(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060798
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】水栓カバー
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240425BHJP
E03B 9/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03B9/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168309
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 由加理
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA10
2D060BB03
2D060BC30
2D060BD01
2D060BE11
(57)【要約】
【課題】水栓からの盗水や水栓に対するいたずらだけでなく、水栓の盗難も防止することができる水栓カバーを提供する。
【解決手段】水栓2を覆う水栓カバー1は、水栓2を覆った状態で水栓2の操作を可能とするための開閉可能かつ閉状態で施錠可能な扉11と、本体部31と円筒状の凸部32を有するボルト状で中心軸と同軸の連結孔部31aと内径部32aとを有するアダプタ3と、を有する。アダプタ3の本体部31に水栓2の連結部21aが取付けられた状態で水栓カバー1に設けられた丸孔14から凸部32を水栓カバー1の外部に露出させ水栓柱Pに連結させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓を覆う箱状の水栓カバーであって、
前記水栓を覆った状態で前記水栓の操作を可能とするための開閉可能かつ閉状態で施錠可能な扉と、頭部と軸部を有するボルト状で中心軸と同軸の通水孔を有するアダプタと、を有し、
該アダプタの前記頭部に前記水栓の給水口が前記通水孔と水密を保って取付けられた状態で前記水栓カバーに設けられた孔から前記軸部を前記水栓カバーの外部に露出させ設置個所に連結させることで前記水栓と前記水栓カバーを前記設置個所に固定する水栓カバー。
【請求項2】
請求項1において、
前記扉の施錠はシリンダ錠によってされるものである水栓カバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記水栓カバーにおける前記水栓の下側には、前記水栓の吐水口に一端が取付けられたホースを通すホース孔が設けられている水栓カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓カバーに関する。詳しくは、水栓からの盗水及び水栓の盗難を防止する水栓カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設置された水栓を覆い隠して施錠し、盗水やいたずらを防ぐための盗水防止装置が提案されている。特許文献1に開示された盗水防止装置においては、水栓のハンドルを外して露出した状態の回転軸部分を、コの字部材により水栓の胴部を挟んだ状態で被覆し、コの字部材の先端部分にピンを掛け渡すことで水栓にコの字部材を固定している。そして、ピンとコの字部材が外れないように施錠する鍵を設けることによって盗水やいたずらを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された水栓カバーにおいては、屋外に設置された水栓からの盗水や水栓に対するいたずらを防止することはできる。しかし、特許文献1に開示された水栓カバーは、水栓の一部分を被覆するにとどまり、近年の金属価格の高騰に起因する水栓自体の盗難を防止することはできないという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、水栓からの盗水や水栓に対するいたずらだけでなく、水栓の盗難も防止することができる水栓カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、水栓を覆う箱状の水栓カバーであって、前記水栓を覆った状態で前記水栓の操作を可能とするための開閉可能かつ閉状態で施錠可能な扉と、頭部と軸部を有するボルト状で中心軸と同軸の通水孔を有するアダプタと、を有し、該アダプタの前記頭部に前記水栓の給水口が前記通水孔と水密を保って取付けられた状態で前記水栓カバーに設けられた孔から前記軸部を前記水栓カバーの外部に露出させ設置個所に連結させることで前記水栓と前記水栓カバーを前記設置個所に固定することを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、水栓は水栓カバーで覆われた状態で設置個所に固定されており、水栓を使用する時には扉の施錠を解除して扉を開けて操作を行い、使用しないときには施錠して扉が開かない状態とする。これによって、水栓からの盗水や水栓に対するいたずらを防ぐことができるとともに、水栓だけを設置個所から取り外すことができないことから水栓の盗難を抑制することもできる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記扉の施錠はシリンダ錠によってされるものであることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、南京錠等に比べて解除されにくいとともに、外部に露出する部分が少なく見栄えも良い。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記水栓カバーにおける前記水栓の下側には、前記水栓の吐水口に一端が取付けられたホースを通すホース孔が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、水栓の吐水口に一端が取付けられたホースをホース孔から箱体の外部に出し他端から吐水できる。これによって、ホースを扉から外部に出す必要がなく水栓使用時の取り扱い性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である水栓カバーの側面図である。
【
図2】上記実施形態における水栓カバーの平面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III矢視線断面図である。
【
図4】上記実施形態における水栓カバーのアダプタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る水栓カバー1について、
図1~
図4を用いて説明する。水栓カバー1は、例えば屋外のように水栓からの盗水や水栓自体の盗難にあうおそれが大きい箇所に設置される水栓2を覆って盗水や盗難を防ぐためのものである。各図において、水栓2を基準とした前後左右上下の各方向を矢印で示し、方向に関する記述はこの矢印で示す方向に基いて行うものとする。
【0014】
図1~
図3に示すように、水栓カバー1は屋外設置された水栓柱Pに取付けられた水栓2を覆う直方体のボックス状の筐体である。水栓2を取付けたアダプタ3を介して水栓カバー1は水栓柱Pに固定される。
【0015】
水栓2は、単水栓で胴部21と、スパウト22と、ハンドル23と、を有する。胴部21の後側には円筒状の連結部21aが形成され、連結部21aの前側の付け根部分には径方向に拡がったフランジ部21bが形成されている。連結部21aには、雄ねじが切られている。ハンドル23を左右前後方向(水平方向)に回転させることで、連結部21aから胴部21の中に供給された水をスパウト22の前端の吐水口22aから外部に吐出できるようになっている。スパウト22は、胴部21に対し左右上下方向に回転できるようになっている。ここで、連結部21aが、特許請求の範囲の「給水口」に相当する。
【0016】
図1~
図3に示すように、水栓カバー1は、鋼板製の箱体で左側側面に前側端部をヒンジ(図示せず)として左方向に向かって開閉できる扉11を有している。扉11は、側面視で矩形状をしており、長軸方向である上下方向の寸法は、水栓カバー1の上下方向寸法より若干短く、短軸方向である前後方向の寸法は、水栓カバー1の前後方向寸法の2/3程度とされている。扉11を開いたとき、水栓カバー1の中に手を入れて水栓2のハンドル23操作が支障なくできるような寸法とされている。扉11の後下側の内部にはシリンダ錠12が取付けられている。そして、シリンダ錠12の左側端部には鍵穴を外部から見えなくする鍵穴カバー12aが取付けられている。鍵穴カバー12aは、上方のカバー軸12bを中心に上下に回転させることで鍵穴の開閉を可能とする。扉11の後上側には取っ手13が配設されている。水栓カバー1の後面部の略中央部には、アダプタ3の凸部32を通すための丸孔14が形成されている。また、水栓カバー1の下面部の前側には、ホース(図示せず)を通すための円形のホース孔15が形成されている。ホース孔15の内側には開閉可能な蓋15aが配設されている。水栓カバー1は、外側内側とも防錆のための塗装がされているのが望ましい。コスト増を許容できれば、ステンレス製とすることもできる。ここで、丸孔14が、特許請求の範囲の「孔」に相当する。
【0017】
図1~
図4に示すように、アダプタ3は金属又は樹脂製の部材で、六角柱状の本体部31と、本体部31と同軸で立設された円筒状の凸部32と、を有する。本体部31には凸部32の内径部32aと水密状態でつながる円柱状の連結孔部31aが形成されている。連結孔部31aの内径部分には水栓2の連結部21aの雄ねじに螺合する雌ねじが切られている。凸部32の外径部32bには、雄ねじが切られている。ここで、連結孔部31aと内径部32aが、特許請求の範囲の「通水孔」に相当する。また、本体部31と凸部32が、それぞれ特許請求の範囲の「頭部」と「軸部」に相当する。
【0018】
図1~
図3に基づき、水栓2と水栓カバー1を水栓柱Pに取付ける手順について説明する。まず、アダプタ3の凸部32を水栓カバー1の丸孔14に通し、凸部32の雄ねじを水栓柱Pの水供給管の内径部に切られた雌ねじ部に対して螺合させて水栓カバー1を水栓柱Pに対して固定する。次に、アダプタ3の連結孔部31aの雌ねじに水栓2の連結部21aの雄ねじを螺合させてアダプタ3に対し水栓2を取付ける。あるいは、まず、水栓2の連結部21aの雄ねじに対しアダプタ3の連結孔部31aの雌ねじを螺合させて水栓2とアダプタ3を一体化する。この状態で、アダプタ3の凸部32を水栓カバー1の丸孔14に通し、本体部31の六角形の外周部分にスパナ等の工具をあてがって水栓2とともに回転させて水栓柱Pの水供給管の内径部に切られた雌ねじ部に対して締め付け固定してもよい。このとき、あるいは、アダプタ3に予め水栓2を取付けた状態で、ここで、水栓柱Pが、特許請求の範囲の「設置個所」に相当する。
【0019】
水栓2と水栓カバー1が水栓柱Pに取付けられた状態で、扉11のシリンダ錠12を解錠して扉11を開け、水栓2のスパウト22の吐水口22aに一端を取付けたホースを他端からホース孔15を通して外部に出し他端を所望の場所に配置して水栓2のハンドル23を操作してホースの他端から水を出す。水の使用を中止する時は、ハンドル23を操作して水を止め、ホースをスパウト22から取り外してホース孔15から外部に抜き取り、蓋15aをする。そして、扉11を閉めてシリンダ錠12を施錠し鍵穴カバー12aを閉じる。水栓2を使用しないときは、常にこの状態を保つものとする。水栓2を使用しないときホースは水栓2から取り外して水栓カバー1の中に入れておいてもよい。
【0020】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。水栓2は水栓カバー1で覆われており、水栓2を使用する時には扉11のシリンダ錠12の施錠を解除して扉11を開け手を入れてハンドル23の操作を行う。水栓2を使用しないときには扉11を閉じてシリンダ錠12を施錠した状態とする。これによって、水栓2からの盗水や水栓2に対するいたずらを防ぐことができるとともに、水栓2だけを水栓柱Pから取り外すことができないことから水栓2の盗難を抑制することもできる。
【0021】
また、扉11の施錠はシリンダ錠12によってされるものであるので、南京錠等による施錠に比べて解除されにくいとともに、外部に露出する部分が少なく見栄えも良い。さらに、水栓カバー1の下面部には、ホースを通すホース孔15が設けられている。これによって、水栓2の吐水口22aに一端が取付けられたホースをホース孔15から水栓カバー1の外部に出し他端から吐水できるので、ホースを扉11から外部に出す必要がなく水栓2を使用する時の取り扱い性がよい。
【0022】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0023】
1.上記実施形態においては、扉11の施錠にシリンダ錠12を用いたが、外観の悪化と解錠され易さを許容すれば扉11と本体との間を南京錠で施錠するようにすることもできる。
【0024】
2.上記実施形態においては、水栓カバー1の下面部にホース孔15を形成したが、ホース孔15は、前面部や後面部、右側面部等に形成することもできる。さらには、ホース孔15を形成せずホースを扉11の開口部から外部に出すようにしてもよい。
【0025】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0026】
1 水栓カバー、2 水栓、3 アダプタ、11 扉、12 シリンダ錠、14 丸孔(孔)、15 ホース孔、21a 連結部(給水口)、22a 吐水口、31 本体部(頭部)、31a 連結孔部(通水孔)、32 凸部(軸部)、32a 内径部(通水孔)、P 水栓柱