(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006090
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04B 1/3827 20150101AFI20240110BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240110BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240110BHJP
H04B 1/08 20060101ALI20240110BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H04B1/3827 110
H01Q1/24 Z
H01Q1/22 Z
H04B1/08 A
H04M1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106657
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋徳
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 尚範
(72)【発明者】
【氏名】平▲濱▼ 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】東桂木 謙治
【テーマコード(参考)】
5J047
5K011
5K023
【Fターム(参考)】
5J047AA08
5J047EF04
5J047FD01
5J047FD03
5K011AA06
5K011DA02
5K011JA01
5K011JA09
5K011KA13
5K023AA07
5K023LL05
5K023MM19
5K023MM25
5K023NN07
(57)【要約】
【課題】外部接続アンテナが無くてもFMラジオを適切に聴取すること。
【解決手段】電子機器は、操作部が設けられた筐体と、筐体に内蔵された基板と、基板に設けられ、第1周波数帯域の電波を用いて外部装置との間で情報を送受信する第1アンテナと、基板に設けられ、第1周波数帯域とは異なる第2周波数帯域の電波を受信する受信回路と、基板に設けられ、かつ受信回路と電気的に接続された接続端子と、基板に設けられ、かつ受信回路と電気的に接続され、筐体を把持するユーザと直接的または間接的に接続する結合パッドと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部が設けられた筐体と、
前記筐体に内蔵された基板と、
前記基板に設けられ、第1周波数帯域の電波を用いて外部装置との間で情報を送受信する第1アンテナと、
前記基板に設けられ、前記第1周波数帯域とは異なる第2周波数帯域の電波を受信する受信回路と、
前記基板に設けられ、かつ前記受信回路と電気的に接続された接続端子と、
前記基板に設けられ、かつ前記受信回路と電気的に接続され、前記筐体を把持するユーザと直接的または間接的に接続する結合パッドと、
を備える、電子機器。
【請求項2】
前記受信回路と、前記接続端子とは、第1接続配線により電気的に接続され、
前記接続端子と、前記受信回路とを第2接続配線により電気的に接続されることにより、前記受信回路と、前記結合パッドとは、電気的に接続されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記結合パッドは、前記接続端子の近傍に設けられ、
前記受信回路と、前記接続端子とは、第1接続配線により電気的に接続され、
前記受信回路と、前記結合パッドとは、第2接続配線により電気的に接続されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記結合パッドに電気的に接続されたスイッチ素子を備え、
前記受信回路と、前記スイッチ素子とは、第1接続配線により電気的に接続され、
前記接続端子と、前記スイッチ素子とは、第2接続配線により電気的に接続されており、
前記スイッチ素子は、
前記接続端子に音声出力装置が接続されている状態では、前記受信回路と、前記接続端子とを電気的に接続し、かつ前記結合パッドと、前記受信回路とを電気的に切断するように構成され、
前記接続端子に前記音声出力装置が接続されていない状態では、前記結合パッドと、前記受信回路を電気的に接続し、かつ前記受信回路と、前記接続端子とを電気的に切断するように構成されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記結合パッドは、前記操作部が設けられている領域よりも下部の領域に設けられている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体の前記操作部が設けられた面に対向する裏面と、前記基板のグラウンドとの距離は、1mm以上である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記筐体の前記操作部が設けられた面に対向する裏面と、前記基板のグラウンドとの間に、バッテリが配置されている、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体の裏面の厚さは、前記筐体の裏面以外の面の厚さよりも厚い、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記結合パッドは、
第1方向の長さが8mm以上19mm以下であり、
前記第1方向と垂直な第2方向の長さが4mm以上6mm以下である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記結合パッドは、間接的に前記ユーザと電気的に接続するように構成されており、
前記操作部と、前記結合パッドとの間には、金属部材が配置されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記金属部材の厚さは、0.6mm以下である、
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1アンテナおよび前記接続端子は、前記操作部が設けられている領域よりも下部の領域に設けられ、
前記基板には、前記第1アンテナおよび前記接続端子が設けられている領域を除く領域に基準導体が形成されており、
前記結合パッドは、前記操作部の下部領域の前記基板において、前記基準導体が形成されている領域内に設けられている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記筐体の前面に設けられた表示部と、
前記筐体の平面に設けられたカメラと、を備え、
前記結合パッドは、前記カメラのカメラプレートとして構成されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項14】
前記カメラプレートに電気的に接続されたスイッチ素子を備え、
前記受信回路と、前記スイッチ素子とは、第1接続配線により電気的に接続され、
前記接続端子と、前記スイッチ素子とは、第2接続配線により電気的に接続されており、
前記スイッチ素子は、
前記接続端子に音声出力装置が接続されている状態では、前記受信回路と、前記接続端子とを電気的に接続し、かつ前記カメラプレートと、前記受信回路とを電気的に切断するように構成され、
前記接続端子に前記音声出力装置が接続されていない状態では、前記カメラプレートと、前記受信回路を電気的に接続し、かつ前記受信回路と、前記接続端子とを電気的に切断するように構成されている、
請求項13に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
FM(Frequency Modulation)ラジオが搭載されている電子機器がある。例えば、特許文献1には、FMラジオ信号を受信することのできる携帯電話機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話に搭載されているFMラジオは、携帯電話に接続されているイヤホンをFMラジオの放送電波を受信するアンテナとして利用している。そのため、イヤホン等の外部接続アンテナがない場合には、FMラジオを適切に聴取できない可能性がある。
【0005】
本開示は、外部接続アンテナが無くてもFMラジオを適切に聴取することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子機器は、操作部が設けられた筐体と、前記筐体に内蔵された基板と、前記基板に設けられ、第1周波数帯域の電波を用いて外部装置との間で情報を送受信する第1アンテナと、前記基板に設けられ、前記第1周波数帯域とは異なる第2周波数帯域の電波を受信する受信回路と、前記基板に設けられ、かつ前記受信回路と電気的に接続された接続端子と、前記基板に設けられ、かつ前記受信回路と電気的に接続され、前記筐体を把持するユーザと直接的または間接的に接続する結合パッドと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、外部接続アンテナが無くてもFMラジオを適切に聴取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電子機器の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る基板の構成例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るラジオの聴取方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の第1パターンに係る基板の構成例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の第2パターンに係る基板の構成例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の第3パターンに係る基板の構成例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るスイッチ素子の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係るラジオの聴取方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態の比較例に係る携帯電話機の構成例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る携帯電話機の構成例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第5実施形態に係る基板の構成例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第6実施形態に係る携帯電話機の構成例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第6実施形態に係る金属部材の一例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、第7実施形態に係る結合パッドを設ける位置を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第7実施形態に係る通信アンテナの配置例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第8実施形態の比較例に係る電子機器の側面を示す図である。
【
図17】
図17は、第8実施形態に係る電子機器の背面を示す図である。
【
図18】
図18は、第8実施形態に係るカメラプレートの設置方法を説明するための図である。
【
図19】
図19は、第9実施形態の比較例に係る電子機器の配線例を説明するための図である。
【
図20】
図20は、第9実施形態に係る電子機器の配線例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
[実施形態]
図1を用いて、実施形態に係る電子機器の構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る電子機器の構成例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る電子機器は、携帯電話機である。携帯電話機10は、第1筐体11と、第2筐体12と、表示部13と、スピーカ14と、操作キー15と、方向選択キー16と、マイク17と、接続端子18と、結合パッド19と、を備える。
【0012】
携帯電話機10は、第1筐体11と第2筐体12とで開閉可能に構成された折り畳み式の携帯電話機である。第1筐体11と、第2筐体12とは、携帯電話機10の筐体の一種である。携帯電話機10は、FMラジオの機能を有している。以下では、本開示に係る電子機器は、折り畳み式の携帯電話機10であるものとして説明するが、本開示はこれに限定されない。後述するが、本開示に係る電子機器は、例えば、スマートフォンなどであってもよい。
【0013】
表示部13は、第1筐体11に設けられている。表示部13は、各種の画像をするように構成されている。表示部2は、待ち受け画像を表示したり、携帯電話機10の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。
【0014】
スピーカ14は、第1筐体11に設けられている。スピーカ14は、例えば、携帯電話機10の通話時に通話相手の音声を発する。スピーカ14は、例えば、携帯電話機10がFMラジオの電波を受信時に、FMラジオの音声を出力する。
【0015】
操作キー15は、第2筐体12に設けられている。操作キー15は、電話番号の入力操作および文字の入力操作などを受け付ける。方向選択キー16は、第2筐体12に設けられている。方向選択キー16は、表示部13に表示されているメニューを選択する操作、および表示部13に表示されている画像のスクロール操作などを受け付ける。操作キー15および方向選択キー16は、操作部の一種である。
【0016】
マイク17は、第2筐体12に設けられている。マイク17は、例えば、携帯電話機10の通話時に、携帯電話機10のユーザの音声を受ける。
【0017】
接続端子18は、第2筐体12に設けられている。接続端子18には、音声出力装置が接続される、接続端子18には、例えば、音声出力装置としてイヤホンが接続される。携帯電話機10を使用するユーザは、接続端子18に接続されたイヤホンを使用して、FMラジオを聴取することができる。接続端子18は、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタおよびオーディオジャックコネクタで実現することができる。
【0018】
結合パッド19は、第2筐体12に設けられている。結合パッド19は、例えば、方向選択キー16の上部の領域に設けられている。結合パッド19は、第2筐体12に内蔵される基板に設けられている。結合パッド19は、例えば、平板状に形成された金属パッドである。結合パッド19は、FMラジオの放送電波を受信するラジオ用受信回路と電気的に接続されている。結合パッド19は、第2筐体12に露出していてもよいし、第2筐体12に内蔵されていてもよい。結合パッド19が第2筐体12の表面に露出している場合、ユーザが結合パッド19に指などで触れることで、ユーザと結合パッド19とが電磁気的に接続される。結合パッド19が第2筐体12に内蔵されている場合、結合パッド19が接続されている位置における第2筐体12の表面にユーザが触れることで、ユーザと結合パッド19とが容量的に接続される。すなわち、携帯電話機10を使用するユーザは、結合パッド19と接続されることで、ラジオ用受信回路と接続される。これにより、携帯電話機10を使用するユーザ自身がFMラジオの放送電波を受信するアンテナとして機能する。
【0019】
[第1実施形態]
図2を用いて、第1実施形態に係る基板の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る基板の構成例を説明するための図である。
【0020】
図2は、第2筐体12に内蔵されている基板40を示す。
図2に示すように、基板40には、接続端子18と、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20と、が設けられている。基板40には、グラウンド導体41が形成されている。グラウンド導体41は、図示しない基準電位(例えば、グラウンド)と電気的に接続されている。グラウンド導体41は、基準導体とも呼ばれる。
図2に示す例では、簡単のため、接続端子18と、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20以外の部品は省略している。
【0021】
ラジオ用受信回路20は、FMラジオの放送電波を受信するための受信回路である。
【0022】
接続端子18と、結合パッド19とは、配線23により電気的に接続されている。結合パッド19と、ラジオ用受信回路20とは、配線24より電気的に接続されている。すなわち、ユーザが結合パッド19と接続することにより、ユーザはラジオ用受信回路20と接続される。
【0023】
通常、携帯電話機10でFMラジオを聴取する場合には、接続端子18に接続されたイヤホンをアンテナとして利用する。そのため、接続端子18にイヤホンを接続していない状態では、ユーザは、FMラジオを聴取することができなかった。それに対し、本開示では、ユーザは結合パッド19と接続することで、ラジオ用受信回路20と結合することができる。すなわち、本開示は、携帯電話機10を使用するユーザ自身をFMラジオの放送電波を受信するためのアンテナとして機能させることができる。
【0024】
図3を用いて、第1実施形態に係るラジオの聴取方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係るラジオの聴取方法を説明するための図である。
【0025】
図3に示すように、携帯電話機10のユーザは、FMラジオを聴取する際には、手Hで第2筐体12を把持して、親指を結合パッド19に接触させることで、ラジオ用受信回路20と結合する。これにより、ユーザ自身がFMラジオの放送電波を受信するアンテナとして機能する。そのため、第1実施形態では、接続端子18にイヤホンを接続しなくてもユーザが結合パッド19に触れることで、ユーザ自身が放送電波を受信し、FMラジオを聴取することができる。
【0026】
[第2実施形態]
(第1パターン)
図4を用いて、第2実施形態の第1パターンに係る基板の構成例について説明する。
図4は、第2実施形態の第1パターンに係る基板の構成例を説明するための図である。
【0027】
図2に示す例では、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20とを繋ぐ配線24に対し、配線22と、配線23がスタブ配線となり得る。この場合、携帯電話機10のユーザをFMラジオの放送電波を受信するアンテナとして使用する場合、感度が劣化してしまう可能性がある。
【0028】
図4に示すように、第2実施形態の第1パターンに係る基板40Aでは、結合パッド19は、配線23および配線25を介して、ラジオ用受信回路20と電気的に接続されている。
【0029】
図4に示す例では、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20とを繋ぐ配線23および配線25に対し、配線22がスタブ配線となり得る。すなわち、第2実施形態の第1パターンは、
図2に示す場合と比較して、スタブ配線を短くすることができる。これにより、第2実施形態の第1パターンは、スタブ配線に起因する感度の劣化を抑制することができる。
【0030】
(第2パターン)
図5を用いて、第2実施形態の第2パターンに係る基板の構成例について説明する。
図5は、第2実施形態の第2パターンに係る基板の構成例を説明するための図である。
【0031】
図5に示すように、第2実施形態の第2パターンに係る基板40Bでは、結合パッド19は、基板40Bの下部に設けられている。具体的には、結合パッド19は、接続端子18の近傍に設けられている。
【0032】
図5に示す例では、ラジオ用受信回路20は、配線26により結合パッド19と電気的に接続されている。この場合、配線26に対して、配線24がスタブ配線になり得る。すなわち、第2実施形態の第2パターンは、
図2に示す場合と比較して、スタブ配線を短くすることができる。これにより、第2実施形態の第2パターンは、スタブ配線に起因する感度の劣化を抑制することができる。
【0033】
(第3パターン)
図6を用いて、第2実施形態の第3パターンに係る基板の構成例について説明する。
図6は、第2実施形態の第3パターンに係る基板の構成例を説明するための図である。
【0034】
図6に示すように、基板40Cには、接続端子18と、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20と、スイッチ素子27と、が設けられている。
【0035】
結合パッド19と、スイッチ素子27とは、配線28により電気的に接続されている。ラジオ用受信回路20と、スイッチ素子27とは、配線29により電気的に接続されている。スイッチ素子27と、接続端子18とは、配線30により電気的に接続されている。
【0036】
スイッチ素子27は、結合パッド19および接続端子18を選択的にラジオ用受信回路20と電気的に接続するように構成されている。
図7は、第2実施形態に係るスイッチ素子の構成例を示す図である。
図7に示すように、スイッチ素子27は、第1端子271と、第2端子272と、第3端子273と、を備える。
【0037】
第1端子271は、配線28を介して、結合パッド19に電気的に接続されている。第2端子272は、配線29を介して、ラジオ用受信回路20に電気的に接続されている。第3端子273は、配線30を介して、接続端子18に電気的に接続されている。
【0038】
スイッチ素子27は、接続端子18にイヤホンが接続されている状態では、第2端子272と、第3端子273とが電気的に接続されるように構成されている。すなわち、スイッチ素子27は、接続端子18にイヤホンが接続されている状態では、ラジオ用受信回路20と、接続端子18とを電気的に接続し、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20とを電気的に切断するように構成されている。
【0039】
スイッチ素子27は、接続端子18にイヤホンが接続されていない状態では、第1端子271と、第2端子272とが電気的に接続されるように構成されている。すなわち、スイッチ素子27は、接続端子18にイヤホンが接続されていない状態では、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20とを電気的に接続し、接続端子18と、結合パッド19とを電気的に切断するように構成されている。
【0040】
すなわち、スイッチ素子27は、結合パッド19と、ラジオ用受信回路20とが電気的に接続している状態では、スタブ配線となり得る結合パッド19と、接続端子18との間の配線30をスタブ配線として機能しないようにすることができる。これにより、第2実施形態の第3パターンは、スタブ配線に起因する感度の劣化を抑制することができる。
【0041】
[第3実施形態]
本開示の第3実施形態について説明する。
図3に示すように、携帯電話機10を手Hで第2筐体12を把持してラジオを聴取する場合、手の平全体が第2筐体12の裏に接触する。この場合、第2筐体12に内蔵されている基板40のグラウンド導体41と、手の平が結合する可能性がある。この場合、結合パッド19に電流が流れにくくなり、FMラジオの放送電波の受信感度が低くなる可能性がある。
【0042】
図8を用いて、第3実施形態に係るラジオの聴取方法について説明する。
図8は、第3実施形態に係るラジオの聴取方法を説明するための図である。
【0043】
図8に示すように、第3実施形態では、携帯電話機10のユーザが、手Hで第2筐体12の下部を把持して、親指を結合パッド19に接触させることができるような位置に、結合パッド19を設ける。第3実施形態では、結合パッド19は、例えば、操作キー15の下部領域に設けられている。これにより、
図8に示すように、第2筐体12に接触するユーザの手Hの面積が、
図3に示す例と比べて小さくすることができる。そのため、基板40のグラウンド導体41と、ユーザの手Hの結合を弱くすることができるので、
図3に示す例と比べて、結合パッド19に電流が流れやすくなり、FMラジオの放送電波の受信感度を向上させることができる。例えば、結合パッド19を操作キー15の下部領域に設けることで、結合パッド19を方向選択キー16の上部領域に設ける場合と比較して、10dB(デシベル)程度、受信感度を向上させることができる。
【0044】
[第4実施形態]
本開示の第4実施形態について説明する。第3実施形態で説明したように、第2筐体12に内蔵されている基板40のグラウンド導体41と、ユーザの手が結合すると、結合パッド19に電流が流れにくくなり、FMラジオの放送電波の受信感度が低くなる可能性がある。そのため、第4実施形態では、基板40のグラウンド導体41と、ユーザの手との距離が長くなるように構成する。
【0045】
図9を用いて、第4実施形態の比較例に係る携帯電話機の構成例について説明する。
図9は、第4実施形態の比較例に係る携帯電話機の構成例を説明するための図である。
【0046】
図9に示すように、第4実施形態の比較例に係る携帯電話機10aは、第2筐体12内に基板40と、バッテリ50とを備える。第4実施形態の比較例では、基板40が下面側に配置され、バッテリ50が操作キー15側に配置されている。この場合、ユーザが第2筐体12を把持した際の、基板40と、手Hとの距離は、1mm程度と近いため、基板40のグラウンド導体41と、手Hが結合し放送電波の受信感度が低くなり得る。
【0047】
図10を用いて、第4実施形態に係る携帯電話機の構成例について説明する。
図10は、第4実施形態に係る携帯電話機の構成例を説明するための図である。
【0048】
図10に示すように、第4実施形態に係る携帯電話機10は、第2筐体12内に基板40と、バッテリ50とを備える。第4実施形態では、基板40が操作キー15側に配置され、バッテリ50が下面側に配置されている。すなわち、第4実施形態は、ユーザが第2筐体12を把持した際に、基板40と、手Hとの間にバッテリ50が配置されるように構成されている。この場合、ユーザが第2筐体12を把持した際の、基板40と、手Hとの距離が、例えば、8.7mm程度にすることができるので、基板40と、手Hとの結合が弱くなり、放送電波の受信感度を向上させることができる。本実施形態では、結合パッド19が第2筐体12に内蔵され第2筐体12の表面に露出していない場合には、ユーザが第2筐体12を把持した際の、基板40と、手Hとの距離は、少なくとも8.7mm以上とすることが好ましい。
【0049】
[第4実施形態の変形例]
本開示の第4実施形態の変形例について説明する。第4実施形態では、第2筐体12において、基板40を操作キー15側に配置し、バッテリ50を下面側に配置することで、基板40と、ユーザの手Hとの距離を長くしていた。第4実施形態の変形例では、例えば、ユーザの手Hが接触する第2筐体12の裏面の樹脂の厚みを厚くすることで、基板40と、ユーザの手Hとの距離を長くするようにしてもよい。
【0050】
例えば、
図9に示す例において、基板40と、手Hとの距離は、1mm程度であるが、第2筐体12の裏面の厚みを厚くすることで、基板40と、手Hとの距離が1mm以上(例えば、8.7mm)となるようにしてもよい。この場合、第2筐体12の裏面の厚みを1mm厚くするごとに放送電波の受信感度を0.7dB程度向上させることができる。
【0051】
[第5実施形態]
本開示の第5実施形態について説明する。結合パッド19を第2筐体12に内蔵し、ユーザと、結合パッド19とを容量結合する場合、結合パッド19の面積が小さいほど感度が劣化するという課題がある。なお、結合パッド19が第2筐体12の表面に露出し、ユーザの指を結合パッド19に直接接触させる場合には、結合パッド19の面積は結合の強さに略影響を与えない。
【0052】
図11を用いて、第5実施形態に係る基板の構成例について説明する。
図11は、第5実施形態に係る基板の構成例を説明するための図である。
【0053】
図11に示すように、結合パッド19Dは、基板40Dにおいて、操作キー15用の導電パターンが設けられている領域31の下部に設けられている。結合パッド19Dは、操作キー15を誤っておさない配置で、かつユーザの指と重なる面積を最大となるように設けることで、容量結合の強さを強くすることができる。例えば、結合パッド19Dの第1方向の長さL1は8mm以上19mm以下であり、第1方向と垂直な第2方向の長さL2は4mm以上6mm以下である。例えば、第5実施形態では、長さL1を成人男子の親指サイズを概ねカバーする18.6mm程度とし、長さL2を、操作キー15を誤って押さずに、かつ成人男性の親指サイズをカバーできる5.9mm程度とすることができる。このように、結合パッド19Dを大きくすることで、ユーザの指と結合パッド19Dの結合の強さを強くすることができるので、放送電波の受信感度を向上させることができる。
【0054】
第5実施形態では、結合パッド19Dは、領域31の下部に設けられているものとして説明したが、本開示はこれに限定されない。結合パッド19Dは、例えば、領域32の上部に設けられていてもよい。
【0055】
[第6実施形態]
本開示の第6実施形態について説明する。結合パッド19を第2筐体12に内蔵し、ユーザと、結合パッド19とを容量結合する場合、ユーザの指と、結合パッド19との間の距離が長くなるにつれて、放送電波の受信感度が劣化するという課題がある。
【0056】
図12を用いて、第6実施形態に係る携帯電話機の構成例を説明する。
図12は、第6実施形態に係る携帯電話機の構成例を説明するための図である。
【0057】
図12は、第2筐体12の断面を示す。操作キー15と、基板40との間には、導光シートおよびマイク17用のクッションなどを配置するため、ギャップが存在する。そのため、通常、ユーザの指Fと、結合パッド19との間の距離は、1.0mm程度となる。
【0058】
第6実施形態では、結合パッド19上に金属部材60が配置されている。ここで、結合パッド19と、金属部材60とは、電気的に接続されている。すなわち、第6実施形態は、結合パッド19上に金属部材60を配置することで、ユーザの指Fと、結合パッド19との距離を縮めるように構成されている。金属部材60は、例えば、厚みが0.6mmの板金とすることができる。
図13は、第6実施形態に係る金属部材の一例を説明するための図である。
図13は、金属部材60を上部からみた模式図を示す。
図13に示すように、金属部材60は、基板40の図示しない結合パッド上に配置されている。金属部材60として、0.6mmの板金を結合パッド19上に配置することで、指Fと、結合パッド19との間の距離を、0.4mmとすることができる。これにより、結合パッド19上に金属部材60が配置されていない場合と比較して、放送電波の受信感度を2.5dB程度、向上させることができる。
【0059】
第6実施形態では、金属部材60は、厚みが0.6mmの板金として説明したが、本開示はこれに限定されない。金属部材60は、厚みが0.6mm以下の板金であってもよい。
【0060】
[第7実施形態]
本開示の第7実施形態について説明する。基板40のグラウンド導体41と、結合パッドとの結合は、放送電波の受信感度の劣化に繋がるため、結合パッドは基板40のグラウンド導体41から離して設けることが望ましい。しかしながら、基板40のグラウンド導体41から離すための、基板40の極度の下部に結合パッドを設けると、基板40のマイク17の近傍には通信用のアンテナが配置されているため、結合パッドと通信用のアンテナが結合してしまう可能性がある。
【0061】
図14を用いて、第7実施形態に係る結合パッドを設ける位置について説明する。
図14は、第7実施形態に係る結合パッドを設ける位置を説明するための図である。
【0062】
例えば、結合パッド19を、
図14に示す基板40Eにおいて、破線33より下部のグラウンド導体41が設けられていない領域に設けることで、結合パッド19と、グラウンド導体41との結合が弱くなるので、放送電波の受信感度は向上する。
図15は、第7実施形態に係る通信アンテナの配置例を説明するための図である。
図15は、基板40Eの下部領域を模式的に示す図である。
図15に示すように、破線33の下部の領域34には、Cellular用およびWLAN(Wireless Local Area Network)用などの通信アンテナが配置されている。そのため、結合パッド19を破線33の下部の領域に設けると、結合パッド19と、通信アンテナとが結合してしまい、通話用の電波の受信感度が劣化してしまう可能性がある。
【0063】
通常、通信アンテナの受信感度の方が、ラジオ用受信回路20の受信感度よりも良好な特性を求められる傾向が強い。そのため、第7実施形態では、結合パッド19は、基板40のグラウンド導体41が設けられている領域内に設ける。言い換えれば、第7実施形態では、結合パッド19は、通信アンテナが設けられている領域に設けない。これにより、結合パッド19と、通信アンテナとの結合を防止することができるので、通信アンテナの受信感度の劣化を抑制することができる。
【0064】
[第8実施形態]
本開示の第8実施形態について説明する。第8実施形態に係る電子機器は、スマートフォンである。
【0065】
一般にスマートフォンは、機能が多いことから構造物が密集しており、前面はほぼ液晶が占めている。そのため、ユーザ自身をアンテナとして使用するための結合パッドを設けることが困難である。また、ユーザが直接触れるための結合パッドを設ける場合、スマートフォンの使用性およびデザイン性が損なわれる可能性がある。
【0066】
(比較例)
第8実施形態の説明する前に、第8実施形態の比較例について説明する。
図16は、第8実施形態の比較例に係る電子機器の側面を示す図である。
図16に示すように、スマートフォン10bの側面には操作キー81が設けられている。ここで、スマートフォン10bの側面に、ユーザ自身をアンテナとして使用するための結合パッド82を設けることを考える。
【0067】
昨今のスマートフォンには、対応するバンドが多いことから、数多くのアンテナが搭載されている。そのため、スマートフォンの端部には、アンテナが張り巡らされている。そのため、スマートフォン10bの側面に結合パッド82を設ける場合、アンテナに影響を及ぼさない位置に設けることが困難となる。また、操作キー81など金属にして結合パッドとして利用することも考えられる。しかしながら、操作キー81と、筐体内部との間には、防水用のパッキンが配置されているので、操作キー81と、ラジオ用受信回路とを電気的に接続することは困難である。
【0068】
これらを考慮すると、結合パッドは、デザイン性を損なわないためにスマートフォンに搭載される装飾品であり、かつ防水性が保たれることが必要となる。また、結合パッドは、ユーザがスマートフォンを自然に持った場合に触れやすい位置に設けることが好ましい。
【0069】
図17は、第8実施形態に係る電子機器の背面を示す図である。
図17は、第8実施形態に係る電子機器として、スマートフォン10Aの背面を示す。
図17に示すように、スマートフォン10Aの背面には、カメラ100が設けられている。例えば、カメラ100の周囲には、カメラプレート110が露出している。第8実施形態では、カメラプレート110を、ユーザ自身をアンテナとして作用させるための結合パッドとして共有する。
【0070】
図18は、第8実施形態に係るカメラプレート110の設置方法を説明するための図である。
図18は、スマートフォン10Aの背面の内部の様子を示す。カメラプレート110は、金属で形成されている。導通性クッション130は、カメラプレート110の設置位置120に設けられている。導通性クッション130は、金属メッキライン140の一端に電気的に接続されている。金属メッキライン140の他端は、図示しないラジオ用受信回路に電気的に接続されている。すなわち、カメラプレート110を設置位置120に配置することで、カメラプレート110と、ラジオ用受信回路とは、電気的に接続される。これにより、ユーザがカメラプレート110に触れることで、ユーザ自身がFMラジオの放送電波を受信するアンテナとして機能する。
【0071】
ユーザと、カメラプレート110とは、容量結合されてもよいので、カメラプレート110の表面は塗装されていてもよい。カメラプレート110の外周に防水両面テープを貼付して、カメラ100への浸水を防止するとよい。
【0072】
結合パッドをスマートフォン10Aの外部に設けることで、ユーザがカメラプレート110を目視せずに、カメラプレート110に触れることも想定される。その際、カメラ100のレンズ部に手が触れるとレンズ部が汚れて撮影に支障がでることがあるため、目視しない状態で触れる場所が特定できるように、カメラプレート110の周辺を凸にする構造にするとよい。
【0073】
[第9実施形態]
本開示の第9実施形態の説明するまえに、第9実施形態の比較例について説明する。
図19は、第9実施形態の比較例に係る電子機器の配線例を説明するための図である。
【0074】
図19に示すように、比較例に係るスマートフォン10Aaにおいては、配線71は、一端が分岐点70に電気的に接続され、他端が、一端が導通性クッション130に電気的に接続された金属メッキライン140の他端に電気的に接続されている。配線72は、一端が分岐点70に電気的に接続され、他端がラジオ用受信回路150に電気的に接続されている。配線73は、一端が分岐点70の電気的に接続され、他端がイヤホンなどの音声出力装置が接続される接続端子160に電気的に接続されている。
【0075】
図19に示す場合において、ユーザがカメラプレート110に触れてFMラジオを聴取する際に、分岐点70と、接続端子160とを接続する配線73がスタブ配線になり得る。この場合、スマートフォン10AのユーザをFMラジオの放送電波を受信するアンテナとして使用する場合、感度が劣化してしまう可能性がある。
【0076】
図20は、第9実施形態に係る電子機器の配線例を説明するための図である。
図20に示すように、配線71は、一端がスイッチ素子170に電気的に接続され、他端が、一端が導通性クッション130に電気的に接続された金属メッキライン140の他端に電気的に接続されている。配線72は、一端がスイッチ素子170に電気的に接続され、他端がラジオ用受信回路150に電気的に接続されている。配線73は、一端がスイッチ素子170に電気的に接続され、他端が接続端子160に電気的に接続されている。
【0077】
スイッチ素子170は、例えば、
図7に示すスイッチ素子27と同様の構成を有している。すなわち、スイッチ素子170は、接続端子160にイヤホンが接続されている状態では、ラジオ用受信回路150と、接続端子160とを電気的に接続し、カメラプレート110と、ラジオ用受信回路150とを電気的に切断するように構成されている。スイッチ素子170は、接続端子160にイヤホンが接続されていない状態では、カメラプレート110と、ラジオ用受信回路150とを電気的に接続し、ラジオ用受信回路150と、接続端子160とを電気的に切断するように構成されている。すなわち、スイッチ素子170は、カメラプレート110と、ラジオ用受信回路150とが電気的に接続している状態では、スタブ配線となり得る接続端子160と、スイッチ素子170との間の配線73をスタブ配線として機能しないようにすることができる。これにより、第9実施形態は、スタブ配線に起因する感度の劣化を抑制することができる。
【0078】
[第9実施形態の変形例]
本開示の第9実施形態の変形例について説明する。スイッチ素子170は、例えば、アンテナポートが複数分かれるスイッチであってもよい。スイッチ素子170は、例えば、SP3T、SP4T型のスイッチ回路であってもよい。
【0079】
例えば、スイッチ素子170がSP4T型のスイッチ回路である場合について説明する。この場合、FMラジオを聴取する際には、受信方式がデジタル方式またはアナログ方式であるかに依らず、スイッチ素子170は、ラジオ用受信回路150をカメラプレート110または接続端子160に接続するように構成される。また、この場合、FMラジオを聴取しない場合には、スイッチ素子170は、ラジオ用受信回路150をグラウンドに接続しても良い。
【0080】
第9実施形態の変形例のように、SP4T型などのスイッチ回路を用いることで、複数の条件に応じて、スイッチを切り替えることができるようになる。
【0081】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
10 携帯電話機
11 第1筐体
12 第2筐体
13 表示部
14 スピーカ
15 操作キー
16 方向選択キー
17 マイク
18,160 接続端子
19,82 結合パッド
20,150 ラジオ用受信回路
27,170 スイッチ素子
40,40A,40B,40C 基板
41 グラウンド導体
50 バッテリ
60 金属部材
100 カメラ
110 カメラプレート
130 導通性クッション
140 金属メッキライン