(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060825
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電圧変換システム、土工機械システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
H02M3/28 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168361
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 剛
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS13
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB85
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE08
5H730EE12
5H730FD61
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】土工機械の走行において、効率のよい走行を実現することのできる電圧変換システム、土工機械システム、制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】電圧変換システムは、入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータと、前記複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられ、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態となるスイッチと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータと、
前記複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられ、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態となるスイッチと、
を備える電圧変換システム。
【請求項2】
前記スイッチは、
前記回転指令の値とインバータに供給する電圧との関係に基づいて決定されるスイッチ指令に応じてオン状態またはオフ状態になる、
請求項1に記載の電圧変換システム。
【請求項3】
前記回転指令の値とインバータに供給する電圧との関係は、
ヒステリシスの関係を有する、
請求項2に記載の電圧変換システム。
【請求項4】
前記スイッチは、
前記回転指令の値のしきい値に基づいて決定されるスイッチ指令に応じてオン状態またはオフ状態になる、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電圧変換システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電圧変換システムと、
前記スイッチのオン状態とオフ状態とを制御するコントローラと、
を備える土工機械システム。
【請求項6】
入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられたスイッチを、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態に制御すること、
を含む制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられたスイッチを、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態に制御すること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧変換システム、土工機械システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料に代えて、クリーンなエネルギーを土工機械の動力とするために、土工機械にモータを搭載し電気で駆動することが検討されている。特許文献1には、複数の発電装置を用いた電源システムに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、土工機械の走行において、効率のよい走行が望まれている。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、土工機械の走行において、効率のよい走行を実現する電圧変換システム、土工機械システム、制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータと、前記複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられ、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態となるスイッチと、を備える電圧変換システムである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電圧変換システム、土工機械システム、制御方法およびプログラムによれば、土工機械の走行において、効率のよい走行を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る土工機械システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る駆動装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態における回転指令値とインバータに供給する電圧値との関係の一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態における回転指令値とスイッチ指令との関係の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る電圧変換システムの構成の一例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るDC-DCコンバータの構成の第1の例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に係るDC-DCコンバータの構成の第2の例を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態による土工機械システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図9】本開示の別の実施形態における回転指令値とインバータに供給する電圧値との関係の一例を示す図である。
【
図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0010】
<実施形態>
(土工機械システムの構成)
図1は、本開示の実施形態に係る土工機械システム1の構成の一例を示す図である。土工機械システム1は、
図1に示すように、車体10、車体コントローラ20、電気回路コントローラ30、電圧源40、電圧変換システム50、インバータ60、およびモータ70を備える。土工機械システム1の例としては、ダンプトラックなどが挙げられる。
【0011】
車体10は、駆動装置101を備える。
図2は、本開示の実施形態に係る駆動装置101の構成の一例を示す図である。駆動装置101は、
図2に示すように、アクセル1011、ブレーキ1012、タイヤ1013、アクセル量検出部1014、ブレーキ量検出部1015、およびタイヤ回転数検出部1016を備える。
【0012】
アクセル1011は、車体10を加速させる。ブレーキ1012は、車体10を減速させる。タイヤ1013は、アクセル1011およびブレーキ1012による車体10の加速および減速に応じて回転することにより車体10を走行させる。
【0013】
アクセル量検出部1014は、アクセル1011により加速された加速量を検出する。アクセル量検出部1014は、検出した加速量を車体コントローラ20に出力する。
【0014】
ブレーキ量検出部1015は、ブレーキ1012により減速された減速量を検出する。ブレーキ量検出部1015は、検出した減速量を車体コントローラ20に出力する。
【0015】
タイヤ回転数検出部1016は、タイヤ1013の回転数を検出する。タイヤ回転数検出部1016は、検出した回転数を車体コントローラ20に出力する。
【0016】
車体コントローラ20は、駆動装置101から加速量、減速量、およびタイヤ回転数を受ける。車体コントローラ20は、受けた加速量、減速量、およびタイヤ回転数に基づいて、トルク指令、および回転指令を生成する。車体コントローラ20は、生成したトルク指令、および回転指令を電気回路コントローラ30に出力する。
【0017】
電気回路コントローラ30は、車体コントローラ20からトルク指令、および回転指令を受ける。そして、電気回路コントローラ30は、トルク指令、および回転指令をインバータ60に出力する。また、電気回路コントローラ30は、受けたトルク指令、および回転指令に応じたモータ70を駆動するのに必要な電圧指令値を計算することにより電圧指令を生成する。そして、電気回路コントローラ30は、電圧指令をDC-DCコンバータ501に出力する。また、電気回路コントローラ30は、インバータ60がそれらの指令値に追従できるような後述するスイッチ502のオン状態とオフ状態の間の切り替えを計算することによりスイッチ指令を生成する。そして、電気回路コントローラ30は、スイッチ指令をスイッチ502に出力する。
【0018】
ここで、スイッチ指令について説明する。モータ70の回転数が低い領域では、インバータ60に供給する電圧が低い方がインバータ60において発生する発熱を抑制することができ効率を高めることができる。そのため、電気回路コントローラ30は、回転指令が示す値に応じて、スイッチ指令を変更して電圧変換システム50が出力する直流電圧(すなわち、インバータ60に入力される直流電圧)の大きさを変更することにより、インバータ60の効率を高める。
図3は、本開示の実施形態における回転指令値とインバータ60に供給する電圧値との関係の一例を示す図である。
図4は、本開示の実施形態における回転指令値とスイッチ指令との関係の一例を示す図である。例えば、スイッチ指令がスイッチ指令1である場合、各スイッチ502がそのスイッチ指令1に応じた状態となることにより、電圧変換システム50が直流電圧V1を出力するものとする。また、スイッチ指令がスイッチ指令2である場合、各スイッチ502がそのスイッチ指令2に応じた状態となることにより、電圧変換システム50が直流電圧V2を出力するものとする。また、スイッチ指令がスイッチ指令3である場合、各スイッチ502がそのスイッチ指令3に応じた状態となることにより、電圧変換システム50が直流電圧V3を出力するものとする。そして、例えば、
図4に示すように、回転指令値が上昇する場合には、電気回路コントローラ30は、受けた回転指令に応じて、回転指令値が0からしきい値1までの間、スイッチ指令1を生成し、回転指令値がしきい値1からしきい値2までの間、スイッチ指令2を生成し、回転指令値がしきい値2を超えているとスイッチ指令3を生成する。また、例えば、
図4に示すように、回転指令値が下降する場合には、電気回路コントローラ30は、受けた回転指令に応じて、回転指令値がしきい値3を超えているとスイッチ指令3を生成し、回転指令値がしきい値3からしきい値4までの間、スイッチ指令2を生成し、回転指令値がしきい値4未満ではスイッチ指令1を生成する。
【0019】
電圧源40は、電圧変換システム50が備える複数のDC-DCコンバータ501それぞれに直流電圧を供給する。
【0020】
図5は、本開示の実施形態に係る電圧変換システム50の構成の一例を示す図である。電圧変換システム50は、
図5に示すように、複数のDC-DCコンバータ501、および複数のスイッチ502を備える。
【0021】
複数のDC-DCコンバータ501のそれぞれは、
図5に示すように、入力が並列に接続される。また、複数のDC-DCコンバータ501のそれぞれは、
図5に示すように、出力が直列に接続される。そして、複数のDC-DCコンバータ501のそれぞれは、電圧源40から供給された直流電圧を予め設定された直流電圧に変換可能である。この予め設定された状態のDC-DCコンバータ501それぞれは、電圧変換効率が高くなるように設計されたDC-DCコンバータである。なお、DC-DCコンバータ501の数は、インバータ60に供給する直流電圧に応じて決定する。
【0022】
図6は、本開示の実施形態に係るDC-DCコンバータ501の構成の第1の例を示す図である。
図7は、本開示の実施形態に係るDC-DCコンバータ501の構成の第2の例を示す図である。各DC-DCコンバータ501は、例えば、
図6や
図7に示すような絶縁型のコンバータである。
図6に示すDC-DCコンバータ501は、インバータ5011、トランス5012、整流回路5013a、キャパシタ5014および5015を備える。
図7に示すDC-DCコンバータ501は、インバータ5011、トランス5012、整流回路5013b、キャパシタ5014、5015、およびインダクタ5016を備える。
【0023】
インバータ5011は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子がスイッチングすることにより、所望の電圧を生成する。そして、インバータ5011が生成した電圧は、トランス5012の1次側コイルに印加される。
【0024】
トランス5012は、1次側コイルに印加された電圧を、1次側コイルと2次側コイルとの巻数比に応じた電圧に変換して、2次側コイルから出力する。2次側コイルから出力された電圧は、整流回路5013(5013aまたは5013b)の入力に印加される。
【0025】
整流回路5013aは、IGBTやMOSFETなどの半導体素子によって構成される。また、整流回路5013bは、ダイオードによって構成される。整流回路5013は、トランス5012の2次側コイルから出力された交流電圧を整流することにより、直流電圧を生成する。
【0026】
キャパシタ5014は、インバータ5011の入力に印加される直流電圧を一定の電圧に安定させる。キャパシタ5015は、整流回路5013が出力する直流電圧を一定の電圧に安定させる。インダクタ5016は、キャパシタ5015とともにフィルタを構成し、不要な周波数成分の電圧を除去する。
【0027】
なお、各DC-DCコンバータ501は、所望の直流電圧を生成できるのであれば、
図6や
図7に示すDC-DCコンバータに限らず、どのようなDC-DCコンバータであってもよい。
【0028】
複数のスイッチ502は、複数のDC-DCコンバータ501と同数である。スイッチ502の例としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体素子、および物理スイッチなどが挙げられる。
図5に示すように、1つのDC-DCコンバータ501の出力には、1つのスイッチ502が並列に接続される。各スイッチ502は、スイッチ指令に応じてオン状態またはオフ状態になる。スイッチ502がオン状態になったDC-DCコンバータ501は、出力が短絡される。そのため、そのDC-DCコンバータ501の出力電圧は0ボルトである。また、スイッチ502がオフ状態になったDC-DCコンバータ501は、出力が開放される。そのため、そのDC-DCコンバータ501の出力電圧は予め設定された直流電圧となる。これにより、電圧変換システム50は、所望の直流電圧を生成することが可能となる。電圧変換システム50は、生成した直流電圧をインバータ60に供給する。なお、車体10の走行の始動時または低速時には、電圧変換システム50は相対的に低い電圧を生成し、車体10の走行の高速時には、電圧変換システム50は相対的に高い電圧を生成する。これは、上述したモータ70の回転数が低い領域では、インバータ60に供給する電圧が低い方がインバータ60において発生する発熱を抑制することができ効率を高めることができるという考えに基づくものである。
【0029】
インバータ60は、電圧変換システム50から供給された直流電圧からモータ70を駆動する交流電圧を生成する。インバータ60は、生成した交流電圧をモータ70に出力する。
【0030】
モータ70は、インバータ60が出力する交流電圧に応じて回転する。このモータ70の回転に応じてタイヤ1013が回転することにより、車体10が走行する。
【0031】
(土工機械システムが行う処理)
図8は、本開示の実施形態による土工機械システム1の処理フローの一例を示す図である。次に、土工機械システム1が行う処理について、
図8を参照して説明する。
【0032】
土工機械システム1の操作者は、車体10を走行させる操作を、アクセル1011およびブレーキ1012の少なくとも一方に対して行う。アクセル量検出部1014は、アクセル1011に対する操作に応じた加速量を検出する(ステップS1)。そして、アクセル量検出部1014は、検出した加速量を車体コントローラ20に出力する。また、ブレーキ量検出部1015は、ブレーキ1012に対する操作に応じた減速量を検出する(ステップS2)。そして、ブレーキ量検出部1015は、検出した減速量を車体コントローラ20に出力する。また、タイヤ回転数検出部1016は、タイヤ1013の回転数を検出する(ステップS3)。そして、タイヤ回転数検出部1016は、検出した回転数を車体コントローラ20に出力する。
【0033】
車体コントローラ20は、駆動装置101から加速量、減速量、およびタイヤ回転数を受ける。車体コントローラ20は、受けた加速量、減速量、およびタイヤ回転数に基づいて、トルク指令、および回転指令を生成する(ステップS4)。車体コントローラ20は、生成したトルク指令、および回転指令を電気回路コントローラ30に出力する。
【0034】
電気回路コントローラ30は、車体コントローラ20からトルク指令、および回転指令を受ける。そして、電気回路コントローラ30は、トルク指令、および回転指令をインバータ60に出力する。また、電気回路コントローラ30は、受けたトルク指令、および回転指令に応じたモータ70を駆動するのに必要な電圧指令値を計算することにより電圧指令を生成する。そして、電気回路コントローラ30は、電圧指令をDC-DCコンバータ501に出力する。また、電気回路コントローラ30は、インバータ60がそれらの指令値に追従できるような後述するスイッチ502のオン状態とオフ状態の間の切り替えを計算することによりスイッチ指令を生成する(ステップS5)。そして、電気回路コントローラ30は、スイッチ指令をスイッチ502に出力する。各スイッチ502は、スイッチ指令に応じてオン状態またはオフ状態になる(ステップS6)。電圧変換システム50は、各スイッチ502の状態に応じた直流電圧(すなわち、所望の直流電圧)を生成する(ステップS7)。電圧変換システム50は、生成した直流電圧をインバータ60に供給する。
【0035】
インバータ60は、電圧変換システム50から供給された直流電圧からモータ70を駆動する交流電圧を生成する(ステップS8)。インバータ60は、生成した交流電圧をモータ70に出力する。
【0036】
モータ70は、インバータ60が出力する交流電圧に応じて回転する(ステップS9)。このモータ70の回転に応じてタイヤ1013が回転することにより、車体10が走行する。
【0037】
(効果)
以上、本開示の実施形態に係る土工機械システム1について説明した。本開示の実施形態に係る土工機械システム1において、電圧変換システム50は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータ501と、前記複数のDC-DCコンバータ501の出力に並列に設けられ、モータ70の回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態となるスイッチ502と、を備える。このような電圧変換システム50により、土工機械(車体)の走行において、効率のよい走行を実現することができる。
【0038】
なお、本開示の別の実施形態では、回転指令値とインバータ60に供給する電圧値との関係は、
図3に示す関係に限定されない。例えば、
図9は、本開示の別の実施形態における回転指令値とインバータ60に供給する電圧値との関係の一例を示す図である。本開示の別の実施形態では、回転指令値とインバータ60に供給する電圧値との関係は、回転指令値のしきい値で急激に電圧値が変化するヒステリシスを有する関係ではなく、
図9に示すように、回転指令値に応じて電圧値が徐々に変化するヒステリシスを有する関係であってもよい。この場合、回転指令値とスイッチ指令との関係は、
図4に示す関係ではなく、回転指令値に応じて電圧値が徐々に変化するような回転指令値とスイッチ指令との関係となる。
【0039】
なお、本開示の別の実施形態では、駆動装置101の一部(例えば、アクセル1011、およびブレーキ1012)または全部は、車体10以外に存在し、車体10をリモートで走行させるものであってもよい。
【0040】
なお、スイッチ502は、すべてのDC-DCコンバータ501の出力に設けられなくてもよい。すなわち、スイッチ502は、すべてのDC-DCコンバータ501のうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に設けられるものであってもよい。例えば、本開示の別の実施形態では、スイッチ502は、電圧変換システム50が所望の直流電圧を実現できる限り必要最低限以上のものがDC-DCコンバータ501の出力に設けられていればよい。また、本開示の実施形態では、3つのDC-DCコンバータ501に対して、スイッチ502を切り替えることにより、1つのDC-DCコンバータ501の出力電圧、2つのDC-DCコンバータ501の出力電圧、3つのDC-DCコンバータ501の出力電圧の3通りの電圧を実現可能な例について説明した。しかしながら、本開示の別の実施形態では、n(nは4)以上のDC-DCコンバータ501に対して、スイッチ502を切り替えるものであってもよいし、スイッチ502を切り替えることにより、1からnのいずれかの整数個のDC-DCコンバータ501の出力電圧を実現できるものであってもよい。なお、1からnのどの整数個のDC-DCコンバータ501の出力電圧を出力するかが決まっている場合、その出力電圧の実現に必要なスイッチ502を設ければよい。
【0041】
なお、本開示の別の実施形態では、回転指令値のしきい値の設定値や設定数を上述のものから変更されてもよい。その場合、回転指令値に応じたインバータ60に供給する電圧値の設定値や設定数も上述のものから変更されてもよい。
【0042】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0043】
本開示の実施形態における記憶部や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部や記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0044】
本開示の実施形態について説明したが、上述の土工機械システム1、駆動装置101、車体コントローラ20、電気回路コントローラ30、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0045】
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、
図10に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。例えば、上述の土工機械システム1、駆動装置101、車体コントローラ20、電気回路コントローラ30、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0046】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0047】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【0049】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はこれらに限定されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0050】
(付記1)
入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータと、
前記複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられ、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態となるスイッチと、
を備える電圧変換システム。
【0051】
(付記2)
前記スイッチは、
前記回転指令の値とインバータに供給する電圧との関係に基づいて決定されるスイッチ指令に応じてオン状態またはオフ状態になる、
付記1に記載の電圧変換システム。
【0052】
(付記3)
前記回転指令の値とインバータに供給する電圧との関係は、
ヒステリシスの関係を有する、
付記2に記載の電圧変換システム。
【0053】
(付記4)
前記スイッチは、
前記回転指令の値のしきい値に基づいて決定されるスイッチ指令に応じてオン状態またはオフ状態になる、
付記1から付記3の何れか1つに記載の電圧変換システム。
【0054】
(付記5)
付記1から付記4の何れか1つに記載の電圧変換システムと、
前記スイッチのオン状態とオフ状態とを制御するコントローラと、
を備える土工機械システム。
【0055】
(付記6)
入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータのうち少なくとも1つのDC-DCコンバータの出力に並列に設けられたスイッチを、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態に制御すること、
を含む制御方法。
【0056】
(付記7)
コンピュータに、
入力が並列に接続され、出力が直列に接続される複数のDC-DCコンバータののうち少なくとも1つのDC-DCコンバータ出力に並列に設けられたスイッチを、モータの回転指令に基づいてオン状態またはオフ状態に制御すること、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0057】
1…土工機械システム 5…コンピュータ 6…CPU 7…メインメモリ 8…ストレージ 9…インターフェース 10…車体 20…車体コントローラ 30…電気回路コントローラ 40…電圧源 50…電圧変換システム 60…インバータ 70…モータ 101…駆動装置 501…DC-DCコンバータ 502…スイッチ 1011…アクセル 1012…ブレーキ 1013…タイヤ 1014…アクセル量検出部 1015…ブレーキ量検出部 1016…タイヤ回転数検出部 5011…インバータ 5012…トランス 5013…整流回路 5014、5015…キャパシタ 5016…インダクタ