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  • 特開-レーザ墨出し器および照明方法 図1
  • 特開-レーザ墨出し器および照明方法 図2
  • 特開-レーザ墨出し器および照明方法 図3
  • 特開-レーザ墨出し器および照明方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060894
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】レーザ墨出し器および照明方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240425BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20240425BHJP
   G03H 1/22 20060101ALI20240425BHJP
   B25H 7/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G02B5/32
G03H1/22
B25H7/04 E
G01C15/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168460
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(72)【発明者】
【氏名】長島 賢治
(72)【発明者】
【氏名】西山 塁
【テーマコード(参考)】
2H249
2K008
【Fターム(参考)】
2H249CA05
2K008FF27
(57)【要約】
【課題】
壁面に高精度の照明を行う場合、実現コストを低減する。
【解決手段】
位置決め用のホログラム素子と、描画パターン用のホログラム素子と、を別々に用意し、位置決め用ホログラム素子の定める描画位置に描画パターン用ホログラム素子の定めるパターンを描画する壁面照明方法。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生することができる半導体レーザを含む光源と、
前記レーザ光を受け、複数のビームに分岐することができる描画位置設定用ドット描画計算機生成ホログラムと、
前記分岐した複数のビームの各々を特定のパターンに変換して描画面上に投影するドットパターン用計算機生成ホログラムと、
を含むレーザ墨出し器。
【請求項2】
位置決め用のホログラム素子と、
描画パターン用のホログラム素子と、
を別々に用意し、
位置決め用ホログラム素子の定める描画位置に描画パターン用ホログラム素子の定めるパターンを描画する
レーザ墨出し器における照明方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場等で使用されるレーザ墨出し器を用いた照明技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場等において、基準位置を規定するため等にレーザ光を使用するレーザ墨出し器が利用される。特開2010-85287号は、作業効率を向上できる、複数本のレーザ光を照射できるレーザ墨出し器を提案している。しかし、レーザ墨出し器が発生するレーザ光が1本のみの場合、作業者にとって作業しにくいものであることが多い。
【0003】
そこで、壁面の照明を一定パターンのホログラムを用いて行う場合がある。格子、十字、ドット等の複数のパターンに対して複数の光源波長やパターンサイズを用意することで、壁面などに対して様々なホログラムパターンを投影することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-85287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高精度のホログラムパターンを投影するためには、レーザ素子の固有波長のばらつきによって生じる投影位置の目盛間隔のずれを調整するために、レンズを挿入して、ズーム調整する必要があり、非常に高精度の大型のホログラム素子と、高精度の取り付け機構が必要になる。さらに、高精度の光学系に対して、複数のパターンを投影するために、非常に高精度の大型ホログラムを複数用意しないとならず、大型化、コストアップになる課題があった。さらに、ホログラム素子の切り替え機構も高精度でないとならず、同じく大型化、コストアップになっていた。
【0006】
上記のことから壁面照明を行う際、照明する壁面全面に高精度のホログラムを用意しようとするとコストが非常に高くなる等の課題が生じ、容易に実施することが困難であった。照明する壁面全面に高精度のパターンを投影する場合に、実現コストを低減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
光源から供給されるコヒーレントなビームを描画位置設定用の複数のドット描画計算機生成ホログラム(CGH)に供給し、複数のビームに分岐する。ドット描画計算機生成ホログラム(CGH)のXY位置を調整することにより、投影間隔を調整する。
【0008】
分岐した複数のビームをドットパターン用計算機生成ホログラムに透過させ、各ビームを特定のパターンに変換させる。描画面上でそれぞれのパターンが関連して、例えば方眼紙のような目盛となって壁面等へ描画される。
位置設定用のホログラム素子と、描画パターン用のホログラム素子とを別々に用意することで、正確な描画位置に任意のパターンを投影したい壁面等へ描くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、第1の実施例による壁面照明用光学系を示す全体図、描画位置設定用ドット描画計算機生成ホログラム(CGH)によって投影されるパターンの概略図、図1B図1Cは、ドットパターン用計算機ホログラム(CGH)によって投影される個々のパターンの図である。
図2図2A図1Cに示した個々のパターンをそれぞれ独立パターンとしたパターン、図2B1図2B2図2B3図2B4は、図2Aに示す独立パターンを連続的に形成したパターンである。
図3図3は、回折格子の構成例を示す断面図である。
図4図4Aは描画位置設定用ドット描画計算機ホログラム(CGH)の構成例を示す平面図、図4Bは描画位置設定用ドット描画計算機ホログラム(CGH)の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0010】
1 レーザ墨出し器、 11 半導体レーザ、 12 コリメートレンズ、 13 描画位置設定用ドット描画計算機生成ホログラム(CGH)、 14 ドットパターン用計算機生成ホログラム(CGH)、 15 被照明壁面、 17 ペルチエ素子
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明のレーザ墨出し器1の構成について図1Aを参照して説明する。図1Aに示すように、レーザ墨出し器1は、主に光源である半導体レーザ11、コリメートレンズ12、描画位置設定用ドット描画計算機生成ホログラム(CGH)13、ドットパターン用計算機生成ホログラム(CGH)14、で構成される。
【0012】
以下描画位置設定用ドット描画計算機生成ホログラム(CGH)13は、ドット描画CGH13、ドットパターン用計算機生成ホログラム(CGH)14は、ドットパターン用CGH14と略して記載する。
【0013】
半導体発光レーザ11は、波長が530nmの緑半導体発光レーザを用いる。半導体レーザ11から出射された光は、発散光として出射される。
【0014】
コリメートレンズは、発散光などが出射された際に、平行光として光を集光するように構成される。実際には、ビームを平行光にしてもレーザ干渉により徐々にビームは広がるため、略平行光として集光するように構成される。
【0015】
ドット描画CGH13は、単一ビームを像に変換するのではなく、等距離に光を分割するのみを機能とする回折格子の一種となる。ただし、等間隔の距離ではなく、等間隔の角度を生成する。
【0016】
ドットパターン用CGH14は、例えば5つのパターンが順に作成されて1つの素子になっている。CGHでは、1枚の素子に複数のホログラムパターンを容易に形成することが可能である。各ビームは図1Cに示すような、十字パターンや□パターン等の特定パターンに変換される。それぞれのビームが、照明対象の描画面上で例えば十字の絵を投影すれば、その十字は順に並んで投影される。なお、図1Cに示すパターンは、単なる例示である。パターンの形状などを制限するものではない。
【0017】
次に、本発明のレーザ墨出し器1について、図1Aを用いながら説明する。
光源である半導体レーザ11から発したビームLはコリメートレンズ12を透過してほぼ平行光のコヒーレントビームとなり、ドット描画CGH13に入射する。
半導体レーザ11の発光波長を一定に安定化するため、ペルチエ素子17を半導体レーザ11に結合して、温度を安定化している。
【0018】
ドット描画CGH13に入射したビームは、ビームLがドット描画CGH13を通過することにより、ホログラムの回折次数に応じて複数の角度成分を持ったビームに分割され、図1Bに示すように、ビームは複数のビームに分岐される。
【0019】
また、ドット描画CGH13のXY位置を移動し、パターンを変えると、ドット同士の間隔が変化し、複数のビームの分岐間隔が変わり、最終的な格子状の大きさが変化する。ドット描画CGH13のXY位置をずらして固定することで、どのパターンを用いるかを決定する。
【0020】
図3は、ドット描画CGH13の回折格子を示す概略断面図である。等間隔の角度を発生させるため、必要となる間隔以上の回折光が出るようなピッチで回折格子を設計し、その各格子の凹凸の幅の比率(duty比)を調整することで特定の次数だけの光強度を高める設計にしている。そのため、通常のホログラムと異なり、凹凸の高さを一定にすることができ、フォトレジストの露光だけで、正確なピッチの回折格子を生成することができる。
【0021】
その後、分岐した複数のビームはその直後に設置されたドットパターン用CGH14に入射される。
【0022】
ドット描画CGH13から放射された複数の角度成分を有するビーム群は、ドットパターン用CGH14の位置を左右に調整することで、いずれかのパターンのホログラムのみを通過することとなる。投影面では、ドット描画CGH13で形成された複数の角度成分を持つビームの数だけドットパターン用CGH14で変換されたパターンを被照明壁面15へ投影することになる。
【0023】
図2Aは,ホログラムパターンの例を示す平面図である。隣接するパターンが連続するようにパターンサイズが選択されていれば、隣接パターンが接続される。図2B1においては、X軸、Y軸が連続して、方眼紙のような目盛となっている。2番目のパターンのようにX軸、Y軸が短い場合、繰り返し投影すると、図2B2に示すように相互に分離したパターンとなる。図2B3は、X軸、Y軸が破線で形成されたパターンである。図2B4は、中空矩形がX軸、Y軸にそって分布したパターンである。
【0024】
ドット描画CGH13とドットパターン用CGH14とを別々に用意することで、ドット描画CGH13が規定する正確な描画位置に、ドットパターン用CGH14が規定する任意のパターンを被照明壁面15へ描くことができるようになる。同一の描画パターンは希望する基準位置で繰り返し使用可能である。また、描画面上のパターンをその都度すべて入力する場合と比べ、パターン入力作業を大幅に簡略化することができる。
【0025】
また、図4Aは、形成されるドット描画CGH13の方眼目盛を示す平面図である。図4Bに示すように、一定目盛間隔で輝度をより明るくしたり、線幅を太くしたりし、例えば2点間の距離を目視で確認することを容易にできる。

図1
図2
図3
図4