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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060670
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20240425BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240425BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20240425BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240425BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240425BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M50/209
H01M50/293
H01M50/291
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6561
H01M10/625
H01M10/647
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168081
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 謙
(72)【発明者】
【氏名】米田 幸志郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛頌
(72)【発明者】
【氏名】武田 隆秀
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031EE04
5H031HH00
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
(57)【要約】
【課題】電池セルの中心部を効率的に冷却する。
【解決手段】隔壁部材190は、本体部191と、複数の突出部192とを含む。複数の突出部192は、本体部191から複数の電池セル100のうちの少なくとも1つの電池セル100に向かって突出する。複数の突出部192の各々は、第1の端部193および第2の端部194と、中間部195とを有する。第1の端部193および第2の端部194は、第1の方向に直交する第2の方向において互いに対向する。中間部195は、第1の端部193および第2の端部194の間に位置する。複数の突出部192の間に、第2の方向に沿う冷却媒体通路11が形成されている。第2の方向から見て、冷却媒体通路11の断面積は、第1の端部193から中間部195に向かって縮小し、かつ、中間部195から第2の端部194に向かって拡大する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの間に設けられた絶縁性を有する隔壁部材とを備え、
前記隔壁部材は、本体部と、前記本体部から前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルに向かって突出する複数の突出部とを含み、
前記複数の突出部の各々は、
前記第1の方向に直交する第2の方向において互いに対向する第1の端部および第2の端部と、
前記第1の端部および前記第2の端部の間に位置する中間部とを有し、
前記複数の突出部の間に、前記第2の方向に沿う冷却媒体通路が形成され、
前記第2の方向から見て、前記冷却媒体通路の断面積は、前記第1の端部から前記中間部に向かって縮小し、かつ、前記中間部から前記第2の端部に向かって拡大する、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向における前記冷却媒体通路の幅は、前記第1の端部から前記中間部に向かってテーパ状に狭くなり、かつ、前記中間部から前記第2の端部に向かってテーパ状に広くなる、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第3の方向における前記冷却媒体通路の幅は、0.5°以上のテーパ角度を有する、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1の方向における前記冷却媒体通路の幅は、前記第1の端部から前記中間部に向かってテーパ状に狭くなり、かつ、前記中間部から前記第2の端部に向かってテーパ状に広くなる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1の方向における前記冷却媒体通路の幅は、0.2°より大きく0.5°未満のテーパ角度を有する、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースに前記隔壁部材が形成されている、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記複数の突出部は、前記隔壁部材と一体成形されている、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記冷却媒体通路を流れる冷却媒体は、空気である、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールの構成を開示した先行技術文献として、特開2018-6058号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電池モジュールは、複数の電池セルと複数の樹脂枠とが厚み方向に交互に積層される。樹脂枠は、ベース部と、ベース部から電池セルの表面に当接する複数のリブとを有する。リブが厚み方向の基端に近づくほど幅広になるような断面台形状であることによって、リブのクリープ変形が生じにくくなる。
【0003】
組電池の構成を開示した先行技術文献として、特開2011-76967号公報(特許文献2)がある。特許文献2に記載された組電池は、複数の単電池の間に配置された複数のセパレータと、冷却風導入ダクトとを備える。複数のセパレータの各々は、冷却風の流路を有する。流路は、冷却風導入ダクトの冷却風流通方向に対して垂直に延在する。流路の幅は、冷却風導入ダクト内の冷却風流通方向の上流側から下流側に向かって、連続的に小さくなる。これにより、流路毎に均一に冷却風が流入し、単電池ごとの冷却のばらつきが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-6058号公報
【特許文献2】特開2011-76967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、電池モジュールが駆動すると電池セルの中心部の温度が高くなる。特許文献1に記載された電池モジュールおよび特許文献2に記載された組電池においては、電池セルの中心部を効率的に冷却することができない。
【0006】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、電池セルの中心部を効率的に冷却することができる、電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、以下の電池モジュールを提供する。
[1]
第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの間に設けられた絶縁性を有する隔壁部材とを備え、
前記隔壁部材は、本体部と、前記本体部から前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルに向かって突出する複数の突出部とを含み、
前記複数の突出部の各々は、
前記第1の方向に直交する第2の方向において互いに対向する第1の端部および第2の端部と、
前記第1の端部および前記第2の端部の間に位置する中間部とを有し、
前記複数の突出部の間に、前記第2の方向に沿う冷却媒体通路が形成され、
前記第2の方向から見て、前記冷却媒体通路の断面積は、前記第1の端部から前記中間部に向かって縮小し、かつ、前記中間部から前記第2の端部に向かって拡大する、電池モジュール。
[2]
前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向における前記冷却媒体通路の幅は、前記第1の端部から前記中間部に向かってテーパ状に狭くなり、かつ、前記中間部から前記第2の端部に向かってテーパ状に広くなる、[1]に記載の電池モジュール。
[3]
前記第3の方向における前記冷却媒体通路の幅は、0.5°以上のテーパ角度を有する、[2]に記載の電池モジュール。
[4]
前記第1の方向における前記冷却媒体通路の幅は、前記第1の端部から前記中間部に向かってテーパ状に狭くなり、かつ、前記中間部から前記第2の端部に向かってテーパ状に広くなる、[1]から[3]のいずれか1つに記載の電池モジュール。
[5]
前記第1の方向における前記冷却媒体通路の幅は、0.2°より大きく0.5°未満のテーパ角度を有する、[4]に記載の電池モジュール。
[6]
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースに前記隔壁部材が形成されている、[1]から[5]のいずれか1つに記載の電池モジュール。
[7]
前記複数の突出部は、前記隔壁部材と一体成形されている、[1]から[6]のいずれか1つに記載の電池モジュール。
[8]
前記冷却媒体通路を流れる冷却媒体は、空気である、[1]から[7]のいずれか1つに記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、冷却媒体通路の断面積を第1の端部から中間部に向かって縮小し、かつ、中間部から第2の端部に向かって拡大することによって、中間部における冷却媒体の流速を上げることができる。これにより、第1の端部および第2の端部と比較して、電池セルの中心部付近に位置する中間部において電池セルと冷却媒体とを熱交換しやすくすることができるため、電池セルの温度が上昇しやすい電池セルの中心部を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
図2】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの内部の構成を示す斜視図である。
図3】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットの構成を示す斜視図である。
図4】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電池セルの構成を示す斜視図である。
図5】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える冷却媒体通路の構成を示す側面図である。
図6】隔壁部材における冷却媒体通路の断面積の変化を示す模式図である。
図7図5の電池モジュールをVII-VII線矢印方向から見た断面図である。
図8図5の電池モジュールにおけるユニットをVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0013】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0014】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0015】
また、「電池モジュール」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、「電池モジュール」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0016】
なお、図面においては、電池セルの正極端子および負極端子が並ぶ方向を第2の方向としてのX方向、複数の電池セルが積層される方向を第1の方向としてのY方向、電池モジュールの高さ方向を第3の方向としてのZ方向とする。また、図6図8においては、発明の理解を容易にするため、電池モジュールにおける構成部材の寸法尺度を変更して示している。
【0017】
図1は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。図2は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの内部の構成を示す斜視図である。
【0018】
まず、電池モジュール1の全体構造について説明する。図1および図2に示すように、電池モジュール1は、複数のユニット10と、エンドプレート20と、拘束部材30と、バスバー40と、カバー部材60と、ガスダクト70と、端子部材80とを備える。
【0019】
複数のユニット10は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。本実施の形態に係る複数のユニット10は、Y方向に6つ並んで配置されている。なお、複数のユニット10の数量は、2つ以上であれば、特に限定されない。
【0020】
複数のユニット10は、2つのエンドプレート20に挟持されている。本実施の形態に係る複数のユニット10は、エンドプレート20に押圧され、2つのエンドプレート20の間で拘束されている。
【0021】
エンドプレート20は、複数のユニット10のY方向の両端に設けられている。エンドプレート20は、電池モジュール1を収納するパックケースなどの基台に固定される。エンドプレート20は、たとえば、アルミニウムまたは鉄により構成されている。
【0022】
拘束部材30は、複数のユニット10およびエンドプレート20のX方向の両端に設けられている。並んで配置された複数のユニット10およびエンドプレート20に対してY方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材30をエンドプレート20に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート20を接続する拘束部材30に引張力が働く。その反作用として、拘束部材30は、2つのエンドプレート20を互いに近づける方向に押圧する。その結果、拘束部材30は、複数のユニット10を第1の方向(Y方向)に拘束する。
【0023】
拘束部材30は、板状部300と、第1フランジ部320と、第2フランジ部330とを含む。拘束部材30は、たとえば、鉄により構成されている。
【0024】
板状部300は、Y方向に延在している部材である。板状部300には、複数の開口部310が設けられている。複数の開口部310は、Y方向において、互いに間隔をあけて設けられている。開口部310は、X方向において、板状部300を貫通する貫通孔から構成されている。
【0025】
第1フランジ部320は、複数のユニット10の側面から複数のユニット10の上面に回り込む。第1フランジ部320を設けることにより、比較的薄く形成された拘束部材30の剛性を確保することができる。
【0026】
第2フランジ部330は、板状部300のY方向の両端に接続されている。第2フランジ部330は、エンドプレート20に固定される。第2フランジ部330は、たとえばボルト締結などの公知の固定方法によってエンドプレート20に固定される。これにより、拘束部材30は、2つのエンドプレート20を互いに接続する。
【0027】
バスバー40は、導電体からなる。バスバー40は、図示しない第1バスバー部と、第2バスバー部420と、第3バスバー部430とを含む。
【0028】
図示しない第1バスバー部は、ユニット10内の複数の電池セルを互いに電気的に接続する。第2バスバー部420は、Y方向の一端に配置される電池セルとプラス側の端子部材80とを電気的に接続する。第3バスバー部430は、Y方向の他端に配置される電池セルとマイナス側の端子部材80とを電気的に接続する。
【0029】
図1に示すように、カバー部材60は、ユニット10の上方に位置して、バスバー40などの導電体を覆う。ガスダクト70は、Y方向に延びている。ガスダクト70は、Z方向において、複数のユニット10と、カバー部材60との間に配置されている。
【0030】
端子部材80は、Y方向に並んで配置される複数のユニット10の両側に配置されている。端子部材80は、電池モジュール1と、電池モジュール1の外部に配置される図示しないケーブルなどの外部配線とを接続する。
【0031】
次に、ユニット10の構造について説明する。図3は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットの構成を示す斜視図である。
【0032】
図3に示すように、複数のユニット10の各々は、複数の電池セル100と、ケース140とを含む。
【0033】
ユニット10は、2つ以上の電池セル100を含んでいる。本技術の一実施の形態に係るユニット10は、偶数の個数として2つの電池セル100を含んでいる。なお、複数のユニット10の各々に備わる電池セル100の数は、2つ以上であれば、特に限定されない。また、複数のユニット10の各々に備わる電池セル100の数は、奇数個であってもよい。
【0034】
複数の電池セル100は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。本技術の一実施の形態に係る複数の電池セル100は、Y方向に2つ並んで配置されている。複数のユニット10の配列方向と、複数のユニット10の各々における複数の電池セル100の配列方向とは、同一方向である。
【0035】
ケース140は、直方体形状の外観を有する。ケース140は、複数の電池セル100を収容して少なくとも第1の方向(Y方向)に支持している。ケース140は、たとえば、ポリプロピレンなどの樹脂により形成されている。ケース140は、エンドプレート20および拘束部材30により第1の方向(Y方向)に圧縮されている。
【0036】
図3に示すように、ケース140は、前壁部150と、後壁部160と、第1側壁部170と、第2側壁部171と、上面部180とを有する。
【0037】
前壁部150は、一方の拘束部材30に隣接する面である。前壁部150には、第1ダクト部151が設けられている。第1ダクト部151は、前壁部150から一方の拘束部材30側に突出している。第1ダクト部151は、X方向において前壁部150を貫通するように設けられている。
【0038】
後壁部160は、X方向において複数の電池セル100を間に挟んで前壁部150に対向する面である。後壁部160には、第2ダクト部161が設けられている。第2ダクト部161は、後壁部160から他方の拘束部材30側に突出している。第2ダクト部161は、X方向において後壁部160を貫通するように設けられている。第2ダクト部161は、後述する冷却媒体通路によって、第1ダクト部151と連通している。
【0039】
第1側壁部170および第2側壁部171は、第1の方向(Y方向)に並んで配置され、互いに対向している。
【0040】
上面部180は、複数の壁部181と、係合面182と、孔部183とを含む。複数の壁部181は、Z方向に立設される。複数の壁部181は、バスバー40の設置箇所を区画する。係合面182には、拘束部材30の第1フランジ部320が係合する。孔部183は、後述するガス排出弁130と連通する。
【0041】
図4は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電池セルの構成を示す斜視図である。
【0042】
図4に示すように、電池セル100は、たとえばリチウムイオン電池である。電池セル100は、角型形状を有する。電池セル100の出力密度は、たとえば、8000W/L以上程度である。電池セル100の電圧は、たとえば、1.0V以上程度である。
【0043】
本実施の形態に係る電池セル100は、電極端子110と、筐体120と、ガス排出弁130とを有する。
【0044】
電極端子110は、筐体120上に形成されている。電極端子110は、第1の方向(Y方向)に直交する第2の方向(X方向)に沿って並ぶ2つの電極端子110として、正極端子111および負極端子112を有する。
【0045】
正極端子111および負極端子112は、X方向において、互いに離れて設けられている。正極端子111および負極端子112は、X方向において、ガスダクト70の両側にそれぞれ設けられている。
【0046】
筐体120は、直方体形状を有し、電池セル100の外観をなしている。筐体120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。
【0047】
ガス排出弁130は、筐体120の上面部分に設けられている。ガス排出弁130は、筐体120の内部で発生したガスにより筐体120の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを筐体120の外部に排出する。ガス排出弁130からのガスは、ガスダクト70を流れて、電池モジュール1の外部に排出される。
【0048】
図5は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える冷却媒体通路の構成を示す側面図である。
【0049】
図5に示すように、ケース140の内部には、隔壁部材190が形成されている。隔壁部材190は、絶縁性を有する。隔壁部材190は、Y方向において複数の電池セル100の間に設けられている。
【0050】
隔壁部材190は、本体部191と、複数の突出部192とを含む。本体部191は、複数の電池セル100の間においてZ方向に延在している。
【0051】
複数の突出部192は、本体部191から複数の電池セル100のうちの少なくとも1つの電池セル100に向かって突出している。本実施の形態における複数の突出部192は、複数の電池セル100のうちの挟まれた2つの電池セル100に向かって突出している。複数の突出部192は、2つの電池セル100の各々に当接している。複数の突出部192は、隔壁部材190における本体部191と一体成形されている。
【0052】
複数の突出部192の間に、第2の方向(X方向)に沿う冷却媒体通路11が形成されている。冷却媒体通路11を流れる冷却媒体は、たとえば空気である。
【0053】
冷却媒体通路11は、第1ダクト部151および第2ダクト部161とX方向において連通している。第1ダクト部151または第2ダクト部161を通じて冷却媒体通路11に冷却媒体が流通することによって、電池セル100が冷却される。
【0054】
図6は、隔壁部材における冷却媒体通路の断面積の変化を示す模式図である。図6に示すように、隔壁部材190における複数の突出部192の各々は、第1の端部193と、第2の端部194と、中間部195とを有する。第1の端部193および第2の端部194は、第2の方向(X方向)において互いに対向している。中間部195は、第1の端部193および第2の端部194の間に位置している。中間部195は、電池セル100のX方向における中央に位置する。
【0055】
第2の方向(X方向)から見て、冷却媒体通路11の断面積は、第1の端部193から中間部195に向かって縮小し、かつ、中間部195から第2の端部194に向かって拡大している。これにより、冷却媒体通路11の第1の端部193における断面積S1および第2の端部194における断面積S3は、中間部195における冷却媒体通路11の断面積S2より大きくなる。上述した断面積の変化は、本体部191および複数の突出部192が冷却媒体通路11の通流方向に対して傾斜することによって生ずる。
【0056】
図7は、図5の電池モジュールをVII-VII線矢印方向から見た断面図である。図7に示すように、第3の方向(Z方向)における冷却媒体通路11の幅は、第1の端部193から中間部195に向かってテーパ状に狭くなり、かつ、中間部195から第2の端部194に向かってテーパ状に広くなっている。
【0057】
第1の端部193における冷却媒体通路11の幅W1は、たとえば10.89mmである。中間部195における冷却媒体通路11の幅W2は、たとえば10.46mmである。第2の端部194における冷却媒体通路11の幅W3は、たとえば10.89mmである。
【0058】
第3の方向(Z方向)における冷却媒体通路11の幅は、0.5°以上のテーパ角度A1,A2を有している。複数の突出部192を含む隔壁部材190を金型による樹脂成形によって製造する場合、金型はX方向に沿って動作することがある。この場合、金型の抜きテーパを考慮することによって、樹脂成形された隔壁部材190から金型を引き抜きやすくすることができる。本実施の形態において、テーパ角度A1,A2は、0.5°以上であれば、隔壁部材190から金型を引き抜きやすい。なお、テーパ角度A1,A2の上限は、限定されず、冷却媒体通路11が第1の端部193から第2の端部194までの間にわたって形成される範囲で設定されればよい。
【0059】
図8は、図5の電池モジュールにおけるユニットをVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。
【0060】
図8に示すように、第1の方向(Y方向)における冷却媒体通路11の幅は、第1の端部193から中間部195に向かってテーパ状に狭くなり、かつ、中間部195から第2の端部194に向かってテーパ状に広くなっている。
【0061】
第1の端部193における冷却媒体通路11の幅W4は、たとえば1.32mmである。中間部195における冷却媒体通路11の幅W5は、たとえば1.19mmである。第2の端部194における冷却媒体通路11の幅W6は、たとえば1.32mmである。
【0062】
第1の方向(Y方向)における冷却媒体通路11の幅は、0.2°より大きく0.5°未満のテーパ角度A3,A4を有している。樹脂成型によって隔壁部材190を製造する場合、金型はX方向に沿って動作することがある。この場合、バリの発生を抑制しつつ、金型の抜きテーパを考慮して、樹脂成形された隔壁部材190から金型を引き抜きやすくすることができる。
【0063】
テーパ角度A3,A4を勾配角度で示す場合、図6に示すように、X方向に対して勾配角度A5,A6が規定される。勾配角度A5,A6は、0.1°より大きく0.25°未満となる。
【0064】
一般に、冷却媒体通路11における冷却媒体の流速をv、冷却媒体の流量をQ、冷却媒体通路11の断面積をSとした場合、v=Q/Sが成り立つ。したがって、流量Qを一定としつつ冷却媒体通路11の断面積Sを小さくすることによって、冷却媒体の流速vを速くすることができる。
【0065】
本実施の形態に係る冷却媒体通路11は、一連の通路構成であるため、冷却媒体の流量は一定である。このため、冷却媒体通路11の断面積を第1の端部193から中間部195に向かって縮小し、かつ、中間部195から第2の端部194に向かって拡大することによって、中間部195において冷却媒体の流速を上げることができる。その結果、中間部195に近接する電池セル100の中心部付近において冷却媒体の流速を上げることによって、温度が上昇しやすい電池セル100の中心部と冷却媒体とが効率的に熱交換することができる。これにより、電池セル100の中心部を効率的に冷却することができる。
【0066】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、冷却媒体通路11の断面積を第1の端部193から中間部195に向かって縮小し、かつ、中間部195から第2の端部194に向かって拡大することによって、中間部195における冷却媒体の流速を上げることができる。これにより、第1の端部193および第2の端部194と比較して、電池セル100の中心部付近に位置する中間部195において電池セル100と冷却媒体とを熱交換しやすくすることができるため、電池セル100の温度が上昇しやすい電池セル100の中心部を効率的に冷却することができる。
【0067】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、第3の方向(Z方向)における冷却媒体通路11の幅が第1の端部193から中間部195に向かって狭くなり、中間部195から第2の端部194に向かって広くなることによって、流路の断面積を変化させることができる。その結果、電池セル100の中心部付近において冷却媒体の流速を上げることができるため、温度が上昇しやすい電池セル100の中心部を効率的に冷却することができる。
【0068】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、第3の方向(Z方向)における冷却媒体通路11のテーパ角度を0.5°以上にすることによって、樹脂成型で隔壁部材190を製造する場合に用いられる金型が製造後に隔壁部材190から取り外しやすいため、冷却媒体通路11の断面積を確保しつつ冷却媒体通路11を形成しやすくすることができる。
【0069】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、第1の方向(Y方向)における冷却媒体通路11の幅が第1の端部193から中間部195に向かって狭くなり、中間部195から第2の端部194に向かって広くなることによって、冷却媒体通路11の断面積を変化させることができる。その結果、電池セル100の中心部付近において冷却媒体の流速を上げることができるため、温度が上昇しやすい電池セル100の中心部を効率的に冷却することができる。
【0070】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、第1の方向(Y方向)における冷却媒体通路11のテーパ角度を0.10°より大きく0.25°未満にすることによって、樹脂成型で隔壁部材190を製造する場合に用いられる金型が製造後に隔壁部材190から取り外しやすく、バリの発生を抑制できるため、冷却媒体通路11の断面積を確保しつつ冷却媒体通路11を形成しやすくすることができる。
【0071】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、複数の電池セル100を収容するケース140を用いた場合でも、ケース140の内部に隔壁部材190を設けることによって、温度が上昇しやすい電池セル100の中心部を効率的に冷却することができる構成を適用することができる。
【0072】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、複数の突出部192と隔壁部材190とが一体成形されることによって、冷却媒体通路11を効率的に製造することができる。
【0073】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、冷却媒体通路11に流通する冷却媒体を空気にすることによって、電池セル100を冷却水などの液状の冷却媒体を使用する場合と比較して、冷却配管などを不要にして電池セル100を冷却することができる。
【0074】
なお、本技術の一実施の形態においては、第1の方向(Y方向)および第3の方向(Z方向)の冷却媒体通路11の幅をどちらも変更したが、これに限定されない。冷却媒体通路11の幅は、第1の方向(Y方向)および第3の方向(Z方向)のどちらか一方だけを変更する構成であってもよい。
【0075】
また、本技術の一実施の形態においては、冷却媒体通路11の断面積が第1の端部193と第2の端部194において同じ面積としているが、これに限定されない。冷却媒体通路11の断面積は、第1の端部193と第2の端部194との位置でそれぞれ異なっていてもよい。
【0076】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 電池モジュール、10 ユニット、11 冷却媒体通路、20 エンドプレート、30 拘束部材、40 バスバー、60 カバー部材、70 ガスダクト、80 端子部材、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、121 上面、130 ガス排出弁、140 ケース、150 前壁部、151 第1ダクト部、160 後壁部、161 第2ダクト部、170 第1側壁部、171 第2側壁部、180 上面部、181 壁部、182 係合面、183 孔部、190 隔壁部材、191 本体部、192 突出部、193 第1の端部、194 第2の端部、195 中間部、300 板状部、310 開口部、320 第1フランジ部、330 第2フランジ部、420 第2バスバー部、430 第3バスバー部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8