(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060888
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】蒸発器、及び化学蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F22B 27/14 20060101AFI20240425BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
F22B27/14
F28D20/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168453
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】可貴 裕和
(72)【発明者】
【氏名】岩苔 翼
(72)【発明者】
【氏名】下村 智章
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 篤博
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬幸
(57)【要約】
【課題】蒸気出力量をより高く維持することを可能にした蒸発器、及び化学蓄熱システムを提供する。
【解決手段】蒸発器51は、第4熱交換器52と、第4熱交換器52に蒸発用流体を供給する蒸発用流体供給部54と、第4熱交換器52で加熱された蒸発用流体をフラッシュ蒸発させるフラッシュ蒸発部55と、第4熱交換器52及びフラッシュ蒸発部55を収容する第4容器53とを備える。蒸発器51は、蒸発用流体貯留部57と、フラッシュ蒸発部55から蒸発用流体貯留部57に蒸発用流体を送液する第1流路58と、蒸発用流体貯留部57から蒸発用流体供給部54に蒸発用流体を送液する第2流路59と、第2流路59を流通する蒸発用流体の送液を強制的に行う送液ポンプ60とを備える。送液ポンプ60により、蒸発用流体供給部54、第4熱交換器52、フラッシュ蒸発部55、及び蒸発用流体貯留部57の順に蒸発用流体を循環させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱媒体が導入される熱交換器と、
前記熱交換器に蒸発用流体を供給する蒸発用流体供給部と、
前記熱交換器で加熱された前記蒸発用流体をフラッシュ蒸発させるフラッシュ蒸発部と、
前記熱交換器及び前記フラッシュ蒸発部を収容する容器と、を備える蒸発器であって、
前記蒸発用流体を貯留する蒸発用流体貯留部と、
前記フラッシュ蒸発部から前記蒸発用流体貯留部に前記蒸発用流体を送液する第1流路と、
前記蒸発用流体貯留部から前記蒸発用流体供給部に前記蒸発用流体を送液する第2流路と、
前記第2流路を流通する前記蒸発用流体の送液を強制的に行う送液ポンプと、を備え、
前記送液ポンプにより、前記蒸発用流体供給部、前記熱交換器、前記フラッシュ蒸発部、及び前記蒸発用流体貯留部の順に前記蒸発用流体を循環させる、蒸発器。
【請求項2】
前記フラッシュ蒸発部は、上方に開口を有するとともに水平に延びる収容部を有し、
前記収容部は、前記蒸発用流体を収容可能に構成され、
前記第1流路は、前記フラッシュ蒸発部の前記収容部から溢れた前記蒸発用流体を前記蒸発用流体貯留部に送液する、請求項1に記載の蒸発器。
【請求項3】
前記フラッシュ蒸発部の前記収容部は、上下に複数段となるように配置される複数の収容部から構成され、
前記蒸発用流体供給部から最上段の前記収容部に前記蒸発用流体が供給され、
前記第1流路は、前記最上段の前記収容部から溢れた前記蒸発用流体を、下方に配置される前記収容部に送液する上部第1流路と、
最下段の前記収容部から溢れた前記蒸発用流体を前記蒸発用流体貯留部に送液する下部第1流路と、を含む、請求項2に記載の蒸発器。
【請求項4】
前記熱交換器は、多穴扁平管を積層した構造を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蒸発器。
【請求項5】
蓄熱動作時に脱水反応し、放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材を有する蓄熱器と、
前記化学蓄熱材と反応させる水蒸気を前記蓄熱器に供給する蒸発器と、を備える化学蓄熱システムであって、
前記蒸発器は、加熱媒体が導入される熱交換器と、
前記熱交換器に蒸発用流体としての水を供給する蒸発用流体供給部と、
前記熱交換器で加熱された前記蒸発用流体をフラッシュ蒸発させるフラッシュ蒸発部と、
前記熱交換器及び前記フラッシュ蒸発部を収容する容器と、を備える蒸発器であって、
前記蒸発用流体を貯留する蒸発用流体貯留部と、
前記フラッシュ蒸発部から前記蒸発用流体貯留部に前記蒸発用流体を送液する第1流路と、
前記蒸発用流体貯留部から前記蒸発用流体供給部に前記蒸発用流体を送液する第2流路と、
前記第2流路を流通する前記蒸発用流体の送液を強制的に行う送液ポンプと、を備え、
前記送液ポンプにより、前記蒸発用流体供給部、前記熱交換器、前記フラッシュ蒸発部、及び前記蒸発用流体貯留部の順に前記蒸発用流体を循環させる、化学蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器、及び化学蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、加熱媒体が導入される熱交換器と、熱交換器に蒸発用流体を供給する蒸発用流体供給部と、熱交換器で加熱された蒸発用流体を蒸発させるフラッシュ蒸発部とを備える蒸発器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような蒸発器において、蒸気出力量をより高く維持するという観点で未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する蒸発器、及び化学蓄熱システムの各態様について説明する。
態様1の蒸発器は、加熱媒体が導入される熱交換器と、前記熱交換器に蒸発用流体を供給する蒸発用流体供給部と、前記熱交換器で加熱された前記蒸発用流体をフラッシュ蒸発させるフラッシュ蒸発部と、前記熱交換器及び前記フラッシュ蒸発部を収容する容器と、を備える蒸発器であって、前記蒸発用流体を貯留する蒸発用流体貯留部と、前記フラッシュ蒸発部から前記蒸発用流体貯留部に前記蒸発用流体を送液する第1流路と、前記蒸発用流体貯留部から前記蒸発用流体供給部に前記蒸発用流体を送液する第2流路と、前記第2流路を流通する前記蒸発用流体の送液を強制的に行う送液ポンプと、を備え、前記送液ポンプにより、前記蒸発用流体供給部、前記熱交換器、前記フラッシュ蒸発部、及び前記蒸発用流体貯留部の順に前記蒸発用流体を循環させる。
【0006】
この構成によれば、熱交換器で再加熱された蒸発用流体をフラッシュ蒸発部に再び供給することができる。これにより、フラッシュ蒸発部に供給する蒸発用流体の温度を加熱媒体の温度により近づけることができる。
【0007】
態様2の蒸発器では、態様1において、前記フラッシュ蒸発部は、上方に開口を有するとともに水平に延びる収容部を有し、前記収容部は、前記蒸発用流体を収容可能に構成され、前記第1流路は、前記フラッシュ蒸発部の前記収容部から溢れた前記蒸発用流体を前記蒸発用流体貯留部に送液してもよい。この構成によれば、上記収容部の開口から蒸発用流体をフラッシュ蒸発させることで、例えば、フラッシュ蒸発部における蒸気発生量を安定させることができる。このような収容部の開口から溢れた蒸発用流体を蒸発用流体貯留部に送液することで、収容部における蒸発用流体の液面高さを一定に保つことが容易となる。これにより、フラッシュ蒸発部における蒸気発生量を安定させることが可能となる。
【0008】
態様3の蒸発器では、態様2において、前記フラッシュ蒸発部の前記収容部は、上下に複数段となるように配置される複数の収容部から構成され、前記蒸発用流体供給部から最上段の前記収容部に前記蒸発用流体が供給され、前記第1流路は、前記最上段の前記収容部から溢れた前記蒸発用流体を、下方に配置される前記収容部に送液する上部第1流路と、最下段の前記収容部から溢れた前記蒸発用流体を前記蒸発用流体貯留部に送液する下部第1流路と、を含んでもよい。この構成によれば、上述した複数の収容部の各開口から蒸発用流体をフラッシュ蒸発させることができる。従って、蒸発器の設置面積を抑えつつ、蒸気発生量を高めることが可能となる。
【0009】
態様4の蒸発器では、態様1から態様3の何れか一つの態様において、前記熱交換器は、多穴扁平管を積層した構造を有してもよい。この構成によれば、例えば、熱交換器の熱交換性能を容易に高めることができる。
【0010】
態様5の化学蓄熱システムは、蓄熱動作時に脱水反応し、放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材を有する蓄熱器と、前記化学蓄熱材と反応させる水蒸気を前記蓄熱器に供給する蒸発器と、を備える化学蓄熱システムであって、前記蒸発器は、加熱媒体が導入される熱交換器と、前記熱交換器に蒸発用流体としての水を供給する蒸発用流体供給部と、前記熱交換器で加熱された前記蒸発用流体をフラッシュ蒸発させるフラッシュ蒸発部と、前記熱交換器及び前記フラッシュ蒸発部を収容する容器と、を備える蒸発器であって、前記蒸発用流体を貯留する蒸発用流体貯留部と、前記フラッシュ蒸発部から前記蒸発用流体貯留部に前記蒸発用流体を送液する第1流路と、前記蒸発用流体貯留部から前記蒸発用流体供給部に前記蒸発用流体を送液する第2流路と、前記第2流路を流通する前記蒸発用流体の送液を強制的に行う送液ポンプと、を備え、前記送液ポンプにより、前記蒸発用流体供給部、前記熱交換器、前記フラッシュ蒸発部、及び前記蒸発用流体貯留部の順に前記蒸発用流体を循環させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、蒸気出力量をより高く維持することが可能となるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態における化学蓄熱システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、化学蓄熱システムの蓄熱動作を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、化学蓄熱システムの再生動作を説明する概略図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の蒸発器を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、変更例の蒸発器を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、蒸発器、及び化学蓄熱システムの第1実施形態について
図1~
図4を参照して説明する。
【0014】
<化学蓄熱システムの全体構成>
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、蓄熱器21と、回収器31と、復水器41と、蒸発器51とを備えている。化学蓄熱システム11は、排熱源HSを用いて蓄熱した後、排熱源HSよりも高い温度の放熱を行うケミカルヒートポンプとして用いることができる。化学蓄熱システム11の放熱動作時には、加熱対象61に水蒸気を送ることができる。
【0015】
<蓄熱器>
蓄熱器21は、化学蓄熱システム11の蓄熱動作時に脱水反応し、化学蓄熱システム11の放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材HMを有する。化学蓄熱材HMとしては、周知の固体材料を用いることができる。化学蓄熱材HMは、化学蓄熱物質のみから構成してもよいし、粒子状の化学蓄熱物質を水蒸気透過性樹脂等の水蒸気透過性のバインダーで結合した材料であってもよい。化学蓄熱物質としては、例えば、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸カルシウム等が挙げられる。化学蓄熱材HMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
化学蓄熱物質の一種である塩化カルシウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(A)で表される。
CaCl2・H2O+H2O⇔CaCl2・2H2O・・・(A)
蓄熱器21は、化学蓄熱材HMと熱交換する第1熱交換器22を備えている。蓄熱器21は、化学蓄熱材HMから発生した熱を利用して第1熱交換器22の流路内で飽和蒸気を発生させる。蓄熱器21は、化学蓄熱材HM及び第1熱交換器22を収容する第1容器23を備えている。蓄熱器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの水和反応に用いられる水蒸気が導入可能に構成されている。また、蓄熱器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの脱水反応で生じる水蒸気が排出されるように構成されている。
【0017】
蓄熱器21の第1熱交換器22としては、例えば、フィンチューブ型の熱交換器、フィンレス熱交換器等が挙げられる。なお、以下で説明する熱交換器についても、特段の説明がない限り同様の熱交換器を用いることができる。
【0018】
<回収器>
回収器31は、水蒸気を吸収する吸収材LMを有している。回収器31は、蓄熱器21の化学蓄熱材HMから発生した水蒸気を吸収材LMにより回収する。回収器31は、吸収材LMと熱交換する第2熱交換器32と、吸収材LMと第2熱交換器32とを収容する第2容器33とを備えている。
【0019】
吸収材LMは、化学蓄熱材HMを脱水反応させる温度を下げるために用いられる。吸収材LMを用いることで、より低い温度の排熱であっても、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させて蓄熱することが可能となる。また、吸収材LMは、排熱源HSの温度において、脱水反応可能な物質が用いられる。これにより、排熱源HSを利用して吸収材LMを再生することができる。
【0020】
冷却源CSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Cは、排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも低いことで、化学蓄熱材HMの脱水反応を好適に促進することができる。一方、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、同じく排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも高いことが好ましい。このような吸収材LMは、化学蓄熱材HMよりも脱水し易いため、排熱源HSを用いて吸収材LMを再生することで、次の蓄熱動作に効率的に使用することができる。また、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、冷却源CSの温度における水の平衡蒸気圧VP3Cよりも高いことが好ましい。これにより、排熱源HSにより吸収材LMを加熱して発生した水蒸気を冷却源CSによる冷却で凝縮させることで、吸収材LMの再生を効率的に行うことができる。
【0021】
吸収材LMとしては、例えば、ゼオライト、水酸化リチウム、硫酸マグネシウム、臭化ストロンチウム、活性炭、多孔性金属錯体(MOF)等が挙げられる。吸収材LMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
吸収材LMの一種である臭化ストロンチウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(B)で表される。
SrBr2・H2O+5H2O⇔SrBr2・6H2O・・・(B)
<復水器>
復水器41は、吸収材LMから発生した水蒸気を凝縮させる。復水器41は、冷却源CSから供給される冷却媒体を流通する復水器冷却流路42と、第3容器43とを備えている。復水器冷却流路42は、復水器41の第3容器43内に導入される水蒸気を凝縮させる。また、復水器冷却流路42は、復水器41の第3容器43に流入される水W2を冷却する。
【0023】
<蒸発器>
蒸発器51は、化学蓄熱材HMと反応させる水蒸気を蓄熱器21に供給する。蒸発器51は、排熱源HSから加熱媒体が供給される第4熱交換器52と、第4熱交換器52を収容する第4容器53とを備えている。蒸発器51の第4熱交換器52は、蒸発用流体である水W1を加熱することで、水蒸気を発生させる。蒸発器51には、復水器41の水W2が図示を省略した流路によって送液可能に構成されることが好ましい。これにより、復水器41の水W2を蒸発器51の水W1として再利用することができる。なお、蒸発器51には、外部から水を供給可能に構成されてもよい。本実施形態の蒸発器51の詳細は、後述する。
【0024】
<流路構成>
次に、化学蓄熱システム11の主な流路構成について説明する。まず、化学蓄熱システム11の蓄熱動作に用いられる流路について説明する。
【0025】
図2に示すように、化学蓄熱システム11は、蓄熱器21から回収器31に水蒸気WV1を送る回収用水蒸気流路L1を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1をポンプ71によって蓄熱器21の第1熱交換器22に送る蓄熱器加熱用流路L2と、第1熱交換器22を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第1流路L3とを有している。化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却した水W2をポンプ72によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、第2熱交換器32を通じた水W2を復水器41に戻す復水器用第1流路L5とを有している。
【0026】
次に、化学蓄熱システム11の再生動作に用いられる流路について説明する。
図3に示すように、化学蓄熱システム11は、回収器31から復水器41に水蒸気WV2を送る復水器用第2流路L6を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1をポンプ71によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7と、第2熱交換器32を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第2流路L8とを有している。化学蓄熱システム11は、
図2に示される回収器冷却用流路L4と
図3に示される回収器加熱用流路L7とが切り替え可能に構成されている。これにより、回収器冷却用流路L4を用いる化学蓄熱材HMの蓄熱と、回収器加熱用流路L7を用いる吸収材LMの再生とを交互に行うことができる。なお、回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7との切り替えは、バルブの開閉により行うことができる。
【0027】
次に、化学蓄熱システム11の放熱動作に用いられる流路について説明する。
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、蒸発器51から蓄熱器21に水蒸気を送る蓄熱器用水蒸気流路L9を有している。化学蓄熱システム11は、蓄熱器21の第1熱交換器22内の水蒸気を加熱対象61に送る蒸気供給流路L10を備えている。加熱対象61は、特に限定されない。加熱対象61としては、例えば、蒸気発生装置等が挙げられる。
【0028】
<化学蓄熱システムの動作>
次に、化学蓄熱システム11の動作の一例について説明する。
(化学蓄熱システムの蓄熱動作)
図2に示すように、化学蓄熱システム11の蓄熱動作では、蓄熱器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1を回収器31により回収する。詳述すると、蓄熱器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1は、回収用水蒸気流路L1を通じて回収器31に送られる。回収器31の第2熱交換器32には、復水器41で冷却された水W2が回収器冷却用流路L4を通じて送られる。回収器31の第2熱交換器32に送られた水W2は、復水器用第1流路L5を通じて復水器41に戻される。このように復水器41で冷却された水W2は、回収器冷却用流路L4及び復水器用第1流路L5を通じて、復水器41と回収器31の第2熱交換器32との間を循環される。
【0029】
蓄熱器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1が回収器31に送られることで、化学蓄熱材HMの脱水反応が行われる。ここで、化学蓄熱材HMの脱水反応の進行に伴って、化学蓄熱材HMの温度が低下する。化学蓄熱材HMの温度が排熱源HSの加熱媒体の温度よりも低くなったとき、蒸発器51で加熱した水W1を蓄熱器加熱用流路L2及び蒸発器用第1流路L3を通じて、蓄熱器21の第1熱交換器22と蒸発器51との間を循環させる。蒸発器51では、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体を供給することで、水W1を加熱することができる。
【0030】
上記のように排熱源HSを利用して蓄熱器21の化学蓄熱材HMを加熱することで、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させる。化学蓄熱システム11の蓄熱動作は、蓄熱器21と回収器31との間のバルブを閉じることにより停止させることができる。
【0031】
(化学蓄熱システムの再生動作)
図3に示すように、化学蓄熱システム11の再生動作では、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2を復水器41によって凝縮させる。詳述すると、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2は、復水器用第2流路L6を通じて復水器41に送られる。復水器41の復水器冷却流路42には、冷却源CSから冷却媒体が供給されている。化学蓄熱システム11の再生動作は、回収器31と復水器41との間のバルブを閉じることにより、停止させることができる。
【0032】
(化学蓄熱システムの放熱動作)
化学蓄熱システム11の放熱動作では、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体を供給することで、蒸発器51で水蒸気を発生させる。蒸発器51で発生させた水蒸気は、
図1に示される蓄熱器用水蒸気流路L9を通じて蓄熱器21に送られる。これにより、蓄熱器21の化学蓄熱材HMの水和反応が行われる。
【0033】
蓄熱器21の第1熱交換器22の流路内の水は、化学蓄熱材HMの水和反応による発熱により加熱される。これにより、第1熱交換器22の流路内において水蒸気を発生させることができる。第1熱交換器22の流路内の水蒸気は、
図1に示される蒸気供給流路L10を通じて加熱対象61に送られる。化学蓄熱システム11の放熱動作は、蒸発器51と蓄熱器21との間のバルブを閉じることにより停止することができる。
【0034】
化学蓄熱システム11では、放熱動作の前に、蒸発器51で加熱した水W1を、上記蓄熱器加熱用流路L2を通じて蓄熱器21の第1熱交換器22に送ることが好ましい。
<蓄熱方法>
以上の化学蓄熱システム11を用いた蓄熱方法では、化学蓄熱材HMの脱水反応を行う蓄熱ステップと、化学蓄熱材HMの水和反応を行う放熱ステップとを繰り返すことができる。蓄熱方法では、蓄熱ステップの後、次の蓄熱ステップを開始するまでに、吸収材LMを再生する再生ステップが行われる。蓄熱方法では、上述した回収器加熱用流路L7を用いて吸収材LMを再生する再生ステップと、上述した回収器冷却用流路L4を用いて化学蓄熱材HMに蓄熱する蓄熱ステップとを切り替える。蓄熱方法は、放熱ステップの前に、上記蓄熱器加熱用流路L2を用いて蓄熱器21の第1熱交換器22を加熱する蓄熱器加熱ステップを含むことが好ましい。
【0035】
<蒸発器の構成及び動作の詳細>
図4に示すように、蒸発器51は、第4熱交換器52と、第4容器53と、蒸発用流体供給部54と、フラッシュ蒸発部55とを備えている。図面では、簡略化して示すが、第4熱交換器52は、加熱媒体を流通する流路管と、蒸発用流体としての水W1を流通する流路管とが隣り合うように配置される構造を有している。例えば、熱交換性能を容易に高めることができるという観点から、第4熱交換器52は、多穴扁平管を積層した構造を有することが好ましい。このような構造の第4熱交換器52は、加熱媒体を流通する多穴扁平管と、水W1を流通する多穴扁平管とが隣り合うように配置される。
【0036】
加熱媒体と水W1とは、隣り合う流路管を互いに対向する方向に流通させることが好ましい。
図4では、第4熱交換器52における加熱媒体の流れを一点鎖線矢印で示し、水W1の流れを実線矢印で示している。蒸発用流体供給部54は、第4熱交換器52に水W1を供給する。フラッシュ蒸発部55は、第4熱交換器52で加熱された水W1をフラッシュ蒸発させる。フラッシュ蒸発部55は、第4容器53内に収容されている。
【0037】
フラッシュ蒸発部55は、上方に開口を有するとともに水平に延びる収容部56を有している。収容部56は、水W1を収容可能に構成されている。収容部56は、底壁と、この底壁に立設される筒状の側壁とを有している。フラッシュ蒸発部55は、減圧下の条件とされる。このため、第4熱交換器52で加熱された水W1がフラッシュ蒸発部55に供給されると、水W1の一部をフラッシュ蒸発させることができる。
【0038】
フラッシュ蒸発部55は、収容部56の上方に配置される気液分離部材SPを備えている。気液分離部材SPとしては、例えば、ワイヤーデミスター、気液分離膜等が挙げられる。
【0039】
フラッシュ蒸発部55で発生した水蒸気WV3は、気液分離部材SPを通じた後、第4容器53の有する排出口53aから排出される。排出口53aは、
図1に示される蓄熱器用水蒸気流路L9に接続される。
【0040】
蒸発器51は、蒸発用流体貯留部57と、第1流路58と、第2流路59と、送液ポンプ60とをさらに備えている。蒸発用流体貯留部57は、第4容器53内に設けられ、水W1を貯留する。蒸発用流体貯留部57は、蒸発用流体供給部54の上方に設けられている。
【0041】
第1流路58は、第4容器53内に設けられている。第1流路58は、
図4に破線矢印で示すように、フラッシュ蒸発部55から蒸発用流体貯留部57に水W1を送液する流路である。第1流路58は、フラッシュ蒸発部55の収容部56から溢れた水W1を蒸発用流体貯留部57に送液する。
【0042】
第2流路59は、蒸発用流体貯留部57から蒸発用流体供給部54に水W1を送液する流路である。送液ポンプ60は、第2流路59を流通する水W1の送液を強制的に行う。蒸発器51は、送液ポンプ60により、蒸発用流体供給部54、第4熱交換器52、フラッシュ蒸発部55、及び蒸発用流体貯留部57の順に水W1を循環させる。
【0043】
詳述すると、第2流路59及び送液ポンプ60は、第4容器53の外部に配置されている。送液ポンプ60は、第2流路59を構成する流路管の途中に設けられている。送液ポンプ60は、容積式ポンプであってもよいし、非容積式ポンプであってもよい。送液ポンプ60の吸い込み側は、第4容器53内の減圧下の条件となるため、送液ポンプ60としては、非容積式ポンプよりも自吸能力のより高い容積式ポンプを用いることが好ましい。容積式ポンプを用いることで、蒸発器51において、第2流路59の配置等の設計の自由度を高めることができる。容積式ポンプとしては、例えば、ダイヤフラムポンプ等が挙げられる。
【0044】
なお、
図4では、
図1~
図3に示す蓄熱器加熱用流路L2、蒸発器用第1流路L3、回収器加熱用流路L7、及び蒸発器用第2流路L8の図示を省略している。ここで、
図4に示す送液ポンプ60は、
図1~
図3に示すポンプ71と共通のポンプにより構成することもできる。この場合、流路を切り替える切替バルブ等を用いることで、放熱動作時にポンプ71により、蒸発用流体供給部54、第4熱交換器52、フラッシュ蒸発部55、及び蒸発用流体貯留部57の順に水W1を循環させるように構成すればよい。
【0045】
次に、蒸発器51の動作について説明する。蒸発器51において、蒸発用流体供給部54から第4熱交換器52に水W1が供給されることで、水W1が加熱される。加熱された水W1は、フラッシュ蒸発部55に供給される。フラッシュ蒸発部55に供給された水W1の一部は、フラッシュ蒸発する。フラッシュ蒸発部55において、フラッシュ蒸発しなかった水W1は、第1流路58を通じて蒸発用流体貯留部57に送液される。蒸発用流体貯留部57に送液された水W1は、第2流路59に流入する。第2流路59に流入した水W1は、送液ポンプ60により第2流路59内を強制的に送液されることで、蒸発用流体供給部54、第4熱交換器52、フラッシュ蒸発部55、及び蒸発用流体貯留部57の順に水W1を循環させることができる。これにより、第4熱交換器52で再加熱された水W1をフラッシュ蒸発部55に再び供給することができる。
【0046】
<第1実施形態の作用及び効果>
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)蒸発器51は、水W1を貯留する蒸発用流体貯留部57と、フラッシュ蒸発部55から蒸発用流体貯留部57に水W1を送液する第1流路58とを備えている。蒸発器51は、蒸発用流体貯留部57から蒸発用流体供給部54に水W1を送液する第2流路59と、第2流路59を流通する水W1の送液を強制的に行う送液ポンプ60とを備えている。蒸発器51は、送液ポンプ60により、蒸発用流体供給部54、第4熱交換器52、フラッシュ蒸発部55、及び蒸発用流体貯留部57の順に水W1を循環させる。
【0047】
この構成によれば、フラッシュ蒸発部55に供給する水W1の温度を加熱媒体の温度により近づけることができる。従って、蒸気出力量をより高く維持することが可能となる。
(1-2)フラッシュ蒸発部55は、上方に開口を有するとともに水平に延びる収容部56を有している。収容部56は、水W1を収容可能に構成されている。第1流路58は、フラッシュ蒸発部55の収容部56から溢れた水W1を蒸発用流体貯留部57に送液する。
【0048】
この場合、上記収容部56の開口から水W1をフラッシュ蒸発させることで、例えば、フラッシュ蒸発部55における蒸気発生量を安定させることができる。このような収容部56の開口から溢れた水W1を蒸発用流体貯留部57に送液することで、収容部56における水W1の液面高さを一定に保つことが容易となる。これにより、フラッシュ蒸発部55における蒸気発生量を安定させることが可能となる。
【0049】
(1-3)化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却された水W2を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7とを備えている。回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7とは、切り替え可能に構成されている。
【0050】
この構成によれば、冷却源CSの冷却媒体の流路とは独立した回収器冷却用流路L4を通じる水W2と、排熱源HSの加熱媒体の流路とは独立した回収器加熱用流路L7を通じる水W1により回収器31を冷却及び加熱することができる。このため、回収器31の第2熱交換器32において、冷却源CSの冷却媒体に排熱源HSの加熱媒体が混入することを回避することができる。これにより、冷却源CSの系統は、排熱源HSの加熱媒体の性質の影響を受けることはない。また、回収器31の第2熱交換器32において、排熱源HSの加熱媒体に冷却源CSの冷却媒体が混入することを回避することができる。これにより、排熱源HSの系統は、冷却源CSの冷却媒体の性質の影響を受けることはない。従って、化学蓄熱システム11の導入先における冷却源CSの系統と排熱源HSの系統とを独立した状態に維持することが可能となる。
【0051】
(1-4)化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を放熱動作の前に蓄熱器21の第1熱交換器22に送る蓄熱器加熱用流路L2をさらに備えている。この場合、蓄熱器21の第1熱交換器22を放熱動作の前に予め加熱することができるため、放熱動作時には、化学蓄熱材HMから発生した熱を効率的に輸送することができる。
【0052】
(1-5)蓄熱器21の第1熱交換器22に排熱源HSの加熱媒体を供給する場合では、第1熱交換器22が排熱源HSの加熱媒体の性質や清浄度の影響を受けることになる。これにより、例えば、第1熱交換器22のメンテナンス等に手間を要するおそれがある。これに対して、本実施形態の化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を蓄熱器21の第1熱交換器22に送る蓄熱器加熱用流路L2をさらに備えている。この場合、蓄熱器21の第1熱交換器22に供給される水W1の性質の安定化や清浄性の確保が容易である。これにより、例えば、蓄熱器21の第1熱交換器22のメンテナンス等の手間を軽減することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
蒸発器51を変更した第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0054】
図5に示すように、第2実施形態のフラッシュ蒸発部55における収容部56は、上下に複数段となるように配置される複数の収容部56から構成されている。収容部56は、最上段の第1収容部56aと、第1収容部56aよりも下方に配置される第2収容部56bと、最下段の第3収容部56cとから構成されている。第1収容部56aには、蒸発用流体供給部54から水W1が供給される。第1流路58は、上部第1流路58aと、中間第1流路58bと、下部第1流路58cとを含む。上部第1流路58aは、第1収容部56aから溢れた水W1を、第2収容部56bに送液する。中間第1流路58bは、第2収容部56bから溢れた水W1を、第3収容部56cに送液する。下部第1流路58cは、第3収容部56cから溢れた水W1を蒸発用流体貯留部57に送液する。
【0055】
詳述すると、第1収容部56aから溢れた水W1は、第2収容部56bの開口から第2収容部56bに流入する。また、第2収容部56bから溢れた水W1は、第3収容部56cの開口から第3収容部56cに流入する。このように、第1収容部56aに水W1を供給することで、第2収容部56b及び第3収容部56cにも水W1が供給される。フラッシュ蒸発部55では、第1収容部56a、第2収容部56b、及び第3収容部56cの各開口から水W1をフラッシュ蒸発させることができる。
【0056】
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)第2実施形態においても、第1実施形態の(1-1)及び(1-2)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0057】
(2-2)フラッシュ蒸発部55の収容部56は、上下に複数段となるように配置される複数の収容部56から構成されている。蒸発用流体供給部54から最上段の第1収容部56aに水W1が供給される。第1流路58は、第1収容部56aから溢れた水W1を、下方に配置される第2収容部56bに送液する上部第1流路58aと、第3収容部56cから溢れた水W1を蒸発用流体貯留部57に送液する下部第1流路58cとを含んでいる。この場合、上述した複数の収容部56の各開口から水W1をフラッシュ蒸発させることができる。従って、蒸発器51の設置面積を抑えつつ、蒸気発生量を高めることが可能となる。
【0058】
(変更例)
上記実施形態を次のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0059】
・上記各実施形態の蒸発器51におけるフラッシュ蒸発部55の収容部56を省略することもできる。例えば、第4熱交換器52において水W1を流通する流路管を上方に延設し、流路管の上端から水W1を噴出させる空間をフラッシュ蒸発部55として構成してもよい。
【0060】
・
図6に示すように、蒸発器51の第1流路58は、フラッシュ蒸発部55における収容部56の底壁部に接続される流出管58d内の流路を含んで構成することもできる。この変更例の場合では、収容部56の液面高さが不安定となるため、上記第1実施形態及び第2実施形態のように、第1流路58は、収容部56の開口から溢れた水W1を蒸発用流体貯留部57に送液する第1流路58であることが好ましい。
【0061】
・上記第2実施形態において、第1流路58は、最上段の第1収容部56aから溢れた水W1、又は第2収容部56bから溢れた水W1を、蒸発用流体貯留部57に直接送液する流路を含んでいてもよい。
【0062】
・上記第2実施形態の収容部56は、第1収容部56a、第2収容部56b、第3収容部56cの3段で構成されているが、2段、又は4段以上の収容部56に変更することもできる。
【0063】
・上記化学蓄熱システム11では、
図2に示すように、復水器41で冷却された水W2を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4を備えているが、この流路を省略してもよい。すなわち、回収器31の第2熱交換器32に冷却源CSの冷却媒体を供給するように変更してもよい。また、上記各実施形態の化学蓄熱システム11では、
図3に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7を備えているが、この流路を省略してもよい。すなわち、回収器31の第2熱交換器32に排熱源HSの加熱媒体を供給するように変更してもよい。
【0064】
・上記化学蓄熱システム11では、
図1に示すように、蓄熱器21の第1熱交換器22に蒸発器51で加熱した水W1を供給しているが、蓄熱器21の第1熱交換器22に蒸発器51で発生させた水蒸気WV3を供給することもできる。この場合であっても、例えば、第1実施形態の(1-3)欄で述べた作用及び効果を得ることができる。
【0065】
・上記化学蓄熱システム11では、蒸発器51で加熱した水W1を蓄熱器21の第1熱交換器22に供給しているが、排熱源HSの加熱媒体を蓄熱器21の第1熱交換器22に供給するように変更することもできる。
【0066】
・上記化学蓄熱システム11の蓄熱動作は、復水器41と回収器31とを用いて行うこともできる。すなわち、上記蓄熱方法において、化学蓄熱材HMの脱水反応を行う蓄熱ステップは、復水器作動ステップと、復水器作動ステップの後に行う回収器作動ステップとを含んでもよい。復水器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を復水器41に導入する。回収器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を回収器31に導入する。
【0067】
・上記蒸発器51は、上記化学蓄熱システム11以外の化学蓄熱システムに用いることもできる。また、上記蒸発器51は、化学蓄熱システム以外の用途に用いることもできる。
【0068】
・上記各実施形態の蒸発器51は、水W1以外の蒸発用流体から蒸気を発生させる用途に用いることもできる。
【符号の説明】
【0069】
11…化学蓄熱システム
21…蓄熱器
51…蒸発器
52…第4熱交換器
53…第4容器
54…蒸発用流体供給部
55…フラッシュ蒸発部
56…収容部
56a~56c…第1~第3収容部
57…蒸発用流体貯留部
58…第1流路
58a…上部第1流路
58c…下部第1流路
59…第2流路
60…送液ポンプ
HM…化学蓄熱材
W1…水(蒸発用流体)
WV3…水蒸気