(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060650
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】袋の内容物を排出する装置および袋の内容物を排出するためのユニット
(51)【国際特許分類】
A47K 11/06 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A47K11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168039
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】509165792
【氏名又は名称】多摩川クラフト有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】水津 慎吾
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036CB00
2D036HA45
2D036HA47
2D036HA85
(57)【要約】
【課題】 袋に収容された内容物を容易にかつ場所を選ばず排出することができる装置およびユニットを提供する。
【解決手段】 本発明の袋200の内容物300を排出するための装置10は、底部11、底部11に対向する開口部12、および底部11に設けられた排出口13を含む容器本体1と、容器本体1の開口部12を塞ぐ蓋部2と、容器本体1の底部11から上部に向かって形成された突起3と、を備え、容器本体1の底部11の外面11aが平坦面であるので、作業者が触れることなく内容物300を袋200から容易にかつ場所を選ばず排出させることができるとともに、袋の内側の面を洗浄することができ、特に排泄物などの汚物および危険物などの処理に適している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、前記底部に対向する開口部、および前記底部に設けられた排出口を含む容器本体と、
前記容器本体の前記開口部を塞ぐ蓋部と、
前記容器本体の底部から上部に向かって形成された突起と、
を備え、
前記容器本体の底部の外面が平坦面に設置可能である、袋の内容物を排出するための装置。
【請求項2】
前記蓋部の周端面が、前記容器本体の前記開口部の内面に接している、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記蓋部が開閉可能な開口部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記突起はチャネルを有し、前記チャネルの一方の開口は、前記突起の底部に設けられており、他方の開口は、前記容器本体の前記排出口に連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置と、
前記装置の前記底部の前記外面を設置可能な上部を有するリザーバと
を備える、袋の内容物を排出するためのユニットであって、
前記装置の前記排出口から排出された内容物は、前記リザーバの上部の開口部からリザーバに排出される、ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋に収容された内容物を容易に排出することができる装置およびユニットを提供する。
【背景技術】
【0002】
介護施設や病院等では、簡易式携帯トイレがよく使用される。このような簡易式携帯トイレは、一般的に、バケツ状の容器に汚物(し尿)を貯留するものが多い。たとえば、容器の中にポリエチレン製の袋を一重あるいは二重に広げてセットしたものである。溜まった汚物の処理方法は、たとえば汚物を凝固剤で固めて袋のまま取り出して焼却する方法が知られている。
【0003】
また、介護用ポータブルトイレの汚物処理方法として、特許文献1には、溶解温度摂氏60度以上の熱水溶解フィルムを使用した多層構造の袋を用いる方法が記載されている。この方法は、汚物を収容した汚物処理袋をトイレに入れて溶解温度以上の熱水を注ぎ、袋を溶解して汚物とともに下水に流す方法である。
【0004】
また、特許文献2には、簡易のトイレパック内に糞尿を受け、発熱処理に対応した処理容器内で糞尿を処理して衛生的に廃棄する糞尿処理方法が記載されている。この方法では、容器状のトイレパック内に受けた糞尿に糞尿処理剤を混合した後、この混合物をトイレパックごと処理容器内で発熱処理する方法である。
【0005】
また、野外スポーツイベント、祭り、芸能イベントおよびキャンプ大会などで使用される、大勢が使用する箱型の大型仮設トイレの場合には、汚物が数百リットル以上の大容量になる。したがって、このような場合には、し尿処理業者等に委託して重機による処理作業をすることが多い。
【0006】
しかし、休日の家庭でのキャンプなどで使用される20リットル未満の小型簡易トイレのような場合には、収容できる汚物の量が少量であり、このような少量の汚物に対して、凝固剤で固めて焼却したり、熱水処理あるいは発熱処理したりするのは手間やコストがかかる。このような場合は、汚物を水洗トイレや浄化槽にそのまま流して洗浄することができれば、衛生的であり、かつ心理的にも自然環境保護的にも現実的である。
【0007】
ただし、汚物を水で流し出すためには、口を縛った貯留袋を手で引き上げて、刃物で袋の底などを切るか、引き裂く等のいずれかの破袋作業を行い、袋から汚物を出す必要がある。このような作業は、危険性を伴い、身体的にも重く、汚物が手に直接触れる事も懸念されるため、作業者の精神衛生上、非常に過酷で不快な作業になる。
【0008】
また、この方法では、破袋し中身を取り出すことができたとしても、袋の中まで洗浄することが非常に困難である。もし、袋の中まで完全に洗浄する場合、人の手で袋を裏返す作業をしなければならず、さらに過酷で不快な作業となる。そのため、し尿や紙類の残留物が付着したままの袋を、一般ごみとして焼却処理に出さざるを得ないのが現状であり、衛生管理上の懸念材料となっている。
【0009】
このような背景を受け、本発明者は、特許文献3において、袋の内容物を排出する装置を提案している。特許文献3に記載された装置であれば、し尿等の汚物を収容した袋の内容物を、人の手に触れることなく簡単に水洗トイレ等に流すことができ、さらに人の手で袋を裏返すことなく、袋の中まで洗浄することができる。
【0010】
ただし、特許文献3の装置は、容器本体の底部が排出口となる突起部を備えているため、内容物の排出先が、典型的には専用のトイレやマンホールに限られていた。そのため、トイレや特定のマンホールが近くにない場合、わざわざそこまでたとえば汚物を収容した容器を持ち運ぶ必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006-296399号公報
【特許文献2】特開2009-95453号公報
【特許文献3】特許第571820号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、し尿等の汚物を収容した袋の内容物を、人の手に触れることなく簡単にかつ場所を選ばず排出することができ、さらに人の手で袋を裏返すことなく、袋の中まで洗浄する技術が求められている。
【0013】
また、し尿に限らず、たとえば収容物が何らかの汚染物質であった場合も、人の手に触れることなく簡単にかつ場所を選ばず排出することができ、さらに人の手で袋を裏返すことなく、袋の中まで洗浄する技術が求められている。
【0014】
本発明の目的は、袋に収容された内容物を容易に且つ場所を選ばずに排出することができる装置およびユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明は、底部、前記底部に対向する開口部、および前記底部に設けられた排出口を含む容器本体と、前記容器本体の前記開口部を塞ぐ蓋部と、前記容器本体の底部から上部に向かって形成された突起とを備え、前記容器本体の底部の外面が平坦面に設置可能な形状である、袋の内容物を排出するための装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、上記装置において、前記蓋部の周端面が、前記容器本体の前記開口部の内面に接している装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記装置において、前記蓋部が開閉可能な開口部を備える装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記装置において、前記突起はチャネルを有し、前記チャネルの一方の開口、前記突起の底部に設けられており、他方の開口は、前記容器本体の前記排出口に連通にしている装置を提供する。
【0019】
さらに、本発明は、上記装置と、前記装置の前記底部の前記外面を設置可能な上部を有するリザーバとを備える、袋の内容物を排出するためのユニットであって、
前記装置の前記排出口から排出された内容物は、前記リザーバの上部の開口部からリザーバに排出される、ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の装置は、袋に収容された内容物を容易にかつ場所を選ばず排出することができる。また、本発明の装置は、作業者が触れることなく内容物を袋から容易に且つ場所を選ばず排出させることができるとともに、袋の内側の面を洗浄することができる。したがって、特に排泄物などの汚物および危険物などの処理に適している。本発明の装置は、底部が平坦面であるため、どのような平面にも設置することができる。
【0021】
また、本発明のユニットは、袋に収容された内容物を容易にかつ場所を選ばず排出したものを貯留することができる。本発明のユニットは、底部が平坦面に設置できる形状である装置と対応する上面を有するリザーバとを備えることにより、袋の内容物を飛び散ることなくリザーバ内に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】
図1に示す装置のII-IIに沿った概略断面図である。
【
図4】本発明のユニットの一例を示す概略断面図である。
【
図5】本発明の装置を用いて袋の内容物を排出する方法の一例を示す図である。
【
図6】
図5に続く、本発明の装置を用いて袋の内容物を排出する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の装置は、袋の内容物を排出する装置である。本発明の装置で処理される被処理物、すなわち袋の内容物は、流動性のある液体、固体および粉粒体などであることができ、たとえば排泄物(し尿)および土砂などであることができる。本発明の装置は、作業者が触れることなく内容物を袋から容易に且つ場所を選ばずに排出させることができる。また、本発明の装置は、作業者が手で裏返すことなく袋を裏返して、袋の内側の面を洗浄することができる。そのため、本発明の装置は、特に排泄物などの汚物および危険物などの処理に適している。
【0024】
また、本発明のユニットは、本発明の装置とリザーバとを具備するが、たとえば自動車(たとえば、軽トラック)に積載することが容易である。本発明のユニットは、軽トラックに積載すれば移動できるので、内容物がし尿などの汚物である場合、し尿の収集と運搬と処分に係わる問題を同時に解決することができる。また、状況によってはし尿を流すのに使用可能なマンホールやトイレを即時に確保できない場合もあるが、その場合は一時的に汚物をリザーバに貯留して管理する方法も可能になる。
【0025】
以下、本発明の装置およびユニットを図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下は単なる例示であり、本発明は図示した態様に限定されるものではない。
【0026】
[袋の内容物を排出するための装置]
図1は、本発明の、袋の内容物を排出するための装置(以下、単に装置ともいう)の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す装置のII-IIに沿った概略断面図である。
図3は、
図2のIII部の概略拡大図である。
【0027】
本発明の装置10は、容器本体1を含む。
【0028】
容器本体1は、底部11、底部11に対向する開口部12および底部11に設けられた排出口13を含む。なお、
図1~3では、開口部12は、後述する蓋部2によって塞がれている。
【0029】
容器本体1は、上部から下部に向かって袋の内容物が流れることが可能な任意の形状であることができる。たとえば、容器本体1は、
図1に示すように円柱状でもよいし、角柱状などの形状でもよい。
図1に示す例では、容器本体1は、円筒形である。また、容器本体1の材料は、特に限定されず、たとえば金属、プラスチックおよびFRPなどの任意の材料であることができる。たとえば、容器本体1の材料は、金属製のドラム缶である。
【0030】
容器本体1は、底部11の周縁部から上方に向けて延びた側面14を有する。側面14の上端部の内側が開口部12であり、側面14の上端部の外側の周に沿って引っ掛かり部15が設けられている。
図3には、引っ掛かり部15に蓋部2が置かれた状態の拡大図を示す。
【0031】
容器本体1の上部に設けられた開口部12は、容器本体1の上部全体またはその一部であることができる。開口部12は、被処理物が収容された袋を投入することができる任意の形状であることができる。
【0032】
容器本体1の排出口13は、袋の内容物を容器本体1から排出する開口部である。排出口13は、容器本体1の底部11のどこに形成されてもよい。たとえば、排出口13は、
図2に示すように、容器本体1の底部11の中心に設けられてもよいし、中心からずれた位置、たとえば端に近い位置に設けられてもよい。また、排出口13は、単に底部11に形成された開口部であるだけでなく、
図2に示すように、その下端が底部11から伸張して突出していてもよい。ただし、排出口13が突出する長さは、底部の外面11aよりも短い。また、排出口13は、ドア16を備えていてもよい。ドア16は、排出口13をふさぐように底部11に設置され、下方外側に向かって開放できるものである。
【0033】
本発明の装置10では、底部11が平坦面に設置可能である。平坦面に設置可能であるとは、底部11に実質的に突起等がなく、底部11が底部11自体が平坦で容器本体1の底面である形状あってもよい。また、底部11の底面は、完全な平面である必要はなく、
図2に示すように隆起があったとしても、平坦面に設置可能である。
図2に示した底部11は、装置10の底面と共に、底面の外周に、側面14から伸張した外面11aを有する。また、
図2に示した装置10では、容器本体1の底部11に排出口13が設けられており、排出口13から排出口13の下端が突出している。しかし、排出口13の下端が下方に突出する長さよりも外面11aが底面から伸張する長さの方が長い。したがって、底部11を平坦面に設置したときに、平坦面と接するのは外面11aであり、排出口13の下端が平坦面と接することはなく、平坦面に設置可能である。
【0034】
容器本体1の底部11の底面において、排出口13の導出のために外面11aよりも長く伸張する出っ張りがある場合、内容物を流すために穴の空いたマンホールや専用の台にその出っ張りを挿入した状態で乗せることができるものの、マンホールがない場合やマンホールが破損していた場合、または専用の台がトイレの近くにない場合、袋の中の内容物をすぐに排出できない。また、容器本体1を特定の高さに設置して、排出口13の出っ張りが宙に浮くように高くするための設置台が必要となってしまう。一方、本発明の装置10は、詳細は後段の実施例において説明するが、容器本体1の底部11の外面11aが平坦面であることにより、排出する収容物を貯留する容器に安定に乗せることができる。つまり、本発明の装置10は、袋に収容された内容物を、場所を選ばず排出することができる。
【0035】
蓋部2は、
図2に示すように、容器本体1の開口部12を塞いでいる。
図1~
図3に示す例では、特に
図3に詳細に示すように、蓋部2の周端面21が、容器本体1の開口部12の内面12aに接している。そして、蓋部2の周端面21の上方には、引っ掛け部23が設けられている。蓋部2の引っ掛け部23は、
図3に示すように、容器本体1の引っ掛かり部15に引っ掛けることができる。
【0036】
蓋部2の周端面21が容器本体1の開口部12の内面12aに接するように、すなわち蓋部2が容器本体1の開口部12の中に収まるように該開口部12を塞ぐことにより、容器本体1内で袋の内容物を処理する際、内容物の一部が容器本体1の外側に飛び散ったり、漏れ出すようなことを防ぐことができる。また、蓋部2を閉じることにより、容器本体1内の内容物起因の臭気を外部に放出するのを防ぐことができる。蓋部2の周端面21が容器本体1の開口部12の内面12aに接することが重要であり、周端面21と内面12aの間にたとえ少しの隙間があったとしても、容器本体1の外側に内容物が漏れ出ることがない。一方、蓋部2の周端面21が容器本体1の開口部12の外面に接する場合は、周端面21と容器本体1の外面の間に隙間があった際には、容器本体1の外側に内容物が漏れ出る可能性がある。
【0037】
例示する蓋部2は、開閉可能な開口部22をさらに備えている。詳細は後段の実施例において説明するが、この開口部を通して、袋の一端のみを外に出し、刃物等で切ることにより、袋の内容物を容易に排出することができる。また、袋を切った後に開口部22を閉じれば、袋の内容物が開口部22を通して外に漏れ出すのを防ぐこともできる。そして、開口部22にホース等を入れ込み、そこから洗浄液を容器本体1に注ぐこともできる。
【0038】
蓋部2の材料は、特に限定されない。蓋部2は、容器本体1と同じ材質でもよいし、異なる材質でもよい。
【0039】
本発明の装置10は、容器本体1の底部11から上部に向かって形成された突起3をさらに有している。
【0040】
突起3は、容器本体1内に投入された袋の底を支持することにより、袋を裏返すための突起である。本発明の装置10は、突起3を備えることにより、容器本体1内に投入された袋を裏返して内容物を効率よく袋から排出させることができる。突起3は、容器本体1内の任意の場所に設けることができる。突起3は、特に容器本体1内の略中央部分に設けることにより、袋を効率よく裏返すことができる。
【0041】
ここで説明する例では、突起3は円柱状の突起である。しかし、突起3の形状は特に限定されず、袋の底を支持して袋を裏返すことができる形状であれば特に限定されない。たとえば、突起3の形状は、円錐状、円錐台状、角柱状および角錐台状などの任意の形状であることができる。また、突起は、特許文献3に記載しているような、底部に垂直な棒状部材と、棒状部材の先端に設けられた支持部とによって構成されてもよい。
【0042】
突起3が上述したような形状であれば、袋の底を支持して袋を裏返すことができるため、袋の内容物を効率よく袋から排出させることができる。特に突起3の形状が円錐状であれば、裏返された袋が突起3の周りにうまく貼り付くため、袋の内面を効率よく洗浄することができる。
【0043】
図2に示す突起3は、チャネル32を有し、チャネル32の一方の開口32aは、突起3の上部に設けられており、他方の開口32bは、容器本体1のチャネル32の下端にて排出口13に連通している。容器の内容物は、突起3のチャネル32から排出口13を介して排出口13の突出した下端から排出される。
【0044】
チャネル32は、袋の内容物の排出口13への通路となる。チャネル32の一方の開口32bが突起3の底部31に設けられていることにより、突起3の底部に内容物が滞留するのを防ぐことができる。
【0045】
突起3の材質は、特に限定されない。突起3は、プラスチック製であってもよく、たとえば塩化ビニル製の突起である。
【0046】
また、本発明の装置10は、容器本体1の開口部12から容器内に袋を吊り下げるための鉤部をさらに備えてもよい。鉤部は、たとえば袋の口を縛った紐などを引っ掛けることができる形状であればよい。鉤部は、たとえば蓋部2に設けられてもよい。また、鉤部は、蓋部2の内側に設けられて、蓋部2から垂直方向に突出して形成されてもよい。鉤部は、さらに水平方向に折り畳むことが可能なように形成されてもよい。また、鉤部は、水平方向に折り畳んだときに蓋部2に形成された穴を覆うように構成されてもよい。鉤部を設けることによって、重い袋を持って容器本体1内に投入する負担を軽減することができ、また容器本体1の中央に確実に袋を投入することが可能になる。また、鉤部が蓋部2に設けられる場合、袋を鉤部に引っ掛けた状態で蓋部2を閉めた後に袋の口を切断することができ、袋の内容物が容器本体1の外側に飛び散ることを防ぐことができる。
【0047】
本発明の装置10は、容器本体1内を洗浄する洗浄手段をさらに備えてもよい。洗浄手段は、容器本体1内に液体を散水する散水手段および容器内に気体を吹き付ける送風手段などであることができる。洗浄手段は、容器本体1の上部、たとえば開口部12の縁などに設けられてもよい。また、洗浄手段は、蓋部2に設けられてもよい。本発明に用いる洗浄手段は、中心から周囲に幅広く液体または気体を噴出する中心散水式であってもよい。また、本発明に用いる洗浄手段は、たとえば、環状の管に形成された多数の孔から液体または気体が噴出される円環散水式であってもよい。散水される液体は、任意の液体であることができる。散水される液体は、たとえば水および洗浄液などであることができる。また、送風される気体は、任意の気体であることができる。送風される気体は、たとえば空気および清浄空気などであることができる。送風手段として、たとえばエアシャワーなどを用いることができる。洗浄手段により、袋から内容物を洗い流し、または吹き落とし、排出口から効率よく排出させ、さらに容器内および容器内に残る袋を洗浄することができる。
【0048】
本発明の装置10は、たとえば蓋部2の開口部22からホースを入れ込むこともできるので、装置10自体に洗浄装置がなくてもよい。
【0049】
本発明の装置10で処理される袋は、特に限定されないが、本発明の装置10内で突起3に支持されたときに裏返ることが可能な程度に柔軟な素材からなる袋であることが好ましい。
【0050】
本発明の装置10であれば、排泄物などの汚物を処理する場合に、直接手で触れず、かつ目にすることもなく簡単にかつ場所を選ばずに処理することができる。したがって、たとえば野外イベント、アウトドアスポーツ、工事、災害および事故等で使用される携帯式簡易トイレの排泄物の処理に好適に利用可能である。また、本発明の装置10であれば、袋の内容物を短時間で効率的に排出できるため、たとえば災害用の土嚢の土砂などを取り出す際にも有用である。
【0051】
本発明の装置10は、たとえば以下の手順で製造できる。ただし、本発明の装置10の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
【0052】
まず、容器本体1となる、たとえば有底筒状の容器を準備する。容器の底部11に排出口13をたとえばネジ穴加工で形成する。また、側面14の開口部12に沿った外側周縁に、引っ掛け部15を成形する。かくして、容器本体1を準備する。
【0053】
一方で、突起3となる有底筒を準備し、開放端に開口32aを開ける。また、開放端の周縁部外側を排出口13のネジ穴に合うように雄ねじ加工する。かくして、突起3を準備する。
【0054】
また、蓋部2となる板状部材を準備する。この板状部材に、開閉可能な開口部22を形成する。また、板上部材の周端面21に引っ掛かり部23を形成する。かくして、蓋部2を準備する。
【0055】
そして、容器本体1の排出口に突起3をねじ込み、容器本体1を蓋部2で閉じることにより、本発明の一例の装置10を製造できる。
【0056】
図9には、本発明の装置1の一例について簡単な概略図を示す。
図9の外観図および下面の図は、容器本体1を蓋部2で閉じている斜視図である。
図9の透視図は、容器内を透視して描いた図である。
図9の差し込み部分の図は、底部11に開口部を形成するための開口部部材と共に突起3を示している。開口部部材には、排出口13の中央に開口部を有し、開口部の周りに突起3を固定するようにくぼみを設けてある。
図9の右上は、突起3を示す。突起3の下方には、チャネル32が形成されている。
図9の右下は、突起3を設置していない装置1を示す。
【0057】
[袋の内容物を排出するためのユニット]
次に、本発明の袋の内容物を排出するためのユニット(以下、単にユニットともいう)を
図4を参照しながら説明する。
【0058】
図4に示すユニット100は、
図1~
図3を参照しながら先に説明した装置1を備える。
【0059】
また、ユニット100は、リザーバ4をさらに備える。リザーバ4は、その上面に上部42を有し、上部42は、装置10の容器本体1の底部11の外面11aに接する。リザーバ4は、その上面に容器本体1を設置することができる任意の形状であることができる。リザーバ4の上部42は、容器本体1を上部42の上に設置したときに、装置10が移動しない形状であることが好ましい。たとえば、容器本体1の底部11と上部42が勘合する形状とすることにより、容器本体1がリザーバ4の上部42上で移動することがない。また、上部42は、開口部43を有する。リザーバ4において、開口部43は、装置10の排出口13から排出された内容物をリザーバ4内に全て収容できるように設置される。たとえば、また、開口部43および排出口13は、互いに勘合可能な形状としたり、開口部43の口径を排出口13の口径よりも大きくすることにより、排出口13からの内容物が上面42に漏れ出ないように設置することができる。また、開口部43は、管41を備えていてもよい。容器本体1内の内容物は、排出口13に接続された開口部43および管41を通って、リザーバ4内に排出され、内容物を上面42の開口部43の周囲に漏らすことなく、リザーバ4内に移動させることができる。
【0060】
装置1の排出口13は、排出口13と開口部43との間に開閉自在のドア16が配置されてもよい。
【0061】
蓋部2の開口部には、栓24が挿入されてもよく、それにより容器本体1が密閉されている。
【0062】
このような本発明のユニット100であれば、袋に収容された内容物を容易にかつ場所を選ばず排出したものを、排出口13およびこれに接続された開口部4を通して、リザーバ4に移動でき、そこで貯留することができる。
【0063】
リザーバ4の材質は、特に限定されず、容器本体1と同じ材質でもよいし、たとえば防汚処理が施されたプラスチック製であることができる。管41の材質も、特に限定されず、リザーバ4と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【実施例0064】
〔実施例〕
図1~
図3に示した本発明の装置10および
図4に示したユニット100を用いて、
図5および
図6に示す手順にて、袋の内容物を排出した。
【0065】
図7および
図8は、本発明の装置10およびユニット100の一例を示す図である。
図7は、上段に上面図、下段には、正面図(左)、側面図(中央)および正面図に示したA-A断面図(右)を示してある。図中の番号は、右上に示した製品名を示す。
図8は、
図7におけるA-A断面図である。また、図中の数字は、寸法(cmで表示)の一例を示している。また、図中の右上段には、各部材の例を示してある。
【0066】
まず、
図5の(A)に示すように、本発明の一例の装置10を準備する。装置10の説明は、
図1~
図3を参照した先の説明を参照されたい。なお、蓋部2の開口部は、栓24で塞がれている。
【0067】
次に、排出したい内容物を収容した袋200を準備する。袋200の口は、紐201で縛られており、それにより袋200は、密封されている。
【0068】
さて、先ほど準備した装置10の蓋部2を開ける。ついで、蓋部2から栓24をとり、
図5(B)に示すように、開口部22から袋200の紐201を通した状態で、袋200を蓋部2にぶら下げる。この状態で蓋部2で容器本体1に蓋をすることで、
図5(C)に示すように、袋200を容器本体1の開口部12から投入する。
【0069】
次に、以上のようにして袋200を投入した装置1を、
図5(D)に示すように、リザーバ4上に設置する。この際、
図4を参照しながら説明したように、装置1の排出口13をリザーバ4の管41に接続する。リザーバ4は可動式であり、装置1の容器本体1の底部11の外面11aは平坦面であるため、
図5(D)の工程は場所を選ばずに行うことができる。かくして、
図4に示す状態のユニット100に袋200が投入された状態となる。
【0070】
さて、蓋部2で容器本体1を塞ぐと、
図5(C)に示すように、袋200の底の部分が突起3の先端に接触して支持される。この状態で紐201を支える力を弱めると、
図6(a)に示すように、袋200の突起3の先端に接触している部分の周囲の部分が突起3の先端よりも下に下がる。
【0071】
この状態で袋200の口の近くを刃物等で切断して開放する(
図6(b))と、切断された部分が突起3の周囲に広がりながら下がっていき、袋200が内側の面を外側にして突起3の周囲を覆い始める(
図6(c))。このようになると、袋200の内容物300が露出する。この段階で、たとえば蓋部21の開口部22にホース400を突っ込み、そこから放水をすると、
図6(d)に示すように袋200の内容物300が容器本体1内に放出される。内容物300は、ホース400からの水流により、
図6(e)に示すように、突起3のチャネル32に流れ込み、同じく水流により排出口13および管41を通って、リザーバ4内に流入する。
【0072】
内容物300がリザーバ400に流入したあとも、ホース400からの放水を続けると、容器本体1の内部および袋200の内側に付着した内容物300を洗い流すことができる。
【0073】
なお、本発明において処理される袋は、口が紐で縛られている態様に限定されず、任意の方法で閉じられていてもよい。また、袋は、容器内に投入される際、口の近くを切断する方法に限らず、口を縛った紐をほどくなど、任意の方法で開けることができる。
【0074】
実際に、
図1~3に示した装置および
図4に示すユニット100を使用して、容器200から内容物300が排出されることを確認した。袋200には、水を入れ、本発明の装置によって内部の水をうまく排出できることを確認した。先に説明したように、袋200を容器100に投入し、次いで、袋200の口の近くをはさみで切断すると、瞬時に切断された部分が突起3の周囲に広がりながら下がっていき(
図6(c))、袋200が内側の面を外側にして突起3の周囲にぴったりと張り付いた(
図6(d))。これにより、袋200の内容物300を容器100内、さらにはリザーバ4内に容易に放出することができた。
【0075】
すなわち、この実施例の装置10は、袋200に収容された内容物300を容易に且つ場所を選ばずに排出することができた。洋式トイレに設置する場合でも、容器本体1突起部分が便器等に接触することなく設置することができ、装置10から排出された内容物300を便器内に排出することができる。また、この実施例のユニット100は、装置10から排出された内容物300をリザーバ4に容易に貯留することができた。
【0076】
なお、以上の実施例では、洗浄手段として装置10自体およびユニット100自体とは別のホース400を用いたが、たとえば、特許文献3に記載しているような装置10が具備する散水手段を洗浄手段として用いても十分な洗浄が可能である。
本発明は、病院、介護、野外イベント、アウトドアスポーツ、工事、災害および事故等で使用される携帯式簡易トイレの排泄物の処理や、災害用の土嚢の土砂の処理などに好適に利用可能である。