(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060919
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 33/12 20060101AFI20240425BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20240425BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240425BHJP
B29C 45/36 20060101ALI20240425BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B29C33/12
B65D33/38
B29C45/26
B29C45/36
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168494
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 龍一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝己
(72)【発明者】
【氏名】小林 龍太
【テーマコード(参考)】
3E064
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3E064AB01
3E064BA26
3E064BA36
3E064BA55
3E064EA30
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
4F202AD05
4F202AD08
4F202AG03
4F202AG07
4F202AH54
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK43
4F202CQ01
4F202CQ05
4F206AD05
4F206AD08
4F206AG03
4F206AG07
4F206AH54
4F206JA07
4F206JB12
4F206JF05
4F206JF35
4F206JL02
4F206JQ06
4F206JQ81
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形型における内側成形型手段の内側型部材の所要部位にパウチの開口端部を容易に且つ迅速に位置付けることができ、従って容易且つ迅速に成形型にパウチの開口端部をインサートすることができ、かくして複合容器の製造効率を格段に向上することができる、新規の射出成形装置を提供すること。
【解決手段】成形型における内側成形型手段の内側型部材8に離脱自在に連結される特定形態のインサート治具30を用意し、インサート治具30にその後端側からパウチ102の開口端部を被嵌し、パウチ102の開口端がインサート治具30の先端面32を超えて突出させる。しかる後にパウチ102と共にインサート治具30をその先端面32を内側型部材8の基端面12に当接して内側型部材8に連結する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィルム製パウチの開口端部をインサートして、該パウチの開口端に当接乃至近接する環形状底壁及び該底壁から垂下し且つ該パウチの該開口端部の内周面又は外周面に接合される筒状垂下壁を有する合成樹脂製口頸部材を射出成形して、該パウチと該口頸部材とから構成された複合容器を製造するための射出成形装置にして、
内側成形型手段と外側成形型手段とから構成された成形型を備え、
該内側成形型手段は、少なくとも該口頸部材の該垂下壁の内周面又は外周面並びに該底壁の内周面又は外周面を規定する内側型部材を含み、
更に、該内側型部材の基端面に離脱自在に連結されるインサート治具を備え、
該インサート治具は先端面及び該先端面の外周縁から垂下する外周面を有し、該インサート治具の該先端面は該内側型部材の該基端面に、該インサート治具の該外周面の先端部は該パウチの該開口端部の該内周面に夫々対応しており、
該インサート治具にその後端側から該パウチの該開口端部を被嵌し、該パウチの該開口端が該インサート治具の該先端面を超えて突出させ、しかる後に該パウチと共に該インサート治具を、該インサート治具の該先端面を該内側型部材の該基端面に当接して該内側型部材に連結すると、該パウチが該成形型にインサートされる、
ことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】
該インサート治具を少なくとも2個備え、一方のインサート治具が該内側型部材に連結され、該口頸部材を射出成形している間に、他方のインサート治具に該パウチの該開口端部を被嵌することができる、請求項1記載の射出成形装置。
【請求項3】
更に、該インサート治具の該先端面が当接される上端面、該上端面の外周縁から垂下する外周面、及び該外周面の下端から張り出すフランジ面を有する支持具を備え、
該インサート治具の該先端面を該支持具の該上端面に当接して該支持具に該インサート治具を装着すると、該インサート治具の該外周面の該先端部と該支持具の該外周面とが連続した筒形状の連続外周面を規定し、該連続外周面は該パウチの該開口端部の該内周面に対応しており、
該支持具に該インサート治具を装着した状態において該インサート治具の該後端側から該インサート治具及び該支持具に該パウチの開口端部を被嵌して該パウチの該開口端を該支持具の該フランジ面に当接し、次いで該インサート治具と該パウチとを一体として該支持具から離脱し、しかる後に該パウチと共に該インサート治具を、該インサート治具の該先端面を該内側型部材の該基端面に当接して該内側型部材に連結すると、該パウチが該成形型にインサートされる、
請求項1又は2記載の射出成形装置。
【請求項4】
該インサート治具の該先端面には少なくとも1個の被拘束突起が配設されており、該内側型部材の該基端面には該被拘束突起を受け入れて解除自在に拘束する少なくとも1個の拘束機構が配設されており、該被拘束突起が解除自在に該拘束機構に拘束されることによって該内側型部材に該インサート治具が離脱自在に連結される、請求項1又2記載の射出成形装置。
【請求項5】
該パウチは該開口端から延びる少なくとも1個のサイドシール部を有し、該支持具には該外周面の半径方向外側に位置し且つ軸線方向に延びる少なくとも1個のサイドシール部受入間隙が配設されており、該支持具に該インサート治具を装着した状態において該インサート治具及び該支持具に該パウチの開口端部を被嵌する際には該パウチの該サイドシール部が該サイドシール部受入間隙内に受け入れられる、請求項3記載の射出成形装置。
【請求項6】
該支持具の該上端面は環形状であり、該支持具の該外周面の半径方向内側には直径方向に延在する溝が配設されており、該インサート治具の該先端面には少なくとも1個の被拘束突起が配設されており、該支持具に該インサート治具を装着する際には該被拘束突起が該溝内に進入し、これによって該支持具に対する該インサート治具の角度位置が規制される、請求項3記載の射出成形装置。
【請求項7】
該パウチの該開口端部は円筒形状であり、該インサート治具の該外周面の少なくとも該先端部は円筒形状の周壁によって規定されており、該インサート治具の該周壁には周方向に等間隔をおいて少なくとも2個の周方向に延びる弧状開口が形成されており、該弧状開口の各々には該周壁の外周面に対応した円弧形状である外周面を有する調整部材がその外周面が該周壁の該外周面よりも半径方向外側に突出する突出位置とその外周面が該周壁の該外周面よりも半径方向内側に後退する後退位置との間を移動自在に配設されており、該調整部材の各々には該突出位置に弾性的に偏倚する弾性部材が付設されている、請求項1又は2記載の射出成形装置。
【請求項8】
該インサート治具の該先端面の外周縁は円形状であり、該インサート治具の該外周面の該先端部は円筒形状であり、該インサート治具の後端部は先端に向かって外径が漸次増大する円錐又は円錐台形状である、請求項1又は2記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製フィルム製パウチの開口端部をインサートして合成樹脂製口頸部材を射出成形するための射出成形装置、更に詳しくは合成樹脂製フィルム製パウチの開口端部をインサートしてパウチの開口端に当接乃至近接する環形状底壁及びこの底壁から垂下し且つパウチの開口端部の内周面又は外周面に接合される垂下壁を有する口頸部材を射出成形して、パウチと口頸部材とから構成された複合容器を製造するための射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、円形状の開口端を有する合成樹脂フィルム製パウチとこのパウチの開口端部の内周面に熱溶着された口頸部材(口部リング)とから構成された複合容器(袋カップ)が開示されている。口頸部材は円環形状の底壁(フランジ部)とこの底壁から下方に垂下する円筒形状の垂下壁(胴部)とを含み、垂下壁の外周面がパウチの開口端部の内周面に熱溶着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている上述したとおりの複合容器は、パウチの開口端部内に口頸部材の垂下壁を所要通りに位置付けてパウチの開口端部を垂下壁に熱溶着して形成されている故に、形成工程が比較的煩雑であり、そしてまたパウチの開口端部と口頸部材の垂下壁との接合強度が必ずしも充分ではない、という問題がある。かかる問題を解決するために、本発明者等は、パウチの開口端部をインサートして口頸部材を射出成形し、かくしてパウチと口頸部材から構成された複合容器を製造することを試みた。しかしながら、かような製造においては、射出成形装置の成形型にパウチを所要とおりにインサートする、更に詳細には成形型における内側成形型手段の内側型部材の所要部位にパウチの開口端部を位置付けることが必要であるが、内側型部材は射出成形装置本体の比較的奥に位置しその周囲には比較的小さい空間しか存在しない等に起因して、成形型にパウチを所要とおりにインサートする手動操作は比較的困難且つ煩雑であり、複合容器の製造効率は著しく低いものであった。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、成形型における内側成形型手段の内側型部材の所要部位にパウチの開口端部を容易に且つ迅速に位置付けることができ、従って容易且つ迅速に成形型にパウチの開口端部をインサートすることができ、かくして複合容器の製造効率を格段に向上することができる、新規且つ改良された射出成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究及び実験の結果、成形型における内側成形型手段の内側型部材に離脱自在に連結される特定形態のインサート治具を備え、インサート治具にその後端側からパウチの開口端部を被嵌し、パウチの開口端がインサート治具の先端面を超えて突出させ、しかる後にパウチと共にインサート治具をその先端面を内側型部材の基端面に当接して内側型部材に連結することによって、パウチを成形型にインサートすることができるように構成することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する射出成形装置として、
合成樹脂フィルム製パウチの開口端部をインサートして、該パウチの開口端に当接乃至近接する環形状底壁及び該底壁から垂下し且つ該パウチの該開口端部の内周面又は外周面に接合される筒状垂下壁を有する合成樹脂製口頸部材を射出成形して、該パウチと該口頸部材とから構成された複合容器を製造するための射出成形装置にして、
内側成形型手段と外側成形型手段とから構成された成形型を備え、
該内側成形型手段は、少なくとも該口頸部材の該垂下壁の内周面又は外周面並びに該底壁の内周面又は外周面を規定する内側型部材を含み、
更に、該内側型部材の基端面に離脱自在に連結されるインサート治具を備え、
該インサート治具は先端面及び該先端面の外周縁から垂下する外周面を有し、該インサート治具の該先端面は該内側型部材の該基端面に、該インサート治具の該外周面の先端部は該パウチの該開口端部の該内周面に夫々対応しており、
該インサート治具にその後端側から該パウチの該開口端部を被嵌し、該パウチの該開口端が該インサート治具の該先端面を超えて突出させ、しかる後に該パウチと共に該インサート治具を、該インサート治具の該先端面を該内側型部材の該基端面に当接して該内側型部材に連結すると、該パウチが該成形型にインサートされる、
ことを特徴とする射出成形装置が提供される。
【0008】
好ましくは、該インサート治具を少なくとも2個備え、一方のインサート治具が該内側型部材に連結され、該口頸部材を射出成形している間に、他方のインサート治具に該パウチの該開口端部を被嵌することができる。
【0009】
更に、該インサート治具の該先端面が当接される上端面、該上端面の外周縁から垂下する外周面、及び該外周面の下端から張り出すフランジ面を有する支持具を備え、
該インサート治具の該先端面を該支持具の該上端面に当接して該支持具に該インサート治具を装着すると、該インサート治具の該外周面の該先端部と該支持具の該外周面とが連続した筒形状の連続外周面を規定し、該連続外周面は該パウチの該開口端部の該内周面に対応しており、
該支持具に該インサート治具を装着した状態において該インサート治具の該後端側から該インサート治具及び該支持具に該パウチの開口端部を被嵌して該パウチの該開口端を該支持具の該フランジ面に当接し、次いで該インサート治具と該パウチとを一体として該支持具から離脱し、しかる後に該パウチと共に該インサート治具を、該インサート治具の該先端面を該内側型部材の該基端面に当接して該内側型部材に連結すると、該パウチが該成形型にインサートされるのが好適である。
【0010】
好適には、該インサート治具の該先端面には少なくとも1個の被拘束突起が配設されており、該内側型部材の該基端面には該被拘束突起を受け入れて解除自在に拘束する少なくとも1個の拘束機構が配設されており、該被拘束突起が解除自在に該拘束機構に拘束されることによって該内側型部材に該インサート治具が離脱自在に連結される。該パウチは該開口端から延びる少なくとも1個のサイドシール部を有し、該支持具には該外周面の半径方向外側に位置し且つ軸線方向に延びる少なくとも1個のサイドシール部受入間隙が配設されており、該支持具に該インサート治具を装着した状態において該インサート治具及び該支持具に該パウチの開口端部を被嵌する際には該パウチの該サイドシール部が該サイドシール部受入間隙内に受け入れられるのが好ましい。該支持具の該上端面は環形状であり、該支持具の該外周面の半径方向内側には直径方向に延在する溝が配設されており、該インサート治具の該先端面には少なくとも1個の被拘束突起が配設されており、該支持具に該インサート治具を装着する際には該被拘束突起が該溝内に進入し、これによって該支持具に対する該インサート治具の角度位置が規制されるのが望ましい。該パウチの該開口端部は円筒形状であり、該インサート治具の該外周面の少なくとも該先端部は円筒形状の周壁によって規定されており、該インサート治具の該周壁には周方向に等間隔をおいて少なくとも2個の周方向に延びる弧状開口が形成されており、該弧状開口の各々には該周壁の外周面に対応した円弧形状である外周面を有する調整部材がその外周面が該周壁の該外周面よりも半径方向外側に突出する突出位置とその外周面が該周壁の該外周面よりも半径方向内側に後退する後退位置との間を移動自在に配設されており、該調整部材の各々には該突出位置に弾性的に偏倚する弾性部材が付設されているのが好適である。該インサート治具の該先端面の外周縁は円形状であり、該インサート治具の該外周面の該先端部は円筒形状であり、該インサート治具の後端部は先端に向かって外径が漸次増大する円錐又は円錐台形状であるのが好都合である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の射出成形装置においては、射出成形装置の本体に配設されている成形型における内側成形型手段の内側型部材から離脱したインサート治具にパウチの開口端部を被嵌し、従って容易且つ迅速にインサート治具にパウチの開口端部を所要とおり被嵌することができ、次いでパウチと共にインサート治具を内側型部材に連結することによって内側型部材の所要部位にパウチの開口端部を位置付けることができ、従って容易且つ迅速に成形型にパウチの開口端部をインサートすることができ、かくして複合容器の製造効率を格段に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に従って構成された射出成形装置により射出成形された口頸部材を備える複合容器の一例を示す正面図。
【
図7】本発明に従って構成された射出成形装置の好適実施形態を成形型にインサートされたパウチと共に示す断面図。
【
図8】
図7に示す射出成形装置における内側型部材を示す正面図。
【
図12】
図7に示す射出成形装置における一対の外側成形型手段の斜視図。
【
図13】
図7に示す射出成形装置におけるインサート治具を示す正面図。
【
図17】
図7に示す射出成形装置で一対の外側型部材が開位置にあるときに内側型部材にパウチの開口端部が被嵌された状態の正面図。
【
図18】射出成形装置が備える支持具に
図13に示すインサート治具を装着した状態の斜視図。
【
図23】
図18に示すインサート治具及び支持具にパウチの開口端部が被嵌された状態の
図21の線A-Aにおける断面図。
【
図24】
図18に示すインサート治具及び支持具にパウチの開口端部が被嵌された状態の
図21の線B-Bにおける断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された射出成形装置の好適実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0014】
便宜上、本発明に従って構成された射出成形装置に先立って、これにより射出成形された口頸部材を備えた複合容器から説明する。かかる複合容器の一例が
図1乃至
図4に示されている。
【0015】
図1乃至
図4に示すとおり、複合容器100は、合成樹脂フィルム製パウチ102と後に詳細に説明するとおりパウチ102をインサートして射出成形された合成樹脂製口頸部材104とから構成されている。
【0016】
図5及び
図6を参照してパウチ102について説明すると、かかるパウチ102は上端に円形であるのが好都合である開口端106を有する。パウチ102は1枚の合成樹脂フィルムから形成する(この場合にはサイドシール部は1個)こともできるが、図示の実施形態においては2枚の合成樹脂フィルムから形成されており、周方向に180度の間隔をおいて2個のサイドシール部108a及び108bが配設されている。更に、図示の実施形態においては、2個のサイドシール部108a及び108bの各々の下端から、夫々、周方向両側に向かって且つ半径方向内側に向かって下方に延びる二股シール110a-1及び110a-2並びに110b-1及び110b-2が配設されていると共に、二股シール110a-1及び110a-2の一方の下端と二股シール110b-1及び110b-2の一方の下端を接続する底シール112-1並びに二股シール110a-1及び110a-2の他方の下端と二股シール110b-1及び110b-2の他方の下端を接続する底シール112-2が配設されている。かくして、開口端106以外は閉じられているコップ形態のパウチ102が形成されている。パウチ102を形成する合成樹脂フィルムは、好ましくは単層フィルム又は複数枚が積層された積層フィルムでよい。好適例としては、後に言及する如く高密度ポリエチレンから形成されているのが好都合である口頸部材104との接着性に優れた低密度ポリエチレン製の内層、ガスバリア性に優れたナイロン製の中間層及び機械的特性に優れたポリエチレンテレフタレート製の外層を有する3層構成の合成樹脂フィルムを挙げることができる。図示のパウチ102は、2枚の合成樹脂フィルムを上記サイドシール部108a及び108b、二股シール110a-1及び110a-2並びに110b-1及び110b-2、底シール112-1及び112-2において加熱溶着することによって形成することができる。パウチ102自体は当業者にとって周知の形態でよく、それ故に本明細書においてはパウチ102自体の詳細な説明は省略する。
【0017】
図1乃至
図4を参照して説明を続けると、図示の実施形態における口頸部材104は、円環形状の底壁114及びこの底壁114の内周縁から下方に垂下する円筒形状の垂下壁116を備えており、垂下壁116は底壁114よりも薄肉である。底壁114の下面は上記パウチ102の上端即ち開口端106に当接乃至近接されているのが好都合である。垂下壁116の内周面の下端部は下方に向かって半径方向外側に傾斜されており、垂下壁116の下端部は下方に向かって厚さが漸次低減されている。後に更に詳述するとおり、口頸部材104は上記パウチ102の開口端部をインサートして射出成形することによって成形されており、口頸部材104の垂下壁116の外周面はパウチ102の開口端部の内周面に接合されている。図示の口頸部材104は、更に、底壁114の上面から上方に延出する円筒形状の装着壁118を備えている。この装着壁118の外周面の上端部近傍には環状溝120が、下端部近傍には環状溝122が夫々配設されている。また、装着壁118の外周面主部には雄螺条124が配設されている。装着壁118の内周面は垂下壁116の内周面と上下方向に連続する。かような口頸部材104はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン及びポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂から成形することができる。パウチ102が上述したとおり低密度ポリエチレン製の内層、ナイロン製の中間層及びポリエチレンテレフタレート製の外層を有する3層構成の合成樹脂フィルムから形成されている場合には、ポリエチレン製の内層との接着性等の点から口頸部材104は高密度ポリエチレンから形成されているのが好都合である。
【0018】
上述したとおりの複合容器100においては、複合容器100内に所要内容物が収容され、そして口頸部材104に蓋(図示していない)が装着されて口頸部材104の頂面に規定されている開口が閉じられる。口頸部材104と同様にポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン及びポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂から形成することができる蓋は周知の形態でよく、例えば円形天面壁とこの天面壁の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁とを有し、スカート壁の内周面には雌螺条が形成されており、口頸部材104に被嵌して口頸部材104の装着壁118に形成されている雄螺条124にスカート壁に形成されている雌螺条を螺合することによって口頸部材104に装着される。
【0019】
次に、
図7乃至
図24を参照して、上記パウチ102の開口端部をインサートして口頸部材104を射出成形するための、本発明に従って構成される射出成形装置の好適実施形態について説明する。
図7に示すとおり、全体を番号2で示す射出成形装置は内側成形型手段と外側成形型手段とから構成された成形型を備えている。
図7と共に
図8乃至
図11を参照して説明すると、内側成形型手段は少なくとも口頸部材104の垂下壁116の内周面を規定する内側型部材8を含んでいる。
図8及び
図10に明確に図示する如く、内側型部材8は円柱形状の主部8a及び短円柱形状の張出部8bを有する。主部8aの下端部は下方に向かって外径が漸次増大されて張出部8bの外周面の上端に円滑に接続されている。主部8aの外周面の上端部には外側に向かって実質上水平に延在するフランジ10が接続されている。内側型部材8の下面、かかる面は基端面とも称されこれを番号12で示す、にはその外周縁に沿って下方に突出する円環突条14が形成されている。円環突条14の縦断面形状は下方に向かって漸次幅狭となる台形形状である。そして、内側型部材8の主部8aの外周面によって口頸部材104の底壁114の内周面及び垂下壁116の内周面並びに装着壁118の内周面が規定され、内側型部材8のフランジ10の下面によって装着壁118の上端面が規定される。
【0020】
図7と共に
図9及び
図10を参照して説明を続けると、内側型部材8には、周方向に間隔をおいた複数個の位置、図示の場合は180度の角度間隔をおいた2個の位置、において、樹脂流路18a及び18bが形成されている。樹脂流路18a及び18bの各々は、内側型部材8の上端面から下方に向かって上下方向に延びる主部18a-1及び18b-1と主部18a-1及び18b-1の下端から下方に半径方向外側に傾斜して延び内側型部材8の主部8aの下端部、即ち口頸部材104の垂下壁116の内周面の下半部を規定する面、に開口する下流部18a-2及び18b-2を有する。
【0021】
図示の実施形態においては、内側型部材8の基端面12には後述するインサート治具の先端面に形成された被拘束突起を受け入れて解除自在に拘束する拘束機構が配設されている。かような拘束機構としては、株式会社イマオコーポレーションが製造販売する商品名「ワンウェイクランパー」を採用することができる。図示の実施形態においては、内側型部材8の基端面12の中央部には上下方向に貫通する2つの穴20a及び20bが間隔をおいて形成されており、この2つの穴20a及び20bに拘束機構21a及び21bが夫々埋設されている。
【0022】
図7と共に
図12を参照して説明すると、外側成形型手段は一対の外側型部材22a及び22bを含んでいる。一対の外側型部材22a及び22bは相互に面対称形状であり、後述する周方向端面が相互に当接される閉位置とかかる閉位置から半径方向外方に変位した開位置との間を移動自在である。
図12を参照することによって明確に理解されるとおり、一対の外側型部材22a及び22bの各々は、略半円周形状の内周面24a及び24bと周方向端面26a-1及び26a-2並びに26b-1及び26b-2を有する(
図12には、外側型部材22aの内周面24a並びに周方向端面26a-1及び26a-2を図示しているが、外側型部材22bに関しては内周面24bの一部しか図示しておらず、外側型部材22bの図示されていない部分の符号は外側型部材22aの対応する部位の符号の後に括弧を付して表示した)。
図12と共に
図7を参照することによって理解される如く、内周面24a及び24bは協働して口頸部材104の底壁114の外周面及び下面並びに装着壁118の外周面を規定する。内周面24a及び24bは更に、パウチ102を介して垂下壁116の外周面をも規定する。周方向端面26a-1と周方向端面26b-1とは相互に当接され、周方向端面26a-2と周方向端面及び26b-2とも相互に当接される。周方向端面26a-1及び26a-2並びに26b-1及び26b-2の各々には、上記パウチ102のサイドシール部108a及び108bを受け入れる浅い窪み28a-1及び28a-2並びに28b-1及び28b-2が配設されている。
【0023】
図7に示すとおり、本発明に従って構成される射出成形装置は更に、内側型部材8の基端面12に着脱自在に連結されるインサート治具30を備えている。
図7と共に
図13乃至
図16を参照して説明すると、インサート治具30は先端面32及び先端面32の外周縁から垂下する外周面34を有し、インサート治具30の先端面32は内側型部材8の基端面12に、インサート治具30の外周面34の先端部36はパウチ102の開口端部の内周面に夫々対応する。図示の実施形態においては、インサート治具30の先端面32の外周縁は円形状であり、インサート治具30の外周面34の先端部36は円筒形状であり、インサート治具30の後端部38は先端に向かって外径が漸次増大する円錐台形状である。所望ならば、上記後端部38は先端に向かって外径が漸次増大する円錐形状であってもよい。インサート治具30の先端面32には2個の被拘束突起40a及び40bが配設されており、被拘束突起40a及び40bが解除自在に内側型部材8の拘束機構21a及び21bに拘束されることによって、インサート治具30は内側型部材8に離脱自在に連結される。被拘束突起40a及び40bは金属製であって、
図7に示すとおり、基端部が後述する先端部材に埋設された保持具によって保持されて先端部が先端部材から露出する。被拘束突起40a及び40bの先端部が拘束機構21a及び21bによって解除自在に拘束されることから、被拘束突起40a及び40bの先端部の形状は拘束機構21a及び21bに対応する所要形状であり、基端側から先端側に向かって漸次拡径している。インサート治具30の先端面32の外周縁部には、外周縁に沿って円環凹溝42が形成されている。円環凹溝42の縦断面形状は内側型部材8の基端面12に形成された円環突条14の縦断面形状と対応する台形形状であって、インサート治具30の円環凹溝42に内側型部材8の円環突条14が嵌り込むことで、インサート治具30が内側型部材8に連結された際に、内側型部材8に対するインサート治具30の径方向移動が防止される。
【0024】
図示の実施形態においては、拘束機構及び被拘束突起は夫々2個ずつ配設されていたが、これらは少なくとも1個ずつ配設されていればよく、従って3個以上ずつ配設されていてもよい。被拘束突起及び拘束機構が夫々複数ずつ配設されていれば、内側型部材8はインサート治具30を強固に拘束することができる。拘束機構及び被拘束機構が1個ずつ内側型部材8及びインサート治具30の中心軸上に配置される場合には、インサート治具30が内側型部材8に対して上記中心軸周りに回転することを阻止する回転阻止手段を設けることが好ましい。上記回転阻止手段は内側型部材8の基端面12及びインサート治具30の先端面32の中心軸に対して偏心した位置に設けられる凹部と凸部との嵌合等によって構成されうる。拘束機構及び被拘束機構が1個ずつ内側型部材8及びインサート治具30の中心軸に対して偏心した位置に配置される場合、つまり図示の実施形態における拘束機構21a及び被拘束突起40a、又は拘束機構21b及び被拘束突起40bのいずれか一対を省略する場合には、円環突条14及び円環凹溝42によってインサート治具30が内側型部材8に対し横方向に移動することが規制され、一対の拘束機構及び被拘束突起が上記回転阻止手段として構成されうる。
【0025】
図7に明確に示されているとおり、インサート治具30は上下に積層された先端部材44及び中間部材45並びに後端部材46を含み、これらは図示しないボルトの如き適宜の締結具により相互に締結せしめられる。先端部材44及び中間部材45がインサート治具30の先端部36を、後端部材46がインサート治具30の後端部38を夫々区画する。先端部材44及び中間部材45は同一の外径を有する短円筒形状であり、これによりインサート治具30の外周面34の先端部36には円筒形状の周壁が規定される。かかる周壁には周方向に等間隔をおいて2個の周方向に延びる弧状開口48a及び48bが形成されている。弧状開口48a及び48bは共に中間部材45の外周面を軸方向全体に亘って略矩形形状に切り欠くことで形成される。そして、弧状開口48a及び48bには上記周壁の外周面に対応した円弧形状である外周面を有する調整部材50a及び50bが各々の外周面が周壁の外周面よりも半径方向外側に突出する突出位置とその外周面が周壁の外周面よりも半径方向内側に後退する後退位置との間を移動自在に配設されている。
図16に示される調整部材50aに関しては、これが後退位置にある状態を実線で示し、突出位置にある状態の突出端面を二点鎖線で示している。弧状開口48a及び48bの底面には各々の開口入口に向かって突出する微小突起51a及び51bが夫々形成されており、調整部材50a及び50bは後退位置にて微小突起51a及び51bと当接する。調整部材50a及び50bには突出位置に弾性的に偏倚する弾性部材52が付設されている。
図16を参照することによって理解されるとおり、弧状開口48aの入口には中間部材45の両側面から周方向内側に向かって突出する係止突部54a-1及び54a-2が、調整部材50aの両側面には外側に向かって突出する被係止突部56a-1及び56a-2が夫々形成されており、被係止突部56a-1及び56a-2が係止突部54a-1及び54a-2によって係止せしめられることで、調整部材50aが突出位置を超えて半径方向外側に突出することは防止される。同様に、弧状開口48bの入口には中間部材45の両側面から周方向内側に向かって突出する係止突部54b-1及び54b-2が、調整部材50bの両側面には外側に向かって突出する被係止突部56b-1及び56b-2が夫々形成されており、被係止突部56b-1及び56b-2が係止突部54b-1及び54b-2によって係止せしめられることで、調整部材50bが突出位置を超えて半径方向外側に突出することは防止される。
図7に示すとおり、先端部材44には被拘束突起40a及び40bを保持する保持具57a及び57bが埋設されている。また、先端部材44及び中間部材45並びに後端部材46の中心軸上には、軸方向に貫通する断面円形の貫通穴が連通している。
【0026】
図17及び
図7を参照して説明すると、本発明の射出成形装置を使用して口頸部材104を成形する際には、最初に、インサート治具30にその後端側からパウチ102の開口端部を被嵌し、パウチ102の開口端106がインサート治具30の先端面32を超えて突出させる。インサート治具30にパウチ102の開口端部が被嵌された状態にあっては、インサート治具30の外周面34には弾性部材52によって突出位置に弾性的に偏倚せしめられた調整部材50a及び50bが配設されていることに起因して、パウチ102の開口端部の内周面は径方向外側に向かって押し広げられている。そして、一対の外側型部材22a及び22bが開位置にある状態において、パウチ102と共にインサート治具30を、インサート治具30の先端面32を内側型部材8の基端面12に当接して内側型部材8に連結する。かくすると、パウチ102の開口端部は内側型部材8の主部8aの下端部及び張出部8bに被嵌せしめられる。パウチ102の開口端部が内側型部材8の主部8aの下端部及び張出部8bに被嵌せしめられる際には、上述したとおりパウチ102の開口端部の内周面が径方向外側に向かって押し広げられていることに起因して、パウチ102の開口端106が内側型部材8の基端面12と当接して径方向内側に倒れてしまうことが可及的に防止される。その後に、
図7に示すとおり一対の外側型部材22a及び22bを閉位置に移動せしめ、パウチ102のサイドシール部108a及び108bの上端部を一対の外側型部材22a及び22bの周方向端面26a-1及び26a-2並びに26b-1及び26b-2における窪み28a-1及び28a-2並びに28b-1及び28b-2内に位置させて緊密に把持する。一対の外側型部材22a及び22bの内周面24a及び24bの下部はパウチ102の開口端部の外周面に密接される。かくしてパウチ102は成形型にインサートされる。そして、図示しない合成樹脂射出手段から溶融状態の合成樹脂素材が樹脂流路18a及び18bを通して成形型に規定されている成形空洞内に流入せしめられて口頸部材104が成形される。
【0027】
本発明の射出成形装置においては、射出成形装置の本体に配設されている成形型における内側成形型手段の内側型部材8から離脱したインサート治具30にパウチ102の開口端部を被嵌し、従って容易且つ迅速にインサート治具30にパウチ102の開口端部を所要とおり被嵌することができ、次いでパウチ102と共にインサート治具30を内側型部材8に連結することによって内側型部材8の所要部位にパウチ102の開口端部を位置付けることができ、従って容易且つ迅速に成形型にパウチ102の開口端部をインサートすることができ、かくして複合容器の製造効率を格段に向上することができる。更に、インサート治具30を少なくとも2個備えている場合には(図面には示されていないが、便宜上、1個目のインサート治具を符号30a、2個目のインサート治具を符号30bとする)、一方のインサート治具30aが内側型部材8に連結され、口頸部材104を射出成形している間に、他方のインサート治具30bにパウチ102の開口端部を被嵌することができ、これにより複合容器の製造効率をより一層向上させることができる。
【0028】
図18乃至
図24を参照して説明を続けると、射出成形装置2は更に支持具58を備えている。支持具58はインサート治具30の先端面32が当接される上端面60、この上端面60の外周縁から垂下する外周面62、外周面62の下端から張り出すフランジ面64、及び上端面60の内周縁から垂下する内周面66を有する。図示の実施形態においては、支持具58の上端面60は円環形状であって、その幅方向中央部は実質上水平に延在するが、外周縁部は径方向外側に向かって下方に、内周縁部は径方向内側に向かって下方に夫々傾斜して延在しており、その縦断面形状はインサート治具30の先端面32に形成された円環凹溝42の縦断面形状と対応する台形形状である。支持具58の外周面62は上端面60の外周縁から鉛直に垂下した後に径方向内側に向かって傾斜して垂下し、その後に再度鉛直に垂下する略円筒形状である。支持具58の内周面66は上端面60の内周縁から鉛直に垂下する円筒形状である。
【0029】
支持具58の外周面62の半径方向内側には直径方向に延在する溝68が配設される。溝68は、両端が支持具58の内周面66に接続された一対の側壁70a及び70bの間に規定されている。一対の側壁70a及び70bの各々は共に上下方向に起立して直径方向に直線状に延出する平板形状であって、相互に平行である。一対の側壁70a及び70bの各々の上端部の内側面には夫々係止突条72a及び72bが形成されている。係止突条72a及び72bは直径方向全体に亘って延在している。
【0030】
支持具58には外周面62の半径方向外側に位置し且つ軸線方向に延びる2個のサイドシール部受入間隙74a及び74bも配設されている。2個のサイドシール部受入間隙74a及び74bは、パウチ102が有する2つのサイドシール部108a及び108bに対応して直径方向の両側に1つずつ配設されている。サイドシール部受入間隙74a及び74bはフランジ面64から上方に起立して周方向に近接する一対の起立柱76a-1及び76a-2並びに76b-1及び76b-2の間に夫々規定される。一対の起立柱76a-1及び76a-2並びに76b-1及び76b-2の各々の先端部を除く部分の断面形状は略正方形であるが、先端部は上方に向かって断面積が低減する四角錐形状となっている。一対の起立柱76a-1及び76a-2並びに76b-1及び76b-2の先端部の各々は、相互に対向する面及び径方向内側の面が上方に向かって外側に傾斜せしめられており、かかる面が案内面78a-1及び78a-2並びに78b-1及び78b-2を構成する。一対の起立柱76a-1及び76a-2並びに76b-1及び76b-2の先端部の各々の案内面78a-1及び78a-2並びに78b-1及び78b-2以外の面は上方に向かって直線状に延びている。
【0031】
続いて、上記支持具58を用いてインサート治具30にパウチ102の開口端部を被嵌した後に、インサート治具30及びパウチ102を成形型にインサートする工程について説明する。かかる工程にあっては最初に、台上に載置された支持具58の上端面60にインサート治具30の先端面32を当接させて支持具58にインサート治具30を装着する。この際には、インサート治具30の先端面32に配設された被拘束突起40a及び40bが支持具58に配設された溝68内に進入し、これによって支持具58に対するインサート治具30の角度位置が規制される。更に、所要形状である被拘束突起40a及び40bが溝68を規定する一対の側壁70a及び70bの各々に形成された係止突条72a及び72bを弾性的に乗り越えて各々の下面に共働して係止せしめられ、インサート治具30は支持具58に安定的に支持される。支持具58にインサート治具30が装着されると、インサート治具30の外周面34の先端部36と支持具58の外周面62とが連続した筒形状の連続外周面を規定する。この連続外周面はパウチ102の開口端部の内周面に対応する。その後、支持具58にインサート治具30を装着した状態においてインサート治具30の後端側からインサート治具30及び支持具58にパウチ102の開口端部を被嵌してパウチ102の開口端106を支持具58のフランジ面64に当接せしめる。
図23及び
図24では、パウチ102は二点鎖線で示されている。インサート治具30及び支持具58にパウチ102の開口端部を被嵌する際にはパウチ102のサイドシール部108a及び108bがサイドシール部受入間隙74a及び74b内に夫々受け入れられる。パウチ102のサイドシール部108a及び108bは一対の起立柱76a-1及び76a-2並びに76b-1及び76b-2の先端部に形成された案内面78a-1及び78a-2並びに78b-1及び78b-2の存在に起因して、サイドシール部受入間隙74a及び74bに円滑に案内される。次いでインサート治具30とパウチ102とを一体として支持具58から離脱し、しかる後にパウチ102と共にインサート治具30を、インサート治具30の先端面32を内側型部材8の基端面12に当接して内側型部材8に連結すると、パウチ102が成形型にインサートされる。インサート治具30とパウチ102とを一体として支持具58から離脱した後であっても、インサート治具30の外周面34には弾性部材52によって突出位置に弾性的に偏倚せしめられた調整部材50a及び50bが配設されていることに起因して、インサート治具30の外周面はパウチ102の内周面に密接せしめられているため、インサート治具30とパウチ102との一体性は容易に維持される。
【0032】
以上、添付図面を参照して本発明の射出成形装置の好適実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の範囲内において更なる変形例もあり得る。例えば、図示の実施形態においては、本発明の射出成形装置によって射出成形される口頸部材104は装着壁118を含んでいたが、これは省略されていてもよい。装着壁118が省略された口頸部材にあっては、底壁の上面に紙又はフィルムを貼着する等して口頸部材は密封される。また、図示の実施形態においては、パウチ102は2つのサイドシール部108a及び108bを備えていたが、かかるサイドシール部は存在しない場合もあり得る。サイドシール部が存在しない場合には当然、支持具にサイドシール部受入間隙を設ける必要はない。更にまた、図示の実施形態の複合容器にあっては、口頸部材の垂下壁の外周面にパウチの開口端部の内周面が接合されていたが、口頸部材の垂下壁の内周面にパウチの開口端部の外周面が接合されている形式でもよい。口頸部材の垂下壁の内周面にパウチの開口端部の外周面が接合されている形式の場合には、内側成形型手段は、少なくとも口頸部材の垂下壁の外周面及び底壁の外周面を規定する内側型部材を含む。図示の実施形態においては、内側型部材8の基端面12は鉛直下方を向いていたが、水平方向或いは鉛直上方を向いていてもよい。支持具58についても同様に、図示の実施形態においては、支持具58は台上に載置、つまりフランジ面64が上方を向くように配置されたが、支持具58は任意の壁に固定されてよく、従ってフランジ面64は必ずしも上方のみを向くように配置されるわけではない。
【符号の説明】
【0033】
2:射出成形装置
8:内側型部材(内側成形型手段)
12:(内側型部材の)基端面
22a及び22b:外側型部材(外側成形型手段)
30:インサート治具
32:(インサート治具の)先端面
34:(インサート治具の)外周面
100:複合容器
102:パウチ
104:口頸部材
106:(パウチの)開口端
114:底壁
116:垂下壁