IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-資材散布装置 図1
  • 特開-資材散布装置 図2
  • 特開-資材散布装置 図3
  • 特開-資材散布装置 図4
  • 特開-資材散布装置 図5
  • 特開-資材散布装置 図6
  • 特開-資材散布装置 図7
  • 特開-資材散布装置 図8
  • 特開-資材散布装置 図9
  • 特開-資材散布装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060713
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】資材散布装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20240425BHJP
   A01C 11/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A01C15/00 J
A01C11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168160
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
(72)【発明者】
【氏名】沖本 章
【テーマコード(参考)】
2B052
2B060
【Fターム(参考)】
2B052BC05
2B052BC15
2B052EA02
2B052EA10
2B052EA12
2B052EB08
2B052EC02
2B052EC06
2B052EC09
2B060BB06
2B060BB09
(57)【要約】
【課題】肥料を散布する施肥装置と防虫等を目的とした薬剤を散布する薬剤散布装置を備えた苗移植機がある。然しながら、施肥装置と薬剤散布装置は、各々圃場に肥料を散布する施肥ガイドと圃場に薬剤を散布する施薬ガイドを設けており、構成が煩雑であった。そこで、簡潔な構成で複数の資材を圃場に同時散布できる資材散布装置を提供する。
【解決手段】第1資材を貯留する第1ホッパから第1繰出装置にて繰り出される第1資材を搬送案内する第1ホース74を圃場に資材を散布するガイド75上部に連結し、第2資材を貯留する第2ホッパ81から第2繰出装置85にて繰り出される第2資材を搬送案内する第2ホース86を圃場に資材を散布するガイド75上部に連結した資材散布装置において、第2ホース86がガイド75上部に連通する孔が第2ホース86の内径よりも大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1資材を貯留する第1ホッパ(71)から第1繰出装置(72)にて繰り出される第1資材を搬送案内する第1ホース(74)を圃場に資材を散布するガイド(75)上部に連結し、第2資材を貯留する第2ホッパ(81)から第2繰出装置(85)にて繰り出される第2資材を搬送案内する第2ホース(86)を圃場に資材を散布するガイド(75)上部に連結した資材散布装置において、第2ホース(86)がガイド(75)上部に連通する孔(99d)が第2ホース(86)の内径よりも大きいことを特徴とする資材散布装置。
【請求項2】
ガイド(75)上部に装着した案内体(95)に第1ホース(74)及び第2ホース(86)を連通したことを特徴とする請求項1に記載の資材散布装置。
【請求項3】
案内体(95)に形成した蛇腹(98)の上方部に孔(99d)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の資材散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料や薬剤等の複数の種類の資材を圃場に同時散布する資材散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、肥料を散布する施肥装置と防虫等を目的とした薬剤を散布する薬剤散布装置を備えた苗移植機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-126072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、施肥装置と薬剤散布装置は、各々圃場に肥料を散布する施肥ガイドと圃場に薬剤を散布する施薬ガイドを設けており、構成が煩雑であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡潔な構成で複数の資材を圃場に同時散布できる資材散布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、第1資材を貯留する第1ホッパ71から第1繰出装置72にて繰り出される第1資材を搬送案内する第1ホース74を圃場に資材を散布するガイド75上部に連結し、第2資材を貯留する第2ホッパ81から第2繰出装置85にて繰り出される第2資材を搬送案内する第2ホース86を圃場に資材を散布するガイド75上部に連結した資材散布装置において、第2ホース86がガイド75上部に連通する孔99dが第2ホース86の内径よりも大きい資材散布装置である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、第2ホース86がガイド75上部に連通する孔99dが第2ホース86の内径よりも大きいので、第1資材と第2資材が合流する孔99d部で薬剤が詰まることを防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、ガイド75上部に装着した案内体95に第1ホース74及び第2ホース86を連通した請求項1に記載の資材散布装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、案内体95に形成した蛇腹98の上方部に孔99dを設けた請求項2に記載の資材散布装置である。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、案内体95に形成した蛇腹98の上方部に孔99dを設けたので、孔99dが蛇腹98の陰に位置してガイド75内で跳ね上がる水等が孔99d内の搬送される薬剤にかかることが防止できて詰まりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の資材散布装置を搭載した苗移植機の側面図である。
図2】同上苗移植機の薬剤散布装置の側面図である。
図3】同上薬剤散布装置の要部の側面図である。
図4】同上苗移植機の施肥施薬用案内体の斜視図である。
図5】同上施肥施薬用案内体の側断面図である。
図6】同上苗移植機の連結パイプ上端部の側断面図である。
図7】同上苗移植機の薬剤散布装置の他の例を示す側面図である。
図8】同上苗移植機のブリーザの他の例を示す側面図である。
図9】同上苗移植機のブリーザの他の例を示す側面図である。
図10】同上苗移植機の肥料排出部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
<全体構成>
まず、図1に基づいて、苗移植機1の全体構成について説明する。
【0014】
苗移植機1は、圃場を走行しながら、圃場の表土面(圃場面)に苗を植え付ける。図1に示すように、苗移植機1は、走行車体2と、苗植付部昇降機構40と、苗植付部50とを備える。
【0015】
走行車体2は、それぞれ左右一対の前輪4と、後輪5とを備える。なお、走行車体2は、走行時には各車輪(左右一対の前輪4および左右一対の後輪5)が駆動する四輪駆動となる。
【0016】
走行車体2は、メインフレーム7と、エンジン10と、動力伝達装置15とを備える。メインフレーム7は、走行車体2の上下および左右方向の中央部に設けられ、走行車体2の上部を支持する。エンジン10は、メインフレーム7上に搭載される。エンジン10は、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関である。なお、エンジン10からの駆動力は、走行車体2を前後進させるために用いられるとともに、後述する苗植付部50を駆動するためにも用いられる。
【0017】
エンジン10は、走行車体2の左右方向の中央部に設けられ、かつ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で設けられる。なお、フロアステップ26は、メインフレーム7に取り付けられ、一部が格子状に形成されることで、作業者の靴に付いた泥などを圃場に落とすことができる。また、フロアステップ26の後方には後輪5のフェンダを兼ねたリヤステップ27が設けられる。
【0018】
フロアステップ26およびリヤステップ27上にはエンジン10を覆うエンジンカバー11が設けられる。エンジンカバー11の上方には操縦席28が設けられる。また、操縦席28の前方には操縦部30が設けられる。操縦部30の前部には、フロントカバー31が設けられる。操縦部30の上部には、各種操作レバーや計器類、さらには、操舵用のハンドル32が設けられる。
【0019】
また、操作レバーとしては、走行レバー35や副変速レバー38などがある。走行レバー35は、走行車体2の前後進および走行速度を変更する場合に操作される。また、副変速レバー38は、走行車体2の走行速度を、走行する場所(圃場や路上)に応じた速度に切り替える場合に操作される。
【0020】
フロアステップ26の前部における左右の側方には、予備苗載置台65が設けられる。予備苗載置台65は、補給用の苗を載せておく台であり、フロアステップ26のステップ面から突出した支持軸によって回転自在に支持される。予備苗載置台65は、作業者の手動による回動の他、電動モータなどの駆動部によって回動させることもできる。
【0021】
動力伝達装置15は、油圧式無段変速機16と、ベルト式動力伝達機構17とを備える。油圧式無段変速機16は、主変速機であり、静油圧式の無段変速装置(HST)である。ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10からの動力を油圧式無段変速機16に伝達する。ベルト式動力伝達機構17は、ベルトと、プーリとを備え、エンジン10からの動力を油圧式無段変速機16に伝達する。
【0022】
また、動力伝達装置15は、ミッションケース18を備える。ミッションケース18には、ベルト式動力伝達機構17および油圧式無段変速機16を介してエンジン10からの動力が伝達される。ミッションケース18は、メインフレーム7の前部に取り付けられる。ミッションケース18は、副変速機構を備える。副変速機構は、走行車体2の路上走行時や植付走行時における走行速度や作業速度を切り替える。
【0023】
ミッションケース18は、副変速機構で変速された動力を、走行用動力および苗植付部50の駆動用動力に分ける。走行用動力は、一部が左右のファイナルケース21を介して前輪4に伝達可能であり、残りが左右の後輪ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能である。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチに伝達され、植付クラッチによる動力接続時に植付伝動軸によって苗植付部50に伝達される。
【0024】
苗植付部昇降機構40は、苗植付部50を昇降させる。苗植付部昇降機構40は、昇降リンク装置41を備える。昇降リンク装置41は、平行リンク機構42を備える。平行リンク機構42は、上リンクと、下リンクとを備え、各リンクがリンクベースフレーム43にそれぞれ回動自在に連結されることで、走行車体2に対して苗植付部50を昇降可能に連結する。
【0025】
また、苗植付部昇降機構40は、昇降シリンダ44を備える。昇降シリンダ44は、油圧によって伸縮する。苗植付部昇降機構40は、昇降シリンダ44の伸縮による苗植付部50の昇降動作により、苗植付部50を非作業位置まで上昇させる。また、苗植付部昇降機構40は、昇降シリンダ44による苗植付部50の昇降動作により、苗植付部50を対地作業位置(植付位置)まで下降させる。
【0026】
苗植付部50は、苗載置台51と、苗植付装置60と、フロート47,49とを備える。苗載置台51は、苗載せ面を備える。苗載せ面は、左右方向において仕切られ、植付条数分設けられる。複数の苗載せ面にはそれぞれ土付きのマット状の苗が積載される。
【0027】
苗植付装置60は、植込杆61と、ロータリケース63と、植付伝動ケース64とを備える。
【0028】
植込杆61は、苗載置台51に積載された苗を圃場に植え付ける。ロータリケース63は、苗植付装置60に動力を伝達する植付伝動ケース64に対して回転可能に取り付けられる。植付伝動ケース64は、エンジン10から苗植付部50に伝達された動力を苗植付装置60に伝達する。
【0029】
フロート47,49は、走行車体2の前進に伴い圃場面上を滑走して圃場を整地する。フロート47,49は、センターフロート47と、サイドフロート49とを備える。センターフロート47は、左右方向における中央部に設けられ、サイドフロート49は、左右方向における左右両側部に設けられる。フロート47,49の前方には、同じく圃場を整地する整地ロータ67が設けられる。
【0030】
また、苗植付部50の左右両側部には、線引マーカ68が設けられる。線引マーカ68は、圃場面上における次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する。線引マーカ68は、たとえば、マーカモータによって出退駆動され、走行車体2が旋回するごとに左右の線引マーカ68が切り替わる。
【0031】
また、苗移植機1は、施肥装置70を備える。施肥装置70は、走行車体2の後部、操縦席28の後方に設けられる。施肥装置70は、第1ホッパとしての肥料ホッパ71と、第1繰出装置としての肥料繰出装置72と、第1ホースとしての施肥ホース74と、電動式のブロア73とを備える。肥料ホッパ71は、肥料を貯留する。肥料繰出装置72は、肥料ホッパ71から供給された肥料を設定量ずつ繰り出す。施肥ホース74は、肥料繰出装置72によって繰り出された肥料の流路である。ブロア73は、肥料を移送するために、施肥ホース74内に空気を送る。
【0032】
また、施肥装置70は、ガイドとしての施肥施薬ガイド75と、作溝器76とを備える。施肥施薬ガイド75は、フロート47,49の側部に設けられ、施肥ホース74下端が上部に連結され、空気搬送された肥料をガイドし、施肥施薬溝内に落とし込む。作溝器76は、施肥施薬ガイド75の前方に設けられる。作溝器76は、圃場面に施肥施薬溝を形成(生成)する。
【0033】
また、苗移植機1は、薬剤散布装置80を備える。薬剤散布装置80は、走行車体2の後方に配置され、除草剤などの粒状の薬剤を圃場へ向けて散布する。
【0034】
図2に基づいて、薬剤散布装置80の構成について説明する。図2は、実施形態に係る薬剤散布装置80の一例を示す左側面図である。
【0035】
薬剤散布装置80は、第2ホッパとしての薬剤ホッパ81と、電動式のブロア装置82と、エアチャンバ83と、泥除けカバー84と、第2繰出装置としての薬剤繰出部85と、第2ホースとしての薬剤ホース86と、繰出し量調整部87と、駆動リンク88と、フレーム部91とを備える。
【0036】
薬剤ホッパ81は、薬剤を貯留する部材である。薬剤ホッパ81は、薬剤散布装置80の構成の中では、比較的上方に配置される。これにより、作業者が薬剤を薬剤ホッパ81に補充する際に屈んだり、薬剤の風袋を上方に持ち上げたりといった作業の負担を軽減できる。また、薬剤ホッパ81に貯留した薬剤は、薬剤ホッパ81の底部から後述する薬剤繰出部85へ供給される。
【0037】
ブロア装置82は、薬剤を搬送するために、エアチャンバ83を介して薬剤ホース86へ空気(搬送風)を供給する。つまり、実施形態に係る苗移植機1は、肥料を移送するための空気を送るブロア73と、薬剤を移送するための空気を送るブロア装置82とが独立して設けられる。これにより、薬剤および肥料それぞれの特性に最適な空気(風量)を送ることができるとともに、それぞれ独立したタイミングで空気を送ることができる。
【0038】
泥除けカバー84は、エアチャンバ83の下方側に配置さえ、圃場からの泥等がエアチャンバ83や、薬剤ホッパ81、ブロア装置82等に付着することを防止する。
【0039】
また、エアチャンバ83は、薬剤繰出部85よりも上方に配置されるとともに、薬剤ホッパ81よりも前方に配置される。これにより、薬剤ホース86の薬剤繰出部85への接続や、エアチャンバ83への接続作業を容易化できる。
【0040】
また、エアチャンバ83は、ブロア装置82の下方に設けられる。つまり、ブロア装置82の送風口は、エアチャンバ83側である下方を向いて配置される。また、エアチャンバ83は、操縦席28と、薬剤ホッパ81との間に配置されるため、透明部材として構成さえることが好ましい。これにより、操縦席28から薬剤ホッパ81を見渡せるため、作業者が薬剤ホッパ81の残量を容易に確認できる。
【0041】
薬剤繰出部85は、薬剤ホッパ81から供給された薬剤を設定量ずつ薬剤ホース86へ繰り出す。薬剤ホース86は、薬剤繰出部85によって繰り出された薬剤の流路である。
【0042】
繰出し量調整部87は、複数の係合孔87aを設け、駆動リンク88上端部が係合孔87aに係合している。
【0043】
駆動リンク88上端部を係合させる繰出し量調整部87の係合孔87aの変更により、薬剤繰出部85の繰出し量の調節ができる。
【0044】
駆動リンク88は、上端部が繰出し量調整部87の係合孔87aに係合され、下端部がロータリケース63に枢支される。従って、駆動リンク88は、ロータリケース63の回転により上下作動し、繰出し量調整部87を上下搖動させて薬剤繰出部85を繰り出し作動させる。
【0045】
フレーム部91は、苗植付部50の左右方向に延設して配置され、薬剤ホッパ81を支持する。
【0046】
次に、図3図6に基づいて、薬剤散布装置80の薬剤ホース86下端部と施肥施薬ガイド75上部との連結構成について詳細に説明する。
【0047】
薬剤散布装置80の薬剤ホース86下端部は、施肥装置70の施肥施薬ガイド75上部に連結され、施肥装置70の肥料と薬剤散布装置80の薬剤は、施肥装置70の施肥施薬ガイド75にて作溝器76が圃場面に形成した施肥施薬溝内に同時散布される。
【0048】
施肥施薬ガイド75上部には、案内体としての樹脂製の施肥施薬用案内体95が装着されている。
【0049】
施肥施薬用案内体95は、上部に施肥装置70の施肥ホース74下端部を連結する施肥用連結孔96を設け、下部に施肥施薬ガイド75上部に連結するガイド連結孔97を設け、上下中間部に屈折自在の蛇腹98が形成されている。
【0050】
そして、該蛇腹98の上方位置には、薬剤散布装置80の薬剤ホース86下端部を連結する薬剤用連結孔99aが設けられた連結パイプ99が設けられている。
【0051】
連結パイプ99の薬剤用連結孔99a上端部外周には、補強用のリブ99bを設けて剛性を向上させており、連結パイプ99上端部に薬剤ホース86下端部を連結した際に、変形による水等の侵入を防止できる。
【0052】
また、連結パイプ99の薬剤用連結孔99a上端部内周には、水等の侵入を防止するリップ99cが複数段(実施例では、3段)設けられており、連結パイプ99上端部の薬剤用連結孔99aに薬剤ホース86下端部を挿入連結した際に、水等の侵入を防止できる。
【0053】
特に、連結パイプ99は、蛇腹98の上方部にて施肥施薬用案内体95内に連通するので、連結パイプ99基部の施肥施薬用案内体95内に連通する孔99dが蛇腹98の陰に位置して施肥施薬ガイド75内で跳ね上がる水等が連結パイプ99内の搬送される薬剤にかかることが防止でき、薬剤の詰まりを防止できる。
【0054】
更に、連結パイプ99基部の施肥施薬用案内体95内に連通する孔99dは、横長の長孔に形成してあり、薬剤ホース86の内径よりも大きい。
【0055】
従って、薬剤ホース86内を搬送されてきた薬剤は、薬剤ホース86の内径よりも大きい連結パイプ99基部の施肥施薬用案内体95内に連通する孔99dから施肥施薬用案内体95内に搬送されるので、肥料と薬剤が合流する孔99d部で薬剤が詰まることが防止できる。
【0056】
以上要するに、従来の施肥ガイドをそのまま活用して施肥施薬ガイド75とし、該施肥施薬ガイド75上部に施肥施薬用案内体95を設けて、該施肥施薬用案内体95に施肥装置70の施肥ホース74下端部と薬剤散布装置80の薬剤ホース86下端部を連結して搬送される肥料及び薬剤を合流させ、施肥施薬ガイド75にて作溝器76が圃場面に形成した施肥施薬溝内に同時散布する。
【0057】
従って、従来の施肥ガイドをそのまま活用して施肥施薬ガイド75とし、該施肥施薬ガイド75上部に施肥施薬用案内体95を設けることにより、肥料及び薬剤を合流させて同時散布が行えて、肥料及び薬剤の散布が安価な構成で実現できる。
【0058】
なお、苗植付部50は、フロート47,49の底面側に設けられた覆土板53をさらに備える。覆土板53は、作溝器76により形成された施肥施薬溝に施肥及び施薬が行われた後に覆土し、肥料および薬剤の効果が低下することを回避する。
【0059】
<他の実施形態>
【0060】
(1)薬剤散布装置80の薬剤ホース86は、苗植付装置60の回転するロータリケース63上方に位置しているので、ロータリケース63に薬剤ホース86に接当するピン等の接当部を設けて、苗植付装置60による苗植付け時に回転するロータリケース63の接当部が薬剤散布装置80の薬剤ホース86に接当して、薬剤ホース86に振動を付与する構成としても良い。
【0061】
従って、機体を進行させて苗植付け作業を行いながら施肥作業及び薬剤散布作業を行う際に、苗植付装置60による苗植付け時に回転するロータリケース63の接当部が薬剤散布装置80の薬剤ホース86に接当して、薬剤ホース86に振動を付与するので、薬剤ホース86内に薬剤が留まることを防止でき、薬剤が薬剤ホース86内に詰まることが防止できる。
【0062】
(2)図7は、薬剤散布装置80の他の例を示す。
【0063】
即ち、薬剤散布装置80の薬剤ホース86には、薬剤繰出部85と施肥施薬ガイド75間にブリーザ92を設けている。
【0064】
ブリーザ92は、ブロア装置82からエアチャンバ83に送られた空気(搬送風)が薬剤ホース86へ供給されて薬剤ホース86内の薬剤を搬送する方向と逆方向に延びる筒体92aの上端部に開閉自在の蓋92bを設けて構成している。
【0065】
ブリーザ92は、施肥施薬ガイド75が泥土等にて詰まり気味になった際に、薬剤ホース86内の空気圧が高くなって蓋92bが開いて搬送風を大気中に逃がして、搬送風が薬剤繰出部85や薬剤ホッパ81内に吹き返すことを防止する。
【0066】
なお、蓋92bには、脱着自在に異なる重さの錘を設けることにより、苗移植機1の植付条数が異なる等の複数の型式においてブロア装置82からエアチャンバ83に送られた空気(搬送風)の風圧が異なる場合に適用でき、汎用性が向上する。
【0067】
また、図8はブリーザ92の他の例を示し、筒体92aの先端を下方に向けて開放口92b’としている。
【0068】
ブリーザ92の筒体92aの先端開放口92b’を下方に向けることにより、雨水等の侵入を防止して、施肥施薬ガイド75が泥土等にて詰まり気味になって薬剤ホース86内の空気圧が高くなった搬送風を大気中に逃がして、搬送風が薬剤繰出部85や薬剤ホッパ81内に吹き返すことを防止する。
【0069】
また、図9はブリーザ92の他の例を示し、筒体92aの先端を水平方向に向けて開放口92b’としている。
【0070】
ブリーザ92の筒体92aの先端開放口92b’を水平方向に向けることにより、雨水等の侵入を防止して、施肥施薬ガイド75が泥土等にて詰まり気味になって薬剤ホース86内の空気圧が高くなった搬送風を大気中に逃がして、搬送風が薬剤繰出部85や薬剤ホッパ81内に吹き返すことを防止する。
【0071】
(3)図10は、作業後に施肥装置70の肥料ホッパ71内に残った肥料を機外にブロア73の搬送風で排出する肥料排出部を示す。
【0072】
施肥装置70の肥料繰出装置72の背面部には、肥料ホッパ71内の肥料を取り出すための肥料排出口が形成され、排出シャッタで開度自在である。
【0073】
肥料繰出装置72の肥料排出口は、肥料繰出装置72の後方に設けた左右方向に長い肥料回収管100に接続されている。
【0074】
施肥作業時には、排出シャッタを閉じて、肥料ホッパ71内の肥料は肥料繰出装置72に落下供給され、肥料排出時には、排出シャッタを開いて、肥料ホッパ71内の肥料は肥料排出口から肥料回収管100内に落下する。
【0075】
肥料回収管100の左端部は、空気切替管を介してブロア73に接続されている。空気切替管は二股状の管であって、一方が施肥ホース74側に接続され、他方が肥料回収管100に接続されている。
【0076】
空気切替管には空気切替部としての空気切替シャッタが設けられ、ブロア73から吹き出される空気を施肥ホース74側に供給する状態と肥料回収管100側に供給する状態とに切り替えられようになっている。
【0077】
そして、肥料回収管100の右端部は肥料回収口101になっている。
【0078】
施肥作業時には、肥料回収口101を蓋体にて閉じている。
【0079】
肥料回収時には、蓋体を開けて、肥料回収口101に設けた布製または目の細かい網製の筒体102を下方に垂らせて、該筒体102の下方に肥料受け(バケツ等)を置いて、筒体102先端部の開口から肥料を排出する。
【0080】
この肥料回収時には、排出シャッタを開いて、肥料ホッパ71内の肥料を肥料排出口から肥料回収管100内に落下させ、空気切替管の空気切替シャッタをブロア73から吹き出される空気が肥料回収管100側に供給される状態とし、空気搬送にて肥料回収管100内に落下した肥料を肥料回収口101から筒体102を経由して機外に排出する。
【0081】
ところが、筒体102は、布製または目の細かい網製の素材で構成されているので、肥料回収管100の右端部から下方に垂れ下がる部位が折れてしまって肥料排出の抵抗になる課題があった。
【0082】
そこで、図10に示すように、肥料回収管100の右端部の肥料回収口101に折れ曲がり防止体103を収納状態と作用状態に切り換え自在に設ける。
【0083】
即ち、折れ曲がり防止体103は、肥料回収口101に設けた2つの貫通孔101aにスライド自在に設けた2つの針金状のスライド体103aと、該2つのスライド体103a右端部を下方に傾斜させた部位を連結する連結部103bと、該連結部103bに固定された円弧状受け板103cにて構成される。
【0084】
従って、施肥作業時には、折れ曲がり防止体103のスライド体103aを肥料回収管100内方に向けてスライドさせて収納状態とし、筒体102も肥料回収口101から肥料回収管100内部に収納し、肥料回収口101の蓋体を閉じる。
【0085】
肥料回収時には、蓋体を開けて、肥料回収口101に設けた筒体102を下方に垂らせて、該筒体102の下方に肥料受け(バケツ等)を置く。そして、折れ曲がり防止体103のスライド体103aを肥料回収管100外方に向けてスライドさせて作用状態とし、2つのスライド体103a上面と円弧状受け板103cにて布製または目の細かい網製の筒体102内面を受けて、筒体102が折れ曲がらないように支持する。
【0086】
よって、肥料回収時に、排出シャッタを開いて、肥料ホッパ71内の肥料を肥料排出口から肥料回収管100内に落下させ、空気切替管の空気切替シャッタをブロア73から吹き出される空気が肥料回収管100側に供給される状態とし、空気搬送にて肥料回収管100内に落下した肥料を肥料回収口101から筒体102を経由して機外に排出する際に、折れ曲がり防止体103にて支持されて布製または目の細かい網製の筒体102が折れ曲がらないので、肥料排出の抵抗にならず適切な肥料排出が行える。
【符号の説明】
【0087】
71 第1ホッパ(肥料ホッパ)
72 第1繰出装置(肥料繰出装置)
74 第1ホース(施肥ホース)
75 ガイド(施肥施薬ガイド)
81 第2ホッパ(薬剤ホッパ)
85 第2繰出装置(薬剤繰出部)
86 第2ホース(薬剤ホース)
95 案内体(施肥施薬用案内体)
98 蛇腹
99d 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10