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特開2024-60748インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する経口組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060748
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する経口組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240425BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20240425BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168223
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】514090658
【氏名又は名称】プレミアアンチエイジング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391007356
【氏名又は名称】備前化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 憲司
(72)【発明者】
【氏名】若松 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】丸 勇史
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE02
4B018MD25
4B018MD32
4B018MD45
4B018MD61
4B018ME10
4B018MF02
4B018MF08
4B035LC06
4B035LE01
4B035LG12
4B035LG16
4B035LG37
4B035LP21
4B035LP36
(57)【要約】
【課題】インドキノキ抽出物とビタミンCとを別々に摂取する従来品に比して、より効率的にアンチエイジング効果が得られる経口組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有することを特徴とする、経口組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有することを特徴とする、経口組成物。
【請求項2】
前記インドキノキ抽出物は、ヒドロキシスチルベン化合物を含有する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記インドキノキ抽出物は、レスベラトロール及び/又はプテロスチルベンを含有する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記インドキノキ抽出物と前記リポソーム包埋型ビタミンCとが増粘多糖類により結合した顆粒状の形態である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項5】
前記増粘多糖類がヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含有する、請求項4に記載の顆粒状の経口組成物。
【請求項6】
更に二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミルクカルシウム、海藻カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種を含有する、請求項4に記載の顆粒状の経口組成物。
【請求項7】
Carrの流動性指数表における安息角が40°以下である、請求項6に記載の顆粒状の経口組成物。
【請求項8】
室温下で300mlビーカーに100mlの水(24℃)を入れ、長さ38mm、直径6mmの磁性回転子により750rpmで撹拌している状況下、前記顆粒状の経口組成物を2.3g投入した際に目視観察により30秒以内に完全分散する、請求項6に記載の顆粒状の経口組成物。
【請求項9】
アンチエイジング用である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項10】
請求項6に記載の顆粒状の経口組成物がスティック包装されたスティック包装体。
【請求項11】
インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する原料混合物を増粘多糖類を用いて造粒することにより造粒物を得た後、前記造粒物に更に二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミルクカルシウム、海藻カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種を混合することにより顆粒状に形成する工程を有することを特徴とする、顆粒状の経口組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する経口組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インドキノキはインドからスリランカに生育する常緑樹であり、従前より健康維持及び老化防止に効果があるとされている。近年では、インドキノキにはレスベラトロール、カテキン等のポリフェノールが豊富に含まれることが分かっており、これらをはじめとするインドキノキ抽出物を含有する栄養補助食品が上市されている。これに関連し、特許文献1には、インドキノキ抽出物を含有する錠剤の飲用性を高めたフィルムコーティング錠の発明が開示されている。
【0003】
他方、レスベラトロールと同様に抗酸化作用を有する成分としてビタミンC(アスコルビン酸及びその誘導体)が知られているが、それ自体では不安定であり人体への吸収性が持続的ではないため、リポソームに包埋することにより安定性や人体への持続的な吸収性を高める工夫がなされている。これに関連し、特許文献2には、リポソーム化されたアスコルビン酸及び/又はその塩を成分の一つとして含有するビタミンC補給用組成物が開示されている(要約、請求項6等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-88921号公報
【特許文献2】特開2022-63034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、インドキノキ抽出物とビタミンCとを別々に摂取する従来品に比して、より効率的にアンチエイジング効果が得られる経口組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを同時に含有する経口組成物とすることにより上記目的を達成するとともに、特定の工程を有する製造方法により顆粒状の経口組成物を調製することにより、好適な実施形態において、流動性及び水への分散性が良好な、飲用性に優れた経口組成物が得られることを見出し、更に改良を重ねて本発明を完成するに至った。
【0007】
つまり、本発明は、下記のインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する経口組成物及びその製造方法に関する。
1.インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有することを特徴とする、経口組成物。
2.前記インドキノキ抽出物は、ヒドロキシスチルベン化合物を含有する、上記項1に記載の経口組成物。
3.前記インドキノキ抽出物は、レスベラトロール及び/又はプテロスチルベンを含有する、上記項1に記載の経口組成物。
4.前記インドキノキ抽出物と前記リポソーム包埋型ビタミンCとが増粘多糖類により結合した顆粒状の形態である、上記項1に記載の経口組成物。
5.前記増粘多糖類がヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含有する、上記項4に記載の顆粒状の経口組成物。
6.更に二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミルクカルシウム、海藻カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種を含有する、上記項4に記載の顆粒状の経口組成物。
7.Carrの流動性指数表における安息角が40°以下である、上記項6に記載の顆粒状の経口組成物。
8.室温下で300mlビーカーに100mlの水(24℃)を入れ、長さ38mm、直径6mmの磁性回転子により750rpmで撹拌している状況下、前記顆粒状の経口組成物を2.3g投入した際に目視観察により30秒以内に完全分散する、上記項6に記載の顆粒状の経口組成物。
9.アンチエイジング用である、上記項1に記載の経口組成物。
10.上記項6に記載の顆粒状の経口組成物がスティック包装されたスティック包装体。
11.インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する原料混合物を増粘多糖類を用いて造粒することにより造粒物を得た後、前記造粒物に更に二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミルクカルシウム、海藻カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種を混合することにより顆粒状に形成する工程を有することを特徴とする、顆粒状の経口組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを同時に含有する経口組成物とすることにより、従来品に比してより効率的にアンチエイジング効果が得られる経口組成物を提供することができる。このような本発明の経口組成物は、アンチエイジング用の栄養補助食品として有用である。
【0009】
また、本発明の製造方法により顆粒状の経口組成物を調製することにより、好適な実施形態において、流動性及び水への分散性が良好な、飲用性に優れた顆粒状の経口組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する経口組成物及びその製造方法を説明する。
【0011】
1.経口組成物
本発明の経口組成物は、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを同時に含有する。同時に含有する態様としては、各成分の粉末を混合した混合粉末の形態であってもよく、各成分を配合した顆粒状であってもよい。いずれの形態であっても両成分を同時に含有する経口組成物とすることにより、従来品に比してより効率的にアンチエイジング効果が得られる経口組成物を提供することができる。このような本発明の経口組成物は、アンチエイジング用の栄養補助食品として有用である。
【0012】
また、詳細は後述するが、本発明の製造方法により顆粒状の経口組成物を調製することにより、好適な実施形態において、流動性及び水への分散性が良好な、飲用性に優れた経口組成物を提供することができる。
【0013】
(インドキノキ抽出物)
本発明におけるインドキノキ抽出物は、好ましくはヒドロキシスチルベン化合物を含有する。ヒドロキシスチルベン化合物は、スチルベン骨格を有する化合物において、芳香環上の一つ以上の水素がヒドロキシ基に置換された化合物である。
【0014】
上記ヒドロキシスチルベン化合物としては、例えば下記式(1)で示されるレスベラトロール及び/又は下記式(2)で示されるプテロスチルベンが挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
上記式(1)、(2)から明らかな通り、プテロスチルベンはレスベラトロールの芳香環に結合しているヒドロキシ基の一部がメチル化された化合物であり、メチル化レスベラトロールと称することもできる。レスベラトロール及びプテロスチルベンはいずれも強力な抗酸化物質として知られているが、特にプテロスチルベンはレスベラトロールと比較して人体における経皮吸収率が6倍程度あることが報告されており、本発明においては、インドキノキ抽出物として、レスベラトロール及びプテロスチルベンの中でもプテロスチルベンを用いることが好ましい。これらは強力な抗酸化作用を有することにより、紫外線の刺激による皮膚における活性酸素の発生を抑制することができ、それにより皮膚におけるチロシナーゼの活性化、チロシンからメラニンの生合成、及びメラニンの濃化を抑制することができる点でシミ沈着を抑制する効果(美容効果)を奏する。これは、本発明の経口組成物が奏するアンチエイジング効果の一つである。
【0018】
インドキノキ抽出物としては、例えばレスベラトロール及び/又はプテロスチルベンの粉末を用いることができる。これらの粉末は市販品を用いることができ、例えばプテロスチルベンを主成分とする粉末としては、商品名「シルビノール」(株式会社サビンサジャパンコーポレーション社製)などを用いることができる。これらの粉末の平均粒径は限定的ではないが、10~500μm程度が好ましい。
【0019】
(リポソーム包埋型ビタミンC)
本発明におけるリポソーム包埋型ビタミンCは、リン脂質二重層により形成されている超微細な球状のカプセル内にビタミンCが包埋されている。効能物質であるビタミンCがリポソームのカプセル内に包埋されていることにより、ビタミンC自体の安定性の低さを補完するとともに体内で消化液の影響や酸化から保護することができるだけでなく、小腸からは継続的にビタミンCの吸収が可能である。
【0020】
なお、本明細書における「ビタミンC」は、通常当業者に理解される意味であって、具体的にはアスコルビン酸又はその塩を含む意味である。アスコルビン酸は生理活性の高いことが知られるL体であってもよく、それを含むDL混合体であってもよい。アスコルビン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
【0021】
リポソームは脂質小胞体であり、一般にリン脂質を主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成される。また、リポソームはリン脂質二重層の数に基づいて分類でき、多重膜リポソーム又は一枚膜リポソームに分類される。ビタミンCは水溶性であるため、リン脂質二重層の内水層に包埋される。リポソームの大きさ(リポソーム包埋型ビタミンCの大きさと同義)は限定的ではないが、懸濁液中で分散(乳化)している状態の直径は50nm~150nm程度であり、後述する乾燥物(粉末)の状態の直径は100μm~500μm程度である。
【0022】
ビタミンCを包埋したリポソームは、例えばリン脂質(レシチン)及び必要に応じてステロールを、アルコールなどの有機溶媒で溶解し、減圧下に溶媒を除去し、膜脂質を形成後にビタミンC溶液を添加し、次いで撹拌することにより調製することができる。
【0023】
レシチンとしては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、ナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチン等が挙げられる。レシチンはホスファチジルコリン又は1,2-ジアシルグリセロール-3-ホスホコリンとも称され、一般的に、グリセロールの1位及び2位に脂肪酸(飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸)が結合していることが特徴である。
【0024】
ステロールとしては、例えば、コレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール等の動物由来のステロール;例えば、β-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、エルゴスタディエノール、シトステロール、ブラシカステロール等の植物由来のステロール(フィトステロール);例えば、チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロール等が挙げられる。
【0025】
リポソーム包埋型ビタミンCの懸濁液は、凍結乾燥することにより乾燥物(粉末)として使用することもできる。本発明では、リポソーム包埋型ビタミンCは粉末の状態で用いることが好ましく、粉末状のリポソーム包埋型ビタミンCにおける包埋ビタミンCの含有量は限定的ではないが、10~99重量%程度である。
【0026】
リポソーム包埋型ビタミンCは、市販品を用いることができる。例えば、商品名「Liposomal Pureway-C Fine Powder」(One Innovation Labs社製)、商品名「VitaminC Zeal」(Aurea Biolabs社製)、商品名「Lypo-C[リポカプセル]ビタミンC」(スピック社製)等を用いることができる。
【0027】
(任意の添加剤)
本発明の経口組成物は、上記インドキノキ抽出物及びリポソーム包埋型ビタミンC以外の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有してもよい。他の成分としては限定的ではないが、経口組成物の飲食性や味覚を調整するための公知の食品添加物、食品衛生学上許容される他の添加物が挙げられる。具体的には、タンパク質、糖類、ビタミン類、ミネラル類、甘味料、香料、着色料等が挙げられる。これらの任意の添加剤の含有量は本発明の効果を損なわない範囲で最終製品の所望特性に応じて適宜設定できる。
【0028】
上記タンパク質としては、例えば、大豆ホエイ、乳ホエイ、ゼラチン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0029】
上記糖類としては、例えば、デンプン、デキストリン、単糖、ブドウ糖、果糖、結晶セルロース、ガム類等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0030】
上記ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0031】
上記ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなどが挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0032】
甘味料としては、例えば、マルチトール、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0033】
上記香料としては、例えば、レモン、オレンジ、ピーチ、バニラ等の天然香料や合成香料などが挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0034】
上記着色料としては、例えば、フラボノイド色素、アントシアニン色素、βカロチン、カロチノイド色素、トウガラシ色素、アナトー色素、アカネ色素、オレンジ色素、カカオ色素、クチナシ色素、クロロフィル、シコン色素、エリスロシン、タートラジン、タマネギ色素、トマト色素、マリーゴールド色素、ルテイン、カラメル色素、銅クロロフィル、ブドウ果皮色素、リボフラビン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上で使用できる。
【0035】
(経口組成物の組成及び性状)
本発明の経口組成物は、前述の通り各成分の粉末(インドキノキ抽出物、リポソーム包埋型ビタミンC、及び任意の添加物)を混合した混合粉末の形態であってもよく、各成分を配合した顆粒状であってもよい。なお、インドキノキ抽出物の一日の好ましい摂取量はヒドロキシスチルベン化合物の含有量で100~200mg/日であり、経口組成物ではインドキノキ抽出物(ヒドロキシスチルベン化合物換算)100質量部に対してリポソーム包埋型ビタミンC(乾燥粉末換算)の含有量は1、500~150,000質量部が好ましく、5,000~50,000がより好ましい。
【0036】
なお、本発明の経口組成物は、各成分の混合粉末の形態よりも、各成分を配合した顆粒状である方が好ましい。顆粒状の場合にはインドキノキ抽出物に対するリポソーム包埋型ビタミンCの含有量が均一である点で所望量の経口組成物の摂取によるアンチエイジング効果が効率的に得られ易い。
【0037】
本発明の経口組成物が各成分を配合した顆粒状である場合には、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとが増粘多糖類により結合した顆粒であることが好ましい。結合剤としての増粘多糖類は限定的ではないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、グァーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの増粘多糖類は単独又は2種以上を混合して使用できる。本発明の経口組成物は、これらの増粘多糖類を結合剤とする顆粒であることにより、結合剤を用いない場合に比して各成分の凝集(保存時及び水分散時でのいわゆる「ダマ」の形成)が抑制されており、経口組成物を水に分散した際の分散性を向上することができる。結合剤の含有量は限定的ではないが、顆粒の水への分散性を考慮してインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCの合計量100質量部に対して0.1~10質量部程度であることが好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。
【0038】
また、顆粒には更に賦形剤が含まれていてもよい。賦形剤としては、例えば、マルチトール、ラクトース、乳糖水和物、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン、シクロデキストリン、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの賦形剤は単独又は2種以上で使用できる。賦形剤の含有量は限定的ではないが、増粘多糖類と同様に顆粒の水への分散性を考慮してインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCの合計量100質量部に対して1~90質量部程度であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。
【0039】
また、顆粒には造粒物の流動性を高めるために流動化剤が含まれていてもよい。流動化剤としては、例えば、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミルクカルシウム、海藻カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げられる。これらの流動化剤は単独又は2種以上を混合して使用できる。流動化剤の含有量は限定的ではないが、顆粒の流動性並びに水への分散性を考慮してインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCの合計量100質量部に対して0.5~50質量部程度であることが好ましく、1.0~15質量部がより好ましい。
【0040】
顆粒の製造方法の項目で後述するが、これらの流動化剤は、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する原料混合物を増粘多糖類を用いて造粒することにより造粒物を得た後、前記造粒物に更に流動化剤を混合することにより顆粒状に形成する工程に用いられる。なお、経口組成物の飲食性や風味を向上するための任意の添加剤はこの流動化剤とともに配合されることが好ましい。
【0041】
顆粒状の経口組成物の流動性については、流動化剤を含むことにより、Carrの流動性指数表における顆粒の安息角が40°以下であることが好ましい。より詳細には、安息角が40°以下であり、且つCarrの流動性指数表における顆粒の圧縮度が20%以下であれば、流動性指数は70以上(流動性の程度は普通を超えて「かなり良好」、80以上であれば「良好」、90以上であれば「最も良好」)となり、顆粒の保存時における凝集を抑制できるとともに水への分散性を良好とすることができる。また、顆粒の凝集を抑制できる点で、流動性の良好な顆粒はスティック包装されてスティック包装体として提供することが容易となるとともに、顆粒の経口摂取も容易となる。
【0042】
顆粒状の経口組成物の水への分散性については、室温下で300mlビーカーに100mlの水(24℃)を入れ、長さ38mm、直径6mmの磁性回転子により750rpmで撹拌している状況下、顆粒状の経口組成物を2.3g投入した際に目視観察により30秒以内に完全分散することが好ましい。なお、投入後に顆粒状の経口組成物が解れて増粘多糖類により結合していた各成分が水中に均一分散したことが目視観察により確認できた状態を完全分散と判断する。かかる分散性であれば、水と共に又は予め水に分散して顆粒を飲用する際の飲食性を良好とすることができる。
【0043】
顆粒状の経口組成物が上記の優れた分散性及び流動性を有するためには、顆粒の好適な配合として、増粘多糖類(結合剤)がヒドロキシプロピルセルロース(HPC)であり、賦形剤がマルチトールであり、流動化剤が二酸化ケイ素、リン酸カルシウム及びステアリン酸カルシウムの少なくとも一種であることが好ましい。また、HPCの含有量はインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCの合計量100質量部に対して1.0~2.0質量部が好ましく、マルチトールの含有量はインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCの合計量100質量部に対して10~20質量部が好ましく、流動化剤(合計量)の含有量はインドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCの合計量100質量部に対して2~10質量部が好ましい。
【0044】
2.経口組成物の製造方法
本発明の経口組成物の製造方法は、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを同時に含有する経口組成物が得られる方法であれば特に限定されず、例えば各成分の粉末を混合する混合粉末の製造方法であってもよく、各成分を配合した顆粒の製造方法であってもよい。以下では、流動性並びに水への分散性が良好な、顆粒の経口組成物の製造方法(「本発明の製造方法」と称する)について説明する。
【0045】
本発明の製造方法は、インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとを含有する原料混合物を増粘多糖類(結合剤)を用いて造粒することにより造粒物を得た後、前記造粒物に更に二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミルクカルシウム、海藻カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種(流動化剤)を混合することにより顆粒状に形成する工程を有することを特徴とする。なお、各成分及び好ましい配合については、経口組成物の項目で詳述した内容と同じである。
【0046】
本発明の製造方法では、公知の造粒装置を用いることができる。例えば、造粒方法には倍散剤と共に混合した後に圧力で粒子同士を結着させる乾式造粒装置;流動層造粒装置又は撹拌造粒装置のように結合剤を溶かした水溶液と共に噴霧流動又は練りながら造粒する湿式造粒装置がある。撹拌造粒装置を使用する場合は、造粒後、乾燥装置で乾燥させる必要がある。本発明では湿式造粒装置が好ましい。湿式造粒装置には、標準流動層造粒機、転動流動層造粒機、ワースター型流動層造粒機等があるが、標準流動層造粒機が好ましい。標準流動層造粒機の場合、給気設定温度を90~100℃、排気温度を50~40℃、排気ダンパ開度20~50%での条件とすることにより所望の流動性及び水への分散性が良好な、顆粒の経口組成物が得られ易くなる。
【0047】
本発明の顆粒状の経口組成物は保存時における凝集が抑制されていることから、スティック包装によりスティック包装体とすることができ、経口組成物の製造方法には更にスティック包装の工程を追加することができる。
【実施例0048】
以下に実施例及び参考例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0049】
調製例1(インドキノキ抽出物とリポソーム包埋型ビタミンCとの混合粉末の調製)
3,987gのリポソーム包埋型ビタミンC(商品名「Liposomal PureWay-C Fine Powder」、One Innovation Labs社製)と26gのインドキノキ抽出物(商品名「シルビノール」、株式会社サビンサジャパンコーポレーション社製)及び598gのマルチトール(賦形剤として配合)をポリエチレン袋に入れてよく混合した。得られた混合粉末を0.75mm目開きの篩で篩過し、4,565gの混合粉末を得た。なお、シルビノールはプテロスチルベン90%以上のインドキノキ抽出物白色粉末である。
【0050】
参考例1
調製例1で得た混合粉末を参考例1の経口組成物とした。
【0051】
実施例1(調製例1で得た混合粉末の造粒物の調製)
調製例1で得た混合粉末のうち4,515gを流動層造粒コーティング装置FLO-5A(フロイント産業社製)に投入し、給気設定温度を90~100℃、排気温度を50~40℃、排気ダンパ20~30Mpaの条件で、結合剤(HPC)を上部から噴霧した。噴霧ノズルは、射出穴径φ1.8mmを使用した。先ず200mLの水を流速50mL/minで噴霧し、38gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL)(日本ソーダ社製)を10%になるように水で溶解した水溶液を流量50~80g/minで混合粉末に噴霧した。更に100mLの水を流速50mL/minで噴霧し、噴霧後給気設定温度を90~100℃で排気温度が54℃になるまで乾燥を行い、乾燥時の排気温度から47℃になった時点を終了した。この工程で得られた造粒物(顆粒)は4,279gであった。
【0052】
実施例2(実施例1で得た造粒物に流動化剤を混合して顆粒を調製)
実施例1で得た造粒物のうち4,180gを、380gのマルチトール(甘味料として配合)、95gの二酸化ケイ素、95gのリン酸カルシウムとともにポリエチレン袋に入れてよく混合し、4,727gの顆粒を得た。
【0053】
試験例1(経口組成物の安息角の測定)
実施例1、2及び参考例1の経口組成物の流動性を評価するために、粉体特性評価装置(パウダテスタ、モデルPT-X;ホソカワミクロン社製)にて安息角を測定した。
【0054】
その結果、参考例1の混合粉末の安息角は43°であり、実施例1の顆粒(流動化剤を含まない顆粒)の安息角は41°であり、実施例2の顆粒(流動化剤を含む顆粒)の安息角は36°であった。
【0055】
流動性の観点からは安息角は低い方が好ましく、40°以下では流動性がかなり良好と判定できる。Carrの流動性指数表から、安息角が41°から45°では、流動性が普通の粉体であり、36°から40°では、流動性がかなり良好な粉末である。
【0056】
従って、参考例1及び実施例1の経口組成物は流動性が普通であり、実施例2の経口組成物は流動性がかなり良好であった。
【0057】
試験例2(水への分散性の比較)
室温下で300mlビーカーに100mlの水(24℃)を入れ、長さ38mm、直径6mmの磁性回転子により750rpmで撹拌している状況下、参考例1、実施例1、2の各経口組成物をそれぞれ2.3g投入した。目視観察により完全分散までの時間を調べたところ、参考例1の経口組成物(混合粉末)では90秒かかったのに対して、実施例1の経口組成物(流動化剤を含まない顆粒)及び実施例2の経口組成物(流動化剤を含む顆粒)は共に4秒であった。一般的に実使用では10秒以内が好ましく、実施例1,2共に分散性が良く実用性に長けていた一方、参考例1では分散性は実用的ではなかった。但し、参考例1の経口組成物が本発明の範囲から除外されたり、経口組成物として使用できないことを意味するものではない。
【0058】
【表1】