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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060710
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】壁部材、除去部材、および除去方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20240425BHJP
   A61L 2/26 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L2/20 104
A61L2/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168150
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安永 光輝
(72)【発明者】
【氏名】福岡 徹也
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ12
4C058JJ15
4C058JJ29
(57)【要約】
【課題】滅菌袋内に残っている滅菌ガスを短時間で除去することのできる壁部材を提供する。
【解決手段】壁部材20は、滅菌袋70に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具80から滅菌ガスを除去するための壁部材であって、滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路21Sと、流路を流通する気体が前記流路から流出する孔部24と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌袋に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具から前記滅菌ガスを除去するための壁部材であって、
前記滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路と、
前記流路を流通する前記気体が前記流路から流出する孔部と、を有する壁部材。
【請求項2】
前記滅菌袋は、前記気体が流通可能に構成される、請求項1に記載の壁部材。
【請求項3】
矩形状に構成される、請求項1または2に記載の壁部材。
【請求項4】
上面視で円環状に構成される、請求項1または2に記載の壁部材。
【請求項5】
滅菌袋に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具から前記滅菌ガスを除去するための除去部材であって、
前記滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路、および前記流路を流通する前記気体が前記流路から流出する孔部を有する壁部材と、
前記壁部材の内部に設けられ、前記滅菌袋が入った箱を支持する支持部と、を有する除去部材。
【請求項6】
前記壁部材は、板状に構成されるとともに、正面視で左右に一対設けられる、請求項5に記載の除去部材。
【請求項7】
一対の前記壁部材は、
前記壁部材に設けられる前記孔部が互いに対向するように配置される、請求項6に記載の除去部材。
【請求項8】
前記壁部材は、板状に構成されるとともに、正面視で上下にさらに一対設けられる、請求項5または6に記載の除去部材。
【請求項9】
前記孔部は、
前記箱が前記支持部に積層された状態で、前記箱の隙間に位置するように配置される、請求項5または6に記載の除去部材。
【請求項10】
前記滅菌ガスはエチレンオキサイドガスである、請求項5または6に記載の除去部材。
【請求項11】
前記医療器具は、医療用長尺体、カテーテル、またはガイドワイヤである、請求項5または6に記載の除去部材。
【請求項12】
滅菌袋に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具から前記滅菌ガスを除去するための除去方法であって、
支持部に前記滅菌袋が入った箱を支持させる工程と、
前記箱の側面に、前記滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路、および前記流路を流通する前記気体が前記流路から流出する孔部を有する壁部材を配置する工程と、
前記壁部材に空気を送って、前記医療器具から前記滅菌ガスを除去する工程と、を有する除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具から滅菌ガスを除去する壁部材、除去部材、および除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化エチレンガスのような滅菌ガスは、細菌やウイルスのDNAと反応して滅菌するガスであって、医療機器工場、受託滅菌工場、および病院施設等で使用される。滅菌ガスは、高濃度で人体への毒性および発がん性を備えることが知られており、ガス滅菌処理後に、医療器具に残留するガスを除去することが求められている。
【0003】
これに関連して、例えば下記の特許文献1には、ガス滅菌処理された被滅菌物(医療器具)を密閉空間に配置し、大気圧未満の陰圧化において密閉空間内へ給蒸して所定時間保持することにより蒸気を被滅菌物内へ浸透させる蒸気浸透工程と、密閉空間内を減圧排気する減圧排気工程と、を有する残留ガス除去方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-185275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した残留ガス除去方法では、大気圧未満の陰圧化において密閉空間内へ給蒸して所定時間保持する工程を備えるため、滅菌袋内に残っている酸化エチレンオキサイドを除去するのに時間がかかる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、滅菌袋内に残っている滅菌ガスを短時間で除去することのできる壁部材、除去部材、および除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)
滅菌袋に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具から前記滅菌ガスを除去するための壁部材であって、
前記滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路と、
前記流路を流通する前記気体が前記流路から流出する孔部と、を有する壁部材。
【0009】
(2)
前記滅菌袋は、前記気体が流通可能に構成される、(1)に記載の壁部材。
【0010】
(3)
矩形状に構成される、(1)または(2)に記載の壁部材。
【0011】
(4)
上面視で円環状に構成される、(1)または(2)に記載の壁部材。
【0012】
(5)
滅菌袋に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具から前記滅菌ガスを除去するための除去部材であって、
前記滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路、および前記流路を流通する前記気体が前記流路から流出する孔部を有する壁部材と、
前記壁部材の内部に設けられ、前記滅菌袋が入った箱を支持する支持部と、を有する除去部材。
【0013】
(6)
前記壁部材は、板状に構成されるとともに、正面視で左右に一対設けられる、(5)に記載の除去部材。
【0014】
(7)
一対の前記壁部材は、
前記壁部材に設けられる前記孔部が互いに対向するように配置される、(6)に記載の除去部材。
【0015】
(8)
前記壁部材は、板状に構成されるとともに、正面視で上下にさらに一対設けられる、(5)~(7)のいずれか1つに記載の除去部材。
【0016】
(9)
前記孔部は、
前記箱が前記支持部に積層された状態で、前記箱の隙間に位置するように配置される、(5)~(8)のいずれか1つに記載の除去部材。
【0017】
(10)
前記滅菌ガスはエチレンオキサイドである、(5)~(9)のいずれか1つに記載の除去部材。
【0018】
(11)
前記医療器具は、医療用長尺体、カテーテル、またはガイドワイヤである、(5)~(10)のいずれか1つに記載の除去部材。
【0019】
(12)
滅菌袋に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具から前記滅菌ガスを除去するための除去方法であって、
支持部に前記滅菌袋が入った箱を支持させる工程と、
前記箱の側面に、前記滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路、および前記流路を流通する前記気体が前記流路から流出する孔部を有する壁部材を配置する工程と、
前記壁部材に空気を送って、前記医療器具から前記滅菌ガスを除去する工程と、を有する除去方法。
【発明の効果】
【0020】
上記の壁部材、除去部材、および除去方法によれば、壁部材に空気を送って、前記医療器具から前記滅菌ガスを除去することができるため、滅菌袋内に残っている滅菌ガスを短時間で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る除去部材を示す概略斜視図である。
図2A】本実施形態に係る除去部材を示す正面図である。
図2B】本実施形態に係る除去部材を示す左側面図である。
図3図1の状態から、パレットおよび箱等を省略した図である。
図4図3の状態から、支持部を省略した図である。
図5】壁部材を示す概略斜視図である。
図6A】長尺状態の医療器具が滅菌袋に入っている様子を示す概略図である。
図6B】巻回状態の医療器具が滅菌袋に入っている様子を示す概略図である。
図6C】箱を示す概略図である。
図7】変形例1に係る除去部材を示す概略斜視図である。
図8A】変形例2に係る除去部材を示す上面図である。
図8B図8Aの8B-8B線に沿う断面図である。
図9】変形例3に係る除去部材を示す上面図である。
図10】変形例4に係る除去部材を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図6Cを参照して、本発明の実施形態に係る除去部材1を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る除去部材1を示す概略斜視図である。図2Aは、本実施形態に係る除去部材1を示す正面図である。図2Bは、本実施形態に係る除去部材1を示す左側面図である。図3は、図1の状態から、パレット15および箱90等を省略した図である。図4は、図3の状態から、支持部10を省略した図である。図5は、壁部材20を示す概略斜視図である。図6Aは、長尺状態の医療器具80が滅菌袋70に入っている様子を示す概略図である。図6Bは、巻回状態の医療器具80が滅菌袋70に入っている様子を示す概略図である。図6Cは、箱90を示す概略図である。各図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
除去部材1は、滅菌ガスによって滅菌された医療器具80から滅菌ガスを除去するための部材である。医療器具80を滅菌する滅菌ガスとしては特に限定されないが、例えばエチレンオキサイド、過酸化水素、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、二酸化塩素、過酢酸、オゾンあるいはこれらと他の気体との混合ガスを用いることができ、医療用具がカテーテルの場合はエチレンオキサイドまたはエチレンオキサイドと二酸化炭素との混合ガスが好ましい。医療器具80は、特に限定されないが、例えば、医療用長尺体、カテーテル、またはガイドワイヤである。医療器具80は、図6Aに示すように、まっすぐな長尺のまま台紙に固定し、滅菌袋70にいれ、長尺の箱90内に配置されてもよく、図6Bに示すように、巻回したホルダーューブTなどに挿入し、滅菌袋70の内部にいれ、長尺の箱90内に配置されてもよい。滅菌袋70はいわゆるピール袋と称され、滅菌ガスが流通可能に構成される。滅菌袋70は、箱90内に配置される。箱90は、図6Cに示すように、段ボールや紙で構成され箱型に組立てられたもので、滅菌袋70を1以上挿入し医療器具80を保護するもので、少なくとも滅菌前後で滅菌袋70を出し入れする開口面90Aを有し、開口面には気体流通可能な隙間90Sを有する。
【0024】
除去部材1は、図1図5に示すように、医療器具80が入った滅菌袋70が内部に配置された箱90を支持する支持部10と、正面から視たときに、4つの支持部10の左側面および右側面に配置される一対の壁部材20と、を有する。図1では、箱90は、正面から視て、鉛直方向に11段配置され、奥行方向に8個配置されるが、これに限定されない。一つの箱90は、正面から視て、左右方向に延在するように配置される。
【0025】
図2A図2Bに示すように、パレット15上に配置される複数の箱90の間には、隙間90Sが形成されている。
【0026】
支持部10は、図1図3に示すように、4本の支持柱11と、4本の支持柱11のうち下側に配置されるパレット15と、4本の支持柱11に巻き付けられて、箱90の落下を防止するバンド16と、を有する。
【0027】
4本の支持柱11は、それぞれ同一の構成を備えるため、1本の支持柱11の構成について説明する。
【0028】
支持柱11は、箱90を積層する積層方向(図1の鉛直方向)に直交する断面が谷折りされたL字形状の柱部12と、柱部12の谷折りされた内側の上端および下端に配置される突起部13と、を有する。支持柱11としては、特に限定されないが、WO2021/045078に開示されている支持体を用いることができる。
【0029】
支持柱11の高さとしては、特に限定されないが、持ち運びやトラックやコンテナに積載することを考慮すると、例えば300mm~2500mmとすることが好ましい。
【0030】
支持柱11を構成する材料としては、特に限定されないが、紙、樹脂あるいは金属を用いることができ、軽量とするために紙あるいは樹脂製の中空体が好ましく、より好ましくは長さ方向に略直線状に形成されたリブと呼ばれる柱とライナーと呼ばれる表裏の両面で構成されたプラスチック段ボールが好ましい。
【0031】
パレット15は、図2A図2Bに示すように、4本の支持柱11の下側の突起部13に載置されるように配置される。パレット15は、上方から視て、矩形状に構成される。パレット15には、フォークリフトで持ち上げるための孔部15Hが2箇所形成されている。
【0032】
パレット15を構成する材料としては特に限定されないが、軽量化の観点から樹脂製であることが好ましく、孔部の無い簀の子あるいは単なる板でもよい。
【0033】
壁部材20は、滅菌ガスによって滅菌された医療器具80から滅菌ガスを除去するための部材である。壁部材20は、図1図5に示すように、側面視で矩形状に構成される。
【0034】
壁部材20は、図1図5に示すように、上下方向に延在する8本のリブ21と、リブ21を挟むように配置される一対の平面部材22、23と、を有する。一対の壁部材20は、同一の構成であるため、一つの壁部材20の構成について説明する。
【0035】
壁部材20は、8本のリブ21が所定の間隔をあけて上下方向に延在する。このため、8本のリブ21の間には、滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路21Sが形成される。
【0036】
平面部材22は、リブ21が固定される。リブ21の平面部材22に対する固定方法は特に限定されないが、例えば接着剤による接着や平面部材22とリブ21が一体成型されたものでもよい。
【0037】
平面部材22は、正面から視て、左右方向の外側に配置される。平面部材22は、矩形状の平板である。
【0038】
平面部材23は、リブ21が固定される。リブ21の平面部材23に対する固定方法は特に限定されないが、例えば接着剤による接着や平面部材23とリブ21が一体成型されたものでもよい。
【0039】
平面部材23は、正面から視て、左右方向の内側に配置される。平面部材23は、矩形状の平板である。
【0040】
平面部材23には、図3図5に示すように、流路21Sを流通する気体が流路21Sから流出する孔部24が形成されている。
【0041】
正面から視て左側に位置する壁部材20の孔部24、および正面から視て右側に位置する壁部材20の孔部24は、互いに対向する位置に配置されている。
【0042】
孔部24は、図2Bに示すように、箱90がパレット15に積層された状態で、箱90の隙間90Sに位置するように多数配置される。この構成によれば、正面から視て左側の平面部材23の孔部24から流出した気体は、箱90の隙間90Sおよび箱90内部を移動して、医療器具80から滅菌ガスと混合して、正面から視て右側の平面部材23の孔部24を介して、右側の壁部材20の流路21Sに流入する。したがって、効率よく医療器具80から滅菌ガスを除去することができる。
【0043】
正面から視て左側に位置する壁部材20(給気側の壁部材)の上方には、図1に示すように、外気を取り込んで、左側の壁部材20(排気側の壁部材)の流路21Sに外気を流入させる外気取込装置60が配置される。外気取込装置60は、外気を取り込む以外に、除湿、フィルター、およびウイルス除去あるいは殺菌や除菌などの機能を備える。外気取込装置60は、除去部材1から離間した位置、例えば床に置いたり仕切り板を設けた除去部材1の上、除去部材1を格納したコンテナの上や倉庫の別室や屋根などに配置してもよい。
【0044】
正面から視て右側に位置する壁部材20の上方には、図1に示すように、排出された滅菌ガスを含む気体を処理する処理装置50が配置される。処理装置50は、除去部材1から排出される滅菌ガスを含む気体を安全に排出基準濃度以下に処理するための装置である。処理装置50は、除去部材1から離間した位置、例えば床に置いたり仕切り板を設けた除去部材1の上、除去部材1を格納したコンテナの上や倉庫の別室や屋根などに配置してもよく、処理装置50は滅菌ガスを除去あるいは除害できるもの、具体的には処理前後で滅菌ガス濃度が低下するものであれば特に限定せず、滅菌ガスを直接燃焼、接触触媒燃焼、吸着、洗浄あるいは滅菌ガスと化学的に反応するものでもよく、あるいはこれらを組み合わせたものでもよいが、コンパクトで低コストの接触触媒燃焼方式が好ましい。
【0045】
壁部材20を構成する材料としては、特に限定されないが、紙、樹脂あるいは金属を用いることができ、軽量とするために紙あるいは樹脂製の中空体が好ましく、より好ましくは上述したプラスチック段ボールが好ましい。
【0046】
次に、本実施形態に係る除去部材1を用いて、滅菌ガスによって滅菌された医療器具80から滅菌ガスを除去する除去方法について説明する。
【0047】
まず、使用者は、4本の支持柱11およびパレット15を準備して、パレット15上に医療器具80が入った箱90を積層し、ガス滅菌装置(図示せず)内に配置して常法によるガス滅菌をおこなう。そして、使用者は、4本の支持柱11を所定の場所に配置するとともに、一対の壁部材20を正面から視て左右にそれぞれ配置して、バンド16によって固定する。
【0048】
次に使用者は、外気取込装置60を制御して、気体を正面から視て左側の壁部材20に流入させる。この結果、気体は壁部材20の流路21Sを上方から下方に向けて移動しつつ、孔部24を介して、箱90側に移動する。そして、気体は、複数の箱90間の隙間90Sおよび箱90内部を右側に移動しつつ、滅菌ガスと混合されて、右側の壁部材20の孔部24を介して、右側の壁部材20の流路21S内へ流入し、下方から上方に移動した後、処理装置50に到達する。
【0049】
そして、滅菌ガスを含む外気は、処理装置50において、排出基準濃度以下に処理された後、大気に開放される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る壁部材20は、滅菌袋70に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具80から滅菌ガスを除去するための壁部材20である。壁部材20は、滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路21Sと、流路21Sを流通する気体が流路21Sから流出する孔部24と、を有する。このように構成された壁部材20によれば、壁部材20に空気を送って、医療器具80から滅菌ガスを除去することができるため、滅菌袋70内に残っている滅菌ガスを短時間で除去することができる。
【0051】
また、滅菌袋70は、気体が流通可能に構成される。この構成によれば、滅菌袋70内に残っている滅菌ガスを好適に除去することができる。
【0052】
また、壁部材20は矩形状に構成される。この構成によれば、壁部材20の製造が容易となる。
【0053】
また、以上説明したように、本実施形態に係る除去部材1は、滅菌袋70に入れられ、滅菌ガスによって滅菌された医療器具80から滅菌ガスを除去するための除去部材1である。除去部材1は、滅菌ガスを含む気体が流通可能な流路21S、および流路21Sを流通する気体が流路21Sから流出する孔部24を有する壁部材20と、壁部材20の内部に設けられ、滅菌袋70が入った箱90を支持する支持部10と、を有する。このように構成された除去部材1によれば、壁部材20に空気を送って、医療器具80から滅菌ガスを除去することができるため、滅菌袋70内に残っている滅菌ガスを短時間で除去することができる。
【0054】
また、壁部材20は、板状に構成されるとともに、正面視で左右に一対設けられる。このように構成された除去部材1によれば、簡易な構成で、滅菌袋70内に残っている滅菌ガスを好適に除去することができる。
【0055】
また、一対の壁部材20は、壁部材20に設けられる孔部24が互いに対向するように配置される。このように構成された除去部材1によれば、一の壁部材20の孔部24から流出した気体は、他の壁部材20の孔部24を介して流路21Sに入り込むため、滅菌袋70内に残っている滅菌ガスを好適に除去することができる。
【0056】
また、孔部24は、箱90が支持部10に積層された状態で、箱90の隙間90Sに位置するように配置される。このように構成された除去部材1によれば、一対の壁部材20の孔部24間を、滅菌ガスを含む気体が好適に移動することができるため、滅菌袋70内に残っている滅菌ガスを好適に除去することができる。
【0057】
以上、実施形態を通じて本発明に係る除去部材1を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、壁部材20は正面から視て左右に一対設けられた。しかしながら、壁部材20は、図7に示すように、正面から視て左右に一対設けられるのに加えて、正面側および背面側に一対設けられる構成であってもよい。このとき、正面側の壁部材20が例えば給気側であって、背面側の壁部材20が排気側として用いることができる。さらに、図示は省略するが、壁部材20は、上面側および下面側にさらに一対設けられる構成であってもよい。このとき下面側の壁部材20が給気側であって、上面側の壁部材20が排気側として用いることができ、給気側を大気圧以上として排気側に送り込んでもよく、排気側を大気圧以下として給気側から吸い込んでもよく両者を組み合わせたものでもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、壁部材20は、矩形状に構成された。しかしながら、壁部材120は、図8A図8Bに示すように、上面視で円環状に構成されてもよい。図8A図8Bでは、壁部材120の入口側流路121Sから入った気体が、入口側孔部(孔部に相当)124を介して、箱90の隙間90Sおよび箱90内部を移動することによって、気体が滅菌ガスと混合されて、出口側孔部(孔部に相当)125を介して、壁部材120の出口側流路122Sに移動して、不図示の処理装置に流入する。図8A図8Bでは、壁部材120の入口側孔部124および出口側孔部125は互いに対向する位置に設けられる。
【0060】
さらに、図9に示すように、壁部材220の入口側流路221Sおよび出口側流路222Sは互いに対向する位置に設けられない構成であってもよい。さらに、図10に示すように、壁部材320の入口側流路321Sおよび出口側流路322Sは互いに対向する位置に設けられず、入口側孔部324および出口側孔部325は互いに対向する位置に設けられない構成であってもよい。図9図10において、入口側孔部から出た気体は、壁部材220、320の内周を螺旋状に移動して、出口側孔部の内部へ移動する。
【符号の説明】
【0061】
1 除去部材、
10 支持部、
20、120、220、320 壁部材、
21S 流路、
24 孔部、
70 滅菌袋、
80 医療器具、
90 箱、
90S 隙間、
121S、221S、321S 入口側流路、
122S、222S、322S 出口側流路、
124、224、324 入口側孔部、
125、225、325 出口側孔部。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10