(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060672
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20240425BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240425BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240425BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240425BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H01M50/209
H01M50/262 P
H01M50/264
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168083
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 翔太
(72)【発明者】
【氏名】田中 巌
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛頌
(72)【発明者】
【氏名】大城 佳子
(72)【発明者】
【氏名】寺中 智親
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AA18
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC13
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】カバー体により電池セルに対する絶縁距離を十分に確保しつつ、カバー体の脱落を防ぐことが可能な電池モジュール、を提供する。
【解決手段】電池モジュール100は、積層される複数の電池セルと、電池セルの積層方向と直交する方向より複数の電池セルを覆うように設けられる第1カバー体51および第2カバー体52と、電池セルの積層方向において複数の電池セルを拘束する一対のバインドバー43と、バインドバー43に接続されるリテーナ91とを備える。第1カバー体51は、第1重畳部232を有する。第2カバー体52は、電池セルの積層方向と直交する方向において、電池セルおよび第1重畳部232の間に配置され、第1重畳部232と重ね合わされる第2重畳部233を有する。第1カバー体51は、電池セルの積層方向と直交する方向において、電池セルおよびリテーナ91の間に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層される複数の電池セルと、
前記第1方向に並べられ、前記第1方向と直交する第2方向より複数の前記電池セルを覆うように設けられる第1カバー体および第2カバー体と、
前記第1カバー体および前記第2カバー体が取り付けられる被取り付け部材と、
前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向における複数の前記電池セルの両側で前記第1方向に延び、前記第1方向において複数の前記電池セルを拘束する一対のバインドバーと、
前記第3方向に延び、一対の前記バインドバーに接続されるリテーナとを備え、
前記第1カバー体は、第1重畳部を有し、
前記第2カバー体は、前記第2方向において、前記電池セルおよび前記第1重畳部の間に配置され、前記第1重畳部と重ね合わされる第2重畳部を有し、
前記第1カバー体は、前記第2方向において前記電池セルおよび前記リテーナの間に配置される、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1カバー体は、前記第1方向において、前記第1重畳部に対して前記第2カバー体の反対側に配置され、前記第1方向に固定されるように前記被取り付け部材に接続される第1接続部を有し、
前記第2カバー体は、前記第1方向において、前記第2重畳部に対して前記第1カバー体の反対側に配置され、前記第1方向に固定されるように前記被取り付け部材に接続される第2接続部を有し、
前記第1カバー体および前記第2カバー体の少なくもいずれか一方は、前記第1方向において前記第1接続部および前記第2接続部の間に配置され、前記第1方向にスライド可能なように前記被取り付け部材に接続される第3接続部をさらに有する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1方向における前記第1カバー体の全長は、前記第1方向における前記第2カバー体の全長よりも大きく、
前記リテーナは、前記第1方向における複数の前記電池セルの全長の中心位置に設けられる、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1カバー体には、前記第2方向に凹み、前記第3方向に延びる溝部が設けられ、
前記リテーナは、前記溝部に配置される、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2018-181562号公報(特許文献1)には、二次電池の上部に装着される第1分割ハウジングおよび第2分割ハウジングと、第1分割ハウジングおよび第2分割ハウジングの開口をそれぞれ覆う第1カバーおよび第2カバーと、第1カバーから第2カバーに向けて延設された舌片部とを備える電池配線モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、複数の電池セル(二次電池)と、複数の電池セルを覆うように設けられる複数のカバー体(第1カバー,第2カバー)とを備えた電池モジュールが知られている。
【0005】
このような電池モジュールにおいて、電池セルの温度変化に伴いケース体の温度が変化すると、カバー体は、自らの線膨張率に応じて膨張したり収縮したりする。この場合に、カバー体同士の位置関係が損なわれることにより、電池セルに対する絶縁距離が十分に確保されない可能性がある。また、カバー体の膨張および収縮に伴ってカバー体が脱落することを防ぐことも求められる。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、カバー体により電池セルに対する絶縁距離を十分に確保しつつ、カバー体の脱落を防ぐことが可能な電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]第1方向に積層される複数の電池セルと、上記第1方向に並べられ、上記第1方向と直交する第2方向より複数の上記電池セルを覆うように設けられる第1カバー体および第2カバー体と、上記第1カバー体および上記第2カバー体が取り付けられる被取り付け部材と、上記第1方向および上記第2方向と直交する第3方向における複数の上記電池セルの両側で上記第1方向に延び、上記第1方向において複数の上記電池セルを拘束する一対のバインドバーと、上記第3方向に延び、一対の上記バインドバーに接続されるリテーナとを備え、上記第1カバー体は、第1重畳部を有し、上記第2カバー体は、上記第2方向において、上記電池セルおよび上記第1重畳部の間に配置され、上記第1重畳部と重ね合わされる第2重畳部を有し、上記第1カバー体は、上記第2方向において上記電池セルおよび上記リテーナの間に配置される、電池モジュール。
【0008】
このように構成された電池モジュールによれば、温度変化による第1カバー体および第2カバー体の膨張収縮に伴って、第1重畳部および第2重畳部が互いに重ね合わされつつ、第1方向に相対的にスライド動作する。これにより、第1カバー体および第2カバー体の間に隙間が生じることを防ぎ、電池セルに対する絶縁距離を十分に確保することができる。この場合に、第2重畳部が第2方向において電池セルおよび第1重畳部に間に配置され、第1カバー体が第2方向において電池セルおよびリテーナの間に配置されるため、第1カバー体により第2カバー体の脱落を防ぎ、リテーナにより第1カバー体の脱落を防ぐことができる。
【0009】
[2]上記第1カバー体は、上記第1方向において、上記第1重畳部に対して上記第2カバー体の反対側に配置され、上記第1方向に固定されるように上記被取り付け部材に接続される第1接続部を有し、上記第2カバー体は、上記第1方向において、上記第2重畳部に対して上記第1カバー体の反対側に配置され、上記第1方向に固定されるように上記被取り付け部材に接続される第2接続部を有し、上記第1カバー体および上記第2カバー体の少なくもいずれか一方は、上記第1方向において上記第1接続部および上記第2接続部の間に配置され、上記第1方向にスライド可能なように上記被取り付け部材に接続される第3接続部をさらに有する、[1]に記載の電池モジュール。
【0010】
このように構成された電池モジュールによれば、第1方向の両端において、被取り付け部に対する第1カバー体および第2カバー体の位置が保持されたまま、熱膨張、熱収縮に伴う、第1カバー体および第2カバー体の第1方向に沿ったスライド動作が許容される。これにより、複数の電池セルに対する第1カバー体および第2カバー体の位置ずれを防ぎつつ、第1カバー体および第2カバー体の取り付け状態をより確実に維持することができる。
【0011】
[3]上記第1方向における上記第1カバー体の全長は、上記第1方向における上記第2カバー体の全長よりも大きく、上記リテーナは、上記第1方向における複数の上記電池セルの全長の中心位置に設けられる、[1]または[2]に記載の電池モジュール。
【0012】
このように構成された電池モジュールによれば、第1方向における第1カバー体の全長が第1方向における第2カバー体の全長よりも大きいため、リテーナを第1方向における複数の電池セルの全長の中心位置に設けることが可能となる。リテーナを第1方向における複数の電池セルの全長の中心位置に設けることによって、リテーナを電池モジュールの剛性の向上により効率的に寄与させることができる。
【0013】
[4]上記第1カバー体には、上記第2方向に凹み、上記第3方向に延びる溝部が設けられ、上記リテーナは、上記溝部に配置される、[1]から[3]のいずれかに記載の電池モジュール。
【0014】
このように構成された電池モジュールによれば、第1カバー体に対するリテーナの位置ずれを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、この発明に従えば、カバー体により電池セルに対する絶縁距離を十分に確保しつつ、カバー体の脱落を防ぐことが可能な電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の実施の形態における電池モジュールを示す斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態における電池モジュールを示す別の斜視図である。
【
図3】
図1中の電池モジュールを示す分解組み立て図である。
【
図4】
図1中の電池モジュールの内部構造を示す斜視図である。
【
図5】
図1中の電池モジュールを構成する電池セルユニットを示す斜視図である。
【
図6】
図1中の電池セルユニットを構成する電池セルを示す斜視図である。
【
図11】
図1中のXI-XI線上の矢視方向に見た電池モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0018】
図1および
図2は、この発明の実施の形態における電池モジュールを示す斜視図である。
図3は、
図1中の電池モジュールを示す分解組み立て図である。
図4は、
図1中の電池モジュールの内部構造を示す斜視図である。
図5は、
図1中の電池モジュールを構成する電池セルユニットを示す斜視図である。
図6は、
図1中の電池セルユニットを構成する電池セルを示す斜視図である。
【0019】
図1から
図6を参照して、電池モジュール100は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0020】
本明細書においては、電池モジュール100の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向に平行に延びる軸を「Y軸」といい、その「Y軸」を基準に、Y軸に直交する方向に延びる軸を「X軸」といい、Y軸と、X軸とに直交する方向に延びる軸を「Z軸」という。
図1の紙面の右斜め上方向が「+Y軸方向」であり、左斜め下方向が「-Y軸方向」である。
図1の紙面の右斜め下方向が「+X軸方向」であり、左斜め上方向が「-X軸方向」である。
図1の紙面の上方向が「+Z軸方向」であり、下方向が「-Z軸方向」である。典型的には、電池モジュール100は、+Z軸方向が上方向に対応し、-Z軸方向が下方向に対応する姿勢により車両に搭載される。
【0021】
まず、電池モジュール100の全体構造について説明する。
図4に示されるように、電池モジュール100は、複数の電池セルユニット21を有する。複数の電池セルユニット21は、Y軸方向に並べられている。-Y軸方向における端部には、電池セルユニット21Aが配置され、+Y軸方向における端部には、電池セルユニット21Rが配置されている。
【0022】
なお、電池モジュール100に備わる電池セルユニット21の数は、2以上であれば、特に限定されない。
【0023】
図5および
図6に示されるように、各電池セルユニット21は、複数の電池セル11と、ケース体31とを有する。
【0024】
各電池セルユニット21において、2個の電池セル11が、Y軸方向に連続して並んでいる。各電池セルユニット21に備わる電池セル11の数は、複数であれば、特に限定されない。
【0025】
電池セル11は、リチウムイオン電池である。電池セル11は、8000W/L以上の出力密度を有する。電池セル11は、角形であり、直方体形状の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0026】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0027】
外装体12は、セル側面13と、セル側面14と、セル頂面15とを有する。セル側面13およびセル側面14の各側面は、Y軸方向に直交する平面からなる。セル側面13およびセル側面14は、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。セル側面13およびセル側面14の各側面は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。セル頂面15は、Z軸方向に直交する平面からなる。セル頂面15は、+Z軸方向を向いている。
【0028】
電池セル11は、ガス排出弁17をさらに有する。ガス排出弁17は、セル頂面15に設けられている。ガス排出弁17は、X軸方向におけるセル頂面15の中央部に設けられている。ガス排出弁17は、外装体12の内部で発生したガスにより外装体12の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを外装体12の外部に排出する。ガス排出弁17からのガスは、後述するダクト71を流れて、電池モジュール100の外部に排出される。
【0029】
電池セル11は、正極端子16pおよび負極端子16nが対となった電極端子16をさらに有する。電極端子16は、セル頂面15に設けられている。正極端子16pおよび負極端子16nは、X軸方向においてガス排出弁17を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
【0030】
ケース体31は、直方体形状の外観をなしている。ケース体31は、樹脂製である。各電池セルユニット21において、ケース体31は、複数の電池セル11を収容している。ケース体31は、ケース頂部32を有する。ケース頂部32は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される壁形状をなしている。
【0031】
図4に示されるように、Y軸方向に並べられた電池セルユニット21の間に渡って、複数の電池セル11がY軸方向に積層されている。複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11の間において、セル側面13同士が向かい合わせとなり、セル側面14同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子16pと負極端子16nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う正極端子16pおよび負極端子16nは、バスバー(不図示)により互いに接続されている。これにより、複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0032】
図1から
図4に示されるように、電池モジュール100は、一対のエンドプレート42(42P,42Q)と、一対のバインドバー43とをさらに有する。一対のバインドバー43および一対のエンドプレート42は、Y軸方向に並ぶ複数の電池セルユニット21(複数の電池セル11)を一体に保持している。
【0033】
一対のエンドプレート42は、それぞれ、Y軸方向における複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)の両端に配置されている。エンドプレート42Pは、Y軸方向において、電池セルユニット21Aと対向し、エンドプレート42Qは、Y軸方向において、電池セルユニット21Rと対向している。
【0034】
エンドプレート42は、プレート部46と、庇部47とを有する。プレート部46は、Y軸方向が厚み方向となるプレート形状を有する。庇部47は、+Z軸方向におけるプレート部46の端部(上端部)から、Y軸方向において電池セル11の積層体から遠ざかる方向に延出している。庇部47は、Z軸方向に厚みを有し、プレート部46の上端部に沿って帯状に延びる庇形状をなしている。
【0035】
一対のバインドバー43は、X軸方向において電池セル11の積層体の両端に配置されている。バインドバー43は、Y軸方向に延びている。-Y軸方向におけるバインドバー43の端部は、エンドプレート42Pに接続されている。+Y軸方向におけるバインドバー43の端部は、エンドプレート42Qに接続されている。一対のバインドバー43は、一対のエンドプレート42とともに、複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)に対してY軸方向の拘束力を作用させている。
【0036】
電池モジュール100は、プラス端子箱81と、マイナス端子箱86とをさらに有する。プラス端子箱81およびマイナス端子箱86は、樹脂製である。プラス端子箱81およびマイナス端子箱86には、電池モジュール100と、電池モジュール100の外部に配置されるケーブル等の外部配線とを接続するためのプラス総端子およびマイナス総端子がそれぞれ収容されている。
【0037】
図4に示されるように、プラス端子箱81は、基台212と、開閉扉211とを有する。基台212は、エンドプレート42(42P)に取り付けられている。基台212は、Y軸方向において庇部47を跨ぐように設けられている。基台212には、電池セル11からプラス総端子に向けて延びるバスバー27が搭載されている。開閉扉211は、開閉動作が可能なように基台212に取り付けられている。マイナス端子箱86は、基台217と、開閉扉216とを有する。基台217および開閉扉216は、それぞれ、プラス端子箱81における基台212および開閉扉211に対応している。基台217には、電池セル11からマイナス総端子に向けて延びるバスバー28が搭載されている。
【0038】
電池モジュール100は、ダクト71をさらに有する。ダクト71は、樹脂製である。ダクト71は、Z軸方向において複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)と対向しながら、Y軸方向に延びている。ダクト71は、複数の電池セル11から排出されたガスが流れる通路を形成している。ダクト71は、複数のケース体31に取り付けられている。
【0039】
図3に示されるように、ダクト71は、ダクト本体部72と、コネクタ支持部74とを有する。ダクト本体部72は、電池セル11からのガスを流通させるためのダクト71の主要部をなしている。ダクト本体部72は、Z軸方向において、Y軸方向に間隔を開けて並ぶ複数のガス排出弁17と対向しながら、Y軸方向に延びている。コネクタ支持部74は、+Y軸方向におけるダクト本体部72の端部から+Y軸方向に延出している。コネクタ支持部74は、X軸-Y軸平面と平行に配置されるプレート形状を有する。
【0040】
電池モジュール100は、第1カバー体51および第2カバー体52と、リテーナ91とをさらに有する。
【0041】
第1カバー体51および第2カバー体52は、樹脂製である。第1カバー体51は、Z軸方向より複数の電池セル11を覆うように設けられている。第1カバー体51および第2カバー体52は、Z軸方向において、ケース体31のケース頂部32と対向して設けられている。第1カバー体51および第2カバー体52は、バスバー27,28と、ダクト71とをさらに覆うように設けられている。
【0042】
第1カバー体51および第2カバー体52は、X軸-Y軸平面に平行に配置されている。第1カバー体51および第2カバー体52は、Y軸方向(電池セル11の積層方向)に並べられている。第1カバー体51は、Y軸方向におけるプラス側に配置され、第2カバー体52は、Y軸方向におけるマイナス側に配置されている。
【0043】
第1カバー体51および第2カバー体52は、複数のケース体31、基台212、基台217およびダクト71に対して着脱可能に取り付けられている。複数のケース体31、基台212、基台217およびダクト71は、第1カバー体51および第2カバー体52が取り付けられる被取り付け部材30を構成している。
【0044】
リテーナ91は、金属製である。リテーナ91は、X軸方向に延びている。リテーナ91は、X軸方向に延びる両端において、一対のバインドバー43にそれぞれ接続されている。リテーナ91は、Y軸方向における複数の電池セル11の全長の中心位置に設けられている。すなわち、Y軸方向におけるエンドプレート42Pおよびリテーナ91の間の長さは、Y軸方向におけるリテーナ91およびエンドプレート42Qの間の長さと同じである。
【0045】
リテーナ91は、バー部92と、一対の折れ曲がり部93とを有する。バー部92は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される平板からなる。バー部92は、Y軸方向において一定の幅を有しながら、X軸方向が長手方向となるように帯状に延びている。一対の折れ曲がり部93は、それぞれ、X軸方向におけるバー部92の両端から90°折れ曲がり、-Z軸方向に延びている。一対の折れ曲がり部93は、爪部および開口部の組み合わせからなる係合構造により、一対のバインドバー43にそれぞれ接続されている。
【0046】
図7および
図8は、第1カバー体を示す斜視図である。
図9および
図10は、第2カバー体を示す斜視図である。
図11は、
図1中のXI-XI線上の矢視方向に見た電池モジュールを示す断面図である。続いて、第1カバー体51および第2カバー体52の構造についてより具体的に説明する。
【0047】
図1から
図3、および、
図7から
図11を参照して、第1カバー体51および第2カバー体52の各カバー体は、平板部231と、縁部236とを有する。平板部231は、Z軸方向に厚みを有し、X軸-Y軸平面と平行に配置されている。平板部231は、全体として、Y軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向となる矩形形状の平面視を有する。平板部231は、Z軸方向において、複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)と対向して設けられている。縁部236は、平板部231の周縁部から-Z軸方向に延出している。縁部236は、Z軸方向に高さをなしながら、平板部231の周縁部に沿って断続的に延びている。
【0048】
Y軸方向における第1カバー体51(の平板部231)の全長は、Y軸方向における第2カバー体52(の平板部231)の全長よりも大きい。
【0049】
図7および
図8に示されるように、第1カバー体51は、第1重畳部232を有する。第1重畳部232は、第1カバー体51における平板部231の-Y軸方向の端部に沿って設けられている。第1重畳部232は、Y軸方向に一定の幅を有しつつ、X軸方向に帯状に延びる平板部231の一部に対応している。
【0050】
第1カバー体51には、溝部96が設けられている。溝部96は、第1カバー体51の平板部231に設けられている。溝部96は、Z軸方向が高さ方向となり、X軸方向に延びる溝形状をなしている。溝部96は、+Z軸方向を向く平板部231の表面から凹み、Y軸方向に一定の幅を有しながらX軸方向に延びる溝形状をなしている。Y軸方向における溝部96の幅は、Y軸方向におけるリテーナ91(バー部92)の幅よりも大きい。
【0051】
図9および
図10に示されるように、第2カバー体52は、第2重畳部233を有する。第2重畳部233は、第2カバー体52における平板部231の+Y軸方向の端部に沿って設けられている。第2重畳部233は、Y軸方向に一定の幅を有しつつ、X軸方向に帯状に延び、平板部231に対して平板部231の厚み分だけ-Z軸方向に段差をなす段差部分に対応している。
【0052】
図1から
図3、および、
図11を参照して、第2重畳部233は、第1重畳部232と重ね合わされている。第2重畳部233は、Z軸方向において、電池セル11および第1重畳部232の間に配置されている。第1重畳部232は、第2重畳部233に対して、Z軸方向におけるプラス側から重ね合わされている。第1カバー体51は、Z軸方向において、電池セル11およびリテーナ91(バー部92)の間に配置されている。リテーナ91(バー部92)は、第1カバー体51に対して、Z軸方向におけるプラス側から重ね合わされている。
【0053】
図11に示されるように、第1重畳部232および第2重畳部233は、X軸-Y軸平面に平行な面内で面接触している。Y軸方向における、第2カバー体52の平板部231と、第1カバー体51の第1重畳部232との間には、隙間321が設けられている。
【0054】
リテーナ91(バー部92)は、溝部96に配置されている。-Y軸方向におけるリテーナ91の端部と、第1カバー体51の平板部231がなす溝部96の溝壁との間には、隙間326が設けられている。+Y軸方向におけるリテーナ91の端部と、第1カバー体51の平板部231がなす溝部96の溝壁との間には、隙間327が設けられている。
【0055】
図3に示されるように、電池モジュール100の組み立て時、被取り付け部材30および一対のバインドバー43に対して、第2カバー体52、第1カバー体51およびリテーナ91が挙げた順に組み付けられる。
【0056】
続いて、被取り付け部材30に対する第1カバー体51および第2カバー体52の取り付け構造について説明する。
【0057】
図1および
図2、および、
図7から
図10を参照して、第1カバー体51は、第1接続部57を有する。第2カバー体52は、第2接続部56を有する。第1カバー体51および第2カバー体52の少なくともいずれか一方は、第3接続部58を有する。
【0058】
第1接続部57は、Y軸方向において、第1重畳部232に対して第2カバー体52の反対側に配置されている。第1接続部57は、+Y軸方向における第1カバー体51の端部に設けられている。第1接続部57は、Y軸方向に固定されるように被取り付け部材30に接続されている。第2接続部56は、Y軸方向において、第2重畳部233に対して第1カバー体51の反対側に配置されている。第2接続部56は、-Y軸方向における第2カバー体52の端部に設けられている。第2接続部56は、Y軸方向に固定されるように被取り付け部材30に接続されている。
【0059】
第3接続部58は、Y軸方向において第1接続部57および第2接続部56の間に配置されている。第3接続部58は、第1カバー体51および第2カバー体52に設けられている。第3接続部58は、Y軸方向にスライド可能なように被取り付け部材30に接続されている。
【0060】
図1から
図5を参照して、ケース体31は、リブ部113と、爪部221とをさらに有する。
【0061】
リブ部113は、ケース頂部32から突出し、Z軸方向に高さをなしながら、電極端子16を取り囲むようにリブ状に延びている。爪部221は、リブ部113の側面からX軸方向に突出する凸形状をなしている。爪部221は、+X軸方向を向くリブ部113の外側面と、-X軸方向を向くリブ部113の外側面との各側面に設けられている。爪部221は、+X軸方向を向くリブ部113の外側面において、+X軸方向に突出する凸形状をなし、-X軸方向を向くリブ部113の外側面において、-X軸方向に突出する凸形状をなしている。複数のケース体31がY軸方向に並べられた状態において、複数の爪部221が、Y軸方向において互いに間隔を開けて設けられている。
【0062】
図1から
図4を参照して、基台212には、爪部222と、爪部225とが設けられている。爪部222は、+X軸方向を向く基台212の外側面に設けられ、+X軸方向に突出する凸形状をなしている。爪部225は、-X軸方向を向く基台212の外側面に設けられ、-X軸方向に突出する凸形状をなしている。爪部222および爪部225は、エンドプレート42Pの直上に設けられている。基台217には、爪部223が設けられている。爪部223は、+X軸方向を向く基台217の外側面に設けられ、+X軸方向に突出する凸形状をなしている。爪部223は、エンドプレート42Qの直上に設けられている。
【0063】
ダクト71のコネクタ支持部74には、爪部224が設けられている。爪部224は、-X軸方向を向くコネクタ支持部74の外側面に設けられ、-X軸方向に突出する凸形状をなしている。爪部224は、エンドプレート42Qの直上に設けられている。
【0064】
図1および
図2、ならびに、
図7から
図10を参照して、第1カバー体51には、複数の開口部251と、開口部253と、開口部254とが設けられている。第2カバー体52には、複数の開口部251と、開口部252と、開口部255とが設けられている。複数の開口部251、開口部252、開口部253、開口部254および開口部255は、縁部236に設けられている。
【0065】
図1および
図2、ならびに、
図7および
図8に示されるように、開口部253は、第1カバー体51において、基台217を覆う部分に設けられている。開口部254は、第1カバー体51において、コネクタ支持部74を覆う部分に設けられている。開口部253および開口部254には、それぞれ、爪部223および爪部224が嵌合されている。Y軸方向における開口部253の開口長さ(幅)は、Y軸方向における爪部223の長さ(幅)と略同じであり、Y軸方向における開口部254の開口長さ(幅)は、Y軸方向における爪部224の長さ(幅)と略同じである。爪部223および爪部224は、それぞれ、開口部253および開口部254の内側で、Z軸方向およびY軸方向に係止されている。このような構成により、開口部253および開口部254は、Y軸方向に固定されるように被取り付け部材30(基台217,コネクタ支持部74)に接続される第1接続部57を構成している。
【0066】
図1および
図2、ならびに、
図9および
図10に示されるように、開口部252および開口部255は、第2カバー体52において、基台212を覆う部分に設けられている。開口部252および開口部255には、それぞれ、爪部222および爪部225が嵌合されている。Y軸方向における開口部252の開口長さ(幅)は、Y軸方向における爪部222の長さ(幅)と略同じであり、Y軸方向における開口部255の開口長さ(幅)は、Y軸方向における爪部225の長さ(幅)と略同じである。爪部222および爪部225は、それぞれ、開口部252および開口部255の内側で、Z軸方向およびY軸方向に係止されている。このような構成により、開口部252および開口部255は、Y軸方向に固定されるように被取り付け部材30(基台212)に接続される第2接続部56を構成している。
【0067】
図1および
図2、ならびに、
図7および
図8に示されるように、第1カバー体51には、複数の開口部251がさらに設けられている。複数の開口部251は、Y軸方向において、互いに間隔を開けて並んでいる。複数の開口部251は、Y軸方向において、開口部253および開口部254(第1接続部57)と、第1重畳部232との間に配置されている。
【0068】
図1および
図2、ならびに、
図9および
図10に示されるように、第2カバー体52には、複数の開口部251がさらに設けられている。複数の開口部251は、Y軸方向において、互いに間隔を開けて並んでいる。複数の開口部251は、Y軸方向において、開口部252および開口部255(第2接続部56)と、第2重畳部233との間に配置されている。
【0069】
図1および
図2に示されるように、複数の開口部251には、それぞれ、複数の爪部221が嵌合されている。Y軸方向における開口部251の開口長さ(幅)は、Y軸方向における爪部221の長さ(幅)よりも大きい。爪部221は、±Y軸方向における開口部251の開口縁から離れた位置に配置されている。爪部221は、開口部251の内側でZ軸方向にのみ係止されている。このような構成により、複数の開口部251は、Y軸方向にスライド可能なように被取り付け部材30(複数のケース体31)に接続される第3接続部58を構成している。
【0070】
図1、
図2および
図11を参照して、本実施の形態における電池モジュール100においては、温度変化による第1カバー体51および第2カバー体52の膨張収縮に伴って、第1重畳部232および第2重畳部233がZ軸方向において互いに重ね合わされつつ、Y軸方向に相対的にスライド動作する。これにより、第1カバー体51および第2カバー体52の間に隙間が生じることを防ぎ、電池セル11に対する絶縁距離を確保することができる。
【0071】
また、第2カバー体52の第2重畳部233が、電池セル11と、第1カバー体51の第1重畳部232に間に配置され、第1カバー体51が、電池セル11およびリテーナ91の間に配置されている。このため、第1カバー体51の第1重畳部232が、被取り付け部材30に対する第2カバー体52の留め具として機能し、リテーナ91が、被取り付け部材30に対する第1カバー体51の留め具として機能する。これにより、第1カバー体51および第2カバー体52が被取り付け部材30から脱落することを確実に防止できる。
【0072】
本実施の形態では、リテーナ91が第1カバー体51に設けられた溝部96に配置されるため、第1カバー体51に対するリテーナ91の位置ずれを防ぐことができる。
【0073】
また、隙間321が、第2カバー体52の平板部231と、第1重畳部232との間に設けられ、隙間326および隙間327が、リテーナ91と、第1カバー体51の平板部231がなす溝部96の溝壁との間に設けられている。このような構成により、Y軸方向における第1カバー体51および第2カバー体52のスライド動作に伴って、第1カバー体51および第2カバー体52が互いに干渉したり、第1カバー体51およびリテーナ91が互いに干渉したりすることを防止できる。
【0074】
また、Y軸方向における第1カバー体51の全長が、Y軸方向における第2カバー体52の全長よりも大きいため、Z軸方向において第1カバー体51と重ね合わされるリテーナ91を、Y軸方向における複数の電池セル11の全長の中心位置に設けることが可能となる。これにより、リテーナ91を電池モジュール100の剛性の向上により効率的に寄与させることができる。
【0075】
また、第1接続部57および第2接続部56の各接続部が、Y軸方向に固定されるように被取り付け部材30(基台212,基台217,コネクタ支持部74)に接続される一方、第1接続部57および第2接続部56の間に配置される第3接続部58が、Y軸方向にスライド可能なように被取り付け部材30(複数のケース体31)に接続されている。このような構成により、Y軸方向の両端において第1カバー体51および第2カバー体52の位置が保持されたまま、第1カバー体51および第2カバー体52の膨張収縮に伴う、これらカバー体のY軸方向に沿ったスライド動作が許容される。これにより、複数の電池セル11に対する第1カバー体51および第2カバー体52の位置ずれを防ぎつつ、第1カバー体51および第2カバー体52の変形、または、被取り付け部材30に対する第1カバー体51および第2カバー体52の取り付け状態の毀損を防ぐことができる。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
11 電池セル、12 外装体、13,14 セル側面、15 セル頂面、16 電極端子、16n 負極端子、16p 正極端子、17 ガス排出弁、21,21A,21R 電池セルユニット、27,28 バスバー、30 被取り付け部材、31 ケース体、32 ケース頂部、42,42P,42Q エンドプレート、43 バインドバー、46 プレート部、47 庇部、51 第1カバー体、52 第2カバー体、56 第2接続部、57 第1接続部、58 第3接続部、71 ダクト、72 ダクト本体部、74 コネクタ支持部、81 プラス端子箱、86 マイナス端子箱、91 リテーナ、92 バー部、93 折れ曲がり部、96 溝部、100 電池モジュール、113 リブ部、211,216 開閉扉、212,217 基台、221,222,223,224,225 爪部、231 平板部、232 第1重畳部、233 第2重畳部、236 縁部、251,252,253,254,255 開口部、321,326,327 隙間。