IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電池モジュール 図1
  • 特開-電池モジュール 図2
  • 特開-電池モジュール 図3
  • 特開-電池モジュール 図4
  • 特開-電池モジュール 図5
  • 特開-電池モジュール 図6
  • 特開-電池モジュール 図7
  • 特開-電池モジュール 図8
  • 特開-電池モジュール 図9
  • 特開-電池モジュール 図10
  • 特開-電池モジュール 図11
  • 特開-電池モジュール 図12
  • 特開-電池モジュール 図13
  • 特開-電池モジュール 図14
  • 特開-電池モジュール 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060674
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240425BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/273 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240425BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240425BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20240425BHJP
【FI】
H01M50/204 201
H01M50/209
H01M50/264
H01M50/273
H01M50/271 S
H01M50/289 101
H01M10/052
H01M50/249
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168085
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 翔太
(72)【発明者】
【氏名】田中 巌
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛頌
(72)【発明者】
【氏名】大城 佳子
【テーマコード(参考)】
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H029BJ02
5H029HJ19
5H040AA31
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC26
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池モジュールが傾いた場合にも底部カバー上に溜まった結露水などの排水を滞りなく行うことができる電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュールは、第1の方向に並んで配置され、角形形状の筐体と筐体上に設けられた電極端子とを各々有する複数の電池セルを含む積層体と、複数の電池セルに対して第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように設けられ、第1の方向に沿って積層体を拘束する拘束部材と、第1の方向および第2の方向に直交する第3の方向において電極端子の反対側から積層体を覆うように設けられた絶縁性のカバー部材とを備える。カバー部材は、カバー部材の第2の方向の中央部に位置する第1排水部と、カバー部材の第2の方向の両端部に位置する第2排水部とを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んで配置され、角形形状の筐体と前記筐体上に設けられた電極端子とを各々有する複数の電池セルを含む積層体と、
前記複数の電池セルに対して前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように設けられ、前記第1の方向に沿って前記積層体を拘束する拘束部材と、
前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向において前記電極端子の反対側から前記積層体を覆うように設けられた絶縁性のカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、前記カバー部材の前記第2の方向の中央部に位置する第1排水部と、前記カバー部材の前記第2の方向の両端部に位置する第2排水部とを含む、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1排水部および前記第2排水部の少なくとも一方は、前記カバー部材に設けられた貫通穴を含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記積層体の反対側に突出するフランジ部が前記貫通穴の縁に形成される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記貫通穴の縁に設けられ、前記カバー部材から離れる方向に前記積層体を付勢する付勢部をさらに備えた、請求項2または請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1排水部および前記第2排水部の少なくとも一方は、前記第1の方向における前記カバー部材の端部に設けられた溝部を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記第2の方向の中央部に位置する前記第1排水部に向かって前記積層体から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記積層体は、前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記ユニットは、2個以上の電池セルを各々含み、前記2個以上の電池セルの各々の出力密度は8000W/L以上である、請求項7に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1ないし6に示されるように、電池モジュールおよび電池パックにおいて、底部に溜まった結露水を排水するための排水部を設けることが従来から行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-165004号公報
【特許文献2】特開2011-198713号公報
【特許文献3】特開2017-059505号公報
【特許文献4】国際公開第2013/179797号
【特許文献5】特開2011-173447号公報
【特許文献6】特許第6992927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用などに用いられる電池モジュールにおいては、外部環境により電池モジュールが傾く場合がある。その場合にも、結露水などの排水を滞りなく行うことが求められる。
【0005】
本技術の目的は、電池モジュールが傾いた場合にも底部カバー上に溜まった結露水などの排水を滞りなく行うことができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の電池モジュールを提供する。
【0007】
[1]第1の方向に並んで配置され、角形形状の筐体と筐体上に設けられた電極端子とを各々有する複数の電池セルを含む積層体と、複数の電池セルに対して第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように設けられ、第1の方向に沿って積層体を拘束する拘束部材と、第1の方向および第2の方向に直交する第3の方向において電極端子の反対側から積層体を覆うように設けられた絶縁性のカバー部材とを備え、カバー部材は、カバー部材の第2の方向の中央部に位置する第1排水部と、カバー部材の第2の方向の両端部に位置する第2排水部とを含む、電池モジュール。
【0008】
[2]第1排水部および第2排水部の少なくとも一方は、カバー部材に設けられた貫通穴を含む、[1]に記載の電池モジュール。
【0009】
[3]積層体の反対側に突出するフランジ部が貫通穴の縁に形成される、[2]に記載の電池モジュール。
【0010】
[4]貫通穴の縁に設けられ、カバー部材から離れる方向に積層体を付勢する付勢部をさらに備えた、[2]または[3]に記載の電池モジュール。
【0011】
[5]第1排水部および第2排水部の少なくとも一方は、第1の方向におけるカバー部材の端部に設けられた溝部を含む、[1]から[4]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0012】
[6]カバー部材は、第2の方向の中央部に位置する第1排水部に向かって積層体から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する、[1]から[5]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0013】
[7]積層体は、複数の電池セルを収容して少なくとも第1の方向に支持し、複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに含む、[1]から[6]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0014】
[8]ユニットは、2個以上の電池セルを各々含み、2個以上の電池セルの各々の出力密度は8000W/L以上である、[7]に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、電池モジュールが傾いた場合にも電池モジュールの底部カバー上に溜まった結露水などの排水を滞りなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電池モジュールを示す斜視図(その1)である。
図2】電池モジュールを示す斜視図(その2)である。
図3】電池モジュールを示す分解組み立て図である。
図4】電池モジュールを構成する電池セルユニットを示す斜視図である。
図5】電池セルユニットを構成する電池セルを示す斜視図である。
図6】底部カバー体を示す斜視図である。
図7】底部カバー体を示す上面図である。
図8図7におけるVIII-VIII断面図である。
図9】底部カバー体におけるX軸方向の中央部に設けられた排水穴(第1排水部)の拡大斜視図である。
図10図7におけるX-X断面図である。
図11図7におけるXI-XI断面図である。
図12】底部カバー体におけるY軸方向の端部に設けられた溝部(第2排水部)の拡大斜視図である。
図13】電池モジュールが傾いた状態を示す図である。
図14】電池モジュールが基準面に向かって付勢された状態を示す図である。
図15】電池モジュールが付勢力に抗して底部カバー体に向かって移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0018】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0019】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0020】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0021】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0022】
図1および図2は、この発明の実施の形態における電池モジュールを示す斜視図である。図3は、図1図2中の電池モジュールを示す分解組み立て図である。図4は、図1中の電池モジュールを構成する電池セルユニットを示す斜視図である。図5は、図1中の電池セルユニットを構成する電池セルを示す斜視図である。
【0023】
図1から図5を参照して、電池モジュール1は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0024】
本明細書においては、電池モジュール1の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向に平行に延びる軸を「Y軸」といい、その「Y軸」を基準に、Y軸に直交する方向に延びる軸を「X軸」といい、Y軸と、X軸とに直交する方向に延びる軸を「Z軸」という。図1の紙面の右斜め上方向が「+Y軸方向」であり、左斜め下方向が「-Y軸方向」である。図1の紙面の右斜め下方向が「+X軸方向」であり、左斜め上方向が「-X軸方向」である。図1の紙面の上方向が「+Z軸方向」であり、下方向が「-Z軸方向」である。典型的には、電池モジュール1は、+Z軸方向が上方向に対応し、-Z軸方向が下方向に対応する姿勢により車両に搭載される。
【0025】
まず、電池モジュール1の全体構造について説明する。図3に示されるように、電池モジュール1は、複数の電池セルユニット21(21A,21B,21C,21D,21E,21F)を有する。
【0026】
複数の電池セルユニット21は、Y軸方向に並べられている。電池セルユニット21A、電池セルユニット21B、電池セルユニット21C、電池セルユニット21D、電池セルユニット21Eおよび電池セルユニット21Fは、挙げた順に、Y軸方向のマイナス側からプラス側に並んでいる。なお、電池モジュール1に備わる電池セルユニット21の数は、2以上であれば、特に限定されない。
【0027】
図4および図5に示されるように、電池セルユニット21A~21Fの各電池セルユニット21は、複数の電池セル11と、ケース体31とを有する。
【0028】
各電池セルユニット21において、2個の電池セル11が、Y軸方向に連続して並んでいる。各電池セルユニット21に備わる電池セル11の数は、複数であれば、特に限定されない。
【0029】
電池セル11は、リチウムイオン電池である。一例として、電池セル11は、8000W/L以上の出力密度を有し得る。電池セル11は、角形形状を有する。より具体的には、電池セル11は、直方体形状の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0030】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0031】
外装体12は、セル側面13と、セル側面14と、セル頂面15とを有する。セル側面13およびセル側面14の各側面は、Y軸方向に直交する平面からなる。セル側面13およびセル側面14は、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。セル側面13およびセル側面14の各側面は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。セル頂面15は、Z軸方向に直交する平面からなる。セル頂面15は、+Z軸方向を向いている。
【0032】
電池セル11は、ガス排出弁17をさらに有する。ガス排出弁17は、セル頂面15に設けられている。ガス排出弁17は、X軸方向におけるセル頂面15の中央部に設けられている。ガス排出弁17は、外装体12の内部で発生したガスにより外装体12の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを外装体12の外部に排出する。ガス排出弁17からのガスは、後述するダクト71を流れて、電池モジュール1の外部に排出される。
【0033】
電池セル11は、正極端子16Pおよび負極端子16Nが対となった電極端子16をさらに有する。電極端子16は、セル頂面15に設けられている。正極端子16Pおよび負極端子16Nは、X軸方向においてガス排出弁17を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
【0034】
ケース体31は、直方体形状の外観をなしている。ケース体31は、樹脂製である。各電池セルユニット21において、ケース体31は、複数の電池セル11を収容している。ケース体31は、ケース頂部32を有する。ケース頂部32は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される壁形状をなしている。
【0035】
図3および図4に示されるように、Y軸方向(第1の方向)に並べられた電池セルユニット21A~21Fの間に渡って、複数の電池セル11がY軸方向に積層されている。複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11の間において、セル側面13同士が向かい合わせとなり、セル側面14同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子16Pと負極端子16Nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う正極端子16Pおよび負極端子16Nは、図示しないバスバーにより互いに接続されている。これにより、複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0036】
図1ないし図3に示されるように、電池モジュール1は、一対のエンドプレート42(42P,42Q)と、一対のバインドバー43(拘束部材)とをさらに有する。一対のバインドバー43および一対のエンドプレート42は、Y軸方向に並ぶ複数の電池セルユニット21(複数の電池セル11)を一体に保持している。
【0037】
一対のエンドプレート42は、それぞれ、Y軸方向における複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)の両端に配置されている。エンドプレート42Pは、Y軸方向において、電池セルユニット21Aと対向し、エンドプレート42Qは、Y軸方向において、電池セルユニット21Fと対向している。
【0038】
一対のバインドバー43は、X軸方向(第2の方向)において電池セル11の積層体の両端に配置されている。すなわち、一対のバインドバー43は、複数の電池セルユニット21およびエンドプレート42に対してX軸方向に並ぶように設けられる。バインドバー43は、Y軸方向に延びている。-Y軸方向におけるバインドバー43の端部は、ボルト44により、エンドプレート42Pに接続されている。+Y軸方向におけるバインドバー43の端部は、ボルト44により、エンドプレート42Qに接続されている。一対のバインドバー43は、一対のエンドプレート42とともに、複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)に対してY軸方向の拘束力を作用させている。なお、後述するダクト71と交差しながらX軸方向に延び、その両端部で一対のバインドバー43と接続されるリテーナがさらに設けられてもよい。
【0039】
エンドプレート42には、スタッドボルト45が取り付けられている。電池モジュール1は、スタッドボルト45を介して支持機構(パックケースなど)に固定される。
電池モジュール1は、ダクト71と、カバー体51とをさらに有する。
【0040】
ダクト71は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の樹脂製である。ダクト71は、Z軸方向(第3の方向)において複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)と対向しながら、Y軸方向に延びている。ダクト71は、Y軸方向に延びる長尺体である。ダクト71は、複数の電池セル11から排出されたガスが流れる通路を形成している。ダクト71は、被取り付け部材30に取り付けられている。被取り付け部材30は、電池セル11により保持される部材であり、本実施の形態では、Y軸方向に並べられた複数のケース体31から構成されている。
【0041】
カバー体51は、樹脂製である。カバー体51は、Z軸方向において、複数の電池セル11を覆うように設けられている。カバー体51は、Z軸方向において、ケース体31のケース頂部32と対向して設けられている。カバー体51は、ダクト71をさらに覆うように設けられている。
【0042】
図2に示す底部カバー体81(カバー部材)は、絶縁性の樹脂からなる絶縁性部材である。底部カバー体81は、Z軸方向において、複数の電池セル11を覆うように設けられている。底部カバー体81は、Z軸方向において、ケース体31の底部(ケース頂部32の反対側)と対向して設けられている。絶縁性の底部カバー体81を設けることにより、電池モジュール1の底部側の絶縁性を向上させることができる。
【0043】
図6は、底部カバー体81を示す斜視図である。図7は、底部カバー体81体を示す上面図である。図8は、図7におけるVIII-VIII断面図である。
【0044】
図6ないし図8に示すように、底部カバー体81(カバー部材)は、底面81Aと、壁面部81Bとを有する。壁面部81Bは、底面81Aの外周部から底面81Aに対して略垂直に立ち上がるように設けられる。底面81Aと壁面部81Bとは、典型的には樹脂の一体成形により形成される。
【0045】
底部カバー体81は、X軸方向の中心に設けられた貫通穴100と、貫通穴100に対してX軸方向の両側に設けられた板バネ200および貫通穴300と、X軸方向の両端部に設けられた突起400と、四隅の角部に設けられた溝部500とを含む。
【0046】
貫通穴100,300は、底部カバー体81のX軸方向(第2の方向)の中央側の領域600に設けられる。貫通穴100,300は、底部カバー体81のX軸方向の中央部に位置する「第1排水部」を構成する。溝部500は、底部カバー体81のX軸方向(第2の方向)の端部の領域700に設けられる。溝部500は、底部カバー体81のX軸方向およびY軸方向の両端部(四隅)に位置する「第2排水部」を構成する。底部カバー体81の底面81A上に溜まった結露水などの水分は、貫通穴100,300および溝部500を通じて底部カバー体81上から排出される。
【0047】
領域600において、底部カバー体81の底面81Aは、X軸方向の中心に位置する貫通穴100に向かって下方(-Z軸方向)に傾斜する傾斜面を有している。したがって、電池モジュール1が全体として水平に設置されているとき、領域600上に溜まった水分は、貫通穴100に向かって流れやすく、水分の排出が促進される。なお、上述の傾斜面の形成は、本技術において必須の構成ではない。
【0048】
一例において、貫通穴100は直径7mm程度の丸穴であり、貫通穴300は6mm(Y軸方向)×8mm(X軸方向)程度の四角形状穴であり、溝部500の幅(X軸方向)は10mm程度である。ただし、貫通穴100,300および溝部500の形状および寸法は上記のものに限定されず、適宜変更が可能である。
【0049】
領域700に設けられた突起400は、一例として略円形の断面形状を有するが、突起400は、たとえば略多角形状など、略円形とは異なる断面形状を有してもよい。略円形の断面形状を有する突起400とすることにより、領域700から溝部500を通じて排出される結露水などの水分の流れに対する抵抗が低減され得る。
【0050】
本実施の形態においては、一例として、6つの電池セルユニット21に対してY軸方向に6組の板バネ200と12組の突起400とが設けられている。板バネ200および突起400の数および配置は適宜変更可能である。
【0051】
突起400の大きさも適宜変更可能である。一例として、所定の荷重(たとえば120N)が作用しても電池セルユニット21のケース体31が塑性変形しないように、頂面400Aの径(たとえば直径4mm程度)および形状(円形)が設定され得る。
【0052】
板バネ200(付勢部)は、底部カバー体81から離れる方向(+Z軸方向)に積層体を付勢する。板バネ200は、底部カバー体81の底面81Aおよび壁面部81Bと一体成形により形成されてもよいし、別部材として形成されたものが取り付けられてもよい。板バネ200は、Z軸方向において貫通穴300と重なる位置に設けられる。板バネ200は、貫通穴300の縁から上方に立ち上がるように形成される。板バネ200および貫通穴300は、底部カバー体81のX軸方向の中心に対して対称に設けられる。
【0053】
貫通穴100,300は、Y軸方向に沿って並ぶように複数形成される。貫通穴100と貫通穴300とは、Y軸方向において互いにずれた位置に形成されている。すなわち、貫通穴100,300は、千鳥状に配置されている。
【0054】
底部カバー体81の仕様は、適宜変更され得る。一例において、たとえばJISC 0920に準拠した方法で所定のテストフィンガーを貫通穴100に押し込んだときにテストフィンガーが電池セル11に触れないように、底部カバー体81の材質(硬度)、底面81Aの厚み、貫通穴100の径などが設定される。
【0055】
図9は、底部カバー体81における貫通穴100,300の周辺を示す拡大斜視図である。図10図11は、各々、図7におけるX-X断面図、XI-XI断面図である。図12は、溝部500の拡大斜視図である。
【0056】
図9および図10に示すように、貫通穴100,300の縁には、下方側(電池セル11の反対側)に突出するフランジ部110,310が各々形成される。図11に示すように、溝部500においても、溝部500の下方側に突出するフランジ部510が形成されている。フランジ部110,310,510が形成されることにより、貫通穴100,300および溝部500から水分が排出されるときの水切り(排水部における付着の抑制)を促進することができる。
【0057】
電池モジュール1を車載用、船舶用などに用いる場合においては、外部環境により電池モジュール1が傾く場合がある。電池モジュール1が傾いた場合、図13に示すように、水分800は底部カバー体81のX軸方向の端部に寄せられる。端部に寄せられた水分800は、壁面部81Bに沿ってY軸方向に流れ、Y軸方向の端部に設けられた溝部500を通じて底部カバー体81上から排出される。
【0058】
このように、本実施の形態に係る電池モジュール1においては、外部環境により電池モジュール1が傾いた場合にも、結露水などの排水を滞りなく行うことができる。
【0059】
図14は、電池モジュール1が上方に付勢された状態を示す図である。図15は、電池モジュール1が下方に移動した状態を示す図である。
【0060】
図14に示すように、板バネ200は、複数の電池セル11を含む電池セルユニット21を上方に付勢する。板バネ200に付勢された電池セルユニット21は、バインドバー43に押しつけられる。より具体的には、バインドバー43は、ケース体31のケース頂部32に対向する対向面43A(対向部分)を有し、電池セルユニット21は、ケース体31のケース頂部32がバインドバー43の対向面43Aに当接するように板バネ200に付勢される。ここで、バインドバー43の対向面43Aは、複数の電池セルユニット21のZ軸方向の位置決めの基準面となる。
【0061】
このように、電池モジュール1においては、板バネ200およびバインドバー43により、複数の電池セルユニット21のZ軸方向の位置決めを精度よく行うことが可能である。特に、複数の電池セルユニット21を積層してY軸方向に拘束する工程において、簡便かつ精度の高い位置決め方法が提供され得る。
【0062】
上述のとおり、底部カバー体81は、電池セルユニット21に向かって突出する突起400を含む。複数の突起400の突出高さは、略一定である。複数の突起400のうち、一部の突起400の高さが異なっていてもよい。
【0063】
外部環境により電池モジュール1が振動し、電池セルユニット21が板バネ200の付勢力に抗して下方側(底部カバー体81に近づく方向)に移動したときには、図15に示すように、突起400の頂面400Aが電池セルユニット21の積層体に当接して電池セルユニット21の積層体を支持して電池セルユニット21が底部カバー体81に近づきすぎることを抑制できる。振動による外力が作用しなくなった後は、板バネ200の付勢力により電池セルユニット21がバインドバー43の対向面43Aに押しつけられ、図14の状態に戻る。このように、電池モジュール1が振動したときも、電池セルの位置決めを精度よく行うことができる。
【0064】
このように、本実施の形態に係る電池モジュール1においては、電池モジュール1が傾いた場合にも底部カバー体81上に溜まった結露水などの排水を滞りなく行うことができるとともに、電池モジュール1の振動時においても、複数の電池セルユニット21の積層体の位置決めを精度よく行うことができる。
【0065】
さらに、電池モジュール1においては、複数の電池セル11をY軸方向に並べてケース体31に収容する電池セルユニット21構成し、かつ、複数の電池セルユニット21をY軸の方向に並べて配置して電池モジュール1を構成することによって、複数の電池セル11の各々を一単位として電池モジュール1を製造する場合と比較して、製造工程を簡素化することができる。
【0066】
電池モジュール1においては、複数の電池セル11をケース体31に収容する電池セルユニット21を構成することによって、電池モジュール1を電池セルユニット21の単位で容易に解体または交換することができる。
【0067】
電池モジュール1においては、複数の電池セル11をケース体31に収容する電池セルユニット21を構成することによって、電池モジュール1を廃棄する際に、電池モジュール1を分割して、電池セルユニット21を一単位として低電圧化して取り扱うことができる。このため、電池モジュール1の廃棄を容易にすることができる。
【0068】
電池モジュール1においては、1つのユニットに2個以上の電池セル11を含み、2個以上の電池セル11の各々の出力密度を8000W/L以上程度にすることによって、ユニット単位で所定の電圧以上の電源装置を形成することができる。
【0069】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 電池モジュール、11 電池セル、12 外装体、13,14 セル側面、15 セル頂面、16 電極端子、16N 負極端子、16P 正極端子、17 ガス排出弁、21,21A,21B,21C,21D,21E,21F 電池セルユニット、30 被取り付け部材、31 ケース体、32 ケース頂部、42,42P,42Q エンドプレート、43 バインドバー、43A 対向面、44 ボルト、45 スタッドボルト、51 カバー体、71 ダクト、81 底部カバー体、81A 底面、81B 壁面部、100 貫通穴、110 フランジ部、200 板バネ、300 貫通穴、310 フランジ部、400 突起、400A 頂面、500 溝部、510 フランジ部、600,700 領域、800 水分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15