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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060837
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 352N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168382
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BB43
2C088BC31
2C088CA02
2C088CA28
(57)【要約】
【課題】所謂幽霊会員の会員記録媒体を再発行して当該会員記録媒体の獲得遊技価値を精算する不正に適切に対応可能とする。
【解決手段】遊技場用システム1は、第1対象期間内(例えば14日以内)に再発行され、再発行元の会員カードの最終利用日が第2対象期間内(例えば365日以内)にないことを抽出条件として会員を抽出し、その抽出した会員の会員情報を報知する。所謂幽霊会員の会員カードを再発行して当該会員カードの貯玉を精算する不正に適切に対応可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に会員登録された遊技者を示す会員IDと、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得遊技価値と、を対応付け可能な会員記録媒体に関する会員情報であって、先に発行された旧会員記録媒体を対象とした旧会員情報と、再発行された新会員記録媒体を対象とした新会員情報と、を同じ会員の会員情報として対応付けて管理する管理手段と、
第1対象期間内に再発行されたことが示されることに加え、前記旧会員記録媒体の最終利用が第2対象期間内でないことが示される抽出条件を満たす会員を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された会員の会員情報を報知する報知手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
前記抽出条件は、前記新会員情報により前記第1対象期間内に再プレイ処理が行われていないこと、及び前記第1対象期間内に再プレイ処理が行われたが再プレイ玉数が所定数に達していないことの内、少なくとも何れかが示されることを含む請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
レート又は遊技価値の種類により前記獲得遊技価値を区分する種別が複数設けられ、
前記抽出条件は、前記新会員情報により複数設けられる種別単位で設定される基準値に達する獲得遊技価値が景品交換に関わること、及び再発行時点の前記獲得遊技価値が前記基準値に達することの内、少なくとも何れかが示されることを含む請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
景品交換の対象となる会員が前記抽出条件を満たす場合に景品交換を抑制する抑制手段を備える請求項1から3の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
前記報知手段は、前記会員情報を遊技場内に設けられる管理装置以外の情報端末へ送信することで、当該会員情報を報知する請求項1から3の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では従業員による不正がしばしば見受けられる。例えば特許文献1では残高のある会員カード(会員記録媒体)を従業員が会員の承諾を得ることなく再発行し、当該再発行した会員カードの残高を精算して残高分の金額を取得するといった不正が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-159474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような不正に対応すべく当該公知例では、再発行した会員カードの承継分の残高について、貸出処理のような遊技への利用を可能とする一方、精算は禁止することが提案されている。つまり、残高は比較的短期間(例えば入金した当日限りや1週間以内)しか精算できない運用とする遊技場が多く、仮に通常の会員が再発行した場合に精算できなくとも大きな問題へと発展し難いので、当該不正への対応を優先することが提案されている。
【0005】
ところで、従業員の中には残高ではなく、貯玉や貯メダル等のある会員カードを再発行して不正な景品交換を目論む従業員もいる。この場合、会員からのクレームによる発覚を考慮し、例えば1年といった比較的長期間、来店していない所謂幽霊会員の貯玉や貯メダル等が狙われる場合もあるので、その発覚が遅れる場合もある。
【0006】
このような不正に対して、公知例と同様に再プレイのような遊技への利用は許容する一方、景品交換のような精算処理は禁止することで対応することも想定できる。しかしながら、貯玉や貯メダル等は残高のような比較的短期間ではなく例えば5年といった比較的長期間、或いは有効期限なく精算可能とする運用の遊技場が多いことから、通常の会員が再発行した場合に景品交換を禁止すると大きな問題に発展する虞がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、所謂幽霊会員の会員記録媒体を再発行して当該会員記録媒体の獲得遊技価値を精算する不正に適切に対応可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明は、遊技場に会員登録された遊技者を示す会員IDと、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得遊技価値(例えば貯玉)と、を対応付け可能な会員記録媒体(例えば会員カード)に関する会員情報であって、先に発行された旧会員記録媒体を対象とした旧会員情報(例えば旧会員ID)と、再発行された新会員記録媒体を対象とした新会員情報(例えば新会員ID)と、を同じ会員の会員情報として対応付けて管理する管理手段(例えば管理装置5)と、第1対象期間内(例えば14日以内)に再発行されたことが示されることに加え、前記旧会員記録媒体の最終利用が第2対象期間内(例えば365日以内)でないことが示される抽出条件を満たす会員を抽出する抽出手段(例えば管理装置5)と、前記抽出手段により抽出された会員の会員情報を報知する報知手段(例えば管理装置5)と、を備える。
【0009】
このような構成によれば、第1対象期間内に再発行され、再発行元の会員記録媒体の最終利用が第2対象期間内にないことを抽出条件として会員を抽出し、その抽出した会員の会員情報を報知するので、所謂幽霊会員の会員記録媒体を再発行して当該会員記録媒体の獲得遊技価値を精算する不正に適切に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す図
図2】会員DBを示す図
図3】会員DBを示す図
図4】カード利用履歴を示す図
図5】カード利用履歴(抽出)を示す図
図6】異常検知条件を示す図
図7】再発行会員一覧を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2が設置されている。これら遊技機1及び遊技装置2は中継装置3及びLAN4を介して管理装置5(管理手段、抽出手段、報知手段に相当する)と接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から送信される遊技信号を受信することにより遊技機1毎の遊技データを管理する共に、会員登録された会員毎の個人データも管理する。
【0012】
遊技場には景品交換装置(以下、POSと称する)6及び残高精算機7も設置されており、POS6及び残高精算機7もLAN4を介して管理装置5と接続されている。POS6は、タッチパネル式のモニタを備えており、付属するカードリーダライタにより読取ったICカード8、或いはバーコードリーダにより読取ったレシートに対応する遊技価値に基づいて特定される景品交換価値に基づいて景品交換処理を行う。尚、POS6においてICカード8、或いはレシートに対応する遊技価値の大きさを取扱うときは、管理装置5により管理されるICカード8、或いはレシートに対応する遊技価値の大きさと照合し、真であると判定したことを条件として遊技価値の取扱いを有効とする。残高精算機7は、ICカード8がカード挿入口9に挿入されたときは、当該ICカード8に対応する残高(残有価価値)を返却口10から返却する。
【0013】
管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード11、モニタ12、図示しないプリンタ等が接続されている。管理装置5は、遊技場内に設置された遊技機1、遊技装置2等の稼動状況を管理すると共に、遊技機側からの信号に基づいて遊技者毎の遊技価値の大きさ(持玉数や貯玉数)を記憶管理する。尚、持玉とは当日貯玉であり、前日以前に預入れた玉やメダルのような前日貯玉(以下、便宜的に貯玉と称する)ではなく、当日獲得した玉やメダルを意味する。貯玉と持玉は管理が異なるため、例えば持玉を貯玉に含めて管理する一方、両者を区別すべく別途持玉を管理し、営業終了後に持玉を消去することで両者を統合(区別なき管理と)している。図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。
【0014】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ機であり、盤面13に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル14、上部受皿15、下部受皿16を有すると共に、盤面13に、液晶表示部17、始動口18、大入賞口19を有する。
【0015】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)操作ハンドル14が操作されたことにより盤面13に発射された玉が始動口18に入賞(始動入賞)することに応じて大当り抽選を行い、抽選結果に基づいて所謂特別図柄(特図)による図柄変動を液晶表示部17にて実行し、その結果に応じて大当りを発生させる。尚、所謂保留玉の上限は各4個ずつであり、保留中に始動入賞した場合は上限まで保留し、図柄変動終了後に順次保留した図柄変動を実行する。
【0016】
(2)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/300であり、大当りのうち大当り後に確変状態(確変)となる大当りの割合は66.6%(2/3)である。大当りが発生すると対応するラウンド数(R)に応じた分だけ大入賞口19を開放する。尚、1Rの上限入賞数(上限数)は8個、上限開放時間は30秒であり、上限数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
(3)大当りに対応するラウンド数は5Rと16Rとがあり、その振分割合は5Rが25%であり、16Rが75%である。
【0017】
(4)確変中は大当り確率が1/30に向上する。確変は次回大当りまで継続するため、大当り後に通常状態(通常)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、通常大当りが発生した場合は通常状態へと戻る。
【0018】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや始動口18への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=使用玉を回収するアウトBOX(図示せず)から出力される使用媒体数(アウト)を特定可能な信号を示す。回収玉(使用玉、打込玉)10個に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10をアウトとして特定する。尚、遊技機1から直接出力される信号であっても良い。アウト信号により特定されるアウトは、遊技に使用された遊技価値の量に相当する。
【0019】
セーフ信号=遊技機1から出力される払出遊技価値(払出媒体数、セーフ)を特定可能な信号を示す。払出玉10個に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10をセーフとして特定する。尚、補給装置(図示せす)から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。セーフ信号により特定されるセーフは、入賞により付与された遊技価値の量に相当する。
【0020】
始動入賞信号=遊技機1から出力される始動口18への入賞(始動入賞)を特定可能な信号を示す。始動口18への入賞1回につき1パルスが出力されるので、始動入賞信号の受信に応じて始動入賞を特定する。
【0021】
図柄変動信号(スタート信号)=遊技機1から出力される始動口18への始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能な信号を示す。図柄変動の確定時(終了時)に出力されるので、図柄変動信号の受信に応じて図柄変動(スタート)を特定し、スタート信号数×1を図柄変動回数(スタート回数)として特定する。尚、図柄変動の開始時に出力される信号であっても良く、更に始動入賞信号をスタート信号として採用しても良い。
【0022】
大当り信号=遊技機1から出力される大当り状態である期間を特定可能な信号を示す。大当り状態中にレベル出力されるので、大当り信号受信中を大当り状態中として特定する。
確率変動信号=遊技機1から出力される大当りの当選確率が高い確変状態中である期間を特定可能な信号を示す。確変状態中にレベル出力されるので、確率変動信号受信中を確変状態中として特定する。尚、大当り信号、及び確率変動信号の何れも受信していない期間は通常状態として特定する。
【0023】
遊技装置2は、紙幣(貨幣、遊技有価価値)が投入される紙幣投入口20、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技データや後述する残高、持玉数等を表示するタッチパネル式の液晶表示部21、貯玉を払出すための払出釦22、払出された玉が通過する払出ノズル23、ICカード8が挿入されるカード挿入口24、ICカード8を発行するための発行釦25、遊技機1の下部受皿16の下方に位置する着脱可能な計数受皿26等を備えている。
【0024】
遊技装置2は所謂各台計数機能付の貸出機であり、受付(価値受付処理)けた貨幣の内、貸出(対価付与処理)の対価を減じた残高(残有価価値)、及び計数(価値受付処理)した持玉の内、再プレイ(対価付与処理)により払戻した残りの持玉(残有価価値)を特定可能なICカード8を発行(発行処理)可能な装置である。残高とは遊技者が入金した貨幣額から貸出処理を行った対価額を除いた遊技者の利用可能額を示している。持玉とは上述した通り当日貯玉であり、遊技者が獲得した遊技価値を示し、計数した獲得遊技価値から再プレイ処理により付与した遊技価値や交換した景品の対価となった遊技価値を除いた遊技価値を示している。
【0025】
遊技装置2は、以下に示す機能を備えている。
(1)紙幣投入口20に投入された紙幣の金額をICカード8に記録すると共に、投入金額(残高)を液晶表示部21に表示する。
(2)遊技機1に設けられた図示しない貸出釦の操作に応じて残高の範囲内で1度数に相当する数の玉(遊技価値)を遊技機1内部の払出機構から払出すCR機能を備えている。このとき、遊技機1から遊技装置2に1度数分の125玉を払出したことを示す信号が出力されるので、液晶表示部21に表示されている残高から1度数に相当する単位金額である500円を減額すると共に売上信号を出力する。売上信号は1度数の玉の払出し毎に1パルスが出力されるので、1パルスに相当する単位金額を売上額として特定する。
【0026】
(3)遊技機1の下部受皿16から落下して計数受皿26で受けられた玉数を計数して液晶表示部21に表示する。
(4)払出釦22の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員の場合)の範囲内で1度数ずつ払出す。
【0027】
(5)遊技機1に設けられた図示しない返却釦が操作されたときは、一般カードが挿入されている場合は、残高及び持玉数等の情報を一般カードに記録して発行し、会員カードが挿入されている場合は、残高を会員カードに記録して持玉数を管理装置5に送信してから会員カードを発行する。ICカード8を発行する場合は、カードIDを含む発行情報を管理装置5へ送信し、管理装置5側にも記憶する。尚、ICカードが挿入されていない場合は、図示しないカードストック部にストックしている一般カードをカード挿入口24に繰出して残高及び持玉数を記録して発行する。
【0028】
(6)一般カードがカード挿入口24に挿入された場合は、一般カードに記録されている残高及び持玉数を読出して液晶表示部21に表示する。会員カードがカード挿入口24に挿入された場合は、会員カードに記録されている残高を読出して液晶表示部21に表示すると共に暗証番号の入力を条件として管理装置5の会員口座に会員IDに対応して記憶されている貯玉数(持玉数や貯玉数)も表示する。上述した通り、営業終了後に持玉数は貯玉数に統合される。遊技者による払出操作に応じて貯玉数或いは持玉数の範囲内で玉を払出ノズル23から払出す。尚、貯玉と持玉との管理方法として、営業終了後の処理負荷は高まるが、貯玉に持玉を含めず別々の管理としても良く、この場合、営業終了後に持玉を貯玉に合算するといった処理を行うことで統合することになる。
【0029】
(7)液晶表示部21に対する操作入力に応じて対応する遊技機1或いは指定された他の遊技機1の遊技データを表示したり、遊技場からのメッセージを表示したり、遊技者が会員であることが特定された場合は遊技機1の遊技データを表示する。
【0030】
管理装置5は、記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、遊技機1の稼動状況を示す遊技データを表示する遊技情報表示サービス、及び遊技者が遊技により獲得した遊技媒体を一旦貯蓄し、当日或いは後日遊技に再利用できるようにする貯玉サービスを実行可能となっている。これらのサービスを実行するために、遊技機1や遊技装置2等から入出力部に入力される遊技信号に基づいて遊技機1の稼動状態を特定して遊技機1毎に遊技情報を管理するようになっている。
【0031】
又、管理装置5は、遊技場外に設置されているサーバ27とインターネットを含む公衆回線28を介して通信可能に接続されており、サーバ27は、公衆回線28を介して遊技場外のスマートフォン29及びタブレット端末30と通信可能に接続されている。又、遊技場内では、後述するように従業員が会員カードを再発行する際に操作するタブレット端末31が用意されている。図1では図示を省略したが、複数の遊技場に設置されている複数の管理装置5がサーバ27の管理対象となっている。
【0032】
本実施形態では、ICカード8に記録する情報として残高については一般カードと会員カードの双方に直接記録するのに対して、持玉については一般カードのみに記録し、会員カードには貯玉も含み直接記録せず、記録されるカードIDに基づき管理装置5に問合わせて特定可能となるようになっているが、残高及び持玉等、後述される会員DBにより管理される情報も含み会員に関する情報は会員カードに直接記録しても良いし、何れかのみを記録するようにしても良い。即ち、残高や持玉や貯玉等の会員情報を特定可能な情報を会員カードに記録し、或いは残高や持玉等を対応付け可能であれば、直接的に残高や持玉等を記録しても、カードIDを記録するだけであっても、どのように情報を記録しても良い。尚、上記では会員カードを例示したが一般カードも同様である。
【0033】
管理装置5は、遊技場に会員登録した会員について図2及び図3に示す会員DBを管理している。会員IDに対応付けて会員の電話番号、生年月日、最終利用日、暗証番号の他に、会員カードに対応付けられた残高、貯玉(獲得遊技価値に相当する)、持玉が管理されている。尚、図示しないが会員のメールアドレスが管理されても良い。最終利用日は会員カードが受付けられたことに応じて更新される。貯玉及び持玉は、それぞれレート及び遊技媒体(遊技価値)の玉(パチンコ)やメダル(パチスロ)といった種類により区分され、後述する図6に示すサーバ27にて管理される異常検知条件に対応し、パチンコについては4円、2.5円、2円、1.25円、1円、0.5円の区分で管理され、パチスロについては20円、10円、5円、2円の区分で管理される。尚、図3では、パチンコについては4円、2.5円、2円を図示し、パチスロについては20円、10円、5円を図示している。尚、図2及び後述する図7に示す再発行会員一覧の電話番号の「*」は任意の数字を示す。
【0034】
ICカード8に記録されている残高は残高精算機7にて現金の精算が可能である一方、持玉や貯玉はPOS6にて景品交換することで精算可能であることから、管理装置5は、精算される価値情報を照合可能とするために、遊技者による処理に対応した残高や持玉等の最新の値をカード利用履歴として管理している。
【0035】
図4は、カードの利用履歴を示しており、処理時刻設定部32aに対象となる期間、端末設定部32bに端末の種類及び端末の号番、カードID/会員番号設定部32cに全ID/番号又は指定ID/番号、履歴設定部32dに「プリペイド利用履歴」、持玉に関わる「持玉利用履歴」、カードの内、持玉が精算済みでない「持玉未精算履歴」、貯玉(貯玉処理や再プレイ処理)を利用した「貯玉履歴」、エラー等が発生した処理に対応する「システム履歴」の内、何れを対象とするか(全てを対象とすることも可)を入力すると、対象となる利用履歴を抽出して利用履歴欄32eに表示する。
【0036】
利用履歴欄32eには、処理時刻(降順)(図面では2行目以降省略)、端末名称、(端末の)号機、(パチンコやパチスロの貸単価や交換単価により区別される)種別(Pは貸単価4円のパチンコ)、カードID/会員番号、処理内容、残金(残高)、持玉/メダルが対応付けて表示されており、残高と持玉/メダルについては、処理前の値と処理対象となった値と処理後の値が表示されている。
【0037】
処理内容は、利用履歴を作成する条件に対応しており、持玉を計数する等して増加させる「預入」、持玉を貯玉処理する「会員貯玉」、入金や残高による貸出処理を行う「返却」、持玉による再プレイ処理である「持玉遊技」、カードの残高等を合算する「合算」等があり、この条件は残高や持玉が更新されたことを特定可能な内容が予め設定されている。図4では、カードID/会員番号として全ID/番号を選択した表示を例示している。
【0038】
図5は、図4においてカードID/会員番号にて指定ID/番号を選択してカードのIDを入力した上で絞り込み設定部32fをチェックして抽出した場合の利用履歴の表示例であり、入力されたIDに対応する抽出されたカードの利用履歴が処理時刻順(降順)に表示されている。
【0039】
図5では、図4におけるカードID「80000020」のICカード8の利用履歴を抽出した場合を例示している。尚、備考欄に「明細」が記載されたレコードは図4に記載されていないレコードを示し、ICカード8の挿入、貸玉等の図4では特定されない他の処理を特定するものである。又、「明細」が記載されたレコードの数値は括弧内に表示される。図5では、残金の記憶される最上位のレコードの残金が現在の残金となり、残玉(持玉)の記憶される最上位のレコードの残玉が現在の持玉となり、最上位のレコードがカード照会した際の最後に利用した日時に対応したレコードとなる。図5では、現在の残高2700円全てが精算されて0円であり、現在の残玉が710玉であることを示している。
【0040】
[発明が解決しようとする課題]で説明した通り、従業員により所謂幽霊会員の会員カードを再発行して当該会員カードの貯玉を精算する不正が行われる虞がある。上記した会員DBは従業員が管理装置5にて確認可能であることから、不正を目論む従業員は、最終利用日、つまり、最終来店日がかなり以前(例えば1年前以上)で、それなりの貯玉(例えば5000円相当以上)の会員が存在するか否かを検討し、該当する会員が存在すれば、当該会員の会員カードを例えばタブレット端末31を操作して不正に再発行することが可能である。図2及び図3の例示では、例えば会員ID「01234333」の会員の最終利用日(2021年08月30日)がかなり以前であり、それなりの貯玉(パチンコ2.5円の貯玉が「5,666」、パチンコ2円の貯玉が「3,654」)であるので、会員ID「01234333」の会員は、不正を目論む従業員が会員カードを不正に再発行する対象となり得る。一方、例えば会員ID「01234555」の会員の最終利用日(2021年06月08日)もかなり以前であるが、貯玉がないので、会員ID「01234555」の会員は、会員カードを不正に再発行する対象にはなり難い。
【0041】
不正を目論む従業員は、例えば会員DBから確認した情報に基づいて会員申込書に必要事項を記載(虚偽記載)し、遊技場内のタブレット端末31を操作して該当する会員の会員カードを不正に再発行する。具体的には、不正を目論む従業員は、カード読取画面にて新規カードの磁気又はICを読み取り、再発行対象の会員の生年月日を入力し、必要事項を記載した会員申込書をタブレット端末31にセットし、登録操作を行うことで該当する会員の会員カードを不正に再発行する。尚、会員カードの再発行は、タブレット端末31以外の装置で可能であっても良い。
【0042】
会員カードを再発行した場合、暗証番号も引継がれるが、当該従業員は会員DBから確認した暗証番号を把握可能である。尚、再発行時に暗証番号を変更可能としても良いが、その場合も当該従業員が暗証番号を把握可能である。景品交換に関わる処理を行うPOS6では暗証番号の入力を条件として会員カードに対応付けられた貯玉の景品交換を許容するが、上記した当該従業員は暗証番号も把握しているため不正な景品交換を行うことが可能である。尚、景品交換自体は当該従業員本人が行わなくとも例えば家族や友人のような別人に頼む場合も想定し得る。このような従業員による不正を検出するため、本実施形態では以下の構成を採用している。
【0043】
サーバ27は、図6に示す異常検知条件を設定し、上記した図4のような処理情報を管理装置5から受信して該当する会員カードがあるか否かを、例えば異常検知条件の成立(管理装置5から処理情報を受信した場合や所定時刻となった場合等により成立)に応じて判定する。具体的には、図7に示す再発行会員一覧にて再発行先となった新会員カードと再発行元となった旧会員カードとを対応付けて管理し(両者は同一の会員で破線での仕切り)、図6の異常検知条件の「再発行処理」を確認すべく新会員カードを対象として第1対象期間内(例えば14日以内)に再発行された会員カード、即ち、図7に示す再発行会員一覧にて「区分」が「最新」であり、「入会日」が第1対象期間内の会員を抽出する(新会員情報により第1対象期間内に再発行されたことが示される)。尚、図7に示す再発行会員一覧にて「発行従業員」は会員カードを発行した従業員のIDであり、リモコンや電子キー等により会員カードを発行した従業員が特定可能であれば、当該特定した従業員のIDが記録され、会員カードを発行した従業員が特定不能であれば、「-」が記録される。
【0044】
サーバ27は、抽出した会員に対応する旧会員カードを特定し、その旧会員カードの最終来店日、即ち、最終利用日が第2対象期間内(例えば365日以内)にない会員を抽出する(旧会員情報により旧会員記録媒体の最終利用が第2対象期間内でないことが示される)。図7に例示される再発行会員一覧について、図2に例示した会員DBを参照すると、例えば会員ID「01234333」の会員の最終利用日(2021年08月30日)と、会員ID「01234555」の会員の最終利用日(2021年06月08日)が該当する。尚、再発行する際に旧会員カードを受付ける必要はないことから再発行しても旧会員カードの最終来店日は更新されない(新会員カードの最終来店日だけ更新される)。
【0045】
サーバ27は、抽出した会員の内、新会員カードを対象として第1対象期間内(例えば14日以内)に図6の異常検知条件に見合う再プレイ操作(図6の例示では、全種別にて再プレイ操作を受付けていない)の会員を上記した図4のような処理情報に基づいて抽出する。尚、基準値を設定して設定回数分の再プレイがないことを例示したが、再プレイ玉数が基準値分ないこと、或いは再プレイ処理自体がないこと等を異常検知条件の対象としても良い。
【0046】
更に、サーバ27は、抽出した会員の内、新会員カードを対象として第1対象期間内(例えば14日以内)に図6の異常検知条件に見合うPOS交換操作を受付けた会員を上記した図4のような処理情報に基づいて抽出する。尚、POS交換操作としては景品交換した玉数やメダル数を対象とすれば良いが、処理候補となった(受付けた)玉数を対象としても良い。
【0047】
サーバ27は、再プレイ操作やPOS交換操作の異常検知条件により抽出した会員がいる場合、当該会員の会員カードの番号や関連する処理状況等の会員の会員情報を、別途登録されている遊技場のオーナーや本部等を宛先とした報告先(例えばメールアドレスやLINEID)のスマートフォン29やタブレット端末30へ送信する。即ち、上記したように例えば会員ID「01234333」の会員の最終利用日(2021年08月30日)が第2対象期間内(例えば365日以内)でなく、それなりの貯玉(パチンコ2.5円の貯玉が「5,666」、パチンコ2円の貯玉が「3,654」)であるので、不正を目論む従業員が旧会員ID「01234333」に対応する新会員ID「05678333」の会員カードを不正に再発行すると、当該会員カードの番号や関連する処理状況等の会員の会員情報をスマートフォン29やタブレット端末30へ送信する。尚、会員情報の送信先は簡易的に遊技場(例えば管理装置5)としても良いが、不正をした従業員が当該報告を見つけて報告情報を削除する虞もあるので、上記したように会員情報の送信先は遊技場外のスマートフォン29やタブレット端末30であることが望ましい。
【0048】
尚、サーバ27にて異常検知処理を行うことを例示したが、管理装置5のような遊技場内の端末だけで上記した異常検知処理を行っても良い。この場合、例えばオーナーしか操作できないといった特別状況下での報知が望ましい(例えばオーナー用のIDでログインした場合に報知情報を参照した場合に閲覧できるような報知)。又、遊技場内の端末により異常検知処理を行う場合、景品交換を抑制しても良い。この場合、景品交換を禁止することで抑制しても良いし、例えば別途店長による特別な承認を必要とするといったことで抑制しても良い。新会員カードの再発行や再プレイ操作等について同一の対象期間である14日を例示したが、異なる対象期間としても良い。
【0049】
景品交換に関わる玉数が図6の設定値(基準値)に達することを条件とした抽出を例示したが、玉数に関わらず景品交換した場合に抽出条件を成立させても良い。景品交換することを抽出条件に含めることを例示したが、再発行した時点の貯玉数が図6の設定値に対応する場合に抽出条件を成立させても良い。又、異常検知条件に見合う再プレイ操作の会員を抽出する場合、再プレイ操作を受付けていない会員を抽出することを例示したが、再プレイ操作を受付けた会員を抽出し、当該会員を再発行にかかる抽出対象から除外するといった抽出方法を採用しても良い。又、図4図5に示す全ての操作を対象としたカード利用履歴をサーバ27へ送信し、当該カード利用履歴に基づきサーバ27にて会員を抽出する構成を例示したが、例えば再プレイ操作や交換操作といった操作単位で、利用履歴に基づき抽出条件に見合う会員を抽出可能な情報を管理装置5にてある程度取りまとめ、当該取りまとめた会員情報に基づきサーバ27にて会員を抽出するといったように送受信対象となる会員情報はどのように構成しても良い。更に、検出精度は若干低下するが、複数例示した条件により構成される抽出条件の内、適宜、一部の条件だけを抽出条件として採用しても良い。
【0050】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
遊技場用システム1において、第1対象期間内(例えば14日以内)に再発行され、再発行元の会員カードの最終利用日が第2対象期間内(例えば365日以内)にないことを抽出条件として会員を抽出し、その抽出した会員の会員情報を報知するので、所謂幽霊会員の会員カードを再発行して当該会員カードの貯玉を精算する不正に適切に対応可能となる。
【0051】
抽出条件として、第1対象期間内に再プレイ処理が行われていないこと、第1対象期間内に再プレイ処理が行われたが再プレイ玉数が所定数に達していないことを含むので、例えば他の条件が偶然成立した会員(久しぶりに来場したが会員カードを紛失)が再発行後に遊技することで不正と判定される虞を軽減可能となる。
【0052】
レート及び遊技価値の種類により貯玉を区分する種別が複数設けられ、抽出条件として、複数設けられる種別単位で設定される基準値に達する貯玉が景品交換に関わること、再発行時点の貯玉が基準値に達することを含むので、実際に被害が出た不正を適切に検出可能となる。
景品交換の対象となる会員が抽出条件を満たす場合に景品交換を抑制するので、例示した不正が行われる虞を低減可能となる。
【0053】
抽出した会員の会員情報を遊技場外のスマートフォン29やタブレット端末30へ送信するので、不正した従業員が遊技場内の管理装置5にて報告情報を削除するような対応を排除可能となる。
【0054】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合わせたり各変形例を組み合わせたりしてどのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
記録媒体として残高や持玉を記録するICカード8や会員カードを例示したが、コイン等、どのような記録媒体を対象としても良い。
例示した条件等の設定情報は、予め設定されていれば遊技場の管理者が任意に設定しても、予め管理装置5の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバからダウンロードして設定しても良い。
【0055】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。
【0056】
対象となる遊技機としては遊技価値をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機や、スロットマシン等も採用できる。尚、所謂封入式やクレジット式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
【0057】
サーバ27が行う処理の一部、或いは全部を管理装置5、中継装置3、或いは遊技装置2等にて行っても良いし、管理装置5が行う処理の一部を、或いは全部をサーバ27、中継装置3、或いは遊技装置2にて行っても良く、例示した処理をどのような端末で行っても良い。
【符号の説明】
【0058】
図面中、1は遊技場用システム、5は管理装置(管理手段、抽出手段、報知手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7