(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060818
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】キックセンサ用ブラケット
(51)【国際特許分類】
E05B 79/02 20140101AFI20240425BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240425BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240425BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240425BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E05B79/02
B60J5/00 B
B60J5/04 C
B60J5/06 A
B60J5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168346
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】李 長余
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH02
2E250JJ03
2E250LL01
2E250SS09
(57)【要約】
【課題】簡易な構成にて、外装部品の内部に配置されるキックセンサが水分に接触することを抑止可能とする。
【解決手段】キックセンサを保持する樹脂製のキックセンサ用ブラケット2であって、下面にキックセンサが取り付けられる基部2aと、基部2aの下方に位置する対向部2dと、基部2aと対向部2dとを接続する樹脂ヒンジ部2eとを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キックセンサを保持する樹脂製のキックセンサ用ブラケットであって、
下面にキックセンサが取り付けられる基部と、
前記基部の下方に位置する脚部と、
前記基部と前記脚部とを接続する樹脂ヒンジ部と
を備える
ことを特徴とするキックセンサ用ブラケット。
【請求項2】
前記脚部は、前記基部の壁面との間にキックセンサ収容空間を形成するように前記基部の壁面と対向配置される板状の対向部であることを特徴とする請求項1記載のキックセンサ用ブラケット。
【請求項3】
前記対向部は、上面に突出して設けられると共に前記キックセンサに当接する台部を有することを特徴とする請求項2記載のキックセンサ用ブラケット。
【請求項4】
前記対向部と前記基部との間に位置すると共に前記対向部と前記基部とに接触するスペーサを備えることを特徴とする請求項2または3記載のキックセンサ用ブラケット。
【請求項5】
前記脚部と前記キックセンサ用ブラケットの設置面との間に位置するシート部材を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のキックセンサ用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キックセンサ用ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、車両に対してキックセンサが取り付けられる場合がある。キックセンサは、スライドドアやバックドアを操作する操作者の脚の動きを検知する。キックセンサから出力される検出信号に基づく脚の動きが、スライドドアやバックドアの開閉を示す動作である場合には、スライドドアやバックドアが自動的に開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなキックセンサは、車両の外観へ影響を与えないように、車両の目立たない位置に配置される。このため、キックセンサは、例えば樹脂製のブラケットに保持された状態で、外装部品の内部に配置される。しかしながら、外装部品の内部には、雨水等の水分が侵入する。このため、ブラケットに保持されたキックセンサが水分と接触するためには、キックセンサの周囲を囲うような堅牢なシール機構を設ける必要がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構成にて、外装部品の内部に配置されるキックセンサが水分に接触することを抑止可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、キックセンサを保持する樹脂製のキックセンサ用ブラケットであって、下面にキックセンサが取り付けられる基部と、上記基部の下方に位置する脚部と、上記基部と上記脚部とを接続する樹脂ヒンジ部とを備えるという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記脚部が、上記基部の壁面との間にキックセンサ収容空間を形成するように上記基部の壁面と対向配置される板状の対向部であるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記対向部が、上面に突出して設けられると共に上記キックセンサに当接する台部を有するという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第2または第3の態様において、上記対向部と上記基部との間に位置すると共に上記対向部と上記基部とに接触するスペーサを備えるという構成を採用する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4のいずれかの態様において、上記脚部と上記キックセンサ用ブラケットの設置面との間に位置するシート部材を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キックセンサが取り付けられる基部の下方に脚部が設けられている。このため、脚部によってキックセンサの位置を高くすることができる。このため、外装部品の内部に水分が侵入し、外装部品の底部に溜まったような場合であっても、キックセンサが水分と接触することを抑止することができる。したがって、本発明によれば、堅牢なシール機構を設けることなく、簡易な構成にて、外装部品の内部に配置されるキックセンサが水分に接触することを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態におけるキックセンサ用ブラケットを備える車両の概略構成を示す側面図である。
【
図2】車体側から見たサイドスポイラを含む斜視図である。
【
図3】車両内側から見たキックセンサユニットの斜視図である。
【
図4】車両外側から見たキックセンサユニットの斜視図である。
【
図6】(a)が、底部センサ用仮保持爪部2fを、開口部2e1を介して視認した図であり、(b)が、(a)のB-B断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態におけるキックセンサ用ブラケットを射出成形により形成する様子の一例を示す模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態におけるキックセンサ用ブラケットを射出成形により形成する様子の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るキックセンサ用ブラケットの一実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2を備える車両100の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、本実施形態においては、車両100は、車両100の前部に設けられるヒンジドア101と、車両100の後部に設けられるスライドドア102とを備える。また、車両100は、ヒンジドア101及びスライドドア102の下方に位置するサイドスポイラ103を備える。サイドスポイラ103は、車両100の前後方向に直線状に延びる樹脂製の外装部品である。
【0016】
このサイドスポイラ103は、不図示の車体フレームに固定されることで車両100の側部に配置されている。
図2は、車体側から見たサイドスポイラ103を含む斜視図である。
図2に示すように、サイドスポイラ103は、底壁103aと、側壁103bとを有する。
【0017】
底壁103aは、サイドスポイラ103の底部を形成する板状の部位であり、表裏面が上下方向に向かうように配置されている。この底壁103aの上面103cは、後述するキックセンサユニット1の載置面である。側壁103bは、底壁103aの車両外側の端部から上方に向かうように配置されている。また、側壁103bは、上方に向かうに連れて車体側に向かうように傾斜している。
【0018】
このようなサイドスポイラ103は、側壁103bと車体との間に空間を形成する。この空間に、キックセンサユニット1が配置される。つまり、サイドスポイラ103は、車体との間にキックセンサユニット1を形成する樹脂製の外装部品である。
【0019】
キックセンサユニット1は、スライドドア102の開閉操作を行う操作者の脚の動きを検出し、その検出結果を出力するセンサユニットである。キックセンサユニット1は、上述のように、サイドスポイラ103の底壁103aに載置されるように配置されている。キックセンサユニット1は、サイドスポイラ103を介して操作者の脚の動きを検出可能であり、例えば静電容量式や超音波式のセンサを有している。車両100では、キックセンサユニット1の検出結果に基づく操作者の脚の動きが、スライドドア102の開閉を示すものである場合に、不図示の駆動部によってスライドドア102が開閉される。
【0020】
図3は、車両内側から見たキックセンサユニット1の斜視図である。また、
図4は、車両外側から見たキックセンサユニット1の斜視図である。また、
図5は、
図3のA-A断面図である。これらの図に示すように、キックセンサユニット1は、キックセンサ用ブラケット2と、底部センサ3(キックセンサ)と、側部センサ4と、スペーサ5と、緩衝シート6(シート部材)とを備えている。
【0021】
キックセンサ用ブラケット2は、全体が樹脂の射出成形によって一体的に形成された部品である。このキックセンサ用ブラケット2は、基部2aと、傾斜壁部2bと、端壁部2cと、対向部2dと、樹脂ヒンジ部2eと、底部センサ用仮保持爪部2fと、側部センサ用仮保持爪部2gとを有している。
【0022】
基部2aは、傾斜壁部2b、端壁部2c、対向部2d(脚部)、樹脂ヒンジ部2e、底部センサ用仮保持爪部2f及び側部センサ用仮保持爪部2gが直接的にあるいは間接的に支持する部位である。基部2aは、板状に形成されており、表裏面を上下方向に向けた姿勢で配置される。また、基部2aは、上方から見て、サイドスポイラ103の延伸方向(車両100の前後方向)の長さ寸法が、サイドスポイラ103の延伸方向と直交する水平方向(車両100の幅方向)の長さ寸法よりも長い形状に形成されている。
【0023】
また、基部2aは、上面2a1から下面2a2に貫通するリベット挿通孔2a3を有している。リベット挿通孔2a3は、リベット7が挿通される孔である。本実施形態においてリベット挿通孔2a3は、3つ設けられている。これらのリベット挿通孔2a3は、基部2aの長手方向に沿って配列されている。なお、リベット挿通孔2a3の数は変更可能である。このような基部2aには、底部センサ3がリベット7によって取り付けられている。
【0024】
傾斜壁部2bは、基部2aの車両外側の端部から斜め上方に向けて突出するように立設された部位である。傾斜壁部2bは、上方に向かうに連れて車体内側に向かうように傾斜されている。なお、傾斜壁部2bの基部2a側の面を内側面2b1と称し、傾斜壁部2bの基部2aと反対側の面を外側面2b2と称する。
【0025】
また、傾斜壁部2bは、内側面2b1から外側面2b2に貫通するリベット挿通孔2b3を有している。リベット挿通孔2b3は、リベット7が挿通される孔である。本実施形態においてリベット挿通孔2b3は、3つ設けられている。これらのリベット挿通孔2b3は、傾斜壁部2bの長手方向に沿って配列されている。なお、リベット挿通孔2b3の数は変更可能である。
【0026】
このような基部2aと傾斜壁部2bとの傾斜角度は、例えば、サイドスポイラ103の底壁103aと側壁103bとの傾斜角度とおおよそ同じに設定されている。このため、キックセンサ用ブラケット2の基部2aがサイドスポイラ103の底壁103aの上面103cと平行に配置されることで、キックセンサ用ブラケット2の傾斜壁部2bがサイドスポイラ103の側壁103bとおおよそ平行となる。
【0027】
端壁部2cは、基部2aの長手方向における両端部の各々に設けられている。各々の端壁部2cは、基部2aの長手方向における端部と傾斜壁部2bの長手方向における端部とを接続する。また、各々の端壁部2cは、サイドスポイラ103に対して取り付けられる取付部が設けられている。端壁部2cの取付部がサイドスポイラ103の側壁103bに例えばビス止めされることで、キックセンサ用ブラケット2は、サイドスポイラ103に対して固定される。
【0028】
対向部2dは、基部2aの下方に位置し、基部2aと対向配置された部位である。対向部2dは、底部センサ3が取り付けられる基部2aの下方に位置する脚部として機能する。つまり、対向部2dは、底部センサ3が取り付けられる基部2aを、対向部2dが設けられていない場合と比較して高い位置に配置する。本実施形態では、対向部2dは、基部2aと略同一形状の板状に形成されている。対向部2dは、上面2d1が基部2aの下面2a2と対向するように配置されており、基部2aとの間にキックセンサ収容空間Kを形成する。キックセンサ収容空間Kは、底部センサ3を収容する空間である。
【0029】
また、対向部2dは、上面2d1から下面2d2に貫通するリベット挿通孔2d3を有している。リベット挿通孔2d3は、リベット7が挿通される孔である。本実施形態においてリベット挿通孔2d3は、3つ設けられている。これらのリベット挿通孔2d3は、リベット7の挿通方向から見て、基部2aに設けられたリベット挿通孔2d3と重なるように配置されている。
【0030】
また、対向部2dは、各々のリベット挿通孔2d3の周囲に突出して設けられる台部2d4を有している。各々の台部2d4は、対向部2dの上面2d1から上方に向けて突出するように形成されている。これらの台部2d4は、底部センサ3に下方から当接する部位である。
【0031】
このような対向部2dは、底部センサ3を下方から支持する。底部センサ3は、対向部2dに支持されることで、少なくとも対向部2dの上方に位置する。対向部2dは、例えば
図5に示すように、サイドスポイラ103の底壁103aの上面103cよりも上方に位置する。このため、対向部2dに支持される底部センサ3は、サイドスポイラ103の底壁103aの上面103cよりも上方に位置する。
【0032】
また、対向部2dは、樹脂ヒンジ部2eを介して基部2aの車体側の端部と接続されている。このため、対向部2dは、樹脂ヒンジ部2eを中心として基部2aに対して相対的に回動可能である。対向部2dは、リベット7で固定されておらずかつキックセンサ用ブラケット2がサイドスポイラ103に固定されていない状態であれば、樹脂ヒンジ部2eを中心として基部2aに対して相対的に回動可能である。本実施形態では、
図3~
図5に示すように、基部2aに対して対向された対向姿勢(実線で示す姿勢)と、基部2aから下方に垂下した状態の姿勢である開放姿勢(仮想線で示す姿勢)との間で上述の回動動作により姿勢変更が可能である。
【0033】
樹脂ヒンジ部2eは、基部2aと対向部2dとを回動可能に接続する。樹脂ヒンジ部2eは、基部2aや対向部2dよりも薄肉化され、容易に変形可能とされた部位である。本実施形態では、樹脂ヒンジ部2eは、基部2aの長手方向に沿って直線状に延伸して設けられている。このような樹脂ヒンジ部2eは、上記長手方向を中心とする周方向に容易に変形可能であり、これによって基部2aと対向部2dとを回動可能に接続する。
【0034】
また、本実施形態において樹脂ヒンジ部2eは、開口部2e1を有する。この開口部2e1は、樹脂ヒンジ部2eを貫通するように設けられている。また、樹脂ヒンジ部2eの延伸方向に対して、複数(本実施形態では2つ)の開口部2e1が設けられている。つまり、開口部2e1は、樹脂ヒンジ部2eの延伸方向に離散的に複数設けられている。なお、開口部2e1の数は変更可能である。また、各々の開口部2e1は、対向部2dの樹脂ヒンジ部2e側の縁部を切欠く大きさで形成されている。
【0035】
このような開口部2e1が設けられることで、樹脂ヒンジ部2eを変形させる場合の抵抗力が減少する。この結果、樹脂ヒンジ部2eを小さな力で変形させることが可能となり、基部2aに対する対向部2dの相対的な回動を容易に行うことが可能となる。
【0036】
各々の開口部2e1は、樹脂ヒンジ部2eの延伸方向にて、対向部2dに設けられたリベット挿通孔2d3の間に配置されている。つまり、各々の開口部2e1は、樹脂ヒンジ部2eの延伸方向にて、対向部2dに設けられたリベット挿通孔2d3と異なる位置に設けられている。このため、リベット挿通孔2d3と開口部2e1とが干渉することを抑止し、開口部2e1を大きく形成することができる。また、リベット挿通孔2d3の周囲に設けられた台部2d4と開口部2e1とが干渉することも抑止できる。
【0037】
底部センサ用仮保持爪部2fは、底部センサ3のキックセンサ用ブラケット2への取付作業中に底部センサ3を仮保持するための爪部である。本実施形態では、底部センサ用仮保持爪部2fは、リベット7で底部センサ3がキックセンサ用ブラケット2に固定される前の状態で、底部センサ3を仮保持する。
【0038】
底部センサ用仮保持爪部2fは、各々の開口部2e1に合わせて設けられている。つまり、本実施形態では、底部センサ用仮保持爪部2fは、開口部2e1と同数である2つ設けられている。
【0039】
図6(a)は、底部センサ用仮保持爪部2fを、開口部2e1を介して視認した図である。また、
図6(b)は、
図6(a)のB-B断面図である。
図6に示すように、各々の底部センサ用仮保持爪部2fは、キックセンサ収容空間Kに位置しており、開口部2e1を介してキックセンサ収容空間Kに露出するように配置されている。各々の底部センサ用仮保持爪部2fは、根本が基部2aの下面2a2に接続されており、下方に向かって突出した後に開口部2e1と反対側に先端が向くように曲げられている。これらの底部センサ用仮保持爪部2fは、先端部と基部2aとの間に差し込まれた底部センサ3を保持する。
【0040】
また、各々の底部センサ用仮保持爪部2fは、
図6(a)に示すように、開口部2e1側から見た形状が開口部2e1よりも小さい。このため、射出成形によってキックセンサ用ブラケット2を成形する場合に、開口部2e1を介して挿入される金型の一部を用いて、底部センサ用仮保持爪部2fの開口部2e1側の成形を行うことができる。
【0041】
図4に示す側部センサ用仮保持爪部2gは、側部センサ4のキックセンサ用ブラケット2への取付作業中に側部センサ4を仮保持するための爪部である。本実施形態では、側部センサ用仮保持爪部2gは、リベット7で側部センサ4がキックセンサ用ブラケット2に固定される前の状態で、側部センサ4を仮保持する。
【0042】
側部センサ用仮保持爪部2gは、2つ設けられている。ただし、側部センサ用仮保持爪部2gの数は変更可能である。各々の側部センサ用仮保持爪部2gは、傾斜壁部2bの外側面2b2に設けられている。各々の側部センサ用仮保持爪部2gは、根本が外側面2b2に接続されており、外側面2b2の法線方向に突出した後に外側面2b2に沿って斜め上方に先端が向くように曲げられている。これらの側部センサ用仮保持爪部2gは、先端部と傾斜壁部2bとの間に差し込まれた側部センサ4を保持する。
【0043】
底部センサ3及び側部センサ4は、操作者の脚の位置を検出するセンサ素子である。例えば、底部センサ3及び側部センサ4は、静電容量式あるいは超音波式のセンサ素子である。本実施形態において、底部センサ3及び側部センサ4の各々は、板状に形成されている。
【0044】
底部センサ3は、キックセンサ収容空間Kに位置する。つまり、底部センサ3は、基部2aの下面2a2と、対向部2dの上面2d1との間に位置する。底部センサ3には、リベット7の挿通方向から見て、リベット挿通孔2a3及びリベット挿通孔2d3に重なるようにリベット挿通孔3aが設けられている。基部2aと、対向部2dと、底部センサ3とは、リベット挿通孔2a3、リベット挿通孔2d3及びリベット挿通孔3aに挿通されたリベット7によって締結されている。これによって、底部センサ3は、キックセンサ用ブラケット2に固定されている。
【0045】
側部センサ4は、傾斜壁部2bの外側面2b2に固定されている。側部センサ4には、リベット7の挿通方向から見て、リベット挿通孔2b3と重なるようにリベット挿通孔4aが設けられている。傾斜壁部2bと側部センサ4とは、リベット挿通孔2b3及びリベット挿通孔4aに挿通されるリベット7によって締結されている。これによって、側部センサ4は、キックセンサ用ブラケット2に固定されている。
【0046】
スペーサ5は、基部2aと対向部2dとの間に配置されている。スペーサ5は、キックセンサ収容空間Kに位置し、底部センサ3よりも車体外側に配置されている。このスペーサ5は、基部2a及び対向部2dと接触し、基部2aと対向部2dとが近づきすぎないように、基部2aに対する対向部2dの位置を規制する。スペーサ5は、基部2aに対して樹脂ヒンジ部2eを中心として回動される対向部2dの移動を規制し、キックセンサ収容空間Kが潰れることを抑止する。
【0047】
緩衝シート6は、キックセンサ用ブラケット2とサイドスポイラ103の底壁103aとの間に位置する。緩衝シート6は、車両100の走行振動等によって、キックセンサ用ブラケット2とサイドスポイラ103とが直接接触することを防止する。また、緩衝シート6は、車両100の走行振動等の振動がサイドスポイラ103を介してキックセンサ用ブラケット2に伝達されることを抑制する。
【0048】
このようなキックセンサユニット1を形成する場合には、キックセンサ用ブラケット2を樹脂の射出成形により形成する。
図7及び
図8は、キックセンサ用ブラケット2を射出成形により形成する様子の一例を示す模式図である。
【0049】
キックセンサ用ブラケット2は、金型10を用いて形成される。金型10は、コア金型11と、キャビ金型12とを有する。コア金型11とキャビ金型12との間に形成された空間に溶融樹脂を流し込み、樹脂を冷却することで、キックセンサ用ブラケット2が成形される。その後、
図8に示すように、コア金型11を移動し、コア金型11に付いたキックセンサ用ブラケット2を取り外す。なお、傾斜壁部2bに設けられた上述の側部センサ用仮保持爪部2gは、例えば、不図示のスライド金型を用いて成形される。
【0050】
図7及び
図8に示すように、キックセンサ用ブラケット2の対向部2dは、上述の開放姿勢とされた状態で形成される。また、
図7及び
図8に示すように、コア金型11には、開口部2e1及び底部センサ用仮保持爪部2fの開口部2e1側の面を成形するための突出部11aが設けられている。また、キャビ金型12には、底部センサ用仮保持爪部2fの基部2a側の面を形成するための凹部12aが設けられている。
【0051】
このように、本実施形態においては、コア金型11とキャビ金型12とを用いて、開口部2e1及び底部センサ用仮保持爪部2fを有するキックセンサ用ブラケット2を成形することができる。したがって、複雑な金型構造を設けることなく、キックセンサ用ブラケット2を成形することができる。
【0052】
このように成形されたキックセンサ用ブラケット2に対して、底部センサ3を取り付ける場合には、底部センサ3を底部センサ用仮保持爪部2fに仮保持させる。続いて、基部2a側あるいは対向部2d側にスペーサ5が貼付された状態で、対向部2dを樹脂ヒンジ部2eが中心となるように回動することで対向姿勢とする。さらに、リベット7を用いて、基部2a、対向部2d及び底部センサ3を締結する。
【0053】
また、このように成形されたキックセンサ用ブラケット2に対して、側部センサ4を取り付ける場合には、側部センサ4を側部センサ用仮保持爪部2gに仮保持させる。続いて、リベット7を用いて、側部センサ4及び傾斜壁部2bを締結する。
【0054】
さらに、底部センサ3及び側部センサ4が取り付けられたキックセンサ用ブラケット2を、緩衝シート6を介してサイドスポイラ103の底壁103a上に配置する。さらに、端壁部2cをサイドスポイラ103の側壁103bにネジ止めする。これによって、キックセンサユニット1がサイドスポイラ103に固定される。
【0055】
以上のような本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、底部センサ3及び側部センサ4を保持する。また、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、樹脂製である。このような本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、下面2a2に底部センサ3が取り付けられる基部2aと、基部2aの下方に位置する対向部2dと、基部2aと対向部2dとを接続する樹脂ヒンジ部2eとを備える。
【0056】
本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、底部センサ3が取り付けられる基部2aの下方に対向部2dが設けられている。このため、対向部2dによって底部センサ3の位置を高くすることができる。このため、サイドスポイラ103の内部に水分が侵入し、サイドスポイラ103の底部(底壁103aの上面103c)に溜まったような場合であっても、底部センサ3が水分と接触することを抑止することができる。したがって、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2によれば、堅牢なシール機構を設けることなく、簡易な構成にて、サイドスポイラ103の内部に配置される底部センサ3が水分に接触することを抑止することができる。
【0057】
また、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2において対向部2dは、基部2aの壁面との間にキックセンサ収容空間Kを形成するように基部2aの壁面と対向配置される板状の対向部2dである。このような本実施形態のキックセンサ用ブラケット2では、板状の対向部2dが脚部となるため、脚部と接地面との接触面積が広く確保し、底部センサ3を安定して支持することができる。
【0058】
また、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2において対向部2dは、上面2d1に突出して設けられると共に底部センサ3に当接する台部2d4を有する。このような本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は台部2d4で底部センサ3を押さえることができる。したがって、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、底部センサ3を安定期に支持することができる。
【0059】
また、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、スペーサ5を備える。スペーサ5は、対向部2dと基部2aとの間に位置すると共に対向部2dと基部2aとに接触する。このような本実施形態のキックセンサ用ブラケット2によれば、スペーサ5が、基部2aに対して樹脂ヒンジ部2eを中心として回動される対向部2dの移動を規制する。このため、キックセンサ収容空間Kが潰れることを抑止する。
【0060】
また、本実施形態のキックセンサ用ブラケット2は、対向部2dとキックセンサ用ブラケット2の設置面(サイドスポイラ103の底壁103aの上面103c)との間に位置する緩衝シート6を備える。このような本実施形態のキックセンサ用ブラケット2によれば、緩衝シート6の厚さの分、さらに底部センサ3の位置を高くすることができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、キックセンサ用ブラケット2が、底部センサ用仮保持爪部2fと側部センサ用仮保持爪部2gとを有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。キックセンサ用ブラケット2が、底部センサ用仮保持爪部2fと側部センサ用仮保持爪部2gとのいずれかあるいは両方を有していない構成を採用することも可能である。
【0063】
また、上記実施形態においては、キックセンサ用ブラケット2がスライドドア102の開閉するためのキックセンサを保持する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、バックドアを開閉するためのキックセンサを保持するキックセンサ用ブラケットに適用することも可能である。
【0064】
また、上記実施形態においては、樹脂ヒンジ部2eに開口部2e1が設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開口部2e1が設けられていない樹脂ヒンジ部2eを備えてもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、脚部が板状の対向部2dである構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の棒状部材からなる脚部や円柱状の脚部を備えてもよい。つまり、脚部の形状は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1……キックセンサユニット、2……キックセンサ用ブラケット、2a……基部、2a1……上面、2a2……下面(壁面)、2a3……リベット挿通孔、2b……傾斜壁部、2b1……内側面、2b2……外側面、2b3……リベット挿通孔、2c……端壁部、2d……対向部(脚部)、2d1……上面、2d2……下面、2d3……リベット挿通孔、2d4……台部、2e……樹脂ヒンジ部、2e1……開口部、2f……底部センサ用仮保持爪部、2g……側部センサ用仮保持爪部、3……底部センサ(キックセンサ)、3a……リベット挿通孔、4……側部センサ、4a……リベット挿通孔、5……スペーサ、6……緩衝シート(シール部材)、7……リベット、10……金型、11……コア金型、11a……突出部、12……キャビ金型、12a……凹部、100……車両、101……ヒンジドア、102……スライドドア、103……サイドスポイラ、103a……底壁、103b……側壁、103c……上面、K……キックセンサ収容空間