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特開2024-60839情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060839
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240425BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240425BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20240425BHJP
   E04C 5/06 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06F30/13
G06Q50/08
E04B1/00 ESW
E04C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168384
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】田端 秀行
(72)【発明者】
【氏名】竹田 宥一郎
【テーマコード(参考)】
2E164
5B146
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164CA01
2E164CA02
5B146AA04
5B146DE12
5B146DL01
5B146DL03
5B146DL08
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】BIMオブジェクトへの配筋処理を短時間で互いに干渉することなく施工可能に行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】構造物のBIMモデルを生成する情報処理装置10は、BIMモデルを構成する複数の部材に対する配筋情報を受信する受信部111と、複数の部材のBIMオブジェクトを用いてBIMモデルを生成するモデリング部110と、複数の部材の各部材について、配筋情報に含まれる部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する配筋部113とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物のBIMモデルを生成する情報処理装置であって、
前記BIMモデルを構成する複数の構造部材に対する配筋情報を受信する受信部と、
前記複数の構造部材のBIMオブジェクトを用いて前記BIMモデルを生成するモデリング部と、
前記複数の構造部材の各構造部材について、前記配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトを前記BIMモデルから特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、前記配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する配筋部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の構造部材の各構造部材について、前記配筋情報に含まれるサイズ情報を有する部材タイプを作成する部材タイプ作成部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の構造部材は梁を含み、当該梁に対する前記配筋情報は、上端筋、下端筋それぞれについて、左端部、中央部、右端部の主筋の本数の情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記主筋の本数の情報は、複数段の主筋の本数の情報を含む、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記配筋部は、梁への配筋処理の際に、当該梁が大梁、小梁、及び片持ち梁のいずれの梁タイプであるかを決定し、決定した前記梁タイプに基づいて端部と中央部との境界を算出する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記BIMモデルを構成する梁、梁主筋、及び柱のそれぞれについて切断情報を取得する取得部と、
前記梁の切断情報、前記梁主筋の切断情報、及び前記柱の切断情報に基づいて、前記BIMモデルを構成する前記BIMオブジェクトを切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成するPCa部材生成部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
生成された1の鉄筋のBIMオブジェクトの位置が修正されると、前記修正された鉄筋のBIMオブジェクトが配置された構造部材と同一の識別情報を有する他の構造部材を特定して、特定した構造部材中の対応する鉄筋のBIMオブジェクトに、前記修正を適用する修正部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
構造物のBIMモデルを生成する情報処理装置で実装される方法であって、
前記BIMモデルを構成する複数の構造部材に対する配筋情報を受信するステップと、
前記複数の構造部材のBIMオブジェクトを用いて前記BIMモデルを生成するステップと、
前記複数の構造部材の各構造部材について、前記配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトを前記BIMモデルから特定するステップと、
特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、前記配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成するステップと
を含む方法。
【請求項9】
構造物のBIMモデルを生成する1又は複数のコンピュータに、
前記BIMモデルを構成する複数の構造部材に対する配筋情報を受信する処理と、
前記複数の構造部材のBIMオブジェクトを用いて前記BIMモデルを生成する処理と、
前記複数の構造部材の各構造部材について、前記配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトを前記BIMモデルから特定する処理と、
特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、前記配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設業界においてBIMの普及が推進されている。BIM(Building Information Modeling)とは、コンピュータ上に現実と同じ建物等の構造物の3次元モデルであるBIMモデルを再現して、活用していく仕組みである。
【0003】
BIMモデルは、建物等の構造物を構成する構造部材である柱や梁等のBIMオブジェクトの集合体であり、各BIMオブジェクトには幅や奥行き、高さに加え、種類、配置情報などを持たせることができる。BIMモデルを構成するすべてのデータが連動しているので、BIMモデル上で修正を行うだけで平面図、立面図、数量表などが自動で修正され、整合性の高いデータを短時間で生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-152842号公報
【特許文献2】特開2021-21974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建築業界全体のワークフローがBIMの普及により改善している一方で、BIMモデルの生成過程は、ユーザの手作業によるところが多い。特許文献1には、水回り機器の3次元形状を表示部に表示するためのBIMモデルに組込可能なBIMパーツを用いることで、BIMを用いた建物の水回りの設計において、工数を削減できる設計支援方法が開示されている。また、特許文献2には、BIMモデルに組み込み可能な昇降機のBIMパーツを用いたBIM制御方法が開示されている。
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載の方法により、水回り機器や昇降機の設計を効率的に行うことができる。しかしながら、BIMモデルを構成する柱や梁のBIMオブジェクトに鉄筋オブジェクトを生成するためには、柱や梁ごとに繰り返し、必要な主筋の本数分、寸法や種類を入力していくという作業が必要であり、多くの時間と労力を要していた。
【0007】
そこで、本発明は、BIMオブジェクトへの配筋処理を短時間で互いに干渉することなく施工可能に行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る、構造物のBIMモデルを生成する情報処理装置は、BIMモデルを構成する複数の構造部材に対する配筋情報を受信する受信部と、複数の構造部材のBIMオブジェクトを用いてBIMモデルを生成するモデリング部と、複数の構造部材の各構造部材について、配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する配筋部とを備える。
【0009】
この態様によれば、情報処理装置は、受信部が受信した配筋情報を用いて、BIMモデルを構成する複数の構造部材のBIMオブジェクトについて、鉄筋のBIMオブジェクトを生成することができるので、BIMオブジェクトへの配筋処理を短時間で互いに干渉することなく施工可能に行うことが可能となる。
【0010】
上記情報処理装置において、複数の構造部材の各構造部材について、配筋情報に含まれるサイズ情報を有する部材タイプを作成する部材タイプ作成部をさらに備えてもよい。この態様によれば、配筋情報に含まれるサイズ情報を有する部材タイプを用いて、正確にBIMモデルを生成することが可能となる。さらに、部材タイプから生成されたBIMオブジェクトが配筋情報に含まれる構造部材の識別情報を有することにより、配筋情報に含まれる構造部材とBIMオブジェクトとの紐づけを容易に行うことが可能となる。
【0011】
上記情報処理装置において、複数の構造部材は梁を含み、当該梁に対する配筋情報は、上端筋、下端筋それぞれについて、左端部、中央部、右端部の主筋の本数の情報を含んでもよい。この態様によれば、情報処理装置は、梁の各部で異なる主筋を配置する場合にも対処することが可能となる。
【0012】
上記情報処理装置において、主筋の本数の情報は、複数段の主筋の本数の情報を含んでもよい。この態様によれば、情報処理装置は、複数段の主筋を採用する場合にも対処することが可能となる。
【0013】
上記情報処理装置において、配筋部は、梁への配筋処理の際に、当該梁が大梁、小梁、及び片持ち梁のいずれの梁タイプであるかを決定し、決定した梁タイプに基づいて端部と中央部との境界を算出してもよい。この態様によれば、情報処理装置は、梁タイプに応じた好ましい境界を算出することが可能となる。
【0014】
上記情報処理装置において、BIMモデルを構成する梁、梁主筋、及び柱のそれぞれについて切断情報を取得する取得部と、梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報に基づいて、BIMモデルを構成するBIMオブジェクトを切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa(Precast Concrete)部材を生成するPCa部材生成部をさらに備えてもよい。この態様によれば、情報処理装置は、配筋処理がなされたBIMオブジェクトから構成されるBIMモデルを活用して、配筋処理がなされたPCa部材を効率的に生成することができる。
【0015】
上記情報処理装置において、生成された1の鉄筋のBIMオブジェクトの位置が修正されると、修正された鉄筋のBIMオブジェクトが配置された構造部材と同一の識別情報を有する他の構造部材を特定して、特定した構造部材中の対応する鉄筋のBIMオブジェクトに、修正を適用する修正部をさらに備えてもよい。この態様によれば、情報処理装置は、複数の構造部材のBIMオブジェクトについて生成した鉄筋のBIMオブジェクトのうちの1の鉄筋のBIMオブジェクトの位置を修正した場合に、同様の修正を適用すべき鉄筋のBIMオブジェクを特定して効率よく修正を適用することができる。
【0016】
本開示の他の態様に係る、構造物のBIMモデルを生成する情報処理装置で実装される方法は、BIMモデルを構成する複数の構造部材に対する配筋情報を受信するステップと、複数の構造部材のBIMオブジェクトを用いてBIMモデルを生成するステップと、複数の構造部材の各構造部材について、配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定するステップと、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成するステップとを含む。
【0017】
本開示の他の態様に係るプログラムは、構造物のBIMモデルを生成する1又は複数のコンピュータに、BIMモデルを構成する複数の構造部材に対する配筋情報を受信する処理と、複数の構造部材のBIMオブジェクトを用いてBIMモデルを生成する処理と、複数の構造部材の各構造部材について、配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定する処理と、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、BIMオブジェクトへの配筋処理を短時間で互いに干渉することなく施工可能に行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理を説明する概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4a】配筋情報の梁の個別情報を例示する図である。
図4b】配筋情報の柱の個別情報を例示する図である。
図4c】配筋情報の梁の共通情報を例示する図である。
図4d】配筋情報の柱の共通情報を例示する図である。
図5】BIMオブジェクトの部材タイプを用いてBIMオブジェクトを生成する処理を説明する概略図である。
図6】梁主筋の配置を例示する図である。
図7】柱主筋の配置を例示する図である。
図8】切断情報の入力画面を例示する図である。
図9】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係る梁への配筋処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る柱への配筋処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、係る実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0021】
(システム構成)
図1を用いて、本発明の概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理を説明する概略図である。
【0022】
情報処理装置10は、記憶装置に、BIMを用いた構造設計用のBIMソフト11と、汎用の表計算ソフト12と、BIMソフト11と表計算ソフト12のデータとを連携する連携ソフト13とがインストールされている。
【0023】
BIMソフト11は、例えばRevit(登録商標)である。なお、RevitはBIMソフト11の一例であり、BIMソフト11は、構造物の3次元モデルであるBIMモデルをコンピュータ上で構築する任意のBIMソフトであってよい。
【0024】
表計算ソフト12は、例えばマイクロソフト(登録商標)社が開発したエクセル(登録商標)である。なお、エクセルは表計算ソフト12の一例であり、表計算ソフト12は、表形式でデータを表示することができる任意の表計算ソフトであってよい。
【0025】
連携ソフト13は、表計算ソフト12で生成されたデータに基づいて、BIMソフト11で利用可能なBIMオブジェクトを生成するソフトウェアである。
【0026】
情報処理装置10は、表計算ソフト12で生成された、柱や梁に配置する鉄筋の種類や本数を定めた配筋情報を受信して、BIMソフト11で生成された柱や梁のBIMオブジェクトに対して、鉄筋のBIMオブジェクトを生成することができる。
【0027】
なお、本実施形態では情報処理装置10が表計算ソフト12で生成された配筋情報を受信する例について説明するが、あくまで一例であり、他の実施形態では、連携ソフト13により表示される画面上で入力された配筋情報を受信する等、他の任意の方法で配筋情報を受信することができる。
【0028】
また、配筋情報は情報処理装置10で生成されてもよいし、情報処理装置10に接続可能な他の装置で生成されてもよい。
【0029】
(機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。なお、図2では、単一の情報処理装置10を想定し、必要な機能構成だけを示しているが、情報処理装置10を、複数のコンピュータシステムによる多機能の分散システムの一部として構成することもできる。
【0030】
情報処理装置10は、機能的な構成として、例えば、BIMソフト実行部110、配筋情報受信部111、部材タイプ作成部112、配筋部113、修正部114、切断情報取得部115、PCa部材生成部116及び記憶部100を有する。記憶部100は、例えば、BIMデータベース101、BIMモデルデータベース102及び配筋データベース103を記憶する。各機能構成について、以下に記載する。
【0031】
BIMデータベース101には、BIMオブジェクトの部材タイプが保存される。部材タイプとは、BIMオブジェクトの属性情報を有する型情報であり、部材タイプを用いることで、同じ属性情報を有する複数のBIMオブジェクトを生成することができる。例えば、構造物を構成する柱について、所望のサイズを有する柱部材タイプ1を作成し、この柱部材タイプ1を用いてBIMオブジェクトを生成することで、柱部材タイプ1のサイズを有する複数のBIMオブジェクトを生成することができる。
【0032】
BIMモデルデータベース102には、BIMモデルの情報が保存される。一実施形態では、BIMモデルデータベース102には、BIMソフト11を介して設計される構造物のBIMモデルが保存される。具体的には、BIMモデルデータベース102には、BIMモデルを構成する各BIMオブジェクトの種類、サイズ、配置等の属性情報が格納されることが好ましい。
【0033】
配筋データベース103には、配筋情報が保存される。本実施形態では、配筋データベース103には、配筋情報受信部111が受信した配筋情報が保存される。一実施形態では、配筋情報には、梁の個別情報、柱の個別情報、梁の共通情報、柱の共通情報が含まれる。一実施形態では、図4aに示すように、梁の個別情報には、先行/後行、階数、符号、梁幅、梁成、鉄筋タイプ、主筋情報等が含まれることが好ましい。
【0034】
先行/後行は、構造設計により定まる配筋順序を示す情報である。階数は、梁が施工される階を示す情報である。符号は、構造図の符号に対応する情報である。鉄筋タイプは、鉄筋の種類と鉄筋径を示す情報である。主筋情報は、上端筋、下端筋それぞれについて、左端部、中央部、右端部の主筋の本数の情報を含む。なお、一実施形態では、主筋情報は複数段の主筋の本数の情報を含むことができ、図4aの例では、プラス記号の前に1段目の主筋の本数、プラス記号の後に2段目の主筋の本数が指定されている。本実施形態では2段筋の例について説明するが、あくまで一例であり、他の実施形態では、主筋情報は、3段目以降等、任意の段数の主筋の本数情報を含めることができる。
【0035】
一実施形態では、図4bに示すように、柱の個別情報には、階数、符号、サイズX、サイズY、鉄筋タイプ、主筋情報等が含まれることが好ましい。サイズXは、X方向の柱のサイズを示す情報であり、サイズYは、Y方向の柱のサイズを示す情報である。鉄筋タイプは、鉄筋の種類と鉄筋径を示す情報である。主筋情報は、X方向の主筋の本数及びY方向の主筋の本数の情報を含む。
【0036】
一実施形態では、図4cに示すように、梁の共通情報には、上端筋レベル、下端筋レベル、主筋間、梁の側面から主筋芯までの寸法等が含まれることが好ましい。上端筋レベルは、梁の上面から上端筋までの寸法を示す情報であり、先行の場合と後行の場合についてそれぞれ設定することができる。下端筋レベルは、梁の底面から下端筋までの寸法を示す情報であり、先行の場合と後行の場合についてそれぞれ設定することができる。先行の場合と後行の場合のレベル情報を設定することで、主筋同士の干渉を回避することができる。主筋間は、主筋と主筋との間の寸法を示す情報である。
【0037】
一実施形態では、図4dに示すように、柱の共通情報には、主筋間、柱の面から主筋までの寸法等が含まれることが好ましい。主筋間は、主筋と主筋との間の寸法を示す情報である。
【0038】
BIMソフト実行部110は、BIMソフト11を実行して構造物のBIMモデルを生成する。本実施形態では、BIMソフト実行部110は、BIMソフト11を実行して構造物のBIMモデルを生成し、生成したBIMモデルをBIMモデルデータベース102に保存する。
【0039】
配筋情報受信部111は、柱や梁に配置する鉄筋の種類や本数を定めた配筋情報を受信して、保存する。本実施形態では、配筋情報受信部111は、表計算ソフト12で生成された配筋情報を受信して、受信した配筋情報を配筋データベース103に保存する。上述したように、一実施形態では、配筋情報には、梁の個別情報、柱の個別情報、梁の共通情報、柱の共通情報が含まれる。本実施形態では、配筋情報受信部111は、梁の個別情報、柱の個別情報、梁の共通情報、柱の共通情報にそれぞれ対応するシートを含むファイルを受信して、各シートの対応する情報を識別して、配筋データベース103に保存する。
【0040】
部材タイプ作成部112は、BIMオブジェクトの部材タイプを作成する。本実施形態では、部材タイプ作成部112は、配筋データベース103の情報に基づいてBIMオブジェクトの部材タイプを作成し、作成した部材タイプをBIMデータベース101に保存する。具体的には、部材タイプ作成部112は、配筋データベース103の梁の個別情報に基づいて、梁部材タイプを作成し、配筋データベース103の柱の個別情報に基づいて、柱部材タイプを作成する。
【0041】
配筋部113は、柱や梁に配置する鉄筋の種類や本数を定めた配筋情報に基づいて、柱や梁のBIMオブジェクトに対して、鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の情報を用いて、各部材タイプから生成された複数のBIMオブジェクトを特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、対応する部材タイプの主筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。
【0042】
配筋部113は、梁のBIMオブジェクトへの配筋の際、梁のBIMオブジェクトの属性情報に基づいて梁タイプと梁スパンを決定して、決定した梁タイプと梁スパンとに基づいて、左端部と中央部との境界となる境界1、及び、右端部と中央部との境界となる境界2を算出する。梁タイプとは梁の種類を示す情報であり、大梁、小梁、及び片持ち梁のいずれかが指定される。続いて、配筋部113は、上端筋、下端筋それぞれの、左端部、中央部、右端部の計6か所について、配筋情報に基づいて梁のBIMオブジェクトに鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。
【0043】
また、配筋部113は、柱のBIMオブジェクトへの配筋の際、柱のBIMオブジェクトの各面について、X方向であるかY方向であるか、主筋本数が偶数であるか奇数であるかを考慮して鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。
【0044】
修正部114は、1の鉄筋に対する修正情報が入力されて当該鉄筋の位置が修正されると、修正された鉄筋が配置された構造部材と同一の識別情報を有する他の構造部材の対応する鉄筋に、ユーザが入力した修正情報を適用することができる。例えば、配筋部113による配筋処理の後、ユーザは、BIMソフト実行部110が表示する画面上でBIMモデルの特定の部位において鉄筋同士の干渉がないかどうかを確認し、必要に応じて、鉄筋の位置を修正する場合がある。
【0045】
一実施形態では、修正部114は、ユーザが1の鉄筋に対する修正を終えた後、画面上で「他の構造部材へ適用」ボタンをマウスで選択する等、他の構造部材へ修正を適用するための指示を受信することに応答して、修正された鉄筋が配置された構造部材と同一の識別情報を有する他の構造部材を特定し、特定した構造部材に対して修正を適用する。
【0046】
切断情報取得部115は、梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報を取得する。本実施形態では、切断情報取得部115は、伏図上でのマウスのドラッグ操作に応じて、梁の切断情報及び梁主筋の切断情報を取得する。例えば、図8に示すように、ユーザは梁の切断情報を入力するために直線で示されるようなマウスのドラッグ操作を行うことができ、さらに、梁主筋の切断情報を入力するために破線で示されるようなマウスのドラッグ操作を行うことができる。ユーザの入力が完了すると、切断情報取得部115は、梁の切断情報及び梁主筋の切断情報を取得する。
【0047】
また、切断情報取得部115は、キーボードを介した入力に応じて、柱の切断情報を取得する。例えば、本実施形態では、切断情報取得部115は、スラブの天端からの相対位置と梁底面からの相対位置とを全ての柱に共通の切断情報として取得する。
【0048】
PCa部材生成部116は、BIMモデル、梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報に基づいてBIMオブジェクトを切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成する。本実施形態では、PCa部材生成部116は、BIMモデルデータベース102のBIMモデルと、切断情報取得部115が取得した梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報とに基づいて、梁、梁主筋、柱、柱主筋を切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成する。
【0049】
(ハードウェア構成)
次に、図3を用いて、情報処理装置10のハードウェア構成の一例について説明する。図3の例では、情報処理装置10は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processor Unit)等のプロセッサ10aと、RAM(Random Access Memory)10bと、ROM(Read only Memory)10cと、通信装置10dと、記憶装置10eと、入力装置10fと、表示装置10gとを有してもよい。これらの各構成は、バスを介して相互にデータを送受信できるように接続される。
【0050】
プロセッサ10aは、ROM10c又は記憶装置10eに記憶されたプログラムをRAM10bに展開して実行することで、データの演算や加工を行う制御部として機能する。プロセッサ10aは、通信装置10dや入力装置10fから種々の入力データを受信し、入力データを演算した結果を通信装置10dや表示装置10gから出力したり、RAM10bや記憶装置10eに格納したりする。
【0051】
本実施形態におけるプロセッサ10aは、ROM10c又は記憶装置10eに記憶されたプログラムを実行することにより、上述したBIMソフト11、表計算ソフト12、及び連携ソフト13に係る処理を実現可能に構成される。例えば、図2に機能構成として示したBIMソフト実行部110、配筋情報受信部111、部材タイプ作成部112、配筋部113、修正部114、切断情報取得部115、PCa部材生成部116は、プロセッサ10a上でプログラムを実行することにより実現される。このプログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信装置10dにより接続されるネットワークを介して提供されてもよい。
【0052】
RAM10bは、例えば半導体記憶素子で構成され、書き換え可能なデータを記憶する。RAM10bは、プログラムに含まれるコードの他、記憶部100の一部又は全部のデータを一時的に記憶する。ROM10cは、例えば半導体記憶素子で構成され、読み出し可能かつ書き換え不可能なデータを記憶する。ROM10cは、プログラム及び連携ソフトに係る処理に必要な各種データ、例えば記憶部100のデータを記憶する。
【0053】
通信装置10dは、外部の装置との間で、有線又は無線によるネットワークを介したデータ通信を行うための装置である。
【0054】
記憶装置10eは、例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成される不揮発性の記憶媒体である。記憶装置10eは、プログラム及び記憶部100のデータを記憶する。
【0055】
入力装置10fは、ユーザからの操作を受け付けるための装置であり、キーボードやマウス、タッチパネル等によって実現することができる。
【0056】
表示装置10gは、情報を表示するための装置であり、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現することができる。
【0057】
(情報処理装置の処理)
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理の概要を説明する。
ステップS901において、情報処理装置10の配筋情報受信部111は、柱や梁に配置する鉄筋の種類や本数を定めた配筋情報を受信して、保存する。本実施形態では、配筋情報受信部111は、図4a~4dに示されるような、表計算ソフト12で生成された配筋情報を受信して、受信した配筋情報を配筋データベース103に保存する。
【0058】
上述したように、配筋情報には、梁の個別情報、柱の個別情報、梁の共通情報、柱の共通情報が含まれる。本実施形態では、配筋情報受信部111は、梁の個別情報、柱の個別情報、梁の共通情報、柱の共通情報にそれぞれ対応するシートを含むファイルを受信して、各シートの対応する情報を識別して、配筋データベース103に保存する。
【0059】
ステップS902において、情報処理装置10の部材タイプ作成部112は、BIMオブジェクトの部材タイプを作成する。本実施形態では、部材タイプ作成部112は、配筋データベース103の梁の個別情報に基づいて梁部材タイプを作成し、配筋データベース103の柱の個別情報に基づいて柱部材タイプを作成し、作成した部材タイプをBIMデータベース101に保存する。
【0060】
図5には、領域501内に、柱の個別情報に基づいて作成された柱部材タイプが一覧で示されている。本実施形態では、柱の個別情報の階数及び符号により、柱部材タイプを一意に識別することができる。同様に、梁の個別情報の階数及び符号により、梁部材タイプを一意に識別することができる。
【0061】
ステップS903において、情報処理装置10のBIMソフト実行部110は、BIMソフト11を実行して構造物のBIMモデルを生成する。本実施形態では、BIMソフト実行部110は、図5に示すような画面を表示し、例えば、ユーザが領域501内の所望の部材タイプのBIMオブジェクトをドラッグアンドドロップ等により所望の位置に配置することで、BIMモデルを生成する。
【0062】
ステップS904において、情報処理装置10の配筋部113は、柱や梁のBIMオブジェクトに対して、鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の情報を用いて、各部材タイプから生成された複数のBIMオブジェクトを特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、対応する部材タイプの主筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。
【0063】
具体的には、配筋部113は、図4aに示される梁の個別情報に基づいて、梁の識別情報「4G1」で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、対応する部材タイプの主筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。同様に、配筋部113は、梁の識別情報「5G1」、「6G1」・・・で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、対応する部材タイプの主筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。
【0064】
配筋部113はまた、図4bに示される柱の個別情報に基づいて、柱の識別情報「1C1」で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、対応する部材タイプの主筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。同様に、配筋部113は、柱の識別情報「3C1」、「3C2」・・・で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、対応する部材タイプの主筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。
【0065】
配筋部113による配筋処理の後、ユーザは、鉄筋のBIMオブジェクトの位置を修正してもよい。例えば、ユーザは、BIMソフト実行部110が表示する画面上でBIMモデルの特定の部位において鉄筋同士の干渉がないかどうかを確認し、必要に応じて、鉄筋の位置を修正することができる。ユーザが1の鉄筋に対する修正情報を入力して当該鉄筋の位置が修正されると、情報処理装置10の修正部114は、修正された鉄筋が配置された構造部材と同一の識別情報を有する他の構造部材の対応する鉄筋に、ユーザが入力した修正情報を適用することができる。
【0066】
一実施形態では、修正部114は、ユーザが1の鉄筋に対する修正を終えた後、画面上で「他の構造部材へ適用」ボタンをマウスで選択する等、他の構造部材へ修正を適用するための指示を受信することに応答して、修正された鉄筋が配置された構造部材と同一の識別情報を有する他の構造部材を特定し、特定した構造部材中の対応する鉄筋のBIMオブジェクトに対して修正を適用する。なお、特定した構造部材への修正の適用は、一律で行ってもよいし、修正を適用する前に適用対象の構造部材を順次ユーザに提示し、適用対象の構造部材への修正を適用するか否かの指示を再度ユーザから受け付けた後に、適宜実行するようにしてもよい。
【0067】
ステップS905において、情報処理装置10の切断情報取得部115は、梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報を取得する。本実施形態では、切断情報取得部115は、伏図上でのマウスのドラッグ操作に応じて、梁の切断情報及び梁主筋の切断情報を取得する。ここでは、切断情報取得部115は、図8に示されるような、梁の切断情報と、梁主筋の切断情報とを取得したものとする。さらに、切断情報取得部115は、キーボードを介した入力に応じて、スラブの天端からの相対位置と梁底面からの相対位置とを全ての柱に共通の切断情報として取得したものとする。
【0068】
ステップS906において、情報処理装置10のPCa部材生成部116は、BIMモデル、梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報に基づいてBIMオブジェクトを切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成する。本実施形態では、PCa部材生成部116は、BIMモデルデータベース102のBIMモデルと、切断情報取得部115が取得した梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報とに基づいて、梁、梁主筋、柱、柱主筋を切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成する。
【0069】
例えば、図8の例では、PCa部材生成部116は、柱P1と梁B1の左側と梁B3の上側と、それに対応する主筋とからなる斜線領域で示されるPCa部材を生成する。続いて、PCa部材生成部116は、梁B1の右側と柱P2と梁B2の左側と梁B4の上側と、それに対応する主筋とからなるPCa部材を生成する。同様に、PCa部材生成部116は、BIMモデル、梁の切断情報、梁主筋の切断情報、及び柱の切断情報に基づいてBIMオブジェクトを切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成したものとする。
【0070】
(配筋処理)
次に、ステップS904の配筋処理を詳細に説明する。まず、図6及び図10を参照して、梁への配筋処理を説明する。図6は、梁主筋の配置を例示する図である。図10は、本発明の一実施形態に係る梁への配筋処理を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS1001において、配筋部113は、未処理の配筋情報があるか否か判定する。本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の梁の個別情報を参照して、未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理の配筋情報がない場合(S1001:No)、配筋部113は処理を終了する。一方で、未処理の配筋情報がある場合(S1001:Yes)、ステップS1002において、配筋部113は、配筋対象の梁のBIMオブジェクトを取得する。本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の梁の個別情報を参照して、1行目のレコードを未処理の配筋情報と判定し、レコード内の梁の識別情報「4G1」で特定されるすべての梁のBIMオブジェクトをBIMモデルデータベース102から取得する。
【0072】
ステップS1003において、配筋部113は、梁タイプを決定する。本実施形態では、配筋部113は、梁のBIMオブジェクトと接触した柱の数及び梁のBIMオブジェクトと接触した梁の数に基づいて梁タイプを決定する。ここでは、配筋部113は、大梁、小梁、及び片持ち梁のいずれかの梁タイプを決定する。
【0073】
ステップS1004において、配筋部113は、梁スパンを決定する。本実施形態では、配筋部113は、処理対象の梁と接触した柱又は梁の接触面を取得して、両端の面の中心点を接続した線分の長さを梁スパンとして決定する。
【0074】
ステップS1005において、配筋部113は、決定した梁タイプと梁スパンとに基づいて、左端部と中央部との境界となる境界1、及び、右端部と中央部との境界となる境界2を算出する。
【0075】
続いて、ステップS1006において、配筋部113は、上端筋、下端筋それぞれの、左端部、中央部、右端部の計6か所について、配筋情報に基づいて鉄筋の配置を決定する。本実施形態では、図6に示されるように、配筋部113は、上端筋の1段目の最大本数、上端筋の2段目の最大本数、下端筋の1段目の最大本数、及び下端筋の2段目の最大本数に基づいて、仮のレイアウト601を作成する。
【0076】
その後、配筋部113は、梁の個別情報の各部の主筋の本数、梁の共通情報の上端筋レベル、下端筋レベル、主筋間、梁の側面から主筋芯までの寸法に基づいて、仮のレイアウトから不要な主筋を削除し、残った主筋を位置決めすることで鉄筋の配置を決定する。
【0077】
ステップS1007において、配筋部113は、ステップS1006で決定した鉄筋の配置に従って、梁のBIMオブジェクトに配置される鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。ここでは、配筋部113は、ステップS1002で取得したすべての梁のBIMオブジェクトに対して、鉄筋のBIMオブジェクトを生成したものとする。
【0078】
処理はステップS1001に戻り、配筋部113は、未処理の配筋情報がなくなるまでS1002~S1007を繰り返し、未処理の配筋情報がなくなると処理を終了する。
【0079】
次に、図7及び図11を参照して、柱への配筋処理を説明する。図7は、柱主筋の配置を例示する図である。図11は、本発明の一実施形態に係る柱への配筋処理を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS1101において、配筋部113は、未処理の配筋情報があるか否か判定する。本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の柱の個別情報を参照して、未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理の配筋情報がない場合(S1101:No)、配筋部113は処理を終了する。一方で、未処理の配筋情報がある場合(S1101:Yes)、ステップS1102において、配筋部113は、配筋対象の柱のBIMオブジェクトを取得する。本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の柱の個別情報を参照して、1行目のレコードを未処理の配筋情報と判定し、レコード内の柱の識別情報「1C1」で識別されるすべての柱のBIMオブジェクトをBIMモデルデータベース102から取得する。
【0081】
ステップS1103において、配筋部113は、配筋情報に基づいて鉄筋の配置を決定する。本実施形態では、図7に示されるように、配筋部113は、柱のBIMオブジェクトのX方向及びY方向の各面について、主筋本数が偶数であるか奇数であるかを考慮して鉄筋の配置を決定する。
【0082】
本実施形態では、配筋部113は、配筋データベース103の柱の共通情報に基づいて、まず、両端の鉄筋を配置する。ここでは、配筋部113は、柱の面から主筋芯までの寸法「B」に基づいて鉄筋を配置する。次に、配筋部113は、主筋本数が偶数であるか奇数であるかに従って、残りの主筋を配置する。
【0083】
主筋本数が偶数である場合、配筋部113は、中心線を挟んで両側に主筋間の距離となるように主筋701、702を配置する。続いて、配筋部113は、直前に配置した主筋から主筋間の距離となるように残りの主筋を配置する。ここでは、配筋部113は、残りの主筋703、704を配置したものとする。また、主筋本数が奇数である場合、配筋部113は、中心線に主筋を配置する。続いて、配筋部113は、直前に配置した主筋から主筋間の距離となるように残りの主筋を配置する。
【0084】
ステップS1104において、配筋部113は、ステップS1103で決定した鉄筋の配置に従って、柱のBIMオブジェクトに配置される鉄筋のBIMオブジェクトを生成する。ここでは、配筋部113は、ステップS1102で取得したすべての柱のBIMオブジェクトに対して、鉄筋のBIMオブジェクトを生成したものとする。
【0085】
処理はステップS1101に戻り、配筋部113は、未処理の配筋情報がなくなるまでS1102~S1104を繰り返し、未処理の配筋情報がなくなると処理を終了する。
【0086】
なお、BIMソフト11の標準テンプレートとして鉄筋テンプレートが用意されている場合もあるが、標準の鉄筋テンプレートは、仕様によって特定の操作が制限される場合がある。例えば、標準の鉄筋テンプレートは、分割(切断)ができない、特定方向への移動が制限される等が考えられる。そのため、本実施形態では、配筋部113は、BIMソフト11の標準テンプレートを用いることなく、鉄筋のBIMオブジェクトを生成することが好ましい。
【0087】
以上、本実施形態によれば、情報処理装置10は、BIMモデルを構成する各構造部材について、配筋情報に含まれる構造部材の識別情報で識別されるすべてのBIMオブジェクトをBIMモデルから特定して、特定した複数のBIMオブジェクトのそれぞれについて、配筋情報に従って鉄筋のBIMオブジェクトを生成することができる。情報処理装置10のユーザは、例えば各構造部材に対する配筋情報を表計算ソフトで準備するだけで、膨大な量のBIMオブジェクトへの配筋処理を、短時間で互いに干渉することなく施工可能に行うことができる。
【0088】
また、情報処理装置10は、BIMモデルを構成する各構造部材について、配筋情報に含まれるサイズ情報を有する部材タイプを作成することができるので、ユーザは、事前に定義された部材タイプを用いて、正確にBIMモデルを生成することができ、さらに、配筋情報に含まれる構造部材とBIMオブジェクトとの紐づけを容易に行うことができる。
【0089】
また、情報処理装置10は、梁に対する配筋情報として、上端筋、下端筋それぞれについて、左端部、中央部、右端部の主筋の本数の情報を含むことができるので、梁の各部で異なる主筋を配置する場合にも対処することができる。
【0090】
また、情報処理装置10は、梁に対する配筋情報として、複数段の主筋の本数の情報を含むことができるので、複数段の主筋を採用する場合にも対処することができる。
【0091】
また、情報処理装置10は、梁への配筋処理の際に、当該梁が大梁、小梁、及び片持ち梁のいずれの梁タイプであるかを決定し、決定した梁タイプに基づいて端部と中央部との境界を算出することができるので、梁タイプに応じた好ましい境界を算出することができる。
【0092】
さらに、情報処理装置10は、梁、梁主筋、及び柱のそれぞれについて切断情報を取得し、取得した切断情報に基づいて、梁、梁主筋、及び柱のBIMオブジェクトを切断し、切断したBIMオブジェクトをアセンブリ化してPCa部材を生成することができるので、ユーザは生成したBIMモデルを活用して、PCa部材を効率的に生成することができる。
【符号の説明】
【0093】
10…情報処理装置、10a…プロセッサ、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信装置、10e…記憶装置、10f…入力装置、10g…表示装置、11…BIMソフト、12…表計算ソフト、13…連携ソフト、100…記憶部、101…BIMデータベース、102…BIMモデルデータベース、103…配筋データベース、110…BIMソフト実行部(モデリング部)、111…配筋情報受信部(受信部)、112…部材タイプ作成部、113…配筋部、114…修正部、115…切断情報取得部(取得部)、116…PCa部材生成部、P1…柱、P2…柱、B1…梁、B2…梁、B3…梁、B4…梁
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11