(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060678
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240425BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240425BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240425BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/209
H01M50/264
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168089
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 佳洋
(72)【発明者】
【氏名】寺中 智親
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AA07
5H040AA14
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC20
5H040JJ00
5H040JJ03
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】強度の維持と小型化とを両立し得る電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュールは、第1の方向に並んで配置され、角形形状を各々有する複数の電池セルを含む積層体と、複数の電池セルに対して第1の方向に並ぶように設けられるエンドプレートと、複数の電池セルおよびエンドプレートに対して第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように設けられ、第1の方向に沿って複数の電池セルおよびエンドプレートを拘束する拘束部材とを備える。エンドプレートは板状部材を含む。板状部材は、第1の方向から積層体に当接する当接部と、当接部に対して積層体から離れる方向に位置する凹部とを含む凹凸形状を有する。凹部は、凹部の底面を構成する平面状の第1部分と、凹凸形状を形成するための加工が施された第2部分とを含む。第1の方向から見て第2部分と重なる領域において、板状部材に第1部分と連続する平面を形成する押し当て加工が施されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んで配置され、角形形状を各々有する複数の電池セルを含む積層体と、
前記複数の電池セルに対して前記第1の方向に並ぶように設けられるエンドプレートと、
前記複数の電池セルおよび前記エンドプレートに対して前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように設けられ、前記第1の方向に沿って前記複数の電池セルおよび前記エンドプレートを拘束する拘束部材とを備え、
前記エンドプレートは板状部材を含み、
前記板状部材は、前記第1の方向から前記積層体に当接する当接部と、前記当接部に対して前記積層体から離れる方向に位置する凹部とを含む凹凸形状を有し、
前記凹部は、前記凹部の底面を構成する平面状の第1部分と、前記凹凸形状を形成するための加工が施された第2部分とを含み、
前記第1の方向から見て前記第2部分と重なる領域において、前記板状部材に前記第1部分と連続する平面を形成する押し当て加工が施されている、電池モジュール。
【請求項2】
前記エンドプレートは、前記第1部分に設けられ、前記拘束部材と締結される締結部を含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記締結部は、前記第2の方向における前記エンドプレートの両端部に位置するように設けられる、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記当接部および前記凹部は、前記第2の方向に各々延在し、かつ、前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って互いに隣接するように形成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記当接部および前記凹部の前記第3の方向の幅は前記第2の方向に沿って変化し、前記当接部の前記第3の方向の幅が相対的に狭い部分に押し当て加工が施される、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記ユニットは、2個以上の電池セルを各々含み、前記2個以上の電池セルの各々の出力密度は8000W/L以上である、請求項7に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、板状部材によってエンドプレートを構成し、そのエンドプレートをボルトにより固定することが従来から行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池モジュールの小型化の要請を満たしながら、板状部材の平面部分の領域を確保して拘束部材(バインドバー)との締結を行いやすくすることが求められる。
【0005】
本技術の目的は、強度の維持と小型化とを両立し得る電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の電池モジュールを提供する。
【0007】
[1]第1の方向に並んで配置され、角形形状を各々有する複数の電池セルを含む積層体と、複数の電池セルに対して第1の方向に並ぶように設けられるエンドプレートと、複数の電池セルおよびエンドプレートに対して第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように設けられ、第1の方向に沿って複数の電池セルおよびエンドプレートを拘束する拘束部材とを備え、エンドプレートは板状部材を含み、板状部材は、第1の方向から積層体に当接する当接部と、当接部に対して積層体から離れる方向に位置する凹部とを含む凹凸形状を有し、凹部は、凹部の底面を構成する平面状の第1部分と、凹凸形状を形成するための加工が施された第2部分とを含み、第1の方向から見て第2部分と重なる領域において、板状部材に第1部分と連続する平面を形成する押し当て加工が施されている、電池モジュール。
【0008】
[2]エンドプレートは、第1部分に設けられ、拘束部材と締結される締結部を含む、[1]に記載の電池モジュール。
【0009】
[3]締結部は、第2の方向におけるエンドプレートの両端部に位置するように設けられる、[2]に記載の電池モジュール。
【0010】
[4]複数の電池セルを収容して少なくとも第1の方向に支持し、複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに備えた、[1]から[3]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0011】
[5]当接部および凹部は、第2の方向に各々延在し、かつ、第1の方向および第2の方向に直交する第3の方向に沿って互いに隣接するように形成される、[1]から[4]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0012】
[6]当接部および凹部の第3の方向の幅は第2の方向に沿って変化し、当接部の第3の方向の幅が相対的に狭い部分に押し当て加工が施される、[5]に記載の電池モジュール。
【0013】
[7]複数の電池セルを収容して少なくとも第1の方向に支持し、複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに備えた、[1]から[6]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0014】
[8]ユニットは、2個以上の電池セルを各々含み、2個以上の電池セルの各々の出力密度は8000W/L以上である、[7]に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、エンドプレートを構成する板状部材の平面部分(第1部分)を拡大するように押し上げ加工を施すことにより、強度を犠牲にすることなく、スペースの制約を回避して電池モジュールを小型化することができる。したがって、強度の維持と小型化とを両立し得る電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】電池モジュールを示す分解組み立て図である。
【
図3】電池モジュールを構成する電池セルユニットを示す斜視図である。
【
図4】電池セルユニットを構成する電池セルを示す斜視図である。
【
図5】エンドプレートと電池セルユニットとの当接部周辺を示す側面図である。
【
図6】エンドプレートを示す斜視図(その1)である。
【
図7】エンドプレートを示す斜視図(その2)である。
【
図8】エンドプレートを構成する板状部材を示す斜視図である。
【
図9】エンドプレートを構成する板状部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0018】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0019】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0020】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0021】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態における電池モジュールを示す斜視図である。
図2は、
図1中の電池モジュールを示す分解組み立て図である。
図3は、
図1中の電池モジュールを構成する電池セルユニットを示す斜視図である。
図4は、
図1中の電池セルユニットを構成する電池セルを示す斜視図である。
【0023】
図1から
図4を参照して、電池モジュール1は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0024】
本明細書においては、電池モジュール1の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向に平行に延びる軸を「Y軸」といい、その「Y軸」を基準に、Y軸に直交する方向に延びる軸を「X軸」といい、Y軸と、X軸とに直交する方向に延びる軸を「Z軸」という。
図1の紙面の右斜め上方向が「+Y軸方向」であり、左斜め下方向が「-Y軸方向」である。
図1の紙面の右斜め下方向が「+X軸方向」であり、左斜め上方向が「-X軸方向」である。
図1の紙面の上方向が「+Z軸方向」であり、下方向が「-Z軸方向」である。典型的には、電池モジュール1は、+Z軸方向が上方向に対応し、-Z軸方向が下方向に対応する姿勢により車両に搭載される。
【0025】
まず、電池モジュール1の全体構造について説明する。
図2に示されるように、電池モジュール1は、複数の電池セルユニット21(21A,21B,21C,21D,21E,21F)を有する。
【0026】
複数の電池セルユニット21は、Y軸方向に並べられている。電池セルユニット21A、電池セルユニット21B、電池セルユニット21C、電池セルユニット21D、電池セルユニット21Eおよび電池セルユニット21Fは、挙げた順に、Y軸方向のマイナス側からプラス側に並んでいる。なお、電池モジュール1に備わる電池セルユニット21の数は、2以上であれば、特に限定されない。
【0027】
図3および
図4に示されるように、電池セルユニット21A~21Fの各電池セルユニット21は、複数の電池セル11と、ケース体31とを有する。
【0028】
各電池セルユニット21において、2個の電池セル11が、Y軸方向に連続して並んでいる。各電池セルユニット21に備わる電池セル11の数は、複数であれば、特に限定されない。
【0029】
電池セル11は、リチウムイオン電池である。一例として、電池セル11は、8000W/L以上の出力密度を有し得る。電池セル11は、角形形状を有する。より具体的には、電池セル11は、直方体形状の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0030】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0031】
外装体12は、セル側面13と、セル側面14と、セル頂面15とを有する。セル側面13およびセル側面14の各側面は、Y軸方向に直交する平面からなる。セル側面13およびセル側面14は、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。セル側面13およびセル側面14の各側面は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。セル頂面15は、Z軸方向に直交する平面からなる。セル頂面15は、+Z軸方向を向いている。
【0032】
電池セル11は、ガス排出弁17をさらに有する。ガス排出弁17は、セル頂面15に設けられている。ガス排出弁17は、X軸方向におけるセル頂面15の中央部に設けられている。ガス排出弁17は、外装体12の内部で発生したガスにより外装体12の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを外装体12の外部に排出する。ガス排出弁17からのガスは、後述するダクト71を流れて、電池モジュール1の外部に排出される。
【0033】
電池セル11は、正極端子16Pおよび負極端子16Nが対となった電極端子16をさらに有する。電極端子16は、セル頂面15に設けられている。正極端子16Pおよび負極端子16Nは、X軸方向においてガス排出弁17を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
【0034】
ケース体31は、直方体形状の外観をなしている。ケース体31は、樹脂製である。各電池セルユニット21において、ケース体31は、複数の電池セル11を収容している。ケース体31は、ケース頂部32を有する。ケース頂部32は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される壁形状をなしている。
【0035】
図2および
図3に示されるように、Y軸方向(第1の方向)に並べられた電池セルユニット21A~21Fの間に渡って、複数の電池セル11がY軸方向に積層されている。複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11の間において、セル側面13同士が向かい合わせとなり、セル側面14同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子16Pと負極端子16Nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う正極端子16Pおよび負極端子16Nは、図示しないバスバーにより互いに接続されている。これにより、複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0036】
図1および
図2に示されるように、電池モジュール1は、一対のエンドプレート42(42P,42Q)と、一対のバインドバー43(拘束部材)とをさらに有する。一対のバインドバー43および一対のエンドプレート42は、Y軸方向に並ぶ複数の電池セルユニット21(複数の電池セル11)を一体に保持している。
【0037】
一対のエンドプレート42は、それぞれ、Y軸方向における複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)の両端に配置されている。エンドプレート42Pは、Y軸方向において、電池セルユニット21Aと対向し、エンドプレート42Qは、Y軸方向において、電池セルユニット21Fと対向している。
【0038】
一対のバインドバー43は、X軸方向(第2の方向)において電池セル11の積層体の両端に配置されている。すなわち、一対のバインドバー43は、複数の電池セルユニット21およびエンドプレート42に対してX軸方向に並ぶように設けられる。バインドバー43は、Y軸方向に延びている。-Y軸方向におけるバインドバー43の端部は、ボルト44により、エンドプレート42Pに接続されている。+Y軸方向におけるバインドバー43の端部は、ボルト44により、エンドプレート42Qに接続されている。一対のバインドバー43は、一対のエンドプレート42とともに、複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)に対してY軸方向の拘束力を作用させている。なお、後述するダクト71と交差しながらX軸方向に延び、その両端部で一対のバインドバー43と接続されるリテーナがさらに設けられてもよい。
【0039】
エンドプレート42には、スタッドボルト45が取り付けられている。電池モジュール1は、スタッドボルト45を介して支持機構(パックケースなど)に固定される。
電池モジュール1は、ダクト71と、カバー体51とをさらに有する。
【0040】
ダクト71は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の樹脂製である。ダクト71は、Z軸方向(第3の方向)において複数の電池セル11(複数の電池セルユニット21)と対向しながら、Y軸方向に延びている。ダクト71は、Y軸方向に延びる長尺体である。ダクト71は、複数の電池セル11から排出されたガスが流れる通路を形成している。ダクト71は、被取り付け部材30に取り付けられている。被取り付け部材30は、電池セル11により保持される部材であり、本実施の形態では、Y軸方向に並べられた複数のケース体31から構成されている。
【0041】
カバー体51は、樹脂製である。カバー体51は、Z軸方向において、複数の電池セル11を覆うように設けられている。カバー体51は、Z軸方向において、ケース体31のケース頂部32と対向して設けられている。カバー体51は、ダクト71をさらに覆うように設けられている。
【0042】
図5は、エンドプレート42Qと電池セルユニット21Fのケース体31との当接部周辺を示す側面図である。
図6,
図7は、エンドプレート42Qを示す斜視図である。
図8は、エンドプレート42Qを構成する板状部材100を示す斜視図である。
図9は、板状部材100を示す正面図である。
【0043】
なお、
図5から
図9には一方のエンドプレート42Qが示されるが、他方のエンドプレート42Pもエンドプレート42Qと実質的に同じ構造を有する。
【0044】
図5から
図9を参照して、エンドプレート42Qは2枚の板状部材100,200から構成される。板状部材100は、凸部110と凹部120とを含む波形形状を有する。凸部110および凹部120は、曲げ加工により、角部のない曲面が連続するように形成される。
図5に示すように、凸部110は、ケース体31に当接する当接部110A,110Bを構成する。
【0045】
板状部材100は、Y軸方向に沿ってケース体31側に突出するフランジ部分130,140を有する。フランジ部分130,140のY軸方向の先端とケース体31との間には隙間が形成されている(
図5中のA,B)。
【0046】
板状部材200は、Y軸方向に沿ってケース体31の反対側に突出するフランジ部分210と、ケース体31側に突出するフランジ部分220とを有する。フランジ部分220のY軸方向の先端とケース体31との間には隙間が形成されている(
図5中のB)。
【0047】
板状部材100において、凸部110と凹部120とはZ軸方向に並ぶように、交互に複数形成されている。すなわち、当接部110A,110Bおよび凹部120は、Z軸方向に沿って互いに隣接するように形成される。凸部110および凹部120は、X軸方向に延びるように形成される。複数の凹部120(
図5~
図9の例では3つ)には、平面部分150が各々形成される。エンドプレート42QのX軸方向の両端部に位置する平面部分150には、板状部材100,200を貫通する締結穴44A(締結部)が形成される。締結穴44Aには、エンドプレート42Qとバインドバー43とを締結するボルト44が挿通される。
【0048】
板状部材100,200のフランジ部分140,220は、エンドプレート42QのX軸方向の中央部分にのみ設けられ、エンドプレート42QのX軸方向の両端部分には設けられない。したがって、エンドプレート42QのX軸方向の両端部分においては、平面部分150,230が板状部材100,200の下端部(-Z軸方向の先端)にまで延びることになる。
【0049】
板状部材100の下端部に位置するフランジ部分140と平面部分150との間には、平面部分150からフランジ部分140に連続的に遷移する遷移部分160が設けられている。遷移部分160は、板状部材100の下端部に位置する平面部分150に隣接する。遷移部分160は、板状部材100にツイスト加工(ひねり曲げ加工)を施すことにより形成される。したがって、エンドプレート42QのX軸方向の両端側の平面部分150から、エンドプレート42QのX軸方向の中央側のフランジ部分140に達するまで、板状部材100に角部のない曲面が続くように遷移する。板状部材100の下端部に位置する平面部分150と、遷移部分160と、フランジ部分140とは、X軸方向(第2の方向)に並ぶように設けられる。
【0050】
同様に、板状部材200の下端部に位置するフランジ部分220と平面部分230との間には、平面部分230からフランジ部分220に連続的に遷移する遷移部分240が設けられている。遷移部分240は、板状部材200の下端部に位置する平面部分230に隣接する。遷移部分240は、板状部材200にツイスト加工(ひねり曲げ加工)を施すことにより形成される。したがって、エンドプレート42QのX軸方向の両端側の平面部分230から、エンドプレート42QのX軸方向の中央側のフランジ部分220に達するまで、板状部材200に角部のない曲面が続くように遷移する。板状部材100の下端部に位置する平面部分230と、遷移部分240と、フランジ部分220とは、X軸方向(第2の方向)に並ぶように設けられる。
【0051】
板状部材100のフランジ部分140と、板状部材200のフランジ部分220とは、Z軸方向に並ぶように形成される。フランジ部分140は、フランジ部分220に対して+Z軸方向側に位置している。
【0052】
X軸方向に延びる当接部110A,110Bの幅は、X軸方向に沿って変化し、幅(D1A,D1B)が広い部分と、幅(D2A,D2B)が狭い部分とを各々有する。幅が広い部分と狭い部分との間は、
図9に示すように、当接部110A,110Bの幅が連続的かつ滑らかに(曲線状に)変化する。
【0053】
図9に示す幅(D1A,D1B)が広い部分の反対側において、エンドプレート42Q(板状部材200)にスタッドボルト45が取り付けられる。これにより、電池モジュール1の支持の強度が向上する。
【0054】
図10は、締結穴44A周辺の拡大図である。
図10に示すように、締結穴44Aは、凹部120の底面を構成する平面部分150(第1部分)に形成されている。平面部分150に隣接するように、板状部材100の凹凸形状を形成するための加工が施された凹凸加工部151(第2部分)が位置している。締結穴44Aの中心から半径R1(>締結穴44Aの半径R2)の範囲に、平面部分150と連続する平面を形成する押し当て加工が施されている。押し当て加工は、Y軸方向から見て凹凸加工部151と重なる領域にまで施される。これにより、平面部分150を拡大する押し当て加工部150Aが形成され、エンドプレート42Qを小型化しながら、ボルト44と締結されるナットの設置スペースを確保することができる。
【0055】
図10の例では、締結穴44Aの中心から凹凸加工部151(干渉域)までの距離(L1,L2)が5.2mm以上5.6mm以下程度であるのに対し、半径(R1)が6mm以上7mm以下程度の領域に押し当て加工が施される。これにより、平面部分150を拡大してM6ナットの確実な設置が可能になる。ただし、本技術において押し当て加工部が施される領域の大きさは上記の数値範囲に限定されない。
【0056】
押し当て加工を施す領域の形状は、略円形に限定されず、たとえば略楕円形状、略多角形状の領域に押し当て加工が施されてもよい。
【0057】
板状部材100,200は、スポット溶接部300においてスポット溶接されていてもよい。平面部分150を拡大する押し当て加工部150Aは、締結穴44Aの周囲に限定されず、たとえばスポット溶接部300の周辺に形成されてもよい。
【0058】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、エンドプレート42Qを構成する板状部材100を凸部110および凹部120を含む波形形状とすることで、エンドプレート42Qの強度を向上させることができる。
【0059】
ここで、
図10に示すように、エンドプレート42Qを構成する板状部材100の平面部分150を拡大するように押し上げ加工を施すことにより、エンドプレート42Q強度を犠牲にすることなく、ボルト44と締結されるナットの設置スペースを確保することができるので、スペースの制約を回避して電池モジュール1を小型化することができる。
【0060】
そして、板状部材100,20の上下端部(Z軸方向の上下端部)からY軸方向に沿って突出するフランジ部分130,140,210,220を設けることにより、エンドプレート42Qの強度をさらに向上させることができる。
【0061】
また、エンドプレート42QのX軸方向の両端部分において、下端部のフランジ部分140,220を設けずに、平面部分150,230を板状部材100,200の下端部にまで延在させることにより、板状部材100,200のZ軸方向の高さの増大を抑制しながら平面部分150,230の面積を確保することができるため、エンドプレート42Qの小型化が阻害されない。
【0062】
このように、電池モジュール1においては、板状部材100,200の下端部にフランジ部分140,220(X軸方向の中央部分)と平面部分150,230(X軸方向の両端部分)とが設けられる。このため、フランジ部分140,220と平面部分150,230との境界部分が生じる。この境界部分に、平面部分150,230からフランジ部分140,220に連続的に遷移する遷移部分160,240を設けることにより、板状部材100,200に過度な応力集中が生じさせる角部が形成されることを回避することができるので、エンドプレート42Qの強度を損なうことなくフランジ部分140,220と平面部分150,230とを各々接続することができる。
【0063】
以上の結果として、エンドプレート42Qの強度を維持しながら、電池モジュール1の小型化(特に、Z軸方向の寸法増大の抑制)を図ることが可能である。
【0064】
さらに、電池モジュール1においては、複数の電池セル11をY軸方向に並べてケース体31に収容する電池セルユニット21構成し、かつ、複数の電池セルユニット21をY軸の方向に並べて配置して電池モジュール1を構成することによって、複数の電池セル11の各々を一単位として電池モジュール1を製造する場合と比較して、製造工程を簡素化することができる。
【0065】
電池モジュール1においては、複数の電池セル11をケース体31に収容する電池セルユニット21を構成することによって、電池モジュール1を電池セルユニット21の単位で容易に解体または交換することができる。
【0066】
電池モジュール1においては、複数の電池セル11をケース体31に収容する電池セルユニット21を構成することによって、電池モジュール1を廃棄する際に、電池モジュール1を分割して、電池セルユニット21を一単位として低電圧化して取り扱うことができる。このため、電池モジュール1の廃棄を容易にすることができる。
【0067】
電池モジュール1においては、1つのユニットに2個以上の電池セル11を含み、2個以上の電池セル11の各々の出力密度を8000W/L以上程度にすることによって、ユニット単位で所定の電圧以上の電源装置を形成することができる。
【0068】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 電池モジュール、11 電池セル、12 外装体、13 セル側面、14 セル側面、15 セル頂面、16 電極端子、16N 負極端子、16P 正極端子、17 ガス排出弁、21,21A,21B,21C,21D,21E,21F 電池セルユニット、30 被取り付け部材、31 ケース体、32 ケース頂部、42,42P,42Q エンドプレート、43 バインドバー、44 ボルト、44A 締結穴、45 スタッドボルト、51 カバー体、71 ダクト、100 板状部材、110 凸部、110A,110B 当接部、120 凹部、130,140 フランジ部分、150 平面部分、150A 押し当て加工部、151 凹凸加工部、160 遷移部分、200 板状部材、210,220 フランジ部分、230 平面部分、240 遷移部分、300 スポット溶接部。