(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060925
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ハンドルロック
(51)【国際特許分類】
B60R 25/022 20130101AFI20240425BHJP
E05B 83/00 20140101ALI20240425BHJP
【FI】
B60R25/022
E05B83/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168508
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】522411164
【氏名又は名称】株式会社駒匠
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100220582
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 達也
(72)【発明者】
【氏名】駒▲崎▼ 裕二
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL18
(57)【要約】
【課題】容易には取り外されにくくする。
【解決手段】ハンドルロック100は、空間部を形成する外枠部を備えた車両のハンドルに取り付けられ、ハンドルに取り付けられた取付状態において当該ハンドルの操作を制限する。ハンドルロック100は、取付状態においてハンドルの運転手側である表側に位置する第1棒状部10と、取付状態においてハンドルの表側とは反対側である裏側に位置する第2棒状部20と、取付状態において空間部に位置し、第1棒状部10と第2棒状部20との連結に用いられる連結部30と、連結部30により連結をされた第1棒状部10と第2棒状部20との連結解除を施錠により防止する施錠部40と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間部を形成する外枠部を備えた車両のハンドルに取り付けられ、前記ハンドルに取り付けられた取付状態において当該ハンドルの操作を制限するハンドルロックであって、
前記取付状態において前記ハンドルの運転手側である表側に位置する第1棒状部と、
前記取付状態において前記ハンドルの前記表側とは反対側である裏側に位置する第2棒状部と、
前記取付状態において前記空間部に位置し、前記第1棒状部と前記第2棒状部との連結に用いられる連結部と、
前記連結部により連結をされた前記第1棒状部と前記第2棒状部との連結解除を施錠により防止する施錠部と、を備える、ハンドルロック。
【請求項2】
前記第1棒状部及び前記第2棒状部の少なくともいずれかは、前記取付状態において前記ハンドルの前記外枠部よりも外側まで延在する長さを有する、請求項1に記載のハンドルロック。
【請求項3】
前記第1棒状部及び前記第2棒状部の少なくともいずれかは、前記取付状態において前記ハンドルの操作がされた場合に前記車両の車内物に接触する、請求項2に記載のハンドルロック。
【請求項4】
前記連結部は、複数の棒状体からなる、請求項1に記載のハンドルロック。
【請求項5】
前記連結部は、直方体状の形状を有する、請求項1に記載のハンドルロック。
【請求項6】
前記第1棒状部と前記第2棒状部とは、前記取付状態において互いに同方向に延在する、請求項1に記載のハンドルロック。
【請求項7】
前記施錠部は、前記第2棒状部に設けられ、当該施錠部に挿入される鍵を用いて前記施錠が行われる、請求項1に記載のハンドルロック。
【請求項8】
前記施錠部は、前記第2棒状部の外面のうち、前記取付状態において前記ハンドルと対面する面とは反対側の面に、前記鍵が挿入される鍵挿入口を有する、請求項7に記載のハンドルロック。
【請求項9】
前記第1棒状部の本体部及び前記第2棒状部の本体部の少なくともいずれかは、複数の材質からなる、請求項1に記載のハンドルロック。
【請求項10】
前記材質は、金属である、請求項9に記載のハンドルロック。
【請求項11】
前記第2棒状部は、発光可能な光源部を有する、請求項1に記載のハンドルロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドルロックに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の盗難を防止するための器具として、ハンドルロックが知られている。ハンドルロックは、車両のハンドルに取り付けられてハンドルの操作を阻害することで、当該車両の運転を困難にする。例えば、特許文献1には、ハンドルの中央部にロックアームを掛け渡し、当該ロックアームに連結された可動アームを270度回動させることによりハンドルに固定されるハンドルロック装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなハンドルロック装置は、ハンドルの運転手側に掛け渡されたロックアームが切断されただけで、ハンドルから容易に取り外されてしまう。したがって、本技術分野においては、より取り外されにくい構造のハンドルロックが求められている。
【0005】
そこで、本開示に係るハンドルロックは、容易には取り外されにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)は、空間部(S)を形成する外枠部(HR)を備えた車両(V)のハンドル(H)に取り付けられ、ハンドル(H)に取り付けられた取付状態において当該ハンドル(H)の操作を制限するハンドルロック(100)であって、取付状態においてハンドル(H)の運転手側である表側(F)に位置する第1棒状部(10)と、取付状態においてハンドル(H)の表側(F)とは反対側である裏側(B)に位置する第2棒状部(20)と、取付状態において空間部(S)に位置し、第1棒状部(10)と第2棒状部(20)との連結に用いられる連結部(30)と、連結部(30)により連結をされた第1棒状部(10)と第2棒状部(20)との連結解除を施錠により防止する施錠部(40)と、を備える。
【0007】
このハンドルロック(100)によれば、ハンドル(H)に取り付けられた取付状態において、ハンドル(H)の表側(F)に位置する第1棒状部(10)と裏側(B)に位置する第2棒状部(20)とが連結部(30)により互いに連結され、施錠部(40)によって施錠されることで連結解除が防止される。このようにしてハンドル(H)に取り付けられることで、ハンドルロック(100)はハンドル(H)の操作を制限することができる。ここで、このハンドルロック(100)は、取付状態において、第1棒状部(10)及び第2棒状部(20)の少なくとも2本の棒状部材がハンドル(H)に掛け渡されている。このため、第1棒状部(10)又は第2棒状部(20)のいずれか一方が切断されても他方が切断されずに残存するため、ハンドル(H)から外されにくい。しかも、このハンドルロック(100)では、取付状態において、第2棒状部(20)がハンドル(H)の運転手側である表側(F)とは反対側である裏側(B)に位置する。このため、例えば金属棒等を切断するための工具を使用して第2棒状部(20)を切断しようとした場合に、その切断作業が行いにくくなる。以上により、このハンドルロック(100)によれば、容易には取り外されにくくすることが可能となる。
【0008】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、第1棒状部(10)及び第2棒状部(20)の少なくともいずれかは、取付状態においてハンドル(H)の外枠部(HR)よりも外側まで延在する長さを有してもよい。これによれば、取付状態において、ハンドル(H)の操作を効果的に阻害することが可能となる。
【0009】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、第1棒状部(10)及び第2棒状部(20)の少なくともいずれかは、取付状態においてハンドル(H)の操作がされた場合に車両(V)の車内物(VI)に接触してもよい。これによれば、取付状態において、ハンドル(H)の回動可能な範囲を効果的に制限することができる。
【0010】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、連結部(30)は、複数の棒状体(31)からなっていてもよい。これによれば、いずれかの棒状体(31)が切断されても他の棒状体(31)が切断されずに残存するため、ハンドルロック(100)がハンドル(H)から外されにくくなる。
【0011】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、連結部(30)は、直方体状の形状を有していてもよい。これによれば、直方体の縦方向、横方向、及び高さ方向のそれぞれの寸法を変更しやすくなる。
【0012】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、第1棒状部(10)と第2棒状部(20)とは、取付状態において互いに同方向に延在してもよい。これによれば、ハンドルロック(100)をハンドル(H)に取り付けやすくなる。
【0013】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)は、施錠部(40)は、第2棒状部(20)に設けられ、当該施錠部(40)に挿入される鍵を用いて施錠が行われてもよい。これによれば、取付状態においてハンドル(H)の表側(F)とは反対側である裏側(B)に位置する第2棒状部(20)に施錠部(40)が設けられるため、取付状態において施錠部(40)を破壊しようとした場合に、その破壊作業が行いにくくなる。
【0014】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、施錠部(40)は、第2棒状部(20)の外面のうち、取付状態においてハンドル(H)と対面する面とは反対側の面に、鍵が挿入される鍵挿入口(41)を有してもよい。これによれば、取付状態において視認しにくく手が届きにくい位置に鍵挿入口(41)が設けられるため、施錠部(40)を不正に開錠しようとした場合に、その開錠作業が行いにくくなる。
【0015】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、第1棒状部(10)の本体部(11)及び第2棒状部(20)の本体部(21)の少なくともいずれかは、複数の材質からなっていてもよい。これによれば、例えばハンドルロック(100)の重量、強度、及びコスト等を好適に調整可能となる。
【0016】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、材質は、金属であってもよい。これによれば、製造しやすく、且つ、十分な強度を持たせることができる。
【0017】
本開示の一態様に係るハンドルロック(100)では、第2棒状部(20)は、発光可能な光源部(23)を有していてもよい。これによれば、例えば暗い車内であってもハンドルロック(100)の取り付け及び取り外しを行いやすくなる。
【0018】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0019】
このように、本開示に係るハンドルロックは、容易には取り外されにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るハンドルロックの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ハンドルロックが車両のハンドルに取り付けられた取付状態を示す図である。
【
図3】
図3は、取付状態におけるハンドルとハンドルロックとの位置関係を示す図である。
【
図4】
図4は、ハンドルロックの第1部材を示す平面図である。
【
図5】
図5は、ハンドルロックの第1部材を示す正面図である。
【
図6】
図6は、ハンドルロックの第1部材を示す側面図である。
【
図7】
図7は、ハンドルロックの第2部材を示す平面図である。
【
図8】
図8は、ハンドルロックの第2部材を示す底面図である。
【
図9】
図9は、ハンドルロックの第2部材を示す正面図である。
【
図10】
図10は、ハンドルロックの第2部材を示す背面図である。
【
図11】
図11は、ハンドルロックの第2部材を示す右側面図である。
【
図12】
図12は、ハンドルロックの第2部材を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るハンドルロック100の外観を示す斜視図である。
図2は、ハンドルロック100が車両VのハンドルHに取り付けられた取付状態を示す図である。
図3は、取付状態におけるハンドルHとハンドルロック100との位置関係を示す図である。
図1~
図3に示されるように、ハンドルロック100は、車両VのハンドルHに取り付けられてハンドルHの操作を制限することで、当該車両Vの運転を困難にし、ひいては当該車両Vの盗難を防止するための器具である。以下の説明において、ハンドルロック100がハンドルHに取り付けられた状態を取付状態と称する。
【0023】
ハンドルロック100が取り付けられるハンドルHは、中心軸線回りに回動させることによって車両Vを操舵するための機構であり、ステアリング又はステアリングホイールとも称される。ハンドルHは、車両Vの内部(車室内)に設けられている。具体的には、ハンドルHは、車両Vの運転手が着座する運転席の前方に配置されている。車室内において、ハンドルHの周囲には種々の車内物VIが存在している。「車内物VI」には、車両Vを構成する、又は、車両Vに取り付けられた構造物である。例えば、車内物VIは、インストルメントパネル、ドア、サイドガラス、フロントガラス、ピラー、シート(運転席等)、ステアリングコラム、ウインカーレバー等のコラムスイッチが含まれてもよく、これら以外のものが含まれてもよい。
【0024】
ハンドルHは、外枠部HRを少なくとも備えている。ここでは、ハンドルHは、略円環状の外枠部HR、外枠部HRから内周側に向かって延在する3本のスポーク部HS、及び各スポーク部HSの外枠部HRとは反対側の端部に接続するハブ部HHを備えている。例えば、ハブ部HHは、ハンドルHの中央部に位置し、当該ハンドルHが回動する中心軸線上に位置している。外枠部HRは、空間領域である空間部Sを形成する。空間部Sとは、ハンドルHの運転手側である表側Fから、ハンドルHの表側Fとは反対側である裏側Bに連通する連通孔である。空間部Sは、例えば、外枠部HRに加えて、スポーク部HS及びハブ部HHにより囲まれた空間領域であってもよい。なお、ハンドルHのうち、外枠部HRに相当する部分については、ハンドルHの形状によって任意に定義可能である。要するに、外枠部HRとは、ハンドルHにおいて空間部Sの形成に寄与している部分であればよい。
【0025】
取付状態において、ハンドルロック100は、後述する第1棒状部10がハンドルHの表側(F)に位置し、後述する第2棒状部20がハンドルHの裏側(B)に位置し、これら第1棒状部10と第2棒状部20とが後述する連結部30により連結されている。このとき、連結部30は、ハンドルHの空間部Sに位置している。また、このとき、後述する施錠部40により連結部30が施錠されており、連結解除が防止される。その結果、取付状態においては、ハンドルHを操作(回動)させようとすると、ハンドルHに取り付けられたハンドルロック100もハンドルHと連動することとなる。このため、ハンドルHが大きく操作された場合にハンドルロック100が車内物VIに接触(干渉)する。したがって、それ以上大きくはハンドルHを操作し得なくなるため、当該車両Vの運転が困難になる。なお、ハンドルロック100は、施錠部40が適正に開錠されれば連結部30は連結解除され、ハンドルHから取り外すことが可能となる。
【0026】
ハンドルロック100は、第1部材1及び第2部材2を具備している。
【0027】
図4は、ハンドルロック100の第1部材1を示す平面図である。
図5は、ハンドルロック100の第1部材1を示す正面図である。
図6は、ハンドルロック100の第1部材1を示す側面図である。
図4~
図6に示されるように、第1部材1は、第1棒状部10及び連結部30を備えている。ここでは、第1部材1は、1本の第1棒状部10と連結部30(2本の棒状体31)とが連結されて構成されている。第1部材1において、第1棒状部10と連結部30とは、一体に形成されてもよく、個別に形成された後に接合されてもよい。
【0028】
図7は、ハンドルロック100の第2部材2を示す平面図である。
図8は、ハンドルロック100の第2部材2を示す底面図である。
図9は、ハンドルロック100の第2部材2を示す正面図である。
図10は、ハンドルロック100の第2部材2を示す背面図である。
図11は、ハンドルロック100の第2部材2を示す右側面図である。
図11は、ハンドルロック100の第2部材2を示す左側面図である。
図7~
図11に示されるように、第2部材2は、第2棒状部20及び施錠部40を備えている。ここでは、第2部材2は、1本の第2棒状部20に2個の施錠部40が埋設されて構成されている。第2部材2に備えられる施錠部40の個数は、第1部材1に備えられる連結部30の本数に対応している。
【0029】
以下、
図1~
図11を参照して、ハンドルロック100の構成について説明する。
【0030】
第1棒状部10は、取付状態においてハンドルHの運転手側である表側Fに位置することになる長尺状(棒状)の部材である。第1棒状部10は、取付状態において、ハンドルHの表側Fの面に沿って(表側Fの面と略平行に)配置される。
【0031】
第1棒状部10は、偏平かつ長尺の直方体状を呈している。具体的には、第1棒状部10は、取付状態においてハンドルHの外枠部HRよりも外側まで延在する長さを有している。例えば、第1棒状部10は、一般的なハンドルHの外径(直径)が約350mmであることから、取付状態において外径350mmのハンドルHの外枠部HRよりも外側まで延在する長さを有していてもよい。換言すると、第1棒状部10は、取付状態においてハンドルHの操作がされた場合に車両Vの車内物VIに接触する長さを有していてもよい。ここでは、第1棒状部10は、延在方向における長さが500mm以上700mm以下とされている。また、第1棒状部10は、延在方向に垂直な断面形状が長方形状とされており、その長手方向の長さが35mm以上40mm以下、その短手方向の長さが10mm以上15mm以下とされている。なお、これらの具体的な長さの数値は一例であり、これらの数値範囲外の長さとされてもよい。
【0032】
第1棒状部10は、本体部11が被覆部12により被覆されて構成されている。本体部11は、当該第1棒状部10の本体をなし、当該第1棒状部10全体の外形及び大きさと略一致する形状及び大きさを有している。第1棒状部10の本体部11は、当該第1棒状部10の切断等に対する強度を主に担う構造体である。
【0033】
第1棒状部10の本体部11は、複数の材質からなる。材質とは、金属であってもよく、具体的には、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム等であってもよい。本体部11のうち、複数の材質のそれぞれにより形成される部位は、その目的に応じて種々設定可能である。
【0034】
一例として、ここでは、第1棒状部10は、当該第1棒状部10の長手方向の中途位置に2本の棒状体31が連結されており、各棒状体31に対応する位置(各棒状体31が連結される位置、又は、各棒状体31が連結される位置の近傍の位置)を境として、各棒状体31に挟まれる領域である第1領域10A、及び、第1領域10Aの両端からそれぞれ延在する第2領域10B及び第3領域10Cを備えている。そして、ここでは、第1棒状部10の本体部11は、第1棒状部10の第1領域10Aに対応する部位が第1の材質からなり、第1棒状部10の第2領域10B及び第3領域10Cのそれぞれに対応する部位が第2の材質からなっている。なお、第1棒状部10の第2領域10B及び第3領域10Cのそれぞれに対応する部位は、互いに異なる材質(例えば、第2の材質及び第3の材質)からなっていてもよい。
【0035】
第1棒状部10の被覆部12は、本体部11の表面を薄く被覆する部材である。第1棒状部10の被覆部12は、例えばシート状の部材であってもよく、塗料であってもよく、酸化膜等であってもよい。第1棒状部10の被覆部12は、本体部11の表面への傷を防止したり、本体部11の表面の硬さを緩和したり、商品名等を表示したりするために設けられてもよい。
【0036】
連結部30は、第1棒状部10と第2棒状部20との連結に用いられる部材である。連結部30は、複数の棒状体31からなる。棒状体31とは、長尺状(棒状)の部材である。連結部30(具体的には、各棒状体31)は、直方体状の形状を有している。各棒状体31は、第1棒状部10の長手方向の中途位置に、当該長手方向と交差する方向(具体的には、直交する方向)に向かって立設されている。各棒状体31は、第1棒状部10に立設されて延びる方向に長尺である。各棒状体31は、当該棒状体31の外面である各面(側面及び底面)が、第1棒状部10の外面である各面(側面、天面、及び底面)と平行又は垂直となっている。
【0037】
ここでは、連結部30は2本の棒状体31からなり、各棒状体31は、第1棒状部10の底面に、互いに離間して、且つ、第1棒状部10の長手方向の両端からそれぞれ離間して、設けられている。上述したように、これら2本の棒状体31の位置を基準として、第1棒状部10は第1領域10A、第2領域10B、及び第3領域10Cに概念的に分割される。ここで、各棒状体31が第1棒状部10に連結されている位置は、第1領域10Aの長さが第3領域10Cの長さと略一致する位置であり、また、第2領域10Bの長さが第3領域10Cの長さよりも長くなる位置である。具体的には、各棒状体31が第1棒状部10に連結されている位置は、第1領域10A及び第3領域10Cのそれぞれの長さが120mm以上200mm以下とされており、第2領域10Bの長さが200mm以上300mm以下とされている。
【0038】
なお、第1棒状部10、第2領域10B、及び第3領域10Cのそれぞれの長さは、上述した数値及び長短関係とは異なっていてもよく、任意に設定可能である。例えば、各棒状体31が第1棒状部10に連結されている位置は、第2領域10Bの長さが第3領域10Cの長さと略一致する位置であり、また、第1領域10Aの長さが第2領域10B及び第3領域10Cのそれぞれの長さよりも長くなる位置であってもよい。具体的には、各棒状体31が第1棒状部10に連結されている位置は、第1領域10Aの長さが120mm以上200mm以下とされており、第2領域10B及び第3領域10Cのそれぞれの長さが50mm以上100mm以下とされていてもよい。
【0039】
各棒状体31には、施錠部40により施錠をする際に用いられる複数の貫通孔Pが形成されている。各貫通孔Pは、各棒状体31の正面側から当該棒状体31の裏面側に連通する円形の連通孔である。各貫通孔Pは、各棒状体31の長手方向(すなわち、各棒状体31が第1棒状部10に立設されて延びる方向)に沿って複数形成されている。具体的には、各棒状体31には、長手方向に沿って等間隔で一列に並ぶように、互いに同径の7個の貫通孔Pが形成されている。これら各棒状体31に形成される貫通孔Pは、一方の棒状体31に形成される各貫通孔Pが第1棒状部10の底面から離間している距離と、他方の棒状体31に形成される各貫通孔Pが第1棒状部10の底面から離間している距離とが一致するように形成されている。
【0040】
第2棒状部20は、取付状態においてハンドルHの運転手側である表側Fとは反対側である裏側Bに位置することになる長尺状(棒状)の部材である。第2棒状部20は、取付状態において、ハンドルHの裏側Bの面に沿って(裏側Bの面と略平行に)配置される。つまり、第1棒状部10と第2棒状部20とは、取付状態において互いに同方向に延在している。換言すると、第1棒状部10と第2棒状部20とは、取付状態において、互いに略平行となる。「略平行」とは、平行又は平行に近い状態を意味し、例えば第1棒状部10と第2棒状部20とのなす角の大きさが10度以下の状態であってもよい。
【0041】
第2棒状部20は、長尺の直方体状を呈している。具体的には、第2棒状部20は、取付状態においてハンドルHの外枠部HRと同等の位置まで延在する長さを有している。例えば、第2棒状部20は、一般的なハンドルHの外径(直径)が約350mmであることから、取付状態において外径350mmのハンドルHの外枠部HRと同等の位置まで延在する長さを有していてもよい。ここでは、第2棒状部20は、延在方向における長さが300mm以上400mm以下とされている。また、第1棒状部10は、延在方向に垂直な断面形状が正方形に近い長方形状とされており、その長手方向の長さが35mm以上40mm以下、その短手方向の長さが30mm以上35mm以下とされている。なお、これらの具体的な長さの数値は一例であり、これらの数値範囲外の長さとされてもよい。
【0042】
第2棒状部20は、本体部21が被覆部22により被覆されて構成されている。本体部21は、当該第2棒状部20の本体をなし、当該第2棒状部20全体の外形及び大きさと略一致する形状及び大きさを有している。第2棒状部20の本体部21は、当該第2棒状部20の切断等に対する強度を主に担う構造体である。
【0043】
第2棒状部20の本体部21は、複数の材質からなる。材質とは、金属であってもよく、具体的には、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム等であってもよい。本体部21のうち、複数の材質のそれぞれにより形成される部位は、その目的に応じて種々設定可能である。
【0044】
一例として、ここでは、第2棒状部20は、当該第2棒状部20の長手方向の中途位置に2個の施錠部40が埋設されており、各施錠部40に対応する位置(各施錠部40が埋設される位置、又は、各施錠部40が埋設される位置の近傍の位置)を境として、各施錠部40に挟まれる領域である第4領域20A、及び、第4領域20Aの両端からそれぞれ延在する第5領域20B及び第6領域20Cを備えている。そして、ここでは、第2棒状部20の本体部21は、第2棒状部20の第4領域20Aに対応する部位が第4の材質からなり、第2棒状部20の第5領域20B及び第6領域20Cのそれぞれに対応する部位が第5の材質からなっている。なお、第2棒状部20の第5領域20B及び第6領域20Cのそれぞれに対応する部位は、互いに異なる材質(例えば、第5の材質及び第6の材質)からなっていてもよい。第4、第5、及び第6の材質のそれぞれは、上述した第1、第2、第3の材質のいずれかと互いに同一の材質であってもよい。
【0045】
第2棒状部20の被覆部22は、本体部21の表面を薄く被覆する部材である。第2棒状部20の被覆部22は、例えばシート状の部材であってもよく、塗料であってもよく、酸化膜等であってもよい。第2棒状部20の被覆部22は、本体部21の表面への傷を防止したり、本体部21の表面の硬さを緩和したり、商品名等を表示したりするために設けられてもよい。
【0046】
第2棒状部20は、光源部23及び光源スイッチ24を備えている。光源部23は、発光可能な装置であり、例えばLED等により構成されている。光源部23は、第2棒状部20の天面において、2個の施錠部40(すなわち、後述するように2箇所の棒状体挿入孔25)に挟まれる位置に設けられている。換言すると、光源部23は、第2棒状部20の第4領域20Aのうち、取付状態において第1棒状部10と対面する面(又は、取付状態において第1棒状部10と対面する面とは反対側の面)に設けられている。光源部23は、第2棒状部20の内部に埋設されたバッテリー等を含む電気回路(不図示)を介して、第2棒状部20の右側面に設けられた光源スイッチ24に電気的に接続されている。なお、第2棒状部20が中空に構成されている場合、第2棒状部20の内部に埋設された光源部23及び電気回路により、第2棒状部20の切断等に対する強度が向上し得る。光源スイッチ24がON/OFFされることにより、光源部23は発光/消灯する。
【0047】
第2棒状部20には、2箇所の棒状体挿入孔25が形成されている。各棒状体挿入孔25は、第2棒状部20に埋設された2個の施錠部40のそれぞれに併設されている。各棒状体挿入孔25は、連結部30の各棒状体31が挿入される孔である。各棒状体挿入孔25は、第2棒状部20の天面側から底面側に連通する長方形の連通孔であり、連結部30の棒状体31の断面形状及び大きさに対応する形状及び大きさを有している。具体的には、各棒状体挿入孔25は、連結部30の棒状体31の断面よりも若干大きい長方形状の貫通孔であり、棒状体31が貫通可能となるように第2棒状部20の天面側から底面側まで直線的に形成されている。
【0048】
施錠部40は、連結部30により連結をされた第1棒状部10と第2棒状部20との連結解除を施錠により防止する機構である。施錠部40は、第2棒状部20に設けられ、当該施錠部40に挿入される鍵(不図示)を用いて施錠が行われる。ここでは、2個の施錠部40が第2棒状部20にそれぞれ埋設されている。具体的には、各施錠部40は、第2棒状部20の正面から第2棒状部20に形成された2箇所の棒状体挿入孔25の内側面の間に配置(埋設)されている。各施錠部40は、施錠をする場合に、棒状体挿入孔25側の端部が棒状体挿入孔25内に向かって突出する。このとき、棒状体挿入孔25に棒状体31が挿入されていれば、突出した当該端部が棒状体31に形成された貫通孔Pのいずれかに進入する。
【0049】
各施錠部40は、第2棒状部20の正面側の端面に、鍵が挿入される鍵挿入口41を有している。各施錠部40は、鍵が鍵挿入口41に挿入されて所定の操作(例えば、鍵を回動させる操作が行われることで、棒状体挿入孔25側の端部が棒状体挿入孔25内に向かって突出した状態と、突出していない状態と、を変更可能である。したがって、棒状体挿入孔25に棒状体31が挿入された後、鍵を操作することで施錠部40の端部をいずれかの貫通孔Pに進入させて施錠をすることができる。
【0050】
このように、施錠部40は、第2棒状部20の外面に鍵挿入口41を有している。ここでは、施錠部40は、第2棒状部20の外面のうち、第2棒状部20の正面側(すなわち、取付状態において、ハンドルHと対面する面と、当該面とは反対側の面と、を接続する面)に、鍵挿入口41を有している。施錠部40の鍵挿入口41が運転席側から見てハンドルHの向こう側に位置しているため、施錠部40の破壊等を行いにくい。
【0051】
なお、施錠部40は、これとは異なる位置に鍵挿入口41を有していてもよい。例えば、施錠部40は、第2棒状部20の外面のうち、取付状態においてハンドルHと対面する面とは反対側の面に、鍵挿入口41を有していてもよい。これによれば、より施錠部40の破壊等を行いにくくなる。
【0052】
[作用及び効果]
以上説明したように、ハンドルロック100は、空間部Sを形成する外枠部HRを備えた車両VのハンドルHに取り付けられ、ハンドルHに取り付けられた取付状態において当該ハンドルHの操作を制限するハンドルロック100であって、取付状態においてハンドルHの運転手側である表側Fに位置する第1棒状部10と、取付状態においてハンドルHの表側Fとは反対側である裏側Bに位置する第2棒状部20と、取付状態において空間部Sに位置し、第1棒状部10と第2棒状部20との連結に用いられる連結部30と、連結部30により連結をされた第1棒状部10と第2棒状部20との連結解除を施錠により防止する施錠部40と、を備えている。
【0053】
ハンドルロック100によれば、ハンドルHに取り付けられた取付状態において、ハンドルHの表側Fに位置する第1棒状部10と裏側Bに位置する第2棒状部20とが連結部30により互いに連結され、施錠部40によって施錠されることで連結解除が防止される。このようにしてハンドルHに取り付けられることで、ハンドルロック100はハンドルHの操作を制限することができる。ここで、このハンドルロック100は、取付状態において、第1棒状部10及び第2棒状部20の少なくとも2本の棒状部材がハンドルHに掛け渡されている。このため、第1棒状部10又は第2棒状部20のいずれか一方が切断されても他方が切断されずに残存するため、ハンドルHから外されにくい。しかも、このハンドルロック100では、取付状態において、第2棒状部20がハンドルHの運転手側である表側Fとは反対側である裏側Bに位置する。このため、例えば金属棒等を切断するための工具を使用して第2棒状部20を切断しようとした場合に、その切断作業が行いにくくなる。以上により、このハンドルロック100によれば、容易には取り外されにくくすることが可能となる。
【0054】
ハンドルロック100では、第1棒状部10及び第2棒状部20の少なくともいずれかは、取付状態においてハンドルHの外枠部HRよりも外側まで延在する長さを有している。これによれば、取付状態において、ハンドルHの操作を効果的に阻害することが可能となる。
【0055】
ハンドルロック100では、第1棒状部10及び第2棒状部20の少なくともいずれかは、取付状態においてハンドルHの操作がされた場合に車両Vの車内物VIに接触する。これによれば、取付状態において、ハンドルHの回動可能な範囲を効果的に制限することができる。
【0056】
ハンドルロック100では、連結部30は、複数の棒状体31からなっている。これによれば、いずれかの棒状体31が切断されても他の棒状体31が切断されずに残存するため、ハンドルロック100がハンドルHから外されにくくなる。
【0057】
ハンドルロック100では、連結部30は、直方体状の形状を有している。これによれば、直方体の縦方向、横方向、及び高さ方向のそれぞれの寸法を変更しやすくなる。
【0058】
ハンドルロック100では、第1棒状部10と第2棒状部20とは、取付状態において互いに同方向に延在している。これによれば、ハンドルロック100をハンドルHに取り付けやすくなる。
【0059】
ハンドルロック100は、施錠部40は、第2棒状部20に設けられ、当該施錠部40に挿入される鍵を用いて施錠が行われる。これによれば、取付状態においてハンドルHの表側Fとは反対側である裏側Bに位置する第2棒状部20に施錠部40が設けられるため、取付状態において施錠部40を破壊しようとした場合に、その破壊作業が行いにくくなる。
【0060】
ハンドルロック100では、施錠部40は、第2棒状部20の外面のうち、取付状態においてハンドルHと対面する面とは反対側の面に、鍵が挿入される鍵挿入口41を有している。これによれば、取付状態において視認しにくく手が届きにくい位置に鍵挿入口41が設けられるため、施錠部40を不正に開錠しようとした場合に、その開錠作業が行いにくくなる。
【0061】
ハンドルロック100では、第1棒状部10の本体部11及び第2棒状部20の本体部21の少なくともいずれかは、複数の材質からなっている。これによれば、例えばハンドルロック100の重量、強度、及びコスト等を好適に調整可能となる。
【0062】
ハンドルロック100では、材質は、金属である。これによれば、製造しやすく、且つ、十分な強度を持たせることができる。
【0063】
ハンドルロック100では、第2棒状部20は、発光可能な光源部23を有している。これによれば、例えば暗い車内であってもハンドルロック100の取り付け及び取り外しを行いやすくなる。
【0064】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0065】
例えば、上述した実施形態において、第1棒状部10と連結部30とは一体であり第1部材1を構成している。しかし、第1棒状部10と連結部30とは、別体に(すなわち、分離して)構成されていてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態において、第2棒状部20と施錠部40とは一体であり第2部材2を構成している。しかし、第2棒状部20と施錠部40とは、別体に(すなわち、分離して)構成されていてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態において、連結部30は2本の棒状体31を有している。しかし、連結部30は、3本以上の棒状体31を有していてもよい。この場合、第2棒状部20には3箇所目の棒状体挿入孔25が形成されるとともに、3個目の施錠部40が埋設されてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態において、ハンドルロック100は、棒状部材として第1棒状部10と第2棒状部20との2本の部材を備えている。しかし、ハンドルロック100は、第1棒状部10と第2棒状部20とに加えて、第3棒状部(不図示)を備えていてもよい。この場合、第3棒状部は、連結部30により、第1棒状部10又は第2棒状部20と連結されてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態において、第1棒状部10は取付状態においてハンドルHの外枠部HRよりも外側まで延在する長さを有し、第2棒状部20は外枠部HRと同等の位置まで延在する長さを有している。しかし、第2棒状部20が取付状態においてハンドルHの外枠部HRよりも外側まで延在する長さを有し、第1棒状部10が外枠部HRと同等の位置まで延在する長さを有していてもよい。あるいは、第1棒状部10及び第2棒状部20の両方が、取付状態においてハンドルHの外枠部HRよりも外側まで延在する長さを有していてもよい。これと同様に、上述した実施形態において、第1棒状部10は、取付状態においてハンドルHの操作がされた場合に車両Vの車内物VIに接触する。しかし、第2棒状部20が、取付状態においてハンドルHの操作がされた場合に車両Vの車内物VIに接触してもよく、また、第1棒状部10及び第2棒状部20の両方が、取付状態においてハンドルHの操作がされた場合に車両Vの車内物VIに接触してもよい。
【0070】
また、上述した実施形態において、施錠部40は、鍵を用いて施錠が行われる。しかし、施錠部40の施錠方式は鍵を用いた方法に限定されない。例えば、施錠部40は、ダイヤルを暗証番号から異ならせることで施錠し、暗証番号に合わせることで開錠するものであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 第1棒状部
11 本体部
20 第2棒状部
21 本体部
23 光源部
30 連結部
31 棒状体
40 施錠部
41 鍵挿入口
100 ハンドルロック
B 裏側
F 表側
H ハンドル
HR 外枠部
S 空間部
V 車両
VI 車内物