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特開2024-60813情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060813
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240425BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168333
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】川崎 真弘
(72)【発明者】
【氏名】宮内 英里
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】2人の関係性の判断を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得する取得部と、検出結果を位相化する位相化部と、複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の位相化されたデータのシンクロ率を算出するシンクロ率算出部と、シンクロ率に基づいて、1組以上の組み合わせに対して組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断する判断部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得する取得部と、
前記検出結果を位相化する位相化部と、
前記複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の前記位相化されたデータのシンクロ率を算出するシンクロ率算出部と、
前記シンクロ率に基づいて、前記1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断する判断部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記位相化部は、取得した検出結果を用いて運動リズムを算出し、算出した前記運動リズムを位相化する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記位相化部は、前記検出結果を、X軸方向成分とY軸方向成分とZ軸方向成分に分解し、前記X軸方向成分とY軸方向成分とZ軸方向成分それぞれを位相化し、
前記シンクロ率算出部は、前記組み合わせを構成する2人の同じ軸成分同士の位相化されたデータを用いて前記シンクロ率を算出する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記位相化部は、複数の利用者について、前記利用者を識別する利用者識別情報に、前記位相化されたデータを関連付けてデータベースを構築し、
前記シンクロ率算出部は、前記データベースを参照して他の利用者の前記位相化されたデータを抽出し、抽出した前記他の利用者の位相化されたデータと、前記複数の利用者それぞれの前記位相化されたデータとの前記シンクロ率を算出する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記他の利用者の位相化されたデータと、前記複数の利用者それぞれの前記位相化されたデータとの前記シンクロ率に基づいて、前記複数の利用者それぞれと前記他の利用者の組である2人の利用者の関係性を判断する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記シンクロ率算出部は、前記複数の利用者それぞれと、前記他の利用者との前記シンクロ率を算出し、
前記判断部は、前記シンクロ率に基づいて、前記複数の利用者それぞれと前記他の利用者の組である2人の利用者の関係性を判断し、前記シンクロ率が所定値より高い前記他の利用者を選択する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記シンクロ率に基づいて、前記複数の利用者それぞれと前記他の利用者の組である2人の関係性を判断し、複数の利用者を選択する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置のコンピュータが、
複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得し、
前記検出結果を位相化し、
前記複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の前記位相化されたデータのシンクロ率を算出し、
前記シンクロ率に基づいて、前記1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断する、
情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置のコンピュータに、
複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得させ、
前記検出結果を位相化させ、
前記複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の前記位相化されたデータのシンクロ率を算出させ、
前記シンクロ率に基づいて、前記2人の利用者の関係性を判断させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人と人とのコミュニケーションにおいて、相性が注目されている。従来、相性は、相性診断などに用いられてきた。このような従来の相性診断などのほとんどは、主観に基づいたプロファイリングやアンケートをもとに行われている。また、近年、スマートフォンによってマッチングアプリケーションが利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の人の間に生じる相互作用を推定する技術が開示されている。また、特許文献2は、ユーザそれぞれが利用しているロボットの使われ方に基づいて。ロボットと他のロボットとの相性を判断することで、ユーザ同士の相性を判断する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-194476号公報
【特許文献2】特開2020-64420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、マッチングの正確度が低くなる問題やマッチング成立に時間がかかる問題が残っている。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、2人の関係性の判断を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得する取得部と、前記検出結果を位相化する位相化部と、前記複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の前記位相化されたデータのシンクロ率を算出するシンクロ率算出部と、前記シンクロ率に基づいて、前記1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断する判断部と、を備える。
【0008】
(2)また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記位相化部が、取得した検出結果を用いて運動リズムを算出し、算出した前記運動リズムを位相化する、上記(1)に記載の情報処理装置である。
【0009】
(3)また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記位相化部は、前記検出結果を、X軸方向成分とY軸方向成分とZ軸方向成分に分解し、前記X軸方向成分とY軸方向成分とZ軸方向成分それぞれを位相化し、前記シンクロ率算出部は、前記組み合わせを構成する2人の同じ軸成分同士の位相化されたデータを用いて前記シンクロ率を算出する、上記(1)または(2)に記載の情報処理装置である。
【0010】
(4)また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記位相化部は、複数の利用者について、前記利用者を識別する利用者識別情報に、前記位相化されたデータを関連付けてデータベースを構築し、前記シンクロ率算出部は、前記データベースを参照して他の利用者の前記位相化されたデータを抽出し、抽出した前記他の利用者の位相化されたデータと、前記複数の利用者それぞれの前記位相化されたデータとの前記シンクロ率を算出する、上記(1)から(3)のうちのいずれか1つに記載の情報処理装置である。
【0011】
(5)また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記判断部は、前記他の利用者の位相化されたデータと、前記複数の利用者それぞれの前記位相化されたデータとの前記シンクロ率に基づいて、前記複数の利用者それぞれと前記他の利用者の組である2人の利用者の関係性を判断する、上記(4)に記載の情報処理装置である。
【0012】
(6)また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記シンクロ率算出部は、前記複数の利用者それぞれと、前記他の利用者との前記シンクロ率を算出し、前記判断部は、前記シンクロ率に基づいて、前記複数の利用者それぞれと前記他の利用者の組である2人の利用者の関係性を判断し、前記シンクロ率が所定値より高い前記他の利用者を選択する、上記(4)に記載の情報処理装置である。
【0013】
(7)また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記判断部は、前記シンクロ率に基づいて、前記複数の利用者それぞれと前記他の利用者の組である2人の関係性を判断し、複数の利用者を選択する、上記(4)に記載の情報処理装置である。
【0014】
(8)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置のコンピュータが、複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得し、前記検出結果を位相化し、前記複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の前記位相化されたデータのシンクロ率を算出し、前記シンクロ率に基づいて、前記1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断する、情報処理方法である。
【0015】
(9)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るプログラムは、情報処理装置のコンピュータに、複数の利用者が行った運動を検出した検出結果を含むデータを取得させ、前記検出結果を位相化させ、前記複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して前記組み合わせを構成する2人の利用者の前記位相化されたデータのシンクロ率を算出させ、前記シンクロ率に基づいて、前記2人の利用者の関係性を判断させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
上述した(1)~(9)によれば、人の関係性の判断を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る運動リズムの測定例を説明するための図である。
図3】検出結果の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る他の測定方法例を説明するための図である。
図5】第1実施形態に係るシンクロ率の算出方法例を説明するための図である。
図6】第1の利用者と第2の利用者の時間対振幅の例を示す図である。
図7】第1の利用者と第2の利用者の位相差の時間変化の例を示す図である。
図8】シンクロ率による判断結果を説明するための図である。
図9】第1実施形態に係る記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図10】第1実施形態に係る情報処理システムが行う処理手順のフローチャートである。
図11】判断結果の例を示す図である。
図12】第2実施形態に係る測定方法の一例を説明するための図である。
図13】2者のタッピング回数とタッピング間隔の関係を示す図である。
図14】TE分析について説明するための図である。
図15】リーダー群とフォロワー群のAQ、EQ、SQスコアの平均値の例を示す図である。
図16】第2実施形態に係る情報処理システムが行う処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。図1のように、情報処理システム1は、例えば、端末2(2-1,2-2,…)と、情報処理装置3を備える。
端末2と情報処理装置3は、互いにネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、有線ネットワークであっても無線ネットワークであってもよい。なお、以下の説明では、端末2-1,2-2,…のうちの1つを特定しない場合は、端末2という。
【0020】
端末2は、例えば、操作部21と、表示部22と、検出部23と、処理部24と、通信部25を備える。
情報処理装置3は、例えば、取得部31と、位相化部32と、シンクロ率算出部33と、記憶部34と、判断部35と、出力部36を備える。
【0021】
端末2は、例えば情報処理装置3から測定用のアプリケーションがダウンロードされてインストールされる。なお、アプリケーションの提供は、情報処理装置3でなく他の装置であってもよい。端末2は、アプリケーションを用いて測定を行い、測定データを情報処理装置3へ送信する。端末2は、情報処理装置3から例えばマッチング判断結果を含む判断情報を取得して提示する。端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム端末、専用端末、ノートパソコン等である。
【0022】
操作部21は、例えば、キーボード、ゲームパッド、タッチパッド、マウス等である。なお、操作部21は、表示部22に設けられたタッチパネルであってもよい。この場合は、操作部21が検出部23を兼用するようにしてもよい。
【0023】
表示部22は、例えば、液晶表示装置、有機EL(Electro-Luminescence:)表示装置等である。
【0024】
検出部23は、利用者の操作を検出するセンサである。検出部23は、例えば、利用者の動きを検出する6軸センサ、モーションセンサ、キーボードなどが押された音を検出するマイクロフォン等である。または、検出部23は、撮影装置である。あるいは、検出部23は、脳波検出センサである。
【0025】
処理部24は、インストールされる測定用アプリケーションに応じて、アプリケーションを表示部22に表示させ、利用者がアプリケーションに応じて操作した検出結果を検出部23によって検出する。処理部24は、アプリケーションに応じて検出結果に、利用者を識別するための利用者識別情報を付与した検出結果を含むデータを、通信部25を介して情報処理装置3へ送信する。なお、検出結果を含むデータには、検出した方法を示す情報、検出した日時を示す情報等が含まれていてもよい。
【0026】
通信部25は、アプリケーションを受信する。通信部25は、検出結果を送信する。
【0027】
情報処理装置3は、端末2から検出結果を取得し、取得した検出結果を処理して利用者毎の固有リズムを算出する。情報処理装置3は、2人の利用者のシンクロ率を算出する。なお、2人の利用者の組み合わせは、利用者によって予め決められていてもよく、あるいは複数の利用者の中から1人を順次抽出し、抽出した1人と残りの利用者のうちの1人の組み合わせ等であってもよい。情報処理装置3は、固有リズム、シンクロ率に基づいて、2人の利用者の関係性を判断する。なお、2者の関係性とは、例えば2者の人間関係の繋がり具合であり、例えば、恋人同士、夫婦、友達同士、仕事仲間等において、2者の相性が良いのか悪いのか、気が合うのか合わないのか、作業のテンポが合うのか合わないのか等である。
【0028】
取得部31は、端末2から複数の利用者の検出結果を含むデータを取得する。例えば、取得部31は、複数の利用者の検出結果を含むデータを、利用者毎、2人の利用者の組毎または3人以上の複数の利用者毎に取得する。
【0029】
位相化部32は、検出結果を用いて位相化する。位相化部32は、利用者識別情報に、位相化したデータを関連付けて記憶部34に記憶させる。なお、位相化部32は、検出結果から運動リズムを算出し、算出した運動リズムを位相化するようにしてもよい。また、位相化部32は、検出結果を、X軸方向成分とY軸方向成分とZ軸方向成分に分解する。なお、本実施形態において、位相化とは、例えば、有限スペースにおけるX、Y、またはZ軸方向での動きに対して、1方向の極値を山、反対方向(前者の180°反対方向)の極値を谷として1周期を仮定し、その期間で位相を作ることである。なお、位相化は、これに限らない。なお、位相化方法、運動リズムの算出方法については後述する。
【0030】
シンクロ率算出部33は、2人の利用者の位相のシンクロ率を算出する。シンクロ率算出部33は、シンクロ率算出部33が算出した結果に基づいて、2者の利用者の組み合わせを選択する。なお、シンクロ率の算出方法については後述する。なお、選択する2人の利用者の組み合わせは、利用者によって予め決められていてもよく、あるいは複数の利用者の中から1人を順次抽出し、抽出した1人と残りの利用者のうちの1人の組み合わせ等であってもよい。このように、シンクロ率算出部33は、複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して組み合わせを構成する2人の利用者の位相化されたデータのシンクロ率を算出するようにしてもよい。
【0031】
記憶部34は、算出に用いられる式、判断に用いられる閾値、測定用アプリケーション等を記憶する。記憶部34は、利用者毎に、利用者識別情報に位相化したデータを関連付けて記憶する。記憶部34は、例えば、シンクロ率の範囲毎(例えば20以下、20~39、40~59,60~80、80以上)に相性判断結果を関連付けて記憶する。
【0032】
判断部35は、シンクロ率に基づいて、2者の関係性を判断する。なお、判断部35は、前記シンクロ率に基づいて、1組以上の利用者の組み合わせに対して組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断するようにしてもよい。判断部35は、判断結果(含むシンクロ率)を、出力部36を介して端末2へ出力する。
【0033】
出力部36は、選択結果を端末2へ出力する。
【0034】
[運動リズムの測定方法、算出例]
次に、運動リズムの測定方法と算出例を、図2図4用いて説明する。なお、本実施形態において運動リズムとは、利用者が所定の運動(例えば、タッピング、ダンス等)を行った場合に取得される検出結果の中心値、ゆらぎなどを有する固有リズムである。
【0035】
(第1の測定方法;タッピング)
図2は、本実施形態に係る運動リズムの測定例を説明するための図である。
測定用アプリケーションは、例えば、利用者に対して好きなペースで一定の時間間隔でキーボードの操作部21等を押すことをすることを要求する。利用者は、操作部21を好きなペースで一定の時間間隔で押すまたはタップする。検出部23は、押されたまたはタップされたことを検出する。
【0036】
図3は、検出結果の一例を示す図である。図3において、横軸はタッピング間隔(sec)、縦軸はタッピング回数(回)である。
位相化部32は、タッピング回数が多い(最大値または極大値)タッピング間隔を利用者の運動リズムR1とする。または、位相化部32は、タッピング間隔と回数の分布において平均値または標準偏差を算出し、算出した平均値または標準偏差を利用者の運動リズムR1とする。
【0037】
なお、上述した運動リズムの算出方法は一例であり、これに限らない。例えば参考文献1には、タッピング動作時の利用者の脳波を測定して解析する手法が記載されている。そして、参考文献1では、タッピング期間と観察期間の各時点の振幅を、次式(1)のように元の脳波信号s(t)を複素モレット波動関数w(t,f)で畳み込んだ結果のアークタンジェントとしている。
【0038】
【数1】
【0039】
式(1)において、σはガウス窓の標準偏差、例えば、fは1Hzから20Hz(1Hzステップ)である。
この手法を用いて、脳波のリズムを運動リズムとして算出するようにしてもよい。
【0040】
参考文献1;Kouki Edagawa, Masahiro Kawasaki, “Beta phase synchronization in the frontal-temporalcerebellar network during auditory-to-motor rhythm learning”, Scientific Reports, 7,(2017), 42721, 2017
【0041】
(第2の測定方法ダンス)
図4は、本実施形態に係る他の測定方法例を説明するための図である。図4の例では、例えば、利用者の体に反射板等を装着(符号g11)してもらい、端末2で撮影してモーションキャプチャーのデータ(符号g12)を所定の時間間隔(サンプリング間隔)で連続して取得する。なお、測定時、アプリケーションは、例えば所定のリズムか曲を再生し、それに合わせて利用者にリズムを取って3次元空間で身体を動かす(例えばダンス)ことを要求する。
【0042】
位相化部32は、取得した検出結果を、周知の手法を用いてX軸方向の成分とY軸方向の成分とZ軸方向の成分に分離する。位相化部32は、利用者識別情報に、このように算出したX軸方向の成分とY軸方向の成分とZ軸方向の成分それぞれを関連付けて記憶部34に記憶させる。
【0043】
[シンクロ率の算出方法例]
次に、シンクロ率の算出方法例を、図5図8を用いて説明する。
【0044】
(第1のシンクロ率算出方法;タッピング)
図5は、本実施形態に係るシンクロ率の算出方法例を説明するための図である。図5において、横軸はタッピング間隔(sec)、縦軸はタッピング回数(回)である。
画像g10は、シンクロ率が低い2人の組み合わせの例である。符号g11は第1の利用者の測定値(運動リズム)であり、符号g12は第2の利用者の測定値(運動リズム)である。第1の利用者の運動リズムは、約400(msec)と約500(msec)である。第2の利用者の運動リズムは、約360(msec)である。
画像g20は、シンクロ率が高い2人の組み合わせの例である。符号g11は第1の利用者の測定値(運動リズム)であり、符号g12は第2の利用者の測定値(運動リズム)である。第1の利用者の運動リズムと第2の利用者の運動リズムは、約460(msec)である。
【0045】
このように、第1の利用者と第2の利用者との運動リズムの差が所定値以上である。シンクロ率算出部33は、このように、第1の利用者と第2の利用者との運動リズムのまたは比を、シンクロ率として算出するようにしてもよい。
【0046】
(位相を用いたシンクロ率の算出方法例)
次に、位相を用いた場合のシンクロ率の算出方法例を説明する。
図6は、第1の利用者と第2の利用者の時間対振幅の例を示す図である。図6において、横軸は時刻、縦軸は振幅の大きさである。なお、シンクロ率は、同じ軸方向の成分を用いて算出する。例えば、第1の利用者のX軸方向の成分(波形g41)と、第2の利用者X軸方向の成分(波形g42)を用いてシンクロ率を算出する。図6の例では、第1の利用者のX軸方向の成分の位相がφであり、第2の利用者のX軸方向の成分の位相がφであったとする。
【0047】
図7は、第1の利用者と第2の利用者の位相差の時間変化の例を示す図である。図7において、横軸は時刻、縦軸は位相差(π~-π)である。また、波形g51は第1の利用者の位相差の時間変化であり、波形g52は第2の利用者の位相差の時間変化である。
【0048】
図8は、シンクロ率による判断結果を説明するための図である。図8において、横軸は実数、縦軸は虚数えある。画像g60は2者の位相が同期している、すなわち相性が良いと判断する状態の例である。画像g70は2者の位相が同期していない、すなわち相性が悪いと判断する状態の例である。
【0049】
(1)第1の算出方法
シンクロ率算出部33は、同じイベント(時刻)で、どのくらい2者の位相が一定であるかを、例えば測定された脳波を用いて次式(2)を用いて評価する(例えば参考文献2参照)。
【0050】
【数2】
【0051】
参考文献2:Kunihiro Aiba, Eri Miyauchi, Masahiro Kawasaki, “Synchronous brain networks for passive auditory perception in depressive states: A pilot study”,Heliyon, 2019
【0052】
なお、式(2)において、tは時刻、fは周波数、Xは第1の利用者の脳波、Yは第2の利用者の脳波、φは位相、Nはエポックの総数である。なお、例えば、Xは第1の利用者の運動リズム、Yは第2の利用者の運動リズムであってもよい。
【0053】
(2)第2の算出方法
シンクロ率算出部33は、同じ時刻窓に対して、どのくらい2者の位相が一定であるかを、例えば測定された脳波を用いて次式(3)を用いて評価する(例えば参考文献3参照)。
【0054】
【数3】
【0055】
なお、式(3)において、Δφjk(t,f)は、j番目とk番目の電極の間の位相差である。iはインデックスである。また、1秒間隔の時間点の数Nは例えば1000である。
【0056】
参考文献3:Masahiro Kawasakia, Keiichi Kitajob, et al., “Sensory-motor synchronization in the brain corresponds to behavioral synchronization between individuals”, Neuropsychologia 119 (2018) p.56-67, 2018
【0057】
(3)第3の算出方法
シンクロ率算出部33は、同じ時刻窓に対して、どのくらい2者の振幅や位相が相関するかを、比較対象の装置、脳波、音声を用いて評価する(例えば参考文献4参照)。なお、相関の比較は、例えば参考文献4のFigure.3~5のように行う。
【0058】
参考文献4:Masahiro Kawasaki, Yohei Yamada, et al., “Inter-brain synchronization during coordination of speech rhythm in human-to-human social interaction”, SCIENTIFIC REPORTS, 2013
【0059】
なお、上述したシンクロ率の算出方法は一例であり、これに限られない。
本実施形態では、算出したシンクロ率に基づいて2者の関係性を判断する。なお、情報処理装置3は、シンクロ率の範囲毎に、2者間の関係性を関連付けて定量化することで、2者間の関係性を判断する。
【0060】
[記憶部が記憶する情報例]
ここで、記憶部34が記憶する情報の一例を説明する。
図9は、本実施形態に係る記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。図9のように、記憶部34は、利用者識別情報に、例えば、検出結果データ、位相化されたデータを関連付けて記憶する。なお、情報処理装置3は、検出結果を相化後に破棄してもよい。
【0061】
[処理手順例]
次に、情報処理システム1が行う処理手順例を説明する。
図10は、本実施形態に係る情報処理システムが行う処理手順のフローチャートである。
【0062】
(ステップS1)取得部31は、端末2から複数の利用者の検出結果を含むデータを取得する。
【0063】
(ステップS2)位相化部32は、検出結果を位相化し、位相化したデータを利用者識別情報に関連付けて記憶部34に記憶させる。
【0064】
なお、位相化部32は、検出結果から運動データを算出し、算出した運動データを位相化するようにしてもよい。
(ステップS3)取得部31は、端末2から判断リクエストを取得する。
【0065】
(ステップS4)シンクロ率算出部33は、取得した判断リクエストに応じて、例えば記憶部34に記憶されている複数の利用者のうち異なる2人の利用者により構成される1組以上の組み合わせに対して組み合わせを構成する2人の利用者を抽出する。
【0066】
(ステップS5)シンクロ率算出部33は、抽出した組み合わせを構成する2人の同じ軸成分同士の位相化されたデータを用いてシンクロ率を算出する。
【0067】
(ステップS6)判断部35は、シンクロ率算出部33が算出した結果に基づいて、1組以上の組み合わせに対して組み合わせを構成する2人の利用者の関係性を判断する。判断部35は、算出した結果に基づいて、例えば、シンクロ率が閾値以上の2者の組み合わせを選択するようにしてもよい。なお、この処理は、行わなくてもよい。
【0068】
(ステップS7)出力部36は、判断結果を端末2へ出力する。または、出力部36は、シンクロ率に基づいて相性判断した結果を端末2へ出力する。
【0069】
[具体例]
ここで、情報処理システム1の利用例を説明する。
利用者(A、B、C、D)は、各自の端末2を操作して測定を行う。測定は、例えばアプリケーションの指示に従って、好きなタイミングでタップする。なお、測定は、上述したように、タップのタイミング、ダンス等の運動をキャプチャ等である。また、測定は、例えば簡易的な脳波センサをスマートフォンやノートパソコンに接続して、脳波も測定可能である場合、脳波も測定するようにしてもよい。
【0070】
情報処理装置3は、利用者(A、B、C、D)それぞれの検出結果を取得し、利用者毎に位相を算出する。
利用者Aは、例えば相性判断を、端末2を操作してリクエストする。
【0071】
情報処理装置3は、利用者Bを抽出し、利用者AとBの位相のシンクロ率を算出する。情報処理装置3は、利用者Cを抽出し、利用者AとCの位相のシンクロ率を算出する。情報処理装置3は、利用者Dを抽出し、利用者AとDの位相のシンクロ率を算出する。
情報処理装置3は、ペア毎のシンクロ率に基づく判断結果、または最もシンクロ率がよい判断結果を、出力部36を介して端末2へ提供する。
【0072】
なお、出力部36が出力する内容は、例えば相性が良い人を示す情報、2者の相性を判断した結果、判断に基づいて編成したチームを構成するメンバーを示す情報等である。なお、情報処理装置3は、利用者に対する最も相性の良い相手をシンクロ率に基づいて抽出するようにしてもよい。例えば、情報処理装置3は、利用者と、複数の他の利用者それぞれとのシンクロ率を算出し、2人の組み合わせのシンクロ率に基づいて、利用者と他の利用者との2人の関係性を判断し、利用者とシンクロ率が高い他の利用者を選択するようにしてもよい。なお、このような場合、情報処理装置3は、記憶部34に記憶されている全ての利用者に対してシンクロ率を算出して最もシンクロ率が高い人を選択してもよく、あるいは、シンクロ率が所定値以上の選択者を選択できた時点で選択を終了するようにしてもよい。
【0073】
また、情報処理装置3が行う処理をアプリケーションが行うようにしてもよい。そして、アプリケーションを情報処理装置3が備えていてもよい。この場合、例えば、端末2は、Webアプリケーションによって測定を行うようにしてもよい。
【0074】
図11は、判断結果の例を示す図である。図11において、符号g101~g104は、2者間の運動リズムを位相化してシンクロ率を算出した結果例である。このような判断結果は、友達との相性判断、恋人や夫婦の相性判断、仕事における仲間との相性判断等に適用することができる。
なお、例えば、会議に参加する人の選択に用いる場合は、相性が良い組み合わせを選択するだけではなく、あえて相性の悪い組み合わせを選択して混ぜるようにしてもよい。
【0075】
これにより、本実施形態によれば、例えば、各利用者の端末2にインストールしたアプリケーションを用いて測定し、情報処理装置3が検出結果を用いて2者の関係性を判断して提示することができる。
【0076】
なお、アプリケーションは、例えばクラウド上で提供するようにしてもよい。また、情報処理装置3が行う処理の内の一部(例えば運動リズムの算出)を、端末2のアプリケーションが行い、算出した運動リズムのデータを情報処理装置3へ送信するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した記憶部34に多数の利用者の運動リズムデータを保管することで、データベースを構築するようにしてもよい。なお、データベースには、図11に示したような各利用者の運動リズム、利用者間のシンクロ率を関連付けて格納するようにしてもよい。
【0078】
<第2実施形態>
第1実施形態では、個々の利用者が測定を行う例を説明したが、これに限らない。例えば、2人が同時に測定に参加できる場合は、2者の測定を行うようにしてもよい。なお測定は、同じ部屋での測定が好ましいが、例えば異なる部屋で会っても1人または2者がオンラインで測定に参加するようにしてもよい。なお、情報処理システム1の構成例は、第1実施形態の図1と同様である。
【0079】
図12は、本実施形態に係る測定方法の一例を説明するための図である。
この測定例では、2人の利用者が鍵盤を順次交互にタップし、タップする間隔を相手と合わせる。符号g201のように、例えば最初に利用者Aがタップし、符号g202のようにそれに合わせようとして利用者Bがタップする。このタップ間隔を合わせるようにタッピングを複数回行う(例えば参考文献3参照)。なお、測定では、例えば、2人の利用者それぞれは、頭部に脳波測定センサを装着して測定を行う。なお、利用者の動作の検出は、例えば、「鍵盤に組み込まれたセンサ」や「腕等の身体につけたモーションセンサ」によって行うようにしてもよい。あるいは、利用者の動作の検出は、RGB画像センサと深度センサや、レーザー等による位置センサ等によって行うようにしてもよい。
【0080】
図13は、2者のタッピング回数とタッピング間隔の関係を示す図である。横軸はタッピング回数(回)、縦軸はタッピング間隔(sec)である。なお、図13は、シンクロ率の悪い組み合わせの例である。
【0081】
交互タッピング課題中の時間-周波数振幅と位相を特定するため、解析対象周波数(f)を中心に時間領域(SDσ)と周波数領域(SDσ)でMorletの関数を用いたウェーブレット変換を適用した。
また、次式(4)、次式(5)のように、各時点の振幅E(t,f)は、元の脳波信号s(t)とモレーのウェーブレット関数w(t,f)の畳み込み結果の2乗ノルムとして算出した。
【0082】
【数4】
【0083】
【数5】
【0084】
なお、σは1/(2πσ)である。
【0085】
使用したウェーブレットは、fが1~20Hzの範囲で1Hz刻みで一定の比率(f/σ=7)を持つ。また、振幅は、各周波数帯のセッション間インターバルで測定したベースラインデータを差し引くことで算出した。そして、各周波数帯の振動振幅は、各条件のセッションのオンセットからオフセットまでの時間帯で平均化した。
この測定では、2者の位相のシンクロ率は、上述した式(3)を用いて算出することができる。
【0086】
また、以下のように、タッピングインターバルのデータを適用するために、離散的なタッピングインターバルデータを連続的なデータに変換することもできる(例えば参考文献5参照)。
各利用者について、あるタップから次のタップまでの間隔を1周期と定義し、1周期の正弦波に変換する。時間tの位相(-πからπまで)は、2人の利用者(X、Y)についてそれぞれx(t)、y(t)と定義する。なお、測定では、最初の10タップをタイミングが不安定なものがあったため、除外した。図14のように、TE(Transfer Entropy)を算出するための行動データ(符号g210)から連続相データ(g220)へ変換する。図14は、TE分析について説明するための図である。TE(X,Y,τ)は、XからYへの時間差τのエントロピーを表し、次式(6)で算出される。
【0087】
【数6】
【0088】
例えば、TEは、タスク条件を制御してT=270秒と定義した時間窓のデータを平均化することで算出した。また、情報フローを推定するために、並べ替え検定(1,000回)を用いてTE(X,Y,τ)とTE(Y,X,τ)を比較した。順列検定でTE間に有意差がある場合は、因果的な情報フローが示された(p<0.05)。
【0089】
参考文献5:Kenji Takamizawa, Masahiro Kawasaki, “Transfer entropy for synchronized behavior estimation of interpersonal relationships in human communication: identifying leaders or followers”, SCIENTIFIC REPORTS, 2019
【0090】
(変形例)
2者で同時に測定を行う場合は、以下のように2者の関係(リーダーかフォロワーか)を求めることもできる(例えば参考文献5参照)。
参考文献5のように、2者の関係(リーダーかフォロワーか)を、3つの質問事項(自閉症スペクトラム指数(AQ)、共感化指数(EQ)、システム化指数(SQ))を、2者に行う。なお、AQは、コミュニケーション能力の障害と制限行動の提示を特徴とする自閉症スペクトラム障害の症状を測定する指標である。EQは共感能力の指標であり、SQは体系化能力の指標である。
【0091】
TE分析を用いて、2者間の因果関係を明らかにし、リーダーとフォロワーを識別することができる。例えば、2人のTEの有意な差を比較した結果は、図15である。図15は、リーダー群とフォロワー群のAQ、EQ、SQスコアの平均値の例を示す図である。図15のように、リーダーグループのSQスコアは、他のグループより有意に高い(p<0.05)。一方、AQ(t=-1.16;p=0.25)、EQ(t=1.34;p=0.18)には有意差は見られなかった。このように、測定において、測定者に対してシステム化指数(SQ)を行い評価することで、リーダーとフォロワーを識別することができる。
【0092】
なお、上述したリーダーとフォロワーを識別方法は一例であり、識別に用いる手法はTE分析に限らない。なお、このように、2者を同時に測定する場合、2者に対して質問を行って収集するようにしてもよい。質問内容は、上述した自閉症スペクトラム指数(AQ)、共感化指数(EQ)、システム化指数(SQ)に限らず、例えば、測定前後の共感度、感想等である。
【0093】
[処理手順例]
次に、情報処理システム1が行う処理手順例を説明する。
図16は、本実施形態に係る情報処理システムが行う処理手順のフローチャートである。
【0094】
(ステップS101)取得部31は、端末2から2人の利用者の検出結果を含むデータを取得する。なお、測定では、上述した、2人の利用者が交互にタップ(または押す)、または2人の利用者が運動している状態をモーションキャプチャーする。
【0095】
(ステップS102)位相化部32は、2者の検出結果それぞれを位相化し、位相化したデータを利用者識別情報に関連付けて記憶部34に記憶させる。なお、位相化部32は、2者の検出結果それぞれから運動リズムを算出し、算出した運動リズムそれぞれを位相化してもよい。
【0096】
(ステップS103)シンクロ率算出部33は、位相化された2人の利用者のシンクロ率を算出する。
【0097】
(ステップS104)判断部35は、シンクロ率算出部33が算出した結果に基づいて、2の利用者の関係性を判断する。
【0098】
(ステップS105)出力部36は、判断結果を端末2へ出力する。または、出力部36は、シンクロ率に基づいて判断した2人の利用者の関係性を示す判断結果を端末2へ出力する。
【0099】
[具体例]
ここで、情報処理システム1の利用例を説明する。
2人利用者(A、B)は、各自の端末2を操作して測定を行う。測定は、例えばアプリケーションの指示に従って、交互にタイミングでタップする、または運動してコミュニケーションを取る。
情報処理装置3は、2者の検出結果を取得し、取得した2者それぞれの検出結果を位相化する。
情報処理装置3は、位相化したデータを用いて、2者のシンクロ率を算出する。
情報処理装置3は、算出したシンクロ率に基づいて、2者の関係性(例えば相性等)を求める。
【0100】
なお、情報処理装置3は、2者に対して行った質問(相手に対する主観的な印象、2者で行った行動の感想)、行動で行った行動の成績も取得して、利用者識別情報、シンクロ率、組み合わせ内容と関連付けて記憶するようにしてもよい。情報処理装置3は、これらの記憶させた情報を用いて、データベースを構築するようにしてもよい。
【0101】
また、情報処理装置3は、算出した2者のシンクロ率を第1実施形態と同様に、記憶部34に記憶させている情報を参照して、2者間の関係性を求めてもよい。あるいは、情報処理装置3は、算出したシンクロ率に重み付け係数を関連付けておき、この重み係数を用いて2者間の関係性を求めてもよい。
【0102】
そして、情報処理装置3は、シンクロ率に基づいて、例えば、2者の相性、チームの相性等を出力する。
【0103】
本実施形態によれば、2者の関係性を求めて提示することができる。なお関係性を求める対象者は、2者に限らず3者以上であってもよく、この場合に1対1に限らず、複数名の関係性を提示することも可能である。また関係性を求めることは、2者及び3者以上から同時に運動リズムを測定することに限らない。対象者の関係性は、例えば、別々の時間に各自の運動リズムを計測し、そのデータを使って複数名の中から相性が良いまたは相性が悪い人を提示することも可能である。
【0104】
なお、本発明における情報処理装置3の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより情報処理装置3が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0105】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0106】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0107】
1…情報処理システム、2…端末、3…情報処理装置、21…操作部、22…表示部、23…検出部、24…処理部、25…通信部、31…取得部、32…位相化部、33…シンクロ率算出部、34…記憶部、35…判断部、36…出力部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16