(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060957
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】遮断器絶縁油補給装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01H 33/55 20060101AFI20240425BHJP
H01H 33/575 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H01H33/55 A
H01H33/575 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168562
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義哲
(72)【発明者】
【氏名】徳田 龍彦
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028GG03
(57)【要約】
【課題】手間がより軽減された遮断器絶縁油補給装置及び方法を提供する。
【解決手段】遮断器絶縁油補給装置1は、絶縁油Oを用いる遮断器CBに対して絶縁油Oを補給するものである。遮断器絶縁油補給装置1は、絶縁油Oを入れる携行缶2と、絶縁油Oを送油可能な手動ポンプ4と、1以上の弁を有する弁機構22を備えた管である弁機構付きチューブ6と、を備えている。弁機構付きチューブ6は、手動ポンプ4に接続されている。手動ポンプ4は、携行缶2に入れられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁油を用いる遮断器に対して前記絶縁油を補給する遮断器絶縁油補給装置において、
前記絶縁油を入れる携行缶と、
前記絶縁油を送油可能なポンプと、
1以上の弁を有する弁機構を備えた管である弁機構付きチューブと、
を備えており、
前記弁機構付きチューブは、前記ポンプに接続されており、
前記ポンプは、前記携行缶に入れられる
ことを特徴とする遮断器絶縁油補給装置。
【請求項2】
前記弁機構付きチューブは、本管と、第1分岐管と、第2分岐管と、接続部と、を備えており、
前記弁機構は、
前記本管における前記第1分岐管と前記第2分岐管との間に設けられた逆止弁と、
前記第1分岐管に設けられた開閉可能な第1弁と、
前記第2分岐管に設けられた開閉可能な第2弁と、
を備えており、
前記接続部は、前記本管の端部に設けられており、前記遮断器の排油弁に対して接続可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遮断器絶縁油補給装置。
【請求項3】
前記接続部は、ワンタッチで接続可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の遮断器絶縁油補給装置。
【請求項4】
前記ポンプは、手動ポンプである
ことを特徴とする請求項1に記載の遮断器絶縁油補給装置。
【請求項5】
請求項2に記載の遮断器絶縁油補給装置を用いて前記遮断器に対して前記絶縁油を補給する遮断器絶縁油補給方法であって、
前記第1弁及び前記第2弁を開状態とし、前記排油弁を閉状態として、前記ポンプで送油する第1エアー抜きステップと、
前記第2弁及び前記排油弁を開状態とし、前記第1弁を閉状態として、前記ポンプで送油する第2エアー抜きステップと、
前記排油弁を開状態とし、前記第1弁及び前記第2弁を閉状態として、前記ポンプで送油する絶縁油補給ステップと、
を有する
ことを特徴とする遮断器絶縁油補給方法。
【請求項6】
請求項3に記載の遮断器絶縁油補給装置を用いて前記遮断器に対して前記絶縁油を補給する遮断器絶縁油補給方法であって、
前記接続部を前記排油弁にワンタッチで接続する接続ステップ
を有する
ことを特徴とする遮断器絶縁油補給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁媒体として絶縁油を用いた遮断器即ち油入遮断器に対して絶縁油を補給する装置である遮断器絶縁油補給装置、及び油入遮断器に対して絶縁油を補給する方法である遮断器絶縁油補給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁媒体として絶縁油を用いた油入電気機器に絶縁油を補充する方法として、特開昭57-121203号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
この方法では、油入電気機器11の設置箇所に絶縁油収納容器を運び、機器11の下部に設けられた排注油弁15に容器の弁4を接続して、別途容器に接続されるボンベ19を用いた押し込み注油、あるいは別途機器11に接続される排気ポンプ21による吸い込み注油、若しくは別途機器11と容器の間に接続される送油ポンプ22による押し込み注油により、機器11に絶縁油が補充される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の方法では、絶縁油の補充の際、ボンベ19、排気ポンプ21又は送油ポンプ22を油入電気機器の設置箇所に運ばなければならず、手間がかかる。
【0005】
本発明の第1の主な目的は、手間がより軽減された遮断器絶縁油補給装置を提供することである。
本発明の第2の主な目的は、手間がより軽減された遮断器絶縁油補給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、遮断器絶縁油補給装置を開示する。この遮断器絶縁油補給装置は、絶縁油を用いる遮断器に対して絶縁油を補給するものである。遮断器絶縁油補給装置は、絶縁油を入れる携行缶を備えていても良い。遮断器絶縁油補給装置は、絶縁油を送油可能なポンプを備えていても良い。遮断器絶縁油補給装置は、1以上の弁を有する弁機構を備えた管である弁機構付きチューブを備えていても良い。弁機構付きチューブは、ポンプに接続されていても良い。ポンプは、携行缶に入れられていても良い。
又、本明細書は、遮断器絶縁油補給方法を開示する。この遮断器絶縁油補給方法は、遮断器絶縁油補給装置を用いて遮断器に対して絶縁油を補給する方法である。遮断器絶縁油補給方法は、第1弁及び第2弁を開状態とし、排油弁を閉状態として、ポンプで送油するステップを備えていても良い。遮断器絶縁油補給方法は、第2弁及び排油弁を開状態とし、第1弁を閉状態として、ポンプで送油するステップを備えていても良い。遮断器絶縁油補給方法は、排油弁を開状態とし、第1弁及び第2弁を閉状態として、ポンプで送油するステップを有していても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の主な効果は、手間がより軽減された遮断器絶縁油補給装置が提供されることである。
本発明の第2の主な効果は、手間がより軽減された遮断器絶縁油補給方法が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1の遮断器の側面断面図と、本発明に係る遮断器絶縁油補給装置とを示す模式図である。
【
図3】本発明に係る遮断器絶縁油補給装置の動作例に係るフローチャートである。
【
図4】
図4Aは本発明の遮断器絶縁油補給装置の動作例に係る最初の代表的な段階を示す模式図であり、
図4Bは当該動作例に係る次の代表的な段階を示す模式図であり、
図4Cは当該動作例に係る更に次の代表的な段階を示す模式図であり、
図4Dは当該動作例に係る更に次の代表的な段階を示す模式図であり、
図4Eは動作例に係る更に次の代表的な段階を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の例が、その変更例と共に、適宜図面に基づいて説明される。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
【0010】
図1は、遮断器CBの前面図である。
図2は、遮断器CBの側面断面図と遮断器絶縁油補給装置1とを示す模式図である。
【0011】
[遮断器CB等]
まず、絶縁媒体としての絶縁油Oを補給する対象である、油入の遮断器CBが説明される。
遮断器CBは、フレームFと、複数(3つ)の遮断器本体Mと、BCT配管Pと、複数(3つ)の油面計Sと、操作部OPと、を有する。
尚、遮断器本体Mは、1つ若しくは2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。他の部材及び他の部分の少なくとも何れかについても、数が変更されても良い。
【0012】
フレームFは、枠状の支持部材である。フレームFは、各種の部材又は部分を支持する。
フレームFの下部は、例えば変電所の地面に設置される。
フレームFは、アース端子Eを有している。
【0013】
各遮断器本体Mは、フレームFに対し、左右方向に一列に並ぶように支持される。尚、各遮断器本体Mの配置は、上から見て仮想的な多角形の頂点に位置するものとされる等、様々に変更されても良い。又、他の部材及び他の部分の少なくとも何れかについても、配置が変更されても良い。
各遮断器本体Mは、フレームFにおける配置を除き、それぞれ同様に構成される。以下、1つの遮断器本体Mが主に説明される。
【0014】
遮断器本体Mは、油タンクTと、複数(2つ)のブッシングBと、複数(2つ)のブッシング変流器BCTと、複数(2つ)の消弧室Aと、複数(2つ)の可動接触子Cと、ブレードDと、リフティングロッドRと、を有する。
【0015】
油タンクTは、絶縁油Oを貯める容器である。
油タンクTは、側面下部において、排油弁Vを有している。
【0016】
各ブッシングBは、全体として上下に延びる棒状である。
一対のブッシングBは、前後に並んでおり、側面から見て下端の離れた“V”字状となる姿勢で設置される。
各ブッシングBは、上端部において、電線の端子を取り付ける端子取付部Iを有する。
各ブッシングBは、遮断対象の電線を接続する接続部である。
各ブッシングBの下端部は、油タンクTに貯められた規定下限量LV以上の絶縁油O内に達している。
【0017】
各ブッシング変流器BCTは、対応するブッシングBの上下方向における中央部の周囲に設けられる。
各ブッシング変流器BCTは、電線からの電流を調整する。
【0018】
各消弧室Aは、対応するブッシングBの下端部に接続されている。
各消弧室Aは、絶縁油O内に入っている。
各消弧室Aは、アークを消去する。
【0019】
各可動接触子Cは、対応する消弧室Aの下端部に設けられる。
ブレードDは、常態では水平方向(前後方向)に延びる棒状の部材である。ブレードDは、各消弧室Aの下側に設けられる。
ブレードDの第1端部(前端部)は、第1の消弧室A(A1)に対し、第1の可動接触子C(C1)を介して接続されている。
ブレードDの第2端部(後端部)は、第2の消弧室A(A2)に対し、第2の可動接触子C(C2)を介して接続されている。
【0020】
リフティングロッドRは、上下に延びる棒状である。リフティングロッドRは、自身の上部において、フレームFに支持される。リフティングロッドRは、各ブッシングBの間に配置されている。リフティングロッドRの上端部は、各ブッシング変流器BCTに隣接している。
リフティングロッドRの上下方向における中央部及び下部は、絶縁油O内に入っている。リフティングロッドRの下端部は、ブレードDの前後方向における中央部に接続されている。リフティングロッドRは、ブレードDを、揺動可能な状態で支持する。
【0021】
BCT配管Pは、各遮断器本体Mのブッシング変流器BCTのための管であり、フレームFに支持されている。
各油面計Sは、対応する遮断器本体Mの油タンクTにおける絶縁油Oの油面(上面)を計測するために、フレームFに設けられる。
操作部OPは、各遮断器本体M等を操作するための操作盤である。
【0022】
[従来の遮断器CBへの絶縁油Oの補給等]
従来、所定タイミング(例えば3年毎)で行われる油抜き取り検査(絶縁油Oの耐圧試験)等によって遮断器CBの絶縁油Oが減少し、油面が規定下限量LVに近づくかあるいは規定下限量LV未満となった場合、次のようにして絶縁油Oが補給されていた。
即ち、作業者は、絶縁油Oを入れた容器を遮断器CBの設置箇所(例えば変電所)に持って行き、リフティングロッドRの上端部の隣接部から、容器内の絶縁油Oを、下方の油タンクTに向けて注いでいた。作業者がリフティングロッドRの上端部の周辺まで登って絶縁油Oの容器を傾けて注ぐため、作業者保護の観点から、遮断器CBへの電力供給の停止(停電)を確保した状態で、補給作業が行われていた。
【0023】
[遮断器絶縁油補給装置1の構成等]
かような従来の遮断器CBへの絶縁油Oの補給とは異なり、本発明では、遮断器CBに対して絶縁油Oを補給するための遮断器絶縁油補給装置1が用いられる。
以下、遮断器絶縁油補給装置1の構成が主に説明される。
図2に示されるように、遮断器絶縁油補給装置1は、携行缶2と、手動ポンプ4と、弁機構付きチューブ6と、を備えている。
【0024】
携行缶2は、絶縁油Oの容器である。携行缶2には、絶縁油Oが入れられている。
携行缶2の容量は、例えば20リットルである。携行缶2の容量は、補給作業での絶縁油Oの不足の発生を抑制しつつ可搬性及び取扱性をより良くするためなるべく少量とする観点から、10リットル以上50リットル以下が好ましく、15リットル以上30リットル以下がより好ましい。
【0025】
手動ポンプ4は、手動で機能するポンプである。
手動ポンプ4は、手動ポンプ本体10と、パイプ12と、ハンドル14と、を有する。
手動ポンプ本体10は、中空体である。
パイプ12は、上下に延びている。パイプ12の上端部は、手動ポンプ本体10の下部に接続されている。パイプ12は、手動ポンプ本体10と連通している。
ハンドル14は、ユーザーにより回転操作可能な部材である。ハンドル14は、手動ポンプ本体10の側面に対し、回転可能に取り付けられている。ユーザーは、ハンドル14を回転させることにより、手動ポンプ4のポンプ機能を発揮させることができる。手動ポンプ本体10内には、ハンドル14に連動する図示されない公知の送油機構が設けられている。
尚、手動ポンプ4は、規模が同程度である電動ポンプ(小型電動ポンプ)とされても良い。
【0026】
弁機構付きチューブ6は、チューブ本体20と、弁機構22と、接続部としてのソケットSKと、を有する。
【0027】
チューブ本体20は、管状である。チューブ本体20は、可撓性を有する。
チューブ本体20の第1端は、手動ポンプ4(手動ポンプ本体10)に接続されている。
チューブ本体20は、本管PRと、第1分岐管P1と、第2分岐管P2と、第3分岐管P3と、を有している。
本管PRは、チューブ本体20の第1端から、遮断器CBに接続する第2端までにおける、各種の分岐を除いた部分である。
第1分岐管P1から第3分岐管P3は、チューブ本体20の第2端部(第2端及び隣接部分)に配置されている。
第1分岐管P1の本管PRからの第1の分岐部D1は、最も手動ポンプ4側に配置されている。
第2分岐管P2及び第3分岐管P3の本管PRからの第2の分岐部D2は、手動ポンプ4から見て第1分岐管P1の分岐部D1より遠い側に配置されている。第2分岐管P2及び第3分岐管P3の分岐部D2は、第2分岐管P2及び第3分岐管P3において共通している。
尚、第1分岐管P1、第2分岐管P2、及び第3分岐管P3の少なくとも何れかのチューブ本体20(本管PR)における配置は、様々に変更されても良い。
【0028】
弁機構22は、チューブ本体20の第2端部に設けられている。
弁機構22は、第1弁V1と、第2弁V2と、第3弁V3と、逆止弁VRと、を有する。
第1弁V1は、チューブ本体20の第1分岐管P1に配置されている。第1弁V1は、開閉可能であり、開状態において第1分岐管P1における自身より下流への流体の流下を可能とし、閉状態において当該流下を遮断する。
第2弁V2は、チューブ本体20の第2分岐管P2に配置されている。第2弁V2は、開閉可能であり、開状態において第2分岐管P2における自身から下流への流体の流下を可能とし、閉状態において当該流下を遮断する。
第3弁V3は、チューブ本体20の第3分岐管P3に配置されている。第3弁V3は、開閉可能であり、開状態において第3分岐管P3における自身から下流への流体の流下を可能とし、閉状態において当該流下を遮断する。
逆止弁VRは、分岐部D1,D2の間に配置されている。逆止弁VRは、自身から下流(遮断器CB側)への流体の流下を可能とし、自身から上流(手動ポンプ4側)への流体の逆流を抑制する。
尚、弁機構22は、逆止弁VRのみとして他を省略したりする等、その構成要素につき様々に変更されても良い。又、少なくとも何れかの弁が他の形式の弁とされても良い。
【0029】
ソケットSKは、チューブ本体20(本管PR)の第2端に配置されている。ソケットSKは、遮断器本体Mの油タンクTの排油弁Vに対し、ワンタッチで装着可能である。
排油弁Vは、開閉可能であり、開状態において油タンクT内の流体の自身から下流への流下を可能とし、閉状態において当該流下を遮断する。
【0030】
[遮断器絶縁油補給装置1の動作等]
次いで、本発明に係る遮断器絶縁油補給方法の実施例としての遮断器絶縁油補給装置1の動作例、即ち遮断器絶縁油補給装置1による遮断器CBへの絶縁油Oの補給作業例が説明される。
図3は、遮断器絶縁油補給装置1による遮断器CBへの絶縁油Oの補給作業例に係るフローチャートである。
図4は、遮断器絶縁油補給装置1による遮断器CBへの絶縁油Oの補給作業例に係る代表的な各種の段階を示す模式図である。
尚、当該補給作業例における少なくともいずれかのステップは、様々に変更可能である。例えば、何れかのステップは、実質的に同様な処理結果となる他の形式のステップに置き換えられても良い。又、2つ以上の何れかのステップの順序が、互いに入れ替えられても良い。更に、何れかのステップが、省略されても良い。2つ以上の何れかのステップが1つのステップに統合されたり、1つのステップが2以上のステップに分割されても良い。
【0031】
当該動作例(補給作業例)において、ユーザーは、予め、十分な量の絶縁油Oを入れた携行缶2を含む遮断器絶縁油補給装置1を、現場(遮断器CBの設置箇所)に運搬する(ステップS1)。
【0032】
現場において、ユーザーは、まず弁機構22を第1所定状態とし(ステップS2)、ソケットSKを遮断器本体Mの油タンクTの排油弁Vにワンタッチ装着して(ステップS3、接続ステップ)、弁機構付きチューブ6のつながった手動ポンプ4を携行缶2にセットする(ステップS4)。
ステップS2における弁機構22の第1所定状態において、第1弁V1は開状態であり、第2弁V2は開状態であり、第3弁V3は閉状態である。又、排油弁Vは閉状態である。
ステップS4における手動ポンプ4の携行缶2へのセットは、例えば携行缶2の蓋(図示略)を開けてパイプ12を入れ、絶縁油Oに到達させて行う。
【0033】
次いで、ユーザーは、手動ポンプ4のハンドル14を回し、携行缶2内の絶縁油Oを送油して、チューブ本体20の本管PRのエアー抜きを行う(ステップS5、
図4A、第1エアー抜きステップ)。
ステップS5において、チューブ本体20の本管PRのエアーは、第1分岐管P1及び第2分岐管P2から、絶縁油Oと共に抜ける。第1分岐管P1及び第2分岐管P2の向きは、好ましくは図示の通り上向きである。第1分岐管P1及び第2分岐管P2は、好ましくは全体として本管PRより上方に配置される。
【0034】
ステップS5のエアー抜きが完了すると、ユーザーは、弁機構22を全閉状態とする(ステップS6、
図4B)。
弁機構22の全閉状態において、第1弁V1は閉状態であり、第2弁V2は閉状態であり、第3弁V3は閉状態である。又、排油弁Vは閉状態である。
ここでは、本管PRにおける逆止弁VRより上流の部分のエアーは抜けるところ、本管PRにおける逆止弁VRより下流の部分のエアーは抜けていない可能性がある。
【0035】
続いて、ユーザーは、弁機構22を第2所定状態とする(ステップS7)。
弁機構22の第2所定状態において、第1弁V1は閉状態であり、第2弁V2は開状態であり、第3弁V3は閉状態である。又、排油弁Vは開状態である。
【0036】
次いで、ユーザーは、手動ポンプ4のハンドル14を回し、携行缶2内の絶縁油Oを送油して、チューブ本体20の本管PRのエアー抜きを行う(ステップS8、
図4C、第2エアー抜きステップ)。
ステップS8において、チューブ本体20の本管PRのエアーは、第2分岐管P2から、絶縁油Oと共に抜ける。特に、ステップS8において、本管PRにおける逆止弁VRより下流の部分のエアーが抜ける。
【0037】
ステップS8のエアー抜きが完了すると、ユーザーは、第2弁V2を閉じて、弁機構22を補給時状態とする(ステップS9、
図4D)。
弁機構22の補給時状態において、第1弁V1は閉状態であり、第2弁V2は閉状態であり、第3弁V3は閉状態である。又、排油弁Vは開状態である。
【0038】
次いで、ユーザーは、手動ポンプ4のハンドル14を回し、携行缶2内の絶縁油Oを送油して、遮断器本体Mの油タンクTへの絶縁油Oの補給を行う(ステップS10、
図4E、矢印OS、絶縁油補給ステップ)。
ユーザーは、かような絶縁油Oの補給を、遮断器本体Mから離れた箇所で行え、よってユーザー保護のために遮断器CBの停電を行う必要がなくなる。
【0039】
ユーザーは、例えば規定下限量LVから所定量分上回る量に相当する油面となる程度まで絶縁油Oの補給を行い、絶縁油Oの補給を終えると、排油弁Vを閉めて排油弁VからソケットSKを外し、適宜他の遮断器本体Mに対してステップS2以降を繰り返した後、第3弁V3のみを開状態として弁機構付きチューブ6内の絶縁油Oを抜き、遮断器絶縁油補給装置1を片付けて、現場から撤収する。第3分岐管P3の向きは、好ましくは図示の通り下向きである。第3分岐管P3は、好ましくは全体として本管PRより下方に配置される。
尚、絶縁油Oの補給の終了条件は、規定下限量LVに達するまで、あるいは規定上限量に達するまで等、様々に変更されても良い。
【0040】
[遮断器絶縁油補給装置1及び遮断器絶縁油補給方法の作用効果等]
かような遮断器絶縁油補給装置1は、次のような作用効果を奏する。
即ち、遮断器絶縁油補給装置1は、絶縁油Oを用いる遮断器CBに対して絶縁油Oを補給するものである。遮断器絶縁油補給装置1は、絶縁油Oを入れる携行缶2と、絶縁油Oを送油可能な手動ポンプ4と、1以上の弁を有する弁機構22を備えた管である弁機構付きチューブ6と、を備えている。弁機構付きチューブ6は、手動ポンプ4に接続されている。手動ポンプ4は、携行缶2に入れられる。
よって、遮断器絶縁油補給装置1は、比較的に小型で運搬し易い。又、遮断器絶縁油補給装置1において、ポンプが手動ポンプ4であれば、ポンプのための電源を用意する必要がなく、運用し易い。更に、弁機構付きチューブ6を遮断器CBの排油弁Vに接続することで、絶縁油Oの補給時に遮断器CBを停電する必要がない。従って、手間がより軽減された遮断器絶縁油補給装置1が提供される。
【0041】
又、弁機構付きチューブ6は、本管PRと、第1分岐管P1と、第2分岐管P2と、ソケットSKと、を備えている。弁機構22は、本管PRにおける第1分岐管P1と第2分岐管P2との間に設けられた逆止弁VRと、第1分岐管P1に設けられた開閉可能な第1弁V1と、第2分岐管P2に設けられた開閉可能な第2弁V2と、を備えている。ソケットSKは、本管PRの端部に設けられており、遮断器CBの排油弁Vに対して接続可能である。よって、遮断器絶縁油補給装置1において、弁機構付きチューブ6がエアー抜き可能となり、エアーの混入がより抑制される。又、絶縁油Oの逆流が抑制され、運用がより容易になる。
更に、ソケットSKは、ワンタッチで接続可能である。よって、遮断器絶縁油補給装置1において、運用がより容易になり、ユーザーの手間がより軽減される。
【0042】
他方、上述の遮断器絶縁油補給方法は、次のような作用効果を奏する。
即ち、遮断器絶縁油補給方法は、遮断器絶縁油補給装置1を用いて遮断器CBに対して絶縁油Oを補給する方法である。遮断器絶縁油補給方法は、第1弁V1及び第2弁V2を開状態とし、排油弁Vを閉状態として、手動ポンプ4で送油するステップS5と、第2弁V2及び排油弁Vを開状態とし、第1弁V1を閉状態として、手動ポンプ4で送油するステップS8と、排油弁Vを開状態とし、第1弁V1及び第2弁V2を閉状態として、手動ポンプ4で送油するステップS10と、を有する。
よって、手間がより軽減され、エアーの混入がより抑制された遮断器絶縁油補給方法が提供される。又、絶縁油Oの逆流が抑制され、運用がより容易である遮断器絶縁油補給方法が提供される。
【0043】
又、遮断器絶縁油補給方法は、ソケットSKを排油弁Vにワンタッチで接続するステップS3を有する。
よって、手間がより軽減された遮断器絶縁油補給方法が提供される。
【符号の説明】
【0044】
1・・遮断器絶縁油補給装置、2・・携行缶、4・・手動ポンプ(ポンプ)、6・・弁機構付きチューブ、22・・弁機構、CB・・遮断器、O・・絶縁油、P1・・第1分岐管、P2・・第2分岐管、PR・・本管、S3・・ステップ(接続ステップ)、S5・・ステップ(第1エアー抜きステップ)、S8・・ステップ(第2エアー抜きステップ)、S10・・ステップ(絶縁油補給ステップ)、SK・・ソケット(接続部)、V1・・第1弁、V2・・第2弁、VR・・逆止弁。