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特開2024-60720ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060720
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20240425BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240425BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20240425BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20240425BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
F01N3/08 G ZAB
F02D45/00 360A
F01N3/08 B
F01N3/023 Z
F01N11/00
F01N3/023 K
F02D45/00 345
F01N3/18 C
B01D53/94 222
B01D53/94 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168171
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】上田 晋
(72)【発明者】
【氏名】丸山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幹大
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
3G384
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA01
3G091BA14
3G091CB03
3G091DB05
3G091EA01
3G091EA07
3G091EA17
3G091EA32
3G091HA15
3G091HA16
3G190AA12
3G190BA32
3G190CB18
3G190CB19
3G190CB23
3G190CB26
3G190DA06
3G190DB02
3G190EA01
3G190EA02
3G190EA14
3G190EA23
3G384AA03
3G384BA18
3G384BA31
3G384BA34
3G384BA47
3G384DA14
3G384DA42
3G384EC08
3G384FA06Z
3G384FA45Z
3G384FA47B
3G384FA56Z
4D148AA06
4D148AB01
4D148AB02
4D148AC03
4D148CC32
4D148CC47
4D148CC61
4D148CD05
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA06
4D148DA07
4D148DA10
(57)【要約】
【課題】本発明は、SCRで使用する尿素水を効率的に利用して使用量を低減することを課題とする。
【解決手段】ディーゼルエンジン1の排気ガスをDPF3とSCR4で浄化するディーゼルエンジンの排気ガス処理装置において、排ガスの昇温経過を測定し、排気温度が閾値TAを超えると排気温度の温度変化率αで、最適尿素噴射マップデータ15に基づいて尿素水噴射量制御を行うことを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン(1)の排気ガスをDPF(3)とSCR(4)で浄化するディーゼルエンジンの排気ガス処理装置において、排ガスの昇温経過を測定し、排気温度が閾値(TA)を超えると排気温度の温度変化率(α)で、予め用意されている最適尿素噴射マップデータ(15)に基づいて尿素水噴射量制御を行うことを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置。
【請求項2】
DPF(3)の再生処理後に入口と出口の排気圧差を差圧センサ(13)で検出し、その差圧が標準圧差圧データ(16)と比較して異常に低い場合にDPF(3)の異常と判断して異常表示を行うことを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置。
【請求項3】
ディーゼルエンジン(1)の排気ガスを分流した後に合流させる合流部(2b)でSCR(4)に尿素水を噴射することを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置。
【請求項4】
DPF(3)の自動再生或いは手動再生は、作業終了時に再生時期予測が標準再生サイクルの半分以下の場合に処理可能とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置は、特開2015―27836号公報に記載の如く、排気ガスからDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)で粒状化物質(PM)を捕集し、SCR(選択触媒還元)で排気ガスの温度が所定の反応温度になると尿素水を供給して触媒で窒素酸化物(NOx)をNO2に還元して無害化にするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015―27836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、SCRで使用する尿素水を効率的に利用して使用量を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0006】
請求項1の発明は、ディーゼルエンジン1の排気ガスをDPF3とSCR4で浄化するディーゼルエンジンの排気ガス処理装置において、排ガスの昇温経過を測定し、排気温度が閾値TAを超えると排気温度の温度変化率αで、予め用意されている最適尿素噴射マップデータ15に基づいて尿素水噴射量制御を行うことを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置とする。
【0007】
請求項2の発明は、DPF3の再生処理後に入口と出口の排気圧差を差圧センサ13で検出し、その差圧が標準圧差圧データ16と比較して異常に低い場合にDPF3の異常と判断して異常表示を行うことを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置とする。
【0008】
請求項3の発明は、ディーゼルエンジン1の排気ガスを分流した後に合流させる合流部2bでSCR4に尿素水を噴射することを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置とする。
【0009】
請求項4の発明は、DPF3の自動再生或いは手動再生は、作業終了時に再生時期予測が標準再生サイクルの半分以下の場合に処理可能とするディーゼルエンジンの排気ガス処理装置とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、排ガスの昇温経過を測定して最適尿素噴射マップデータ15に基づいて排気温度が閾値TAを超えると温度変化率αで尿素水の噴射量を変化させることで過不足なく尿素水を排気ガスに供給して触媒で窒素酸化物(NOx)をNO2に還元して、尿素水を無駄なく消費できる。
【0011】
請求項2の発明で、DPF3の再生処理後に差圧センサ13で計測する排気差圧が標準圧差圧データ16と比較して異常に低い場合にはDPFが破損して排気ガスが抜けている可能性があるので、異常表示して作業者に知らせることが出来る。
【0012】
請求項3の発明で、排気ガスが分割した後に合流する合流部2bでは排気ガスの流れが乱流になるので、この箇所で尿素水を噴射することでNOxからNO2に還元する作用が効果的に進行する。
【0013】
請求項4の発明で、作業再開時に前回の作業終了から再生サイクルの半分程度以下の経過では自動再生或いは手動再生をすることが無く、ストレスなく直ちに作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にかかるディーゼルエンジンの排気ガス処理装置システムの概略説明図である。
図2】同システムにおける最適尿素噴射マップデータ表である。
図3】同システムにおける排気温度の変化を示すグラフである。
図4】同システムにおける尿素水噴射の制御フローチャート図である。
図5】同システムにおける尿素水噴射量の時間経過グラフである。
図6】同システムにおける排気管の流路を分岐し合流させたSCRの排気流路図である。
図7】同システムにおけるDPFとDOCを一体化したDPFの断面図である。
図8】同システムにおけるラムダセンサの校正タイムチャート図である。
図9】同システムにおける差圧センサ13の校正タイムチャート図である。
図10】同システムにおける尿素水の凍結対策をした排気処理システム図である。
図11】同システムにおけるフットペダルでエンジン1の回転を変更する作業機でDPF3の再生処理中の燃料噴射制御フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、ディーゼルエンジンの排気ガス処理装置システムの概略説明図で、エンジン1から排気管2で排出される排気ガスがディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)3を通して粒状化物質(PM)を捕集し、選択触媒還元(SCR)4を通して窒素酸化物(NOx)がNO2に還元される。SCR4では尿素タンク5の尿素水が尿素水インジェクター6で噴射され、排気温度が排気温センサ7で計測される。尿素水インジェクター6はエンジン回転センサ9やアクセル開度センサ10等を制御管理するエンジン制御部8で噴射量が制御されている。さらに、DPF3には入口と出口の差圧を測定する差圧センサ13を設ける。
【0017】
図2は最適尿素噴射マップデータ15で、図3は排気温度の変化を示すグラフである。
【0018】
図4は、尿素水噴射の制御フローチャート図で、ステップS1で排気温度が閾値TA(300℃)より大きいかを判定し、大きくなければステップS4で噴射させず、大きければステップS2の最適尿素噴射マップデータ15に基づき噴射を行い、ステップS3で排気温度が閾値TAより低くなるとステップS6で尿素水噴射を停止する制御を繰り返す。
【0019】
図5は、尿素水噴射量の時間経過グラフで、排気温度が閾値TAを超えると排気温度の変化に応じて噴射量も変動する。噴射量は排気ガスの温度変化率α(排気温度曲線の微分値)に応じて変動する。
【0020】
図6は、排気管2の流路を分岐部2aで2分割し、SCR4の尿素水インジェクター6直後の合流部2bで排気ガスを合流させて流れに乱流を生じさせた状態で尿素水を噴射させる構成で、乱流により還元作用(NOx→NO2)が促進され、アンモニアの結晶化を防ぐ。
【0021】
なお、DPF3の入口にNOxの濃度を計測するセンサを設けて、NOx濃度の大・中・小に応じた尿素水噴射制御を行えるようにするのも良い。また、DPF3は使用時間が長くなると劣化して還元可能期間が短くなるために、使用時間毎による制御プログラムを作成して使用時間を記録して制御データを切り換えると良い。
【0022】
図7は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)3内に酸化触媒(DOC)11を収納した構成で、DOC11をDPF3の中心に配置することで、DOC11の入口11aから入る排気ガスがDPF3内を通って出口3bに流れて、DPF3通過の排気ガス加熱を効果的に行える。
【0023】
DPF3は、長時間の使用により粒状化物質(PM)が溜るので、排気ガスの温度を上げて焼却する再生処理を行うが、その後に、入口と出口の温度差を差圧センサ13で計測する。
【0024】
図8は、ラムダセンサの校正タイムチャートで、ディーゼルエンジン1の長時間使用によりDPF3を再生処理した後に、エンジン出力を上昇させてその後にスロットルを閉めてエンジン回転をアイドリングに戻してラムダセンサで酸素濃度を計測して、その計測値を基準値と比較し、違いがあればその計測値を新基準としてエンジン制御に使用する。
【0025】
また、図9は、差圧センサ13の校正タイムチャートで、ディーゼルエンジン1の長時間使用によりDPF3を再生処理した後に、エンジン出力を上昇させた後にスロットルを閉めてエンジン回転をアイドリングに戻して差圧センサ13で差圧を計測して、その計測値を標準圧差圧データ16と比較し、違いがあればその計測値をスート堆積の校正曲線に修正する。その際にDPF3の差圧センサ13が測定する圧力差が極端に小さいとDPF3にクラックが生じて排気ガスが漏れている可能性があるために、故障表示を行って、使用者に注意を促す。
【0026】
また、DPF3を横置きにして排気ガスがフィルターの全面を均一に通過するようにすることでPMの集積量が多くなり再生サイクルを長くすることが出来る。
【0027】
図10は、尿素水の凍結対策をした排気処理システムで、エンジン1のシリンダーヘッドの近くにサブ尿素タンク5Bを設けて冷間時にまずサブ尿素タンク5Bから尿素水を尿素水インジェクター6でSCR4に供給し、周囲が暖まるとエンジン制御部8でライン切換スイッチ20を切り換えて、メイン尿素タンク5Aから尿素水をSCR4に供給する。
【0028】
図11は、フットペダルでエンジン1の回転を変更する作業機でDPF3の再生処理中の燃料噴射制御のフローチャート図で、ステップS10でフットペダルを戻したら、ステップS11でDOC11の温度が300℃かを判断して、YESであればステップS12でメイン噴射を0にしてレイトポスト噴射を行い、NOであればステップS13でメイン噴射を0にしてレイトポスト噴射も0とする制御を行う。
【符号の説明】
【0029】
TA 閾値
α 温度変化率
1 ディーゼルエンジン
2b 合流部
3 DPF
4 SCR
11 DOC
13 差圧センサ
15 最適尿素噴射マップデータ
16 標準圧差圧データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11