(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006096
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】可動デバイス、MEMSデバイス、及び光走査装置
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20240110BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240110BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B81B3/00
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106664
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平 朋博
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
3C081
【Fターム(参考)】
2H045AB01
2H045AB81
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC04
2H141MC06
2H141MC09
2H141MD12
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD24
2H141MF30
3C081AA13
3C081BA28
3C081BA32
3C081BA44
3C081BA47
3C081BA53
3C081BA54
3C081BA55
3C081CA44
3C081EA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可動デバイスの検査を合理化する技術を提供する。
【解決手段】可動デバイス100は、可動部110と、可動部110を駆動する駆動部120と、可動部110を囲んでいて駆動部120を支持する支持枠130と、駆動部120に電気的に接続する電極部140と、駆動部120から電気的に絶縁された偽電極部150と、を備え、電極部140と偽電極部150が支持枠130に設けられる。可動デバイス100の検査時に偽電極部150とプローブとをコンタクトさせることにより検査時の固定が強化され、動作時の振動による支持枠130のバタつきを抑制することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、
前記可動部を駆動する駆動部と、
前記可動部を囲んでいて前記駆動部を支持する支持枠と、
前記駆動部に電気的に接続する電極部と、
前記駆動部から電気的に絶縁された偽電極部と、
を備え、
前記電極部と前記偽電極部が前記支持枠に設けられる、可動デバイス。
【請求項2】
前記偽電極部が平面視で前記支持枠の中心に対して対称的な位置にある、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項3】
平面視における前記支持枠の形状が矩形であり、前記偽電極部が、前記支持枠の一辺を構成する枠体と、前記一辺に対向する対辺を構成する枠体とに設けられている、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項4】
平面視における前記支持枠の形状が矩形であり、前記駆動部は前記支持枠の一辺を構成する枠体と、前記一辺に対向する対辺を構成する枠体とにおいて支持され、
前記偽電極部は、前記一辺を構成する前記枠体と、前記対辺を構成する前記枠体とに設けられている、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項5】
平面視における前記支持枠の形状が矩形であり、前記偽電極部が前記支持枠の各辺を構成する各枠体に設けられている、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項6】
平面視における前記支持枠の形状が矩形であり、前記偽電極部が前記支持枠の各角を構成する枠体の端部に設けられている、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項7】
平面視における前記支持枠の形状が矩形であり、前記偽電極部が前記支持枠の一辺を構成する枠体の中央部と、前記一辺に対向する対辺を構成する枠体の中央部とに設けられている、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項8】
前記偽電極部の形状が直線形又はドット形である、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項9】
前記電極部が平面視で前記支持枠の中心に対して対称的な位置にある、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項10】
前記偽電極部は検査用プローブが当接されて固定される、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項11】
前記偽電極部は、隣接する可動デバイスに形成された別の偽電極部と共に検査用プローブに当接されて前記支持枠が固定されている、請求項1に記載の可動デバイス。
【請求項12】
可動部と、
前記可動部を駆動する駆動部と、
前記可動部を囲んでいて前記駆動部を支持する支持枠と、
前記駆動部に電気的に接続する電極部と、
前記駆動部から電気的に絶縁された偽電極部と、
を備え、
前記電極部と前記偽電極部が前記支持枠に設けられる、MEMSデバイス。
【請求項13】
前記偽電極部が平面視で前記支持枠の中心に対して対称的な位置にある、請求項12に記載のMEMSデバイス。
【請求項14】
平面視における前記支持枠の形状が矩形であり、前記駆動部は前記支持枠の一辺を構成する枠体と、前記一辺に対向する対辺を構成する枠体とにおいて支持され、
前記偽電極部は、前記一辺を構成する前記枠体と、前記対辺を構成する前記枠体とに設けられている、請求項12に記載のMEMSデバイス。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか1項に記載の可動デバイス、又は請求項12~14のいずれか1項に記載のMEMSデバイスを有する、光走査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可動デバイス、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス、及び光走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気により駆動する可動部を備えた可動デバイスが知られている。可動デバイスには、微細加工技術により形成されたMEMSデバイスがある。また、可動デバイスを用いて光を走査する光走査装置が知られている。
【0003】
可動デバイスの検査は、プローブを可動デバイスの電極にコンタクトさせて行う。可動デバイスには、電極が可動デバイスの片側に設けられたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の可動デバイスの検査では、動作時の振動により、正常なプローブのコンタクトが得られず、十分な試験結果を得られないことがある。そのため、可動デバイスをパッケージに組立てた後に検査を行うが、組立て後の検査は、検査工数又は部品点数等の増加により、コスト増大を招く虜がある。
【0006】
本開示は、可動デバイスの検査を合理化する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、可動部と、前記可動部を駆動する駆動部と、前記可動部を囲んでいて前記駆動部を支持する支持枠と、前記駆動部に電気的に接続する電極部と、前記駆動部から電気的に絶縁された偽電極部と、を備え、前記電極部と前記偽電極部が前記支持枠に設けられる、可動デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、可動デバイスの検査を合理化する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態の可動デバイスの構成例を示す図である。
【
図4】一実施形態の可動デバイスの固定方法を示す図である。
【
図5】一実施形態の可動デバイスの検査に用いたプローブを示す図である。
【
図6】基準例、比較例、及び実施例の可動デバイスの試験結果を示す図である。
【
図7】一実施形態の可動デバイスを用いた光走査装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成要素には同一符号を付与し、重複した説明を適宜省略する。
【0011】
各図面において、方向表現として、X軸、Y軸、及びZ軸を有する直交座標を用いる。また、X軸方向を左右方向として、Y軸方向を前後方向として、及びZ軸方向を上下方向として表現するが、これら方向表現は、本開示の実施形態の方向を限定しない。
【0012】
以下、一実施形態の可動デバイス100の構成について説明する。
【0013】
<可動デバイスの構成>
図1は、本実施形態の可動デバイス100の構成例を示す図である。可動デバイス100は、微細加工技術により形成されたMEMSデバイスであり、例えばMEMSミラーである。
【0014】
可動デバイス100は、可動部110と、駆動部120と、支持枠130と、電極部140と、偽電極部150と、を備えている。
【0015】
可動部110は、駆動部120により駆動される可動体であり、例えばミラー体である。可動部110の周囲には、Z軸方向(上下方向)に貫通する貫通孔115がある。
【0016】
可動部110は、ミラー111と、ミラー支持体112と、捻れ梁113A、113Bと、連結梁114A、114Bと、を備えている。
【0017】
駆動部120は、可動部110を駆動する駆動源である。駆動部120は、圧電駆動式により可動部110を駆動するが、電磁駆動式又は静電駆動式により可動部110を駆動してもよい。
【0018】
駆動部120は、駆動梁121A、121Bと、駆動源122A、122Bと、を備えている。
【0019】
支持枠130は、可動部110の周囲を囲む。支持枠130は、駆動部120を支持する。支持枠130の形状は、例えば矩形である。
【0020】
支持枠130は、各辺を構成する枠体131A、131B、132A、132Bを備えている。
【0021】
電極部140は、駆動部120に電気的に接続する導体である。電極部140は、支持枠130に支持される。
【0022】
電極部140は、上部電極143A、143Bと、下部電極144A、144Bと、電極パッド141A、141B、142A、142Bと、を備えている。
【0023】
偽電極部150は、駆動部120から電気的に絶縁された偽導体である。偽電極部150は、支持枠130に支持される。
【0024】
偽電極部150は、偽電極パッド151A、151B、152A、152B、153A、153B、154A、154B、155A、155B、156A、156B、157A、157B、158A、158Bを備えている。
【0025】
電極パッド141A~142Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して対称的な位置にある。電極パッド141A~142Bは、支持枠130の一辺を構成する第1の枠体131Aと、一辺に対向する対辺を構成する第2の枠体131Bと、に設けられている。なお、平面視とは、可動デバイス100をZ軸方向の視線で(真上から)見ることを意味する。
【0026】
偽電極パッド151A~158Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して対称的な位置にある。偽電極パッド151A~154Bは、可動部110を囲むように支持枠130の各辺を構成する枠体131A~132Bに設けられている。
【0027】
偽電極パッド155A~156Bは、支持枠130の各角を構成する枠体131A~132Bの端部に設けられてもよい。
【0028】
偽電極パッド157A~158Bは、支持枠130の一辺を構成する第1の枠体131Aの中央部と、一辺に対向する対辺を構成する第2の枠体131Bの中央部とに設けられてもよい。
【0029】
電極パッド141A~142Bと、偽電極パッド151A~158Bとは、後述の可動デバイス100の検査においてプローブがコンタクトする位置になる。
【0030】
ミラー111は、ミラー支持体112の上面に形成される。
【0031】
ミラー支持体112は、ミラー111を支持する。ミラー支持体112のX軸方向(左右方向)の各端部には、捻れ梁113A、113Bが接続する。
【0032】
捻れ梁113A、113Bは、X軸方向(左右方向)に延びる。捻れ梁113A、113Bは、ミラー支持体112を両側から支持する。捻れ梁113A、113Bは、ミラー111の揺動軸SAを構成する。
【0033】
捻れ梁113A、113Bが捻れることにより、ミラー111が揺動軸SA周りに揺動する。捻れ梁113A、113Bは、連結梁114A、114Bに連結する。
【0034】
連結梁114A、114Bは、例えば平面視でC字形である。連結梁114A、114BのC字形の中央部には、捻れ梁113A、113Bの端部が連結する。連結梁114A、114Bは、捻れ梁113A、113Bを駆動梁121A、121Bに連結する。
【0035】
連結梁114A、114BのC字形の端部には、駆動梁121A、121Bが連結する。
【0036】
駆動梁121A、121Bは、揺動軸SAと直交する方向でミラー111を挟むように、対をなして設けられている。駆動梁121A、121Bの端部には、支持枠130の枠体131A、131Bが接続する。駆動梁121A、121Bには、駆動源122A、122Bが設けられる。
【0037】
駆動源122A、122Bは、例えば圧電素子(圧電薄膜)である。駆動源122A、122Bには、上部電極143A、143Bと、下部電極144A、144Bとが設けられる。
【0038】
上部電極143A、143Bは、電極パッド141A、141Bに接続する。下部電極144A、144Bは、電極パッド142A、142Bに接続する。
【0039】
第1の駆動源122Aは、第1の電極パッド141Aと第2の電極パッド142Aとの間に印加する駆動電圧に応じて伸長又は収縮する。第2の駆動源122Bは、第3の電極パッド141Bと第4の電極パッド142Bとの間に印加する駆動電圧に応じて伸長又は収縮する。
【0040】
第1の駆動梁121Aは、第1の駆動源122Aの伸長又は収縮の動作に応じてZ軸方向(上下方向)に振動する。第2の駆動梁121Bは、第2の駆動源122Bの伸長又は収縮の動作に応じてZ軸方向(上下方向)に振動する。
【0041】
第1の駆動源122Aと第2の駆動源122Bとの間で電位が反転した駆動電圧を交互に印加することにより、ミラー111の両側で第1の駆動梁121Aと第2の駆動梁121Bが交互にZ軸方向(上下方向)に振動する。
【0042】
第1の駆動梁121Aと第2の駆動梁121Bの交互の振動により、捻れ梁113A、113Bを揺動軸SAとしてミラー111が軸周りに揺動する。
【0043】
第1の駆動梁121Aは、第1の枠体131Aにより支持される。第2の駆動梁121Bは、第2の枠体131Bにより支持される。
【0044】
第1の枠体131Aの各端部には、第3の枠体132Aの端部と第4の枠体132Bの端部が直交して接続する。第2の枠体131Bの各端部には、第3の枠体132Aの他端部と第4の枠体132Bの他端部が直交して接続する。
【0045】
第1の電極パッド141Aと第3の電極パッド141Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。
【0046】
第2の電極パッド142Aと第4の電極パッド142Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。
【0047】
直線形の偽電極パッド151A、151B、152A、152B、153A、153B、154A、154Bは、プローブのコンタクト領域の拡大を可能にする。
【0048】
ドット形の偽電極パッド155A、155B、156A、156B、157A、157B、158A、158Bは、スペースの確保し難い箇所へのパッドの設置を可能にする。ドット形は、概ね正方形であるが、円形等でもよい。
【0049】
第1の偽電極パッド151A、第2の偽電極パッド151B、第3の偽電極パッド152A、及び第4の偽電極パッド152Bは、支持枠130の第1の枠体131Aと、第1の枠体131Aに対向する第2の枠体131Bと、に設けられている。
【0050】
第1の偽電極パッド151Aと第2の偽電極パッド151Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。第3の偽電極パッド152Aと第4の偽電極パッド152Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。
【0051】
第5の偽電極パッド153A、第6の偽電極パッド153B、第7の偽電極パッド154A、及び第8の偽電極パッド154Bは、支持枠130の第3の枠体132Aと、第3の枠体132Aに対向する第4の枠体132Bと、に設けられている。
【0052】
第5の偽電極パッド153Aと第6の偽電極パッド153Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。第7の偽電極パッド154Aと第8の偽電極パッド154Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。
【0053】
第9の偽電極パッド155A、第10の偽電極パッド155B、第11の偽電極パッド156A、及び第12の偽電極パッド156Bは、支持枠130の各角を構成する枠体131A、131B、132A、132Bの端部に設けられている。
【0054】
第9の偽電極パッド155Aと第10の偽電極パッド155Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。第11の偽電極パッド156Aと第12の偽電極パッド156Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。
【0055】
第13の偽電極パッド157A及び第14の偽電極パッド157Bは、支持枠130の一辺を構成する第1の枠体131Aの中央部に設けられている。第15の偽電極パッド158A及び第16の偽電極パッド158Bは、支持枠130の一辺に対向する対辺を構成する第2の枠体131Bの中央部に設けられている。
【0056】
第13の偽電極パッド157Aと第14の偽電極パッド157Bは、第1の電極パッド141Aと第2の電極パッド142Aとの間に設けられている。第15の偽電極パッド158Aと第16の偽電極パッド158Bは、第3の電極パッド141Bと第4の電極パッド142Bとの間に設けられている。
【0057】
第13の偽電極パッド157Aと第14の偽電極パッド157Bは、支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。第15の偽電極パッド158Aと第16の偽電極パッド158Bは、支持枠130の中心Oに対して点対称な位置にある。
【0058】
以上のように、偽電極パッド151A~158Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して対称的な位置にある。従って、可動デバイス100の検査時のプローブによる固定が強化され、動作時の振動による支持枠130のバタつきを抑制することができる。
【0059】
なお、可動デバイス100は、直線形の偽電極パッド151A~154Bとドット形の偽電極パッド155A~158Bのいずれか一方を備えていてもよい。
【0060】
また、第3の枠体132Aと、第3の枠体132Aに対向する第4の枠体132Bとは、駆動部120を支持しておらず、駆動部120の振動が比較的伝達し難い。そこで、可動デバイス100は、駆動部120を支持している、第1の枠体131Aと、第1の枠体131Aに対向する第2の枠体131Bとにのみ、偽電極パッド151A~152Bを備えていてもよい。
【0061】
さらに、可動デバイス100は、支持枠130の各角を構成する枠体131A~132Bの端部にのみ、偽電極パッド153A~154Bを備えていてもよい。
【0062】
<可動デバイスの検査方法>
以下、可動デバイス100の検査方法について説明する。
図2は、本実施形態の検査装置200の一部断面図であり、
図3は、本実施形態の検査装置200の一部拡大図である。
【0063】
検査装置200は、例えばウエハW等の被検査体を検査するプローバである。ウエハWには、MEMSデバイス等の可動デバイス100が形成されている。検査装置200は、チャック201、トレイ202、及びプローブカード203等を備えている。
【0064】
チャック201は、真空吸着等によりウエハWを吸着する載置台である。チャック201は、チャック201の下方に設けられたアライメント装置により、X軸、Y軸、Z軸の方向に移動可能であり、かつθ軸回りに回転可能である。
【0065】
トレイ202は、チャック201の上面に載置される。トレイ202には、ウエハWが載置される。トレイ202は、可動デバイス100の専用トレイである。
【0066】
図3に示すように、トレイ202は、可動部110の動作を阻害しないように可動部110の下方に凹部202Aを備えている。
【0067】
トレイ202の周方向には、図示しない吸着孔が所定間隔ごとに設けられる。チャック201の吸引力により、ウエハWの外周部分がトレイ202に吸着される。しかし、ウエハWの内側部分は、可動部110の周囲に貫通孔115があるため、トレイ202に吸着されない。
【0068】
プローブカード203は、プローブピン等で構成された複数の検査用プローブ204を備えている。プローブ204は、プローブカード203の下面から下方に向かって延びている。アライメント装置は、可動デバイス100の電極部140とプローブ204とをコンタクトさせる。
【0069】
プローブ204は、プローブカード203の上方に設けられたテストヘッドの各端子に接続される。プローブ204には、テストヘッドから電力及び検査信号が供給される。検査装置200は、可動デバイス100の出力信号を測定して可動デバイス100が正常に動作するかを電気的に又は機械的に検査する。
【0070】
但し、ウエハWの内側部分は、トレイ202に吸着されないため、可動デバイス100のウエハ検査では、動作時の振動により、可動デバイス100の支持枠130も振動する。
【0071】
そこで、本実施形態の可動デバイス100は、可動部110を囲む支持枠130に偽電極部150が設けられている。可動デバイス100のウエハ検査では、電極部140だけでなく、偽電極部150とプローブ204とをコンタクトさせる。
【0072】
偽電極パッド151A~158Bは、平面視で支持枠130の中心Oに対して対称的な位置にある。従って、偽電極部150とプローブ204とを当接させて偽電極部150を固定することにより、可動デバイス100のウエハ検査時の支持枠130の固定を強化することができる。
【0073】
<可動デバイスの固定方法>
以下、可動デバイス100の固定方法について説明する。
図4は、本実施形態の可動デバイス100の固定方法を示す図である。
図4は、ウエハWの一部拡大図であり、ウエハWに形成された9個の可動デバイス100A~100Iが示されている。
【0074】
検査対象の可動デバイス100Aは、中心位置にある。検査対象の可動デバイス100Aの周囲にある8個の可動デバイス100B~100Iは、検査対象外の可動デバイスである。
【0075】
検査対象外の可動デバイス100B~100Iは、検査対象の可動デバイス100Aの辺に隣接する符号100B、100D、100F、100Hの4つの可動デバイスと、検査対象の可動デバイス100Aの角に隣接する符号100C、100E、100G、100Iの4つの可動デバイスと、を含む。検査対象外の可動デバイス100B~100Iは、可動デバイス100Aに近接して設けられる可動デバイスであり、詳細を後述する。
【0076】
可動デバイス100Aを検査する場合、検査対象の可動デバイス100Aの電極部140Aと偽電極部150Aをプローブ204にコンタクトさせることにより、検査対象の可動デバイス100Aの支持枠130Aの振動を抑制することができる。
【0077】
さらに、可動デバイス100Aの周囲にある検査対象外の可動デバイス100B~100Iの別の偽電極部150B、150C、150D、150E、150F、150G、150H、150Iをプローブ204にコンタクトさせてもよい。これにより、検査対象の可動デバイス100Aの支持枠130Aの固定を強化することができる。
【0078】
可動デバイス100AのX軸方向とY軸方向(前後と左右)に隣接する検査対象外の可動デバイス100B、100D、100F、100Hでは、隣接する辺を構成する支持枠130B、130D、130F、130Hの枠体を用いる。
【0079】
支持枠130B、130D、130F、130Hの枠体に設けられた偽電極部150B、150D、150F、150Hとプローブ204とをさらにコンタクトさせることにより、検査対象の可動デバイス100Aの支持枠130Aの固定を強化することができる。
【0080】
可動デバイス100Aの右上、右下、左上、及び左下に隣接する検査対象外の可動デバイス100C、100E、100G、100Iでは、隣接する角を構成する支持枠130C、130E、130G、130Iの枠体の端部を用いる。
【0081】
支持枠130C、130E、130G、130Iの端部に設けられた偽電極部150C、150E、150G、150Iとプローブ204とをコンタクトさせることにより、検査対象の可動デバイス100Aの支持枠130Aの固定を強化することができる。
【0082】
以上のように、検査対象の可動デバイス100Aの周囲にある検査対象外の可動デバイス100B~100Iの偽電極部150B~150Iを用いて、検査対象の可動デバイス100Aの動作時の支持枠130Aのバタつきをさらに抑制してもよい。
【0083】
<実施例>
以下、可動デバイス100Aの検査の実施例について説明する。
図5は、本実施形態の可動デバイス100Aの検査に用いたプローブ204A~204Lを示している。
【0084】
実施例1は、第1のプローブカード203Aを用いて検査した可動デバイス100Aとした。第1のプローブカード203Aは、第1組のプローブ204A、204Bを備えている。
【0085】
第1組のプローブ204A、204Bは、可動デバイス100Aの第1の枠体131Aと、第1の枠体131Aに対向する第2の枠体131Bとに設けられた電極部140及び偽電極部150にコンタクトする。
【0086】
第1の枠体131Aの電極パッド141A、142Aのそれぞれに、プローブ204Aのうちの1本ずつがコンタクトし、第2の枠体131Bの電極パッド141B、142Bのそれぞれにプローブ204Bのうちの1本ずつがコンタクトして、可動デバイス100Aに可動部の駆動信号を供給する。
【0087】
第1の枠体131Aの角の偽電極パッド155A、156Aのそれぞれに、プローブ204Aのうちの1本ずつがコンタクトし、第2の枠体131Bの角の偽電極パッド155B、156Bのそれぞれにプローブ204Bのうちの1本ずつがコンタクトする。
【0088】
第1の枠体131Aの偽電極パッド157A、158Aのそれぞれに、プローブ204Aの1本ずつがコンタクトし、第2の枠体131Bの偽電極パッド157B、158Bのそれぞれにプローブ204Bの1本ずつがコンタクトする。
【0089】
第1の枠体131Aの偽電極パッド151A、152Aには、プローブ204Aの電極パッド141A、142Aにコンタクトした2本と偽電極パッド155A、156A、157A、158Aにコンタクトした4本との合計6本を除くプローブ204Aの複数本、例えば4本ずつがコンタクトする。第2の枠体131Bの偽電極パッド151B、152Bには、プローブ204Bの電極パッド141B、142Bにコンタクトした2本と偽電極パッド155A、156A、157B、158Bにコンタクトした4本の合計6本を除くプローブ204Bの複数本、例えば4本ずつがコンタクトする。
【0090】
偽電極パッド155A~158Aにコンタクトしたプローブ204Aの12本と、155B~158Bにコンタクトしたプローブ204Bの12本によって枠体131A、131Bが抑えられて可動デバイス100Aの振動が抑制される。
【0091】
実施例1では、可動デバイス100Aがウエハにある状態で、可動デバイス100Aの電極部140と偽電極部150に第1組のプローブ204A、204Bをコンタクトさせた。次いで、可動デバイス100Aの電気的又は機械的な特性検査を行った。
【0092】
実施例2は、第2のプローブカード203Bを用いて検査した可動デバイス100Aとした。第2のプローブカード203Bは、第1組のプローブ204A、204Bに加えて、第2組のプローブ204C、204Dをさらに備えている。
【0093】
第2組のプローブ204C、204Dは、可動デバイス100Aの第3の枠体132Aと、第3の枠体132Aに対向する第4の枠体132Bとに設けられた偽電極部150にコンタクトする。
【0094】
第1の枠体131Aの角の偽電極パッド155A、第2の枠体131Bの角の偽電極パッド156B、つまり第3の枠体132Aの両角の偽電極パッドのそれぞれに、プローブ204Cのうちの1本ずつがコンタクトし、第1の枠体131Aの角の偽電極パッド156A、第2の枠体131Bの角の偽電極パッド155B、つまり第4の枠体132Bの両角の偽電極パッドのそれぞれに、プローブ204Dのうちの1本ずつがコンタクトする。偽電極パッド155A、156B、156A、155Bは、プローブ204A、204Bともコンタクトしており、合計2本ずつのプローブとコンタクトしている。
【0095】
第3の枠体132Aの偽電極パッド153A、154Bには、偽電極パッド155A、156Bにコンタクトした2本を除くプローブ204Cの複数本、例えば3本ずつがコンタクトする。第4の枠体132Bの偽電極パッド154A、153Bには、偽電極パッド156A、155Bにコンタクトした2本除くプローブ204Dの複数本、例えば3本ずつがコンタクトする。
【0096】
偽電極パッド155A~158Aにコンタクトしたプローブ204Aの12本と、155B~158Bにコンタクトしたプローブ204Bの12本によって枠体131A、131Bが抑えられ、さらに偽電極パッド153A、154B、154A、153Bの4本と、偽電極パッド153A、154Bにコンタクトしたプローブ204Cの6本と、偽電極パッド154A、153Bにコンタクトしたプローブ204Dの6本によって、枠体131A、131B、132A、132Bが抑えられて可動デバイス100Aの振動が抑制される。
【0097】
実施例2では、可動デバイス100Aがウエハにある状態で、可動デバイス100Aの電極部140と偽電極部150に第1組~第2組のプローブ204A、204B、204C、204Dをコンタクトさせた。次いで、可動デバイス100Aの電気的又は機械的な特性検査を行った。
【0098】
実施例3は、第3のプローブカード203Cを用いて検査した可動デバイス100Aとした。第3のプローブカード203Cは、第1組と第2組のプローブ204A、204B、204C、204Dに加えて、第3組~第6組のプローブ204E、204F、204G、204H、204I、204J、204K、204Lをさらに備えている。
【0099】
第3組のプローブ204E、204Fは、可動デバイス100AのY軸方向(前後方向)に隣接する検査対象外の可動デバイス100B、100Fに設けられた偽電極部150B、150Fにコンタクトする。
【0100】
第1の枠体131Aと隣接する可動デバイス100Bの支持枠130Bに設けられた偽電極部150Bとプローブ204Eがコンタクトする。偽電極部150Bとプローブ204Eとのコンタクト位置は、プローブ204Aと偽電極部150Aがコンタクトする位置の間になるように設けられている。
【0101】
第2の枠体131Bと隣接する可動デバイス100Fの支持枠130Fに設けられた偽電極部150Fとプローブ204Fがコンタクトする。偽電極部150Fとプローブ204Fとのコンタクト位置は、プローブ204Bと偽電極部150Aがコンタクトする位置の間になるように設けられている。
【0102】
第4組のプローブ204G、204Hは、可動デバイス100AのX軸方向(左右方向)に隣接する検査対象外の可動デバイス100D、100Hに設けられた偽電極部150D、150Hにコンタクトする。
【0103】
第3の枠体132Aと隣接する可動デバイス100Hの支持枠130Hに設けられた偽電極部150Hとプローブ204Hがコンタクトする。偽電極部150Hとプローブ204Hとのコンタクト位置は、プローブ204Dと偽電極部150Aがコンタクトする位置の間になるように設けられている。
【0104】
第4の枠体132Bと隣接する可動デバイス100Dの支持枠130Dに設けられた偽電極部150Dとプローブ204Gがコンタクトする。偽電極部150Dとプローブ204Gとのコンタクト位置は、プローブ204Cと偽電極部150Aがコンタクトする位置の間になるように設けられている。
【0105】
第5組のプローブ204I、204Jは、可動デバイス100AにXY正方向(対角線方向)に隣接する検査対象外の可動デバイス100C、100Gに設けられた偽電極部150C、150Gにコンタクトする。
【0106】
第6組のプローブ204K、204Lは、可動デバイス100AにXY負方向(対角線方向)に隣接する検査対象外の可動デバイス100E、100Iに設けられた偽電極部150E、150Iにコンタクトする。
【0107】
偽電極部150とコンタクトするプローブ204の本数は上述に限定されず適宜選択できる。例えば、偽電極部150には複数本のプローブがコンタクトするとしているが1本がコンタクトするようにしてもよいし、さらに多くのプローブがコンタクトするようにしてもよい。
【0108】
実施例3では、可動デバイス100Aがウエハにある状態で、可動デバイス100Aの電極部140及び偽電極部150と、検査対象外の可動デバイス100B~100Iの偽電極部150と、に第1組~第6組のプローブ204A~204Lをコンタクトさせた。次いで、可動デバイス100Aの電気的又は機械的な特性検査を行った。
【0109】
また、実施例1~3の可動デバイス100Aのウエハ検査の効果を確認するため、基準例と比較例を用意した。
【0110】
基準例は、偽電極パッド151A~158Bを備えていない可動デバイスをパッケージに組立てたものとした。基準例では、可動デバイスがパッケージに組立てられた状態で、可動デバイスの電極部140に検査専用ソケットを取り付け、次いで、可動デバイスの電気的又は機械的な特性検査を行った。
【0111】
比較例は、偽電極パッド151A~158Bを備えていない可動デバイスとした。比較例では、可動デバイスがウエハにある状態で、可動デバイスの電極部140にのみプローブ204をコンタクトさせ、可動デバイスの電気的又は機械的な特性検査を行った。
【0112】
図6は、基準例、比較例、及び実施例1~3の可動デバイスの試験結果を示す図である。
図6には、駆動源122A、122Bの電荷容量C〔F〕と、駆動源122A、122Bに印加した駆動電圧の周波数F〔Hz〕との関係が示されている。
【0113】
図6は、電荷容量Cが大きい周波数Fにおいて、駆動梁121A、121BがZ軸方向(上下方向)に大きく振動していることを示している。
【0114】
基準例の試験結果は、太い実線で示す。基準例の試験結果は、パッケージに組立てた可動デバイスの検査結果であるため、基準値である。
【0115】
比較例の試験結果は、破線で示す。比較例では、電荷容量Cのピーク値PCに対応する周波数FCが基準例の電荷容量Cのピーク値P0に対応する周波数F0からかけ離れていた。
【0116】
また、比較例の試験結果の波形は、基準例の試験結果の波形と大きく相違した。結果として、比較例の可動デバイスのウエハ検査によれば、試験結果が基準値から大きく食い違ってしまうことが分かった。
【0117】
実施例1の試験結果は、二点鎖線で示す。実施例1では、電荷容量Cのピーク値P1に対応する周波数F1が基準例の電荷容量Cのピーク値P0に対応する周波数F0に近づいた。
【0118】
但し、囲み線FAで示すように、実施例1では、高周波領域において電荷容量Cの乱れがあった。結果として、実施例1の可動デバイス100Aのウエハ検査によれば、試験結果が基準値に近づくことが分かった。
【0119】
実施例2の試験結果は、一点鎖線で示す。実施例2では、電荷容量Cのピーク値P2に対応する周波数F2が基準例の電荷容量Cのピーク値P0に対応する周波数F0にさらに近づいた。
【0120】
但し、囲み線FAで示すように、実施例2では、高周波領域において電荷容量Cの乱れが僅かにあった。結果として、実施例2の可動デバイス100Aのウエハ検査によれば、試験結果が基準値にさらに近づくことが分かった。
【0121】
実施例3の試験結果は、実線で示す。実施例3では、電荷容量Cのピーク値P3に対応する周波数F3が基準例の電荷容量Cのピーク値P0に対応する周波数F0に最も近かった。
【0122】
また、実施例3の電荷容量Cの波形は、基準例の電荷容量Cの波形に最も近かった。結果として、実施例3の可動デバイス100Aのウエハ検査によれば、試験結果が基準値と等価であることが分かった。
【0123】
<本実施形態の作用効果>
本実施形態の可動デバイス100は、可動部110を囲んでいて駆動部120を支持する支持枠130に偽電極部150を備えている。偽電極部150は、平面視で支持枠130の中心Oに対して対称的な位置にある。
【0124】
斯かる可動デバイス100のウエハ検査では、試験結果が基準値に近い又は等価であることが分かった。つまり、偽電極部150とプローブ204とをコンタクトさせることにより、可動デバイス100の動作時の振動による支持枠130のバタつきを抑制できることが分かった。
【0125】
結果として、可動デバイス100の電気的又は機械的な特性検査を、可動デバイス100をパッケージに組立てた後ではなく、ウエハ検査時に行うことができる。従って、組立て後の可動デバイス100の検査に伴う工数又は部品点数等を削減することができる。
【0126】
よって、本実施形態の可動デバイス100によれば、可動デバイスの検査を合理化する技術を提供することができる。
【0127】
<光走査装置>
以下、可動デバイス100を用いた光走査装置について説明する。
図7は、可動デバイス100を用いた光走査装置300の構成例を示す図である。
【0128】
光走査装置300は、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)である。光走査装置300は、光走査制御部310と、光源部320と、光走査部330と、を備えている。
【0129】
光走査制御部310は、光源部320と光走査部330を駆動制御する駆動制御装置である。光走査制御部310は、システムコントローラ311と、ミラー駆動回路312と、レーザ駆動回路313と、を備えている。
【0130】
光源部320は、レーザダイオード等を備えた光源である。
【0131】
光走査部330は、MEMSミラー等の可動デバイス100を備えた光走査体である。光走査部330は、ミラー部331と、駆動部120と、支持枠130と、電極部140と、偽電極部150と、を備えている。
【0132】
システムコントローラ311は、ミラー駆動回路312に対し、光走査部330のミラー部331の揺動を制御するための制御信号を供給する。また、システムコントローラ311は、レーザ光の照射タイミング信号をレーザ駆動回路313に供給する。
【0133】
システムコントローラ311は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えている。システムコントローラ311は、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)をさらに備えている。
【0134】
CPUは、システムコントローラ311の全体を制御すると共に、各種演算処理を実行する。ROMは、IPL(Initial Program Loader)等のCPUの駆動に用いるプログラムを記憶する。RAMは、プログラムをロードする記憶領域として又はロードしたプログラムのワークエリアとして使用する。NVRAMは、CPUにより実行される各種プログラムを記憶する。
【0135】
ミラー駆動回路312は、システムコントローラ311からの制御信号に基づいて、光走査部330に対し、ミラー部331を揺動軸SA周りに揺動させるためのミラー駆動信号を供給する。
【0136】
レーザ駆動回路313は、システムコントローラ311から供給される照射タイミング信号に基づいて、光源部320に対し、レーザダイオードを駆動するためのレーザ駆動信号を供給する。
【0137】
光源部320は、レーザ駆動回路313から供給されたレーザ駆動信号に基づいて、照射タイミング信号で規定されるタイミングで、間欠的にレーザ光を出射する。光源部320から出射されたレーザ光は、光走査部330のミラー部331に入射する。
【0138】
ミラー部331は、ミラー駆動回路312から供給されたミラー駆動信号に基づいて、駆動部120により駆動されるミラー体である。
【0139】
駆動部120は、ミラー駆動回路312から供給されたミラー駆動信号に基づいて、ミラー部331を駆動する駆動源である。
【0140】
支持枠130は、ミラー部331を囲んでいて駆動部120を支持している。
【0141】
電極部140は、駆動部120に電気的に接続する導体である。偽電極部150は、駆動部120から電気的に絶縁された偽導体である。
【0142】
電極部140と偽電極部150は、支持枠130に設けられ、偽電極部150は、平面視で支持枠130の中心に対して対称的な位置にある。
【0143】
光走査部330は、可動デバイス100のウエハ検査時に偽電極部150とプローブ204とをコンタクトさせることにより、動作時の振動による支持枠130のバタつきを抑制することができる。
【0144】
可動デバイス100の電気的又は機械的な特性検査を、可動デバイス100をパッケージに組立てた光走査部330の状態ではなく、ウエハ検査時に行うことができる。従って、組立て後の光走査部330の検査に伴う工数又は部品点数等を削減することができる。
【符号の説明】
【0145】
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I・・・可動デバイス、110・・・可動部、111・・・ミラー、112・・・ミラー支持体、113A、113B・・・捻れ梁、114A、114B・・・連結梁、115・・・貫通孔、120・・・駆動部、121A、121B・・・駆動梁、122A、122B・・・駆動源、130・・・支持枠、131A、131B、132A、132B・・・枠体、140・・・電極部、141A、141B、142A、142B・・・電極パッド、150・・・偽電極部、151A、151B、152A、152B、153A、153B、154A、154B、155A、155B、156A、156B、157A、157B、158A、158B・・・偽電極パッド、200・・・検査装置、201・・・チャック、202・・・トレイ、202A・・・凹部、203・・・プローブカード、204・・・プローブ、300・・・光走査装置、310・・・光走査制御部、311・・・システムコントローラ、312・・・ミラー駆動回路、313・・・レーザ駆動回路、320・・・光源部、330・・・光走査部、331・・・ミラー部、SA・・・揺動軸、W・・・ウエハ