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▶ ダイムラー トラック エージーの特許一覧

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  • 特開-車両のドア構造 図1
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  • 特開-車両のドア構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060946
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車両のドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/217 20170101AFI20240425BHJP
   B62D 37/02 20060101ALI20240425BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240425BHJP
   B60Q 3/44 20170101ALI20240425BHJP
   B60Q 3/54 20170101ALI20240425BHJP
   B60Q 3/60 20170101ALI20240425BHJP
【FI】
B60Q3/217
B62D37/02 F
B60J5/04 Z
B60Q3/44
B60Q3/54
B60Q3/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168545
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】下川 政紀
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040BA01
3K040BA02
3K040GA04
3K040GB09
3K040GC14
(57)【要約】
【課題】乗降用ドアの下方にステップカバーを取り付けた車両のドア構造において、ステップランプの照射範囲を十分確保する。
【解決手段】車両のドア構造1は、ステップランプ30が下部に設けられた乗降用ドア10と、乗降用ドア10のインナパネル12に取り付けられ、乗降用ステップSを車両外方から覆うステップカバー40と、ステップカバー40のステップランプ30と対向する位置に設けられた切欠部Nと、切欠部Nとインナパネル12の下部との間に設けられ、ステップランプ30の照射範囲を調整するための照射範囲調整部50とを備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップランプが下部に設けられた乗降用ドアと、
前記乗降用ドアのインナパネルに取り付けられ、乗降用ステップを車両外方から覆うステップカバーと、
前記ステップカバーの前記ステップランプと対向する位置に設けられた切欠部と、
前記切欠部と前記インナパネルの下部との間に設けられ、前記ステップランプの照射範囲を調整するための照射範囲調整部と、を備えることを特徴とする、車両のドア構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの車高の高い車両では、乗降用ドアの下方に乗降用ステップが設けられている。乗降用ステップは、乗降用ドアよりも車両内方側に設けられているため、車両が走行しているとき、車両の側方を流れる走行風が乗降用ステップのスペースへ入り込むことによって、車両側方からの後方への走行風の流れが滞り、走行中における空気抵抗が増加することがある。
【0003】
そこで、下記特許文献1に記載のように、乗降用ドアの下方に乗降用ステップを覆うステップカバーを設けることにより、車両の走行中における空気抵抗を低減させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-065429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乗降用ドアへのステップカバーの取り付けは、意匠性なども考慮され、乗降用ドアのインナパネルに取り付けられることが考えられる。乗降用ドアの下部に乗降用ステップを照射するステップランプを設けていることがあるが、ステップカバーとステップランプの照射エリアが干渉することによってステップランプの照射範囲を狭めてしまう懸念があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、乗降用ドアの下方にステップカバーを取り付けた車両のドア構造において、ステップランプの照射範囲を十分確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0008】
本適用例に係る車両のドア構造は、ステップランプが下部に設けられた乗降用ドアと、前記乗降用ドアのインナパネルに取り付けられ、乗降用ステップを車両外方から覆うステップカバーと、前記ステップカバーの前記ステップランプと対向する位置に設けられた切欠部と、前記切欠部と前記インナパネルの下部との間に設けられ、前記ステップランプの照射範囲を調整するための照射範囲調整部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、ステップカバーにおいてステップランプに対向する位置に切欠部を設けたことにより、ステップランプから照射される照射光を切欠部から地面及び乗降用ステップまで到達させることができる。さらには、切欠部とインナパネルの下部との間においてステップランプの照射範囲を調整するための照射範囲調整部を設けたことにより、ステップランプから照射される照射光を照射範囲調整部により拡散、方向調整又は集約することができる。よって、地面及び乗降用ステップにおいてステップランプによる照射範囲を十分に確保することができる。
【0010】
このように、本発明によれば、乗降用ドアの下方にステップカバーを取り付けた車両のドア構造において、ステップランプの照射範囲を十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る車両のドア構造の一実施形態を適用したトラックの側面図である。
図2図1に示すA-A線に沿う概略断面図である。
図3】ステップカバーを示す側面図である。
図4図2に示す内部空間Xを拡大して示す部分拡大概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図1図4を適宜参照しつつ、本発明に係る車両のドア構造の一実施形態における構成、動作及び効果について説明する。
【0013】
(車両のドア構造の構成)
図1に示すトラック100は、その側面において本実施形態に係る車両のドア構造1を備えるものである。以下において、「外面」とはトラック100の車外側の面を意味しており、「内面」とはトラック100の車内側の面を意味している。図2に示すように、車両のドア構造1は、乗降用ドア10と、補強プレート20と、ステップライト30と、ステップカバー40と、照射範囲調整部50とを備えている。なお、各図は理解しやすくするため実際の構造よりも簡略化し、部分的に拡大又は縮小して示している。
【0014】
乗降用ドア10は、図1に示すトラック100の側面における乗降用の開閉可能なドアであり、車外側のアウタパネル11と車内側のインナパネル12とを備えている。インナパネル12の取付手段としては、例えば接着剤とヘミング曲げ等によってアウタパネル11に固定することが挙げられる。
【0015】
図2に示すように、補強プレート20は、車両のドア構造1における全体の剛性を高めるための平板部材である。補強プレート20は、乗降用ドア10の内部においてインナパネル12の外面に当接するように設けられている。補強プレート20の取付手段としては、例えばスポット溶接等によりインナパネル12に固定することが挙げられる
【0016】
ステップランプ30は、照射光Lを照射するための光源であってインナパネル12の下部に設けられており、乗降用ドア10が開かれていると乗降用ステップS及び地面Eを照射する。なお、ステップランプ30のON及びOFFについては、例えばトラック100の運転席付近に設けられるステップランプスイッチ(図示せず)を操作することにより切り替えることもできる。そのようなステップランプスイッチを操作することで、乗降用ドア10が閉じられている際にも乗降用ステップSを照らすことができる。ステップランプ30としては、例えば照射光Lの照射方向を調整可能なものを使用することができる。
【0017】
図2に示すように、ステップカバー40は、平板状の取付部41と、平板状のカバー部42と、取付部41及びカバー部42を連結する連結部43とを備えている。ステップカバー40は、取付部41においてインナパネル12の内面に取り付けられ、カバー部42において乗降用ステップSを車外側から覆っている。カバー部42は、乗降用ドア10の下方に位置している。インナパネル12は、補強プレート20とステップカバー40の取付部41とにより挟持されている。図3に示すように、ステップカバー40の全体における側面は長方形である。ステップカバー40の全体における正面は、図2に示すA-A線(図1図3)断面と同様に連結部43において部分的に屈曲している形状となっている。
【0018】
ステップカバー40の材料としては、例えば、その内面側に板金を使用し、かつ、その外面側に樹脂を使用することができる。ステップカバー40の取付手段としては、例えば、補強プレート20及びインナパネル12とまとめてボルトにより固定することが挙げられる。図2に示すように、乗降用ドア10が閉じられている際には、ステップカバー40のカバー部42における内面は、乗降用ステップSの外面に対向し、一部当接するようになっている。
【0019】
図2及び図3に示すように、ステップカバー40には、ステップランプ30に対向する位置に矩形の開口である切欠部Nが設けられている。切欠部Nは、ステップカバー40の屈曲箇所である連結部43に設けられており、水平方向から45°以下の範囲において傾斜するように延在している。切欠部Nの位置は、トラック100の車外側から車内側に向かうにつれて上昇するようになっている。
【0020】
図2及び図4に示すように、照射範囲調整部50は、ステップランプ30の照射範囲を調整するために、切欠部Nと乗降用ドア10の車外側下部との間に設けられており、言い換えると切欠部Nとインナパネル12の車外側下部との間に設けられている。照射範囲調整部50は、インナパネル12とステップカバー40の連結部43とにより構成される内部空間Xにおいて、第1反射板51と第2反射板52と第3反射板53とを備えている。
【0021】
第1反射板51、第2反射板52及び第3反射板53は、切欠部Nの車外側の3辺に沿って、内部空間Xにおいて、それぞれステップカバー40の連結部43における外面から鉛直上方に突出するように設けられている。第1反射板51の一端には第2反射板52が設けられており、第1反射板51の他端には第3反射板53が設けられている。これにより、第2反射板52と第3反射板53とは互いに対向している。第1反射板51、第2反射板52及び第3反射板53としては、光を反射させることができるものであれば使用することができ、例えばガラスビーズタイプ又はプリズムレンズタイプを使用することができる。
【0022】
(車両のドア構造における動作)
次に、車両のドア構造1における動作について説明する。ステップランプ30がOFFからONにされると、ステップランプ30からの照射光Lが、第1反射板51、第2反射板52及び第3反射板53により拡散、方向調整又は集約されて切欠部Nを通過する。このため、乗降用ドア10が開かれると照射光Lが乗降用ステップS及び地面Eに照射される。
【0023】
(車両のドア構造1における効果)
車両のドア構造1によれば、ステップカバー40においてステップランプ30に対向する位置に切欠部Nを設けたことにより、ステップランプ30から照射される照射光Lを切欠部Nから地面E及び乗降用ステップSまで到達させることができる。さらには、切欠部Nとインナパネル12の下部との間においてステップランプ30の照射範囲を調整するための照射範囲調整部50を設けたことにより、ステップランプ30から照射される照射光Lを照射範囲調整部50により拡散、方向調整又は集約することができる。よって、地面E及び乗降用ステップSにおいてステップランプ30による照射範囲を十分に確保することができる。
【0024】
車両のドア構造1によれば、インナパネル12を補強プレート20とステップカバー40とにより挟持しているため、ステップカバー40に作用する重力によってもインナパネル12が下方に引きずられることがなく、インナパネル12を損傷させることなくステップカバー40を保持することができる。このため、インナパネル12の厚みを薄くしたり、ステップカバー40の重量を増加した場合であっても、インナパネル12を損傷させることなくステップカバー40を保持することができる。よって、インナパネル12及びステップカバー40の製造段階において、インナパネル12の厚みを薄くしたりステップカバー40の重量を増加したりするなど、インナパネル12及びステップカバー40の寸法及び重量等を車両の車種、寸法及び構造等に合わせて調整することができる。
【0025】
車両のドア構造1によれば、インナパネル12とステップカバー40とにより構成された内部空間Xに照射範囲調整部50を設けるものであるため、インナパネル12にステップカバー40を取り付けるだけで、照射範囲調整部50を設ける空間を確保することができる。よって、車両のドア構造1に照射範囲調整部50を容易に備えつけることができる。さらには、内部空間Xに照射範囲調整部50を設けるものであるため、照射範囲調整部50がトラック100の乗員からの視界に入りにくく、トラック100の内部美観を高く維持することができる。
【0026】
車両のドア構造1によれば、切欠部Nは、水平方向から45°以下の範囲において傾斜するように延在しており、トラック100の車外側から車内側に向かうにつれて上昇するようになっている。これにより、トラック100の乗員は、体を曲げて切欠部Nを下方からのぞき込まない限り、切欠部Nを介して照射範囲調整部50を視認することができない。よって、車両のドア構造1によれば、トラック100の内部の美観をさらに高く維持することができる。
【0027】
車両のドア構造1によれば、ステップカバー40の内面が乗降用ステップSの外面に対向しているため、走行風はステップカバー40が妨げとなってトラック100の車内における乗降用ステップSの上方に入り込まないようになっている。よって、トラック100の走行が走行風により妨げられることを抑制することができるため、トラック100の燃費をさらに高めることができる。
【0028】
(その他)
以上で本発明に係る車両のドア構造の一実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限定されるものではない。
【0029】
上記実施形態においては、図2に示すように、乗降用ドア10が閉じられている際には、ステップカバー40のカバー部42が乗降用ステップSの外面に一部当接しているが、カバー部42が乗降用ステップSの外面に対して車外側に微小距離だけ離間していてもよい。また、上記実施形態においては、ステップカバー40の連結部43は、正面視において屈曲しているが、取付部41とカバー部42とを連結していれば特に形状については限定されず、例えば正面視で直線状又は階段状であってもよい。
【0030】
上記実施形態においては、図4に示すように、照射範囲調整部50として第1反射板51、第2反射板52及び第3反射板53の3つの反射板を設けているが、照射範囲調整部50として2つ以下の反射板又は4つ以上の反射板を設けてもよい。また、上記実施形態においては、第1反射板51、第2反射板52及び第3反射板53がステップカバー40の連結部43から鉛直上方に突出しているが、ステップランプ30からの照射光Lの照射方向に合わせて突出方向を変えてもよい。
【0031】
上記実施形態においては、図1に示すように車両のドア構造1を適用したトラック100について説明したが、車両のドア構造1をトラック以外の車両(例えばバス等の大型車両)に適用することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 車両のドア構造
10 乗降用ドア
11 アウタパネル
12 インナパネル
20 補強プレート
30 ステップランプ
40 ステップカバー
41 取付部
42 カバー部
43 連結部
50 照射範囲調整部
51 第1反射板
52 第2反射板
53 第3反射板
100 トラック
E 地面
L 照明光
N 切欠部
S 乗降用ステップ
X 内部空間
図1
図2
図3
図4