IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図1
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図2
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図3
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図4
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図5
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図6
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図7
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図8
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図9
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図10
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図11
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図12
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図13
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図14
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図15
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図16
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図17
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図18
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図19
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図20
  • 特開-位置判定方法、および、位置判定装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060690
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】位置判定方法、および、位置判定装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168104
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 進二
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮
(72)【発明者】
【氏名】増井 達哉
(72)【発明者】
【氏名】出羽 裕一
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 美和
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB23
5F157BB45
5F157CD16
5F157CD29
5F157CE28
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】本願明細書に開示される技術は、高い精度で基板の位置を判定するための技術である。
【解決手段】位置判定方法は、基準画像における基板の端部を含む領域を基準領域として設定し、基準領域において基板の端部の画素位置を基準画素位置として検出する工程と、比較画像における基板の端部を含む領域を比較領域として設定し、比較領域において基板の端部の画素位置を比較画素位置として検出する工程と、基準画素位置と比較画素位置との差分が、あらかじめ定められたしきい値を超えるか否かを判定する工程とを備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持部の基準位置に保持され、かつ、回転していない状態である基板を撮像し、撮像された画像を基準画像として出力する工程と、
前記基準画像における前記基板の端部を含む領域を基準領域として設定し、前記基準領域において前記基板の前記端部の画素位置を基準画素位置として検出する工程と、
前記基板保持部に配置され、かつ、回転していない状態である基板を撮像し、撮像された画像を比較画像として出力する工程と、
前記比較画像における前記基板の端部を含む領域を比較領域として設定し、前記比較領域において前記基板の前記端部の画素位置を比較画素位置として検出する工程と、
前記基準画素位置と前記比較画素位置との差分が、あらかじめ定められたしきい値を超えるか否かを判定する工程とを備え、
前記基準画素位置を検出する工程が、
前記基準領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である基準スコアを算出する工程と、
前記基準領域における前記径方向で順次算出された複数の前記基準スコアのうち、最大となる前記基準スコアに対応する前記対象画素の位置を前記基準画素位置とする工程とを備え、
前記比較画素位置を検出する工程が、
前記比較領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である比較スコアを算出する工程と、
前記比較領域における前記径方向で順次算出された複数の前記比較スコアのうち、最大となる前記比較スコアに対応する前記対象画素の位置を前記比較画素位置とする工程とを備える、
位置判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の位置判定方法であり、
前記対象画素の輝度と前記隣接画素の輝度との差分が、前記対象画素および前記隣接画素のうち、前記基板の前記径方向で外側に位置する方の輝度が高い場合にのみ算出される、
位置判定方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置判定方法であり、
前記基準スコアに、前記基準領域における輝度分布に基づく分布係数が掛け合わせられた値を補正基準スコアとし、
前記基準画素位置が、前記基準領域において最大となる前記補正基準スコアに対応する前記対象画素の位置である、
位置判定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の位置判定方法であり、
前記基準画素位置が、前記基準領域における前記径方向の外側の範囲における平均輝度よりも内側の範囲における平均輝度が低い場合にのみ、前記基準領域において最大となる前記補正基準スコアに対応する前記対象画素の位置となる、
位置判定方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の位置判定方法であり、
前記比較スコアに、前記比較領域における輝度分布に基づく分布係数が掛け合わせられた値を補正比較スコアとし、
前記比較画素位置が、前記比較領域において最大となる前記補正比較スコアに対応する前記対象画素の位置である、
位置判定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の位置判定方法であり、
前記比較画素位置が、前記比較領域における前記径方向の外側の範囲における平均輝度よりも内側の範囲における平均輝度が低い場合にのみ、前記比較領域において最大となる前記補正比較スコアに対応する前記対象画素の位置となる、
位置判定方法。
【請求項7】
請求項3に記載の位置判定方法であり、
前記分布係数が、前記対象画素よりも前記径方向の外側に位置する画素の平均輝度である、
位置判定方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の位置判定方法であり、
前記基準領域および前記比較領域における前記画素が、前記径方向に沿って配列されるように再度マッピングされる、
位置判定方法。
【請求項9】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部における前記基板を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を解析して、前記基板の端部の画素位置を検出する解析部とを備え、
前記画像における前記基板保持部の基準位置に保持され、かつ、回転していない状態である基板を前記撮像部で撮像した画像を基準画像とし、
前記基準画像における前記基板の端部を含む領域である基準領域において、前記基板の前記端部の画素位置を基準画素位置とし、
前記基板保持部に配置され、かつ、回転していない状態である基板を前記撮像部で撮像した画像を比較画像とし、
前記比較画像における前記基板の端部を含む領域である比較領域において、前記基板の前記端部の画素位置を比較画素位置とし、
前記解析部が、前記基準画素位置と前記比較画素位置とを検出し、かつ、前記基準画素位置と前記比較画素位置との差分がしきい値を超えるか否かを判定し、
前記解析部が、
前記基準領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である基準スコアを算出し、さらに、前記基準領域における前記径方向で順次算出された複数の前記基準スコアのうち、最大となる前記基準スコアに対応する前記対象画素の位置を前記基準画素位置として検出し、
前記比較領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である比較スコアを算出し、さらに、前記比較領域における前記径方向で順次算出された複数の前記比較スコアのうち、最大となる前記比較スコアに対応する前記対象画素の位置を前記比較画素位置として検出する、
位置判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板の位置判定技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
基板処理においては、処理対象である基板が適切に保持されていることが重要である。
【0003】
たとえば、特許文献1では、ステージに基板が吸着されることで、基板が保持されている。また、特許文献1では、撮像部で得られた画像における輝度情報に基づいて、保持されている基板の位置ずれを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-251143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された方法では基板の位置ずれの判定精度が十分でない場合がある。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、高い精度で基板の位置ずれを判定するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である位置判定方法は、基板保持部の基準位置に保持され、かつ、回転していない状態である基板を撮像し、撮像された画像を基準画像として出力する工程と、前記基準画像における前記基板の端部を含む領域を基準領域として設定し、前記基準領域において前記基板の前記端部の画素位置を基準画素位置として検出する工程と、前記基板保持部に配置され、かつ、回転していない状態である基板を撮像し、撮像された画像を比較画像として出力する工程と、前記比較画像における前記基板の端部を含む領域を比較領域として設定し、前記比較領域において前記基板の前記端部の画素位置を比較画素位置として検出する工程と、前記基準画素位置と前記比較画素位置との差分が、あらかじめ定められたしきい値を超えるか否かを判定する工程とを備え、前記基準画素位置を検出する工程が、前記基準領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である基準スコアを算出する工程と、前記基準領域における前記径方向で順次算出された複数の前記基準スコアのうち、最大となる前記基準スコアに対応する前記対象画素の位置を前記基準画素位置とする工程とを備え、前記比較画素位置を検出する工程が、前記比較領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である比較スコアを算出する工程と、前記比較領域における前記径方向で順次算出された複数の前記比較スコアのうち、最大となる前記比較スコアに対応する前記対象画素の位置を前記比較画素位置とする工程とを備える。
本願明細書に開示される技術の第2の態様である位置判定方法は、第1の態様である位置判定方法に関連し、前記対象画素の輝度と前記隣接画素の輝度との差分が、前記対象画素および前記隣接画素のうち、前記基板の前記径方向で外側に位置する方の輝度が高い場合にのみ算出される。
本願明細書に開示される技術の第3の態様である位置判定方法は、第1または2の態様である位置判定方法に関連し、前記基準スコアに、前記基準領域における輝度分布に基づく分布係数が掛け合わせられた値を補正基準スコアとし、前記基準画素位置が、前記基準領域において最大となる前記補正基準スコアに対応する前記対象画素の位置である。
本願明細書に開示される技術の第4の態様である位置判定方法は、第3の態様である位置判定方法に関連し、前記基準画素位置が、前記基準領域における前記径方向の外側の範囲における平均輝度よりも内側の範囲における平均輝度が低い場合にのみ、前記基準領域において最大となる前記補正基準スコアに対応する前記対象画素の位置となる。
本願明細書に開示される技術の第5の態様である位置判定方法は、第1から4のうちのいずれか1つの態様である位置判定方法に関連し、前記比較スコアに、前記比較領域における輝度分布に基づく分布係数が掛け合わせられた値を補正比較スコアとし、前記比較画素位置が、前記比較領域において最大となる前記補正比較スコアに対応する前記対象画素の位置である。
本願明細書に開示される技術の第6の態様である位置判定方法は、第5の態様である位置判定方法に関連し、前記比較画素位置が、前記比較領域における前記径方向の外側の範囲における平均輝度よりも内側の範囲における平均輝度が低い場合にのみ、前記比較領域において最大となる前記補正比較スコアに対応する前記対象画素の位置となる。
本願明細書に開示される技術の第7の態様である位置判定方法は、第3から6のうちのいずれか1つの態様である位置判定方法に関連し、前記分布係数が、前記対象画素よりも前記径方向の外側に位置する画素の平均輝度である。
本願明細書に開示される技術の第8の態様である位置判定方法は、第1から7のうちのいずれか1つの態様である位置判定方法に関連し、前記基準領域および前記比較領域における前記画素が、前記径方向に沿って配列されるように再度マッピングされる。
本願明細書に開示される技術の第9の態様である位置判定装置は、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部における前記基板を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像を解析して、前記基板の端部の画素位置を検出する解析部とを備え、前記画像における前記基板保持部の基準位置に保持され、かつ、回転していない状態である基板を前記撮像部で撮像した画像を基準画像とし、前記基準画像における前記基板の端部を含む領域である基準領域において、前記基板の前記端部の画素位置を基準画素位置とし、前記基板保持部に配置され、かつ、回転していない状態である基板を前記撮像部で撮像した画像を比較画像とし、前記比較画像における前記基板の端部を含む領域である比較領域において、前記基板の前記端部の画素位置を比較画素位置とし、前記解析部が、前記基準画素位置と前記比較画素位置とを検出し、かつ、前記基準画素位置と前記比較画素位置との差分がしきい値を超えるか否かを判定し、前記解析部が、前記基準領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である基準スコアを算出し、さらに、前記基準領域における前記径方向で順次算出された複数の前記基準スコアのうち、最大となる前記基準スコアに対応する前記対象画素の位置を前記基準画素位置として検出し、前記比較領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、前記基板の径方向で前記対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、前記径方向と直交する方向で前記対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である比較スコアを算出し、さらに、前記比較領域における前記径方向で順次算出された複数の前記比較スコアのうち、最大となる前記比較スコアに対応する前記対象画素の位置を前記比較画素位置として検出する。
【発明の効果】
【0008】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、9の態様によれば、基板の径方向と直交する方向において輝度差を積算して、基準画素位置および比較画素位置を高い精度で検出することができる。よって、基準画素位置と比較画素位置との差分に基づいて、基板の位置ずれを高い精度で判定することができる。
【0009】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を概略的に示す平面図である。
図2】実施の形態に関する処理ユニットの平面図である。
図3】実施の形態に関する処理ユニットの断面図である。
図4】制御部の機能の例を概念的に示す図である。
図5図4に例が示された制御部を実際に運用する場合のハードウェア構成を概略的に例示する図である。
図6】実施の形態に関する基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
図7】基板を適切に保持している状態のスピンチャックを撮像した場合の画像の例を示す図である。
図8図7で設定された基準領域の模式図である。
図9図7で設定された基準領域の模式図である。
図10図7で設定された基準領域の模式図である。
図11】基準領域における基準スコアの、基板の径方向における分布の例を示す図である。
図12】基準領域が含まれる画像の例を示す図である。
図13】基準領域における基準スコアの、基板の径方向における分布の例を示す図である。
図14】基準領域が含まれる画像の例を示す図である。
図15】実施の形態に関する基板処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
図16】第1の状態の基準画像を得るための、スピンチャック全体を写す全体画像の例を示す図である。
図17】対象画像を得るための、スピンチャックを示す図である。
図18】マッチング座標の分布の例を示す図である。
図19】マッチング座標の分布の例を示す図である。
図20】対象画像の抽出の例を示す図である。
図21】基準画像における基準座標の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるために、それらのすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0012】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされる。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0013】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0014】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0015】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0016】
また、本願明細書に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合と、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合とを含むものとする。
【0017】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0018】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置において処理される基板の位置を判定する位置判定装置、および、位置判定方法について説明する。
【0019】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置100の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は、ロードポート601と、インデクサロボット602と、センターロボット603と、制御部9と、少なくとも1つの処理ユニット1(図1においては4つの処理ユニット)とを備える。
【0020】
なお、処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【0021】
本実施の形態に関する基板処理装置100は、円形薄板状であるシリコン基板である基板Wに対して、薬液および純水などのリンス液を用いて洗浄処理を行った後、乾燥処理を行う。
【0022】
上記の薬液としては、たとえば、アンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)、塩酸と過酸化水素水との混合水溶液(SC2)、または、DHF液(希フッ酸)などが用いられる。
【0023】
以下の説明では、薬液とリンス液とを総称して「処理液」とする。なお、洗浄処理のみならず、成膜処理のためのフォトレジスト液などの塗布液、不要な膜を除去するための薬液、または、エッチングのための薬液なども「処理液」に含まれるものとする。
【0024】
処理ユニット1は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板Wに付着している有機物を除去する処理を行う装置である。基板Wに付着している有機物は、たとえば、使用済のレジスト膜である。当該レジスト膜は、たとえば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。
【0025】
なお、処理ユニット1は、チャンバー10を有することができる。その場合、チャンバー10内の雰囲気を制御部9によって制御することで、処理ユニット1は、所望の雰囲気中における基板処理を行うことができる。
【0026】
制御部9は、基板処理装置100におけるそれぞれの構成の動作を制御することができる。また、制御部9は、保持された基板の位置を判定することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポート601は、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボット602は、ロードポート601と基板載置部604との間で基板Wを搬送することができる。センターロボット603は、基板載置部604および処理ユニット1間で基板Wを搬送することができる。
【0027】
以上の構成によって、インデクサロボット602、基板載置部604およびセンターロボット603は、それぞれの処理ユニット1とロードポート601との間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0028】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボット602によって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部604を介してセンターロボット603に受け渡される。
【0029】
センターロボット603は、当該未処理の基板Wを処理ユニット1に搬入する。そして、処理ユニット1は基板Wに対して処理を行う。
【0030】
処理ユニット1において処理済みの基板Wは、センターロボット603によって処理ユニット1から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニット1を経由した後、基板載置部604を介してインデクサロボット602に受け渡される。インデクサロボット602は、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0031】
図2は、本実施の形態に関する処理ユニット1の平面図である。また、図3は、本実施の形態に関する処理ユニット1の断面図である。
【0032】
図2は、スピンチャック20に基板Wが保持されていない状態を示しており、図3は、スピンチャック20に基板Wが保持されている状態を示している。
【0033】
処理ユニット1は、チャンバー10内に、基板Wを水平姿勢(すなわち、基板Wの上面の法線が鉛直方向に沿う姿勢)に保持するスピンチャック20と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための3つのノズル30、ノズル60およびノズル65と、スピンチャック20の周囲を取り囲む処理カップ40と、スピンチャック20およびスピンチャック20に保持された基板Wを撮像するカメラ70とを備える。
【0034】
また、チャンバー10内における処理カップ40の周囲には、チャンバー10の内側空間を上下に仕切る仕切板15が設けられている。
【0035】
チャンバー10は、鉛直方向に沿うとともに四方を取り囲む側壁11と、側壁11の上側を閉塞する天井壁12、側壁11の下側を閉塞する床壁13とを備える。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。
【0036】
また、チャンバー10の側壁11の一部には、チャンバー10に対してセンターロボット603が基板Wを搬出入するための搬出入口、および、その搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
【0037】
チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置100が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。FFU14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(たとえば、high efficiency particulate air filter(HEPA)フィルタ)を備えている。
【0038】
FFU14は、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。FFU14から供給された清浄空気を均一に分散させるために、多数の吹出し孔が形成されたパンチングプレートを天井壁12の直下に設けてもよい。
【0039】
スピンチャック20は、スピンベース21、スピンモータ22、カバー部材23および回転軸24を備える。スピンベース21は、円板形状を有しており、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定されている。スピンモータ22は、スピンベース21の下方に設けられており、回転軸24を回転させる。スピンモータ22は、回転軸24を介してスピンベース21を水平面内において回転させる。カバー部材23は、スピンモータ22および回転軸24の周囲を取り囲む筒状形状を有する。
【0040】
円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する保持面21aを有する。
【0041】
スピンベース21の保持面21aの周縁部には複数(本実施の形態では4本)のチャックピン26が設けられている。複数のチャックピン26は、円形の基板Wの外周円の外径に対応する円周上に沿って、均等な間隔をあけて配置されている。本実施の形態では、4個のチャックピン26が90°間隔で設けられている。
【0042】
複数のチャックピン26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、複数のチャックピン26のそれぞれを基板Wの外周端に当接させて基板Wを把持することにより、当該基板Wをスピンベース21の上方で保持面21aに近接する水平姿勢で保持する(図3を参照)。また、スピンチャック20は、複数のチャックピン26のそれぞれを基板Wの外周端から離間させることによって、基板Wの把持を解除する。
【0043】
複数のチャックピン26のうちの少なくとも1つは、磁石またはバネなどによって基板Wの外周端に保持可能に構成され、基板Wの外周端から離間している状態である開状態と基板Wの外周端に接触している状態である閉状態とをそれぞれ維持することができる。なお、チャックピン26の駆動は制御部9によって制御される。
【0044】
なお、複数のチャックピン26のうちの一部のみが基板Wを把持するように駆動する場合、他のチャックピン26は、基板Wの下面を支持する支持ピンであってよい。
【0045】
スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバー10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。
【0046】
複数のチャックピン26による把持によってスピンチャック20が基板Wを保持している状態で、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸線CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部9によって制御される。
【0047】
ノズル30は、ノズルアーム32の先端に吐出ヘッド31を取り付けて構成されている。ノズルアーム32の基端側はノズル基台33に固定して連結されている。ノズル基台33に設けられたモータ332(ノズル移動部)によって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。
【0048】
ノズル基台33が回動することにより、図2中の矢印AR34にて示すように、ノズル30は、スピンチャック20の上方の位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で水平方向に沿って円弧状に移動させる。ノズル基台33の回動によって、ノズル30はスピンベース21の保持面21aの上方において揺動する。
【0049】
本実施の形態の処理ユニット1には、上記のノズル30に加えてさらに2つのノズル60およびノズル65が設けられている。本実施の形態のノズル60およびノズル65は、上記のノズル30と同一の構成を備える。
【0050】
すなわち、ノズル60は、ノズルアーム62の先端に吐出ヘッドを取り付けて構成され、ノズルアーム62の基端側に連結されたノズル基台63によって、矢印AR64によって示されるように、スピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で円弧状に移動する。
【0051】
同様に、ノズル65は、ノズルアーム67の先端に吐出ヘッドを取り付けて構成され、ノズルアーム67の基端側に連結されたノズル基台68によって、矢印AR69によって示されるように、スピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で円弧状に移動する。
【0052】
ノズル60およびノズル65にも、少なくとも純水を含む複数種の処理液が供給されるように構成されており、処理位置にてスピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を吐出する。
【0053】
回転軸24の内側を挿通するようにして鉛直方向に沿って、下面処理液ノズル28が設けられている。下面処理液ノズル28の上端開口は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面中央に対向する位置に形成されている。下面処理液ノズル28にも複数種の処理液が供給されるように構成されている。下面処理液ノズル28から吐出された処理液は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面に着液する。
【0054】
なお、ノズル30、ノズル60、ノズル65、下面処理液ノズル28の駆動は制御部9によって制御される。
【0055】
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有する。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に備えている。
【0056】
内壁部45は、内カップ41が最も上昇された状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
【0057】
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有する。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
【0058】
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有する。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを有する。
【0059】
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状である下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折り返し部52cとを有する。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。折り返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折り返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なる。
【0060】
第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されている。処理液分離壁53は、上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有する。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
【0061】
外カップ43は、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有する。外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20を取り囲む。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折り返し部43cとを有する。
【0062】
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折り返し部43cが第2案内部52の折り返し部52cと水平方向に重なる。
【0063】
なお、処理カップ40の駆動は制御部9によって制御される。
【0064】
仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。
【0065】
仕切板15の外周端は、チャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む外縁部は、外カップ43の外径よりも大きな径の円形状となるように形成されている。
【0066】
また、チャンバー10の側壁11の一部であり、かつ、床壁13の近傍には、排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は、図示省略の排気機構に連通接続されている。FFU14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15との間を通過した空気は、排気ダクト18から装置外に排出される。
【0067】
図4は、制御部9の機能の例を概念的に示す図である。図4に例が示されるように、制御部9は、解析部91と、駆動制御部93とを備える。制御部9は、基板Wを保持するスピンチャック20および保持された状態の基板Wを撮像するカメラ70とともに、位置判定装置としての機能も有する。
【0068】
解析部91は、基板Wがスピンチャック20において適切に保持されていることを判定する。なお、解析部91の具体的な動作については後述する。
【0069】
駆動制御部93は、処理ユニット1におけるチャックピン26、スピンモータ22、ノズル30、ノズル60、ノズル65、下面処理液ノズル28および処理カップ40を含む駆動部190の駆動を制御する。ここで、チャックピン26に対する駆動部190は、磁石の移動またはバネの付勢と消勢とを切り替えるための、不図示のモータを含む。
【0070】
図5は、図4に例が示された制御部9を実際に運用する場合のハードウェア構成を概略的に例示する図である。
【0071】
図5では、図4中の解析部91と、駆動制御部93とを実現するためのハードウェア構成として、演算を行う処理回路1102Aと、情報を記憶することができる記憶装置1103とが示される。
【0072】
処理回路1102Aは、たとえば、CPUなどである。記憶装置1103は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、RAM、ROM、フラッシュメモリなどのメモリ(記憶媒体)である。
【0073】
<基板処理装置の動作について>
基板処理装置100における基板Wの通常の処理は、順に、センターロボット603がインデクサロボット602から受け取った処理対象の基板Wを各処理ユニット1に搬入する工程、当該処理ユニット1が基板Wに基板処理を行う工程、および、センターロボット603が当該処理ユニット1から処理済みの基板Wを搬出してインデクサロボット602に戻す工程を含む。
【0074】
次に、図6を参照しつつ、各処理ユニット1における典型的な基板Wの基板処理のうちの洗浄処理および乾燥処理の手順について説明する。なお、図6は、本実施の形態に関する基板処理装置100の動作を示すフローチャートである。下記の動作は、主に制御部9の制御によって行われる。
【0075】
まず、基板Wの表面に薬液を供給して所定の薬液処理を行う(ステップST01)。その後、純水を供給して純水リンス処理を行う(ステップST02)。
【0076】
さらに、基板Wを高速回転させることによって純水を振り切り、それによって基板Wを乾燥させる(ステップST03)。
【0077】
処理ユニット1が基板処理を行う際、スピンチャック20が基板Wを保持するとともに、処理カップ40が昇降動作を行う。
【0078】
処理ユニット1が薬液処理を行う場合、たとえば外カップ43のみが上昇し、外カップ43の上端部43bと中カップ42の第2案内部52の上端部52bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口が形成される。この状態で基板Wがスピンチャック20とともに回転され、ノズル30および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に薬液が供給される。供給された薬液は、基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの外縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの薬液処理が進行する。回転する基板Wの外縁部から飛散した薬液は外カップ43の上端部43bによって受け止められ、外カップ43の内面を伝って流下し、外側回収溝51に回収される。
【0079】
処理ユニット1が純水リンス処理を行う場合、たとえば、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが上昇し、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲が内カップ41の第1案内部47によって取り囲まれる。この状態で基板Wがスピンチャック20とともに回転され、ノズル30および下面処理液ノズル28から基板Wの上面および下面に純水が供給される。供給された純水は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの上面および下面に沿って流れ、やがて基板Wの外縁部から側方に向けて飛散される。これにより、基板Wの純水リンス処理が進行する。回転する基板Wの外縁部から飛散した純水は第1案内部47の内壁を伝って流下し、廃棄溝49から排出される。なお、純水を薬液とは別経路にて回収する場合には、中カップ42および外カップ43を上昇させ、中カップ42の第2案内部52の上端部52bと内カップ41の第1案内部47の上端部47bとの間に、スピンチャック20に保持された基板Wの周囲を取り囲む開口を形成するようにしてもよい。
【0080】
処理ユニット1が振り切り乾燥処理を行う場合、内カップ41、中カップ42および外カップ43の全てが下降し、内カップ41の第1案内部47の上端部47b、中カップ42の第2案内部52の上端部52bおよび外カップ43の上端部43bのいずれもがスピンチャック20に保持された基板Wよりも下方に位置する。この状態で基板Wがスピンチャック20とともに高速回転され、基板Wに付着していた水滴が遠心力によって振り切られ、乾燥処理が行われる。
【0081】
<基板の保持位置の判定について>
基板Wがスピンチャック20において適切に保持されていることを判定する動作について、以下説明する。当該判定動作は、基板処理に先立って制御部9において行われる。
【0082】
まず、制御部9の解析部91は、カメラ70によって撮像された複数の画像において基準領域および比較領域を設定し、さらに、基準領域における基板Wの端部に相当する画素位置を基準画素位置とし、比較領域における基板Wの端部に相当する画素位置を比較画素位置とする。
【0083】
そして、制御部9の解析部91は、基準画素位置と比較画素位置との差分(画素位置の違い)があらかじめ定められたしきい値を超えない場合に、基板Wがスピンチャック20において適切に保持されていると判定する。一方で、基準画素位置と比較画素位置との差分があらかじめ定められたしきい値を超える場合には、制御部9の解析部91は、基板Wが適切に保持されていないと判定して、所定の警告(アラーム表示など)を行う。
【0084】
<基準領域の設定について>
図7は、基板Wを適切に保持している状態のスピンチャック20をカメラ70によって撮像した場合の画像の例を示す図である。図7に例が示されるように、基板Wは、スピンチャック20のスピンベース21に対向して基準位置に配置され、その周縁部が複数のチャックピン26によって把持されている。
【0085】
制御部9における解析部91は、上記の画像、すなわち、回転していない基板Wが基準位置に保持されている状態を示す画像である基準画像における基板Wの端部を含む領域を基準領域320、基準領域321、基準領域322、基準領域323および基準領域304として設定する。それぞれの基準領域は、適切に保持されている状態の基板Wの端部に設定される領域である。
【0086】
ここで、基準領域は、基板Wの端部を含む領域のうち、輝度変化が比較的小さい領域に設定されることが望ましい。後述する輝度差を算出する際に、基板Wの端部以外の箇所の輝度変化が、基板Wの端部の検出精度を低下させてしまう場合があるためである。基板Wの端部以外の箇所の輝度変化は、たとえば、基板Wの周囲に配置される構造物の有無に影響を受ける。
【0087】
次に、制御部9における解析部91は、基準領域におけるそれぞれの画素の輝度を算出し、さらに、それぞれの画素の、隣接する画素との輝度の差分(輝度差)を算出する。ここで、画素同士が隣接する方向は、基板Wの径方向に沿う方向である。
【0088】
図8は、図7で設定された基準領域320の模式図である。図8におけるX軸およびY軸は、画素が配列される方向を示している。図8に例が示されるように、画素同士の隣接する方向311は、基板Wの径方向に沿う方向(図8においては、X軸方向に相当)である。
【0089】
ここで、上記の輝度差は、基板Wの径方向の外側に位置する画素(すなわち、図8におけるX軸負方向側に位置する画素)の輝度が高い場合にのみ算出するものとし、基板Wの径方向の外側に位置する画素の輝度が低い場合には算出しない(または0とする)ものとしてもよい。そのようにすれば、輝度が比較的低くなる基板Wを示す画像と、輝度が比較的高くなる基板Wを囲む周辺部分を示す画像とを区別しやすくなる。
【0090】
そして、制御部9における解析部91は、それぞれの画素について上記のように算出された輝度差を、基板Wの径方向と直交する方向(図8においては、Y軸方向に相当)において足し合わせる。基板Wの径方向と直交する方向において輝度差を足し合わせることによって、基板Wの端部が位置する画素列の輝度差と、他の画素列の輝度差との差異がより顕著となるため、基板Wの端部の検出精度が向上する。基準領域においてこのように足し合わせられた輝度差の値を基準スコアとする。
【0091】
ここで、図7における基準領域322または基準領域323のように、画像において傾斜して設定された基準領域では、基板Wの径方向が、画像における画素同士の隣接する方向とは一致しない場合がある。そのような場合には、基板Wの径方向と画素同士の隣接する方向とが一致するように、画素を再度マッピングしてもよい。後述する比較領域においても同様に再度マッピングしてもよい。
【0092】
図9および図10は、図7で設定された基準領域323の模式図である。図9および図10におけるX軸およびY軸は、画素が配列される方向を示している。
【0093】
図7で設定された基準領域323の画素が配列される方向(図9におけるX軸方向およびY軸方向)は、画素同士の隣接する方向311とは一致していない。そこで、方向311と画素が配列される方向(図9におけるX軸方向またはY軸方向)とが一致するように基準領域323に対応する画像を回転させて、その後、画素をX軸方向およびY軸方向に再度マッピングする。このように画像における画素の配列を変更することによって、隣接する画素同士の輝度差およびその足し合わせを容易に算出することができる。
【0094】
<基準画素位置の検出について>
次に、制御部9における解析部91は、上記のように算出されたそれぞれの基準スコアを、基板Wの径方向において比較する。
【0095】
図11は、基準領域323における基準スコアの、基板Wの径方向における分布の例を示す図である。図11において、左の縦軸がスコアの大きさを示し、横軸が基板Wの径方向における画素位置(値が小さい方が径方向の内側)を示す。
【0096】
また、図12は、基準領域323が含まれる画像の例を示す図である。図12には、基準領域323の画像同士が隣接する方向311が示されている。
【0097】
図11における基準スコア409は、基準領域323において方向311で隣接する画素同士(対象となる画素と、それに隣接する画素とのペア)の輝度差の、方向311とは直交する方向において足し合わせられた値(スコア)の分布を示すものである。図11における基準スコア409のスコアのピーク401は、図12における画素位置501に対応する。また、図11における基準スコア409のスコアのピーク402は、図12における画素位置502に対応する。
【0098】
図12において、基準領域323における画素位置501と画素位置502との間に見える輝度が低い画像は、基板Wの影に相当する画像である。基板Wの影はカメラ70の撮像方向によって必然的に画像に表示されるが、基板Wの影が表示されている画像において、基板Wの端部を明確に識別することは難しい場合がある。そのため、再現性が高い基板Wの端部として、基板Wの影を含む領域を基板Wの端部とすることができる。
【0099】
そこで、影を含む基板Wを示す輝度が低い領域と、基板W以外の輝度が高い領域との境界(すなわち、基板Wの影によって形成される境界)を精度よく検出するため、基準領域323における画素の輝度分布に基づく分布係数を基準スコア409の値に掛け合わせる。図11においては、基準領域323における画素の分布係数600が重ねて示されている。分布係数600は、右の縦軸に示される輝度の高さの比率で示される。分布係数600は、対象となる画素よりも基板Wの径方向の外側に位置する画素の平均輝度を正規化し、比率で示すものである。
【0100】
基準スコア409の値に分布係数600の値を掛け合わせたものが、補正基準スコア410である。補正基準スコア410では、図12における画素位置502に対応するピーク412が、画素位置501に対応するピーク411よりもスコアが高いピークとなっており、基準領域323における画素位置502を基板Wの端部の画素位置(基準画素位置)として検出することができる。
【0101】
なお、上記の分布係数600は、基準領域323におけるそれぞれの画素の輝度の平均値に対する比率として示されているが、分布係数600としては、基準領域323における輝度の分布を反映するものであればよく、たとえば、対象となる画素よりも径方向内側に位置する画素全体の輝度平均値であってもよいし、基準領域323における輝度分布の分散値または標準偏差などに置き換えられてもよい。
【0102】
また、基板Wの影を含まない端部を基板Wの端部としてもよい。すなわち、基板Wの端部を明確に識別することができる場合には、図12における画素位置501を基板Wの端部の画素位置(基準画素位置)として検出してもよい。
【0103】
また、上記の基準画素位置は、基準スコア(または補正基準スコア)のスコアが最も高い1つの画素の位置に対応するものであるが、基準画素位置の精度を高めるために、たとえば、スコアが最も高い画素の両隣の画素(またはさらに隣接する周辺の画素)のスコアを用いて近似曲線を生成し、当該近似曲線の頂点の位置を基準画素位置とすることもできる(スプライン補間)。このような処理によって、基準画素位置の位置精度を向上させることができる。後述の比較画素位置についても同様である。
【0104】
図13は、基準領域322における基準スコアの、基板Wの径方向における分布の例を示す図である。図13において、左の縦軸がスコアの大きさを示し、横軸が基板Wの径方向における画素位置(値が小さい方が径方向の内側)を示す。
【0105】
また、図14は、基準領域322が含まれる画像の例を示す図である。図14には、基準領域322の画像同士が隣接する方向311が示されている。
【0106】
図13における基準スコア409Aは、基準領域322において方向311で隣接する画素同士の輝度差の、方向311とは直交する方向において足し合わせられた値の分布を示すものである。図13における基準スコア409Aのスコアのピーク403は、図14における画素位置503に対応する。
【0107】
ここで、図11における場合と同様に、基準領域322における画素の輝度分布に基づく分布係数を基準スコア409Aの値に掛け合わせる。図13においては、基準領域322における画素の分布係数600Aが重ねて示されている。分布係数600Aは、右の縦軸に示される輝度の高さの比率で示される。
【0108】
基準スコア409Aの値に分布係数600Aの値を掛け合わせたものが、補正基準スコア410Aである。補正基準スコア410Aでは、図14における画素位置504に対応するピーク413が最もスコアが高いピークとなってしまっている。画素位置504は基準領域322の径方向内側の位置に相当し、基板Wの端部の画素位置として適切ではない。
【0109】
上記のような不具合の原因は、基板Wが示される領域における輝度が高いことが考えられる。図14に例が示されるように基板Wの表面に他の構造の像が映りこんで輝度が高くなった場合などでは、分布係数600Aを掛け合わせて算出される補正基準スコア410Aを用いて基板Wの端部の画素位置を検出しようとすると、基板Wが示される領域における高い輝度が当該領域における補正基準スコアを増大させてしまい、適切な基板Wの端部の画素位置の検出を阻害してしまう。
【0110】
そこで、基準領域内における基板Wの径方向内側の輝度が、基板Wの径方向外側の輝度よりも低い場合にのみ、補正基準スコアを用いて基板Wの端部を基準画素位置として検出するものとすることができる。そのようにすれば、輝度が比較的低くなる基板Wを示す画像において、意図しない輝度変化が生じた場合であっても、当該変化に基づいて基準画素位置が検出されることを抑制することができる。
【0111】
たとえば、図14に示される境界線700は基準領域322を基板Wの径方向において半分に分ける線であるが、境界線700よりも基板Wの径方向内側における画素の平均輝度と、境界線700よりも基板Wの径方向外側における画素の平均輝度とを比較し、基板Wの径方向内側の画素の平均輝度が低い場合(基板Wの径方向外側の画素の平均輝度が高い場合)にのみ、補正基準スコアを用いて基板Wの端部を基準画素位置として検出するものとする。
【0112】
なお、平均輝度を比較するための境界線700は基準領域322を半分に分ける線に限定されるものではないが、基板Wの端部に相当する画素位置が基準領域内の中央付近となるように基準領域が設定されることを鑑みれば、境界線700を基準領域を半分に分ける線とすることで、平均輝度が低い領域(たとえば、基板Wが示される領域)と平均輝度が高い領域(たとえば、基板Wを囲む周辺領域)とを容易に分けることができる。よって、基準領域内における基板Wの径方向内側の輝度が、基板Wの径方向外側の輝度よりも高いか低いかの判定がしやすくなる。
【0113】
<比較領域の設定について>
比較領域の設定は、基準領域の設定と同様に行われる。具体的には、スピンチャック20に保持された状態の基板Wの撮像をカメラ70または他の撮像装置で行い、制御部9における解析部91が、得られた画像において基準領域が設定された場合と同様の範囲の領域を比較領域として設定する。ここで、比較領域が設定される画像における基板Wは、基準領域が設定された画像における基板Wとは異なり、スピンチャック20で適切に保持されているか否かは不明である。比較領域が設定される画像、すなわち、回転していない基板Wがスピンチャック20に保持されている状態を示す画像である比較画像(基準画像と比較される画像)には、これから基板処理が行われる基板Wが示されていることが想定される。
【0114】
次に、制御部9における解析部91は、比較領域におけるそれぞれの画素の輝度を算出し、さらに、それぞれの画素の、隣接する画素との輝度の差分(輝度差)を算出する。ここで、画素同士が隣接する方向は、基板Wの径方向に沿う方向である。
【0115】
そして、制御部9における解析部91は、それぞれの画素について上記のように算出された輝度差を、基板Wの径方向と直交する方向において足し合わせる。比較領域においてこのように足し合わせられた輝度差の値を比較スコアとする。
【0116】
<比較画素位置の検出について>
次に、制御部9における解析部91は、上記のように算出されたそれぞれの比較スコアを、基板Wの径方向において比較する。
【0117】
そして、比較スコアの最もスコアが高いピークに対応する画素位置を比較画素位置として検出する。ここで、比較領域内における基板Wの径方向内側の輝度が、基板Wの径方向外側の輝度よりも低い場合に、補正比較スコアを用いて比較画素位置を検出することができる。そのようにすれば、輝度が比較的低くなる基板Wを示す画像において、意図しない輝度変化が生じた場合であっても、当該変化に基づいて比較画素位置が検出されることを抑制することができる。
【0118】
ここで、補正比較スコアとは、比較スコアの値に、比較領域における画素の輝度分布に基づく分布係数の値を掛け合わせたものである。
【0119】
<保持位置の判定について>
次に、制御部9の解析部91が、基準画素位置と対応する比較画素位置との差分(画素位置の違い)があらかじめ定められたしきい値を超えない場合に、基板Wがスピンチャック20において適切に保持されていると判定する。ここで、基準画素位置と、それに対応する比較画素位置とは、基準領域とそれに対応する比較領域とがそれぞれ特定されている場合に、当該基準領域において検出された基準画素位置と、当該比較領域において検出された比較画素位置とを指す。
【0120】
この際、基板Wの対角に位置する比較領域における位置ずれの結果を合わせて参照することによって、基板W全体の位置ずれの方向を検出することができる。
【0121】
たとえば、基準領域320に対応する比較領域における位置ずれが基板Wの径方向内向きであり、基準領域322に対応する比較領域における位置ずれが基板Wの径方向外向きであった場合に、基板Wは全体として基準領域322が設定された側にずれて保持されていることが分かる。同様に、基準領域321に対応する比較領域における位置ずれが基板Wの径方向内向きであり、基準領域323に対応する比較領域における位置ずれが基板Wの径方向外向きであった場合に、基板Wは全体として基準領域323が設定された側にずれて保持されていることが分かる。
【0122】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する基板処理装置において処理される基板の位置を判定する位置判定装置、および、位置判定方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0123】
<基板処理装置の構成について>
基板処理装置の構成は、図1から図5に示された構成と同様である。
【0124】
<基板処理装置の動作について>
本実施の形態において解析部91は、基板Wの保持位置の判定に加えて、カメラ70によって撮像されたチャックピンの画像を使ってマッチング処理を行い、マッチング座標を算出する。そして、解析部91は、上記のマッチング座標に基づいて、チャックピン26の開閉状態を検出する。
【0125】
上記のように解析部91が動作することによって、基板Wを保持するスピンチャック20におけるチャックピン26の開閉状態を考慮しつつ基板Wが適切に保持されているか否かを判定することができる。そのため、基板Wの保持状態を正確に把握することができる。
【0126】
図15は、本実施の形態に関する基板処理装置の動作の例を示すフローチャートである。図15に示される動作は、制御部9によって行われる。
【0127】
まず、ステップST11において、駆動制御部93から送信された制御情報が、チャックピン26の閉状態を指示するものであるか否かを判定する。そして、制御情報がチャックピン26の閉状態を指示するものである場合には、ステップST12へ進む。一方で、制御情報がチャックピン26の閉状態を指示するものでない場合には、ステップST11をやり直す。
【0128】
次に、ステップST12において、解析部91が、基板Wがチャックピン26に乗り上げているか否かを、後述のマッチング座標に基づいて判定する。そして、基板Wがチャックピン26に乗り上げている場合には、ステップST13へ進む。一方で、基板Wがチャックピン26に乗り上げていない場合には、ステップST14へ進む。
【0129】
ステップST13では、駆動制御部93が、基板Wが適切に保持されていない(すなわち、チャックピン26によって基板Wが適切な位置に配置されていない、いずれかのチャックピンが基板Wを把持できていないなど)として、所定の警告(アラーム表示、または、基板Wの配置のやり直しを促すなど)を行う。
【0130】
ステップST14では、解析部91が、後述のマッチング座標に基づいてチャックピン26が閉状態であるか否かを判定する。そして、チャックピン26が閉状態である場合には、ステップST15へ進む。一方で、チャックピン26が閉状態でない場合には、ステップST16へ進む。
【0131】
ステップST15では、解析部91が、第1の実施の形態に示された基板Wの保持位置の判定を行い、基準画素位置と対応する比較画素位置との差分があらかじめ定められたしきい値を超えるか否かを判定する。そして、しきい値を超える場合には、ステップST13へ進む。一方で、しきい値を超えない場合には、ステップST17へ進み、基板Wが適切に保持されていることを示す所定の表示を行う。
【0132】
ステップST16では、解析部91が、第1の実施の形態に示された基板Wの保持位置の判定を行い、基準画素位置と対応する比較画素位置との差分があらかじめ定められたしきい値を超えるか否かを判定する。そして、しきい値を超える場合には、ステップST13へ進む。一方で、しきい値を超えない場合には、ステップST18へ進み、基板Wが配置されていることおよびチャックピン26が制御情報とは異なる開状態であることを示す所定の表示を行う。
【0133】
<チャックピンの開閉状態の検出について>
上記の動作のうち、制御部9によって行われるチャックピン26の開閉状態の検出(状態検出)について説明する。
【0134】
チャックピン26の駆動は制御部9の駆動制御部93によって制御されるが、チャックピン26自体の不具合またはチャックピン26に把持される基板Wの不具合(たとえば、基板Wが配置される位置が所定の位置から外れている場合)などが原因となって、チャックピン26が駆動制御部93において意図されたとおり(駆動制御部93から送信される制御情報のとおり)の動作をしない場合がある。そこで、チャックピン26の開閉状態を検出することによって、チャックピン26が駆動制御部93において指示されたとおりに動作しているか否かを確認することができる。さらに、当該確認の結果に応じて、基板Wの配置を修正したり、駆動制御部93から再度制御信号を出力させたりすることができる。
【0135】
本実施の形態では、チャックピン26を示す画像を複数用意し、かつ、それらの間でマッチング処理(具体的には、パターンマッチング処理)を行うことによってマッチング座標を算出する。ここで、マッチング座標とは、画像間のマッチングスコアが最も高くなる場合の画像間の相対的な位置関係を示す座標である。
【0136】
本実施の形態では、まず、チャックピン26の開閉状態に応じて3種類の基準画像を用意する。具体的には、チャックピン26が基板Wを把持せずに完全に閉じている状態(第1の状態)、チャックピン26が基板Wを把持している状態(第2の状態)、および、チャックピン26が開いている状態(第3の状態)それぞれの、チャックピン26を示す画像を基準画像として用意する。
【0137】
図16は、第1の状態の基準画像を得るための、スピンチャック20全体を写す全体画像の例を示す図である。図16に例が示されるように、カメラ70などによって撮像される画像には、複数のチャックピン26(それぞれのチャックピンを、チャックピン26a、チャックピン26b、チャックピン26c、チャックピン26dとも称する)とが含まれる。
【0138】
上記のような画像から、チャックピン26の開閉状態を検出するための基準画像201を抽出する。具体的には、複数のチャックピン26のうちの少なくとも1つについて、チャックピン26の少なくとも一部(たとえば、チャックピン26の開閉に伴って変位するチャックピン26の上端部など)を含む範囲を基準画像201として設定する。
【0139】
なお、本実施の形態での基準画像201は、複数のチャックピン26それぞれについて上記の開閉状態に応じて3種類ずつ用意されるものとするが、少なくとも1つのチャックピン26について少なくとも1種類の基準画像201が用意されていればよい。
【0140】
また、基準画像201は、カメラ70でチャックピン26を実際に撮像することによって得られた画像から抽出されるものであってもよいし、他の方法で得られた画像から抽出されるものであってもよい。
【0141】
また、第2の状態の基準画像201を得るための画像は、チャックピン26が基板Wを実際に保持している場合に限られるものではなく、チャックピン26を保持可能とする磁石またはバネを無効化して、基板Wを保持している状態と同様の開閉度が維持されたチャックピン26が画像に示されることによって実現されてもよい。
【0142】
また、第2の状態の基準画像201の範囲は、基板Wが含まれないほうがよい。基準画像201の範囲にチャックピン26以外の部分が含まれなければ、後述のマッチングで精度が向上する。
【0143】
次に、カメラ70を使ってチャックピン26を含むスピンチャック20の画像を撮像する。そして、基準画像との間でパターンマッチング処理を行うための画像である対象画像を用意する。
【0144】
図17は、対象画像を得るための、スピンチャック20を示す図である。図17に例が示されるように、カメラ70などによって撮像される全体画像には、複数のチャックピン26とが含まれる。
【0145】
上記のような画像から、基準画像201との間でパターンマッチング処理を行うための対象画像202を抽出する。具体的には、複数のチャックピン26のうちの少なくとも1つについて、チャックピン26の少なくとも一部を含む範囲を対象画像202として設定する。
【0146】
ここで、基準画像201の範囲は、対象画像202における一部の範囲に対応させることができる。すなわち、対象画像202の範囲は、基準画像201の範囲よりも広く設定することができる。このように対象画像202の範囲が設定されることによって、対象画像202の範囲内で基準画像201を順次ずらしてパターンマッチング処理を行い、マッチングスコアが最も高くなる場合に算出されるマッチング座標を探索することができる。
【0147】
具体的には、まず、チャックピン26の第1の状態の基準画像201のうちの所定画素の座標を基準座標(Xbasis_pos1,Ybasis_pos1)とし、同様に、チャックピン26の第2の状態の基準画像201のうちの所定画素の座標を基準座標(Xbasis_pos2,Ybasis_pos2)とし、チャックピン26の第3の状態の基準画像201のうちの所定画素の座標を基準座標(Xbasis_pos3,Ybasis_pos3)とする。図21は、基準画像201における基準座標の例を示す図である。図21に例が示されるように、基準座標は、対応する基準画像の左下の端部(原点Z)とすることができる。なお、基準座標は、基準画像内における任意の箇所(たとえば、基準画像の右上の端部、または、基準画像の中央など)としてもよい。
【0148】
基準画像201は、対象画像202とともに、チャックピン26の全体画像の座標系で示され、対象画像202の座標系内に位置する。
【0149】
次に、制御部9がチャックピン26の現在の開閉状態を第1の状態であると認識しているとして、対象画像202と基準画像201とのパターンマッチングを行う。そして、マッチングスコアが最も高かった場合の基準画像201の原点Zの座標を探索する。マッチングスコアが最も高い場合とは、たとえば、画像間の類似度を示す手法の1つであるSSD(Sum of Squared Difference)を用いる場合、類似度を示す画素値の差分の二乗和であるRSSD値の最小値が相当する。なお、パターンマッチングにおいて画像間の類似度を示す手法には、他にSAD(Sum of Absolute Difference)またはNCC(Normalized Cross-Correlation)などがあるが、これらに限られない。
【0150】
ここで、最も高いマッチングスコアがあらかじめ定められたしきい値以内である(たとえば、RSSD値の最小値がしきい値よりも小さい)場合に、マッチングスコアが最も高かった場合の基準画像201の原点Zの座標を、マッチング座標(Xtarget,Ytarget)として算出する。マッチング座標は、対象画像202の座標系で算出する。
【0151】
一方で、最も高いマッチングスコアがあらかじめ定められたしきい値以内でない(たとえば、RSSD値の最小値がしきい値よりも大きい)場合には、マッチング失敗としてマッチング座標を算出しないものとする。その結果、マッチングスコアが高い場合のマッチング座標に基づいてチャックピン26の開閉状態を検出することができるため、チャックピン26の開閉状態の検出精度が向上する。なお、マッチングスコアがしきい値以内であるか否かに関わらず、マッチング座標を算出してもよい。
【0152】
次に、解析部91が、マッチング座標に基づいてチャックピン26の開閉状態を検出する。具体的には、第1の状態の基準座標(Xbasis_pos1,Ybasis_pos1)と上記のように得られたマッチング座標(Xtarget,Ytarget)との間の類似度が所定のしきい値以内であれば、制御部9の、チャックピン26が第1の状態であるとの認識が正しいと考える(すなわち、チャックピン26の開閉状態が第1の状態であることを検出する)。ここでの類似度は、たとえば、2つの座標間のユークリッド距離を算出し、当該値が上記のしきい値以内かを判断するものである。
【0153】
一方で、上記の類似度が所定のしきい値以内でなければ、制御部9の、チャックピン26が第1の状態であるとの認識は誤りであると考え、次に、第2の状態の基準座標(Xbasis_pos2,Ybasis_pos2)と上記のマッチング座標(Xtarget,Ytarget)との間の類似度を算出する。そして、第2の状態の基準座標(Xbasis_pos2,Ybasis_pos2)との間の類似度が所定のしきい値以内でなければ、さらに、第3の状態の基準座標(Xbasis_pos3,Ybasis_pos3)と上記のマッチング座標(Xtarget,Ytarget)との間の類似度を算出する。このような方法によって、チャックピン26の開閉状態を正確に検出することができる。
【0154】
図18および図19は、マッチング座標の分布の例を示す図である。図18は、図16および図17におけるチャックピン26bのマッチング座標の分布を示す。図19は、図16および図17におけるチャックピン26dのマッチング座標の分布を示す。図18および図19において、縦軸は対象画像に設けられた座標系のY座標(数値は一例)の例を示し、横軸は対象画像に設けられた座標系のX座標(数値は一例)の例を示す。
【0155】
図18および図19では、異なるチャックピン26の第2の状態をそれぞれ基準画像とし、それぞれの基準画像に対応して複数の対象画像とのパターンマッチング処理を行った結果が示されている。図18および図19において、範囲301、範囲302、範囲303は、それぞれ第1の状態、第2の状態、第3の状態の基準座標を中心とする所定範囲を示す。範囲301には、対象画像202におけるチャックピン26が第1の状態を示す画像であった場合のマッチング座標が位置する(範囲301は、上記の第1の状態の類似度算出の際のしきい値範囲に対応する)。また、範囲302には、対象画像202におけるチャックピン26が第2の状態を示す画像であった場合のマッチング座標が位置する(範囲302は、上記の第2の状態の類似度算出の際のしきい値範囲に対応する)。また、範囲303には、対象画像202におけるチャックピン26が第3の状態を示す画像であった場合のマッチング座標が位置する(範囲303は、上記の第3の状態の類似度算出の際のしきい値範囲に対応する)。
【0156】
図18および図19に示されるように、対象画像202におけるチャックピン26の開閉状態(すなわち、第1の状態、第2の状態および第3の状態)によってマッチング座標が位置する範囲は明確に分かれる。すなわち、マッチング座標によれば、対象画像202におけるチャックピン26の開閉状態を明確に区別可能である(これは、図18および図19に示されたチャックピン26b、チャックピン26d以外のチャックピンであっても同様である)。よって、解析部91は、算出されたマッチング座標がいずれの範囲に属する座標であるかを判定することによって、チャックピン26の開閉状態を検出することができる。
【0157】
ここで、マッチング座標が範囲301、範囲302および範囲303のいずれにも含まれない場合には、解析部91は、チャックピン26の開閉状態を検出しない。その結果、適切な範囲に含まれるマッチング座標に基づいてチャックピン26の開閉状態を検出することができるため、チャックピン26の開閉状態の検出精度が向上する。なお、チャックピン26が第1の状態、第2の状態および第3の状態のいずれにもなっていない場合、すなわち、基板Wがチャックピン26に乗り上げている場合(ステップST12に対応)、または、基板Wが配置されているにも関わらずチャックピン26が基板Wを把持できずに空掴み状態となっている場合などでは、マッチング座標が範囲301、範囲302および範囲303のいずれにも含まれない座標に位置する。
【0158】
上記の例では、チャックピン26の第2の状態が基準画像として使われたが、他の状態(すなわち、第1の状態または第3の状態)が基準画像として使われる場合であっても、マッチング座標が位置する範囲は、対象画像202におけるチャックピン26の開閉状態(すなわち、第1の状態、第2の状態および第3の状態)に応じて明確に分かれるため、上記の例と同様に、マッチング座標に応じて、対象画像202におけるチャックピン26の開閉状態を検出可能である。
【0159】
また、マッチング座標が含まれる範囲301、範囲302および範囲303は、算出されるマッチング座標の平均値によって、範囲の大きさまたは位置が変更されてもよい。ただし、範囲の大きさまたは位置の変更があらかじめ定められたしきい値の範囲を超える場合には、経年劣化などによってチャックピン26が適切に駆動していない可能性があるため、必要に応じて警告などを出力するようにしてもよい。
【0160】
<基板の有無の検出について>
図18および図19に示された範囲301、範囲302および範囲303は、チャックピン26のそれぞれ異なる開閉状態(チャックピン26が基板Wを把持せずに完全に閉じている状態、チャックピン26が基板Wを把持している状態、および、基板Wの有無に関わらずチャックピン26が開いている状態)を示すマッチング座標に対応する。上記の3つの開閉状態のうち、チャックピン26が基板Wを把持している場合にはチャックピン26が基板Wを把持せずに完全に閉じている状態が除外され、チャックピン26が基板Wを把持していない場合にはチャックピン26が基板Wを把持している状態が除外されるため、チャックピン26が基板Wを把持しているか否かによって、マッチング座標が含まれ得る範囲は限定されることとなる。
【0161】
よって、たとえば解析部91が、図17に示されるようなスピンチャック20を示す画像を画像解析(たとえば、スピンベース21の中央部に相当する位置における輝度解析)し、チャックピン26が基板Wを把持しているか否かを検出することによって、マッチング座標が範囲301、範囲302および範囲303のいずれかに限定する場合だけでなく、さらに、チャックピン26が基板Wを把持しているか否かに応じて限定された範囲内(座標範囲内)で、チャックピン26の開閉状態を検出することができる。その結果、適切な範囲に含まれないマッチング座標に基づいてチャックピン26の開閉状態を検出することが抑制されるため、チャックピン26の開閉状態の検出精度が向上する。
【0162】
<対象画像の抽出範囲について>
対象画像202の範囲内にチャックピン26以外の構造物(たとえば、基板W、または、スピンチャック20の周辺に付着している水滴など)が含まれると、マッチング精度が低下する場合がある。
【0163】
そこで、対象画像202を抽出する際に、基板Wの外縁部400に沿う長手方向を有するように抽出範囲を設定することによって、チャックピン26以外の構造物が画像内に含まれることを避け(少なくとも、チャックピン26以外の構造物が画像内に含まれる範囲を減少させ)、ミスマッチングを抑制することができる。
【0164】
図20は、対象画像の抽出の例を示す図である。図20に例が示されるように、対象画像202Aは、基板Wの外縁部400に沿う長手方向を有するように抽出範囲が設定されている。そのため、チャックピン26以外の構造物が対象画像202A内に含まれることを避けることができる。
【0165】
なお、上記では対象画像202の抽出範囲について説明されたが、基準画像201Aについても同様に、抽出範囲を基板Wの外縁部400に沿う長手方向を有するものとすることもできる。
【0166】
<以上に記載された複数の実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された複数の実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された複数の実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0167】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0168】
以上に記載された実施の形態によれば、位置判定方法において、基板保持部(スピンチャック20)の基準位置に保持され、かつ、回転していない状態である基板Wを撮像し、撮像された画像を基準画像として出力する。そして、基準画像における基板Wの端部を含む領域を基準領域320(または、基準領域321、基準領域322、基準領域323)として設定し、基準領域において基板Wの端部の画素位置を基準画素位置として検出する。一方で、スピンチャック20に配置され、かつ、回転していない状態である基板Wを撮像し、撮像された画像を比較画像として出力する。そして、比較画像における基板Wの端部を含む領域を比較領域として設定し、比較領域において基板Wの端部の画素位置を比較画素位置として検出する。そして、基準画素位置と比較画素位置との差分が、あらかじめ定められたしきい値を超えるか否かを判定する。ここで、基準画素位置を検出する工程は、基準領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、基板Wの径方向で対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、径方向と直交する方向で対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である基準スコアを算出する工程と、基準領域における径方向で順次算出された複数の基準スコアのうち、最大となる基準スコアに対応する対象画素の位置を基準画素位置とする工程とを備える。また、比較画素位置を検出する工程は、比較領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、基板Wの径方向で対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、径方向と直交する方向で対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である比較スコアを算出する工程と、比較領域における径方向で順次算出された複数の比較スコアのうち、最大となる比較スコアに対応する対象画素の位置を比較画素位置とする工程とを備える。
【0169】
このような構成によれば、基板Wの径方向と直交する方向において輝度差を積算してスコアを算出し、当該スコアを使って基準画素位置および比較画素位置を高い精度で検出することができる。よって、基準画素位置と比較画素位置との差分に基づいて、基板Wの端部の位置ずれを高い精度で判定することができる。
【0170】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0171】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0172】
また、以上に記載された実施の形態によれば、対象画素の輝度と隣接画素の輝度との差分が、対象画素および隣接画素のうち、基板Wの径方向で外側に位置する方の輝度が高い場合にのみ算出される。このような構成によれば、輝度が比較的低くなる基板Wを示す画像と、輝度が比較的高くなる基板Wを囲む周辺部分を示す画像とを区別しやすくなる。
【0173】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基準スコアに、基準領域における輝度分布に基づく分布係数が掛け合わせられた値を補正基準スコアとする。そして、基準画素位置が、基準領域において最大となる補正基準スコアに対応する対象画素の位置である。このような構成によれば、基準領域の輝度分布を反映する分布係数を使って補正基準スコアを算出することができるため、基準画素位置の検出精度を高めることができる。
【0174】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基準画素位置が、基準領域における径方向の外側の範囲における平均輝度よりも内側の範囲における平均輝度が低い場合にのみ、基準領域において最大となる補正基準スコアに対応する対象画素の位置となる。このような構成によれば、輝度が比較的低くなる基板Wを示す画像において、意図しない輝度変化が生じた場合であっても、当該変化に基づいて基準画素位置が検出されることを抑制することができる。
【0175】
また、以上に記載された実施の形態によれば、比較スコアに、比較領域における輝度分布に基づく分布係数が掛け合わせられた値を補正比較スコアとする。そして、比較画素位置が、比較領域において最大となる補正比較スコアに対応する対象画素の位置である。このような構成によれば、比較領域の輝度分布を反映する分布係数を使って補正比較スコアを算出することができるため、比較画素位置の検出精度を高めることができる。
【0176】
また、以上に記載された実施の形態によれば、比較画素位置が、比較領域における径方向の外側の範囲における平均輝度よりも内側の範囲における平均輝度が低い場合にのみ、比較領域において最大となる補正比較スコアに対応する対象画素の位置となる。このような構成によれば、輝度が比較的低くなる基板Wを示す画像において、意図しない輝度変化が生じた場合であっても、当該変化に基づいて比較画素位置が検出されることを抑制することができる。
【0177】
また、以上に記載された実施の形態によれば、分布係数が、対象画素よりも径方向の外側に位置する画素の平均輝度である。このような構成によれば、基準スコアに基準領域における画素の輝度分布を反映させる、または、比較スコアに比較領域における画素の輝度分布を反映させることができるため、基準画素位置または比較画素位置の検出精度を高めることができる。
【0178】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基準領域および比較領域における画素が、径方向に沿って配列されるように再度マッピングされる。このような構成によれば、画像における画素の配列方向と基板Wの径方向とが一致していない場合であっても、再度マッピングして画素の配列を変更することによって、隣接する画素同士の輝度差およびその足し合わせを容易に算出することができる。
【0179】
以上に記載された実施の形態によれば、位置判定装置は、基板Wを保持する基板保持部と、撮像部と、解析部91とを備える。ここで、基板保持部は、たとえば、スピンチャック20などに対応するものである。また、撮像部は、たとえば、カメラ70などに対応するものである。カメラ70は、スピンチャック20における基板Wを撮像する。解析部91は、カメラ70によって撮像された画像を解析して、基板Wの端部の画素位置を検出する。ここで、画像におけるスピンチャック20の基準位置に保持され、かつ、回転していない状態である基板Wをカメラ70で撮像した画像を基準画像とする。また、基準画像における基板Wの端部を含む領域である基準領域320(または、基準領域321、基準領域322、基準領域323)において、基板Wの端部の画素位置を基準画素位置とする。また、スピンチャック20に配置され、かつ、回転していない状態である基板Wをカメラ70で撮像した画像(基準画像と比較される画像)を比較画像とする。また、比較画像における基板Wの端部を含む領域である比較領域において、基板Wの端部の画素位置を比較画素位置とする。そして、解析部91は、基準画素位置と比較画素位置とを検出し、かつ、基準画素位置と比較画素位置との差分がしきい値を超えるか否かを判定する。ここで、解析部91は、基準領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、基板Wの径方向で対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、径方向と直交する方向で対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である基準スコアを算出する。そして、解析部91は、基準領域における径方向で順次算出された複数の基準スコアのうち、最大となる基準スコアに対応する対象画素の位置を基準画素位置として検出する。また、解析部91は、比較領域において対象となる画素である対象画素の輝度と、基板Wの径方向で対象画素と隣接する画素である隣接画素の輝度との差分を、径方向と直交する方向で対象画素と並ぶ画素同士で積算した値である比較スコアを算出する。そして、解析部91は比較領域における径方向で順次算出された複数の比較スコアのうち、最大となる比較スコアに対応する対象画素の位置を比較画素位置として検出する。
【0180】
このような構成によれば、基板Wの径方向と直交する方向において輝度差を積算してスコアを算出し、当該スコアを使って基準画素位置および比較画素位置を高い精度で検出することができる。よって、基準画素位置と比較画素位置との差分に基づいて、基板Wの端部の位置ずれを高い精度で判定することができる。
【0181】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0182】
<以上に記載された複数の実施の形態の変形例について>
以上に記載された複数の実施の形態では、基準スコアまたは比較スコアを算出するために画素の輝度が足し合わせられたが、画素の輝度の代わりに、たとえば、1画素におけるRGB要素の平均値が足し合わせられてもよい。また、対象画素に隣接する画素である隣接画素は、対象画素の隣の1画素に限られるものではなく、さらに隣の1または2の画素が含まれてもよい。
【0183】
また、以上に記載された複数の実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではない。
【0184】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態における構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0185】
また、以上に記載された少なくとも1つの実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【0186】
また、以上に記載された実施の形態で記載されたそれぞれの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、ソフトウェアとしては、たとえば「部」などを称され、ハードウェアとしては、たとえば「処理回路」(circuitry)などと称される。
【符号の説明】
【0187】
91 解析部
201 基準画像
201A 基準画像
304 基準領域
320 基準領域
321 基準領域
322 基準領域
323 基準領域
409 基準スコア
409A 基準スコア
410 補正基準スコア
410A 補正基準スコア
501 画素位置
502 画素位置
503 画素位置
504 画素位置
600 分布係数
600A 分布係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21