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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060916
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20240425BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E04H6/06 W
E04H6/42 H
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168488
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】巳波 健
(57)【要約】
【課題】必要間口の増大を抑えることが可能な通常パレットと充電パレットとが混在する機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】駐車領域5を左側(間口方向一側)の第1駐車領域7と右側(間口方向他側)の第2駐車領域8とに分画し、第1駐車領域7には、通常幅のパレットP1(第1パレット)に対応する幅を有する駐車列L1,L2(第1駐車列)を配置し、第2駐車領域8には、パレットP1よりも幅広のパレットP2(第2パレット)に対応する幅を有する駐車列L3(第2駐車列)を配置した。これにより、駐車列L3が配置される第2駐車領域8の幅(間口)のみを広くすればよいので、通常幅のパレットP1と幅広のパレットP2とが混在する機械式駐車装置1の必要間口の増大を抑えることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車領域に複数段、複数列の駐車室が設けられた機械式駐車装置であって、
第1パレットと、前記第1パレットよりも幅広の第2パレットと、前記第1パレットに対応する幅を有する少なくとも1列の第1駐車列と、前記第2パレットに対応する幅を有する少なくとも1列の第2駐車列と、を備え、
前記駐車領域は、間口方向一側の第1駐車領域と間口方向他側の第2駐車領域とに分画され、
前記第1駐車列は前記第1駐車領域に配置され、前記第2駐車列は前記第2駐車領域に配置されることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械式駐車装置であって、
前記第2パレットには、電気自動車に充電するための充電装置が設けられることを特徴とする機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数段、複数列の駐車室を有する機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、駐車時間を利用して電気自動車に充電する充電機能を備えた多段式駐車装置が開示されている。特許文献1には、全てのパレットに電気自動車を積載可能なパレット(充電装置を備えた)を適用した多段式駐車装置が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-169064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パレットに電気自動車を積載して充電する場合、充電装置の設置スペースや、充電口の蓋が開放された(横へ突出した)電気自動車が積載されることから、概して、通常のパレットに自動車を駐車する場合よりも幅方向に広くスペースを要する。このため、特許文献1に記載された多段式駐車装置は、全ての駐車列の幅が、電気自動車を積載して充電可能なパレット(以下「充電パレット」と称する)に合わせて拡幅されるので、通常パレットのみを搭載した同等の駐車装置と比較して必要間口が大きくなり、駐車列の数が増えるほど装置の設置により広い土地が必要になる。
【0005】
ここで、日本国における電気自動車の普及率は、現時点で1%程度である。よって、機械式駐車装置においては、製造コスト等の面から、通常パレットと充電パレットとを混在させることが要望されている。しかし、前述したように、全ての駐車列の幅を充電パレットに合わせて拡幅した場合、駐車装置の必要間口が増大して設置が難しくなる。
【0006】
本発明は、通常パレットと充電パレットとが混在する機械式駐車装置において、必要間口の増大を抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の機械式駐車装置は、駐車領域に複数段、複数列の駐車室が設けられた機械式駐車装置であって、第1パレットと、前記第1パレットよりも幅広の第2パレットと、前記第1パレットに対応する幅を有する少なくとも1列の第1駐車列と、前記第2パレットに対応する幅を有する少なくとも1列の第2駐車列と、を備え、前記駐車領域は、間口方向一側の第1駐車領域と間口方向他側の第2駐車領域とに分画され、前記第1駐車列は前記第1駐車領域に配置され、前記第2駐車列は前記第2駐車領域に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通常パレットと充電パレットとが混在する機械式駐車装置の必要間口の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る機械式駐車装置の左側面である。
図2図1におけるA-A矢視図である。
図3】第1実施形態に係る機械式駐車装置の動作説明図である。
図4】第1実施形態に係る機械式駐車装置の動作説明図である。
図5】第1実施形態に係る機械式駐車装置の動作説明図である。
図6】第2実施形態に係る機械式駐車装置の説明図である。
図7】第2実施形態に係る機械式駐車装置の動作説明図である。
図8】第2実施形態に係る機械式駐車装置の動作説明図である。
図9】第2実施形態に係る機械式駐車装置の動作説明図である。
図10】第2実施形態との比較のための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を添付した図を参照して説明する。
第1実施形態では、地上4段、3列の昇降横行型機械式駐車装置1(以下「駐車装置1」と称する)を例示する。便宜上、図2における上下方向及び左右方向(間口方向)をそのまま上下方向及び左右方向と称し、図1における左右方向を前後方向と称する。
【0011】
図1図2に示されるように、駐車装置1は、ピット2に構築された枠体3を有する。枠体3の内側には、駐車領域5が画定される。駐車領域5は、前後一対で設けられた支柱27(図2に後側の支柱27のみ表示)によって、図2における左側(間口方向一側)に配置される第1駐車領域7と、図2における右側(間口方向他側)に配置される第2駐車領域8と、に分画される。
【0012】
第1駐車領域7は、前後一対で設けられた支柱28(図2に後側の支柱28のみ表示)によって、図2における左側(間口方向一側)に配置される駐車列L1(第1駐車列)と、図2における右側(間口方向他側)に配置される第2駐車領域L2(第1駐車列)と、に分画される。なお、駐車列L1と駐車列L2とは、幅(間口)が同一に設定される。また、第2駐車領域8には、駐車列L1,L2よりも幅広の駐車列L3(第2駐車列)が配置される。
【0013】
図2に示されるように、駐車列L1の第1段(地上段)、第2段(中間下段)、第3段(中間上段)、及び第4段(最上段)には、各々、駐車室L11、駐車室L12、駐車室L13、及び駐車室L14が割り当てられる。駐車列L2の第1段、第2段、第3段、及び第4段には、各々、駐車室L21、駐車室L22、駐車室L23、及び駐車室L24が割り当てられる。駐車列L3の第1段、第2段、第3段、及び第4段には、各々、駐車室L31、駐車室L32、駐車室L33、及び駐車室L34が割り当てられる。なお、駐車列L3の幅(間口)は、駐車列L1及び駐車列L2の幅よりも広く設定される。
【0014】
図1に示されるように、駐車領域5の第1段(地上段)には、2つの横行装置11が設けられる。各横行装置11には、駐車列L1及び駐車列L2の幅(間口)に対応させた幅(以下「通常幅」と称する)のパレットP1(第1パレット)がセットされる。駐車領域5の第2段(中間下段)及び第3段(中間上段)には、各々、2つの横行昇降装置12が設けられる。各横行昇降装置12には、通常幅のパレットP1がセットされる。駐車列L1及び駐車列L2の第4段(最上段)には、各々、昇降装置13が設けられる。各昇降装置13には、通常幅のパレットP1がセットされる。
【0015】
他方、駐車列L3の第4段(最上段)には、昇降装置14が設けられる。昇降装置14には、駐車列L3の幅(間口)に対応させた幅広のパレットP2(第2パレット)がセットされる。なお、幅広のパレットP2には、充電を必要とする自動車(以下「電気自動車」と称する)が積載され、通常幅のパレットP1には、ガソリン車等の充電が不要な自動車(以下「自動車」と称する)が積載される。
【0016】
ここで、横行装置11、横行昇降装置12、昇降装置13、及び昇降装置14は、既存の駐車装置に使用されている横行装置、横行昇降装置、及び昇降装置と基本構造が同一である。よって、明細書の記載を簡潔にすることを目的に、横行装置11、横行昇降装置12、昇降装置13、及び昇降装置14に係る詳細な説明を省略する。
【0017】
図3に示されるように、パレットP2の図3における左側縁部には、スタンド式の充電コネクタ16(充電装置)が設けられる。充電コネクタ16は、電気自動車V3の充電ポート(図示省略)に接続される充電アダプタ17及び充電ケーブル18を有する。なお、充電コネクタ16は、パレットP2の移動を妨げることがないように配置すればよく、例えば、パレットP2内で移動可能に配置してもよい。また、パレットP2の幅は、充電リッド(図示省略)を解放した電気自動車V3を積載した状態でパレットP2を移動(昇降)させることができるように設定される。
【0018】
次に、図3乃至図5を参照して、地上4段、3列の駐車装置1における出庫フローを説明する。図3に示される初期状態において、駐車列L1(第1駐車列)には、第4段(最上段)、第3段(中間上段)、第2段(中間下段)、第1段(地上段)の順に、通常幅のパレットP1(第1パレット)に積載された自動車V1,V4,V6,V8が配置される。また、駐車列L2(第1駐車列)の第1段には、通常幅のパレットP1に積載された自動車V2が配置される。さらに、駐車列L3(第2駐車列)には、第4段、第3段、第2段、第1段の順に、幅広のパレットP2(第2パレット)に載置された電気自動車V3、通常幅のパレットP1に積載された自動車V5,V7,V9が配置される。
【0019】
ここで、駐車列L1の第4段(駐車室L14)に配置された自動車V1を出庫する場合、図3に矢印で示されるように、自動車V2を駐車列L2の第1段(駐車室L21)から第4段(駐車室L24)まで移動(上昇)させる。
【0020】
次に、図4に矢印で示されるように、駐車列L1に配置された自動車V4,V6,V8を右方向へ横行させ、各々、駐車列L2の駐車室L23,L22,L21に移動させる。次に、図5に矢印で示されるように、自動車V1を駐車列L1の第4段(駐車室L14)から第1段(駐車室L11)まで移動(下降)させる。自動車V1が積載されたパレットP1が駐車列L1の第1段(地上段)に位置決めされると、前面ゲート(図示省略)が開放され、自動車V1を出庫させることが可能になる。
【0021】
ここで、従来の機械式駐車装置では、通常パレット(第1パレット)と電気自動車を積載可能な充電パレット(第2パレット)とを混在させるため、全ての駐車列の幅を充電パレットに合わせて拡幅していたので、駐車装置の必要間口が増大して設置が難しくなる問題が発生した。
【0022】
これに対し、第1実施形態では、駐車領域5を左側(間口方向一側)の第1駐車領域7と右側(間口方向他側)の第2駐車領域8とに分画し、第1駐車領域7には、通常幅のパレットP1(第1パレット)に対応する幅を有する駐車列L1,L2(第1駐車列)を配置し、第2駐車領域8には、パレットP1よりも幅広のパレットP2(第2パレット)に対応する幅を有する駐車列L3(第2駐車列)を配置した。
【0023】
第1実施形態によれば、駐車列L3(第2駐車列)が配置される第2駐車領域8の幅(間口)のみを広くすればよいので、通常幅のパレットP1と幅広のパレットP2とが混在する機械式駐車装置1の必要間口の増大を抑えることができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、図6乃至図10を参照して第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態との共通部分については、同一の称呼及び符号を用い、重複する説明を省略する。
第1実施形態では、地上4段、3列の昇降横行型機械式駐車装置1に適用した場合を説明した。これに対し、第2実施形態では、地上4段、4列の昇降横行型機械式駐車装置1(以下「駐車室1」と称する)に適用した場合を説明する。
【0025】
図6に示されるように、駐車領域5は、前後一対で設けられた支柱27(図6に前側の支柱27のみ表示)によって、図6における左側(間口方向一側)に配置される第1駐車領域7と、図6における右側(間口方向他側)に配置される第2駐車領域8と、に分画される。第2駐車領域8は、前後一対で設けられた支柱30(図6に前側の支柱30のみ表示)によって、図6における右側に配置されるL3(第2駐車列)と、図6における左側に配置される駐車列L4(第2駐車列)と、に分画される。
【0026】
なお、駐車列L3と駐車列L4とは、幅広のパレットP2(第2パレット)に対応した幅(間口)を有する。また、駐車列L4の第1段(地上段)、第2段(中間下段)、第3段(中間上段)、及び第4段(最上段)には、各々、駐車室L41、駐車室L42、駐車室L43、及び駐車室L44が割り当てられる。
【0027】
図6において、駐車列L1(第1駐車列)には、第4段(最上段)、第3段(中間上段)、第2段(中間下段)、第1段(地上段)の順に、通常幅のパレットP1(第1パレット)に積載された自動車V1,V5,V8,V11が配置される。駐車列L2(第1駐車列)には、第4段、第3段、第2段、第1段の順に、通常幅のパレットP1に積載された自動車V2,V6,V9,V12が配置される。駐車列L3(第2駐車列)には、第4段、第3段、第2段、第1段の順に、幅広のパレットP2(第2パレット)に載置された電気自動車V4,V7,V10,V13が配置される。駐車列L4(第2駐車列)の第4段には、パレットP2に載置された電気自動車V3が配置される。ここで、図6に矢印で示されるように、駐車列L4の第4段(駐車室L44)に配置されたパレットP2を駐車列L4の第1段(駐車室L41)まで移動(下降)させる。電気自動車V3が積載されたパレットP2が駐車列L4の第1段(地上段)に位置決めされると、前面ゲート(図示省略)が開放され、電気自動車V3を出庫させることが可能になる。
【0028】
次に、図7乃至図9を参照して、地上4段、4列の駐車装置1における出庫フローを説明する。図7に示される初期状態において、駐車列L1(第1駐車列)には、第4段(最上段)、第3段(中間上段)、第2段(中間下段)、第1段(地上段)の順に、通常幅のパレットP1(第1パレット)に積載された自動車V1,V5,V8,V11が配置される。駐車列L2(第1駐車列)には、第4段、第3段、第2段、第1段の順に、通常幅のパレットP1に積載された自動車V2,V6,V9,V12が配置される。駐車列L4(第2駐車列)には、第4段、第3段、第2段、第1段の順に、幅広のパレットP2(第2パレット)に載置された電気自動車V3,V7,V10,V13が配置される。駐車列L3(第2駐車列)の第1段には、パレットP2に載置された電気自動車V4が配置される。ここで、駐車列L2の第4段(駐車室L24)に配置された自動車V2を出庫する場合、図7に矢印で示されるように、電気自動車V4を駐車列L3の第1段(駐車室L31)から第4段(駐車室L34)まで移動(上昇)させる。
【0029】
次に、図8に矢印で示されるように、駐車列L4に配置された電気自動車V7,V10,V13を右方向へ横行させ、各々、駐車列L3の駐車室L33,L32,L31に移動させる。同時に、駐車列L2に配置された自動車V6,V9,V12を右方向へ横行させ、各々、駐車列L4の駐車室L43,L42,L41に移動させる。次に、図9に矢印で示されるように、自動車V2を駐車列L2の第4段(駐車室L24)から第1段(駐車室L21)まで移動(下降)させる。自動車V2が積載されたパレットP1が駐車列L2の第1段(地上段)に位置決めされると、前面ゲート(図示省略)が開放され、自動車V2を出庫させることが可能になる。
【0030】
第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
比較例として、図10に示されるように、地上3段、4列の昇降横行型機械式駐車装置1において、幅広のパレットP2(第2パレット)に対応する幅(間口)を有する駐車列L4,L3を駐車領域5の左右両側に配置した場合、第1段(地上段)及び第2段(中間段)に位置するパレットP1(第1パレット)は、パレットP2との干渉(衝突)を回避する位置と、自動車V3が支柱30が妨げとなって出庫不可能になる位置と、の2位置に位置決めさせる必要があり、これに対応するため、より複雑な制御を行う必要がある。第2実施形態によれば、制御ロジックの簡素化を図ることができる。
【0031】
また、図10に示されるように、電気自動車V1を積載したパレットP2が駐車列L4を昇降するとき、第1段(地上段)の他の駐車列L1,L2,L3に位置する電気自動車V2及び自動車V3は、支柱27,30が妨げとなり、出庫に際してパレット位置を修正する必要があるが、第2実施形態では、このような事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 機械式駐車装置、5 駐車領域、7 第1駐車領域、8 第2駐車領域、P1 パレット(第1パレット)、P2 パレット(第2パレット)、L1,L2 駐車列(第1駐車列)、L3 駐車列(第2駐車列)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10