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特開2024-60918管理システム、温度決定方法、サーバ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060918
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】管理システム、温度決定方法、サーバ装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20240425BHJP
   F24F 11/50 20180101ALI20240425BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240425BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20240425BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/50
F24F11/64
F24F11/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168493
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北出 幸生
(72)【発明者】
【氏名】八下田 政則
(72)【発明者】
【氏名】仙波 和人
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA57
3L260CA32
3L260DA02
3L260EA01
3L260EA06
3L260JA12
(57)【要約】
【課題】空調機の試運転を実施する適切な時期を決定すること。
【解決手段】本開示は、空調機とサーバ装置とを有する管理システムであって、過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する制御部、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機とサーバ装置とを有する管理システムであって、
過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する制御部、
を有する管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
過去の冷房の運転開始日の外気温度及び過去の暖房の運転終了日の外気温度に基づいて、又は、過去の冷房の運転終了日の外気温度及び過去の暖房の運転開始日の外気温度に基づいて、前記閾値外気温度を決定する請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記過去の冷房の運転開始日とは、空調機が運転されない日が一定期間連続した後に、冷房運転が実行された日であり、
前記過去の暖房の運転開始日とは、空調機が運転されない日が一定期間連続した後に、暖房運転が実行された日である請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記過去の冷房の運転終了日とは、一定期間連続で冷房運転が実行されない場合に、最後に冷房運転が実行された日であり、
前記過去の暖房の運転終了日とは、一定期間連続で暖房運転が実行されない場合に、最後に暖房運転が実行された日である請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高いか否かによって、前記制御部は、冷房の前記閾値外気温度の決定方法を変更する請求項1に記載の管理システム。
【請求項6】
前記過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高い場合、
前記制御部は、前記過去の冷房の運転開始日の外気温度より所定温度低い温度を、冷房の前記閾値外気温度に決定する請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高くはない場合、
前記制御部は、前記過去の冷房の運転開始日の外気温度を、冷房の前記閾値外気温度に決定する請求項5に記載の管理システム。
【請求項8】
前記過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上低いか否かによって、前記制御部は、暖房の前記閾値外気温度の決定方法を変更する請求項1に記載の管理システム。
【請求項9】
前記過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上低い場合、
前記制御部は、前記過去の暖房の運転開始日の外気温度より所定温度高い温度を、暖房の前記閾値外気温度に決定する請求項8に記載の管理システム。
【請求項10】
前記過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上、低くはない場合、
前記制御部は、前記過去の暖房の運転開始日の外気温度を、暖房の前記閾値外気温度に決定する請求項8に記載の管理システム。
【請求項11】
前記制御部は、予め設定されている冷房運転開始可能時期が到来した場合、冷房の前記閾値外気温度に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する日を決定し、
前記制御部は、予め設定されている暖房運転開始可能時期が到来した場合、暖房の前記閾値外気温度に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する日を決定する処理を実施する請求項1に記載の管理システム。
【請求項12】
前記制御部は、将来の気象データを取得し、
前記気象データに、冷房の前記閾値外気温度を超える日があれば該日を、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検の実施日に決定する請求項1に記載の管理システム。
【請求項13】
前記制御部は、将来の気象データを取得し、
前記気象データに、暖房の前記閾値外気温度より低い日があれば該日を、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検の実施日に決定する請求項1に記載の管理システム。
【請求項14】
前記気象データが前記閾値外気温度に基づくシーズン前点検の開始条件を満たす前に、空調機が運転されていたとしても、前記制御部は、前記閾値外気温度に基づくシーズン前点検の開始条件を満たした時点で、シーズン前点検の提案を行う請求項12に記載の管理システム。
【請求項15】
空調機とサーバ装置とを有する管理システムが行う温度決定方法であって、
過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する温度決定方法。
【請求項16】
空調機と通信可能なサーバ装置であって、
過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する制御部、
を有するサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム、温度決定方法、及びサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客側に設置された空調機などの機器とコントローラを接続し、コントローラとクラウドなどに配置されたサーバ装置とがネットワークを介して通信する管理システムが知られている。この管理システムにおいて、サーバ装置は、空調機が使用されるシーズン前に、運転実績がない期間に故障が生じていないかどうかを点検するシーズン前点検をコントローラに指示する。
【0003】
特許文献1には、外気温度が閾値以上又は未満、かつ、空気調和機が一定時間だけ未操作の時に試運転を実行する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、空気調和機が使用開始されると予測される日よりも所定期間早く設定された日に、空気調和機に試運転を促す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-132235号公報
【特許文献2】国際公開第2020/40125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、シーズン前点検を実施する適切な時期を決定することが困難であった。このため、例えば、シーズン前運転の案内が遅すぎるため、すでに空調機が使われている、又は、シーズン前運転の案内が早すぎるため、運転の負荷が小さすぎて試運転による診断の信頼性が低下する、という状況が生じていた。
【0007】
本開示は、空調機のシーズン前点検を実施する適切な時期を決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様における管理システムは、
空調機とサーバ装置とを有する管理システムであって、
過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する制御部、を有する。
【0009】
本開示の第1の態様によれば、空調機の試運転を実施する適切な時期を決定することができる。
【0010】
本開示の第2の態様における管理システムは、第1の態様に記載の管理システムであって、
前記制御部は、
過去の冷房の運転開始日の外気温度及び過去の暖房の運転終了日の外気温度に基づいて、又は、過去の冷房の運転終了日の外気温度及び過去の暖房の運転開始日の外気温度に基づいて、前記閾値外気温度を決定する。
【0011】
本開示の第3の態様における管理システムは、第1又は第2の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の冷房の運転開始日とは、空調機が運転されない日が一定期間連続した後に、冷房運転が実行された日であり、
前記過去の暖房の運転開始日とは、空調機が運転されない日が一定期間連続した後に、暖房運転が実行された日である。
【0012】
本開示の第4の態様における管理システムは、第1又は第2の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の冷房の運転終了日とは、一定期間連続で冷房運転が実行されない場合に、最後に冷房運転が実行された日であり、
前記過去の暖房の運転終了日とは、一定期間連続で暖房運転が実行されない場合に、最後に暖房運転が実行された日である。
【0013】
本開示の第5の態様における管理システムは、第1~第4の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高いか否かによって、前記制御部は、冷房の前記閾値外気温度の決定方法を変更する。
【0014】
本開示の第6の態様における管理システムは、第5の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高い場合、
前記制御部は、前記過去の冷房の運転開始日の外気温度より所定温度低い温度を、冷房の前記閾値外気温度に決定する。
【0015】
本開示の第7の態様における管理システムは、第5の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高くはない場合、
前記制御部は、前記過去の冷房の運転開始日の外気温度を、冷房の前記閾値外気温度に決定する。
【0016】
本開示の第8の態様における管理システムは、第1~第4の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上低いか否かによって、前記制御部は、暖房の前記閾値外気温度の決定方法を変更する。
【0017】
本開示の第9の態様における管理システムは、第8の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上低い場合、
前記制御部は、前記過去の暖房の運転開始日の外気温度より所定温度高い温度を、暖房の前記閾値外気温度に決定する。
【0018】
本開示の第10の態様における管理システムは、第8の態様に記載の管理システムであって、
前記過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上、低くはない場合、
前記制御部は、前記過去の暖房の運転開始日の外気温度を、暖房の前記閾値外気温度に決定する。
【0019】
本開示の第11の態様における管理システムは、第1~第10の態様に記載の管理システムであって、
前記制御部は、予め設定されている冷房運転開始可能時期が到来した場合、冷房の前記閾値外気温度に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する日を決定し、
前記制御部は、予め設定されている暖房運転開始可能時期が到来した場合、暖房の前記閾値外気温度に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する日を決定する処理を実施する。
【0020】
本開示の第12の態様における管理システムは、第1~第11の態様に記載の管理システムであって、
前記制御部は、将来の気象データを取得し、
前記気象データに、冷房の前記閾値外気温度を超える日があれば該日を、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検の実施日に決定する。
【0021】
本開示の第13の態様における管理システムは、第1~第11の態様に記載の管理システムであって、
前記制御部は、将来の気象データを取得し、
前記気象データに、暖房の前記閾値外気温度より低い日があれば該日を、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検の実施日に決定する。
【0022】
本開示の第14の態様における管理システムは、第12又は第13の態様に記載の管理システムであって、
前記気象データが前記閾値外気温度に基づくシーズン前点検の開始条件を満たす前に、空調機が運転されていたとしても、前記制御部は、前記閾値外気温度に基づくシーズン前点検の開始条件を満たした時点で、シーズン前点検の提案を行う。
【0023】
本開示の第15の態様における温度決定方法は、
空調機とサーバ装置とを有する管理システムが行う温度決定方法であって、
過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する。
【0024】
本開示の第15の態様によれば、空調機の試運転を実施する適切な時期を決定することができる。
【0025】
本開示の第16の態様におけるサーバ装置は、
空調機と通信可能なサーバ装置であって、
過去の冷房の運転開始日又は運転終了日の外気温度、及び、過去の暖房の運転終了日又は運転開始日の外気温度、に基づいて、シーズン前点検を提案するか又はシーズン前点検を実行する閾値外気温度を決定する。
【0026】
本開示の第16の態様によれば、空調機の試運転を実施する適切な時期を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】シーズン前運転の時期を決定する決定方法の概略を説明する図である。
図2】管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図3】エッジ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】シーズン前点検に関する全体的な処理の流れを説明する図である。
図6】管理システムにおける室外機、エッジ装置、及び、サーバ装置の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図7】運転データ記憶部に記憶されている一例の運転データを示す図である。
図8】外気温度と空調負荷を対応させた散布図の一例である。
図9】閾値外気温度決定部が冷房の閾値外気温度を決定する手順を示すフローチャート図の一例である。
図10】閾値外気温度決定部が暖房の閾値外気温度を決定する手順を示すフローチャート図の一例である。
図11】試運転実施日決定部が冷房のシーズン前点検日を決定する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図12】試運転実施日決定部が暖房のシーズン前点検日を決定する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図13】閾値外気温度や気象データに基づいて、サーバ装置がシーズン前点検を、エッジ装置を介して室外機に送信する処理を説明するシーケンス図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示を実施するための形態の一例として、管理システムと管理システムが行う温度決定方法について説明する。
【0029】
<管理システムの動作の概略>
空調機は、一定期間、動作していない場合(継続的に運転停止していた場合)、不具合が発生していないことを点検することが好ましいとされている。このような点検をシーズン前点検という。シーズン前点検としてはユーザーが冷房運転する夏期のシーズン前、及び、ユーザーが暖房運転する冬期のシーズン前がある。この他、雨期や乾期にシーズン前点検が行われてもよい。
【0030】
サーバ装置は、例えば予め指定されたタイミングでエッジ装置にシーズン前点検を指示する。エッジ装置は、室外機にシーズン前点検を指示するので、室外機はシーズン前点検を実行する。室外機がシーズン前点検を行うことを試運転という。
【0031】
シーズン前点検は、シーズン前の適切なタイミングで行うことが望まれる。シーズン開始の時期は地域によって大きく異なることが知られている。サーバ装置が、冷房シーズン前と暖房シーズン前の時期を、気象データを使用し都道府県別で予測しようとしても、空調機の使われ方や空調機を設置している場所等が様々であり、シーズン開始前の時期を精度よく予測する事は困難である。このため、以下のような不都合が生じる。
【0032】
1.シーズン前運転の案内が遅すぎるため、すでに空調機が使われている。
【0033】
2.シーズン前運転の案内が早すぎるため、負荷が低すぎて、空調機が断続運転したり、ドレン水など期待される状況が得られなかったりするため、信頼できるシーズン前点検の診断データが得られない。
【0034】
そこで、本開示では、サーバ装置が空調機ごとに蓄積されている運転データを使い、シーズン前点検の適切な時期を決定する。
【0035】
まず、シーズン前運転を行う最も好ましい時期としては、以下の2つの条件を満たす時期が挙げられる。
【0036】
・空調機がまだ使われていない時期(不具合対応等も考慮し、空調機が使われる数日前)
・空調負荷が一定以上あり、そのシーズンの傾向に即した状態(温度や湿度)の空気がある。
【0037】
サーバ装置は、蓄積している過去の運転データから室外機ごとに、冷房の運転開始日及び暖房の運転終了日の外気温度、並びに、冷房の運転終了日及び暖房の運転開始日の外気温度を求めておく。その上で、次回のシーズン前点検時の前に、サーバ装置は、気象予測データ、冷房の運転開始日及び暖房の運転終了日の外気温度、並びに、冷房の運転終了日及び暖房の運転開始日の外気温度からシーズン前点検の実施に最適な日を決める。
【0038】
図1は、シーズン前運転の時期を決定する決定方法の概略を説明する図である。図1では、横軸が外気温度[℃]、縦軸が空調負荷[kW]である。図1は、過去の運転データにおいて外気温度と空調負荷の対応を示す散布図(模式図)である。グラフ1は暖房使用時(冬期)の散布図で、グラフ2は冷房使用時(夏期)の散布図である。空調機が暖房運転されると、冬期における外気温度と空調負荷の関係は、T[℃]から矢印の方向を往復しT[℃]付近に戻る。空調機が冷房運転されると、夏期における外気温度と空調負荷の関係は、T[℃]から矢印の方向を往復しT[℃]付近に戻る。なお、TとTは、空調負荷が予め決まっている下限以上の運転データから決定されてよい。
【0039】
グラフ1に示すように、外気温度がT度付近で暖房が開始及び終了しているので、T[℃]が暖房開始終了時の外気温度である。グラフ2に示すように、外気温度がT[℃]付近で冷房が開始及び終了しているので、T[℃]が冷房開始終了時の外気温度である。図1では、作図の便宜上、T=暖房開始温度=暖房終了温度であるが、暖房開始温度と暖房終了温度は異なってよい。図1では、作図の便宜上、T=冷房開始温度=冷房終了温度であるが、冷房開始温度と冷房終了温度は異なってよい。
【0040】
<<冷房の閾値外気温度の求め方>>
図1(a)は、冷房の閾値外気温度の求め方を示す。
1.サーバ装置は、室内機が暖房運転を最後に行った暖房の運転終了日の外気温度を求める。この外気温度を暖房運転終了温度(T[℃]に相当)という。サーバ装置は、暖房運転を行った日からX日連続(一定期間連続)で空調機を運転しなかった場合に、暖房運転した最後の日の外気温度(室外機が動作中の外気温度の最大値)を求める。
2.サーバ装置は、冷房運転を開始した冷房の運転開始日の外気温度を求める。この外気温度を冷房運転開始温度(T[℃]に相当)という。サーバ装置は、X日連続で空調機が運転しなかった場合に、冷房の運転開始日の外気温度(室外機が動作中の外気温度の最小値)を求める。
3.サーバ装置は、次回の冷房のシーズン前点検を開始する際の冷房の閾値外気温度Tsrを以下のように決定する。
【0041】
冷房運転開始温度-Y [℃] ≧ 暖房運転終了温度
→ Tsr=冷房運転開始温度-Y[℃]
冷房運転開始温度-Y [℃] < 暖房運転終了温度
→ Tsr=冷房運転開始温度=T
<<暖房の閾値外気温度の求め方>>
図1(b)は、暖房の閾値外気温度の求め方を示す。
1.サーバ装置は、室内機が冷房運転を最後に行った冷房の運転終了日の外気温度を求める。この外気温度を冷房運転終了温度(T[℃]に相当)という。サーバ装置は、冷房運転を行った日からX日連続(一定期間連続)で空調機を運転しなかった場合に、冷房運転した最後の日の外気温度(室外機が動作中の外気温度の最小値)を求める。
2.サーバ装置は、暖房運転を開始した暖房の運転開始日の外気温度を求める。この外気温度を暖房運転開始温度(T1[℃]に相当)という。サーバ装置は、X日連続で空調機が運転しなかった場合に、暖房の運転開始日の外気温度(室外機が動作中の外気温度の最大値)を求める。
3.サーバ装置は、次回の暖房のシーズン前点検を開始する際の暖房の閾値外気温度Tsdを以下のように決定する。
【0042】
暖房運転開始温度+Y [℃] ≦ 冷房運転終了温度
→ Tsd=暖房運転開始温度+Y [℃]
暖房運転開始温度+Y [℃] > 冷房運転終了温度
→ Tsd=暖房運転開始温度=T
したがって、本開示の管理システムは、過去の運転データから決定した冷房運転開始温度及び暖房運転終了温度に基づいて、閾値外気温度を決定するので、冷房シーズン前と暖房シーズン前の点検の適切な時期を決定できる。シーズン前運転の案内が遅すぎるため、すでに空調機が使われている状況や、シーズン前運転の案内が早すぎるため、低負荷で運転し空調機が正常に運転しない状況が生じることを抑制できる。
【0043】
過去の冷房の運転開始日の外気温度が、過去の暖房の運転終了日の外気温度より所定温度以上高いか否かによって、冷房の閾値外気温度の決定方法を変更するので、適切な冷房の閾値外気温度を決定できる。過去の暖房の運転開始日の外気温度が、過去の冷房の運転終了日の外気温度より所定温度以上低いか否かによって、暖房の閾値外気温度の決定方法を変更するので、適切な暖房の閾値外気温度を決定できる。
【0044】
<次回のシーズン前点検の時期>
サーバ装置は、次回の冷房のシーズン前点検の時期を決定する場合、例えば2週間先までの気象予測データから最高外気温度を取得する。最高外気温度が冷房の閾値外気温度より高い日がある場合、その日を冷房のシーズン前点検の実施日に決定する。
【0045】
同様に、サーバ装置は、次回の暖房のシーズン前点検の時期を決定する場合、例えば2週間先までの気象予測データから最低外気温度を取得する。最低外気温度が暖房の閾値外気温度より低い日がある場合、その日を暖房のシーズン前点検の実施日に決定する。
【0046】
<管理システムのシステム構成>
次に、図2を参照し、管理システム100のシステム構成について説明する。図2は、管理システム100のシステム構成の一例を示す図である。
【0047】
管理システム100は、空調、照明などの各種の機器90とクラウド側のサーバ装置60を、ネットワークNを介して通信させることで、管理者から一般ユーザーに至るまでIoTを活用した様々なサービスを提供する。エッジ装置10、機器90、センサスイッチ類53及びユーザー端末70は顧客側に配置され、サーバ装置60はデータセンターやインターネット等のクラウドに配置される。
【0048】
機器90は、電力を消費する装置全般を指し、例えば、空調機、防犯設備、熱源機器、火災警報器、AHU(エアハンドリングユニット)、電力量計、照明等である。センサスイッチ類53は、各種センサ、ランプ、リレー等である。機器90及びセンサスイッチ類53は、専用ケーブル又はLAN等のネットワークを介してエッジ装置10と通信可能に接続されている。機器90及びセンサスイッチ類53は無線通信でエッジ装置10と通信可能に接続されていてもよい。
【0049】
機器90及びセンサスイッチ類53は、エッジ装置10により制御される。換言すると、エッジ装置10は、機器90及びセンサスイッチ類53の目的に適合するように、機器90及びセンサスイッチ類53に所要の操作を加える。制御の内容は、機器90及びセンサスイッチ類53の種類によって様々だが、例えば機器90が空調機の場合、空調機にて一般に設定可能な冷暖モード、設定温度、風量、湿度、風向等、空調機が有する機能に関する全ての制御が含まれてよい。また、制御には、シーズン前点検専用モードなどの動作モード、マイコンリセット、運転の停止、及び、機能の代用などもある。
【0050】
エッジ装置10は機器90に応じた運転データを収集し、サーバ装置60に主に定期的に送信する。定期的とは例えば1回/1分間、1回/10分間、1回/60分間等であるが、ユーザーやサーバ装置60が設定できてよい。また、エッジ装置10やユーザー端末70からの要求で、機器90が運転データをエッジ装置10に送信できる。運転データは、機器90によって様々であるが、例えば、空調機の場合、冷媒の高圧圧力、低圧圧力、冷媒温度、ファンの回転数、及びマイコンのCPU温度など、様々である。
【0051】
また、機器90が異常を検知した場合は異常コードをエッジ装置10に送信する。異常を検知した機器90は運転を停止する。エッジ装置10は異常コードをサーバ装置60に送信する。センサスイッチ類53に関してもエッジ装置10の処理は同様でよい。センサスイッチ類53はエッジ装置10に主に定期的に自機の情報を送信したり、異常コードを送信したりする。
【0052】
なお、機器90は、自機が有する故障予知エンジンにより故障の予知を検知し、予知コードをエッジ装置10に送信することができる。
【0053】
エッジ装置10は、機器90及びセンサスイッチ類53を制御するコントローラである。エッジ装置10は、機器90及びセンサスイッチ類53を制御する制御装置、運転データ等を処理する情報処理装置、及び、サーバ装置60と通信する通信装置としての機能を有している。エッジ装置10は、例えば機器90から受信した異常コードをサーバ装置60に送信し、サーバ装置60から異常コードに応じた指示を受信する。あるいは、エッジ装置10が、サーバ装置60に何ら情報を送信しなくても、サーバ装置60から指示を受信する(例えばユーザー端末70からサーバ装置60に指示がある場合)。エッジ装置10は、機器90及びセンサスイッチ類53の機種に応じて指示を適切な指示に変換し、機器90及びセンサスイッチ類53に送信する。
【0054】
サーバ装置60は、一台以上の情報処理装置である。図2では一台のサーバ装置60が示されているが、サーバ装置60は機能ごとにいくつかに分かれて配置されてよい。また、サーバ装置60は、一台の情報処理装置によりその機能が集約されていてもよい。また、サーバ装置60は、複数台の同じ機能のものが用意されていて、複数のサーバ装置60がサーバクラスタのように通信しながら処理してもよい。
【0055】
サーバ装置60は、ネットワークNを介してエッジ装置10から送信される異常コードなどを受信し、必要な指示を生成する。例えば異常コードに対しサーバ装置60は、応急運転をエッジ装置10に指示する。また、サーバ装置60は、ユーザー端末70が設定したスケジュールや操作に応じてシーズン前点検など、機器90への指示をエッジ装置10に送信することもできる。
【0056】
サーバ装置60は、Webサーバの機能も有している。Webサーバはユーザーが手元で操作するWebブラウザなどのクライアントソフトウェア(Webクライアント)からの要求に応えて、HTMLファイル、XML、CSSファイル、JavaScript(登録商標)などで記述された画面情報をクライアントに提供する。このようにWebの仕組みを使用するアプリケーションをWebアプリという。
【0057】
なお、サーバ装置60は、クラウドコンピューティングに対応していることが好ましい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。クラウドコンピューティングは、従来はユーザーが手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとしてユーザーに提供する。ユーザー側はパーソナルコンピュータや携帯情報端末などで動作するWebブラウザ、及びインターネット接続環境などを用意することで、どの端末からでも、さまざまなサービスを利用することができる。
【0058】
ユーザー端末70は、サーバ装置60が提供する各種の画面を表示するクライアント端末である。ユーザー端末70は、管理者が使用してもよいし、一般ユーザーが使用してもよい。管理者には顧客側の管理者と管理システム側の管理者がいるが本開示では区別しない。また、管理者は、日常的に機器90を使用する一般ユーザーが行わない保守や管理を行う者である。
【0059】
ユーザー端末70が表示する画面は多種多様であるが、一例として、エッジ装置10に接続された機器90及びセンサスイッチ類53の一覧画面、機器90及びセンサスイッチ類53が配置された場所を示す社内マップ、及び、機器90やセンサを操作する操作画面などがある。
【0060】
ユーザー端末70は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPC(サングラス型、腕時計型など)などである。ただし、通信機能を有しWebブラウザが動作すればよい。また、ユーザー端末70ではWebブラウザでなく、管理システム100に専用のネイティブアプリが動作してもよい。
【0061】
<エッジ装置及びサーバ装置のハードウェア構成>
次に、図3を参照して、エッジ装置10のハードウェア構成について説明する。図3は、エッジ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、エッジ装置10は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、I/F(Interface)装置204、通信装置205、ドライブ装置206を有する。なお、エッジ装置10の各ハードウェアは、バス207を介して相互に接続されている。
【0062】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラムをメモリ202上に読み出して実行する。
【0063】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行する。
【0064】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種データを格納する。
【0065】
I/F装置204は、外部装置の一例である機器90、センサスイッチ類53と、エッジ装置10とを接続する接続デバイスである。
【0066】
通信装置205は、ネットワークNを介してサーバ装置60と通信するための通信デバイスである。
【0067】
ドライブ装置206は記録媒体210をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体210には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体210には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0068】
なお、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体210がドライブ装置206にセットされ、該記録媒体210に記録された各種プログラムがドライブ装置206により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、通信装置205を介してネットワークNからダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0069】
一方、図4は、サーバ装置60のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、サーバ装置60のハードウェア構成は、エッジ装置10のハードウェア構成と概ね同じであるため、ここでは、エッジ装置10のハードウェア構成との相違点を中心に説明する。
【0070】
プロセッサ221は、各種プログラムをメモリ222上に読み出して実行する。プロセッサ211は、サーバ装置60の全体を制御する制御部110に相当する。
【0071】
I/F装置224は、外部装置の一例である表示装置230、操作装置240と、サーバ装置60とを接続する接続デバイスである。表示装置230は、サーバ装置60の内部状態を表示する。操作装置240は、サーバ装置60の管理者がサーバ装置60に対して各種指示を入力する際に用いられる。
【0072】
通信装置225は、ネットワークNを介してエッジ装置10及びユーザー端末70と通信するための通信デバイスである。
【0073】
<シーズン前点検の全体の流れ>
図5は、シーズン前点検に関する全体的な処理の流れを説明する図である。以下、処理の流れに沿って説明する。
【0074】
(1) サーバ装置60は、冷房のシーズンが完全に終了した例えば1月、暖房のシーズンが完全に終了した例えば8月になると、昨年の運転データを使用して、閾値外気温度を決定する。
【0075】
(2) また、サーバ装置60は、冷房運転開始可能時期、又は、暖房運転開始可能時期になると、将来の気象データと閾値外気温度を使用して、シーズン前点検の実施日を決定する。冷房運転開始可能時期、又は、暖房運転開始可能時期は、室外機30ごとに予め設定されている。
【0076】
(3) サーバ装置60は、(2)で決定されたシーズン前点検の実施日を記載した、点検案内メールを顧客の管理者に送信する。
【0077】
(4) 顧客の管理者は点検案内メールを参照して、シーズン前の試運転を行うべきと判断すると、点検日時をサーバ装置60に設定する。点検日時は顧客の都合が優先されるが、顧客としては可能な限り(2)で決定されたシーズン前点検の実施日を点検日時に設定する。なお、案内は、必ずしもメールはなくてもよいし、電話やSNSで連絡されてもよい。
【0078】
(5) サーバ装置60は設定された点検日時に、シーズン前点検の実施をエッジ装置10に送信する。
【0079】
(6) エッジ装置10は、室外機30に対して、シーズン前点検の実行を指示する。なお、エッジ装置10は、室外機30が運転中の場合は、シーズン前点検の実行を指示しない。
【0080】
(7) 室外機30はシーズン前点検プログラムを実行し、各室内機を試運転する。
【0081】
(8) シーズン前点検プログラムには故障予知エンジンが含まれるので、運転データに対し故障を予知する。故障が予知されると予知コードが生成される。室外機30は予知コードをエッジ装置10に送信し、エッジ装置10がサーバ装置60に送信する。
【0082】
(9) サーバ装置60は、故障予知記憶部67に保存された点検結果(予知コード又は正常)に基づいて、点検結果をメール等で顧客に送信する。
【0083】
<機能について>
次に、図6を参照して、管理システム100が有する各装置の機能構成について詳細に説明する。図6は、管理システム100における室外機30、エッジ装置10、及び、サーバ装置60の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0084】
<<室外機>>
室外機30は、通信部31、運転部32、故障予知エンジン33、及び、試運転実行部34を有している。室外機30が有するこれら各部は、室外機30が有するマイコンがプログラムの命令を実行することや、室内機50又は室外機30が有する空調機構などの制御によって実現される機能又は手段である。室外機30には、シーズン前点検プログラム40がインストールされている。シーズン前点検プログラム40は、点検専用モードで室外機30を運転するためのプログラムである。故障予知エンジン33と試運転実行部34はシーズン前点検プログラム40により実現される。
【0085】
通信部31は、エッジ装置10と専用ケーブルやネットワークを介して通信する。本開示では、通信部31は、運転データをエッジ装置10に送信したり、シーズン前点検の指示をエッジ装置10から受信したりする。
【0086】
運転部32は、室外機30、室内機50をそれぞれ制御して、ユーザーがリモコン等で設定した冷暖モード、設定温度、風量などに応じた空調運転を行う。
【0087】
故障予知エンジン33は故障を予知する機能である。故障予知エンジン33は、プログラムモジュールなどでよい。故障を予知とは、運転を継続できないほどの異常ではなく、運転は可能だが故障につながるおそれがある状態が検出されることをいう。これに対し、運転の継続が困難な状態を故障という。故障予知エンジン33は、運転データと故障が生じた場合と生じない場合の対応を機械学習の学習データとして、ディープラーニングなどのアルゴリズムで、運転データに対し故障の可能性を出力するように学習させた識別モデルをいう。故障予知エンジン33は、入力された運転データに対し故障の可能性(確率)を出力する。故障予知エンジン33はこの確率が閾値を超えた場合、故障を予知したと判断する。
【0088】
機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり、コンピュータが、データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し、新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、更に、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。機械学習の手法には、パーセプトロン、ディープラーニング、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、決定木、ランダムフォレストなどがあり、本開示で説明する手法には限られない。
【0089】
例えば、ディープラーニングは、入力されたデータABCに基づいてXYZを予測した後に、教師データとの誤差を減らすために誤差逆伝播法でニューラルネットワーク間の重みを調整するアルゴリズムである。
【0090】
試運転実行部34は、室外機30、室内機50の部品チェックを行える状態を強制的に生じさせる。故障予知エンジン33は試運転における運転状態からも故障の予知を検知できる。主に、夏や冬に空調機が使用されるシーズン前に行われる点検をシーズン前点検という。ただし、試運転はシーズン前でなくても実行可能である。シーズン前点検プログラムは、通常の運転では生じない部品の状態を強制的に生じさせることができる。一例として、シーズン前点検は、膨張弁が決まった可動範囲で開閉するか、圧縮機が決まった圧力を生成できるか、電磁弁の開閉が可能か、任意のアクチュエータがコマンドどおりに動作するか、などを行う。
【0091】
<<エッジ装置>>
エッジ装置10は、通信部11、13、及び、指示制御部12を有している。エッジ装置10が有するこれら各部は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、補助記憶装置203からメモリ202に展開されたプログラムに従ったプロセッサ201からの命令によって動作することで実現される機能、又は手段である。
【0092】
通信部13は、室外機30と専用ケーブルやネットワークを介して通信する。本開示では、通信部13は、室外機30に対し、サーバ装置60から指示されたシーズン前点検の実行指示を送信する。
【0093】
また、通信部11は、サーバ装置60とネットワークNを介して通信する。本開示では、通信部11はシーズン前点検の実行指示をサーバ装置60から受信する。
【0094】
指示制御部12は、サーバ装置60からシーズン前点検の実行指示を受信すると、室内機50が運転中でない場合に、室外機30にシーズン前点検の実行指示を送信する。
【0095】
<<サーバ装置>>
サーバ装置60は、通信部61、試運転指示部62、閾値外気温度決定部63、気象データ取得部64、試運転実施日決定部65、スケジュール記憶部66、故障予知記憶部67、及び、運転データ記憶部68を有している。サーバ装置60が有するこれら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、補助記憶装置223からメモリ222に展開されたプログラムに従ったプロセッサ221からの命令によって動作することで実現される機能、又は手段である。またスケジュール記憶部66、故障予知記憶部67、及び、運転データ記憶部68は、図4に示されている補助記憶装置223等によって構築される。
【0096】
通信部61は、エッジ装置10とネットワークNを介して通信する。本開示では、通信部61はシーズン前点検の実行指示をエッジ装置10に送信する。
【0097】
試運転指示部62は、スケジュール記憶部66に設定された試運転のスケジュールに基づいて、シーズン前点検の実行指示(試運転の指示)をエッジ装置10に送信する。スケジュール記憶部66には、管理者が設定した点検日時、又は、試運転実施日決定部65が決定した、冷房のシーズン前点検の実施日、又は、暖房のシーズン前点検の実施日が登録されている。
【0098】
閾値外気温度決定部63は、運転データに基づいて、冷房のシーズン前点検を実施する冷房の閾値外気温度を決定し、また、暖房のシーズン前点検を実施する暖房の閾値外気温度を決定する。
【0099】
気象データ取得部64は、将来の気象データを気象庁や商用サービスから取得する。気象庁が提供する気象データとしてはアメダスが知られている。気象庁はアメダスポイントごとに2週間先又はこれ以上の気象データを予測している。
【0100】
試運転実施日決定部65は、閾値外気温度と将来の気象データとを比較して、冷房のシーズン前点検の実施日、及び、暖房のシーズン前点検の実施日を決定する。
【0101】
図7は、運転データ記憶部68に記憶されている運転データを示す。運転データ記憶部68には、室外機30の運転データが保存されている。室外機30は1時間に1回などの決まったタイミングで、エッジ装置10を介してサーバ装置60に運転データを送信している。詳細には、運転データは室内機ごとに送信されるが、図7では室外機30の運転データを示す。
【0102】
運転データは、例えば運転モード(冷房、暖房)、空調負荷、及び、外気温度である。図7では、便宜上、室外機が動作中の外気温度のうち、最低外気温度と最高外気温度を抽出して示した。最低外気温度は室外機が動作中に検出された最低の外気温度であり、最高外気温度は室外機が動作中に検出された最高の外気温度である。
【0103】
室外機30が設置されている施設の位置情報(緯度、経度)は、空調機の設置者がサーバ装置60に設定する。設置者は、住所に対し緯度と経度を返す情報サービスを利用してよい。
【0104】
図7から暖房の運転終了日、冷房の運転開始日、冷房の運転終了日、及び、暖房の運転開始日を読み取ることができる。これらの定義は図1にて説明したとおりである。
【0105】
図7では、「-略-」が、その日、室外機が運転されていないことを示す。例えば、3月24日から6月24日まで、室外機が使用されていない。また、9月24日から12月2日まで、室外機が使用されていない。したがって、3月23日が暖房の運転終了日、6月25日が冷房の運転開始日である。3月23日の最高外気温度が暖房運転終了温度(25[℃])、6月25日の最低外気温度が冷房運転開始温度(23[℃])である。同様に、9月23日が冷房の運転終了日、12月3日が暖房の運転開始日である。9月23日の最低外気温度が冷房運転終了温度(16[℃])、12月3日の最高外気温度が暖房運転開始温度(23[℃])である。閾値外気温度決定部63は、これらから冷房と暖房の閾値外気温度を決定できる。
【0106】
<閾値外気温度の決定>
図8図10を参照して、閾値外気温度の決定方法を説明する。図8は、外気温度と空調負荷を対応させた散布図の一例を示す。図8(a)は一般的な建物の散布図を示し、図8(b)は内部発熱が大きい建物の散布図を示す。図8(a)は図1(a)(b)をまとめたものだが、図8(b)との対比のために再掲した。また、内部発熱が大きい建物とは、室内で多くの電気製品が稼働していたり、多くの人が作業していたりするなど、内部の発熱量が大きい建物をいう。
【0107】
図8(a)(b)のいずれの場合も、グラフ1が暖房使用時(冬期)の散布図(模式図)で、グラフ2が冷房使用時(夏期)の散布図(模式図)である。Tが冷房運転開始温度=冷房運転終了温度、Tが暖房運転終了温度=暖房運転開始温度である。暖房運転開始温度と冷房運転終了温度は通常は一致しない。暖房運転終了温度と暖房運転開始温度は通常は一致しない。しかし、両者が近い値になることは少なくない。
【0108】
図8(b)に示すように、内部発熱が大きい建物では、TとT2が接近し、一致したり、T<Tになったりする。図8(b)では、作図の都合上、T=T2としたが一例に過ぎない。内部発熱が大きい建物では、暖房時には外気温度に対する空調負荷が小さくなる傾向が生じ、冷房時には外気温度に対する空調負荷が大きくなる傾向が生じるためである。閾値外気温度決定部63は、空調機の設置場所が一般的な建物か、内部発熱が大きい建物かを、TとTの比較により判断し、適切な閾値外気温度を決定する。
【0109】
<<冷房の閾値外気温度>>
まず、冷房の閾値外気温度について説明する。閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度-Y [℃] ≧ 暖房運転終了温度」の場合、室内機50の設置場所が一般的な建屋であると判断する。閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度-Y[℃]」を冷房の閾値外気温度に決定する。Yは所定温度でよく例えば1~3[℃]程度でよい。一般的な建物の場合、冷房の閾値外気温度を、冷房運転開始温度よりも低く設定することで、ユーザーが冷房運転を開始する前にシーズン前点検を実施できる。図8(a)に冷房の閾値外気温度Tsrを示した。
【0110】
閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度-Y [℃]< 暖房運転終了温度」の場合、室内機50の設置場所の内部発熱が大きい建物であると判断する。閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度」を冷房の閾値外気温度に決定する。内部発熱が大きい建物の場合、冷房の閾値外気温度を、冷房運転開始温度とほぼ同じに設定することで、ユーザーが冷房運転を開始する前にシーズン前点検を実施でき、ユーザーが暖房運転を行っている時に、冷房シーズン前点検が実施されることを抑制できる。図8(b)に冷房の閾値外気温度Tsrを示した。
【0111】
冷房の閾値外気温度の決定において、冷房運転開始温度は冷房運転終了温度でもよいし、暖房運転終了温度は暖房運転開始温度でもよい。
【0112】
<<暖房の閾値外気温度>>
暖房の閾値外気温度について説明する。閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度+Y [℃] ≦ 冷房運転終了温度」の場合、室内機50の設置場所が一般的な建屋であると判断する。閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度+Y [℃]」を暖房の閾値外気温度に決定する。Yは所定温度でよく1~3[℃]程度でよい。なお、暖房の閾値外気温度と冷房の閾値外気温度でY[℃]は異なってよい。
【0113】
一般的な建物の場合、暖房の閾値外気温度を、暖房運転開始温度よりも高く設定することで、ユーザーが暖房運転を開始する前にシーズン前点検を実施できる。図8(a)に暖房の閾値外気温度Tsdを示した。
【0114】
閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度+Y [℃]> 冷房運転終了温度」の場合、室内機50の設置場所の内部発熱が大きい建物であると判断する。閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度」を暖房の閾値外気温度に決定する。内部発熱が大きい建物の場合、暖房の閾値外気温度を、暖房運転開始温度とほぼ同じに設定することで、ユーザーが暖房運転を開始する前にシーズン前点検を実施でき、ユーザーが冷房運転を行っている時に、暖房シーズン前点検が実施されることを抑制できる。図8(b)に暖房の閾値外気温度Tsdを示した。
【0115】
暖房の閾値外気温度の決定において、冷房運転終了温度は冷房運転開始温度でもよいし、暖房運転開始温度は暖房運転終了温度でもよい。
【0116】
<<閾値外気温度の決定処理>>
図9は、閾値外気温度決定部63が冷房の閾値外気温度を決定する手順を示すフローチャート図である。図9の処理は、例えば、1月1日など、冷房のシーズンが終了した状態で実行される。
【0117】
閾値外気温度決定部63は、暖房運転を行った日からX日連続で空調機が運転されていない場合に、暖房を行った最後の日の外気温度(最大値)を暖房運転終了温度として求める(S11)。X日は、例えば1~3ヶ月程度である。
【0118】
閾値外気温度決定部63は、X日連続で空調機が運転されていない場合に、冷房運転を開始した日の外気温度(最小値)を、冷房運転開始温度として求める(S12)。
【0119】
閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度-Y [℃]≧ 暖房運転終了温度」か否か判断する(S13)。
【0120】
ステップS13の判断がYesの場合、閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度-Y [℃]」を冷房の閾値外気温度に決定する(S14)。
【0121】
ステップS13の判断がNoの場合、閾値外気温度決定部63は、「冷房運転開始温度」を冷房の閾値外気温度に決定する(S15)。
【0122】
図10は、閾値外気温度決定部63が暖房の閾値外気温度を決定する手順を示すフローチャート図である。図10の処理は、例えば、8月1日など、暖房のシーズンが終了した状態で実行される。図11の説明では、主に図10との相違を説明する。
【0123】
閾値外気温度決定部63は、冷房運転を行った日からX日連続で空調機が運転されていない場合に、冷房を行った最後の日の外気温度(最小値)を冷房運転終了温度として求める(S21)。
【0124】
閾値外気温度決定部63は、X日連続で空調機が運転されていない場合に、暖房運転を開始した日の外気温度(最大値)を、暖房運転開始温度として求める(S22)。
【0125】
閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度+Y [℃]≦ 冷房運転終了温度」か否か判断する(S23)。
【0126】
ステップ23の判断がYesの場合、閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度+Y [℃]」を暖房の閾値外気温度に決定する(S24)。
【0127】
ステップ23の判断がNoの場合、閾値外気温度決定部63は、「暖房運転開始温度」を暖房の閾値外気温度に決定する(S25)。
【0128】
<シーズン前点検日の決定方法>
続いて、図11を参照して、冷房のシーズン前点検日の決定方法を説明する。図11は、試運転実施日決定部65が冷房のシーズン前点検日を決定する処理を説明するフローチャート図である。
【0129】
試運転実施日決定部65は、冷房運転開始可能時期が到来したか否か判断する(S31)。冷房運転開始可能時期は、暖房シーズンが終了することで、冷房の使用を開始可能になった時期である。例えば、冷房運転開始可能時期は、関西や関東では3月20日以降である。冷房運転開始可能時期は、都道府県別に予め設定されている。
【0130】
ステップS31の判断がYesの場合、気象データ取得部64が将来の気象データを気象庁や気象の商用サービスから取得する(S32)。
【0131】
試運転実施日決定部65は、気象データが含むアメダスポイントから、室外機が設置された建物の位置に最も近いアメダスポイントを決定する(S33)。サーバ装置60には室外機30の位置情報(緯度、経度)が登録されている。各アメダスポイントは位置情報(緯度、経度)を有している。したがって、試運転実施日決定部65は、2地点の直線距離が最も短いアメダスポイントを特定する。
【0132】
試運転実施日決定部65は、気象データの最高外気温度が冷房の閾値外気温度より高い日(冷房点検推奨日)があるか否か判断する(S34)。
【0133】
ステップS34の判断がYesの場合、試運転実施日決定部65は、冷房点検推奨日を冷房のシーズン前点検日に決定する(S35)。ただし、冷房点検推奨日が実際に冷房のシーズン前点検日となるか否かは、点検案内メールで通知を受けた顧客の管理者が冷房点検推奨日をサーバ装置60に設定するかどうかに影響される。また、サーバ装置60が顧客に問い合わせせずに冷房点検推奨日に冷房のシーズン前点検日を実施する場合、冷房点検推奨日が冷房のシーズン前点検日である。
【0134】
ステップS34の判断がNoの場合、試運転実施日決定部65は、例えば次の日、図11の処理を再度行う。
【0135】
図12は、試運転実施日決定部65が暖房のシーズン前点検日を決定する処理を説明するフローチャート図である。
【0136】
試運転実施日決定部65は、暖房運転開始可能時期が到来したか判断する(S41)。暖房運転開始可能時期は、冷房シーズンが終了することで、冷房の使用を開始可能になった時期である。暖房運転開始可能時期は、例えば、関西や関東では9月20日以降である。暖房運転開始可能時期は、都道府県別に予め設定されている。
【0137】
続く、ステップS42、S43は図11のステップS32、S33と同様でよい。
【0138】
試運転実施日決定部65は、気象データの最低外気温度が暖房の閾値外気温度より低い日(暖房点検推奨日)があるか否か判断する(S44)。
【0139】
ステップS44の判断がYesの場合、試運転実施日決定部65は、暖房点検推奨日を暖房のシーズン前点検日に決定する(S45)。ただし、暖房点検推奨日が実際に暖房のシーズン前点検日となるか否かは、点検案内メールで通知を受けた顧客の管理者が暖房点検推奨日をサーバ装置60に設定するかどうかに影響される。また、サーバ装置60が顧客に問い合わせせずに暖房点検推奨日に暖房のシーズン前点検日を実施する場合、暖房点検推奨日が暖房のシーズン前点検日である。
【0140】
ステップS44の判断がNoの場合、試運転実施日決定部65は、例えば次の日、図12の処理を再度行う。
【0141】
<シーズン前点検の指示の流れ>
図13を参照して、シーズン前点検の流れについて説明する。図13は、閾値外気温度や気象データに基づいて、サーバ装置60がシーズン前点検を、エッジ装置10を介して室外機30に送信する処理を説明するシーケンス図である。
【0142】
S101~S104:各室内機50は、一時間に1回などの決まったタイミングで、運転データを室外機30に送信する。室外機30は、各室内機50の識別情報と運転データを対応付けて、エッジ装置10に送信し、エッジ装置10は運転データをサーバ装置60に送信する。サーバ装置60の通信部61は運転データを受信し、運転データ記憶部68に保存する。
【0143】
S105:サーバ装置60の閾値外気温度決定部63は、図9図10に示したフローチャート図を実行し、閾値外気温度を決定する。
【0144】
S106:サーバ装置60の試運転実施日決定部65は、図11図12に示したフローチャート図を実行し、気象データがシーズン前点検の開始条件を満たすか否か判断する(冷房点検推奨日又は暖房運転推奨日を決定する)。
【0145】
S107:試運転実施日決定部65は、顧客の管理者等にステップS106で決定した冷房点検推奨日又は暖房運転推奨日を提案すると共に、冷房又は暖房のシーズン前点検の実施日を問い合わせる点検案内メールを送信する。
【0146】
S108:ユーザー端末が点検案内メールを受信すると、顧客の管理者等が冷房又は暖房のシーズン前点検の実施日をサーバ装置60にメールで送信する。顧客の管理者等はWebページから冷房又は暖房のシーズン前点検の実施日をサーバ装置60に登録することもできる。スケジュール記憶部66に冷房又は暖房のシーズン前点検の実施日が登録される。
【0147】
なお、図13の処理では、サーバ装置60が顧客の管理者等に問い合わせてからシーズン前点検を指示しているが、顧客の管理者等に問い合わせることなく、サーバ装置60はステップS106で決定した冷房点検推奨日又は暖房運転推奨日にシーズン前点検を指示してもよい。
【0148】
また、ステップS106で冷房点検推奨日又は暖房運転推奨日が決定される前に、ユーザーが空調機を運転する場合もある。しかし、試運転実施日決定部65は、気象データがシーズン前点検の開始条件を満たした時点で、シーズン前点検の実施を提案するとよい。シーズン前点検は、通常の運転では使用されない機能や負荷を与えた運転が可能だからである。
【0149】
S109:サーバ装置60の試運転指示部62は、スケジュール記憶部66を参照して、本日がシーズン前点検の実施日であるか否か判断する。
【0150】
S110:サーバ装置60の試運転指示部62は、スケジュール記憶部66に保存されたシーズン前点検の実施日になると、シーズン前点検の実行に関する処理を開始する。試運転指示部62は、室外機30に対するシーズン前点検の実行指示をエッジ装置10に送信する。
【0151】
S111:エッジ装置10の通信部11は、シーズン前点検の実行指示を受信し、試運転実行部34が運転中でない室外機30に対しシーズン前点検プログラムの実行を指示する。
【0152】
S112:室外機30の通信部31はシーズン前点検プログラムの実行指示を受信し、試運転実行部34は、シーズン前点検プログラムを実行することで、シーズン前点検を実施する。故障予知エンジン33は運転データに基づいて故障予知を行う。
【0153】
S113:室外機30の通信部31は、故障予知エンジン33が故障予知を行った結果である予知コード又は正常をエッジ装置10に送信する。
【0154】
S114:エッジ装置10の通信部13が予知コード又は正常を受信し、通信部11が予知コード又は正常をサーバ装置60に送信する。
【0155】
S115:サーバ装置60の通信部61は、予知コード又は正常を受信し、室外機30及び室内機50に対応付けて故障予知記憶部67に保存する。
【0156】
<主な効果>
以上説明したように、本開示の管理システムは、冷房運転開始温度及び暖房運転終了温度に基づいて、閾値外気温度を決定するので、冷房シーズン前と暖房シーズン前の適切な点検日を決定できる。シーズン前運転の案内が遅すぎるため、すでに空調機が使われている状況や、シーズン前運転の案内が早すぎるため、低負荷で運転し空調機が正常に運転しない状況が生じることを抑制できる。
【0157】
<その他の適用例>
以上、本開示を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本開示はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0158】
例えば、サーバ装置とエッジ装置10を接続するのでなく、サーバ装置60と室外機30が直接、通信可能に接続されていてもよい。
【0159】
また、本開示で説明したサーバ装置60の処理をエッジ装置10が行ってもよい。
【0160】
また、サーバ装置60が閾値外気温度を決定するために使用する過去の運転データは、ネットワークを介して空調機から受信したものでなく、記憶媒体などに記憶された運転データをサーバ装置60が処理してもよい。したがって、閾値外気温度を決定するのはサーバ装置60でなく任意の情報処理装置でもよい。この場合、情報処理装置が決定した閾値外気温度がサーバ装置60に設定される。
【0161】
また、本開示では、主に冷房と暖房のシーズン前点検の実施日を決定するために閾値外気温度を決定したが、シーズン前点検としては、雨季、乾期でもよいし、南半球では季節が逆になる。
【0162】
また、シーズン前点検は、空調機以外の機器90に対して行われてよい。
【0163】
また、図6などの構成例は、室外機30、エッジ装置10,及び、サーバ装置60による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本開示が制限されることはない。室外機30、エッジ装置10,及び、サーバ装置60の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0164】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された本開示を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、サーバ装置60は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0165】
上記で説明した本開示の各機能は、プログラムの実行によるソフトウェア処理だけでなく、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【符号の説明】
【0166】
10 エッジ装置
30 機器
60 サーバ装置
100 管理システム
図1
図2
図3
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図6
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図10
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図12
図13