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特開2024-60788気体分離膜および気体分離膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060788
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】気体分離膜および気体分離膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 69/00 20060101AFI20240425BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 71/10 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 71/48 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 71/70 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B01D69/00
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/10
B01D71/48
B01D71/52
B01D71/70 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168297
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雄太
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 康享
(72)【発明者】
【氏名】岩上 欧史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 直樹
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA61
4D006MA01
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA07
4D006MA09
4D006MA21
4D006MA31
4D006MB03
4D006MB04
4D006MB06
4D006MC02
4D006MC03
4D006MC18
4D006MC22
4D006MC23
4D006MC24
4D006MC28
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC39
4D006MC45
4D006MC46
4D006MC48
4D006MC53
4D006MC54
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63
4D006MC65
4D006NA03
4D006NA10
4D006NA12
4D006NA45
4D006PA01
4D006PB17
4D006PB18
4D006PB62
4D006PB63
4D006PB64
4D006PB65
4D006PB68
(57)【要約】
【課題】気体の選択分離性および透過性が良好な気体分離膜およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1層と、前記第1層の一方の面に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている第2層と、を有し、前記第2層の平均厚さは、前記第1層の平均厚さより薄く、前記第2層は、インクジェット被膜であることを特徴とする気体分離膜。また、前記化合物は、PET、POM、PLA、PDMS、セルロース、またはカップリング剤に由来する構造を含むことが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と、
前記第1層の一方の面に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている第2層と、
を有し、
前記第2層の平均厚さは、前記第1層の平均厚さより薄く、
前記第2層は、インクジェット被膜であることを特徴とする気体分離膜。
【請求項2】
前記化合物は、PET、POM、PLA、PDMS、セルロース、またはカップリング剤に由来する構造を含む請求項1に記載の気体分離膜。
【請求項3】
前記化合物は、PDMSが含むメチル基のうちの一部が持つ水素原子の1つが水酸基またはアミノ基で置換されてなるPDMS誘導体を含む請求項1に記載の気体分離膜。
【請求項4】
前記第1層に対する前記第2層の被覆率は、95.0%以上である請求項1または2に記載の気体分離膜。
【請求項5】
前記第2層の平均厚さは、1nm以上100nm以下である請求項1または2に記載の気体分離膜。
【請求項6】
前記第1層は、オルガノポリシロキサンを含む請求項1または2に記載の気体分離膜。
【請求項7】
前記第2層は、多層構造である請求項1または2に記載の気体分離膜。
【請求項8】
第1層と、
前記第1層の一方の面に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている第2層と、
を有する気体分離膜を製造する方法であって、
前記第1層の一方の面に対し、前記化合物を含むインクをインクジェット法で吐出することにより、平均厚さが前記第1層よりも薄い前記第2層を形成する第2層形成工程を有することを特徴とする気体分離膜の製造方法。
【請求項9】
前記第2層形成工程は、
前記一方の面に前記インクの液滴を並べて第1吐出膜を形成する第1操作と、
前記第1吐出膜の上に前記インクの液滴を並べて第2吐出膜を形成する第2操作と、
を含む請求項8に記載の気体分離膜の製造方法。
【請求項10】
前記第1操作で吐出する前記インクの液滴の体積は、10pL以上100pL以下であり、
前記第2操作で吐出する前記インクの液滴を、前記第1操作で吐出する前記インクの液滴よりも小さくする請求項9に記載の気体分離膜の製造方法。
【請求項11】
前記インクは、
20℃における静的表面張力が20mN/m以上80mN/m以下であり、
20℃における粘度が2mPa・s以上20mPa・s以下である請求項9または10に記載の気体分離膜の製造方法。
【請求項12】
前記インクは、O/W型エマルションを含む請求項9または10に記載の気体分離膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体分離膜および気体分離膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルの実現に向けて、大気中の二酸化炭素を取り込んで直接回収する技術が検討されている。この技術には、吸収液や吸着材に二酸化炭素を吸収、吸着させる方法である化学吸収・吸着法、気体分離膜を用いて二酸化炭素を分離する膜分離法等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定のガスを選択的に透過させるガス選択透過性膜が開示されている。このガス選択透過性膜は、フィルム状高分子多孔性支持体にシロキサン化合物の薄膜を積層する、薄膜の表面層に非重合性ガスによるプラズマ処理を施す、および、その薄膜上にプラズマ重合膜を堆積する、というプロセスを経て製造されている。また、これらのプロセスにより、薄膜とプラズマ重合膜との接着性が強固なガス選択透過性膜が得られること、および、薄膜の厚さは1μmから30μmであること、が開示されている。さらに、このガス選択透過性膜を用いて、酸素、水素、ヘリウム等のガスを選択的に透過させ、分離されたガスを回収することが開示されている。そして、このようなガス選択透過性膜を用いることで、二酸化炭素の分離も可能になると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-75320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のガス選択透過性膜は、薄膜上にプラズマ重合膜を堆積させた複合膜を有している。プラズマ重合法は、成膜条件によって膜厚が左右されるため、膜厚の均一化が容易ではない。部分的に膜厚が薄くなると、ピンホールが発生するおそれがあるため、成膜においては、膜厚の狙い値を厚くしておく必要がある。そうすると、得られるガス選択透過性膜のガス透過性が低下することが課題となる。また、プラズマ重合法では、成膜可能な材料に制約がある。このため、選択分離性が良好な材料であっても、成膜できない場合がある。
【0006】
そこで、気体の選択分離性に優れ、かつ、膜厚が薄く、気体の透過性に優れる気体分離膜を実現することが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の適用例に係る気体分離膜は、
第1層と、
前記第1層の一方の面に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている第2層と、
を有し、
前記第2層の平均厚さは、前記第1層の平均厚さより薄く、
前記第2層は、インクジェット被膜である。
【0008】
本発明の適用例に係る気体分離膜の製造方法は、
第1層と、
前記第1層の一方の面に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている第2層と、
を有する気体分離膜を製造する方法であって、
前記第1層の一方の面に対し、前記化合物を含むインクをインクジェット法で吐出することにより、平均厚さが前記第1層よりも薄い前記第2層を形成する第2層形成工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る気体分離膜を模式的に示す断面図である。
図2図1に示す第2層を、上流側から見たときの平面図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4図3に示す第2層の変形例である。
図5図2に示す1層目のインクジェット被膜上に別のインクジェット被膜が重ねられてなる2層構造の第2層を、上流側から見たときの平面図である。
図6図5のB-B線断面図である。
図7】実施形態に係る気体分離膜の製造方法を説明するための工程図である。
図8図7に示す気体分離膜の製造方法を模式的に説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の気体分離膜および気体分離膜の製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
1.気体分離膜の概要
まず、実施形態に係る気体分離膜の構成について説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る気体分離膜1を模式的に示す断面図である。なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を設定し、それぞれ矢印で示している。以下の説明では、各軸を示す矢印の先端側を各軸の「プラス側」といい、矢印の基端側を各軸の「マイナス側」という。また、X軸に沿う両方向をX軸方向といい、Y軸に沿う両方向をY軸方向という。
【0013】
図1に示す気体分離膜1は、複数の気体成分を含む混合気体から、特定の気体成分を選択的に透過させて分離する機能を有する。図1に示す気体分離膜1は、第1層3と第2層4とを有する複合膜である。
【0014】
気体分離膜1が選択的に透過させる特定の気体成分は、例えば、二酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、硫黄酸化物(SO)、窒素酸化物(NO)のような酸性ガスの他、酸素分子、水分子、放射性物質等が挙げられる。このうち、前述した特定の気体成分は、酸性ガスであることが好ましく、二酸化炭素または硫化水素であることがより好ましく、二酸化炭素であることがさらに好ましい。これらは、気体分離膜1によって特に高い選択分離比で分離することができる。
【0015】
第2層4は、前述した特定の気体成分を選択的に透過させる能力(気体分離能)を有する。これにより、気体分離膜1の上流側から下流側へ、特定の気体成分を選択的に透過させ、分離することができる。なお、以下の説明では、特定の気体成分の選択分離性を、単に「選択分離性」ということがある。
【0016】
第2層4の平均厚さは、第1層3の平均厚さよりも薄くなるように設定されている。これにより、第2層4は、良好な選択分離性を有しつつ、高い気体透過性も有するものとなる。
【0017】
なお、図1に示す気体分離膜1では、その上方に混合気体が供給される。このため、図1に示す気体分離膜1の上方を「上流側」という。また、図1の気体分離膜1では、図1の上方から下方に向かって特定の気体成分が透過する。そこで、以下の説明では、図1に示す気体分離膜1の下方を「下流側」という。
【0018】
1.1.第1層
第1層3の形態は、特に限定されず、図1に示すシート状(平板状)の他、スパイラル状、管状、中空糸状等であってもよい。
【0019】
第1層3の構成材料としては、高分子材料が挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0020】
このうち、第1層3の構成材料には、オルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。オルガノポリシロキサンの1つの分子は、基本構成単位として、RSiO3/2で表される単位(T単位)、RSiO2/2で表される単位(D単位)、および、RSiO1/2で表される単位(M単位)を、少なくとも含んでいる。なお、各単位中、R~Rは、脂肪族炭化水素または水素原子である。オルガノポリシロキサンの1つの分子は、これらのT単位、D単位およびM単位が組み合わされて構成されている。
【0021】
オルガノポリシロキサンの具体例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリスルホン/ポリヒドロキシスチレン/ポリジメチルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジフェニルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体末端ビニル、ポリジメチルシロキサン末端ビニル、ポリジメチルシロキサン末端H、ジメチルシロキサン-メチルハイドロシロキサン共重合体等が挙げられる。なお、これらには、架橋反応物を形成している形態も含まれる。また、第1層3の構成材料は、これらのうちの1種または2種以上の複合物であってもよいし、質量比でオルガノポリシロキサンを主成分とし、他の樹脂成分を併用した複合材料であってもよい。
【0022】
なお、オルガノポリシロキサンは、特に二酸化炭素に対して良好な気体透過性を有する。このため、第1層3の構成材料として有用である。
【0023】
第1層3の平均厚さは、特に限定されないが、1μm以上3000μm以下であるのが好ましく、5μm以上500μm以下であるのがより好ましく、10μm以上150μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、第1層3は、気体分離膜1の基層として必要かつ十分な機械的特性を有するとともに、気体透過性の低下を抑制することができる。
【0024】
なお、第1層3の平均厚さは、例えば、気体分離膜1の断面を拡大観察し、第1層3の10か所について測定された厚さの平均値として求められる。
【0025】
また、第1層3の気体透過性は、好ましくは第2層4の気体透過性より高くなるように設定されている。具体的には、二酸化炭素を対象の気体成分としたときの第1層3の気体透過速度が、第2層4の気体透過速度よりも高いことが好ましい。これにより、第1層3は、第2層4を機械的に支持しつつ、気体分離膜1に良好な気体透過性を付与することができる。
【0026】
なお、気体透過性が高いとは、ここでは、二酸化炭素の透過速度が大きいことを意味する。具体的には、上流側の全圧を4MPaにして二酸化炭素を供給したとき、第2層4の二酸化炭素の透過速度が大きければよい。
【0027】
第1層3の二酸化炭素の透過速度は、40℃の温度下、上流側に全圧4MPaの二酸化炭素を供給したとき、1×10-5cm(STP)/cm・sec・cmHg(10GPU)以上であることが好ましく、3×10-5cm(STP)/cm・sec・cmHg(30GPU)以上であることがより好ましく、100GPU以上であることがさらに好ましく、200GPU以上であることが特に好ましい。
【0028】
第1層3は、シートやフィルムの製造方法により製造可能である。また、犠牲層上に成膜した後、犠牲層を除去する方法によっても製造可能である。
【0029】
1.2.第2層
第2層4は、第1層3の上面31(一方の面)に成膜されている。第2層4は、インクジェット被膜で構成されている。インクジェット被膜は、好ましくは、第2層4の構成材料を含むインク滴の第1固着膜41が、第1層3の上面31に複数並べられて構成されている。つまり、第2層4は、インク滴が定着してなる第1固着膜41の集合体である。このような第2層4は、膜厚を十分に薄くしたとしても膜切れを生じにくいものとなる。このため、平均厚さが十分に薄くても、上面31に対する被覆率が高い第2層4が実現される。第2層4は、前述した気体分離能を有していることから、本実施形態に係る気体分離膜1は、選択分離性が高く、かつ、気体透過性も高いものとなる。
【0030】
第2層4の平均厚さは、特に限定されないが、1nm以上100nm以下であるのが好ましく、5nm以上90nm以下であるのがより好ましく、30nm以上80nm以下であるのがさらに好ましい。これにより、第2層4の選択分離性を確保しつつ、気体透過性を高めることができる。なお、第2層4の平均厚さが前記下限値を下回ると、第2層4の構成材料によっては、選択分離性が低下するおそれがある。一方、第2層4の平均厚さが前記上限値を上回ると、第2層4の構成材料によっては、第2層4の気体透過性が低下するおそれがある。
【0031】
なお、第2層4の平均厚さは、例えば、気体分離膜1の断面を拡大観察し、第2層4の10か所について測定された厚さの平均値として求められる。
【0032】
図2は、図1に示す第2層4を、上流側から見たときの平面図である。図3は、図2のA-A線断面図である。
【0033】
第2層4は、インクジェット法で成膜されるため、インク滴の第1固着膜41を目的とする位置にほぼ正確に配置することができる。インク滴の第1固着膜41は、第2層4の構成材料を含むインク滴を、インクジェット法で吐出し、着弾したインク滴が固着することによって形成される。図2に示す第2層4では、X軸方向およびY軸方向において隣り合う第1固着膜41同士が互いに接するように、インク滴の吐出位置を設定した例である。このように配置することで、第1固着膜41同士の重なりを最小限に抑えることができる。これにより、複数の第1固着膜41で構成されるインクジェット被膜401の膜厚を薄くすることができる。
【0034】
1つの第1固着膜41の平面視形状は、図2に示すような円形をなしていることが多いが、その他の形状であってもよい。第1固着膜41は、図3に示すように、相対的に厚い中央部42と、中央部42よりも薄い周縁部43と、を有する。このような形状をなす第1固着膜41は、互いに重なり合う可能性が高い周縁部43の膜厚を、中央部42よりも薄くすることによって、重なり合った場合でも極端に厚くなる部位が発生するのを抑制することに寄与する。これにより、不具合が生じにくい気体分離膜1が得られる。また、第1固着膜41は、膜厚が異なる部位を含むため、第2層4の比表面積の拡大に寄与する。第2層4の比表面積は、第2層4と分離前の混合ガスとの接触面積を左右する。そして、第2層4の比表面積が広いほど、第2層4の構成材料と混合ガスとの接触機会が増えるため、気体分離膜1が薄くても、選択分離性を高めることができる。なお、図3に示す第1固着膜41における中央部42の膜厚は、第1固着膜41の断面のうち、上面が描く曲線において極大となる位置での膜厚を指す。そして、第1固着膜41の断面が図3に示す形状をなしている場合、前述した第2層4の厚さとは、中央部42の膜厚である。
【0035】
また、周縁部43の膜厚は、第1固着膜41を平面視したとき、第1固着膜41の輪郭から、第1固着膜41の直径の10%内側に入った位置における膜厚とする。なお、第1固着膜41の直径とは、第1固着膜41を平面視したとき、第1固着膜41の輪郭に内接する円(内接円)の直径とする。
【0036】
この場合、中央部42の膜厚は、周縁部43の膜厚より厚ければよいが、周縁部43の膜厚の105%以上1000%以下であるのが好ましく、120%以上800%以下であるのがより好ましい。膜厚の差が前記範囲内であれば、膜厚の差が大きすぎることによる不具合を回避しつつ、第2層4の選択分離性を十分に高めることができる。なお、中央部42の膜厚が前記下限値を下回ると、中央部42と周縁部43とで膜厚差が小さくなりすぎるため、第2層4の比表面積を十分に広く確保することができないおそれがある。一方、中央部42の膜厚が前記上限値を上回ると、周縁部43の膜厚によっては、中央部42の膜厚が厚くなりすぎるおそれがある。
【0037】
また、図2では、第1固着膜41による上面31の被覆率を高めるため、一例として、X軸方向に第1固着膜41がそれぞれ並んでなる、第1列411、第2列412および第3列413が配置されている。第1列411と第3列413との間に位置する第2列412では、第1列411を構成する第1固着膜41同士の中間、および、第3列413を構成する第1固着膜41同士の中間、に対応する位置に、第1固着膜41が配置されている。つまり、第2列412を構成する第1固着膜41の位置は、第1列411や第3列413に比べて、第1固着膜41の半径に相当する長さだけ、X軸方向にずれている。
【0038】
上記のようなパターンで第1固着膜41を並べることにより、第2層4を構成する第1固着膜41の数を増やすことなく、被覆率を高めることができる。
【0039】
また、図4は、図3に示す第2層4の変形例である。
図4に示す第1固着膜41は、図3とは逆に、相対的に薄い中央部42と、中央部42よりも厚い周縁部43と、を有する。このような形状をなす第1固着膜41は、膜厚が薄い中央部42の面積を相対的に広く確保することができるとともに、膜厚が厚い周縁部43によって第1固着膜41の比表面積を広げることができる。これにより、薄くても、選択分離性の高い気体分離膜1を実現することができる。なお、図4に示す第1固着膜41における中央部42の膜厚は、第1固着膜41の断面のうち、上面が描く曲線において極小となる位置での膜厚を指す。また、周縁部43の膜厚は、第1固着膜41の断面のうち、上面が描く曲線において極大となる位置での膜厚を指す。そして、第1固着膜41の断面が図4に示す形状をなしている場合、前述した第2層4の厚さとは、周縁部43の膜厚である。
【0040】
この場合、中央部42の膜厚は、周縁部43の膜厚より薄ければよいが、周縁部43の膜厚の5%以上99%以下であるのが好ましく、10%以上80%以下であるのがより好ましい。膜厚の差が前記範囲内であれば、膜厚の差が大きすぎることによる不具合を回避しつつ、第2層4の選択分離性を十分に高めることができる。なお、中央部42の膜厚が前記下限値を下回ると、中央部42と周縁部43とで膜厚差が大きくなりすぎるため、残留応力が発生しやすくなり、ピンホール等が生じやすくなるおそれがある。一方、中央部42の膜厚が前記上限値を上回ると、膜厚差が小さくなりすぎるため、第2層4の比表面積を十分に広くできないおそれがある。
【0041】
なお、第1固着膜41の断面形状が図3のような形状になるか、または、図4のような形状になるかは、インク滴の組成によって制御できる。例えば、インク滴における固形分濃度が高い場合には、図3のような形状になりやすく、固形分濃度が低い場合には、図4のような形状になりやすい。
【0042】
また、図2に示すパターンで第1固着膜41を配置したとき、3つの第1固着膜41で囲まれる位置に、隙間44が生じる場合がある。隙間44が生じた第2層4では、目的とする気体成分以外の成分も透過しやすくなる。そうすると、目的とする気体成分を選択的に透過させることができず、第2層4の選択分離性が低下するおそれがある。そこで、第2層4は、図3図4に示すインクジェット被膜401上に、別のインクジェット被膜を重ねた2層構造としてもよい。
【0043】
図5は、図2に示す1層目のインクジェット被膜401上に別のインクジェット被膜402が重ねられてなる2層構造の第2層4を、上流側から見たときの平面図である。図6は、図5のB-B線断面図である。
【0044】
図5に示すパターンでは、1層目のインクジェット被膜401が有する隙間44と重なる位置に、第2固着膜45が配置されている。これにより、第2固着膜45によって隙間44を埋めることができる。そして、複数の第2固着膜45により、2層目のインクジェット被膜402が形成されている。その結果、隙間44によって気体分離膜1の選択分離性が低下してしまう課題を、インクジェット被膜402によって解消または軽減させることができる。したがって、第2層4は、図5に示すような多層構造であることが好ましい。多層構造とは、インクジェット被膜が2層以上積層されている構造を指す。
【0045】
また、多層構造であれば、第1層3や第2層4にピンホールができた場合でも、その部位に選択的にインク滴を供給することで、ピンホールを埋めることができる。このため、従来であれば不良品となっていた気体分離膜1を、有効に利用することが容易になる。
【0046】
第1固着膜41の平均直径φ41は、特に限定されないが、0.5μm以上500μm以下であるのが好ましく、1μm以上300μm以下であるのがより好ましく、3μm以上100μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、隙間44を小さくすることができる。その結果、隙間44が第2固着膜45によって埋められる確率を高めることができ、第2層4の選択分離性を高めることができる。
【0047】
第2固着膜45の平均直径φ45は、特に限定されないが、第1固着膜41の平均直径φ41より大きくてもよいが、小さいことが好ましい。これにより、第1固着膜41と第2固着膜45とが重なる面積(重複面積)を少なく抑えることができる。その結果、第2層4の平均厚さを十分に薄くすることができ、気体透過性の低下を抑制することができる。
【0048】
平均直径φ45は、平均直径φ41の95%以下であるのが好ましく、10%以上90%以下であるのがより好ましく、20%以上80%以下であるのがさらに好ましい。これにより、隙間44を十分に埋めつつ、重複面積を特に少なく抑えることができる。また、第2層4が必要以上に厚くなるのを抑制することができる。
【0049】
第1層3に対する第2層4の被覆率は、95.0%以上であるのが好ましく、99.0%以上であるのがより好ましい。これにより、仮に第1層3にピンホールが存在していたとしても、それを第2層4で塞ぐ確率が高くなり、目的とする気体成分以外の成分が透過する比率を抑えることができる。その結果、第2層4の選択分離性(特定の気体成分の分離比)を十分に高めることができる。
【0050】
なお、第1層3に対する第2層4の被覆率は、気体分離膜1の上流側から、100個以上の第1固着膜41が映る範囲を撮像し、得られた画像の面積に対する、第2層4の面積の割合として求められる。なお、画像の面積は、第1固着膜41の大きさによるが、好ましくは10mm以上に設定される。
【0051】
第2層4は、気体分離能を有する化合物で構成されている。気体分離能を有する化合物は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリ乳酸(PLA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)またはセルロースを含むことが好ましい。これらの化合物は、特に酸性ガスに対して親和性を有し、良好な選択分離性を有する第2層4を実現する。
【0052】
このうち、ポリジメチルシロキサンは、その誘導体であってもよい。ポリジメチルシロキサン誘導体の例としては、例えば、ポリジメチルシロキサンに含まれるメチル基が持つ水素原子の1つまたは複数、好ましくは1つを、極性基で置換してなる誘導体が挙げられる。極性基としては、後述する官能基が挙げられるが、特に水酸基またはアミノ基が好ましく用いられる。また、ポリジメチルシロキサンに含まれるメチル基の全てにおいて上記の置換がなされていてもよいが、一部のメチル基のみで置換がなされているのが好ましい。これにより、第2層4に対し、二酸化炭素の良好な親和性が付与される。その結果、気体分離膜1において気体の選択分離性と気体透過性とのさらなる両立を図ることができる。
【0053】
また、上記化合物は、カップリング剤に由来する構造を含んでいてもよい。カップリング剤は、加水分解性基と官能基とを有し、加水分解性基の加水分解によって、上面31に対する結合性を発現する。また、加水分解した加水分解性基と、上面31が有していた水酸基と、が脱水縮合して、共有結合に変化していてもよい。一方、官能基の選択により、特定の気体成分に対して親和性を示し、良好な選択分離性を有する第2層4が実現される。したがって、カップリング剤に由来する構造とは、例えば、カップリング剤の加水分解物、かかる加水分解物と水酸基との脱水縮合による生成物等が挙げられる。
【0054】
官能基としては、分離対象の気体成分に応じて適宜選択される。具体的には、分離対象の気体成分に対して親和性を有する原子団が選択される。例えば、分離対象の気体成分が酸性ガスである場合、極性基が好ましく用いられる。極性基としては、例えば、水酸基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、酸無水基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基、フェニル基等が挙げられる。このうち、官能基は、特に、アミノ基、カルボン酸基またはフェニル基であることが好ましい。これらは、二酸化炭素のπ電子に対して特に良好な親和性を有する。そのため、これらを有する第2層4には、二酸化炭素に対する良好な選択分離性が付与される。
【0055】
1.3.その他の構成
以上、実施形態に係る気体分離膜1について説明したが、第1層3の下流側、および、第1層3と第2層4との間、のうちの少なくとも1か所には、任意の層が設けられていてもよい。例えば、第1層3の下流側には、多孔質体で構成されている多孔質層が設けられていてもよい。多孔質層は、第1層3よりも高い気体透過性を有し、かつ、第1層3よりも高い剛性を有することが好ましい。これにより、気体分離膜1の剛性をさらに高めることができ、気体分離膜1の形状保持性や耐久性の向上に寄与できる。
【0056】
多孔質層の構成材料としては、例えば、高分子材料、セラミック材料、金属材料等が挙げられる。また、多孔質層の構成材料は、これらの材料と他の材料との複合材料であってもよい。
【0057】
高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンのような含フッ素樹脂、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等が挙げられる。
【0058】
セラミック材料としては、例えば、アルミナ、コーディエライト、ムライト、炭化珪素、ジルコニア等が挙げられる。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0059】
多孔質層の平均厚さは、特に限定されないが、1μm以上3000μm以下であるのが好ましく、5μm以上500μm以下であるのがより好ましく、10μm以上150μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、多孔質層は、第1層3や第2層4を支持するのに必要かつ十分な剛性を有する。
【0060】
なお、多孔質層の平均厚さは、多孔質層の10か所について測定された、積層方向における厚さの平均値である。多孔質層の厚さの測定には、例えば、シックネスゲージを用いることができる。
【0061】
また、多孔質層の平均空孔径は、0.1μm以下であるのが好ましく、0.01μm以上0.09μm以下であるのがより好ましく、0.01μm以上0.07μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、第1層3が多孔質層の下流側に抜け出てしまうのを抑制することができる。
【0062】
多孔質層の平均空孔径は、貫通細孔径評価装置により測定される。貫通細孔径評価装置としては、例えば、PMI社製、パームポロメーターが挙げられる。
【0063】
多孔質層の空孔率は、20%以上90%以下であるのが好ましく、30%以上80%以下であるのがより好ましい。これにより、多孔質層は、良好な気体透過性と、十分な剛性と、を両立できる。多孔質層の空孔率は、前述した貫通細孔径評価装置により測定される。
【0064】
なお、以上のような気体分離膜1では、窒素に対する二酸化炭素の選択分離比が、10以上であるのが好ましく、15以上であるのがより好ましい。これにより、大気中からの二酸化炭素の分離に適した気体分離膜1が得られる。なお、窒素に対する二酸化炭素の選択分離比は、窒素の透過速度に対する二酸化炭素の透過速度の比として求められる。
【0065】
2.気体分離膜の製造方法
次に、実施形態に係る気体分離膜の製造方法について説明する。
【0066】
図7は、実施形態に係る気体分離膜の製造方法を説明するための工程図である。図8は、図7に示す気体分離膜の製造方法を模式的に説明するための断面図である。なお、以下の説明では、図5および図6に示す気体分離膜1を製造する方法を例にして説明する。
【0067】
図7に示す気体分離膜1の製造方法は、第1層準備工程S102と、第2層形成工程S104と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
【0068】
3.1.第1層準備工程
第1層準備工程S102では、図8に示すように、第1層3を用意する。第1層3は、単独の部材であってもよいし、別の基板等に成膜された部材(被膜)であってもよい。後者の場合、例えば、後述する第2層形成工程S104の後、別の基板を除去すればよい。
【0069】
第1層3の形成方法としては、例えば、原料を含む溶液を塗布した後、得られた塗膜を固化または硬化させる方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、滴下法、インクジェット法、ディスペンサー法、噴霧法、スクリーン印刷法、コーター塗布法、スピンコート法のような各種液相成膜法、プラズマCVD法、プラズマ重合法のような気相成膜法等が挙げられる。
【0070】
また、第1層3の形成方法には、上記の塗布方法で前駆体溶液を塗布した後、得られた塗膜において前駆体を反応させる方法が用いられてもよい。前駆体は、反応によって第1層3の構成材料となる物質である。このような形成方法としては、例えばゾルゲル法が挙げられる。
【0071】
得られた第1層3の上面31には、必要に応じて、活性化処理が施されてもよい。活性化処理は、上面31を活性化させる処理であれば、特に限定されない。活性化処理としては、例えば、上面31にエネルギー線を照射する方法、上面31を加熱する方法、上面31をプラズマやコロナに曝す方法、上面31をオゾンガスに曝す方法等が挙げられる。エネルギー線としては、例えば、赤外線、紫外線、可視光等が挙げられる。活性化処理を施すと、上面31に水酸基が導入されやすくなる。
【0072】
3.2.第2層形成工程
第2層形成工程S104では、第1層3の上面31に対し、第2層4の原料を含むインクをインクジェット法により吐出する。これにより、平均厚さが第1層3よりも薄い第2層4を形成する。インクジェット法は、図8に示すように、上面31に対してインクジェットヘッド61を相対的に移動させながら、目的とする位置にインク62を吐出し、定着させる方法である。
【0073】
具体的には、まず、第2層4の原料を含むインク62を調製する。第2層4の原料としては、前述した気体分離能を有する化合物またはその前駆体が挙げられる。
【0074】
また、化合物が含む有機基の一部を別の官能基で置換する場合、有機基を除去する処理を施した後、必要に応じて官能基を導入する物質を接触させる処理を行えばよい。有機基を除去する処理としては、例えば、上述した活性化処理が挙げられる。
【0075】
インク62としては、油系の分散媒に水系の分散質が分散してなる油中水滴型(W/O型)エマルション、または、水系の分散媒に油系の分散質が分散してなる水中油滴型(O/W型)エマルションを含む液体が挙げられる。このうち、インク62には、O/W型エマルションを含む液体が好ましく用いられる。O/W型エマルションであれば、環境負荷が小さく、かつ、既存の水系インク用のインクジェットヘッド61で使用可能なインク62を調製することができる。
【0076】
そして、上記のエマルションを、上記分散媒でさらに希釈することにより、インク62の主成分が得られる。例えば、O/W型エマルションの場合、分散媒には、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または、超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。
【0077】
また、第2層4の原料がカップリング剤に由来する構造を含む場合、インク62には、カップリング剤を含む液体が用いられる。カップリング剤は、官能基と加水分解性基とを有する化合物である。
【0078】
官能基としては、例えば、水酸基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、酸無水基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基、フェニル基等が挙げられる。これらは、特に、第2層4に対し、酸性ガスに対して高い親和性を付与する。
【0079】
加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アミノキシ基、アミド基、ケトオキシム基、イソシアネート基、ハロゲン原子、カルボン酸基等が挙げられる。このような加水分解性基の中でも、アルコキシ基またはカルボン酸基が好ましく用いられる。
【0080】
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等が挙げられるが、特にシランカップリング剤が好ましく用いられる。
【0081】
インク62は、上記エマルションを構成する分散質および分散媒の他、任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0082】
添加剤としては、例えば、有機溶剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等が挙げられる。
【0083】
このうち、有機溶剤としては、例えば、環状アミド、アルキルポリオール、グリコールエーテル、その他の有機溶剤等が挙げられる。
【0084】
環状アミドとしては、例えば、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン(N-メチル-2-ピロリドン)、1-エチル-2-ピロリドン(N-エチル-2-ピロリドン)、N-ビニル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン(N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン)のようなラクタム類等が挙げられる。これらの環状アミドは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0085】
また、界面活性剤としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。このうち、グリセリンおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルの少なくとも一方が好ましく用いられる。
【0086】
インク62における原料の含有率は、固形分濃度で、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましい。原料の含有率が前記下限値を下回ると、インク62の組成によっては、形成されるインクジェット被膜401において膜切れが生じるおそれがある。一方、原料の含有率が前記上限値を上回ると、インク62の組成によっては、原料の分散性が低下し、インクジェット被膜401内における膜厚差が大きくなるおそれがある。
【0087】
インク62における水の含有率の下限値は、インク62の総量に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。また、水の含有率の上限値は、インク62の総量に対して、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0088】
インク62の20℃における静的表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上80mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上45mN/m以下であることがより好ましい。これにより、インク62を吐出する下地である第1層3にピンホール等があったとしても、インク62が染み込むことが抑制され、ピンホール等を覆うように被膜化されやすくなる。その結果、第2層4の被覆率を特に高めることができる。なお、静的表面張力とは、液面が静止しているときの表面張力であり、液表面が形成されて30秒後の表面張力である。
【0089】
なお、静的表面張力が前記下限値を下回ると、インク62の浸透性が高くなるため、第2層4の被覆率が低下するおそれがある。一方、静的表面張力が前記上限値を上回ると、インク62が濡れ広がりにくくなり、第2層4の被覆率が低下するおそれがある。
インク62の表面張力の測定は、例えば、20℃の環境下で白金プレートをインク62で濡らし、その30秒後に、協和界面科学株式会社製、自動表面張力計CBVP-Zを用いて表面張力を確認する方法で行うことができる。
【0090】
インク62の20℃における粘度は、特に限定されないが、2mPa・s以上20mPa・s以下であるのが好ましく、4mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インク62を目的とする位置に的確に供給することができる。また、第1層3にピンホール等があったとしても、インク62が染み込むことが抑制され、被膜化されやすくなる。その結果、第2層4の被覆率を高めやすくなる。
【0091】
なお、インク62の粘度には、例えば、Pysica社製、粘弾性試験機MCR-300を用いて、20℃の環境下で測定した値を採用することができる。
【0092】
インク62の密度は、特に限定されないが、1.00g/cc以上1.20g/cc以下であるのが好ましく、1.05g/cc以上1.15g/cd以下であるのがより好ましい。これにより、分散質の沈殿等が生じにくく、かつ、分散質の濃度を十分に確保することができる。その結果、このようなインク62を用いることにより、被覆率の高い第2層4を効率よく形成することができる。
【0093】
このようなインク62を、上面31に対してインクジェットヘッド61を相対的に移動させながら吐出することにより、目的とする位置に、目的とする量の原料を高い確率で定着させることができる。このため、膜厚が薄くても被覆率の高いインクジェット被膜401を形成することができる。
【0094】
また、インク62の吐出速度は、2m/s以上20m/s以下程度であるのが好ましい。さらに、インク62の吐出周波数は、3kHz以上30kHz以下程度であるのが好ましい。また、吐出によって形成されるインク62の液滴(インク滴)の体積は、形成しようとする第1固着膜41の大きさに応じて適宜設定されるが、一例として、10pL以上100pL以下であるのが好ましく、30pL以上70pL以下であるのがより好ましい。さらに、インク滴の着弾によって形成される乾燥前の被膜の厚さは、0.05μm以上3μm以下であるのが好ましく、0.1μm以上1μm以下であるのがより好ましい。
【0095】
以上のような条件を満たすことにより、吐出されたインク滴の乾燥速度が最適化される。このため、隣り合って形成される第1固着膜41の一部が重なっている場合、重複部分が一体化しやすくなる。つまり、隣り合って形成される2つの第1固着膜41のうち、一方が形成された後、それが乾燥する前に、他方が重なって形成される確率が高くなる。このため、第1固着膜41の周縁部43で一体化が生じやすくなり、隙間44の少ないインクジェット被膜401を形成することができる。
【0096】
本工程では、1層目のインクジェット被膜401(第1吐出膜)を形成する第1操作を行った後、2層目のインクジェット被膜402(第2吐出膜)を形成する第2操作を行うようにしてもよい。この場合、第1固着膜41の配置パターンに基づいて、第2固着膜45の配置パターンを設定すればよい。これにより、隙間44と重なるように第2固着膜45を高い確率で配置することができる。このようにして被覆率が特に高い第2層4を、膜厚を必要以上に厚くすることなく、かつ、効率よく(高速に)形成することができる。
【0097】
また、隙間44は、周囲に比べて凹んでいるため、インク滴が留まりやすい。このため、第2固着膜45を形成するためのインク滴の体積は、第1固着膜41を形成するためのインク滴の体積よりも小さく設定されるのが好ましい。そして、インク滴の体積が小さくても、高い確率で隙間44を埋めることができる。これにより、2層目のインクジェット被膜402の膜厚を抑えつつ、第2層4において十分に高い被覆率を確保することができる。
【0098】
なお、第2操作で吐出するインク62の液滴の体積は、第1操作で吐出するインク62の液滴の体積より大きくてもよいが、小さいことが好ましい。これにより、第2固着膜45の直径を第1固着膜41の直径より小さくすることができる。その結果、第2層4の膜厚を必要以上に厚くすることなく、被覆率の高い第2層4を得ることができる。
【0099】
また、第2操作で吐出するインク62の組成は、第1操作で吐出するインク62の組成と同じであってもよいが、異なっていてもよい。前者の場合、均一な組成の第2層4を得ることができ、性能の均質化が図られる。一方、後者の場合、単一の組成では両立させにくい特性を両立させることのできる第2層4が得られる。
【0100】
4.気体分離膜の用途
実施形態に係る気体分離膜1は、ガス分離回収、ガス分離精製等に用いることができる。特に、二酸化炭素とその他の気体成分とを含む混合気体から、二酸化炭素を選択透過させる用途で、気体分離膜1が好ましく用いられる。これにより、例えば大気に含まれる二酸化炭素を分離回収する技術(直接空気回収(DAC))や、メタンが主成分である原油随伴ガスや天然ガスから二酸化炭素を分離回収する技術にも気体分離膜1を適用することができる。また、気体分離膜1は、気相中での分離に限らず、液相中での分離にも用いることができる。
【0101】
5.前記実施形態が奏する効果
以上のように、前記実施形態に係る気体分離膜1は、第1層3と、第2層4と、を有する。第2層4は、第1層3の上面31(一方の面)に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている。また、気体分離膜1では、第2層4の平均厚さが、第1層3の平均厚さより薄く、かつ、第2層4がインクジェット被膜である。
【0102】
インクジェット被膜である第2層4は、インク滴が定着してなる第1固着膜41の集合体であるため、膜厚を十分に薄くしたとしても膜切れを生じにくいものとなる。このため、平均厚さが十分に薄くても、上面31に対する被覆率が高い第2層4が実現される。また、第1固着膜41は、膜厚分布を有するため、比表面積が広い。このため、第2層4の構成材料と混合ガスとの接触機会を増やすことができ、選択分離性を高めることができる。したがって、上記の構成によれば、高い選択分離性を確保しつつ、高い気体透過性を実現する気体分離膜1が得られる。
【0103】
また、気体分離能を有する化合物は、PET、POM、PLA、PDMS、セルロース、またはカップリング剤に由来する構造を含んでいてもよい。このような化合物は、特に酸性ガスに対して親和性を有し、良好な選択分離性を有する第2層4を実現する。
【0104】
また、気体分離能を有する化合物は、PDMSが含むメチル基のうちの一部が持つ水素原子の1つが水酸基またはアミノ基で置換されてなるPDMS誘導体を含んでいてもよい。これにより、気体の選択分離性と気体透過性とのさらなる両立が図られた気体分離膜1が得られる。
【0105】
また、第1層3に対する第2層4の被覆率は、95.0%以上であることが好ましい。これにより、仮に第1層3にピンホールが存在していたとしても、それを第2層4で塞ぐ確率が高くなり、目的とする気体成分以外の成分が透過する比率を抑えることができる。その結果、第2層4の選択分離性(特定の気体成分の分離比)を十分に高めることができる。
【0106】
また、第2層4の平均厚さは、1nm以上100nm以下であることが好ましい。これにより、第2層4の選択分離性を確保しつつ、気体透過性を高めることができる。
【0107】
また、第1層3は、オルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。これにより、特に二酸化炭素に対して良好な気体透過性を有する第1層3が得られる。
【0108】
また、第2層4は、多層構造であってもよい。これにより、1層目のインクジェット被膜401が隙間44を有する場合であっても、2層目以上のインクジェット被膜402によってこの隙間44を埋めることができる。その結果、隙間44によって気体分離膜1の選択分離性が低下してしまう課題を解消または軽減させることができる。
【0109】
また、実施形態に係る気体分離膜の製造方法は、第1層3と、第1層3の上面31(一方の面)に設けられ、気体分離能を有する化合物で構成されている第2層4と、を有する気体分離膜1を製造する方法であって、第2層形成工程S104を有する。この第2層形成工程S104では、第1層3の上面31に対し、前述した化合物を含むインクをインクジェット法で吐出することにより、平均厚さが第1層3よりも薄い第2層4を形成する。
【0110】
このような気体分離膜の製造方法によれば、第2層4をインクジェット法で成膜するため、第2層4の膜厚を十分に薄くしたとしても膜切れを生じさせにくい。このため、平均厚さが十分に薄くても、上面31に対する被覆率が高い第2層4を効率よく形成することができる。また、膜厚分布を有し、比表面積が広い第2層4を得ることができる。このため、高い選択分離性を確保しつつ、高い気体透過性を実現する気体分離膜1を製造することができる。
【0111】
第2層形成工程S104は、第1操作と、第2操作と、を含む。第1操作では、第1層3の上面31(一方の面)にインク62の液滴を並べて、インクジェット被膜401(第1吐出膜)を形成する。第2操作では、インクジェット被膜401の上にインク62の液滴を並べて、インクジェット被膜402(第2吐出膜)を形成する。
【0112】
このような構成によれば、インクジェット被膜401が有する隙間44と重なるようにインクジェット被膜402を高い確率で配置することができる。これにより、被覆率が特に高い第2層4を、膜厚を必要以上に厚くすることなく、かつ、効率よく(高速に)形成することができる。
【0113】
また、第1操作で吐出するインク62の液滴の体積は、10pL以上100pL以下であることが好ましい。さらに、第2操作で吐出するインク62の液滴を、第1操作で吐出するインク62の液滴よりも小さくすることが好ましい。これにより、隙間44の少ないインクジェット被膜401を形成することができ、かつ、第2層4の膜厚を必要以上に厚くすることなく、被覆率の高い第2層4を得ることができる。
【0114】
また、インク62は、20℃における静的表面張力が20mN/m以上80mN/m以下であり、20℃における粘度が2mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。これにより、インク62を吐出する下地である第1層3にピンホール等があったとしても、インク62が染み込むことが抑制され、ピンホール等を覆うように被膜化されやすくなる。その結果、第2層4の被覆率を特に高めることができる。
【0115】
また、インク62は、O/W型エマルションを含むことが好ましい。これにより、環境負荷が小さく、かつ、既存の水系インク用のインクジェットヘッド61で使用可能なインク62を調製することができる。
【0116】
以上、本発明に係る気体分離膜および気体分離膜の製造方法について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0117】
例えば、本発明に係る気体分離膜は、前記実施形態の各部が同様の機能を有する構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。また、本発明に係る気体分離膜の製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
【実施例0118】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
6.気体分離膜の作製
6.1.実施例1
まず、第1層としてのPDMSシートを用意する。PDMSシートは、ポリジメチルシロキサンで構成された厚さ30μmのシートである。次に、PDMSシートの一方の面に、活性化処理としてプラズマ処理を施した。
【0119】
次に、ポリ乳酸(PLA)を含むO/W型エマルションを調製した。次に、このO/W型エマルションと、グリセリンと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、2-ピロリドンと、を混合し、インクを調製した。調製したインクの静的表面張力は35mN/m、粘度は10mPa・s、密度は1.1g/ccであった。
【0120】
次に、調製したインクを用い、インクジェット法により、1層目のインクジェット被膜を形成した。このとき、隣り合う第1固着膜同士が接するようにインク滴の吐出位置を設定した。インクの吐出速度は5m/s、インクの吐出周波数は10kHz、インク滴の体積は50pL、インク液の着弾によって形成される乾燥前の被膜の厚さは0.1μmであった。
【0121】
次に、1層目のインクジェット被膜に対し、インクジェット法により、2層目のインクジェット被膜を形成した。このとき、第1固着膜同士の隙間に対応する位置に、インク滴の吐出位置を設定した。インクの吐出条件は、インク滴の体積を減らしたこと以外、1層目の吐出条件と同様である。形成した第2固着膜の平均直径は、第1固着膜の平均直径の40%であった。以上のようにして気体分離膜を得た。
【0122】
6.2.実施例2~16
製造条件を表1または表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして気体分離膜を得た。なお、第1固着膜や第2固着膜の直径を変更するため、インク滴の体積を調整した。また、実施例10では、ポリジメチルシロキサンに含まれるメチル基が持つ水素原子の一部を水酸基(-OH)で置換した。さらに、実施例11では、ポリジメチルシロキサンに含まれるメチル基が持つ水素原子の一部をアミノ基(-NH)で置換した。
【0123】
6.3.比較例1
インクジェット法に代えて、スピンコート法を採用するとともに、製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして気体分離膜を得た。
【0124】
6.4.比較例2
インクジェット法に代えて、バーコート法を採用するとともに、製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして気体分離膜を得た。
【0125】
6.5.比較例3
インクジェット法に代えて、スピンコート法を採用するとともに、製造条件を表2に示すように変更した以外は、実施例16と同様にして気体分離膜を得た。
【0126】
6.6.比較例4
インクジェット法に代えて、バーコート法を採用するとともに、製造条件を表2に示すように変更した以外は、実施例16と同様にして気体分離膜を得た。
【0127】
7.気体分離膜の評価
各実施例および各比較例の気体分離膜について、以下のような評価を行った。
【0128】
7.1.気体透過性
各実施例および各比較例の気体分離膜を直径5cmの円形に切り取り、試験サンプルを作製した。次に、ガス透過率測定装置を用い、二酸化炭素:窒素が体積比13:87で混合されてなる混合気体を試験サンプルの上流側に供給した。なお、上流側の全圧が5MPa、二酸化炭素の分圧が0.65MPa、流量が500mL/min、温度が40℃となるように調整した。そして、試験サンプルを透過してきた気体成分をガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0129】
次に、分析結果から、気体分離膜における二酸化炭素の気体透過速度RCO2を算出した。続いて、第2層の形成を省略した気体分離膜(第1層のみで構成した気体分離膜)について算出した気体透過速度RCO2を基準にしたとき、各実施例および各比較例の気体分離膜について算出した気体透過速度RCO2がどの程度減少したかを、「CO透過性減少率」として算出した。CO透過性減少率とは、前述した基準に対する減少幅の割合である。そして、算出したCO透過性減少率を以下の評価基準に照らすことにより、気体分離膜の気体透過性を相対評価した。評価結果を表1および表2に示す。
【0130】
A:CO透過性減少率が20%以下である
B:CO透過性減少率が20%超30%以下である
C:CO透過性減少率が30%超である
【0131】
7.2.選択分離性
前述した分析結果から、気体分離膜における窒素の気体透過速度RN2を算出した。続いて、窒素の気体透過速度RN2に対する二酸化炭素の気体透過速度RCO2の比率RCO2/RN2を算出した。そして、比率RCO2/RN2を以下の評価基準に照らすことにより、気体分離膜の選択分離性を相対評価した。評価結果を表1および表2に示す。
【0132】
A:比率RCO2/RN2が比較例1より大きい
B:比率RCO2/RN2が比較例1と同等
C:比率RCO2/RN2が比較例1より小さい
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
表1および表2から明らかなように、各実施例の気体分離膜は、基準に対する気体透過性の低下が少なく(CO透過性減少率が小さく)、かつ、比較例1に比べて選択分離性が高かった。つまり、本発明によれば、目的とする気体の選択分離性が高く、かつ、気体透過性も良好な気体分離膜を実現できることがわかった。
【0136】
これに対し、各比較例の気体分離膜では、第2層の膜厚を十分に薄くすることができなかった。このため、基準に対する気体透過性の低下が大きく、かつ、選択分離性も十分ではなかった。このことから、インクジェット法を用いることで、薄くても被覆率の高い第2層を形成可能であることが裏付けられた。
【符号の説明】
【0137】
1…気体分離膜、3…第1層、4…第2層、31…上面、41…第1固着膜、42…中央部、43…周縁部、44…隙間、45…第2固着膜、61…インクジェットヘッド、62…インク、401…インクジェット被膜、402…インクジェット被膜、411…第1列、412…第2列、413…第3列、S102…第1層準備工程、S104…第2層形成工程、φ41…平均直径、φ45…平均直径
図1
図2
図3
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図8