードと低画質モードとが時々刻々と切り替えられても、低画質モードになる直前の高画質画像が保存されているとともに、低画質モード中の差分画像が別途、保存されているため、確実かつ正確に各生徒端末3のノート画面を再現することが可能となる。
【0101】
なお、モニタリング機能を実行中の教師端末2において、一覧表示されている生徒端末3のノート画面のうち、いずれかのノート画面をタッチ等して生徒を選択すると(ステップS64:YES)、当該生徒の生徒端末3と教師端末2との間で、上述したノート共有機能が実行される。これにより、教師は、モニタリング中に個人的な指導等が必要な生徒がいれば、当該生徒のノート画面に対してヒントやアドバイスを個別に書き込むことが可能となる。
【0102】
一方、モニタリング機能を実行中の教師端末2において、生徒の選択がない限り(ステップS64:NO)、ステップS56へと戻り、所定時間が経過するごとに(ステップS56:YES)、生徒画像取得部49がサーバ4にアクセスし、生徒端末3ごとの画像データを取得することによって(ステップS57)、各生徒端末3のノート画面がリアルタイムで再現される。
【0103】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.他端末におけるノート画面への書き込みを自端末のノート画面上にリアルタイムで再現し、教師端末2と生徒端末3との間で双方向性およびリアルタイム性に優れたオンライン授業を行うことができる。
2.教師は生徒の手元の動きをリアルタイムで確認できるため、授業への理解度や集中度など、生徒の状況を把握しやすい。
3.生徒は教師の板書内容がリアルタイムで自端末のノート画面に書き込まれるため、板書を写す作業が不要となり、授業への理解度や集中度が向上する。
4.過去に書き込みが行われたノート画面を表示する際の通信ネットワークに係る負荷を低減することができる。
5.サーバ4によって圧縮された点列データを正確に復号化することができる。
6.教師端末2において複数の生徒端末3におけるノート画面をリアルタイムで一覧表示する際の通信量を低減するとともに、画質の低下を抑制することができる。
7.サーバ4から教師端末2への重複送信を防止し通信量を抑制することができる。
【0104】
なお、本発明に係るオンライン授業支援システム1、オンライン授業支援プログラム1aおよびオンライン授業支援方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 オンライン授業支援システム
1a オンライン授業支援プログラム
2 教師端末
3 生徒端末
4 サーバ
10 タッチパネル
20 通信手段
30 記憶手段
31 プログラム記憶部
32 背景画像記憶部
33 書込画像記憶部
34 高画質合成画像記憶部
35 点列データ記憶部
36 モニタリング画像記憶部
40 演算処理手段
41 ストロークID払出部
42 書込情報取得部
43 点列データ送信部
44 点列データ取得部
45 書込再現部
46 ページ要求部
47 点列データ復号部
48 表示制御部
49 生徒画像取得部
50 生徒画像表示部
51 画像送信部
52 差分画像作成部
53 データサイズ算出部
54 点列データ圧縮部
55 重複送信防止部
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