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特開2024-60822光検出装置、電子機器、および光学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060822
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光検出装置、電子機器、および光学素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240425BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240425BHJP
   G02B 1/118 20150101ALI20240425BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240425BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N5/369
G02B1/118
G02B5/20
G02B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168356
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上遠野 悠佳
(72)【発明者】
【氏名】東宮 祥哲
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 廣志
(72)【発明者】
【氏名】守屋 雄介
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2K009
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA06
2H042AA07
2H042AA22
2H148AA23
2K009CC02
2K009CC03
2K009FF00
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA04
4M118CA34
4M118DD04
4M118EA14
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA38
4M118GA02
4M118GA09
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC07
4M118GC20
4M118GD03
4M118HA22
4M118HA25
5C024CX41
5C024CY47
5C024EX51
5C024GX01
5C024GX03
(57)【要約】
【課題】品質の低下を抑制可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光検出装置は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部と
を備える光検出装置。
【請求項2】
前記第1の媒質は、前記構造体に接して設けられ、無機材料からなり、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられ、有機材料からなる
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1の媒質は、複数の前記構造体を覆うように設けられ、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられる
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記構造体の屈折率は、前記第1の媒質の屈折率よりも高い
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記構造体の屈折率と前記第1の媒質の屈折率との差が0.3以上である
請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1の媒質の屈折率は、前記第2の媒質の屈折率よりも高い
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記導光部は、大きさ、形状、または配置ピッチが異なる複数の前記構造体を有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記導光部は、柱状の形状を有する複数の前記構造体を含む
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記構造体は、可視光の波長以下の大きさ、または赤外光の波長以下の大きさを有する
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、
隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質と
を備える光学素子。
【請求項11】
前記第1の媒質は、前記構造体に接して設けられ、無機材料からなり、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられ、有機材料からなる
請求項10に記載の光学素子。
【請求項12】
前記第1の媒質は、複数の前記構造体を覆うように設けられ、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられる
請求項11に記載の光学素子。
【請求項13】
前記構造体の屈折率は、前記第1の媒質の屈折率よりも高い
請求項11に記載の光学素子。
【請求項14】
前記構造体の屈折率と前記第1の媒質の屈折率との差が0.3以上である
請求項13に記載の光学素子。
【請求項15】
前記第1の媒質の屈折率は、前記第2の媒質の屈折率よりも高い
請求項11に記載の光学素子。
【請求項16】
前記複数の構造体は、大きさ、形状、または配置ピッチが異なる複数の構造体を含む
請求項10に記載の光学素子。
【請求項17】
前記複数の構造体は、柱状の形状を有する構造体を含む
請求項10に記載の光学素子。
【請求項18】
前記構造体は、可視光の波長以下の大きさ、または赤外光の波長以下の大きさを有する
請求項10に記載の光学素子。
【請求項19】
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部と
を有する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置、電子機器、および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のナノポストを有する色分離レンズアレイを備えたイメージセンサが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-69119号公報
【発明の概要】
【0004】
光を検出する装置では、品質の低下を抑えることが求められている。
【0005】
品質の低下を抑制可能な光検出装置を提供することが望まれる。
【0006】
本開示の一実施形態の光検出装置は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の構造体の間を充填するように設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部とを備える。
本開示の一実施形態の光学素子は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の構造体の間を充填するように設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを備える。
本開示の一実施形態の電子機器は、光学系と、光学系を透過した光を受光する光検出装置とを備える。光検出装置は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の構造体の間を充填するように設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素部の一例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を示す図である。
図4】本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図5A】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を示す図である。
図5B】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を示す図である。
図6A】比較例に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図6B】比較例に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図7A】本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図7B】本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図8】比較例に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図9】本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図10】本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。
図11A】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図11B】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図11C】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図11D】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図11E】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図11F】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図12A】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12B】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12C】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12D】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12E】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12F】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12G】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12H】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12I】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図12J】本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。
図13】本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の構成例を示す図である。
図14】本開示の変形例2に係る撮像装置の導光部の構成例を示す図である。
図15】本開示の変形例3に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図16】撮像装置を有する電子機器の構成例を表すブロック図である。
図17】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図18】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図19】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図20】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.適用例
4.応用例
【0009】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る撮像装置の画素部の一例を示す図である。光検出装置は、入射する光を検出可能な装置である。光検出装置である撮像装置1は、光学系を透過した光を受光して信号を生成し得る。撮像装置1(光検出装置)は、光電変換部を有する複数の画素Pを有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。
【0010】
撮像装置1の各画素Pの光電変換部は、例えばフォトダイオードであり、光を光電変換可能に構成される。撮像装置1は、図2に示すように、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素部100)を、撮像エリアとして有している。画素部100は、複数の画素Pが配置される画素アレイであり、受光領域ともいえる。
【0011】
撮像装置1は、光学レンズを含む光学系(不図示)を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像装置1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像する。撮像装置1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成し得る。撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置1は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器に利用可能である。
【0012】
なお、図2に示すように、被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸及びX軸に直交する紙面上下方向をY軸方向とする。以降の図において、図2の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0013】
撮像装置1は、図1に示す例のように、画素部100(画素アレイ)の周辺領域に、例えば、画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、及び処理部114等を有する。また、撮像装置1には、複数の制御線L1と、複数の信号線L2が設けられる。
【0014】
撮像装置1には、画素Pを制御する信号を伝えることが可能な信号線である制御線L1が設けられる。画素部100では、例えば、水平方向(行方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行ごとに、複数の制御線L1が配線される。制御線L1は、画素Pからの信号読み出しのための制御信号を伝送するように構成される。制御線L1は、画素Pを駆動する信号を伝送する画素駆動線ともいえる。
【0015】
また、撮像装置1には、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線である信号線L2が設けられる。画素部100には、例えば、垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、信号線L2が配線される。信号線L2は、垂直信号線であり、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0016】
画素駆動部111は、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。画素駆動部111は、画素部100の各画素Pを駆動可能に構成される。画素駆動部111は、画素Pを制御するための信号を生成し、制御線L1を介して画素部100の各画素Pへ出力する。
【0017】
画素駆動部111は、例えば、後述するが、画素Pの転送トランジスタを制御する信号、リセットトランジスタを制御する信号等を生成し、制御線L1によって各画素Pに供給する。画素駆動部111は、各画素Pから画素信号を読み出す制御を行い得る。画素駆動部111は、各画素Pを制御可能に構成された画素制御部ともいえる。
【0018】
信号処理部112は、入力される画素の信号の信号処理を実行可能に構成される。信号処理部112は、例えば、負荷回路部、AD(Analog Digital)変換部、水平選択スイッチ等を有する。画素駆動部111によって選択走査された各画素Pから出力される信号は、信号線L2を介して信号処理部112に入力される。信号処理部112は、画素Pの信号のAD変換、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)等の信号処理を行い得る。信号線L2の各々を通して伝送される各画素Pの信号は、信号処理部112によって信号処理が施され、処理部114に出力される。
【0019】
処理部114は、入力される信号に対して信号処理を実行可能に構成される。処理部114は、例えば、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。処理部114は、プロセッサ及びメモリを含んでいてもよい。処理部114は、信号処理部112から入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の画素の信号を出力する。処理部114は、例えば、ノイズ低減処理、階調補正処理等の各種の信号処理を行い得る。
【0020】
制御部113は、撮像装置1の各部を制御可能に構成される。制御部113は、外部から与えられるクロック、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力し得る。制御部113は、各種のタイミング信号を生成可能に構成されたタイミングジェネレータを有する。制御部113は、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号(パルス信号、クロック信号等)に基づき、画素駆動部111及び信号処理部112等の周辺回路の駆動制御を行う。なお、制御部113及び処理部114は、一体的に構成されていてもよい。
【0021】
画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、処理部114等は、1つの半導体基板に設けられていてもよいし、複数の半導体基板に分けて設けられていてもよい。撮像装置1は、複数の基板を積層して構成された構造(積層構造)を有していてもよい。
【0022】
[画素の構成]
図3は、実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を示す図である。画素Pは、光電変換部12と、転送トランジスタ13と、FD(フローティングディフュージョン)14と、読み出し回路18とを有する。読み出し回路18は、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能に構成される。読み出し回路18は、一例として、増幅トランジスタ15と、選択トランジスタ16と、リセットトランジスタ17とを有する。なお、読み出し回路18は、FD14を含んでいてもよい。
【0023】
転送トランジスタ13、増幅トランジスタ15、選択トランジスタ16、及びリセットトランジスタ17は、それぞれ、ゲート、ソース、ドレインの端子を有するMOSトランジスタ(MOSFET)である。図3に示す例では、転送トランジスタ13、増幅トランジスタ15、選択トランジスタ16、及びリセットトランジスタ17は、それぞれNMOSトランジスタにより構成される。なお、画素Pのトランジスタは、PMOSトランジスタにより構成されてもよい。
【0024】
光電変換部12は、光電変換により電荷を生成可能に構成される。光電変換部12は、例えば、半導体基板に埋め込み形成されたフォトダイオード(PD)であり、入射する光を電荷に変換する。光電変換部12は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0025】
転送トランジスタ13は、光電変換部12で光電変換された電荷をFD14に転送可能に構成される。図3に示すように、転送トランジスタ13は、信号TRGにより制御され、光電変換部12とFD14とを電気的に接続または切断する。転送トランジスタ13は、光電変換部12で光電変換されて蓄積された電荷をFD14に転送し得る。
【0026】
FD14は、蓄積部であり、転送された電荷を蓄積可能に構成される。FD14は、光電変換部12で光電変換された電荷を蓄積し得る。FD14は、転送された電荷を保持可能な保持部ともいえる。FD14は、転送された電荷を蓄積し、FD14の容量に応じた電圧に変換する。
【0027】
増幅トランジスタ15は、FD14に蓄積された電荷に基づく信号を生成して出力するように構成される。図3に示すように、増幅トランジスタ15のゲートは、FD14と電気的に接続され、FD14で変換された電圧が入力される。増幅トランジスタ15のドレインは、電源電圧VDDが供給される電源線に接続され、増幅トランジスタ15のソースは、選択トランジスタ16を介して信号線L2に接続される。増幅トランジスタ15は、FD14に蓄積された電荷に基づく信号、即ちFD14の電圧に基づく信号を生成し、信号線L2へ出力し得る。
【0028】
選択トランジスタ16は、画素の信号の出力を制御可能に構成される。選択トランジスタ16は、信号SELにより制御され、増幅トランジスタ15からの信号を信号線L2に出力可能に構成される。選択トランジスタ16は、画素の信号の出力タイミングを制御し得る。なお、選択トランジスタ16は、電源電圧VDDが与えられる電源線と増幅トランジスタ15との間に設けられてもよい。また、必要に応じて、選択トランジスタ16を省略してもよい。
【0029】
リセットトランジスタ17は、FD14の電圧をリセット可能に構成される。図3に示す例では、リセットトランジスタ17は、電源電圧VDDが与えられる電源線と電気的に接続され、画素Pの電荷のリセットを行うように構成される。リセットトランジスタ17は、信号RSTにより制御され、FD14に蓄積された電荷をリセットし、FD14の電圧をリセットし得る。なお、リセットトランジスタ17は、転送トランジスタ13を介して、光電変換部12に蓄積された電荷を排出し得る。
【0030】
画素駆動部111(図1参照)は、上述した制御線L1を介して、各画素Pの転送トランジスタ13、選択トランジスタ16、リセットトランジスタ17等のゲートに制御信号を供給し、トランジスタをオン状態(導通状態)又はオフ状態(非導通状態)とする。撮像装置1の複数の制御線L1には、転送トランジスタ13を制御する信号TRGを伝送する配線、選択トランジスタ16を制御する信号SELを伝送する配線、リセットトランジスタ17を制御する信号RSTを伝送する配線等が含まれる。
【0031】
転送トランジスタ13、選択トランジスタ16、リセットトランジスタ17等は、画素駆動部111によってオンオフ制御される。画素駆動部111は、各画素Pの読み出し回路18を制御することによって、各画素Pから画素信号を信号線L2に出力させる。画素駆動部111は、各画素Pの画素信号を信号線L2へ読み出す制御を行い得る。なお、画素駆動部111と制御部113とを併せて、画素制御部ということもできる。
【0032】
図4は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。図5A及び図5Bは、実施の形態に係る撮像装置の導光部の平面構成の一例を示す図である。図4に示すように、撮像装置1は、例えば、導光部30と、絶縁層20と、受光部10と、多層配線層90とがZ軸方向に積層された構成を有している。
【0033】
受光部10は、対向する第1面11S1及び第2面11S2を有する半導体基板11を有する。半導体基板11は、例えば、シリコン基板により構成される。半導体基板11の第1面11S1側に、絶縁層20及び導光部30等が設けられる。半導体基板11の第2面11S2側には、多層配線層90が設けられる。光学系からの光が入射する側に導光部30が設けられ、光が入射する側とは反対側に多層配線層90が設けられる。撮像装置1は、いわゆる裏面照射型の撮像装置である。
【0034】
受光部10では、半導体基板11の第1面11S1及び第2面11S2に沿って、複数の光電変換部12が設けられる。半導体基板11には、例えば、複数の光電変換部12が埋め込み形成される。また、半導体基板11には、分離部50が設けられる。
【0035】
分離部50は、隣り合う光電変換部12の間に設けられ、光電変換部12間を分離する。分離部50は、半導体基板11において光電変換部12を囲むように設けられる。分離部50は、隣り合う画素P(又は光電変換部12)の境界に設けられるトレンチ(溝部)を有する。
【0036】
分離部50のトレンチ内には、一例として、絶縁膜、例えばシリコン酸化膜が設けられる。なお、分離部50のトレンチには、ポリシリコン、金属材料等が埋め込まれていてもよい。また、分離部50のトレンチ内には、空隙(空洞)が設けられていてもよい。分離部50が設けられることで、周囲の画素Pに光が漏れることが抑制される。
【0037】
多層配線層90は、例えば、複数の配線が層間絶縁層(層間絶縁膜)を間に積層された構成を有する。多層配線層90の配線層は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を用いて形成される。配線層は、ポリシリコン(Poly-Si)を用いて形成されてもよい。層間絶縁層は、一例として、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)及び酸窒化シリコン(SiOxNy)等を用いて形成される。
【0038】
半導体基板11及び多層配線層90には、例えば、上述した読み出し回路18が設けられる。なお、上述した画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、及び処理部114等は、半導体基板11とは別の基板、又は、半導体基板11及び多層配線層90に形成され得る。
【0039】
絶縁層20は、導光部30が設けられる層と、受光部10との間に設けられる。絶縁層20は、絶縁膜21および絶縁膜22を有する。絶縁膜21は、半導体基板11の第1面11S1上に設けられる。絶縁膜22は、絶縁膜21に積層して設けられ、絶縁膜21の上に位置する。
【0040】
絶縁層20は、例えば、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等を用いて形成される。絶縁層20の絶縁膜21および絶縁膜22は、酸化シリコン(SiO)、TEOS、窒化シリコン(SiN)及び酸窒化シリコン(SiON)等により構成されてもよいし、他の絶縁材料を用いて構成されてよい。絶縁層20は、平坦化層(平坦化膜)ともいえる。図4に示す例では、絶縁層20の絶縁膜22内には、遮光部55が設けられる。
【0041】
遮光部55(遮光膜)は、光を遮る部材により構成され、隣り合う複数の画素Pの境界に設けられる。遮光部55は、例えば、絶縁膜21上に形成され、図4に示す例では分離部50の上方に位置している。遮光部55は、例えば、光を遮光する金属材料(アルミニウム(Al)、タングステン(W)、銅(Cu)等)により構成される。遮光部55は、光電変換部12の周囲に設けられ、周囲の画素に光が漏れることを抑制する。なお、遮光部55は、光を吸収する材料により構成されてもよい。
【0042】
なお、撮像装置1は、光電変換部12と絶縁層20との間に、固定電荷膜を有していてもよい。固定電荷膜は、例えば、酸化膜(金属酸化膜など)により構成される。また、固定電荷膜は、光電変換部12上と、光電変換部12及び分離部50の間とに形成され得る。固定電荷膜は、例えば負の固定電荷を有する膜であり、半導体基板11の界面における暗電流の発生を抑制する。
【0043】
また、撮像装置1は、図4に示すように、反射防止膜26と、保護膜60とを有する。反射防止膜26は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料を用いて構成される。図4に示す例では、反射防止膜26は、絶縁膜22の上に設けられ、反射を低減(抑制)する。なお、導光部30又は絶縁層20は、反射防止膜26を含んで構成されてもよい。
【0044】
保護膜60は、図4に示すように、導光部30上に設けられる。保護膜60は、パッシベーション膜(保護層)であり、複数の導光部30の全体を覆うように形成される。保護膜60は、例えば、無機材料により構成される。保護膜60は、一例として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を用いて構成される。
【0045】
導光部30は、構造体31を有し、入射した光を受光部10側へ導くように構成される。導光部30には、計測対象である被写体からの光が入射する。構造体31は、入射する光の所定波長以下の大きさの微細(微小)な構造体である。構造体31は、例えば、可視光の波長以下の大きさを有する。構造体31は、赤外光の波長以下の大きさを有していてもよい。
【0046】
導光部30は、構造体31の周囲に設けられる複数の媒質(図4では第1部材41及び第2部材42)を有する。第1部材41及び第2部材42は、隣り合う構造体31の間を充填するように設けられる。第1部材41及び第2部材42は、複数の構造体31の間に埋め込まれている。第1部材41及び第2部材42は、充填部材であり、複数の構造体31間に充填される。第1部材41、第2部材42は、それぞれ、第1充填部材、第2充填部材ともいえる。
【0047】
また、導光部30は、図4に示すように、反射防止膜35を有する。反射防止膜35は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料を用いて構成される。反射防止膜35は、構造体31の上に設けられ、反射を低減(抑制)する。
【0048】
第1部材41及び第2部材42は、異なる材料を用いて構成される。本実施の形態では、第1部材41は、無機材料により構成され、構造体31に接して設けられる。第2部材42は、有機材料により構成され、第1部材41の上に設けられる。第1部材41は、構造体31及び反射防止膜35を覆うように形成され、第2部材42は、第1部材41を覆うように形成される。第2部材42は、第1部材41に積層され、第1部材41に接している。
【0049】
導光部30は、光を導光(伝搬)する光学素子(光学部材)である。導光部30(導光部材)は、微細構造体である複数の構造体31を利用し、光を光電変換部12へ伝搬させる。導光部30は、画素Pごと又は複数の画素Pごとに設けられる。
【0050】
構造体31は、例えば、図4に示すように、柱状(ピラー状)の構造体である。図4に模式的に示すように、複数の構造体31は、第1部材41及び第2部材42の少なくとも一方を挟んで、紙面左右方向(X軸方向)に互いに並んで配置される。撮像装置1の各画素Pでは、入射光の所定波長以下、例えば可視光(又は赤外光)の波長以下の間隔で、複数の構造体31が配置され得る。
【0051】
構造体31は、周囲の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する。構造体31は、構造体31の周りの媒質である第1部材41の屈折率及び第2部材42の屈折率とは異なる屈折率を有する。構造体31は、例えば、周囲の媒質の屈折率よりも高い屈折率を有する。
【0052】
構造体31は、例えば、第1部材41の屈折率より高い屈折率を有する。また、構造体31は、第2部材42の屈折率より高い屈折率を有する。構造体31は、第1部材41の屈折率及び第2部材42の屈折率よりも高い屈折率を有する材料により構成され得る。
【0053】
第1部材41は、第2部材42の屈折率より高い屈折率を有する。構造体31の屈折率と第1部材41の屈折率との差は、例えば、0.3以上である。なお、構造体31の屈折率と第2部材42の屈折率との差も、例えば、0.3以上となる。
【0054】
構造体31は、一例として、酸化チタンを用いて構成される。構造体31は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、ニオブ、インジウム等の単体、酸化物、窒化物、酸窒化物、或いはこれらの複合物で構成されてもよい。また、構造体31は、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化シリコン、酸化炭化シリコン、他のシリコン化合物を用いて形成されてもよい。
【0055】
構造体31は、アモルファスシリコン(a-Si)、ポリシリコン、ゲルマニウム(Ge)等を用いて構成されてもよい。また、構造体31は、シロキサンなどの有機物から構成されてもよい。例えば、構造体31は、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかにフッ素を含有した材料により、構造体31が構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかに、その樹脂よりも高い屈折率を有するビーズ(フィラー)を内填した材料を用いて、構造体31を形成してもよい。
【0056】
構造体31の材料は、例えば、周囲の媒質との屈折率差、計測対象となる入射光の波長域等に応じて選択され得る。例えば、赤外光の導光を行う撮像装置1の場合、構造体31が、アモルファスシリコン(a-Si)、ポリシリコン、ゲルマニウム(Ge)等で構成されていてもよい。
【0057】
第1部材41は、上述したように、無機材料を用いて構成される。第1部材41は、酸化物、窒化物、酸窒化物等の無機材料を用いて形成される。第1部材41は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化シリコン、酸化炭化シリコン等により構成される。なお、第1部材41は、構造体31との屈折率差、計測対象となる入射光の波長域等に応じて、チタン、ハフニウム等の金属化合物により構成されてもよい。
【0058】
第2部材42は、上述したように、有機材料を用いて構成される。第2部材42は、例えば、シロキサンなどの有機物から構成される。第2部材42は、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかにフッ素を含有した材料により、第2部材42が構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかに、その樹脂よりも高い屈折率を有するビーズを内填した材料を用いて、第2部材42を形成してもよい。
【0059】
導光部30は、構造体31の屈折率とその周囲の媒質の屈折率との差によって、入射する光に位相遅延を生じさせ、波面に影響を与えることができる。導光部30は、例えば、構造体31及び第1部材41及び第2部材42によって入射光に対して位相遅延を与え、光の伝搬方向を調整することが可能となる。
【0060】
入射光に含まれる任意の波長域の光が所望の方向に進むように、各構造体31の大きさ(サイズ)、形状、屈折率、ピッチ(配置間隔)等が定められる。図4に示す例では、複数の構造体31の各々の大きさ、形状、屈折率、ピッチと、第1部材41の屈折率及び第2部材42の屈折率等が調整され得る。複数の構造体31は、一例として、図5A又は図5Bに示す例のように、画素Pごと又は複数の画素Pごとに配置され得る。
【0061】
導光部30は、メタマテリアル(メタサーフェス)技術を利用した光学素子であり、光を導光可能な導光素子ともいえる。導光部30による光の伝搬方向は、構造体31及び第1部材41及び第2部材42等の材料(光学定数)、構造体31の形状、高さ、ピッチ(配置間隔)等によって調整可能である。
【0062】
各画素Pの光電変換部12には、導光部30を介して、被写体からの光が入射する。光電変換部12は、導光部30を介して入射する光を受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成し得る。こうして、撮像装置1は、光電変換部12による光電変換によって得られる画素信号を用いて、例えば、可視画像、赤外画像等を生成することが可能となる。撮像装置1では、導光部30によって光電変換部12に適切に光を導光することができ、入射光に対する感度が低下することを抑制することが可能となる。
【0063】
このように、本実施の形態では、隣り合う複数の構造体31の間を充填するように、第1部材41および第2部材42が設けられる。これにより、構造体31の倒れ、導光部30の特性劣化を抑制することが可能となる。以下では、比較例と対比して、本実施の形態に係る撮像装置1についてさらに説明する。
【0064】
第1の比較例は、撮像装置1の構造体31が有機材料からなる充填部材のみを有する場合である。第1の比較例の場合、図6A及び図6Bに示すように、隣り合う複数の構造体31の間には、有機の充填剤が充填される。この場合、図6Aに示すように、吸湿によって柱状の構造体31間に水が溜まりやすいことが考えられる。また、図6Bに示すように、有機材料の熱膨張に起因して、柱状の構造体31が傾くおそれもある。
【0065】
本実施の形態では、上述したように、無機材料からなる第1部材41が構造体31に接して設けられ、有機材料からなる第2部材42が第1部材41の周りに設けられる。隣り合う構造体31の間に無機材料からなる膜である第1部材41が埋め込まれることで、図7Aに模式的に示すように、構造体31間に水が入って溜まることを防ぐことができる。また、第1部材41が構造体31に接して設けられることで、図7Bに模式的に示すように、構造体31の強度を強化することができ、熱膨張に起因する構造体31の倒壊を防ぐことが可能となる。
【0066】
第2の比較例は、撮像装置1の構造体31が無機材料からなる充填部材のみを有する場合である。第2の比較例の場合、図8に模式的に示すように、コレット200を用いて半導体チップとして撮像装置1を移載する場合、硬い無機の充填剤によって大きな圧力が生じ、撮像装置1に傷や割れが生じるおそれがある。
【0067】
本実施の形態では、図9に示す例のように、画素部100と画素部100の外部の領域において、構造体31の周りに、無機材料からなる第1部材41と有機材料からなる第2部材42が設けられる。コレット200を用いて半導体チップとして撮像装置1を移載する場合、有機材料からなる第2部材42がバッファ層となり、撮像装置1に傷や割れが生じることを抑制することが可能となる。
【0068】
図10は、実施の形態に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。図10は、940nmの波長の光を導光する場合の導光部30の構成例を示している。構造体31は、アモルファスシリコン(a-Si)により構成される。構造体31の厚さ(高さ)であるh1は、720nm~880nmである。また、反射防止膜35は、SiN膜により構成される。反射防止膜35の厚さ(膜厚)h2は、90nm~110nmである。
【0069】
第1部材41は、SiO膜により構成される。第1部材41うちの反射防止膜35上の部分の厚さh3は、135nm~165nmである。第2部材42は、フッ素含有シロキサン樹脂により構成される。第2部材42うちの第1部材41上の部分の厚さh4は、80nm~100mである。また、保護膜60は、SiO膜により構成される。保護膜60の厚さh5は、145nm~180nmである。
【0070】
このように、本実施の形態では、導光部30の周囲に、無機材料からなる第1部材41と、有機材料からなる第2部材42を組み合わせて配置することにより、構造体31における反射を低減することができる。図10に示す例の場合、例えば、940nmの波長の入射光に対する反射率は、16%程度となる。
【0071】
図11A図11Fは、実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。まず、図11Aに示すように、光電変換部12等の素子が形成された半導体基板11上に反射防止膜26等を形成した後、反射防止膜26上にa-Si膜71(アモルファスシリコン膜)を成膜する。そして、図11Bに示すように、a-Si膜71上に、反射防止膜35としてSiN膜を成膜する。
【0072】
次に、図11Cに示すように、第1部材41としてSiO膜を形成した後、リソグラフィ及びエッチングによってレジスト膜81を形成する。そして、図11Dに示すように、第1部材41と反射防止膜35とa-Si膜71のドライエッチング又はウェットエッチングを行う。これにより、a-Si膜71の余分な部分が除去され、構造体31が形成される。
【0073】
次に、図11Eに示すように、ALD(Atomic Layer Deposition)によりSiO膜を成膜し、第1部材41を形成する。そして、図11Fに示すように、樹脂材料を塗布して第2部材42を形成する。そして、第2部材42上に、保護膜60を形成する。以上のような製造方法によって、図4等に示す撮像装置1を製造することができる。
【0074】
図12A図12Jは、実施の形態に係る撮像装置の製造方法の別の例を示す図である。図12A図12Jでは、導光部30の製造工程を図示している。まず、図12Aに示すように、反射防止膜26上に、第1部材41の材料として、透明の無機充填部材72を形成する。
【0075】
次に、図12Bに示すように、リソグラフィ及びエッチングによってレジスト膜82を形成する。そして、図12Cに示すように、エッチングにより、無機充填部材72を選択的に除去することで、第1部材41を形成する。
【0076】
次に、図12Dに示すようにピラー材料を成膜した後、図12Eに示すようにCMPまたはエッチングを行うことで構造体31を形成する。また、図12Fに示すように、反射防止膜35を成膜する。そして、図12Gに示すように、リソグラフィ及びエッチングによって、反射防止膜35上にレジスト膜83を形成する。
【0077】
次に、図12Hに示すように、エッチングにより、反射防止膜35を選択的に除去する。また、図12Iに示すように、第1部材41を形成する。そして、図12Jに示すように、第2部材42を形成する。以上のような製造方法によっても、図4等に示す撮像装置1を製造することができる。なお、上述した製造方法は、あくまでも一例であって、他の製造方法を採用してもよい。
【0078】
[作用・効果]
本実施の形態に係る光検出装置は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体(構造体31)と、隣り合う複数の構造体の間を充填するように設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質(第1部材41)および第2の媒質(第2部材42)とを有する導光部(導光部30)と、導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部(光電変換部12)とを備える。
【0079】
本実施の形態に係る光検出装置(撮像装置1)では、隣り合う複数の構造体の間を充填するように、第1部材41及び第2部材42が設けられる。このため、構造体31の倒れ、導光部30の特性劣化を抑制することができる。品質の低下を抑制可能な光検出装置を実現することが可能となる。
【0080】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0081】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図13は、本開示の変形例1に係る撮像装置の導光部の構成例を示す図である。導光部30は、複数の第1部材41、複数の第2部材42を用いて構成されてもよい。例えば、図13に示す例のように、導光部30は、第1部材41aと、第1部材41bとを有していてもよい。第1部材41a及び第1部材41bは、例えば、それぞれ無機材料を用いて構成される。第1部材41a及び第1部材41bは、異なる無機材料を用いて構成されてもよい。
【0082】
図13に示す例では、第1部材41aは、構造体31に接して設けられる。第1部材41bは、第1部材41aの上に設けられ、第1部材41aを覆うように形成される。第2部材42は、第1部材41bに積層され、第1部材41bに接している。本変形例の場合も、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(2-2.変形例2)
図14は、変形例2に係る撮像装置の導光部の構成例を示す図である。導光部30は、図14に示す例のように、第2部材42aと、第2部材42bとを有していてもよい。第2部材42a及び第2部材42bは、例えば、それぞれ有機材料を用いて構成される。第2部材42a及び第2部材42bは、異なる有機材料を用いて構成されてもよい。
【0084】
図14に示す例では、第2部材42aは、第1部材41に接して設けられる。第2部材42bは、第2部材42aの上に設けられ、第2部材42aを覆うように形成される。本変形例の場合も、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
(2-3.変形例3)
図15は、変形例3に係る撮像装置の構成例を示す図である。撮像装置1の光電変換部12は、図15に模式的に示すように、半導体基板11の第1面11S1側に、凹凸状の形状、例えば四角錐の形状を有していてもよい。即ち、撮像装置1は、受光面側に逆四角錐型の溝構造の光電変換部12を有し、モスアイ構造を有する。
【0086】
本変形例に係る撮像装置1は、各画素Pの光電変換部12の上方の領域に、微細な凹凸が形成された構造を有する。光電変換部12は、複数の凹部および凸部を含み、凹凸構造を有するともいえる。この場合、光電変換部12に効率よく光を導くことができ、入射光に対する感度を向上させることが可能となる。
【0087】
(2-4.変形例4)
上述した実施の形態及び変形例では、構造体31を有する導光部30の構成例について説明した。導光部30の構造体31の形状は、上述した例に限られない。構造体31の形状は、適宜変更可能であり、例えば、平面視において四角形の形状であってもよい。また、構造体31の形状は、多角形、楕円、十字形、又はその他の形状であってもよい。
【0088】
(2-5.変形例5)
撮像装置1は、レンズ部、カラーフィルタを有していてもよい。レンズ部は、例えば、導光部30上に設けられ、上方から入射する光を導光部30側へ導く。カラーフィルタは、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるように構成される。カラーフィルタは、例えば、導光部30と光電変換部12との間に設けられる。カラーフィルタは、例えば、原色系(RGB)のカラーフィルタである。また、Cy(シアン)、Mg(マゼンダ)、Ye(イエロー)等の補色系のカラーフィルタを配置するようにしてもよい。
【0089】
(2-6.変形例6)
光学素子である導光部30は、構造体31の設計によって、光を分光可能な分光部(分光素子)として構成されてもよい。この場合、導光部30は、スプリッター(カラースプリッター)ともいえる。また、例えば、導光部30は、光を集光するレンズ部として構成されてもよい。また、導光部30は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるフィルタ部として構成されてもよい。本開示に係る光検出装置及び光学素子(導光部30)は、種々の機器に適用することができる。
【0090】
<3.適用例>
上記撮像装置1等は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話等、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。図16は、電子機器1000の概略構成を表したものである。
【0091】
電子機器1000は、例えば、レンズ群1001と、撮像装置1と、DSP(Digital Signal Processor)回路1002と、フレームメモリ1003と、表示部1004と、記録部1005と、操作部1006と、電源部1007とを有し、バスライン1008を介して相互に接続されている。
【0092】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置1の撮像面上に結像するものである。撮像装置1は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1002に供給する。
【0093】
DSP回路1002は、撮像装置1から供給される信号を処理する信号処理回路である。DSP回路1002は、撮像装置1からの信号を処理して得られる画像データを出力する。フレームメモリ1003は、DSP回路1002により処理された画像データをフレーム単位で一時的に保持するものである。
【0094】
表示部1004は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置1で撮像された動画または静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。
【0095】
操作部1006は、ユーザによる操作に従い、電子機器1000が所有する各種の機能についての操作信号を出力する。電源部1007は、DSP回路1002、フレームメモリ1003、表示部1004、記録部1005および操作部1006の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給するものである。
【0096】
<4.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0097】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0098】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0099】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0100】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0101】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0102】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0103】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0104】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0105】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0106】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0107】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0108】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0109】
図18では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0110】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0111】
なお、図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0112】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0113】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0114】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0115】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0116】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、例えば、撮像装置1等は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な撮影画像を得ることができ、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0117】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0118】
図19は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0119】
図19では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0120】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0121】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0122】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0123】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0124】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0125】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0126】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0127】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0128】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0129】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0130】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0131】
図20は、図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0132】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0133】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0134】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0135】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0136】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0137】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0138】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0139】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0140】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0141】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0142】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0143】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0144】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0145】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0146】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0147】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0148】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を高感度化することができ、高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0149】
以上、実施の形態、変形例および適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。
【0150】
上記実施の形態等では、撮像装置を例示して説明するようにしたが、本開示の光検出装置は、例えば、入射する光を受光し、光を電荷に変換するものであればよい。出力される信号は、画像情報の信号でもよいし、測距情報の信号でもよい。光検出装置(撮像装置)は、イメージセンサ、測距センサ等に適用され得る。
【0151】
本開示に係る光検出装置は、TOF(Time Of Flight)方式の距離計測が可能な測距センサとしても適用され得る。光検出装置(撮像装置)は、イベントを検出可能なセンサ、例えば、イベント駆動型のセンサ(EVS(Event Vision Sensor)、EDS(Event Driven Sensor)、DVS(Dynamic Vision Sensor)等と呼ばれる)としても適用され得る。
【0152】
本開示の一実施形態の光検出装置は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の構造体の間を充填するように設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部とを備える。このため、構造体の倒れ、導光部の特性劣化を抑制することができる。品質の低下を抑制可能な光検出装置を実現することが可能となる。
【0153】
本開示の一実施形態の光学素子は、入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の構造体の間を充填するように設けられ、構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを備える。このため、構造体の倒れ、光学素子の特性劣化を抑制することができる。品質の低下を抑制可能な光学素子を実現することが可能となる。
【0154】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部と
を備える光検出装置。
(2)
前記第1の媒質は、前記構造体に接して設けられ、無機材料からなり、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられ、有機材料からなる
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記第1の媒質は、複数の前記構造体を覆うように設けられ、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられる
前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記構造体の屈折率は、前記第1の媒質の屈折率よりも高い
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(5)
前記構造体の屈折率と前記第1の媒質の屈折率との差が0.3以上である
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(6)
前記第1の媒質の屈折率は、前記第2の媒質の屈折率よりも高い
前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)
前記導光部は、大きさ、形状、または配置ピッチが異なる複数の前記構造体を有する
前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(8)
前記導光部は、柱状の形状を有する複数の前記構造体を含む
前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)
前記構造体は、可視光の波長以下の大きさ、または赤外光の波長以下の大きさを有する
前記(1)から(8)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(10)
入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、
隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質と
を備える光学素子。
(11)
前記第1の媒質は、前記構造体に接して設けられ、無機材料からなり、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられ、有機材料からなる
前記(10)に記載の光学素子。
(12)
前記第1の媒質は、複数の前記構造体を覆うように設けられ、
前記第2の媒質は、前記第1の媒質を覆うように設けられる
前記(10)または(11)に記載の光学素子。
(13)
前記構造体の屈折率は、前記第1の媒質の屈折率よりも高い
前記(10)から(12)のいずれか1つに記載の光学素子。
(14)
前記構造体の屈折率と前記第1の媒質の屈折率との差が0.3以上である
前記(10)から(13)のいずれか1つに記載の光学素子。
(15)
前記第1の媒質の屈折率は、前記第2の媒質の屈折率よりも高い
前記(10)から(14)のいずれか1つに記載の光学素子。
(16)
前記複数の構造体は、大きさ、形状、または配置ピッチが異なる複数の構造体を含む
前記(10)から(15)のいずれか1つに記載の光学素子。
(17)
前記複数の構造体は、柱状の形状を有する構造体を含む
前記(10)から(16)のいずれか1つに記載の光学素子。
(18)
前記構造体は、可視光の波長以下の大きさ、または赤外光の波長以下の大きさを有する
前記(10)から(17)のいずれか1つに記載の光学素子。
(19)
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
入射光の波長以下の大きさをそれぞれ有する複数の構造体と、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられ、前記構造体の屈折率とは異なる屈折率をそれぞれ有する第1の媒質および第2の媒質とを有する導光部と、
前記導光部を介して入射する光を光電変換する光電変換部と
を有する
電子機器。
【符号の説明】
【0155】
1…撮像装置、10…受光部、12…光電変換部、20…絶縁層、21,22…絶縁膜、26,35…反射防止膜、30…導光部、31…構造体、41…第1部材、42…第2部材。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図12I
図12J
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20