(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060778
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】多機能筆記具シャープ芯補充構造
(51)【国際特許分類】
B43K 21/00 20060101AFI20240425BHJP
B43K 24/12 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B43K21/00 Z
B43K24/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168280
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】月岡 之博
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA04
2C353FA17
2C353FE06
2C353FG03
(57)【要約】
【課題】シャープペンシル用リフィールの出没と芯の繰り出しを筒状ケースの後端側の周面に設けたシャープペンシル操作体で行う多機能筆記具であって、筒状ケースの後端部から芯を芯タンクに補充することができる多機能筆記具を提供することを課題とする。
【解決手段】筒状ケース内にシャープペンシル用リフィールを含む複数のリフィールを有する多機能筆記具であって、シャープペンシル用リフィールは、筒状ケースの後端部側の周面に設けられたシャープペンシル操作体により筒状ケースの軸方向へスライドされ、筒状ケースの後端部には、シャープペンシル用リフィールに芯を補充する芯補充孔が形成され、芯補充孔から芯補充パイプを介して前記シャープペンシル用リフィールに芯を補充できることを特徴とする多機能筆記具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケース内にシャープペンシル用リフィールを含む複数のリフィールを有する多機能筆記具であって、
前記シャープペンシル用リフィールは、前記筒状ケースの後端部側の周面に設けられたシャープペンシル操作体により前記筒状ケースの軸方向へスライドされ、
前記筒状ケースの後端部には、前記シャープペンシル用リフィールに芯を補充する芯補充孔が形成され、
前記芯補充孔から芯補充パイプを介して前記シャープペンシル用リフィールに芯を補充できることを特徴とする多機能筆記具。
【請求項2】
前記シャープペンシル用リフィールの後端部には、前記シャープペンシル操作体と連係する第1ノックが装着され、
前記芯補充パイプの先端部側は前記第1ノックの後端部側に摺動可能に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載された多機能筆記具。
【請求項3】
前記シャープペンシル用リフィール、前記第1ノック、前記芯補充パイプ及び前記芯補充孔は、前記シャープペンシル用リフィールが前記筒状ケースから突出した状態及び前記筒状ケース内に没入した状態で、略一直線上に配置されることを特徴とする請求項2に記載された多機能筆記具。
【請求項4】
前記シャープペンシル操作体に連結された第2ノックをさらに有し、
前記第2ノックは、前記第1ノックの後端部側に、前記第2ノックが前記第1ノックに対して揺動可能となるように取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載された多機能筆記具。
【請求項5】
前記第1ノックと前記第2ノックの間には、前記第2ノックが前記第1ノックに対して揺動可能となるような隙間を有していることを特徴とする請求項4に記載された多機能筆記具。
【請求項6】
前記シャープペンシル用リフィールと別の他のリフィールは、その後端部側に装着されたスライダを有し、
前記第2ノックと前記スライダは、それぞれ、互いに当接する当接部を有し、
その当接する位置は、前記筒状ケースの中心からずれていることを特徴とする請求項4に記載された多機能筆記具。
【請求項7】
前記第2ノックの前記当接部及び前記スライダの前記当接部の少なくとも1つは、互いに空間を介して離間する2つの当接部に分けて形成されており、前記2つの当接部は、それぞれ、隣接する前記第2ノックの前記当接部又は前記スライダの前記当接部と当接することを特徴とする請求項6に記載された多機能筆記具。
【請求項8】
前記シャープペンシル用リフィールは、他のリフィールよりも、前記筒状ケースの中心に寄せて配置されていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載された多機能筆記具。
【請求項9】
前記筒状ケースの後端部にはホルダが設けられており、
前記ホルダに前記芯補充孔が形成されていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載された多機能筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールペンやシャープペンシルなどの複数の筆記具を択一的に選択して使用できる多機能筆記具に備えられたシャープペンシルに芯を補充するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多機能筆記具では、シャープペンシルに芯を補充する場合、単機能筆記具としてのシャープペンシルのように、後端部から芯を芯タンクに補充できるようにする構造が提案されてきた。
例えば、筒状ケース後端部にチューブ状の芯装填部を固定して、その先端部をシャープペンシル用リフィールの芯タンクの後端部にスライド自在に挿入して、シャープペンシル用リフィールの出没にかかわらず、筒状ケース後端部から芯装填部を介して、シャープペンシル用リフィールの芯タンクに芯補充することができるものが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-218991号公報
【特許文献2】特開2005-111876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能筆記具には、シャープペンシル用リフィールの出没と芯の繰り出しを筒状ケースの後端側の周面に設けたクリップで行うものが知られている。(特許文献2参照)
このような多機能筆記具では、シャープペンシル用リフィールの後端部はクリップノックと結合しており、筒状ケース後端部から芯を芯タンクに補充するための構成は知られていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、シャープペンシル用リフィールの出没と芯の繰り出しを筒状ケースの後端側の周面に設けたシャープペンシル操作体で行う多機能筆記具であって、筒状ケースの後端部から芯を芯タンクに補充することができる多機能筆記具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
筒状ケース内にシャープペンシル用リフィールを含む複数のリフィールを有する多機能筆記具であって、
前記シャープペンシル用リフィールは、前記筒状ケースの後端部側の周面に設けられたシャープペンシル操作体を前記筒状ケースの軸方向にスライドすることにより前記筒状ケースから突出し、前記シャープペンシル用リフィールが突出した状態で、前記シャープペンシル操作体を前記筒状ケースの軸方向にノックすることにより芯が繰り出され、
前記シャープペンシル用リフィールの後端部には、前記シャープペンシル操作体と連係されている第1ノックが装着され、
前記筒状ケースの後端部には、前記シャープペンシル用リフィールに芯を補充する芯補充孔が形成されており、
前記芯補充孔には、前記シャープペンシル用リフィールに芯を補充する芯補充パイプが設けられており、
前記芯補充パイプの先端部側は、前記第1ノックの後端部側に、芯補充パイプを介して前記シャープペンシル用リフィールに芯を補充できるように取り付けられていることを特徴とする多機能筆記具。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多機能筆記具は、シャープペンシル用リフィールの芯タンクと、多機能筆記具の後端部側の芯補充孔とを接続する芯補充パイプを設けることにより、単機能筆記具としてのシャープペンシルとほぼ同様に、後方から芯タンクに芯を補充することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態の多機能筆記具1の縦断面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の多機能筆記具1の要部拡大縦断面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の多機能筆記具1の第1ノック61、第2ノック62及び芯補充パイプ75の分解図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の多機能筆記具1の横断面図であり、(a)
図1のA-A線断面図、(b)
図1のB-B線断面図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の多機能筆記具1の変形例を示す図である。
【
図6】従来の多機能筆記具の、(a)横断面図、(b)クリップノックとスライダの当接状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の多機能筆記具1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
[全体構成]
図1は、本実施形態における多機能筆記具1の縦断面図であり、シャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5がいずれも筒状ケース2の先端から突出していない状態を示す(ただし、第2ボールペン用リフィール5は、省略されている。)とともに、点線は、シャープペンシル用リフィール3が筒状ケース2の先端から突出した状態を示している。
図2は、本実施形態の多機能筆記具1の要部拡大縦断面図であり、シャープペンシル用リフィール3が、筒状ケース2の先端から突出している状態を示す。ただし、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5は、省略されている。
多機能筆記具1は、筒状ケース2、シャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5、クリップ6などを有している。
筒状ケース2は、長軸方向中央部付近で、前側ケース21と後側ケース22の2つの部材に分けられている。前側ケース21と後側ケース22は、ネジにより着脱自在に結合されている。なお、以降、筒状ケース2の長軸方向を、単に「軸方向」という。
なお、筒状ケース2は、3つ以上の部材に分けたものでもよい。また、複数の部材を分離結合する手段としては、ネジのほか、他の任意の係合手段、嵌合手段などを採用してもよい。
【0011】
筒状ケース2内には、シャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5が収納されている。また、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5は交換可能となっている。
後側ケース22内には、シャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5をそれぞれ貫通する3つの貫通部を有する貫通支持部材221が設けられており、シャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4及び第2ボールペン用リフィール5は、貫通支持部材221により、互いに離間した状態を維持するように支持されている。
シャープペンシル用リフィール3は、クリップ6を軸方向先端側にスライドすることにより、前側ケース21の先端開口211から突出する。
第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5は、それぞれ、第1スライダ43、第2スライダ53を軸方向先端側にスライドすることにより、同じく先端開口211から突出する。
そして、先端開口211から突出しているシャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4又は第2ボールペン用リフィール5に対して、先端開口211から突出していないシャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4又は第2ボールペン用リフィール5を軸方向先端側に少しスライドしてから解放することにより、先端開口211から突出していたシャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4又は第2ボールペン用リフィール5が先端開口211から没入する構成となっている。なお、シャープペンシル用リフィール3は、クリップ6を開くことによっても没入できるように構成してもよい。
【0012】
なお、多機能筆記具において、シャープペンシル用リフィールと組み合わせる他のリフィールは、ボールペン用リフィールに限られない。サインペンやマーカーなどの他の筆記具のほか、タッチペン、電子ペンなどの電子デバイスへの入力手段でもよい。
また、シャープペンシル用リフィール3の出没と芯操出を行う操作体(シャープペンシル操作体)は、クリップ6のようなバネなどを有するバインダ機能付きクリップに限られず、バインダ機能を有さないクリップでもよいし、さらには、クリップである必要もなく、シャープペンシルのスライドとノックの操作ができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0013】
[シャープペンシル用リフィール]
シャープペンシル用リフィール3は、芯タンク31の先端部に芯操出機構32を有しており、筒状ケース2の先端から突出した状態で、クリップ6のノックにより、芯操出機構32は先端開口211に内側から当接し、芯8が繰り出される。
芯タンク31の後端部には、円筒形状の第1ノック61が外嵌されている。なお、第1ノック61は、芯タンク31の後端部に挿入されていてもよい。
【0014】
図3は、本実施形態の多機能筆記具1の第1ノック61、第2ノック62及び芯補充パイプ75の分解図である。
第1ノック61の外側に、第2ノック62の貫通孔が、第1ノック61の後端部側から外嵌される。そして、第2ノック62の貫通孔に挿入されている第1ノック61の後端部に芯補充パイプ75が挿入される。
第1ノック61には、貫通孔を有する第2ノック62が外嵌されている。そして、第1ノック61は、後側ケース22の径方向に直交する方向に突出する2つの揺動軸611を有している。同様に、第2ノック62は、後側ケース22の径方向に直交する方向の2か所に設けられた2つの軸孔621を有している。そして、揺動軸611が軸孔621に軸支されて、第1ノックと第2ノックは、互いに揺動可能に連結されている。
【0015】
芯タンク31と第1ノック61、第1ノック61と第2ノック62は、それぞれ、後側ケース22の軸方向に、一体的にスライド移動するように連結されている。これにより、第2ノック62をスライド移動させると、第1ノック61及び芯タンク31もスライド移動する。
また、第1ノック61の先端部と貫通支持部材221との間には、互いに離間する方向に付勢されるように、シャープペンシル用コイルバネ222が設置されている。
なお、揺動軸611及び軸孔621により、第1ノック61と第2ノック62を揺動可能に連結する構成を変えて、第2ノック62の先端部が第1ノック61の先端側に設けた段差部613に当接することにより、第1ノック61と第2ノック62が連動する構成としてもよい。
【0016】
[ボールペン用リフィール]
第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5は、それぞれ、第1インクタンク41、第2インクタンク51と、その先端部に第1ボールペンチップ42、第2ボールペンチップ52(第2ボールペンチップ52は図示していない。)を有している。
第1インクタンク41、第2インクタンク51の後端部には、第1スライダ43、第2スライダ53が装着されている。これら第1スライダ43、第2スライダ53は、それぞれ、第1スライダ本体431、第2スライダ本体531と、第1スライダ当接部432、第2スライダ当接部532を備えている。
また、第1スライダ43、第2スライダ53と貫通支持部材221との間には、それぞれ、互いに離間する方向に付勢されるように、第1ボールペン用コイルバネ223、第2ボールペン用コイルバネ224が設置されている。(
図4(a)参照)
【0017】
[ホルダ]
後側ケース22の後端部には、消しゴムケース71が形成されていて、消しゴム72を収容するとともに、消しゴムケース71及び消しゴム72を覆うように、キャップ73が外嵌されている。なお、消しゴムケース71は、後側ケース22と一体であってもよいし、別体であってもよい。なお、キャップ73は外嵌しなくてもよい。
消しゴムケース71の底部には、後側ケース22の軸方向に直交する横断面の中心から少しずれた位置に芯補充孔74が形成されている。芯補充孔74は、消しゴムケース71の底部に穿たれた穴部741と、その先端部側に連続して突出するように形成された円筒部742とを有している。なお、以降、後側ケース22の軸方向に直交する横断面を、単に「横断面」といい、横断面の中心を、単に「中心」という。
なお、芯補充孔74を形成する部分は、消しゴムケース71である必要はなく、後側ケース22の後端部に設けられ、芯補充孔74から芯が抜け出ないような部材を配置できるような構造であればよい。例えば、後側ケース22の後端部に設けられた芯補充孔74を覆うキャップなどの蓋を保持できる構造(ホルダ)などでもよい。
【0018】
[芯補充パイプ]
芯補充孔74と第1ノック61を接続するように、芯補充パイプ75が配置されている。
芯補充パイプ75の後端部は、外径が他の部分よりすこし大きく形成されていて、芯補充パイプ75が消しゴムケース71の底部に設けられた芯補充孔74の穴部741に後端部側から挿入されたときに、穴部741に係合するように構成されている。なお、芯補充パイプ75は、消しゴムケース71(円筒部742)と一体に成形されていてもよい。
芯補充パイプ75の先端部は、円筒形状の第1ノック61の後端部に摺動可能に挿入されている。
これら芯タンク31、第1ノック61、芯補充パイプ75及び芯補充孔74は、略一直線上に配置されている。このことにより、芯補充孔74から芯8を補充する際、芯8をまっすぐに芯タンク31まで挿入することができ、芯8の補充をスムーズに行うことができる。
この第1ノック61と芯補充パイプ75とを摺動可能に接続したことにより、シャープペンシル用リフィール3が、先端開口211から突出した状態でも、先端開口211内に没入した状態でも、芯タンク31と芯補充孔74とは接続された状態を維持できるので、シャープペンシル用リフィール3がどのような状態であっても、芯タンク31に芯8を補充することが可能である。
【0019】
[クリップ]
先に述べたように、シャープペンシル用リフィール3の芯タンク31の後端部に外嵌された第1ノック61には、第2ノック62が外嵌されており、第2ノック62のスライド移動により第1ノック61及び芯タンク31もスライド移動するよう構成されている。
シャープペンシル操作体としては、クリップ6のようなバインダ機能付きクリップ、又は、クリップと第2ノック62を一体成形したもの等が挙げられる。
以上のような構成により、第1ノック61はシャープペンシル操作体と連係している。
【0020】
[リフィール選択機構]
図4は、本実施形態の多機能筆記具1の横断面図であり、(a)
図1のA-A線断面図、(b)
図1のB-B線断面図である。
シャープペンシル用リフィール3、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5は、リフィール選択機構により、択一的に先端開口211から突出する。
第1スライダ当接部432、第2スライダ当接部532、第2ノック当接部622は、互いに当接する当接面を有し、これら当接面の凹凸形状と、第1ノック61と貫通支持部材221との間のシャープペンシル用コイルバネ222、第1スライダ43と貫通支持部材221との間の第1ボールペン用コイルバネ223、及び、第2スライダ53と貫通支持部材221との間の第2ボールペン用コイルバネ224とにより、3つのリフィールのうちの1つが、択一的に先端開口211から出没する。
【0021】
第1ノック61の外面は、後端部にいくにつれて、傾斜面612が成形されている。この傾斜面612により、第1ノック61の外面と第2ノック62の内面との隙間Gが、先端部から後端部にいくにつれて、大きくなっている。(
図1参照)
なお、第1ノック61の外面に傾斜面612を成形する代わりに、第2ノック62の貫通孔の内面に、先端部から後端部にいくにつれて、傾斜面を成形してもよい。また、第1ノック61の外面と第2ノック62の貫通孔の内面の両方に、傾斜面を成形してもよい。
【0022】
隙間Gができないと、シャープペンシル用リフィール3をスライドして、前側ケース21の先端開口211から突出した状態で維持することができない。
しかし、第1ノック61に設けられた傾斜面612により隙間Gがあることで、第2ノック62が第1ノック61の揺動軸611の周りに揺動することから、シャープペンシル用リフィール3がスライドしたとき、第2ノック62の後端部が後側ケース22の係止部225に係合できる(
図2参照)。これにより、シャープペンシル用リフィール3をスライドして、前側ケース21の先端開口211から突出した状態で維持することができる。
【0023】
[リフィールの配置]
従来の多機能筆記具では、各リフィールは、中心に対してほぼ平均的に配置されており、各リフィールと中心との距離はほぼ等しくされていた。(
図6(a)参照)また、ノック、2つのスライダの当接面も、ほぼ中心に配置されていた。(
図6(b)参照)
これに対して、本実施形態では、シャープペンシル用リフィール3を、第1ボールペン用リフィール4、第2ボールペン用リフィール5よりも中心に寄せて配置している。(
図4(a)参照)
また、第2ノック当接部622、第1スライダ当接部432、第2スライダ当接部532の当接面も、中心からずれた位置、より詳細には、クリップ6側から離間する方向にずれた位置に配置されている。この配置を実現するために、第1スライダ当接部432、第2スライダ当接部532は、第1スライダ本体431の第1スライダ中心線4311、第2スライダ本体531の第2スライダ中心線5311から、それぞれ、クリップ6側から離間する方向にずれた位置にオフセットして形成されている。(
図4(b)参照)
このようにシャープペンシル用リフィール3を中心近くに配置することができると、略一直線上に配置されている、芯タンク31、第1ノック61、第2ノック62、芯補充パイプ75も中心近くに配置することができ、最終的には芯補充孔74を消しゴムケース71の底部の中心近くに配置することができる。これにより、多機能筆記具1の芯補充を、単機能筆記具としてのシャープペンシルとほぼ同様に行うことができる。
【0024】
[変形例]
図5は、本発明に係る実施形態の多機能筆記具1の変形例を示す図である。
本変形例では、実施形態とは第1スライダ当接部432、第2スライダ当接部532、第2ノック当接部622の形状が異なっている。
第1スライダ43は互いに空間を介して離間する2つの第1スライダ当接部432a、432bに分けて形成されている。同様に、第2スライダ53及び第2ノック62も、それぞれ、互いに空間を介して離間する2つの第2スライダ当接部532a、532b、第2ノック当接部622a、622bに分けて形成されている。
【0025】
実施形態では、中心からずれた位置で第1スライダ当接部432、第2スライダ当接部532及び第2ノック当接部622の3つの当接部が1つに集まって当接している(
図4(b)参照)が、本変形例では、第1スライダ当接部432a、432b、第2スライダ当接部532a、532b、第2ノック当接部622a、622bが、それぞれ、隣接する当接部と、中心付近に空間を形成するように当接している。
図5に示すように、第1スライダ当接部432aは第2スライダ当接部532bと、第2スライダ当接部532aは第2ノック当接部622bと、第2ノック当接部622aは第1スライダ当接部432bと、それぞれ、当接している。
第1スライダ当接部432a、432b、第2スライダ当接部532a、532b、第2ノック当接部622a、622b、それぞれの当接面には、実施形態と同様の凹凸形状が形成されている。
【0026】
なお、多機能筆記具が、シャープペンシル用リフィール3と第1ボールペン用リフィール4の2本のリフィールを有する場合、第1スライダ43は第1スライダ当接部432a、432bを、第2ノック62は第2ノック当接部622a、622bを有し、第1スライダ当接部432aは第2ノック当接部622bと、第2ノック当接部622aは第1スライダ当接部432bと、それぞれ、当接して、中心付近に空間が形成される。
また、すべての当接部を2つの当接部に分けて形成する必要はなく、一部の当接部を2つの当接部に分けて形成してもよい。例えば、第2ノック当接部のみを2つの当接部に分けて形成する、第1スライダ当接部及び第2スライダ当接部のみを2つの当接部に分けて形成するなどとしてもよい。
【0027】
本変形例では、実施形態とは異なり、第2ノック62、第1スライダ43、第2スライダ53が配置された箇所にも、中心付近に空間ができるので、シャープペンシル用リフィール3をさらに中心に寄せて配置することができる。
また、第1スライダ当接部432aと432bの間、第2スライダ当接部532aと532bの間にも空間ができる。これらの空間を利用して、それぞれ、第1インクタンク41、第2インクタンク51を、後側ケース22の後端部付近まで延長することができるので、第1ボールペン用リフィール4及び第2ボールペン用リフィール5のインク量を増やすことができる。
【0028】
以上、本発明に係る実施形態の多機能筆記具1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 多機能筆記具
2 筒状ケース
21 前側ケース
211 先端開口
22 後側ケース
221 貫通支持部材
222 シャープペンシル用コイルバネ
223 第1ボールペン用コイルバネ
224 第2ボールペン用コイルバネ
225 係止部
3 シャープペンシル用リフィール
31 芯タンク
32 芯操出機構
4 第1ボールペン用リフィール
41 第1インクタンク
42 第1ボールペンチップ
43 第1スライダ
431 第1スライダ本体
4311 第1スライダ中心線
432、432a、432b
第1スライダ当接部
5 第2ボールペン用リフィール
51 第2インクタンク
52 第2ボールペンチップ
53 第2スライダ
531 第2スライダ本体
5311 第2スライダ中心線
532、532a、532b
第1スライダ当接部
6 クリップ
61 第1ノック
611 揺動軸
612 傾斜面
613 段差部
62 第2ノック
621 軸孔
622、622a、622b
第2ノック当接部
71 消しゴムケース
72 消しゴム
73 キャップ
74 芯補充孔
741 穴部
742 円筒部
75 芯補充パイプ
8 芯
G 隙間