(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060744
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】密閉容器、蓋ユニット、ブイ、及び水中監視装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20240425BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20240425BHJP
G01S 7/52 20060101ALI20240425BHJP
G01S 15/96 20060101ALI20240425BHJP
G01M 3/04 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
H05K7/00 V
H05K5/06 A
G01S7/52 Z
G01S15/96
G01M3/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168218
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 光宏
【テーマコード(参考)】
2G067
4E352
4E360
5J083
【Fターム(参考)】
2G067AA44
2G067BB04
2G067CC02
2G067CC04
4E352AA02
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB07
4E352BB20
4E352CC07
4E352DD05
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4E352DR05
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4E352DR40
4E352GG20
4E360AA03
4E360AB33
4E360BA08
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD02
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4E360EA11
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4E360ED02
4E360ED28
4E360FA02
4E360FA12
4E360GA29
4E360GA42
4E360GB99
4E360GC08
5J083AA02
5J083AB01
5J083AC40
5J083AF20
(57)【要約】
【課題】ケーブルを保護することが可能な密閉容器を提供する。
【解決手段】密閉容器は、開口が形成された容器本体と、開口を塞ぐ蓋ユニットと、容器本体の内部から蓋ユニットを通じて外部に引き出されたケーブルと、を備え、蓋ユニットは、開口を塞ぐ蓋本体と、蓋本体上に重ねられた上蓋部と、を有し、上蓋部に、蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、蓋本体に、上溝と連結される、上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、ケーブルは、上溝と下溝を通って配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された容器本体と、
前記開口を塞ぐ蓋ユニットと、
前記容器本体の内部から前記蓋ユニットを通じて外部に引き出されたケーブルと、
を備え、
前記蓋ユニットは、前記開口を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体上に重ねられた上蓋部と、を有し、
前記上蓋部に、前記蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、
前記蓋本体に、前記上溝と連結される、前記上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、
前記ケーブルは、前記上溝と前記下溝を通って配置される、
密閉容器。
【請求項2】
前記蓋本体の側面に、前記下溝に通じる側口が形成され、
前記ケーブルは、前記側口をさらに通って配置される、
請求項1に記載の密閉容器。
【請求項3】
前記上溝は、前記上蓋部を深さ方向に貫通する、
請求項1に記載の密閉容器。
【請求項4】
前記上蓋部に、前記ケーブルが前記蓋本体から出る位置を覆う第1の上溝が形成され、
前記蓋本体に、前記第1の上溝と連結される第1の下溝と、前記第1の下溝に通じる第1の側口と、が形成され、
前記蓋本体から出た前記ケーブルは、前記第1の上溝と前記第1の下溝を通って、前記第1の側口から前記蓋ユニットの外部に出る、
請求項1に記載の密閉容器。
【請求項5】
前記蓋本体に、第2の下溝と、前記第2の下溝に通じる第2の側口と、が形成され、
前記上蓋部に、前記第2の下溝と連結される第2の上溝が形成され、
前記第1の側口から前記蓋ユニットの外部に出た前記ケーブルは、前記蓋ユニットの外部から前記第2の側口に入り、前記第2の下溝と前記第2の上溝を通る、
請求項4に記載の密閉容器。
【請求項6】
前記蓋本体に、前記第2の上溝と連結される第3の下溝と、前記第3の下溝に通じる第3の側口と、が形成され、
前記第2の下溝と前記第2の上溝を通る前記ケーブルは、さらに前記第3の下溝を通って、前記第3の側口から前記蓋ユニットの外部に出る、
請求項5に記載の密閉容器。
【請求項7】
前記第1の下溝と前記第2の下溝は、同方向に延伸する、
請求項5に記載の密閉容器。
【請求項8】
前記第2の下溝と前記第3の下溝は、仕切部を挟んで延伸方向に並ぶ、
請求項6に記載の密閉容器。
【請求項9】
前記上蓋部に、前記第1の上溝と前記第2の上溝の間に貫通窓が形成され、
前記蓋本体の前記貫通窓と重なる領域に、前記容器本体の内部気圧を所定以下に維持するための排気弁を有する、
請求項5に記載の密閉容器。
【請求項10】
前記上蓋部に、前記第1の上溝と前記第2の上溝の間に貫通窓が形成され、
前記蓋本体の前記貫通窓と重なる領域に、前記容器本体に収容された機器に接続される電気部品を有する、
請求項5に記載の密閉容器。
【請求項11】
容器本体に形成された開口を塞ぐ蓋ユニットであって、
前記開口を塞ぐ蓋本体と、
前記蓋本体上に重ねられた上蓋部と、
前記容器本体の内部から前記蓋本体及び前記上蓋部を通じて外部に引き出されたケーブルと、
を備え、
前記上蓋部に、前記蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、
前記蓋本体に、前記上溝と連結される、前記上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、
前記ケーブルは、前記上溝と前記下溝とを通って配置される、
蓋ユニット。
【請求項12】
請求項1に記載の密閉容器を備えるブイ。
【請求項13】
請求項1に記載の密閉容器の内部に、
前記ケーブルが接続される二次電池と、
前記二次電池からの電力供給により作動し、前記密閉容器の底部から外部に突出した送受波器を用いて水中探知データを生成する魚群探知機と、
前記二次電池からの電力供給により作動し、前記魚群探知機により生成された水中探知データを外部に送信する無線通信機と、
を備える、水中監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉容器、蓋ユニット、ブイ、及び水中監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池を収容し、内部圧力の上昇時に排気する排気弁を備える密閉容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、密閉容器には、外部に引き出されたケーブルが設けられることがあるが、波のある海上などで使用される場合、ケーブルに過度なストレスが掛かることがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ケーブルを保護することが可能な密閉容器、蓋ユニット、ブイ、及び水中監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の密閉容器は、開口が形成された容器本体と、前記開口を塞ぐ蓋ユニットと、前記容器本体の内部から前記蓋ユニットを通じて外部に引き出されたケーブルと、を備え、前記蓋ユニットは、前記開口を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体上に重ねられた上蓋部と、を有し、前記上蓋部に、前記蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、前記蓋本体に、前記上溝と連結される、前記上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、前記ケーブルは、前記上溝と前記下溝を通って配置される。これによれば、ケーブルを保護することが可能となる。
【0007】
上記態様において、前記蓋本体の側面に、前記下溝に通じる側口が形成され、前記ケーブルは、前記側口をさらに通って配置されてもよい。これによれば、ケーブルを保護することが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記上溝は、前記上蓋部を深さ方向に貫通してもよい。これによれば、上蓋部を薄くすることが可能となる。
【0009】
上記態様において、前記上蓋部に、前記ケーブルが前記蓋本体から出る位置を覆う第1の上溝が形成され、前記蓋本体に、前記第1の上溝と連結される第1の下溝と、前記第1の下溝に通じる第1の側口と、が形成され、前記蓋本体から出た前記ケーブルは、前記第1の上溝と前記第1の下溝を通って、前記第1の側口から前記蓋ユニットの外部に出てもよい。これによれば、蓋本体から出たケーブルが側方に伸びることで、ケーブルに作用する外力を根本側に伝わり難くすることが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記蓋本体に、第2の下溝と、前記第2の下溝に通じる第2の側口と、が形成され、前記上蓋部に、前記第2の下溝と連結される第2の上溝が形成され、前記第1の側口から前記蓋ユニットの外部に出た前記ケーブルは、前記蓋ユニットの外部から前記第2の側口に入り、前記第2の下溝と前記第2の上溝を通ってもよい。これによれば、ケーブルが折り返されることで、ケーブルに作用する外力を根本側に伝わり難くすることが可能となる。
【0011】
上記態様において、前記蓋本体に、前記第2の上溝と連結される第3の下溝と、前記第3の下溝に通じる第3の側口と、が形成され、前記第2の下溝と前記第2の上溝を通る前記ケーブルは、さらに前記第3の下溝を通って、前記第3の側口から前記蓋ユニットの外部に出てもよい。これによれば、ケーブルが山形に折れ曲がることで、ケーブルに作用する外力を根本側に伝わり難くすることが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記第1の下溝と前記第2の下溝は、同方向に延伸してもよい。これによれば、ケーブルが折り返されることで、ケーブルに作用する外力を根本側に伝わり難くすることが可能となる。
【0013】
上記態様において、前記第2の下溝と前記第3の下溝は、仕切部を挟んで延伸方向に並んでもよい。これによれば、ケーブルが山形に折れ曲がることで、ケーブルに作用する外力を根本側に伝わり難くすることが可能となる。
【0014】
上記態様において、前記上蓋部に、前記第1の上溝と前記第2の上溝の間に貫通窓が形成され、前記蓋本体の前記貫通窓と重なる領域に、前記容器本体の内部気圧を所定以下に維持するための排気弁を有してもよい。これによれば、第1及び第2の上溝の間の領域を利用して排気弁を配置することが可能となる。
【0015】
上記態様において、前記上蓋部に、前記第1の上溝と前記第2の上溝の間に貫通窓が形成され、前記蓋本体の前記貫通窓と重なる領域に、前記容器本体に収容された機器に接続される電気部品を有してもよい。これによれば、第1及び第2の上溝の間の領域を利用して電気部品を配置することが可能となる。
【0016】
また、本発明の他の態様の蓋ユニットは、容器本体に形成された開口を塞ぐ蓋ユニットであって、前記開口を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体上に重ねられた上蓋部と、前記容器本体の内部から前記蓋本体及び前記上蓋部を通じて外部に引き出されたケーブルと、を備え、前記上蓋部に、前記蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、前記蓋本体に、前記上溝と連結される、前記上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、前記ケーブルは、前記上溝と前記下溝とを通って配置される。これによれば、ケーブルを保護することが可能となる。
【0017】
また、本発明の他の態様のブイは、上記の密閉容器を備える。これによれば、ケーブルを保護することが可能な密閉容器をブイとして利用することができる。
【0018】
また、本発明の他の態様の水中監視装置は、上記の密閉容器の内部に、前記ケーブルが接続される二次電池と、前記二次電池からの電力供給により作動し、前記密閉容器の底部から外部に突出した送受波器を用いて水中探知データを生成する魚群探知機と、前記二次電池からの電力供給により作動し、前記魚群探知機により生成された水中探知データを外部に送信する無線通信機と、を備える。これによれば、ケーブルを保護することが可能な密閉容器を水中監視装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、密閉容器1の構成例を示す斜視図である。密閉容器1は、上面に開口3aが形成された容器本体2と、開口3aを塞ぐ蓋ユニット4とを備えている。以下、容器本体2に対して蓋ユニット4が配置される方向を上方向とし、その反対を下方向とする。
【0022】
容器本体2は天板3を有しており、天板3の中央に円形の開口3aが形成されている。蓋ユニット4は、開口3aを覆うとともに、開口3aの周縁部31の外面と接触する。
【0023】
密閉容器1は、例えば水上に浮かべるブイとして用いられる。密閉容器1に収容される内容物Cは、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池と、二次電池からの電力供給により作動する電子機器とを含んでいる。
【0024】
密閉容器1は、内容物Cと接続されるケーブル7をさらに備えている。ケーブル7は、例えば二次電池を充電するための充電ケーブルである。ケーブル7の先端部には、プラグ72が設けられている。
【0025】
ケーブル7は、容器本体2の内部から蓋ユニット4を通じて外部に引き出されている。言い換えると、ケーブル7は、容器本体2の外部から蓋ユニット4を通じて内部に引き込まれている。
【0026】
図2は、密閉容器1を利用した水中監視装置100の構成例を示すブロック図である。水中監視装置100は、水上に浮かべられて使用される、水中の状態を監視する装置である。
【0027】
水中監視装置100は、密閉容器1の内部に、二次電池101、魚群探知機102、及び無線通信機103を備えている。これらは、内容物Cの一例である。魚群探知機102に限らず、例えばソナー又は潮流計等の電子機器が収容されてもよい。
【0028】
二次電池101には、ケーブル7が接続されている。例えば水中監視装置100が船上又は陸上に引き上げられている間に、充電設備にケーブル7を接続することで、二次電池101が充電される。
【0029】
二次電池101は、電力供給路107を介して魚群探知機102及び無線通信機103に接続されている。魚群探知機102及び無線通信機103は、二次電池101からの電力供給により作動する。
【0030】
魚群探知機102は、密閉容器1の底部から外部に突出して設けられた送受波器105を有している。魚群探知機102は、送受波器105により水中へ超音波を発射するとともにその反射波を受波し、受信信号に基づいて探知データを生成する。
【0031】
無線通信機103は、例えば無線LANの通信方式により無線通信を行う通信機器である。無線通信機103は、魚群探知機102により生成された探知データを例えば船上又は陸上のサーバへ送信する。
【0032】
図3ないし
図5は、蓋ユニット4の構成例を示す斜視図、平面図、及び正面図である。以下の説明では、図中のX1を前方向とし、X2を後方向とし、Y1を右方向とし、Y2を左方向とし、Z1を上方向とし、Z2を下方向とする。
【0033】
図6ないし
図10は、ケーブル7の図示を省略した蓋ユニット4の構成例を示す平面図、正面図、左側面図、右側面図、及び背面図である。
図11は、
図6のXI-XI線で切断したときの断面図である。
【0034】
図12及び
図13は、蓋本体5の構成例を示す平面図及び裏面図である。
図14は、上蓋部6の構成例を示す平面図である。
図15ないし
図17は、蓋ユニット4の断面の要部を拡大した図である。
【0035】
蓋ユニット4は、上下方向を板厚方向とする円板状に形成されており、開口3aを塞ぐ蓋本体5と、蓋本体5上に重ねられた上蓋部6とを有している。
【0036】
蓋ユニット4は、密閉容器1の開口3aに対応する円形の中央領域45と、中央領域45を囲む環状の周縁領域47とを有している(
図4、
図5及び
図13参照)。周縁領域47の裏面は、開口3aの周縁部31の外面と対向する対向面57となる。
【0037】
中央領域45の裏面には、対向面57よりも下方に突出し、開口3aに挿入される挿入部59が設けられている。挿入部59は、開口3aの内縁の半周以上に対応する外周面を有しており(
図13参照)、蓋ユニット4の位置決めに利用される。
【0038】
蓋ユニット4は、中央領域45に、密閉容器1の内部気圧を所定以下に維持するための排気弁8を有している。具体的には、上蓋部6の中央部に上下方向に貫通する貫通窓65が形成され、蓋本体5の貫通窓65内に露出する領域に排気弁8が配置されている。
【0039】
上蓋部6には、ケーブル7を配置するための2つの上溝61,62が形成されており、貫通窓65は、2つの上溝61,62の間に位置している。貫通窓65及び上溝61,62は、実質的に同方向に、すなわち主に左右方向に伸びている。
【0040】
排気弁8は、蓋本体5を上下方向に貫通する排気穴8aに収容された軸部81、軸部81の上端部に設けられた弁蓋82、軸部81の下端部に設けられたストッパ83、及び軸部81の周りに配置されたコイルバネ84を有している(
図11参照)。
【0041】
コイルバネ84は、排気穴8aの上端部に設けられた段部56と、ストッパ83との間に配置されている。密閉容器1の内部気圧が高まると、コイルバネ84の弾性力に抗しつつ弁蓋82が押し上げられて、気体が外部に放出される。
【0042】
また、排気弁8には、外部からの操作に応じて弁蓋82を引き上げる開放レバー95が設けられている。開放レバー95は、やや谷形に折れ曲がっており、中央の谷部を留める支点部材97によって、左右両端が交互に上下動するように支持されている。
【0043】
開放レバー95の右部分は弁蓋82と係合しており、左部分には力点部材99が設けられている。開放レバー95の左部分を押し下げ、力点部材99の頭部と開放レバー95の間に治具を挟むことで、弁蓋82は引き上げられた状態で維持される。
【0044】
蓋ユニット4は、中央領域45に、密閉容器1に収容された電子機器に接続される押しボタン型のスイッチ9をさらに有している。具体的には、蓋本体5の貫通窓65内に露出する領域にスイッチ9が配置されている。
【0045】
スイッチ9は、例えば密閉容器1に収容された電子機器を起動又はリセットするための電源スイッチである。スイッチ9に限らず、例えば密閉容器1に収容された電子機器の状態を表すインジケータ等の電気部品が配置されてもよい。
【0046】
開口3aの周縁部31の外面と対向する蓋ユニット4の対向面57は、非接触部571と、非接触部571よりも下方に突出した複数の台座部572とを有している(
図13参照)。台座部572は、円周上に配列している。
【0047】
台座部572は、開口3aの周縁部31の外面と接触する。台座部572が周縁部31の外面と接触することで、非接触部571と周縁部31の外面の間に隙間G1,G2が形成される(
図15及び
図16参照)。
【0048】
蓋ユニット4は、台座部572が開口3aの周縁部31の外面と接触する領域で、天板3にネジ留めされる。蓋本体5には、台座部572の位置にネジ穴54が形成されている(
図13参照)。蓋ユニット4は、天板3側からネジ穴54に通されるネジによって、周縁部31の外面に固定される。
【0049】
蓋本体5の上面には、ネジ穴58が形成されており(
図12参照)、上蓋部6にも、蓋本体5のネジ穴58に対応する位置に上下方向に貫通するネジ穴68が形成されている(
図14参照)。上蓋部6は、ネジ穴58,68に通されるネジによって、蓋本体5に固定される。
【0050】
なお、蓋本体5の下面に形成されたネジ穴54と、蓋本体5の上面に形成されたネジ穴58とは、互いに異なる位置にあって連通していない。これにより、密閉性を確保している。
【0051】
蓋ユニット4の対向面57には、開口3aを囲む環状の溝40が形成されている(
図11及び
図13参照)。溝40は、台座部572よりも開口3aから離れた位置、すなわち台座部572に対して外周方向(半径方向の外側)に形成されている。
【0052】
溝40には、ゴム製のOリング21が伸長状態で装着されている。溝40及びOリング21は、密閉容器1の内部気圧が急激に高まるときに外部に気体を放出するための安全弁として機能する。
【0053】
ところで、蓋ユニット4には排気弁8が設置されているが、排気穴8aが小径であることやコイルバネ84の応答性が高くないことから、排気弁8では内部気圧の急激な高まりを十分かつ迅速に抑制できないおそれがある。
【0054】
そこで、本実施形態では、蓋ユニット4の対向面57に溝40とOリング21を設けて安全弁を構成することで、内部気圧が急激に高まるときに十分な量の気体が迅速に放出されるようにしている。
【0055】
以下、溝40及びOリング21による安全弁の詳細について説明する。
【0056】
図15ないし
図17に示すように、溝40は、開口3aに近い側(内周側)にある第1の部分41と、開口3aから遠い側(外周側)にある、第1の部分41よりも深い第2の部分42とを含んでいる。
【0057】
開口3aの周縁部31と蓋ユニット4の対向面57の間には、密閉容器1の内部から第1の部分41に通じる第1の隙間G1と、第2の部分42から密閉容器1の外部に通じる第2の隙間G2とが形成されている。
【0058】
第1の部分41は、底面416と、内周側の側面417とを有している。第2の部分42は、底面426と、外周側の側面427とを有している。また、底面416と底面426の間には、傾斜面436が形成されている。
【0059】
第1の部分41の底面416は、下方向を向いて、開口3aの周縁部31の外面と対向する。詳しくは、底面416は、周縁部31の外面又はこれと対向する対向面57と実質的に平行に形成されている。
【0060】
第1の部分41の側面417は、外周方向(半径方向の外側)を向いて、Oリング21の内周面と対向する。詳しくは、側面417は、周縁部31の外面、対向面57、又は底面416と実質的に垂直に形成されている。
【0061】
第2の部分42の底面426も、下方向を向いて、開口3aの周縁部31の外面と対向する。詳しくは、底面426は、周縁部31の外面又はこれと対向する対向面57と実質的に平行に形成されている。
【0062】
第2の部分42の側面427は、内周方向(半径方向の内側)を向いて、Oリング21の外周面と対向する。詳しくは、側面427は、周縁部31の外面、対向面57、又は底面426と実質的に垂直に形成されている。
【0063】
図15に示すように、伸長状態で溝40に装着されたOリング21は、弾性力(復元力)により内周方向へ収縮するため、第1の部分41に保持されて第1の隙間G1を塞ぐ。これにより、密閉容器1は密閉され、液体又は気体の侵入又は漏出が防止される。
【0064】
このとき、Oリング21は、第1の部分41の側面417及び底面416、並びに周縁部31の外面に接触した状態で、第1の部分41に保持される。すなわち、Oリング21は、側面417に押し当てられるとともに、底面416と周縁部31の外面に挟まれる。
【0065】
対向面57の台座部572から第1の部分41の底面416までの深さD1、すなわち周縁部31の外面と底面416の間隔は、Oリング21を押しつぶすことが可能な大きさとされる。具体的には、深さD1を、Oリング21の線径の公差における最小寸法よりも小さくすることが好ましい。
【0066】
図16に示すように、密閉容器1の内部気圧が急激に高まると、Oリング21は、第1の隙間G1を通じて伝わる気圧によって第1の部分41から第2の部分42に移動し、その結果、周縁部31の外面とOリング21の間に隙間が生じる。
【0067】
周縁部31の外面とOリング21の間に隙間が生じることで、第1の隙間G1と第2の隙間G2が溝40を介して連通し、密閉容器1の内部から外部へ気体が放出される。これにより、密閉容器1の内部気圧の急激な高まりが抑制される。
【0068】
Oリング21は、第2の部分42に移動するとき、第2の部分42の側面427及び底面426に接触した状態で、第2の部分42に保持される。このため、周縁部31の外面とOリング21の間の隙間を決まった大きさにすることができる。
【0069】
対向面57の台座部572から第2の部分42の底面426までの深さD2、すなわち周縁部31の外面と底面426の間隔は、周縁部31の外面とOリング21の間に隙間を形成することが可能な大きさとされる。具体的には、深さD2を、Oリング21の線径の公差における最大寸法よりも大きくすることが好ましい。
【0070】
さらには、Oリング21が非接触部571よりも下方にはみ出して、溝40から第2の隙間G2への気体の流れを阻害しないように、非接触部571から第2の部分42の底面426までの深さを、Oリング21の線径の公差における最大寸法よりも大きくすることが好ましい。
【0071】
以下、ケーブル7の配置の詳細について説明する。
【0072】
図12及び
図13に示すように、蓋本体5は、中央領域45に、ケーブル7を通すための貫通穴50を有している。貫通穴50は、挿入部59を上下方向に貫通する。ケーブル7は、挿入部59の下面側に設けられたクランプ79により固定される。
【0073】
蓋本体5の上面には、上蓋部6に向けて上方向に開いた下溝51,52,53が形成されている。蓋本体5の側面には、下溝51,52,53に通じる側口5a,5b,5cが形成されている。
【0074】
図14に示すように、上蓋部6の下面には、蓋本体5に向けて下方向に開いた上溝61,62が形成されている。上溝61,62は、上方向にも開いており、上下方向に貫通している。上下方向は、上溝61,62の深さ方向である。
【0075】
下溝51,52,53と上溝61,62は互いに連結され、ケーブル7を配置するための通路を形成する。下溝51,52,53と上溝61,62が互いに連結されるとは、上下方向に重複する部分があることをいう。
【0076】
図4、
図5、
図12及び
図14に示すように、上蓋部6には、ケーブル7が蓋本体5から出る貫通穴50と重なる第1の上溝61が形成されている。蓋本体5には、第1上溝61と連結される第1の下溝51と、第1の下溝51に通じる第1の側口5aとが形成されている。貫通穴50から出たケーブル7は、第1の上溝61と第1の下溝51を順に通って、第1の側口5aから蓋ユニット4の外部に出る。
【0077】
第1の上溝61は主に左右方向に伸び、右端部が貫通穴50を覆い、左端部が第1の下溝51と連結されている。第1の下溝51は左右方向に伸び、右端部が第1の上溝61と連結され、左端部が第1の側口5aとして左方向に開いている。
【0078】
さらに、蓋本体5には、第2の下溝52と、第2の下溝52に通じる第2の側口5bとが形成されている。上蓋部6には、第2の下溝52と連結される第2の上溝62が形成されている。第1の側口5aから蓋ユニット4の外部に出たケーブル7は、蓋ユニット4の外部から第2の側口5bに入り、第2の下溝52と第2の上溝62を順に通る。
【0079】
第2の下溝52は左右方向に伸び、左端部が第2の側口5bとして左方向に開き、右部分が第2の上溝62と連結されている。第2の上溝62も左右方向に伸び、左部分が第2の下溝52と連結されている。
【0080】
第1の下溝51と第2の下溝52は、同じ左右方向に伸びており、第1の側口5aと第2の側口5bは、同じ左方向に開いている。このため、第1の側口5aから出て第2の側口5bに入るケーブル7は、U字状に折り返される。
【0081】
また、第1の下溝51と第2の下溝52は、第1の側口5aと第2の側口5bに向かうに従って前後方向の中央に向かって傾斜したラウンド状の側壁512,521を有しており、これにより、ケーブル7をU字状に折り返し易くなっている。
【0082】
さらに、蓋本体5には、第2の上溝62と連結される第3の下溝53と、第3の下溝53に通じる第3の側口5cとが形成されている。第2の下溝52と第2の上溝62を通るケーブルは、さらに第3の下溝53を通って、第3の側口5cから蓋ユニット4の外部に出る。
【0083】
第2の上溝62は左右方向に伸び、右部分が第3の下溝53と連結されている。第3の下溝53も左右方向に伸び、左部分が第2の上溝62と連結され、右端部が第3の側口5cとして右方向に開いている。
【0084】
第2の下溝52と第3の下溝53は、仕切部55を挟んで延伸方向に並んでいる。すなわち、左右方向に伸びる第2の下溝52と第3の下溝53は、仕切部55を挟んで左右方向に並んでいる。
【0085】
第2の下溝52、第2の上溝62、及び第3の下溝53を通るケーブル7は、第2の下溝52と第3の下溝53の間の仕切部55を超えるように、やや山形に折れ曲がった状態で配置される。
【0086】
以上に説明した構成によると、蓋本体5の貫通穴50から出たケーブル7が、上方向ではなく、第1の上溝61及び第1の下溝51を通って側方に伸びるので、ケーブル7の貫通穴50に近い根本部分に外力が加わり難くすることができる。
【0087】
特に、ケーブル7が蓋ユニット4から上方向に出ていないため、密閉容器1を水上に浮かべてブイとして使用する場合に、密閉容器1上を船舶等が通過しても、ケーブル7の損傷を防止することができる。
【0088】
また、上溝61,62及び下溝51,52,53によってケーブル7が全体としてU字状に折り返された状態で保持されるので、ケーブル7の先端部分に引っ張り又は押し込みの外力が加わっても、外力をケーブル7の根本側に伝わり難くすることができる。
【0089】
また、第2の下溝52と第3の下溝53の間の仕切部55によってケーブル7がやや山形に折れ曲がった状態で保持されるので、ケーブル7の先端部分に引っ張り又は押し込みの外力が加わっても、外力をケーブル7の根本側に伝わり難くすることができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【0091】
以下、本発明の代表的な実施形態を列挙する。
【0092】
(1)
開口が形成された容器本体と、
前記開口を塞ぐ蓋ユニットと、
前記容器本体の内部から前記蓋ユニットを通じて外部に引き出されたケーブルと、
を備え、
前記蓋ユニットは、前記開口を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体上に重ねられた上蓋部と、を有し、
前記上蓋部に、前記蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、
前記蓋本体に、前記上溝と連結される、前記上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、
前記ケーブルは、前記上溝と前記下溝を通って配置される、
密閉容器。
【0093】
(2)
前記蓋本体の側面に、前記下溝に通じる側口が形成され、
前記ケーブルは、前記側口をさらに通って配置される、
(1)に記載の密閉容器。
【0094】
(3)
前記上溝は、前記上蓋部を深さ方向に貫通する、
(1)または(2)に記載の密閉容器。
【0095】
(4)
前記上蓋部に、前記ケーブルが前記蓋本体から出る位置を覆う第1の上溝が形成され、
前記蓋本体に、前記第1の上溝と連結される第1の下溝と、前記第1の下溝に通じる第1の側口と、が形成され、
前記蓋本体から出た前記ケーブルは、前記第1の上溝と前記第1の下溝を通って、前記第1の側口から前記蓋ユニットの外部に出る、
(1)ないし(3)の何れかに記載の密閉容器。
【0096】
(5)
前記蓋本体に、第2の下溝と、前記第2の下溝に通じる第2の側口と、が形成され、
前記上蓋部に、前記第2の下溝と連結される第2の上溝が形成され、
前記第1の側口から前記蓋ユニットの外部に出た前記ケーブルは、前記蓋ユニットの外部から前記第2の側口に入り、前記第2の下溝と前記第2の上溝を通る、
(4)に記載の密閉容器。
【0097】
(6)
前記蓋本体に、前記第2の上溝と連結される第3の下溝と、前記第3の下溝に通じる第3の側口と、が形成され、
前記第2の下溝と前記第2の上溝を通る前記ケーブルは、さらに前記第3の下溝を通って、前記第3の側口から前記蓋ユニットの外部に出る、
(5)に記載の密閉容器。
【0098】
(7)
前記第1の下溝と前記第2の下溝は、同方向に延伸する、
(5)または(6)に記載の密閉容器。
【0099】
(8)
前記第2の下溝と前記第3の下溝は、仕切部を挟んで延伸方向に並ぶ、
(6)に記載の密閉容器。
【0100】
(9)
前記上蓋部に、前記第1の上溝と前記第2の上溝の間に貫通窓が形成され、
前記蓋本体の前記貫通窓と重なる領域に、前記容器本体の内部気圧を所定以下に維持するための排気弁を有する、
(5)ないし(8)の何れかに記載の密閉容器。
【0101】
(10)
前記上蓋部に、前記第1の上溝と前記第2の上溝の間に貫通窓が形成され、
前記蓋本体の前記貫通窓と重なる領域に、前記容器本体に収容された機器に接続される電気部品を有する、
(5)ないし(9)の何れかに記載の密閉容器。
【0102】
(11)
容器本体に形成された開口を塞ぐ蓋ユニットであって、
前記開口を塞ぐ蓋本体と、
前記蓋本体上に重ねられた上蓋部と、
前記容器本体の内部から前記蓋本体及び前記上蓋部を通じて外部に引き出されたケーブルと、
を備え、
前記上蓋部に、前記蓋本体に向けて開いた上溝が形成され、
前記蓋本体に、前記上溝と連結される、前記上蓋部に向けて開いた下溝が形成され、
前記ケーブルは、前記上溝と前記下溝とを通って配置される、
蓋ユニット。
【0103】
(12)
(1)に記載の密閉容器を備えるブイ。
【0104】
(13)
(1)に記載の密閉容器の内部に、
前記ケーブルが接続される二次電池と、
前記二次電池からの電力供給により作動し、前記密閉容器の底部から外部に突出した送受波器を用いて水中探知データを生成する魚群探知機と、
前記二次電池からの電力供給により作動し、前記魚群探知機により生成された水中探知データを外部に送信する無線通信機と、
を備える、水中監視装置。
【符号の説明】
【0105】
1 密閉容器、2 容器本体、3 天板、31 周縁部、3a 開口、4 蓋ユニット、40 溝、41 第1の部分、416 底面、417 側面、42 第2の部分、426 底面、427 側面、436 傾斜面、21 Oリング、45 中央領域、47 周縁領域、5 蓋本体、50 貫通穴、51 第1の下溝、52 第2の下溝、53 第3の下溝、54 ネジ穴、55 仕切部、56 段部、57 対向面、571 非接触部、572 台座部、58 ネジ穴、59 挿入部、5a 第1の側口、5b 第2の側口、5c 第3の側口、6 上蓋部、61 第1の上溝、62 第2の上溝、65 貫通窓、68 ネジ穴、7 ケーブル、72 プラグ、79 クランプ、8 排気弁、81 軸部、82 弁蓋、83 ストッパ、84 コイルバネ、8a 排気穴、9 スイッチ、95 開放レバー、97 支点部材、99 力点部材、9a スイッチ穴、100 水中監視装置、101 二次電池、102 魚群探知機、103 無線通信機、105 送受波器、107 電力供給路、C 内容物、G1 第1の隙間、G2 第2の隙間