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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060671
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20240425BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240425BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/209
H01M50/244 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168082
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 謙
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛頌
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA07
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC28
5H040CC34
5H040NN00
(57)【要約】
【課題】複数の電池セルを含むユニットを形成するケースに対して電池セルを位置決めする。
【解決手段】複数の電池セル100は、第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する。ケース140は、複数の電池セル100を収容して少なくとも第1の方向に支持し、複数の電池セル100を含むユニット10を形成する。ケース140は、第1の方向に直交する第2の方向に並んで互いに対向する第1の端部162および第2の端部152を含む。第1の端部162には、ケース140に複数の電池セル100のうちの1つの電池セル100が挿入されたときに変形することによって、電池セル100をケース140の第2の端部152に向けて付勢する付勢部163が設けられている。第2の端部152には、第2の方向において電池セル100を位置決めする基準面153が設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースとを備え、
前記ケースは、前記第1の方向に直交する第2の方向に並んで互いに対向する第1の端部および第2の端部を含み、
前記第1の端部には、前記ケースに前記複数の電池セルのうちの1つの電池セルが挿入されたときに変形することによって、前記電池セルを前記ケースの前記第2の端部に向けて付勢する付勢部が設けられ、
前記第2の端部には、前記第2の方向において前記電池セルを位置決めする基準面が設けられている、電池モジュール。
【請求項2】
前記付勢部は、前記ケースに前記電池セルが挿入されたときに塑性変形する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池セルは、前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って前記ケースに挿入される、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第3の方向に沿って延在するテーパ部が、前記付勢部または前記基準面と連続するように設けられている、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記付勢部は、前記第1の端部から前記電池セルの筐体に向かって突出するリブである、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記リブは、前記ケースと一体成形されている、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記リブは、前記第1の方向に対して20°以上45°以下の角度で傾斜する、請求項5に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーモジュールの構成を開示した先行技術文献として、特開2017-162810号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたバッテリーモジュールは、ピンを有するプレートによって電池セルとセパレータとを固定しつつ、電池セルおよびセパレータを積層した電池セルユニットがフレームにより拘束される。
【0003】
バッテリーモジュールの構成を開示した先行技術文献として、特開2017-37789号公報(特許文献2)がある。特許文献2に記載されたバッテリーモジュールは、電池セルおよびセパレータの一方に凸部、他方に凹部を設けて、凸部および凹部を嵌合させることにより、積層する電池セル同士の位置ずれを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-162810号公報
【特許文献2】特開2017-37789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池モジュールの構成として、ケースに複数の電池セルを収容して1つのユニットを形成し、複数のユニットを電池セルの積層方向に並べて拘束する場合がある。この場合、特許文献1および特許文献2に記載されたバッテリーモジュールの構成では、当該ケースに対して複数の電池セルの各々の位置決めができない。
【0006】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数の電池セルを含むユニットを形成するケースに対して電池セルを位置決めすることができる、電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、以下の電池モジュールを提供する。
[1]
第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースとを備え、
前記ケースは、前記第1の方向に直交する第2の方向に並んで互いに対向する第1の端部および第2の端部を含み、
前記第1の端部には、前記ケースに前記複数の電池セルのうちの1つの電池セルが挿入されたときに変形することによって、前記電池セルを前記ケースの前記第2の端部に向けて付勢する付勢部が設けられ、
前記第2の端部には、前記第2の方向において前記電池セルを位置決めする基準面が設けられている、電池モジュール。
[2]
前記付勢部は、前記ケースに前記電池セルが挿入されたときに塑性変形する、[1]に記載の電池モジュール。
[3]
前記電池セルは、前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って前記ケースに挿入される、[1]または[2]に記載の電池モジュール。
[4]
前記第3の方向に沿って延在するテーパ部が、前記付勢部または前記基準面と連続するように設けられている、[3]に記載の電池モジュール。
[5]
前記付勢部は、前記第1の端部から前記電池セルの筐体に向かって突出するリブである、[1]から[4]のいずれか1つに記載の電池モジュール。
[6]
前記リブは、前記ケースと一体成形されている、[5]に記載の電池モジュール。
[7]
前記リブは、前記第1の方向に対して20°以上45°以下の角度で傾斜する、[5]または[6]に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、付勢部によって電池セルを押圧し、ケースに設けられた基準面に電池セルが押し当てられることによって、複数の電池セルを含むユニットを形成するケースに対して電池セルを位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
図2】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの内部の構成を示す斜視図である。
図3】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットの構成を示す斜視図である。
図4】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電池セルの構成を示す斜視図である。
図5】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるケースの構成を示す断面図である。
図6図5のケースを矢印VI方向から見た斜視図である。
図7】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える付勢部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0013】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0014】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0015】
また、「電池モジュール」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、「電池モジュール」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0016】
なお、図面においては、電池セルの正極端子および負極端子が並ぶ方向を第2の方向としてのX方向、複数の電池セルが積層される方向を第1の方向としてのY方向、電池モジュールの高さ方向を第3の方向としてのZ方向とする。
【0017】
図1は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。図2は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの内部の構成を示す斜視図である。
【0018】
まず、電池モジュール1の全体構造について説明する。図1および図2に示すように、電池モジュール1は、複数のユニット10と、エンドプレート20と、拘束部材30と、バスバー40と、カバー部材60と、ガスダクト70と、端子部材80とを備える。
【0019】
複数のユニット10は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。本実施の形態に係る複数のユニット10は、Y方向に6つ並んで配置されている。なお、複数のユニット10の数量は、2つ以上であれば、特に限定されない。
【0020】
複数のユニット10は、2つのエンドプレート20に挟持されている。本実施の形態に係る複数のユニット10は、エンドプレート20に押圧され、2つのエンドプレート20の間で拘束されている。
【0021】
エンドプレート20は、複数のユニット10のY方向の両端に設けられている。エンドプレート20は、電池モジュール1を収納するパックケースなどの基台に固定される。エンドプレート20は、たとえば、アルミニウムまたは鉄により構成されている。
【0022】
拘束部材30は、複数のユニット10およびエンドプレート20のX方向の両端に設けられている。並んで配置された複数のユニット10およびエンドプレート20に対してY方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材30をエンドプレート20に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート20を接続する拘束部材30に引張力が働く。その反作用として、拘束部材30は、2つのエンドプレート20を互いに近づける方向に押圧する。その結果、拘束部材30は、複数のユニット10を第1の方向(Y方向)に拘束する。
【0023】
拘束部材30は、板状部300と、第1フランジ部320と、第2フランジ部330とを含む。拘束部材30は、たとえば、鉄により構成されている。
【0024】
板状部300は、Y方向に延在している部材である。板状部300には、複数の開口部310が設けられている。複数の開口部310は、Y方向において、互いに間隔をあけて設けられている。開口部310は、X方向において、板状部300を貫通する貫通孔から構成されている。
【0025】
第1フランジ部320は、複数のユニット10の側面から複数のユニット10の上面に回り込む。第1フランジ部320を設けることにより、比較的薄く形成された拘束部材30の剛性を確保することができる。
【0026】
第2フランジ部330は、板状部300のY方向の両端に接続されている。第2フランジ部330は、エンドプレート20に固定される。第2フランジ部330は、たとえばボルト締結などの公知の固定方法によってエンドプレート20に固定される。これにより、拘束部材30は、2つのエンドプレート20を互いに接続する。
【0027】
図2に示すように、バスバー40は、導電体からなる。バスバー40は、図示しない第1バスバー部と、第2バスバー部420と、第3バスバー部430とを含む。
【0028】
図示しない第1バスバー部は、ユニット10内の複数の電池セルを互いに電気的に接続する。第2バスバー部420は、Y方向の一端に配置される電池セルとプラス側の端子部材80とを電気的に接続する。第3バスバー部430は、Y方向の他端に配置される電池セルとマイナス側の端子部材80とを電気的に接続する。
【0029】
図1に示すように、カバー部材60は、電池モジュール1の電気的接続を保護する。カバー部材60は、ユニット10の上方に位置して、バスバー40などの導電体を覆う。ガスダクト70は、Y方向に延びている。ガスダクト70は、Z方向において、複数のユニット10と、カバー部材60との間に配置されている。
【0030】
端子部材80は、Y方向に並んで配置される複数のユニット10の両側に配置されている。端子部材80は、Z方向から見て、エンドプレート20と略重なる位置に設けられている。端子部材80は、電池モジュール1と、電池モジュール1の外部に配置される図示しないケーブルなどの外部配線とを接続する。
【0031】
次に、ユニット10の構造について説明する。図3は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットの構成を示す斜視図である。
【0032】
図3に示すように、複数のユニット10の各々は、複数の電池セル100と、ケース140とを含む。
【0033】
ユニット10は、2個以上の電池セル100を含んでいる。本技術の一実施の形態に係るユニット10は、偶数の個数として2つの電池セル100を含んでいる。なお、複数のユニット10の各々に備わる電池セル100の数は、2つ以上であれば、特に限定されない。また、複数のユニット10の各々に備わる電池セル100の数は、奇数個であってもよい。
【0034】
複数の電池セル100は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。本技術の一実施の形態に係る複数の電池セル100は、Y方向に2つ並んで配置されている。複数のユニット10の配列方向と、複数のユニット10の各々における複数の電池セル100の配列方向とは、同一方向である。
【0035】
ケース140は、直方体形状の外観を有する。ケース140は、複数の電池セル100を収容して少なくとも第1の方向(Y方向)に支持している。ケース140は、たとえば、ポリプロピレンなどの樹脂により形成されている。図1および図2に示すように、ケース140は、拘束部材30により第1の方向(Y方向)に圧縮されている。
【0036】
図3に示すように、ケース140は、前壁部150と、後壁部160と、第1側壁部170と、第2側壁部171と、上面部180とを有する。
【0037】
前壁部150は、一方の拘束部材30に隣接する面である。前壁部150には、第1ダクト部151が設けられている。第1ダクト部151は、前壁部150から一方の拘束部材30側に突出している。第1ダクト部151は、X方向において前壁部150を貫通するように設けられている。
【0038】
後壁部160は、X方向において複数の電池セル100を間に挟んで前壁部150に対向する面である。後壁部160には、第2ダクト部161が設けられている。第2ダクト部161は、後壁部160から他方の拘束部材30側に突出している。第2ダクト部161は、X方向において後壁部160を貫通するように設けられている。第2ダクト部161は、後述する冷却媒体通路によって、第1ダクト部151と連通している。
【0039】
第1側壁部170および第2側壁部171は、第1の方向(Y方向)に並んで配置され、互いに対向している。
【0040】
上面部180は、複数の壁部181と、係合面182と、複数の孔部183とを含む。複数の壁部181は、Z方向に立設される。複数の壁部181は、バスバー40の設置箇所を区画する。係合面182には、拘束部材30の第1フランジ部320が係合する。複数の孔部183は、後述する電極端子110およびガス排出弁130が上面部180から露出するように設けられている。
【0041】
図4は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電池セルの構成を示す斜視図である。
【0042】
図4に示すように、電池セル100は、たとえばリチウムイオン電池である。電池セル100は、角型形状を有する。電池セル100の出力密度は、たとえば、8000W/L以上程度である。電池セル100の電圧は、たとえば、1.0V以上程度である。
【0043】
本実施の形態に係る電池セル100は、電極端子110と、筐体120と、ガス排出弁130とを有する。
【0044】
電極端子110は、筐体120上に形成されている。電極端子110は、第2の方向(X方向)に沿って並ぶ2つの電極端子110として、正極端子111および負極端子112を有する。
【0045】
正極端子111および負極端子112は、第2の方向(X方向)において、互いに離れて設けられている。正極端子111および負極端子112は、第2の方向(X方向)において、ガスダクト70の両側にそれぞれ設けられている。正極端子111および負極端子112は、バスバー40とレーザ溶接などによって接合される。
【0046】
筐体120は、直方体形状を有し、電池セル100の外観をなしている。筐体120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。筐体120は、その上部に封口板121を有する。封口板121は、筐体120内の電極体および電解液を封止する。
【0047】
ガス排出弁130は、封口板121に設けられている。ガス排出弁130は、筐体120の内部で発生したガスにより筐体120の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを筐体120の外部に排出する。ガス排出弁130からのガスは、ガスダクト70を流れて、電池モジュール1の外部に排出される。
【0048】
図5は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるケースの構成を示す断面図である。図6は、図5のケースを矢印VI方向から見た斜視図である。
【0049】
図5および図6に示すように、ケース140は、第1の方向(Y方向)に直交する第2の方向(X方向)に並んで互いに対向する第1の端部162および第2の端部152を含む。本実施の形態における第1の端部162は、後壁部160の内面に位置している。本実施の形態における第2の端部152は、前壁部150の内面に位置している。
【0050】
第1の端部162には、付勢部163と、第1テーパ部164とが設けられている。第2の端部152には、第1基準面153と、第2テーパ部155とが設けられている。
【0051】
本実施の形態に係る付勢部163は、第1の端部162から電池セル100の筐体120に向かって突出するリブである。付勢部163であるリブは、ケース140と一体成形されている。
【0052】
第1テーパ部164は、第3の方向(Z方向)に沿って延在する。第1テーパ部164は、付勢部163と連続するように設けられている。第1テーパ部164は、付勢部163に近づくにしたがって前壁部150側に傾斜している。
【0053】
第1基準面153は、第2の端部152に設けられて第1の端部162に向かって延出する第1延出部154の端部に位置している。
【0054】
第2テーパ部155は、第3の方向(Z方向)に沿って延在する。第2テーパ部155は、第1基準面153と連続するように設けられている。第2テーパ部155は、第1基準面153に近づくにしたがって後壁部160側に傾斜している。
【0055】
ケース140における上面部180には、第2基準面185が設けられている。具体的には、上面部180は、2つの第2延出部186L,186Rを有する。2つの第2延出部186L,186Rは、Z方向に向かって延出している。一方の第2延出部186Lは、第1の端部162側に配置される。他方の第2延出部186Rは、第2の端部152側に配置される。一方の第2延出部186Lに一方の第2基準面185Lが設けられている。他方の第2延出部186Rに他方の第2基準面185Rが設けられている。
【0056】
図7は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える付勢部の構成を示す断面図である。
【0057】
図7に示すように、本技術の一実施の形態に係る付勢部163であるリブは、第1の方向(Y方向)に対して傾斜角度A1で傾斜している。付勢部163の傾斜角度A1は、XY平面の断面視においてリブを構成する第1側辺163aと第2側辺163bとの間の中間点を連続的につなげた中間線163cが第1の方向(Y方向)から傾斜した角度である。
【0058】
付勢部163を第1の方向(Y方向)から傾斜させることによって、電池セル100がケース140に挿入される際に付勢部163が座屈変形して破損することを抑制することができる。
【0059】
付勢部163の傾斜角度A1は、電池セル100がケース140に挿入される前の状態で、第1の方向(Y方向)に対して20°以上45°以下の角度で傾斜している。付勢部163の傾斜角度A1は、30°であることが望ましい。これにより、付勢部163の変形時に、付勢部163にクラックが発生することを抑制することができる。
【0060】
付勢部163は、根元に向かうにしたがって広くなるテーパ形状を有している。これにより、ケース140への電池セル100の挿入による付勢部163の変形にともなって、付勢部163が根元で折損することを抑制することができる。また、付勢部163は、根元において、後壁部160と曲線形状Rで接続されているため、付勢部163の根元において、折損することがさらに抑制されている。
【0061】
付勢部163の先端の幅W1は、たとえば0.25mmである。付勢部163の根元の曲線形状Rを考慮しない場合の幅W2は、たとえば0.42mmである。後壁部160から付勢部163の先端までの第2の方向(X方向)の高さHは、たとえば1mmである。ケース140の内部において付勢部163の占有面積をできるだけ小さくしつつ、ケース140内において付勢部163によって電池セル100を押圧することができる。
【0062】
次に、ケース140に電池セル100が挿入された際のケース140に対する電池セル100の位置決めについて説明する。図5および図6に示すように、電池セル100は、第3の方向(Z方向)に沿ってケース140に挿入される。
【0063】
電池セル100を挿入する前における、付勢部163と第1基準面153との間の第2の方向(X方向)の距離は、電池セル100の第2の方向(X方向)の長さより短い。このため、ケース140に電池セル100が挿入されたときに、付勢部163は後壁部160側に変形する。本実施の形態においては、付勢部163は、その先端が図6中の矢印方向に変形する。
【0064】
図5に示すように、付勢部163が後壁部160側に変形した反作用として、付勢部163は、第2の方向(X方向)において電池セル100を押圧する。すなわち、付勢部163は、電池セル100をケース140の第2の端部152に向けて付勢する。本実施の形態においては、付勢部163は、ケース140に電池セル100が挿入されたときに塑性変形する。
【0065】
この変形によって、付勢部163は、たとえば80N~100Nの荷重により電池セル100を押圧する。付勢部163の荷重は、電池セル100における封口板121の耐圧縮荷重を超えない荷重であることが望ましい。
【0066】
第1基準面153は、第2の方向(X方向)において電池セル100を位置決めする。電池セル100が付勢部163によって第1基準面153に向かって付勢され、電池セル100が第1基準面153に押し当てられるため、電池セル100はケース140に対して第2の方向(X方向)に位置決めされる。電池セル100は、電池セル100を挿入する前の第2の方向(X方向)における付勢部163と第1基準面153との間の距離が電池セル100の長さよりも短いため、付勢部163と第1基準面153との間で固定される。
【0067】
ケース140に挿入される電池セル100は、第2基準面185に当接する。これにより、電池セル100は、第3の方向(Z方向)に位置決めされる。
【0068】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、付勢部163によって電池セル100を押圧し、ケース140に設けられた第1基準面153に電池セル100が押し当てられることによって、複数の電池セル100を含むユニット10を形成するケース140に対して電池セル100を位置決めすることができる。その結果、ケース140内に収容した電池セル100の電極端子110にバスバー40などを接合する際に、ケース140に対して電池セル100の位置ずれが発生しないため、電極端子110とバスバー40とを接合しやすくすることができる。
【0069】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、付勢部163を塑性変形させてケース140に対する電池セル100の位置決めを確実に行うことができる。
【0070】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、第3の方向(Z方向)に沿って電池セル100をケース140に挿入することによって、電池セル100の挿入方向に対して直交する第2の方向(X方向)において電池セル100をケース140により挟持しながら位置決めすることができるため、ケース140に対して電池セル100を固定しつつ電池セル100を位置決めすることができる。
【0071】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、ケース140に第1テーパ部164および第2テーパ部155を設けることによって、電池セル100をケース140に挿入する際にテーパ形状に沿わせて挿入することができるため、ケース140に対する電池セル100の挿入性を向上させることができる。
【0072】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、付勢部163にばねを用いる場合などと比較して、付勢部163をリブで構成することによって、簡易な構成で電池セル100を付勢することができる。
【0073】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、ケース140に付勢部163としてのリブを一体成形することによって、電池セル100を押圧するための他の部品を用いずに部品点数を削減することができる。
【0074】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、付勢部163であるリブの傾斜角度を20°以上45°以下で規定することによって、付勢部163が変形により破損しにくく、かつ、付勢部163によって電池セル100を押圧しやすい構成にすることができる。
【0075】
なお、付勢部163は、リブに限定されず、たとえば板バネなどであってもよい。また、付勢部163は、ケース140に一体成形されているが、ケース140と付勢部163とが別々に設けられていてもよい。さらに、付勢部163は、ケース140への電池セル100の挿入によって塑性変形しているが、弾性変形のみの変形であってもよい。
【0076】
また、本技術の一実施の形態においては、第1の端部162および第2の端部152は、ケース140の内面に位置しているが、この構成に限定されない。第1の端部162および第2の端部152は、ケース140に対して他の構成が取り付けられて、当該他の構成に第1の端部162または第2の端部152が位置していてもよい。さらに、電池セル100は第2の方向(X方向)に付勢されて位置決めされる構成であるが、この構成に限定されず、第3の方向(Z方向)に付勢され、かつ、第3の方向(Z方向)に位置決めされる構成であってもよい。
【0077】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 電池モジュール、10 ユニット、20 エンドプレート、30 拘束部材、40 バスバー、60 カバー部材、70 ガスダクト、80 端子部材、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、121 封口板、130 ガス排出弁、140 ケース、150 前壁部、151 第1ダクト部、152 第2の端部、153 第1基準面、154 第1延出部、155 第2テーパ部、160 後壁部、161 第2ダクト部、162 第1の端部、163 付勢部、163a 第1側辺、163b 第2側辺、163c 中間線、164 第1テーパ部、170 第1側壁部、171 第2側壁部、180 上面部、181 壁部、182 係合面、183 孔部、185,185L,185R 第2基準面、186L,186R 第2延出部、300 板状部、310 開口部、320 第1フランジ部、330 第2フランジ部、420 第2バスバー部、430 第3バスバー部。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7