(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006095
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】割付プログラムおよび割付システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20240110BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20240110BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/12
G06F3/0484
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106663
(22)【出願日】2022-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】593004843
【氏名又は名称】メークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131657
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 律次
(72)【発明者】
【氏名】森山 雅明
(72)【発明者】
【氏名】永井 英次
(72)【発明者】
【氏名】植木 泰人
【テーマコード(参考)】
5B146
5E555
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DE03
5B146DE12
5B146DE13
5B146DG02
5B146DG05
5E555AA79
5E555BA02
5E555BA70
5E555BB02
5E555BC18
5E555CA24
5E555CB02
5E555DB41
5E555DB51
5E555DB56
5E555DD07
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 ユニット鉄筋の断面とユニット鉄筋の配置からジョイント筋を自動で計算して割り付けることができる割付プログラムおよび割付システムを提供すること。
【解決手段】 表示手段と、スケール調整手段と、使用するユニット鉄筋を決定する使用ユニット決定手段と、作図グリッドの交点で表されるグリッド点のうち指定される少なくとも2点によって規定される範囲を割付範囲として決定する割付範囲決定手段と、使用ユニット決定手段によって決定されたユニット鉄筋と、割付範囲決定手段によって決定された割付範囲に基づいて、ユニット鉄筋を割り付けるユニット鉄筋自動割付手段と、割り付けられたユニット鉄筋同士を接続するためのジョイント筋を、当該ユニット鉄筋の配置とユニット鉄筋の種類から割り付けるジョイント筋自動割付手段を備える割付システムおよび当該割付システムとしてコンピュータを機能させる割付プログラム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎伏図を一定の間隔で並ぶ線を表す作図グリッドと重ねて画面に表示する表示手段と、
作業者からの指示に基づいて、前記基礎伏図と重ねて表示された作図グリッドが表すグリッド線の間隔を調整するスケール調整手段と、
作業者からの指示に基づいて、使用するユニット鉄筋を決定する使用ユニット決定手段と、
前記作図グリッドの交点で表されるグリッド点のうち、作業者によって指定される少なくとも2点によって規定される範囲をユニット鉄筋の割付範囲として決定する割付範囲決定手段と、
前記使用ユニット決定手段によって決定されたユニット鉄筋と、前記割付範囲決定手段によって決定された割付範囲に基づいて、基礎を構成するユニット鉄筋を割り付けるユニット鉄筋自動割付手段と、
割り付けられたユニット鉄筋同士を接続するためのジョイント筋を、当該ユニット鉄筋の情報と配置に基づいて割り付けるジョイント筋自動割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする割付プログラム。
【請求項2】
前記作図グリッドで表される範囲のうち、作業者によって指定される範囲をスラブ筋の割付範囲として決定するスラブ筋割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項3】
作業者によって指定されるユニット鉄筋の範囲と当該ユニット鉄筋の情報に基づいて補強筋を割り付ける補強筋割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項4】
割り付けたユニット鉄筋およびジョイント筋の割付結果に基づいて、ユニット鉄筋とジョイント筋の必要量を積算する積算手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項5】
作業者からの指示に基づいて、選択された位置に関する割付結果を前記画面に表示する割付結果出力手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項6】
画面上の任意の位置にマーカーを表示するマーカー追加手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項7】
前記ユニット鉄筋およびジョイント筋の割付結果に基づいて割付図のデータを出力する割付図出力手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項8】
作業者からの指示に基づいて使用する1以上のユニット鉄筋を選択し、前記使用ユニット決定手段で決定するユニット鉄筋を作業者が選択可能に画面に表示する使用ユニット選択手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項9】
前記使用ユニット選択手段は、作業者からの指示に基づいて選択された建築メーカーに基づくユニット鉄筋を選択するものであることを特徴とする請求項8記載の割付プログラム。
【請求項10】
作業者からの指示に基づいて使用する副資材を割り付ける副資材割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項11】
前記表示手段は、作業者からの指示に基づいて使用する基礎伏図ごとに画面を切り替えて表示するものであることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項12】
画面上の任意の位置にコメントを入力して表示するコメント入力手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項13】
作業者からの指示に基づいて前記ユニット鉄筋又は前記ジョイント筋の割り付けを編集する割付編集手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の各手段を備えることを特徴とする割付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット鉄筋に関する割付プログラムおよび割付システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の基礎には、工期やコスト、品質の安定性の観点から、工場で予め複数本の鉄筋を縦横に格子状に組んで製造したユニット鉄筋が用いられている。当該ユニット鉄筋としては、基礎の形や強度に応じて複数種類のものが必要となる。したがって従来は、基礎のユニット鉄筋の長さや種類を選択するにあたって、設計担当者等が構造計算により求められた基礎のユニット鉄筋の割付パターンの図から、手作業で各種ユニット鉄筋の割付を行っていた。しかし、この割付け作業には多大な労力と時間を要する。そこで、建築物の基礎伏図に基づいて、ユニット鉄筋の自動割付処理を実行するように構成した設計支援プログラムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の設計支援プログラムでは、ユニット鉄筋間を接続するためのジョイント筋を予めマスタ登録しているパターンと照合しているため、合致するジョイント筋がない場合は、別途作業者が登録する必要があり面倒であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、ユニット鉄筋とジョイント筋の組み合わせに関するマスタ登録が不要で、ユニット鉄筋の構造とユニット鉄筋の配置から、ジョイント筋を自動で計算して割り付けることができる割付プログラムおよび割付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の割付プログラムは、基礎伏図を一定の間隔で並ぶ線を表す作図グリッドと重ねて画面に表示する表示手段と、作業者からの指示に基づいて、前記基礎伏図と重ねて表示された作図グリッドが表すグリッド線の間隔を調整するスケール調整手段と、作業者からの指示に基づいて、使用するユニット鉄筋を決定する使用ユニット決定手段と、前記作図グリッドの交点で表されるグリッド点のうち、作業者によって指定される少なくとも2点によって規定される範囲をユニット鉄筋の割付範囲として決定する割付範囲決定手段と、前記使用ユニット決定手段によって決定されたユニット鉄筋と、前記割付範囲決定手段によって決定された割付範囲に基づいて、基礎を構成するユニット鉄筋を割り付けるユニット鉄筋自動割付手段と、割り付けられたユニット鉄筋同士を接続するためのジョイント筋を、当該ユニット鉄筋の情報と配置から割り付けるジョイント筋自動割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0007】
この場合、本発明の割付プログラムは、前記作図グリッドで表される範囲のうち、作業者によって指定される範囲をスラブ筋の割付範囲として決定するスラブ筋割付手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0008】
また、本発明の割付プログラムは、作業者によって指定されるユニット鉄筋の範囲と当該ユニット鉄筋の種類に基づいて補強筋を割り付ける補強筋割付手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0009】
また、本発明の割付プログラムは、割り付けたユニット鉄筋およびジョイント筋の割付結果に基づいて、ユニット鉄筋とジョイント筋の必要量を積算する積算手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0010】
また、本発明の割付プログラムは、作業者からの指示に基づいて、選択された位置に関する割付結果を前記画面に表示する割付結果出力手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0011】
また、本発明の割付プログラムは、画面上の任意の位置にマーカーを表示するマーカー追加手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0012】
また、本発明の割付プログラムは、前記ユニット鉄筋およびジョイント筋の割付結果に基づいて割付図のデータを出力する割付図出力手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0013】
また、本発明の割付プログラムは、作業者からの指示に基づいて使用する1以上のユニット鉄筋を選択し、前記使用ユニット決定手段で決定するユニット鉄筋を作業者が選択可能に画面に表示する使用ユニット選択手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0014】
また、前記使用ユニット選択手段は、作業者からの指示に基づいて選択された建築メーカーに基づくユニット鉄筋を選択するものであってもよい。
【0015】
また、本発明の割付プログラムは、作業者からの指示に基づいて使用する副資材を割り付ける副資材割付手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0016】
また、前記表示手段は、作業者からの指示に基づいて使用する基礎伏図ごとに画面を切り替えて表示するものであるものであってもよい。
【0017】
また、本発明の割付プログラムは、画面上の任意の位置にコメントを入力して表示するコメント入力手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0018】
また、本発明の割付プログラムは、作業者からの指示に基づいて前記ユニット鉄筋又は前記ジョイント筋の割り付けを編集する割付編集手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0019】
また、本発明の割付システムは、上述した表示手段、スケール調整手段、使用ユニット決定手段、割付範囲決定手段、ユニット鉄筋自動割付手段、ジョイント筋自動割付手段を備えることを特徴とするものである。また、本発明の割付システムは、上述したスラブ筋割付手段、補強筋割付手段、積算手段、割付結果出力手段、マーカー追加手段、割付図出力手段、使用ユニット選択手段、副資材割付手段、コメント入力手段、割付編集手段を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の割付プログラムおよび割付システムは、ユニット鉄筋とジョイント筋の組み合わせに関するマスタ登録が不要で、ユニット鉄筋の構造とユニット鉄筋の配置から、ジョイント筋を自動で計算して割り付けることができるので、その状況に適したジョイント筋を簡単に割り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】本発明の割付プログラムのステップを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の表示ステップの作業画面を示す図である。
【
図5】本発明のスケール調整ステップの作業画面を示す図である。
【
図6】本発明の割付範囲決定ステップの作業画面を示す図である。
【
図7】本発明の入力ステップを示すフローチャートである。
【
図8】本発明のジョイント筋自動割付ステップを示すフローチャートである。
【
図10】ユニット鉄筋の接続方向に沿った形状であるジョイント筋を示す斜視図である。
【
図12】定着長が確保できなかった場合のジョイント鉄筋を示す(a)平面図および(b)斜視図である。
【
図13】本発明の補強筋割付ステップの作業画面を示す図である。
【
図14】本発明の補強筋割付ステップを示すフローチャートである。
【
図15】本発明のスラブ筋割付ステップの作業画面を示す図である。
【
図16】本発明のスラブ筋割付ステップを示すフローチャートである。
【
図17】本発明の副資材追加ステップの作業画面を示す図である。
【
図18】本発明の副資材追加ステップを示すフローチャートである。
【
図19】本発明の割付編集ステップの作業画面を示す図である。
【
図20】本発明の割付編集ステップを示すフローチャートである。
【
図21】本発明の割付結果出力ステップの作業画面を示す図である。
【
図22】本発明のマーカー追加ステップの作業画面を示す図である。
【
図24】本発明の画面切り替えステップの作業画面を示す図である。
【
図25】本発明のコメント入力ステップの作業画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の割付システム1および当該割付システム1に用いられる割付プログラム2の実施例について説明する。ここで、割付プログラム2とは、いわゆるソフトウェアを意味する。また、割付システム1とは、当該割付プログラム2がインストールされたコンピュータやその周辺機器等のハードウェアを意味する。
図1は、本発明の割付プログラム2がインストールされた割付システム1の電気的構成を模式的に示すブロック図である。
【0023】
<割付システム>
割付システム1は、基礎伏
図35(
図2参照)に基づいて、作業者が基礎を構成するユニット鉄筋5やジョイント筋6等を割り付けたり積算したりするためのものである。コンピュータやその周辺機器等のハードウェアは、
図1に示すように、CPU11、ROM12、RAM13、記憶装置14、入力装置16、表示装置17、インターフェイス等で主に構成される。
【0024】
ここで、ユニット鉄筋5とは、工場で予め複数本の鉄筋を縦横に格子状に組んで製造したもので、主筋51、腹筋52、あばら筋53、ベース筋等で主に構成される。
【0025】
CPU11は、割付システム1を総括的に制御する中央演算処理装置であり、割付プログラム2に基づいて、
図3のフローチャートで示す各種のステップを実行するためのものである。CPU11が決定した情報(データ)は、後述するRAM13や記憶装置14に記憶される。ROM12は、CPU11により実行されるBIOS等を記憶する不揮発性のメモリである。RAM13は、起動した割付プログラム2やCPU11により実行される割付プログラム2の各種ステップに必要な情報(データ)や各種ステップで決定された情報等を一時的に記憶する揮発性のメモリである。
【0026】
インターフェイスは、CPU11とROM12、RAM13、記憶装置14、入力装置16、表示装置17、スキャナ、プリンタ、タブレットなどの外部装置を有線接続又は無線接続するためのものである。
【0027】
記憶装置14は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等の書換可能な不揮発性のメモリを意味し、割付プログラム2やデータベース21等を記憶する。また、割付プログラム2やCPU11により実行される割付プログラム2の各種ステップに必要な情報(データ)や各種ステップで決定された情報等が記憶されることもある。また、図示しないが、Windows等の基本ソフト(OS)や、JavaやJRuby等のインタープリタを記憶していてもよい。また、記憶装置14としては、コンピュータに内蔵のものであってもよいし、外部サーバー上にあってもよい。外部サーバーを用いれば、複数のPCで複数の作業者が割付プログラム2を使用することができる。
【0028】
割付システム1は、割付プログラム2に従って、
図3のフローチャートに示す各ステップを実行する。各ステップの詳細は後述する。
【0029】
データベース21には、本発明の割付システム1および割付プログラム2が使用する各種の情報が記憶されている。例えば、ユニット鉄筋5に関しては、ユニット鉄筋5の識別情報や当該ユニット鉄筋を構成する主筋51、腹筋52、あばら筋53、ベース筋等の識別情報、径、高さ、本数が記憶されている。ここで高さとは、ユニット鉄筋ごとに決められたグランドレベル(Ground Level)と呼ばれる垂直方向の位置を基準とした主筋51、腹筋52、あばら筋53、ベース筋等の高さを意味する。データベース21には、この他、ジョイント筋6の識別情報や径、補強筋の識別情報や径、スラブ筋の識別情報や径、副資材の識別情報等に関する情報、基礎やその他の構成に必要な鉄筋の必要量を積算するために用いられる各種の値を含む情報なども記憶されている。また、データベース21に登録されていないものについては、作業者が基礎伏
図35等から使用するユニット鉄筋5の鉄筋径や高さ等の情報を読み取ってデータベース21に事前に登録することも可能である。なお、当該データベース21は、割付プログラム2のための専用のものであってもよいし、他のソフトウェアのデータベースと共用するものであってもよい。
【0030】
また、各建築メーカーはそれぞれ独自の基準を採用しており、合わせる鉄筋径等も建築メーカーごとの仕様で決まるため、基礎の断面形状が同一であっても、建築メーカーが異なると、使用するユニット鉄筋5や適用すべきジョイント筋6が異なる場合がある。また、建築メーカーによっては、通常使用されるユニット鉄筋5が決まっている場合もある。更に、同一の建築メーカーでも、複数の仕様を用いている場合もある。こうした建築メーカーに関しては、通常使用されるユニット鉄筋5を建築メーカーの各仕様と関連付けてデータベース21に事前に登録しておくことも可能である。これにより、建築メーカーの仕様を選択するだけで、いちいちユニット鉄筋を選択することなく割付を行うことができ、選択ミスも防ぐことができる。
【0031】
入力装置16は、例えば、キーボードやマウス等が該当し、作業者の指示を割付システム1に入力するためのものである。表示装置17は、画面を有し、CPU11からの信号に従い、割付システム1における作業用の画面(以下、作業画面30という。)や当該作業画面30上における作業状態等を表示出力するためのもので、例えば、液晶ディスプレイ等が該当する。
【0032】
次に、本発明の割付システム1を機能させる各ステップについて
図3のフローチャートを参照して説明する。割付システム1は、割付プログラム2に従って各ステップを実行する。割付プログラム2は、使用ユニット選択ステップS1、表示ステップS2、スケール調整ステップS3、入力ステップS4、割付図出力ステップS6等を割付システムのコンピュータに実行させる。割付プログラム2が起動されると、CPU11は、作業者の指示に基づき又は自動でこれらの各ステップの実行を開始する。各ステップでは、作業画面30(
図4参照)を表示装置17に表示する。
【0033】
図4は、割付処理において表示装置17の画面に表示する作業画面30の一例を示す図である。
図4に示すように作業画面30には、画面右部に設けられたメニューエリア31と、画面左部に設けられた作図エリア32と、画面上部に設けられたメニューバー33を含む。
【0034】
メニューエリア31は、割り付けに関連する複数の操作ボタンやラジオボタン、チェックボックス等を表示するエリアである。作業者は、任意の操作ボタン等にマウスポインタをあて、クリックするという操作を行うことで、その操作ボタンに割り当てられている機能の選択や実行を指示することができる。
【0035】
作図エリア32は、一定の間隔で縦横に並ぶグリッド線からなる作図グリッド321を表示するエリアである。なお、作図グリッド321の交点の1つ1つを、本実施例ではグリッド点322という。CPU11は、作業画面30の左下角を原点、横方向をX軸方向、縦方向をY軸方向とするXY座標系を設定し、座標で表される位置情報を用いて、作業画面30における各位置を管理する。したがって、作業画面30内にマウスポインタがあてられ、クリックされた場合、CPU11は位置情報により、指示されたグリッド点322等を特定することができる。
【0036】
メニューバー33は、記憶しておいたファイルの選択やデータの出力、マーカーの使用等をするためのメニューを表示するバーである。
【0037】
<使用ユニット選択ステップS1>
使用ユニット選択ステップS1は、作業者からの指示に基づいて使用する1以上のユニット鉄筋5を選択し、後述する使用ユニット決定手段で決定するユニット鉄筋5を作業者が選択可能に画面に表示する使用ユニット選択手段としてコンピュータを機能させるステップである。割付システムのデータベース21には、ユニット鉄筋5の主筋51や腹筋52の径や高さ等、ユニット鉄筋の構成に関する情報が事前に登録されている。
【0038】
作業者は、所定の操作に基づいて、データベース21から、割付に使用する1以上のユニット鉄筋5を選択する。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて割付に使用する1以上のユニット鉄筋5を決定する。また、CPU11は、
図4に示すように、メニューエリア31に、後述する使用ユニット決定手段で決定するユニット鉄筋5を選択可能なラジオボタン310とユニット鉄筋名を表示する。これにより作業者は、当該ラジオボタン310を選択するだけで簡単に所定のユニット鉄筋5を割り付けることができるので、ユニット鉄筋5の情報を割付時に入力する必要がなく、入力ミスも防ぐことができる。
【0039】
また、ユニット鉄筋5は、上述したように、建築メーカーごとに仕様が異なり、通常使用されるユニット鉄筋5が決まっている場合もある。このような場合には、使用ユニット選択ステップS1は、作業者からの指示に基づいて建築メーカーの仕様を選択することにより、当該建築メーカーに関連付けられたユニット鉄筋5を選択しメニューエリア31に表示するものであってもよい。これにより、データベース21に記憶された建築メーカーの仕様に関連付けられたユニット鉄筋5がデフォルトで選択されるため、いちいちユニット鉄筋5を選択する必要がなく、選択ミスを防ぐこともできる。なお、建築メーカーの仕様とユニット鉄筋5の関連付けは、作業者によってデータベース21に事前に登録される。
【0040】
<表示ステップS2>
表示ステップS2は、作業者からの指示に基づいて、基礎伏
図35を一定の間隔で並ぶ線を表す作図グリッド321と重ねて表示装置17の画面に表示する表示手段としてコンピュータを機能させるステップである。ここで、割付処理で用いられる基礎伏
図35について、予め説明しておく。
図2は、基礎伏
図35の一例を示す図である。基礎伏
図35は、建築物の基礎36の配置や大きさを詳細に書き表した図である。基礎伏
図35には、建築の基本寸法を表すための縦横のモジュール線351が図示されている。この基礎伏
図35は、紙に描かれた状態で、あるいはビットマップやPDF等の画像データとして、ユニット鉄筋5の割付を決定する作業者へ渡される。
【0041】
作業者は、この基礎伏
図35の画像データを、予め割付システム1の記憶装置14に保存する。基礎伏
図35が紙媒体である場合には、例えばスキャナ等で読み取ってビットマップ等の画像データに変換し、割付システム1の記憶装置14等に保存すればよい。
【0042】
次に、作業者は、保存しておいた基礎伏
図35の画像データを選択して割付システム1に読み込む。するとCPU11は、基礎伏
図35の画像データをRAM13に記憶した上で、作図エリア32の作図グリッド321に重ねて当該基礎伏
図35を表示する。
図4に示すように、作図エリア32に基礎伏
図35を表示することにより、背景のように表示された基礎伏
図35に重ねて作図グリッド321が表示された状態となる。なお、当該作図グリッド321の間隔は、割り付けに用いる寸法単位を表す。当該寸法単位は事前に登録され、例えば、尺モジュールである場合には、その間隔は910mmを表し、メートルモジュールである場合には、その間隔は1000mmを表す。
【0043】
なお、表示手段は、作業者のキーやマウス等の操作に基づいて、基礎伏
図35に対する作図グリッド321の位置や比率は同じままで、作図エリア32に表示されている基礎伏
図35および作図グリッド321の大きさを拡大又は縮小したり、位置を移動させたりすることも可能である。
【0044】
なお、物件によっては、
図24(a)、(b)に示すように、基礎の内容によって基礎伏
図35が複数に分かれていることがある。この場合、複数の基礎伏
図35を取り込んで、入力するものに合わせて、基礎伏
図35を切り替えて作業をしたい場合もある。そこで、本発明の表示手段は、作業者からの指示に基づいて使用する基礎伏
図35ごとに画面を切り替えて表示するものであってもよい。この場合、CPU11は、表示ステップS2でRAM13に記憶した複数の基礎伏
図35の中から作業者の指示に基づいて使用する基礎伏
図35を作図グリッド321に重ねて作図エリア32に表示する。作業者の指示は、例えば、メニューエリア31の画面切り替えボタン311をクリックして使用したい画面番号を選択する等の所定の操作によって行えばよい。
【0045】
<スケール調整ステップS3>
スケール調整ステップS3は、作業者からの指示に基づいて、基礎伏
図35と重ねて表示された作図グリッド321が表すグリッド線の間隔を調整するスケール調整手段としてコンピュータを機能させるステップである。基礎伏
図35に書き表されたモジュール線351は、尺モジュールである場合には、その間隔が910mmで表され、メートルモジュールである場合には、その間隔が1000mmで表されている。しかしながら、基礎伏
図35は画像データで表されているので、そのままではモジュール線351が表現する間隔をデジタルデータとして演算処理に利用することはできない。そこで、基礎伏
図35の寸法単位であるモジュール線351の間隔に合わせて、作図エリア32の寸法単位であるグリッド線の間隔を作業者に調整させ、グリッド線の間隔を利用して、作図エリア32上の寸法をデジタルデータで取り扱えるようにする必要がある。
【0046】
まず作業者は、基礎伏
図35のモジュール線351の位置と間隔を指示する。するとCPU11は、当該位置と間隔に基づいて作図エリア32におけるグリッド線の位置と間隔を、基礎伏
図35のモジュール線351と一致するように調整する。
【0047】
図4、
図5を参照して、作図グリッド321の調整の手順を具体的に説明する。
図4は、作図グリッド321を調整する前の作図エリア32を示す図である。作業者は、
図5(a)に示すように、まず基礎伏
図35に図示されたモジュール線351の交点の任意の2点、例えば、左下隅LDと右上隅RUを指定する。当該指定はどのようにしてもよいが、例えば、基礎伏
図35に表されたモジュール線351の交点の左下隅LDにマウスポインタを合わせてクリックすると共に、モジュール線351の交点の右上隅RUにマウスポインタを合わせてクリックすればよい。すると、CPU11は、基礎伏
図35に表された左下隅LDと右下隅RUとで特定される矩形の範囲を、作図エリア32におけるグリッド線で特定される矩形の範囲と一致させる。
【0048】
また、CPU11は、例えば
図5(a)に示すように、左上隅LUと、右下隅RDとの間の水平方向(X方向)のモジュール線351の数を入力するためのメニューを表示して、当該数を作業者に入力させる。作業者がモジュール線351の数を入力すると、CPU11は、作業者によって入力された数と、先程決定した矩形の範囲におけるグリッド線の数が一致するように、作図グリッド321全体の間隔を自動調整する。また、CPU11は、決定した矩形の範囲の左下隅LDをグリッド点322aと一致させる。
図5(b)は、グリッド線とモジュール線351の位置を調整した後の作図エリア32の状態を示す図である。このように、CPU11は、モジュール線351とグリッド線を一致させることができるので、グリッド点によってユニット鉄筋5やジョイント筋6等の位置を決定したり、グリッド点間の距離からユニット鉄筋5やジョイント筋6等の長さを決定したりすることができる。
【0049】
なお、本発明の割付システムは、モジュール線351間を分割した位置にグリッド線の数を増やすグリッド調整手段としてコンピュータを機能させるグリッド調整ステップを有していてもよい。これにより、モジュール間隔より細かい位置入力を可能とすることができる。例えば、
図5に示すように、メニューエリア31の右上にあるラジオボタン312は、デフォルトでは1/1となっており、モジュール線351の数とグリッド線の数は一致している。作業者が、ラジオボタン312の「1/2」、「1/4」、「1/5」をマウスポインタ等でチェックし選択すると、CPU11は、モジュール線351を1/2、1/4、1/5に分割する位置へグリッド線を増やす。また、作業者がモジュール線351に対するグリッド線の位置をずらしたいときもある。グリッド調整手段は、モジュール線351とグリッド線の相対的な位置を自由に移動させる機能を有していてもよい。この場合には、作業者がラジオボタン312の「free」を選択し、移動させたい数値を入力すれば、CPU11は、当該数値に基づいてモジュール線351とグリッド線の相対的な位置を移動する。また、作業者がモジュール線351に対するグリッド線の位置をx方向又はy方向に具体的な数値としてずらしたいときもある。この場合、作業者が「x:」又は「y:」の後ろの窓313に数値を入力すれば、CPU11は、入力された数値に基づいてグリッド線の位置をx方向又はy方向にずらす。
【0050】
<入力ステップS4>
入力ステップS4は、作業者からの指示に基づいて、コンピュータを使用ユニット決定手段として機能させる使用ユニット決定ステップS41と、割付範囲決定手段として機能させる割付範囲決定ステップS42と、を有する。また、入力ステップS4は、その他にもコンピュータを補強筋割付手段として機能させる補強筋割付ステップS45、スラブ筋割付手段として機能させるスラブ筋割付ステップS46、副資材追加手段として機能させる副資材追加ステップS47、マーカー追加手段として機能させるマーカー追加ステップ、割付編集手段として機能させる割付編集ステップS48を有していてもよい。
【0051】
<使用ユニット決定ステップS41>
使用ユニット決定ステップS41は、作業者からの指示に基づいて使用するユニット鉄筋5を決定する使用ユニット決定手段としてコンピュータを機能させるステップである。
【0052】
作業者は、所定の操作によって割付に使用するユニット鉄筋5を決定する。ユニット鉄筋5を決定するための操作はどのようなものでもよいが、例えば、使用ユニット選択ステップS1で説明したように、選択されたユニット鉄筋5は、ラジオボタン313とユニット鉄筋名がメニューエリア31に表示されている。したがって、作業者は、
図6(a)に示すように、使用したいユニット鉄筋名が表示されているラジオボタンにマウスを合わせてクリックし決定すればよい。するとCPU11は、選択されたユニット鉄筋5を割付範囲に使用する鉄筋として決定する。
【0053】
<割付範囲決定ステップS42>
割付範囲決定ステップS42は、作図グリッド321の交点で表されるグリッド点322のうち、作業者によって指定される少なくとも2点によって規定される範囲を割付範囲として決定する割付範囲決定手段としてコンピュータを機能させるステップである。基礎伏
図35はモジュール線351を基準として作図されるため、基礎伏
図35において、基礎は、モジュール線351上またはモジュール線351の間隔を等分割する位置に描かれている。上述したように、モジュール線351にはグリッド線が重なっており、また、モジュール線351の間隔を等分割する位置にもグリッド線を配置することができる。したがって作業者は、グリッド線やグリッド点322を指定する、という容易な操作で、基礎伏
図35に描かれた基礎に重なる割付範囲を、正確に指定することができる。
【0054】
具体的には、作業者は、作図エリア32において、背景に表示された基礎伏
図35を見ながら、
図6(a)に示すように、基礎が連続する範囲の一端のグリッド点を割付始点40として指定し、他端のグリッド点を割付終点41として指定する。するとCPU11は、割付始点40を一端とし、割付終点41を他端とする線を割付範囲として決定する。また、CPU11は、
図6(b)に示すように、その割付範囲を示す棒状のライン42を、基礎伏
図35に重ねて作図エリア32に表示する。したがって、作業者は、決定済みの割付範囲を一目で把握することができる。なお、グリッド点322の指定は、例えばマウスポインタで指示しクリックする等の所定の操作により行えばよい。この場合、グリッド点322から外れた位置がマウスポインタにより指示されても、CPU11は、マウスポインタで指示された位置の直近のグリッド点322が、割付始点40または割付終点41として指定されたものとする。したがって、グリッド点322に正確にマウスポインタを合わせる、という細かい操作をしなくても、作業者はグリッド点322を指定することができる。
【0055】
また、作業者は、複数の直線状の基礎がL字状やコ字状等に曲がって連続する場合には、基礎の任意の位置を割付始点40として指定し、基礎同士が接する頂点又は交わる交点の位置を割付中間点とし、任意の位置を割付終点41とした3点以上を指定することも可能である。この場合には、CPU11に対して指定する点が中間点であることを認識させるために、所定の操作、例えば所定のキーを押しながら指定したいグリッド点322をマウスポインタで指示しクリックすればよい。するとCPU11は、割付始点40を一端とし、中間点を他端とする線と、中間点を一端とし、割付終点41を他端とする線を割付範囲として決定し、その割付範囲を示すライン42を、基礎伏
図35に重ねて表示する。
【0056】
なお、基礎が例えば十字状に交差する部分は、交差部で連続させるユニット鉄筋と分断されるユニット鉄筋の配置に複数のパターンが生じる。このような場合には、CPU11は、どの方向のユニット鉄筋5を連続させるかをポップアップ等で表示し、連続させるユニット鉄筋5を作業者に選択させる。作業者が連続させるユニット鉄筋5を選択すると、CPU11は、作業者の選択に基づいて連続させるユニット鉄筋5を決定し、それを基に割付範囲を決定する。
【0057】
<ユニット鉄筋自動割付ステップS43>
ユニット鉄筋自動割付ステップS43とは、使用ユニット決定手段によって決定されたユニット鉄筋5と、割付範囲決定手段によって決定された割付範囲に基づいて、基礎を構成するユニット鉄筋を割り付けるユニット鉄筋自動割付手段としてコンピュータを機能させるステップである。ここでユニット鉄筋を割り付けるとは、ユニット鉄筋の位置や長さを決めることを意味する。割付範囲が決定されると、CPU11は、例えば
図7に示すようなフローに基づいて、リアルタイムでユニット鉄筋自動割付ステップS43を実行する。なお、決定された割付範囲には、直前に決定された割付範囲だけでなく、その前にすでに決定された割付範囲も含まれる。
【0058】
具体的には、CPU11は、割付範囲のユニット鉄筋5の長さが所定の最大長さ以下の場合にはユニット鉄筋5を分割しない(S431)。ここで、最大長さとは、製造機械の性能や原材料の長さ、トラックによる運搬可能な長さなどの制限によって決定されるユニット鉄筋5の最大の長さである。当該最大長さは、事前にデータベース21に登録される。CPU11は、割付範囲のユニット鉄筋5の長さが最大長さを超える場合には、分割後のユニット鉄筋5の長さが最大長さを超えない範囲で最も少ない分割数となるように割付範囲を分割する(S432)。
【0059】
また、基礎伏
図35は、建築の基本寸法を表すための縦横のモジュール線351に基づいて建築物の基礎の配置や大きさを書き表していることから、基礎に用いられるユニット鉄筋5も当該基本寸法に基づく規準長さを用いる方が製造や施工の観点から都合がよい。具体的には、尺モジュールであれば455mm、910mm、1820mm、2730mm等の長さが規準長さになる。したがって、割付範囲を分割する場合には、CPU11は、分割する長さを規準長さとし、規準外の長さが極力少なくなるように分割する組み合わせを算出する(S433)。なお、当該分割する位置を、以下、分割点という。
【0060】
また、基礎同士が交わる交点の位置を分割点にすると、当該位置の強度が弱くなる他、同じ位置にジョイント筋6等を複数配置する必要があり、施工が難しくなる。したがって、分割点が基礎同士の交点の位置となるべく重ならない方が好ましい。そこで、CPU11は、分割点が基礎同士の交点と重ならない組み合わせがある場合には、重ならない組み合わせを選出する(S434)。
【0061】
また、割り付けられるユニット鉄筋の種類は、なるべく少ない方がコスト的にも施工時の汎用性においても有利である。したがって、CPU11は、残っている組み合わせからユニット鉄筋の種類が最も少なくなる組み合わせを選択し決定する(S435)。なお、残っている組み合わせにユニット鉄筋の種類が最も少なくなる組み合わせが複数ある場合には、残っている組み合わせの中からランダムで組み合わせを選択し決定する。このようにして、CPU11は、ユニット鉄筋5の位置や長さを決定し、割り付けが終了する。
【0062】
<ジョイント筋自動割付ステップS44>
ジョイント筋自動割付ステップS44は、割り付けられたユニット鉄筋5同士を接続するためのジョイント筋6を、当該ユニット鉄筋5の情報と配置に基づいて割り付けるジョイント筋自動割付手段としてコンピュータを機能させるステップである。ここでユニット鉄筋5の情報とは、ユニット鉄筋5を構成する主筋51、腹筋52等の識別情報や径、高さに関する情報であり、上述したように、予めデータベース21に記憶されている。CPU11は、ユニット鉄筋自動割付手段や後述する割付編集手段等によってユニット鉄筋5が割り付けられると、例えば
図8に示すようなフローに基づいて、リアルタイムでジョイント筋自動割付ステップS44を実行する。ジョイント筋自動割付ステップS44の詳細については、
図9~
図12を用いて説明する。
【0063】
[中央部形状と種類決定ステップS441]
中央部形状と種類決定ステップS441は、ジョイント筋6の中央部形状とジョイント筋6の種類を決定するステップである。CPU11は、接続するユニット鉄筋5の配置からジョイント筋6の中央部形状を決定し、当該ユニット鉄筋5を構成する主筋や腹筋の高さや数から必要なジョイント筋の種類を決定する。ここで中央部形状とは、ジョイント筋6の中央部(接続するユニット鉄筋同士の接続部付近)の水平方向の形状を意味する。また、ユニット鉄筋5の高さ情報とは、当該ユニット鉄筋5を構成する主筋や腹筋のグランドレベルに対する高さに関する情報を意味する。
【0064】
CPU11は、ジョイント筋6の中央部形状を、当該ジョイント筋が接続するユニット鉄筋5同士の接続角度θと同じ角度と決定する。具体的に説明すると、例えば、ジョイント筋5が接続するユニット鉄筋5A,5B同士の配置が同方向(接続部での角度が180度)である場合には、
図9に示すように、CPU11は、ユニット鉄筋5A,5B同士の接続部におけるジョイント筋6の中央部形状を直線状(180度)であると決定する。一方、
図10に示すように、接続するユニット鉄筋5A,5B同士の配置が異なる方向(
図10では90度)である場合には、CPU11は、ユニット鉄筋5A,5B同士の接続部におけるジョイント筋6の形状をユニット鉄筋5A,5B同士の接続角度θ度(
図10では90度)で曲げられた形状であると決定する。
【0065】
また、CPU11は、ジョイント筋6が接続するユニット鉄筋5A,5Bを構成する主筋や腹筋の高さや数に関する情報から、接続に必要なジョイント筋6の種類を決定する。具体的に説明すると、例えば、接続されるユニット鉄筋5A,5Bの主筋51同士の高さが同じか否かを比較し、同じである場合には、
図9、
図10に示すように、CPU11は、主筋51、腹筋52と同数のジョイント鉄筋6(以下、直筋という)が接続に必要であると判定する。また、接続されるユニット鉄筋5A,5Bの主筋51同士の高さが異なる場合には、
図11に示すように、CPU11は、主筋51、腹筋52と同数のジョイント鉄筋6だけでなく、
図11に示すように、主筋51の高さ違いに垂直に沿ったZ状のジョイント鉄筋6Zも必要であると判定する。
【0066】
なお、ジョイント筋6の中央部形状とジョイント筋6の種類の決定はどちらを先に行ってもよい。また、あらかじめユニット鉄筋5の情報と配置によるパターン分けを割付プログラム2に記憶させておき、それに基づいてジョイント筋6の中央部形状とジョイント筋6の種類を同時に決定するようにしてもよい。
【0067】
[径決定ステップS442]
径決定ステップS442は、ジョイント筋6の径を決定するためのステップである。CPU11は、接続されるユニット鉄筋5A,5Bを構成する鉄筋同士(例えば、接続される主筋51同士や腹筋52同士)の径が同じであるか否かを判定する。接続する鉄筋同士の径が同じであると判定した場合には、CPU11は、ジョイント筋6の径を当該鉄筋の径と同じであると決定する(
図9(a)、
図10(a)参照)。一方、接続するユニット鉄筋5同士の鉄筋の径が異なると判定した場合には、CPU11は、登録されている建築メーカー等の仕様に基づいて、ジョイント筋6の径をユニット鉄筋5A又はユニット鉄筋5Bのいずれか一方の鉄筋の径と同じであると決定する。例えば、
図9(b)、
図10(b)は、鉄筋経が太い方(ユニット鉄筋5B)に基づいてジョイント筋6の径を決定したものである。このようにして主筋51および腹筋52についてそれぞれジョイント筋6の径が決定される。
【0068】
[定着長決定ステップS443]
定着長決定ステップS443は、基本となるジョイント筋6の長さを決定するためのステップである。ジョイント筋6には、接続するユニット鉄筋5の主筋51や腹筋52と重ねて強度を確保するための定着と呼ばれる長さ(以下、定着長という)が必要である。この定着長は、データベース21に登録された建築メーカーの仕様と、ジョイント筋6の径やジョイント筋6の中央部形状に基づいて予め決められている。したがって、CPU11は、ジョイント筋6の径や中央部形状と、データベース21に登録された建築メーカー等の仕様に基づいて定着長を選択し、ジョイント筋6の長さを決定する。このようにして主筋51および腹筋52についてそれぞれジョイント筋6の長さが決定される。
【0069】
[端部側形状決定ステップ]
端部側形状決定ステップは、ジョイント筋6の定着長が確保できるか否かを判定し、ジョイント筋6の端部側の形状を決定するステップである。基礎の形状によっては、接続するユニット鉄筋5の長さが短く、定着長を確保できない場合がある。例えば、
図12(a)に示すように、ユニット鉄筋5Dの長さdが定着長L1より短い(d<L1)場合には、定着長L1を確保できない。したがって、定着長L1が足りない場合には、定着長を確保するために、ジョイント筋6をユニット鉄筋5Dに接続されるユニット鉄筋5Eまで延長する必要がある。また、ユニット鉄筋の配置によっては、定着長を確保するためのユニット鉄筋がなく、水平方向にジョイント筋6を延長することができない場合もある。例えば、例えば、
図12(a)に示すように、ユニット鉄筋5Eの長さeが定着長L1より短い(e<L1)場合には、定着長L1を確保できない。また、ユニット鉄筋5Eには、水平方向に接続されるユニット鉄筋がこれ以上ない。この場合には、定着長を確保するために、ジョイント筋6をユニット鉄筋5Eの端部で垂直方向(あばら筋53の長手方向)に曲げて延長する必要がある。
【0070】
したがって、CPU11は、接続するユニット鉄筋5の長さと定着長を比較し、接続するユニット鉄筋5の長さが定着長L1以上であるか否かを判定する(S444)。CPU11は、接続するユニット鉄筋5の長さが定着長L1以上であると判定した場合には、ジョイント筋6の割り付けを終了する。この場合、ジョイント筋6の端部側の形状は直線状となる。また、CPU11は、接続するユニット鉄筋5の長さが定着長L1より短いと判定した場合には、接続するユニット鉄筋5の端部に更に接続されるユニット鉄筋5があるか否かをユニット鉄筋5の配置から判定する(S445)。CPU11は、接続するユニット鉄筋5に更に接続されるユニット鉄筋5があると判定した場合には、ジョイント筋6の端部側を、当該ユニット鉄筋5の水平方向の接続形状に沿って曲げた形状と決定する。また、CPU11は、再度ステップS444に戻り、当該形状で接続するユニット鉄筋5の長さが定着長L1以上であるか否かを判定する。
【0071】
また、CPU11は、接続するユニット鉄筋5の端部に更に接続されるユニット鉄筋5がないと判定した場合には、ジョイント筋6の端部側を、当該ユニット鉄筋5の端部に沿って垂直方向(あばら筋53の長手方向)に曲げた形状と決定し、ジョイント筋6の割り付けを終了する。
【0072】
このようにジョイント筋自動割付ステップS44では、ユニット鉄筋5の構造と建築メーカーの仕様をマスタ登録し、ユニット鉄筋5の位置を指定するだけで、ジョイント筋6の形状、長さ、本数を自動的に計算することができる。したがって、事前にユニット鉄筋5とジョイント筋6の組合せに関するマスタ登録が不要で、ユニット鉄筋5の状況に適したジョイント筋6を割り付けることができる。
【0073】
<補強筋割付ステップS45>
本発明の割付プログラム2は、作業者によって指定されるユニット鉄筋5の範囲と当該ユニット鉄筋5の情報に基づいて補強筋を割り付ける補強筋割付手段としてコンピュータを機能させる補強筋割付ステップS45を有していてもよい。補強筋とは、ユニット鉄筋5単体で強度が不足する場合に、それを補強するための鉄筋のことである。
【0074】
作業者は、補強筋を追加したい場合には、所定の操作により補強筋割付ステップS45を実行する。所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、
図13に示すように、メニューエリア31にあるラジオボタン314をチェックしたり、キーボードの所定のキーを操作したりする方法がある。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて補強筋割付ステップS45を開始する。CPU11は、例えば
図14に示すようなフローに基づいて、補強筋割付ステップS45を実行する。
【0075】
作業者は、追加する補強筋の径を指定する。補強筋の径の指定方法はどのようなものでもよいが、例えば、
図13に示すように、メニューエリア31にあるプルダウンメニュー315を操作して選択すればよい。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて追加する補強筋の径を決定する(S451)。
【0076】
次に作業者は、補強筋を追加したいユニット鉄筋5の範囲を所定の操作により指定する。例えば
図13(a)に示すように、作業者は、作図エリア32に表示されたユニット鉄筋5を見ながら、ユニット鉄筋5が連続する範囲の一端を補強筋の割付始点70として指定し、他端を割付終点71として指定する。所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、割付始点70と割付終点71としたいグリッド点322を、マウスポインタで指示しクリックする方法がある。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて補強筋を追加するユニット鉄筋5の範囲を決定する(S452)。
【0077】
ここで補強筋の長さは、作業者によって指定されたユニット鉄筋の範囲と同じ長さとする場合と、当該補強筋の両端に更に定着長分の長さを加える場合があり、CPU11は、建築メーカーの仕様により、定着長が必要か否かを決定する(S453)。定着長が不要である場合には、CPU11は、補強筋の長さを作業者によって指定されたユニット鉄筋5の範囲と同じ長さとし、補強筋割付ステップS45を終了する。
【0078】
定着長が必要である場合には、CPU11は、決定された補強筋の径に基づいて、補強筋の定着長を決定する(S454)補強筋の定着長の長さは、データベース21に登録された建築メーカーの仕様と、補強筋の径に基づいて予め決められている。したがって、CPU11は、補強筋の径と、データベース21に登録された建築メーカーの仕様に基づいて定着長を選択し、補強筋の長さを決定する。
【0079】
また、補強筋に定着長がある場合には、CPU11は、ユニット鉄筋5の配置と、決定された補強筋の定着長の長さに基づいて、補強筋の端部の形状を決定する。具体的には、CPU11は、ユニット鉄筋5の配置から、補強するユニット鉄筋5に更に接続されるユニット鉄筋5があるか否かを判定する(S455)。補強するユニット鉄筋5に更に接続されるユニット鉄筋5がある場合には、CPU11は、補強筋の端部の形状を当該接続されるユニット鉄筋5に水平方向に沿った形状であると決定し(S456)、補強筋割付ステップS45を終了する。一方、補強するユニット鉄筋5に更に接続されるユニット鉄筋5がない場合には、CPU11は、補強筋の長さを補強するユニット鉄筋5の端部までと決定し(S457)、補強筋割付ステップS45を終了する。なお、仕様によっては、補強するユニット鉄筋5に更に接続されるユニット鉄筋5がない場合に、CPU11は、補強筋の端部の形状を補強するユニット鉄筋5の端部で垂直方向に曲げた形状であると決定してもよい。
【0080】
このように、本発明の割付プログラム2は、割り付けられたユニット鉄筋5の位置に補強する範囲を指定することにより、補強筋をユニット鉄筋5に合わせて自動で割り付けることができる。なお、CPU11は、
図13(b)に示すように、その割付範囲を示す棒状のライン43を、作図エリア32の補強するユニット鉄筋5の近傍に表示する。したがって、作業者は、補強筋の割付範囲を一目で把握することができる。
【0081】
<スラブ筋割付ステップS46>
本発明の割付プログラム2は、作図グリッド321で表される範囲のうち、作業者によって指定される範囲をスラブ筋の割付範囲として決定するスラブ筋割付手段としてコンピュータを機能させるスラブ筋割付ステップS46を有していてもよい。スラブ筋とは、ベタ基礎において、ユニット鉄筋5間に敷き詰める鉄筋のことである。
【0082】
ここで作業者は、スラブ筋割付ステップS46を実行する前に、所定の操作によって、
図15(a)に示すようなスラブ筋の仕様設定画面を開き、使用する1以上のスラブ筋を事前に設定する。当該設定画面を開くための操作はどのようにしてもよいが、例えば、
図15(b)に示すように、メニューエリア31に設定ボタン316を用意しておいて、それをクリックする方法がある。設定内容には、例えば、スラブ筋の鉄筋経や当該スラブ筋を使用する場合のピッチ、フックの有無や形状、長さ等の情報がある。作業者が使用する1以上のスラブ筋を設定すると、CPU11は、当該設定内容をRAM13や記憶装置14に記憶すると共に、
図15(b)に示すように、メニューエリア31に割付に使用するスラブ筋のラジオボタンとスラブ筋名を表示する。なお、割り付けるスラブ筋には、横方向(x軸方向)と縦方向(y軸方向)があるが、メニューエリア31にはそれぞれの方向に対するスラブ筋のラジオボタン316a,316bとスラブ筋名を表示する。これにより作業者は、当該ラジオボタンを選択するだけで簡単に、縦方向、横方向のそれぞれについて所定のスラブ筋を割り付けることができる。したがって、スラブ筋の情報を割付時に入力する必要がなく、入力ミスも防ぐことができる。
【0083】
次に、作業者は、スラブ筋を割り付けたい場合には、スラブ筋割付ステップS46を実行する。スラブ筋割付ステップS46の実行は、例えば、メニューエリア31にあるラジオボタン316a,316bをチェックしたり、キーボードの所定のキーを操作したりすればよい。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいてスラブ筋割付ステップS46を開始する。CPU11は、例えば
図16に示すようなフローに基づいて、スラブ筋割付ステップS46を実行する。
【0084】
設定されたスラブ筋は、上述したようにラジオボタン316とユニット鉄筋名がメニューエリア31に表示されている。作業者は、表示されているスラブ筋から割付に使用するスラブ筋のラジオボタンにマウスを合わせてクリックし決定する。するとCPU11は、選択されたスラブ筋を割付範囲に使用する鉄筋として決定する(S461)。
【0085】
次に作業者は、スラブ筋を追加したい範囲を指定する。具体的には、例えば
図15(b)に示すように、作業者は、作図エリア32に表示された基礎伏
図35を見ながら、スラブ筋を割り付けたい四角形の範囲の対角線上の頂点(例えば、左上の頂点80と右下の頂点81)を指定する。指定はどのように行ってもよいが、例えば、左上の頂点80と右下の頂点81をマウスポインタでクリックすることによって行えばよい。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて当該四角形の範囲を、スラブ筋を割り付ける範囲であると決定する(S462)。
【0086】
また、CPU11は、決定されたスラブ筋のピッチ等の情報とスラブ筋の割付範囲に基づいて、必要なスラブ筋の本数とスラブ筋の長さを自動で計算して割り付ける(S463)。
【0087】
このように、本発明の割付プログラム2は、スラブ筋の範囲を指定することにより、スラブ筋を割付範囲に合わせて自動で割り付けることができる。なお、CPU11は、
図15(c)に示すように、スラブ筋の割付範囲を示す四角状の範囲44の色を変える等して、作図エリア32に表示する。したがって、作業者は、スラブ筋の割付範囲を一目で把握することができる。
【0088】
<副資材追加ステップS47>
基礎工事では、例えば、抗頭補強ユニットや配管用の穴を作るためのユニット等、上述した鉄筋以外にも必要な資材(以下、副資材という)がある。そこで、本発明の割付プログラム2は、作業者からの指示に基づいて使用する副資材を追加する副資材追加手段としてコンピュータを機能させる副資材追加ステップS47を有していてもよい。
【0089】
次に、作業者は、副資材を追加したい場合には、副資材追加ステップS47を実行する。副資材追加ステップS47の実行は、例えば、
図17(b)に示すように、例えば、メニューエリア31にあるラジオボタン317をチェックしたり、キーボードの所定のキーを操作したりすればよい。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて副資材追加ステップS47を開始する。CPU11は、例えば
図18に示すようなフローに基づいて、副資材追加ステップS47を実行する。
【0090】
CPU11は、副資材追加ステップS47を開始すると、データベース21に登録されている副資材のメニューを
図17(a)に示すようなポップアップ302等で作図画面30に表示する。作業者は、当該メニューの中から追加したい副資材を選択する。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて当該副資材を決定する(S471)。また、CPU11は、作業者からの指示に基づいて当該副資材を積算する(S472)。また、CPU11は、
図17(b)に示すように、決定した副資材の情報45を作図エリア32に表示する。したがって、作業者は、追加した副資材を一目で把握することができる。
【0091】
<割付編集ステップS48>
また、ユニット鉄筋自動割付ステップS43やジョイント筋自動割付ステップS44において自動的に決定されたユニット鉄筋5やジョイント筋6の割付は、作業者によって手動で編集したい場合もある。したがって、本発明の割付プログラム2は、作業者からの指示に基づいてユニット鉄筋5又はジョイント筋6の割付を編集する割付編集手段としてコンピュータを機能させる割付編集ステップS48を有していてもよい。
【0092】
作業者は、ユニット鉄筋5やジョイント筋6の割付を編集したい場合には、所定の操作により割付編集ステップS48を実行する。所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、
図19に示すように、メニューエリア31にあるラジオボタン318をチェックしたり、キーボードの所定のキーを操作したりすればよい。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて割付編集ステップS48を開始する。CPU11は、例えば
図20に示すようなフローに基づいて、割付編集ステップS48を実行する。
【0093】
まず、作業者は、編集したいユニット鉄筋5又はジョイント筋6をマウス等で指定する。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて編集するユニット鉄筋5又はジョイント筋6を決定する(S481)。また、CPU11は、当該ユニット鉄筋5又はジョイント筋6について編集可能な内容(以下、編集内容という)を
図19(a)に示すようなポップアップ303や分割点を示す三角マーク55等で作業画面30に表示する(S482)。編集内容としてはユニット鉄筋5やジョイント筋6の割付に関するものであればどのようなものでもよいが、例えば、ユニット鉄筋5の削除、ユニット鉄筋5の分割点の変更又は削除、ユニット鉄筋5の手動分割、2以上のジョイント筋6の連結又は当該連結の削除等がある。
【0094】
次に、作業者は、作業画面に表示された編集内容から編集したい項目を選択する。すると、CPU11は、決定されたユニット鉄筋5又はジョイント筋6について当該編集を実行する(S483)。例えば、ユニット鉄筋5を削除したい場合には、作業者は、ポップアップ303にある編集内容の中から削除を選択する。すると、CPU11は、作業者によって指定されたユニット鉄筋5を削除する。
【0095】
また、ユニット鉄筋5の分割点を変更したい場合には、作業者は、作図エリア32にあるユニット鉄筋5の分割点を示す三角マーク55にマウスポインタをあて、当該マークを変更したい位置までドラッグする等して変更する。すると、CPU11は、
図19(b)に示すように、作業者によって指定された位置を分割点として、ユニット鉄筋5の割付範囲を決定する。
【0096】
また、ユニット鉄筋5の分割点を削除したい場合には、作業者は、削除したい分割点を示すマークにマウスポインタをあて、作業画面に表示された編集内容から削除を選択するか、あるいは、ユニット鉄筋5の端まで分割点を移動する。すると、CPU11は、当該分割点を削除する。
【0097】
また、ユニット鉄筋5を分割したい場合には、作業者は、ポップアップ303にある編集内容から手動分割を選択した上で、ユニット鉄筋5上の分割したい位置にマウスポインタをあてクリックする等で指定する。すると、CPU11は、作業者に指定された位置でユニット鉄筋5を分割する。
【0098】
また、2以上のジョイント筋6を連結したい場合には、作業者は、ポップアップ303にある編集内容から連結を選択した上で、連結したいジョイント筋6を、マウスポインタをあてクリックする等の所定の操作で指定する。すると、CPU11は、作業者に指定されたジョイント筋6同士のうち位置が重複する部分を一つにして連結する。この際、CPU11は、後述する連結の解除のために、連結する前のジョイント筋6の情報をRAM13や記憶装置14に記憶しておく。
【0099】
また、作業者は、連結したジョイント筋6の連結を解除することもできる。連結を解除したい場合には、作業者は、ポップアップ303にある編集内容から連結解除を選択した上で、連結を解除したいジョイント筋6を、マウスポインタをあてクリックする等の所定の操作で指定する。すると、CPU11は、作業者に指定されたジョイント筋6の連結を元の通り、2つのジョイント筋6に戻す。
【0100】
また、CPU11は各編集内容を決定する前に、
図19(c)に示すように、編集を確定するか作業者に確認するための表示をポップアップ304等で表示してもよい。作業者が所定のボタン304aをクリックすることにより編集内容を確定すると、CPU11は、当該編集内容を実行する。
【0101】
このように、本発明の割付システム1は、ユニット鉄筋5等を自動で割り付けることができるだけでなく、その後、作業者が適宜編集することができるように構成されているため、作業者の操作負担が軽減すると共に、作業者の意思を反映することができる。なお、ユニット鉄筋5の割付範囲を変更した場合には、再度ジョイント筋自動割付ステップS44に進み、CPU11は、割り付けられたユニット鉄筋5同士を接続するためのジョイント筋6を、変更されたユニット鉄筋5の情報と配置に基づいて自動で計算して割り付ける。
【0102】
なお、割付編集ステップは、作業者からの指示に基づいて補強筋やスラブ筋の割付を編集する割付編集手段としてコンピュータを機能させるものであってもよい。
【0103】
<積算ステップ>
積算ステップは、ユニット鉄筋5およびジョイント筋6の割付結果に基づいて、ユニット鉄筋5とジョイント筋6の必要量を積算する積算手段としてコンピュータを機能させるステップである。上述したようにユニット鉄筋5およびそのユニット鉄筋5を接続するジョイント筋6の割付が決定すると、CPU11は、決定したユニット鉄筋5やジョイント筋6の情報に基づいて、当該ユニット鉄筋5やジョイント筋6の種類ごとに数量を積算する。また、作業者が自動割付の結果を手動で変更した場合は、CPU11は、変更後のユニット鉄筋5やジョイント筋6の種類ごとに数量を積算する。
【0104】
このようにして、ユニット鉄筋5の割付範囲の入力を繰り返しながら、リアルタイムで基礎を構成するために必要なユニット鉄筋5やジョイント筋6の数量を積算することができる。
【0105】
また、積算手段は、上述した補強筋、スラブ筋、副資材についても割付結果に基づいて必要量を積算することができる。上述したように補強筋、スラブ筋、副資材の割付が決定すると、CPU11は、決定した補強筋、スラブ筋、副資材の情報に基づいて、当該補強筋、スラブ筋、副資材の種類ごとに数量を積算する。また、作業者が自動割付の結果を手動で変更した場合は、CPU11は、変更後の補強筋、スラブ筋、副資材の種類ごとに数量を積算する。
【0106】
また、積算手段は、作業者の指示に基づいて、積算結果(ユニット鉄筋5、ジョイント筋6、補強筋、スラブ筋、副資材の種類ごとの数量の結果)の明細をデータとして出力することも可能である。出力されたデータは、当該明細としてインターフェイスを介してプリンタ等で印刷してもよいし、PDFのようなファイル形式にしてコンピュータやタブレット等の端末の画面に表示できるようにしてもよい。
【0107】
<割付結果出力ステップ>
また、割り付けられたユニット鉄筋5やジョイント筋6、補強筋、スラブ筋等の鉄筋を一覧等でいちいち確認するのは、画面の往復が発生し作業者の作業性が落ちる原因になる。したがって、本発明の割付プログラム2は、作業者からの指示に基づいて、割付結果を画面に表示する割付結果出力手段としてコンピュータを機能させる割付結果出力ステップを有していてもよい。
【0108】
作業者は、割付結果を画面に表示したい場合には、所定の操作により割付結果出力ステップを実行する。所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、メニューエリア31にあるラジオボタンをチェックしたり、キーボードの所定のキーを操作したりすればよい。すると、CPU11は、作業者の指示に基づいて、割り付けられたユニット鉄筋5やジョイント筋6、補強筋、スラブ筋等の情報から、例えば
図21に示すような割付結果(積算結果)を、ポップアップ305等によって作業画面30に表示する。これにより、作業者は、画面を切り替えずに割付結果を簡単に把握することができる。
【0109】
<マーカー追加ステップ>
作業者は、図面上の指示事項や注意事項に対してのチェックとして、画面上にマーカーを引きたい場合がある。そこで、本発明の割付プログラム2は、画面上の任意の位置にマーカーを表示するマーカー追加手段としてコンピュータを機能させるマーカー追加ステップを有していてもよい。
【0110】
作業者は、画面にマーカーを引きたい場合には、所定の操作によりマーカー追加ステップを実行する。マーカー追加ステップを実行するための所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、
図22(a)に示すように、メニューバー33に実行ボタン331を用意しておいて、それをクリックする方法がある。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいてマーカー追加ステップ開始する。
【0111】
CPU11は、マーカー追加ステップを開始すると、
図22(a)に示すように、データベース21に登録されているマーカーの色とラジオボタン331aを表示する。作業者は、当該メニューの中から引きたいマーカーの色のラジオボタンを選択する。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいてマーカーの色を決定する。
【0112】
次に作業者は、作図エリア32のマーカーを引きたい範囲を所定の操作で指定する。当該操作は、例えば、キーボードの所定のキーを押しながらマーカーを引きたい範囲をマウスでドラッグする等の方法がある。作業者がマーカーを引きたい範囲を指定すると、CPU11は、
図22(b)に示すように、指定された範囲46に決定されたマーカーの色を表示する。
【0113】
<割付図出力ステップ>
また、基礎の割付は、単に納入するユニット鉄筋5やジョイント筋6等を積算するだけでなく、具体的にどの位置に鉄筋を使用するかを、基礎工事をする者(以下、基礎業者という)に伝える必要がある。したがって、本発明の割付プログラム2は、ユニット鉄筋5、ジョイント筋6、補強筋、スラブ筋、副資材等の割付結果に基づいて割付図のデータを出力する割付図出力手段としてコンピュータを機能させる割付図出力ステップを有していてもよい。ここで割付図とは、基礎のどの位置に鉄筋を使用するか等を示す図面で、例えば
図23に示すように、(a)立上がり、(b)補強筋、(c)スラブ筋(横)、(d)スラブ筋(縦)などの種別がある。本発明の割付図出力手段は、割付図をこのような種別ごとに振り分けて出力することができる。
【0114】
作業者は、割付図を出力したい場合には、所定の操作により割付図出力ステップを実行する。割付図出力ステップを実行するための所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、別ウィンドウのメインメニューに実行ボタンを用意しておき、それをクリックする方法がある。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて割付図出力ステップを開始する。
【0115】
CPU11は、割付図出力ステップを開始すると、画面に割付図の種別を表示する。作業者は、当該種別の中から出力したい割付図を選択する。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいて当該割付図のデータを出力する。出力されたデータは、割付図としてインターフェイスを介してプリンタ等で印刷してもよいし、PDFのようなファイル形式にして基礎業者のコンピュータやタブレット等の端末の画面に表示できるようにしてもよい。
【0116】
<コメント入力ステップ>
また、作業者は、割付図面で基礎業者等に伝えたい文を任意の割付図上に記入したい場合がある。したがって、本発明の割付プログラム2は、画面上の任意の位置にコメントを入力して、特定の割付図に表示するコメント入力手段としてコンピュータを機能させるコメント入力ステップを有していてもよい。
【0117】
作業者は、コメントを入力したい場合には、入力したい位置を指定して所定の操作によりコメント入力ステップを実行する。コメント入力ステップを実行するための所定の操作としてはどのようなものでもよいが、例えば、
図25(a)に示すように、メニューバー33に実行ボタン332を用意しておいて、それをクリックする方法がある。すると、CPU11は、作業者からの指示に基づいてコメント入力ステップを開始する。
【0118】
CPU11は、コメント入力ステップを開始すると、
図25(a)に示すように、作業画面30にポップアップ306等によってコメントを入力する割付図の種別を表示する。作業者は、当該種別の中からコメントを入力したい割付図を選択する。すると、CPU11は、
図25(b)に示すように、ポップアップ等によってコメントを入力するためのフォーム307を表示する。作業者は、当該フォーム307にコメントを入力する。すると、CPU11は、
図25(c)に示すように、作業者が指定した位置に当該コメント47を表示する。また、CPU11は、作業者が選択した割付図に当該コメントを関連づける。これにより、CPU11は、割付図出力手段が割付図のデータを出力する際に、当該コメントを作業者が選択した割付図に表示するようにして出力する。
【0119】
<データ記憶ステップ>
上記のステップで作成された割付結果等のデータは、一覧表や割付図を出力するだけでなく、ユニット鉄筋5等の鉄筋を製造する工場において生産の指示に使用する生産指示システムと連携したい場合もある。そこで、本発明の割付プログラム2は、当該割付結果等のデータを自動でデータベース21に記憶するデータ記憶手段としてコンピュータを機能させるデータ記憶ステップを有していてもよい。CPU11は、上述した各ステップが終了すると、その際に生成された割付結果等のデータを自動でデータベース21に記憶する。このようにして記憶された割付データは、生産指示システムの製造データ等として利用することができる。
【0120】
本発明の割付システムは、上述した表示手段、スケール調整手段、使用ユニット決定手段、割付範囲決定手段、ユニット鉄筋自動割付手段、ジョイント筋自動割付手段を備えるものである。また、上述したスラブ筋割付手段、補強筋割付手段、積算手段、割付結果出力手段、マーカー追加手段、割付図出力手段、使用ユニット選択手段、副資材割付手段、コメント入力手段、割付編集手段、データ記憶手段等の各手段を備えていてもよい。当該各手段は、割付プログラム2の上述した各ステップをコンピュータやその周辺機器等のハードウェアに実行させることにより機能する。
【符号の説明】
【0121】
1 割付システム
2 割付プログラム
5 ユニット鉄筋
6 ジョイント筋
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記憶装置
16 入力装置
17 表示装置
21 データベース
30 作業画面
31 メニューエリア
32 作図エリア
33 メニューバー
35 基礎伏図
51 主筋
52 腹筋
53 あばら筋
321 作図グリッド
322 グリッド点
351 モジュール線
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎伏図を一定の間隔で並ぶ線を表す作図グリッドと重ねて画面に表示する表示手段と、
作業者からの指示に基づいて、前記基礎伏図と重ねて表示された作図グリッドが表すグリッド線の間隔を調整するスケール調整手段と、
作業者からの指示に基づいて、使用するユニット鉄筋を決定する使用ユニット決定手段と、
前記作図グリッドの交点で表されるグリッド点のうち、作業者によって指定される少なくとも2点によって規定される範囲をユニット鉄筋の割付範囲として決定する割付範囲決定手段と、
前記使用ユニット決定手段によって決定されたユニット鉄筋と、前記割付範囲決定手段によって決定された割付範囲に基づいて、基礎を構成するユニット鉄筋を割り付けるユニット鉄筋自動割付手段と、
(1)ジョイント筋の中央部形状を当該ジョイント筋が接続するユニット鉄筋同士の接続角度と同じ角度と決定し、(2)前記ユニット鉄筋を構成する主筋や腹筋の数と同数のジョイント筋を決定し、接続するユニット鉄筋同士の前記主筋同士の高さが異なる場合には、更に当該主筋の高さ違いに垂直に沿ったZ状のジョイント筋を決定し、(3)接続するユニット鉄筋を構成する鉄筋同士の径が同じである場合にはジョイント筋の径を当該鉄筋の径と同じであると決定し、径が異なる場合には、登録されている仕様に基づいて、ジョイント筋の径を当該鉄筋のいずれか一方と同じであると決定し、(4)ジョイント筋の前記径および前記中央部形状に基づいて予め決められている定着長からジョイント筋の長さを決定することにより、ユニット鉄筋同士を接続するためのジョイント筋を割り付けるジョイント筋自動割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする割付プログラム。
【請求項2】
前記ジョイント筋自動割付手段は、更に、(5)接続されるユニット鉄筋の配置と長さおよびジョイント筋の前記定着長に基づいてジョイント筋の端部側の形状を決定するものであることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項3】
作業者によって指定される横方向又は縦方向をスラブ筋の方向と決定し、前記作図グリッドで表される範囲のうち、作業者によって指定される範囲を決定された前記方向のスラブ筋の割付範囲として決定し、作業者が設定したスラブ筋の情報と前記スラブ筋の割付範囲に基づいて前記横方向又は前記縦方向のスラブ筋の本数と長さを自動で計算して割り付けるスラブ筋割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項4】
作業者によって指定されるユニット鉄筋の範囲と当該ユニット鉄筋の情報に基づいて補強筋を割り付ける補強筋割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項5】
割り付けたユニット鉄筋およびジョイント筋の割付結果に基づいて、ユニット鉄筋とジョイント筋の必要量を積算する積算手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項6】
作業者からの指示に基づいて、選択された位置に関する割付結果を前記画面に表示する割付結果出力手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項7】
画面上の任意の位置にマーカーを表示するマーカー追加手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項8】
前記ユニット鉄筋およびジョイント筋の割付結果に基づいて割付図のデータを出力する割付図出力手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項9】
作業者からの指示に基づいて使用する1以上のユニット鉄筋を選択し、前記使用ユニット決定手段で決定するユニット鉄筋を作業者が選択可能に画面に表示する使用ユニット選択手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項10】
作業者からの指示に基づいて使用する副資材を割り付ける副資材割付手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項11】
前記表示手段は、作業者からの指示に基づいて使用する基礎伏図ごとに画面を切り替えて表示するものであることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項12】
画面上の任意の位置にコメントを入力して表示するコメント入力手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項13】
作業者からの指示に基づいて前記ユニット鉄筋又は前記ジョイント筋の割り付けを編集する割付編集手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1記載の割付プログラム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の割付プログラムがインストールされたハードウェアからなることを特徴とする割付システム。