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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060883
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光ファイバ接続装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G02B6/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168447
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000243342
【氏名又は名称】本多通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 靖明
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 毅
(72)【発明者】
【氏名】江口 敏明
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036JA00
2H036JA03
2H036JA04
2H036QA03
2H036QA11
2H036QA43
2H036QA44
2H036QA47
2H036QA57
(57)【要約】
【課題】光ファイバの回転調心を容易にする。
【解決手段】フェルール13aは、軸方向に貫通し光ファイバを保持する貫通穴を有し、軸方向に移動可能である。付勢機構(スプリング17)は、フェルール13aを先端方向へ向けて付勢することにより、第二のフェルール13bの先端にフェルール13aの先端を押し付ける。回転機構(ダイヤル15)は、軸方向に略平行な軸を中心としてフェルール13aを回転させる。隙間生成機構(ホルダ14a、ワッシャー16)は、フェルール13aの先端と第二のフェルール13bの先端との間に隙間29を生じさせる。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通し光ファイバを保持する貫通穴を有し、前記軸方向に移動可能なフェルールと、
前記フェルールを先端方向へ向けて付勢することにより、第二のフェルールの先端に前記フェルールの先端を押し付ける付勢機構と、
前記軸方向に略平行な軸を中心として前記フェルールを回転させる回転機構と、
前記フェルールの先端と前記第二のフェルールの先端との間に隙間を生じさせる隙間生成機構と
を備える、
光ファイバ接続装置。
【請求項2】
前記隙間生成機構は、前記先端方向とは逆の根元方向へ向けて前記フェルールを移動させる、
請求項1の光ファイバ接続装置。
【請求項3】
前記隙間生成機構は、
前記フェルールに固定された被当接部材を有し、
治具の当接部が前記被当接部材に当接することにより、前記フェルールが前記根元方向へ向けて移動する、
請求項2の光ファイバ接続装置。
【請求項4】
前記隙間生成機構は、前記付勢機構による付勢力から前記フェルールを解放する、
請求項1の光ファイバ接続装置。
【請求項5】
前記隙間生成機構は、
前記フェルールに固定された被付勢部材と、
前記被付勢部材に当接し、前記付勢機構による付勢力を前記被付勢部材に伝達する伝達部材と
を有し、
治具の当接部が前記伝達部材に当接することにより、前記伝達部材を前記被付勢部材から離し、前記付勢力が前記被付勢部材に伝達されないようにする、
請求項4の光ファイバ接続装置。
【請求項6】
前記回転機構は、
前記フェルールに固定された被回転部材と、
前記被回転部材と係合したダイヤルと
を有し、
前記フェルールは、前記ダイヤルから独立して前記軸方向に移動でき、
前記ダイヤルを回転させることにより、前記フェルールが回転する、
請求項1の光ファイバ接続装置。
【請求項7】
前記フェルールと前記付勢機構と前記回転機構と前記隙間生成機構とを覆うケースを更に備え、
前記ケースは、治具の当接部を挿入するための開口を有する、
請求項1乃至6いずれかの光ファイバ接続装置。
【請求項8】
請求項7の光ファイバ接続装置と嵌合して、前記ケースの開口を塞ぐとともに、
前記回転機構が回転しないようにロックする、
ロック装置。
【請求項9】
請求項7の光ファイバ接続装置と嵌合して、前記ケースの少なくとも一部を覆い、
前記治具の前記当接部を挿入するための開口を有する、
アダプタ。
【請求項10】
請求項3の光ファイバ接続装置とともに用いられ、
前記被当接部材に当接することにより、前記フェルールを前記根元方向へ向けて移動させる当接部を有する、
治具。
【請求項11】
請求項5の光ファイバ接続装置とともに用いられ、
前記伝達部材に当接することにより、前記伝達部材を前記被付勢部材から離し、前記付勢力が前記被付勢部材に伝達されないようにする当接部を有する、
治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを接続する接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、組み立て後でも、突き合せて接続される両コアの偏心誤差を無段階で容易、確実に減少できるようにする光コネクタプラグを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-139650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光コネクタプラグは、光アダプタ内にて他の光コネクタプラグとフェルールを突き合わせ、光コネクタプラグを光アダプタ内に嵌合保持させたまま、偏心誤差を検出機によって検出しながらストップリングを回転させることにより、偏心誤差を調整する。
しかし、光コネクタプラグを光アダプタ内に嵌合保持させたままストップリングを回転させると、突き合わされたフェルールの先端が擦れ、光ファイバの先端に傷や摩耗粉が付いて伝送損失が増大する可能性がある。
これを防ぐためには、光コネクタプラグを光アダプタから外し、ストップリングを回転させてから、再び光アダプタに嵌合させて、偏心誤差を検出機によって検出することが考えられる。
しかし、その場合、一回で調整が完了するとは限らず、調整を何回も繰り返す必要があるので、手間がかかるだけでなく、着脱作業によって摩耗粉が発生し、伝送損失が増大する可能性がある。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
光ファイバ接続装置は、軸方向に貫通し光ファイバを保持する貫通穴を有し、前記軸方向に移動可能なフェルールと、前記フェルールを先端方向へ向けて付勢することにより、第二のフェルールの先端に前記フェルールの先端を押し付ける付勢機構と、前記軸方向に略平行な軸を中心として前記フェルールを回転させる回転機構と、前記フェルールの先端と前記第二のフェルールの先端との間に隙間を生じさせる隙間生成機構とを備える。
前記隙間生成機構は、前記先端方向とは逆の根元方向へ向けて前記フェルールを移動させてもよい。
前記隙間生成機構は、前記フェルールに固定された被当接部材を有してもよい。治具の当接部が前記被当接部材に当接することにより、前記フェルールが前記根元方向へ向けて移動してもよい。
前記隙間生成機構は、前記付勢機構による付勢力から前記フェルールを解放してもよい。
前記隙間生成機構は、前記フェルールに固定された被付勢部材と、前記被付勢部材に当接し、前記付勢機構による付勢力を前記被付勢部材に伝達する伝達部材とを有してもよい。治具の当接部が前記伝達部材に当接することにより、前記伝達部材を前記被付勢部材から離し、前記付勢力が前記被付勢部材に伝達されないようにしてもよい。
前記回転機構は、前記フェルールに固定された被回転部材と、前記被回転部材と係合したダイヤルとを有してもよい。前記フェルールは、前記ダイヤルから独立して前記軸方向に移動できてもよい。前記ダイヤルを回転させることにより、前記フェルールが回転してもよい。
前記光ファイバ接続装置は、前記フェルールと前記付勢機構と前記回転機構と前記隙間生成機構とを覆うケースを更に備えてもよい。前記ケースは、治具の当接部を挿入するための開口を有してもよい。
ロック装置は、前記光ファイバ接続装置と嵌合して、前記ケースの開口を塞ぐとともに、前記回転機構が回転しないようにロックする。
ロック装置。
アダプタは、前記光ファイバ接続装置と嵌合して、前記ケースの少なくとも一部を覆い、前記治具の前記当接部を挿入するための開口を有する。
治具は、前記光ファイバ接続装置とともに用いられ、前記被当接部材に当接することにより、前記フェルールを前記根元方向へ向けて移動させる当接部を有する。
治具は、前記光ファイバ接続装置とともに用いられ、前記伝達部材に当接することにより、前記伝達部材を前記被付勢部材から離し、前記付勢力が前記被付勢部材に伝達されないようにする当接部を有する。
【発明の効果】
【0006】
前記光ファイバ接続装置は、隙間生成機構がフェルールの先端と第二のフェルールの先端との間に隙間を生じさせるので、回転機構がフェルールを回転させたとき、フェルールに保持された光ファイバの先端に傷や摩耗粉が付くのを防ぐことができる。
隙間生成機構が根元方向へ向けてフェルールを移動させれば、フェルールの先端と第二のフェルールの先端との間に隙間を容易に生じさせることができる。
治具の当接部が被当接部材に当接することによりフェルールが根元方向へ向けて移動すれば、フェルールの先端と第二のフェルールの先端との間に隙間を容易に生じさせることができる。
隙間生成機構が付勢機構による付勢力からフェルールを解放すれば、フェルールを回転させるときの抵抗が小さくなり、調心作業が容易になる。
治具の当接部が伝達部材に当接することにより、伝達部材を前記被付勢部材から離せば、付勢機構による付勢力からフェルールを解放することができる。
フェルールがダイヤルから独立して軸方向に移動できれば、調心作業が完了したのちダイヤルを固定しても、スプリングの付勢力によりフェルールの先端を第二のフェルールの先端に押し付けることができる。
ケースが治具の当接部を挿入するための開口を有すれば、治具を用いてフェルールの先端と第二のフェルールの先端との間に隙間を容易に生じさせることができる。
前記ロック装置は、回転機構が回転しないようにロックするので、調心が狂うのを防ぐことができる。
前記アダプタは、治具の前記当接部を挿入するための開口を有するので、アダプタに光ファイバ接続装置を嵌合したままの状態で、治具を用いてフェルールの先端と第二のフェルールの先端との間に隙間を容易に生じさせることができる。
治具は、当接部が被当接部材に当接することによりフェルールを根元方向へ向けて移動させるので、フェルールの先端と第二のフェルールの先端との間に隙間を容易に生じさせることができ、フェルールを回転させるとき光ファイバの先端に傷や摩耗粉が付くのを防ぐことができる。
治具は、当接部が伝達部材に当接することにより伝達部材を被付勢部材から離すので、フェルールを回転させるときの抵抗が小さくなり、調心作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】光ファイバ接続装置の一例を示す斜視図。
図2】光ファイバ接続装置の一例を示す斜視図。
図3】上ケースを外した状態の光ファイバ接続装置の一例を示す平面図。
図4】マルチコアファイバの一例を示す断面図。
図5】バンドルファイバの一例を示す断面図。
図6】フェルールの一例を示す斜視図。
図7】フェルールの一例を示す斜視図。
図8】ホルダの一例を示す斜視図。
図9】ホルダの一例を示す斜視図。
図10】ホルダの一例を示す斜視図。
図11】ホルダの一例を示す斜視図。
図12】ダイヤルの一例を示す斜視図。
図13】ワッシャーの一例を示す斜視図。
図14】ワッシャーの一例を示す斜視図。
図15】スプリングの一例を示す斜視図。
図16】割りスリーブの一例を示す斜視図。
図17】ケースの一例を示す分解斜視図。
図18】ケースの一例を示す分解斜視図。
図19】ブーツの一例を示す斜視図。
図20】ブーツの一例を示す斜視図。
図21】スライダーの一例を示す斜視図。
図22】スライダーの一例を示す斜視図。
図23】スライダーを装着した状態の光ファイバ接続装置の一例を示す平面図。
図24】ロックの一例を示す斜視図。
図25】ロックの一例を示す斜視図。
図26】ロックを装着した状態の光ファイバ接続装置の一例を示す側面視断面図。
図27】コネクタの一例を示す斜視図。
図28】コネクタの一例を示す斜視図。
図29】コネクタの一例を示す側面視断面図。
図30】前ケースの一例を示す斜視図。
図31】ホルダの一例を示す斜視図。
図32】ワッシャーの一例を示す斜視図。
図33】アダプタの一例を示す斜視図。
図34】アダプタの一例を示す斜視図。
図35】スライダーの一例を示す斜視図。
図36】スライダーの一例を示す斜視図。
図37】スライダーを取り付けた状態のアダプタの一例を示す側面視断面図。
図38】アダプタの一例を示す斜視図。
図39】スライダーの一例を示す斜視図。
図40】スライダーの一例を示す斜視図。
図41】スライダーを取り付けた状態のアダプタの一例を示す側面視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~3を参照して、光ファイバ接続装置10について説明する。
光ファイバ接続装置10は、例えば、ケース12と、割りスリーブ11と、二つのフェルール13a,13bと、2つのホルダ14a,14bと、ダイヤル15と、ワッシャー16と、スプリング17と、2つのブーツ18a,18bとを有する。
【0009】
光ファイバ接続装置10は、光ファイバ同士を接続するためのものである。光ファイバ接続装置10によって接続される光ファイバには、例えば、以下のようなものがある。
(1)マルチコアファイバ80A。マルチコアファイバ80Aは、例えば図4に示すように、複数のコア81と、その周りを覆うクラッド82と、更にその周りを覆う被覆83とを有する。マルチコアファイバ80A同士を接続する場合、コア81の位置を揃える必要があるので、マルチコアファイバ80Aの中心軸を揃えるだけでなく、中心軸周りの角度を揃える必要がある。これを「回転調心」と呼ぶ。
(2)バンドルファイバ80B。バンドルファイバ80Bは、例えば図5の左側に示すように、複数のファイバ80C~80Fをルースチューブ84で束ねたものである。それぞれの光ファイバ80C~80Fは、単一のコア81と、その周りを覆うクラッド82と、更にその周りを覆う被覆83とを有する。光ファイバ80C~80Fの先端部分は、例えば図5の右側に示すように、外径がマルチコアファイバ80Aのコア81の間の距離と等しくなるよう縮径され、バンドルファイバ80Bをマルチコアファイバ80Aと接続することにより、マルチコアファイバ80Aを分岐する。マルチコアファイバ80Aとバンドルファイバ80Bとを接続する場合も、回転調心が必要である。
(3)偏波面保持ファイバ。偏波面保持ファイバは、単一のコアを有する光ファイバ(シングルコアファイバ)であるが、偏波面保持光ファイバ同士を接続する場合、偏波面の方向を一致させる必要があるので、回転調心が必要になる。
(4)その他のシングルコアファイバ。シングルコアファイバは、中心軸の位置にコアがあるので、シングルコアファイバ同士を接続する場合、通常は、回転調心不要である。しかし、厳密にいうとコアが中心軸の位置からわずかにずれている場合がある。したがって、接続損失をできるだけ小さくする必要がある場合は、回転調心をして、コアの間のずれをなるべく小さくする。
【0010】
図6及び7を参照して、フェルール13aについて説明する。なお、フェルール13bも同様の構造を有する。
フェルール13aは、例えば、円柱部131と、貫通穴132とを有し、光ファイバ(例えば、マルチコアファイバ80A)の先端を保持する。
円柱部131は、略円柱状であり、両端部が円錐台状に形成されている。
貫通穴132は、円柱部131の中心軸に沿って円柱部131を貫通している。光ファイバが貫通穴132に挿通され、保持される。フェルール13aの根元側の貫通穴132の周囲には、光ファイバを挿入しやすくするための円錐台状凹部が形成されている。
【0011】
図8及び9を参照して、ホルダ14bについて説明する。
ホルダ14bは、フェルール13bを保持し、これにより、フェルール13bに保持された光ファイバ(例えば、バンドルファイバ80B)を保持する。
ホルダ14bは、例えば、円筒部141と、係合部142と、光ファイバ挿通穴143と、フェルール嵌入部144とを有する。
円筒部141は、略円柱状である。
係合部142は、円筒部141の一方の端部に設けられ、ケース12と係合することにより、ホルダ14bがケース12に対して中心軸を中心として回転するのを防ぐ。係合部142は、例えば、略正方形柱状であり、中心軸に平行な四辺が丸く面取りされている。
光ファイバ挿通穴143は、円筒部141の中心軸に沿って円筒部141を貫通している。光ファイバ挿通穴143には、フェルール13bに保持される光ファイバが挿通される。
フェルール嵌入部144は、係合部142の中心軸に沿って係合部142を貫通し、光ファイバ挿通穴143と連通している。フェルール嵌入部144には、光ファイバを保持したフェルール13bの根元側の端部が嵌入され、これにより、フェルール13bを保持する。
【0012】
図10及び11を参照して、ホルダ14aについて説明する。
ホルダ14aは、フェルール13aを保持し、これにより、フェルール13aに保持された光ファイバ(例えば、マルチコアファイバ80A)を保持する。ホルダ14aは、被当接部材の一例であり、被付勢部材の一例であり、被回転部材の一例である。
ホルダ14aは、例えば、円筒部141と、係合部142と、光ファイバ挿通穴143と、フェルール嵌入部144と、鍔部145とを有する。
ホルダ14aの円筒部141は、ホルダ14bと同様、略円柱状であるが、ホルダ14bの円筒部141よりも軸方向に長い。これは、スプリング17と係合するためである。
ホルダ14aの係合部142は、円筒部141の一端に設けられ、ダイヤル15と係合する。ダイヤル15を回転させると、それとともに、ホルダ14aも中心軸を中心として回転し、これにより、フェルール13aに保持された光ファイバが回転する。
ホルダ14aの光ファイバ挿通穴143は、円筒部141の中心軸に沿って円筒部141を貫通している。光ファイバ挿通穴143には、フェルール13aに保持される光ファイバが挿通される。
ホルダ14aのフェルール嵌入部144は、係合部142の中心軸に沿って係合部142を貫通し、光ファイバ挿通穴143と連通している。フェルール嵌入部144には、光ファイバの保持したフェルール13aの根元側の端部が嵌入され、これにより、フェルール13aを保持する。
鍔部145は、略円環状であり、係合部142の更に先端側に設けられている。鍔部145の側面は、先端側へいくほど径が小さくなるテーパー状に形成されている。
【0013】
図12を参照して、ダイヤル15について説明する。
ダイヤル15は、例えば、円板部151と、係合穴152とを有し、ホルダ14aと係合して、ホルダ14aを回転させる。
円板部151は、略円板状であり、手動で回しやすくするため、外周に凹凸が設けられている。
係合穴152は、略正方形状であり、円板部151の略中心を貫通している。係合穴152は、ホルダ14aの係合部142と係合して、ダイヤル15の回転をホルダ14aに伝達する。
【0014】
図13及び14を参照して、ワッシャー16について説明する。
ワッシャー16は、例えば、被押圧部161と、テーパー部162と、押圧部163と、貫通穴164とを有し、スプリング17による付勢力をホルダ14aに伝達する。ワッシャー16は、伝達部材の一例である。
被押圧部161は、略円板状であり、スプリング17に当接して、スプリング17による付勢力を受ける。
押圧部163は、略円板状であり、被押圧部161と同軸で、被押圧部161よりも径が小さく、ホルダ14aの係合部142に当接して、被押圧部161が受けた付勢力をホルダ14aに伝達する。
テーパー部162は、略円錐台状であり、被押圧部161と押圧部163との間に設けられている。
貫通穴164は、被押圧部161、テーパー部162及び押圧部163を軸方向に貫通している。貫通穴164には、ホルダ14aの円筒部141が挿通される。
【0015】
図15を参照して、スプリング17について説明する。
スプリング17は、例えば、圧縮コイルばねであり、ワッシャー16を介して、ホルダ14aを付勢して、ホルダ14aに保持されたフェルール13aの先端を、ホルダ14bに保持されたフェルール13bの先端に押し付ける。スプリング17は、付勢機構の一例である。
スプリング17には、ホルダ14aの円筒部141が挿通される。スプリング17の一端はケース12の内壁に当接し、他端は、ワッシャー16の被押圧部161に当接する。
【0016】
図16を参照して、割りスリーブ11について説明する。
割りスリーブ11は、略円筒側面状であり、拡径可能に構成されている。割りスリーブ11には、フェルール13a及び13bの先端が挿入され、これにより、フェルール13a及び13bを同軸に保持する。
【0017】
図17及び18を参照して、ケース12について説明する。
ケース12は、例えば、細長い略直方体箱状であり、上ケース121と、下ケース122とを組み合わせることにより形成されている。
ケース12の長手方向両端面には、略円形の挿通穴が設けられ、更に、その縁から外側へ向けて延びる略円筒状の円筒部124a及び124bが設けられている。挿通穴並びに円筒部124a及び124bには、接続される光ファイバ(例えばマルチコアファイバ80Aやバンドルファイバ80Bなど)が挿通される。
ケース12の幅方向左右両側面には、上下方向に長いスリット状の開口125a及び125bが設けられている。開口125a及び125bからダイヤル15の一部が露出することにより、ダイヤル15を手動で回転させることができる。
【0018】
ケース12の下面には、六つのスライダー用穴123a~123fと、一つの開口126とが設けられている。スライダー用穴123a~123fは、二つ一組で左右に並べて配列されている。スライダー用穴123c~123fは、開口125a及び125bの近くに配置されている。ケース12の長手方向におけるスライダー用穴123c及び123dの位置は、開口125a及び125bよりも円筒部124b寄りであり、ホルダ14aの鍔部145に対応する位置である。ケース12の長手方向におけるスライダー用穴123e及び123fの位置は、開口125a及び125bよりも円筒部124a寄りであり、ワッシャー16のテーパー部162に対応する位置である。
スライダー用穴123a及び123bの位置は、スライダー用穴123c及び123dよりも更に円筒部124b寄りである。
開口126は、開口123c~123fに囲まれた位置であって、ダイヤル15に対応する位置にある。
【0019】
ケース12の内側には、三つの係合部127~129が設けられている。
係合部127は、最も円筒部124b寄りに配置されている。係合部127は、ホルダ14bの係合部142と係合し、これにより、ホルダ14bが軸方向に移動せず、かつ、周方向に回転しないように、保持する。
係合部128は、ケース12の長手方向の略中央部分に配置されている。係合部128は、フェルール13aと係合して、支持する。
係合部129は、係合部128よりも円筒部124a寄りに配置されている。係合部129は、ホルダ14aの係合部142と係合して、支持する。
【0020】
図19及び20を参照して、ブーツ18aについて説明する。なお、ブーツ18bも同様の構造を有する。
ブーツ18aは、例えば、円筒部181と、係合部182と、係合穴183と、貫通穴184とを有し、接続される光ファイバを保護する。
円筒部181は、略円筒状である。
係合部182は、略円筒状であり、円筒部181と同軸で、円筒部181の一方の端に接続されている。
係合穴183は、係合部182の中心軸に沿って係合部182を貫通している。係合穴183は、ケース12の円筒部124aと係合し、これにより、ブーツ18aがケース12に固定される。
貫通穴184は、円筒部181の中心軸に沿って円筒部181を貫通し、係合穴183と連通している。貫通穴184には、フェルール13aに保持された光ファイバが挿通される。
【0021】
図21及び22を参照して、スライダー20について説明する。
スライダー20は、光ファイバ接続装置10に取り付けることにより、スプリング17の付勢力によって押し付けられたフェルール13a及び13bの先端同士の間にわずかな隙間を生じさせるとともに、スプリング17による付勢力からフェルール13aを解放する。スライダー20は、治具の一例である。
【0022】
スライダー20は、例えば、基部21と、六つの突起部22a~22fと、六つの面取り部23a~23fとを有する。
基部21は、略長方形板状である。
突起部22a~22fは、基部21から上へ向けて突出している。突起部22a~22fは、ケース12のスライダー用穴123a~123fにそれぞれ対応する位置に設けられている。突起部22a~22fは、略角柱状である。ただし、突起部22e及び22fは、先端附近の幅方向内側が、ワッシャー16に合わせて丸く削れて先細りになっている。
【0023】
面取り部23aは、突起部22aの先端に設けられ、基部21の長手方向における外側に配置されている。
面取り部23bは、突起部22bの先端に設けられ、基部21の長手方向における外側に配置されている。
面取り部23cは、突起部22cの先端に設けられ、基部21の長手方向における突起部22eの側に配置されている。面取り部23cは、当接部の一例である。
面取り部23dは、突起部22dの先端に設けられ、基部21の長手方向における突起部22fの側に配置されている。面取り部23dは、当接部の一例である。
面取り部23eは、突起部22eの先端に設けられ、基部21の長手方向における外側に設けられている。面取り部23eは、当接部の一例である。
面取り部23fは、突起部22fの先端に設けられ、基部21の長手方向における外側に設けられている。面取り部23fは、当接部の一例である。
【0024】
突起部22a及び22bは、ケース12にスライダー20を取り付けたとき、ケース12のスライダー用穴123a及び123bに挿通される。すると、面取り部23a及び23bがホルダ14bの係合部142に当接する。
突起部22c及び22dは、ケース12にスライダー20を取り付けたとき、ケース12のスライダー用穴123c及び123dに挿通される。すると、面取り部23c及び23dがホルダ14aの鍔部145に当接する。
スライダー20を更に押し込むと、図23に示すように、突起部22a及び22bの側面がホルダ14bの係合部142の先端側の面に当接することにより、スライダー20がケース12の長手方向において位置決めされる。そして、面取り部23c及び23dがホルダ14aの鍔部145を押圧し、スプリング17の付勢力に逆らって、ホルダ14aが軸方向に移動する。これにより、ホルダ14aに保持されたフェルール13aの先端が、ホルダ14bに保持されたフェルール13bの先端から離れる。
突起部22e及び22fは、ケース12にスライダー20を取り付けたとき、ケース12のスライダー用穴123e及び123fに挿通される。すると、面取り部23e及び23fがワッシャー16のテーパー部162に当接する。スライダー20を更に押し込むと、図23に示すように、面取り部23e及び23fがワッシャー16のテーパー部162を押圧し、スプリング17の付勢力に逆らって、ワッシャー16が軸方向に移動する。これにより、ワッシャー16の押圧部163がホルダ14aの係合部142から離れるので、ホルダ14aに保持されたフェルール13aがスプリング17による付勢力から解放される。
【0025】
このように、光ファイバ接続装置10にスライダー20を取り付けると、フェルール13aの先端とフェルール13bの先端との間に微小な隙間29が生じる。この状態で、ダイヤル15を回転させると、ダイヤル15の係合穴152にホルダ14aの係合部142が係合しているので、それに伴ってホルダ14aが回転し、ホルダ14aに保持されたフェルール13aが回転する。フェルール13aの先端とフェルール13bの先端との間に隙間29があるので、フェルール13a及び13bに保持された光ファイバの先端に傷や摩耗粉が付くのを防ぐことができる。
また、フェルール13a及び13bの間にできる隙間29の間隔が小さく、光ファイバ間の光接続を保つことができるので、光信号の伝送損失を測定しながらダイヤル15を回転させて伝送損失が最小になる位置を探すことができる。
【0026】
更に、光ファイバ接続装置10にスライダー20を取り付けると、フェルール13aがスプリング17による付勢力から解放されるので、ダイヤル15を回転させるときの抵抗が小さくなり、作業が容易になる。
【0027】
なお、スライダー20を完全に押し込むと、突起部22c~22fの側面が鍔部145やテーパー部162に当接するようになり、面取り部23c~23fは、鍔部145やテーパー部162から離れるので、スプリング17の付勢力によりスライダー20が押し返されることはない。
【0028】
図24及び25を参照して、ロック30について説明する。
ロック30は、回転調心が完了したのち、ダイヤル15が回転して調心が狂うのを防止する。ロック30は、ロック装置の一例である。ロック30は、例えば、基部31と、突起部32a~32dと、係止部33a~33dと、係止部34a及び34bと、覆い部35a及び35bと、凹部36a及び36bとを有する。
【0029】
基部31は、略長方形板状である。
突起部32a~32dは、基部31から上へ向けて突出している。突起部32a~32dは、ケース12のスライダー用穴123a~123dにそれぞれ対応する位置に設けられている。突起部32a~32dは、略角錐台状である。
【0030】
係止部33aは、突起部32aの先端に設けられ、基部31の幅方向における外側に配置されている。
係止部33bは、突起部32bの先端に設けられ、基部31の幅方向における外側に配置されている。
係止部33cは、突起部32cの先端に設けられ、基部31の幅方向における外側に配置されている。
係止部33dは、突起部32dの先端に設けられ、基部31の幅方向における外側に配置されている。
係止部33a~33dは、ロック30をケース12に取り付けたとき、ケース12に嵌合して、ロック30をケース12に係止する。
【0031】
係止部34a及び34bは、基部31から上へ向けて突出している。係止部34a及び34bは、ケース12の開口126に対応する位置に設けられている。
ロック30をケース12に取り付けたとき、係止部34a及び34bは、図26に示すように、開口126に挿通され、ダイヤル15と係合して、ダイヤル15が回転しないように係止する。
【0032】
覆い部35a及び35bは、基部31の幅方向に接続され、上へ向けて延びている。ロック30をケース12に取り付けたとき、覆い部35a及び35bは、ケース12の側面から外部に露出したダイヤル15を覆い、ダイヤル15を保護する。
凹部36a及び36bは、覆い部35a及び35bの内側に設けられ、ケース12から外部に露出したダイヤル15に対応する位置に配置されている。これにより、覆い部35a及び35bがダイヤル15に接触するのを防ぐ。
【0033】
上述したとおり、ケース12にスライダー20を取り付けて回転調心をし、それが完了したのち、スライダー20をケース12から取り外し、その代わりとして、ロック30をケース12に取り付ける。これにより、ダイヤル15が回転しなくなるので、光ファイバが回転調心された状態を維持することができる。
【0034】
上述したとおり、ダイヤル15は、ホルダ14aと係合しているだけであって、固定されていない。したがって、ダイヤル15を固定しても、ホルダ14aは、軸方向に移動できる。したがって、スプリング17の付勢力によりホルダ14aに保持されたフェルール13aの先端がホルダ14bに保持されたフェルール13bの先端に押し付けられるのを邪魔することはない。
【0035】
図27~29を参照して、光コネクタプラグ10Bについて説明する。
光コネクタプラグ10Bは、例えば、LC型光コネクタプラグと互換性があり、既知のLC型光コネクタレセプタクルに接続することができる。光コネクタプラグ10Bは、光ファイバ接続装置の一例である。光コネクタプラグ10Bは、例えば、プラグハウジング12Bと、フェルール13cと、ホルダ14cと、ダイヤル15Bと、ワッシャー16Bと、スプリング17Bと、ブーツ18cとを有する。
ダイヤル15Bは、径が小さく、プラグハウジング12Bの外にはみ出さない点を除き、光ファイバ接続装置10のダイヤル15と同様である。
プラグハウジング12Bは、既知のLC型光コネクタプラグと同様の外形を有し、例えば、前ケース121Bと、後ケース122Bとを有する。
【0036】
前ケース121Bは、側面に開口125a及び125b(図30参照)を有し、底面にスライダー用穴123g~123j及び開口126Bを有する。
開口125a及び125b並びに126Bは、ダイヤル15Bに対応する位置に配置され、これにより、例えばレンチなどを用いてダイヤル15Bを外から回転させることができる。
スライダー用穴123g及び123hは、ホルダ14cの係合部142(図31参照)に対応する位置に配置されている。
スライダー用穴123i及び123jは、ワッシャー16Bのテーパー部162(図32参照)に対応する位置に配置されている。
【0037】
図31を参照して、ホルダ14cについて説明する。
ホルダ14cは、例えば、光ファイバ接続装置10のホルダ14aと同様、円筒部141と、係合部142と、光ファイバ挿通穴143と、フェルール嵌入部144(不図示)と、鍔部145とを有する。
【0038】
図32を参照して、ワッシャー16Bについて説明する。
ワッシャー16Bは、例えば、光ファイバ接続装置10のワッシャー16と同様、被押圧部161と、テーパー部162と、押圧部163と、貫通穴164とを有する。
【0039】
図33及び34を参照して、アダプタ40について説明する。
アダプタ40は、例えば、LC型光コネクタアダプタと互換性があり、光コネクタプラグ10Bや既知のLC型光コネクタプラグを両側から接続することができ、これにより、接続したプラグ同士を連結する。
アダプタ40は、スライダー用穴43a及び43b並びに開口45a~45dを有する点を除いて、既知のLC型光コネクタアダプタと同様である。
スライダー用穴43a及び43bは、アダプタ40本体の下面に設けられている。スライダー用穴43a及び43bは、アダプタ40に接続される光コネクタプラグ10Bのスライダー用穴123g~123j及び開口126Bに対応する位置に配置され、これにより、光コネクタプラグ10Bをアダプタ40に接続したままの状態で、スライダー用穴123g~123j及び開口126Bにアクセスすることができる。
開口45a~45dは、アダプタ40本体の側面に設けられている。開口45a~45dは、アダプタ40に接続される光コネクタプラグ10Bの開口125a及び125bに対応する位置に配置され、これにより、光コネクタプラグ10Bをアダプタ40に接続したままの状態で、開口125a及び125bにアクセスし、例えばレンチなどを用いてダイヤル15Bを回転させることができる。
【0040】
図35及び36を参照して、スライダー20Bについて説明する。
スライダー20Bは、二つの光コネクタプラグ10Bを接続したアダプタ40に取り付けることにより、スプリング17Bの付勢力によって押し付けられたフェルール13cの先端同士の間にわずかな隙間を生じさせるとともに、スプリング17Bによる付勢力からフェルール13cを解放する。スライダー20Bは、治具の一例である。
【0041】
スライダー20Bは、例えば、基部21と、八つの突起部22c~22jと、八つの面取り部23c~23j(不図示)と、開口26a及び26bとを有する。
スライダー20Bの基部21は、スライダー20の基部21と同様、略長方形板状である。
突起部22c~22jは、基部21から上へ向けて突出している。突起部22c~22fは、スライダー20Bをアダプタ40に取り付けたときアダプタ40に接続された一方の光コネクタプラグ10Bのスライダー用穴123g~123jにそれぞれ対応する位置に設けられている。また、突起部22g~22jは、スライダー20Bをアダプタ40に取り付けたときアダプタ40に接続されたもう一方の光コネクタプラグ10Bのスライダー用穴123g~123jにそれぞれ対応する位置に設けられている。
面取り部23c~23jは、スライダー20の面取り部23c~23jと同様、突起部22c~22jの先端にそれぞれ設けられている。
【0042】
開口26aは、スライダー20Bをアダプタ40に取り付けたときアダプタ40に接続された一方の光コネクタプラグ10Bの開口126に対応する位置に設けられている。
開口26bは、スライダー20Bをアダプタ40に取り付けたときアダプタ40に接続されたもう一方の光コネクタプラグ10Bの開口126に対応する位置に設けられている。
これにより、スライダー20Bをアダプタ40に取り付けたままの状態で、例えばレンチなどを用いてアダプタ40に接続された光コネクタプラグ10Bのダイヤル15Bを回転させることができる。
【0043】
スライダー20Bをアダプタ40に取り付けると、突起部22c~22jがアダプタ40のスライダー用穴43a及び43bを通ってアダプタ40のなかに挿入され、更に、アダプタ40に接続された光コネクタプラグ10Bのスライダー用穴123g~123jを通ってプラグハウジング12Bのなかに挿入されて、ホルダ14cやワッシャー16Bに当接する。
スライダー20Bを更に押し込むと、図37に示すように、スプリング17Bの付勢力に逆らって、ホルダ14c及びワッシャー16Bを軸方向に移動させる。これにより、ホルダ14cに保持されたフェルール13cの先端同士の間に隙間29が生じるとともに、ホルダ14cに保持されたフェルール13cがスプリング17Bによる付勢力から解放される。
【0044】
この状態で、例えばレンチなどを用いてダイヤル15Bを回転させると、それに伴ってホルダ14cが回転し、ホルダ14cに保持されたフェルール13cが回転する。フェルール13cの先端同士の間に隙間29があるので、フェルール13cに保持された光ファイバの先端に傷や摩耗粉が付くのを防ぐことができる。
また、フェルール13c同士の間にできる隙間29の間隔が小さく、光ファイバ間の光接続を保つことができるので、光信号の伝送損失を測定しながらダイヤル15Bを回転させて伝送損失が最小になる位置を探すことができる。
更に、フェルール13cがスプリング17Bによる付勢力から解放されるので、ダイヤル15Bを回転させるときの抵抗が小さくなり、作業が容易になる。
【0045】
調心が完了したのち、スライダー20Bをアダプタ40から取り外す。その後、アダプタ40の開口45a~45dを介して、光コネクタプラグ10Bの開口125a及び125bに接着剤などを注入し、ダイヤル15Bが回転しないよう固定する。これにより、ダイヤル15Bが回転しなくなるので、調心が狂うのを防ぐことができる。
【0046】
なお、アダプタ40に接続した状態で両方の光コネクタプラグ10Bのダイヤル15Bを回転させて調心をしてもよいが、一方の光コネクタプラグ10Bのダイヤル15Bだけを回転させて調心してもよい。このとき、もう一方の光コネクタプラグ10Bは、何らかの基準に合わせてあらかじめ調心しておいてもよく、あらかじめ調心をしておいた光コネクタプラグ10Bについては、あらかじめ開口125a及び125bに接着剤などを注入してダイヤル15Bが回転しないよう固定しておいてもよい。
【0047】
図38を参照して、アダプタ40Cについて説明する。
アダプタ40Cは、アダプタ40とほぼ同様であるが、スライダー用穴43c及び43dを更に有する点が異なる。
スライダー用穴43c及び43dは、アダプタ40C本体の下面に設けられている。スライダー用穴43cは、スライダー用穴43aとスライダー用穴43bとの間であって、ややスライダー用穴43b寄りの位置に配置されている。スライダー用穴43dは、スライダー用穴43aとスライダー用穴43bとの間であって、ややスライダー用穴43a寄りの位置に配置されている。
【0048】
図39及び40を参照して、スライダー20Cについて説明する。
スライダー20Cは、スライダー20Bを半分に切ったような形状であり、基部21と、突起部22c~22fとを有し、更に、突起部22kを有する。
突起部22kは、基部21の端部から上へ向けて突出している。突起部22kは、スライダー20Cをアダプタ40に取り付けたとき、スライダー用穴43c又は43dに対応する位置に配置されている。
スライダー20Cは、二つの異なる位置関係でアダプタ40に取り付けることができる。第一の位置関係では、突起部22kがスライダー用穴43cを通ってアダプタ40のなかに挿入され、突起部22c~22fがスライダー用穴43aを通ってアダプタ40のなかに挿入される。第二の位置関係では、突起部22kがスライダー用穴43dを通ってアダプタ40のなかに挿入され、突起部22c~22fがスライダー用穴43bを通ってアダプタ40のなかに挿入される。
【0049】
アダプタ40には、光コネクタプラグ10Bを接続することもできるし、既知のLC型光コネクタプラグを接続することもできる。しかし、回転調心をするためには、光コネクタプラグ10Bを両側に接続する必要があり、光コネクタプラグ10Bを一方のみに接続し、他方に既知のLC型光コネクタプラグを接続した場合は、回転調心することができない。
これに対し、アダプタ40Cは、光コネクタプラグ10Bを両側に接続した場合だけでなく、片側だけに接続した場合でも、回転調心をすることができる。
【0050】
例えば、スライダー用穴43aがある側に光コネクタプラグ10Bを接続した場合は、前述した第一の位置関係、すなわち、突起部22kがスライダー用穴43cに挿通され、突起部22c~22fがスライダー用穴43aに挿通される向きにスライダー20Cを取り付ける。
すると、図41に示すように、反対側に接続された光コネクタプラグ90のプラグハウジング92の先端に突起部22kが当接してスライダー20Cの位置の基準となり、突起部22c~22fがスプリング17Bの付勢力に逆らってホルダ14c及びワッシャー16Bを軸方向に移動させる。これにより、ホルダ14cに保持されたフェルール13cの先端と、光コネクタプラグ90のフェルール93の先端との間に隙間29が生じるとともに、ホルダ14cに保持されたフェルール13cがスプリング17Bによる付勢力から解放される。
【0051】
この状態で、例えばレンチなどを用いてダイヤル15Bを回転させると、それに伴ってホルダ14cが回転し、ホルダ14cに保持されたフェルール13cが回転する。フェルール13cの先端と反対側の光コネクタプラグ90のフェルール93の先端との間に隙間29があるので、フェルール13c及び93に保持された光ファイバの先端に傷や摩耗粉が付くのを防ぐことができる。
また、フェルール13c及び93の間にできる隙間29の間隔が小さく、光ファイバ間の光接続を保つことができるので、光信号の伝送損失を測定しながらダイヤル15Bを回転させて伝送損失が最小になる位置を探すことができる。
更に、フェルール13cがスプリング17Bによる付勢力から解放されるので、ダイヤル15Bを回転させるときの抵抗が小さくなり、作業が容易になる。
【0052】
なお、アダプタ40Cの反対側に接続するのは、既知のLC型光コネクタプラグではなく、光コネクタプラグ10Bであってもよい。その場合、反対側の光コネクタプラグ10Bは、あらかじめ調心してダイヤル15Bを固定したものであってもよいし、ダイヤル15Bを固定していないものであってもよい。また、その場合、スライダー20Cではなく、スライダー20Bをアダプタ40Cに取り付けて調心作業をしてもよい。
【0053】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【0054】
例えば、光ファイバ接続装置10のダイヤル15を固定するために、ロック30を用いるのではなく、接着剤などを用いてもよい。
また、光コネクタプラグ10Bやアダプタ40及び40Cは、LC型光コネクタ互換の形状ではなく、SC型光コネクタなど他の規格と互換性のある形状であってもよいし、その他の新規な形状であってもよい。
また、一般に、光コネクタプラグは締結構造によりアダプタと正確に位置決めされるので、スライダー20Cの突起部22kがアダプタ40Cの反対側に接続された光コネクタプラグに当接してスライダー20Cを反対側の光コネクタプラグに対して位置決めするのではなく、スライダー20Cのいずれかの部分がアダプタ40Cに当接することにより、スライダー20Cをアダプタ40Cに対して位置決めしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 光ファイバ接続装置、10B,90 光コネクタプラグ、11 割りスリーブ、12 ケース、12B,92 プラグハウジング、121 上ケース、121B 前ケース、122 下ケース、122B 後ケース、123a~123f,43a~43d スライダー用穴、124a,124b 円筒部、125a,125b,126,126B,26a,26b,45a~45d 開口、127~129 係合部、13a~13c,93 フェルール、131 円柱部、132,164,184 貫通穴、14a~14c ホルダ、141,181 円筒部、142,182 係合部、143 光ファイバ挿通穴、144 フェルール嵌入部、145 鍔部、15,15B ダイヤル、151 円板部、152,183 係合穴、16,16B ワッシャー、161 被押圧部、162 テーパー部、163 押圧部、17,17B スプリング、18a~18c ブーツ、20,20B,20C スライダー、21,31 基部、22a~22k,32a~32d 突起部、23a~23f 面取り部、29 隙間、30 ロック、33a~33d,34a,34b 係止部、35a,35b 覆い部、36a,36b 凹部、40,40C アダプタ、80A マルチコアファイバ、80B バンドルファイバ、80C~80F 光ファイバ、81 コア、82 クラッド、83 被覆、84 ルースチューブ。
図1
図2
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