(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060969
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】端子及びそれを備えた電池並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/566 20210101AFI20240425BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20240425BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20240425BHJP
【FI】
H01M50/566
H01M50/557
H01M50/567
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168578
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390011198
【氏名又は名称】福井鋲螺株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山田 康平
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】古川 剛
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 昭博
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA01
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA05
5H043DA09
5H043HA06D
5H043HA16D
5H043HA17D
5H043JA01D
5H043JA04D
5H043LA02D
(57)【要約】
【課題】金属接合部の導通信頼性が向上した端子を提供する。
【解決手段】ここで開示される電池用端子40は、第1導電部材41と、第1導電部材41と電気的に接続されるフランジ部42fを有する第2導電部材42と、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとを機械的に固定する締結部43と、締結部43から離れた位置で、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとを金属接合する金属接合部と、を備え、締結部43近傍で、第1導電部材41とフランジ部42fとの間に空隙Sが設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部材と、
前記第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、
前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを機械的に固定する締結部と、
前記締結部から離れた位置で、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを金属接合する金属接合部と、
を備え、
前記締結部の近傍で、前記第1導電部材と前記フランジ部との間に空隙が設けられている、電池用端子。
【請求項2】
前記第2導電部材の前記フランジ部は、側面にくびれ部を有し、
前記締結部は、前記第1導電部材と前記フランジ部の前記くびれ部とが機械的に固定されて構成されており、
前記第2導電部材の前記フランジ部は、上面を有し、
前記第1導電部材は、前記フランジ部の前記上面と対向する上面対向領域を有し、
前記金属接合部は、前記上面と前記上面対向領域とが金属接合されて構成されている、
請求項1に記載の電池用端子。
【請求項3】
前記フランジ部の前記上面において、前記金属接合部から前記上面の外周縁までの距離をL1としたときに、前記外周縁から前記距離L1の25%以内の長さの領域として規定される端部領域に、前記空隙が設けられている、
請求項2に記載の電池用端子。
【請求項4】
前記フランジ部の前記上面の外周縁の近傍に、凹み部が設けられている、
請求項2または3に記載の電池用端子。
【請求項5】
前記第1導電部材において、前記フランジ部の前記上面の外周縁と対向する部分に、凹み部が設けられている、
請求項2または3に記載の電池用端子。
【請求項6】
請求項1または2に記載の電池用端子を備える、
二次電池。
【請求項7】
第1導電部材と、前記第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを機械的に固定する締結部と、前記締結部から離れた位置で、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを金属接合する金属接合部と、を備える電池用端子の製造方法であって、
前記第1導電部材を変形させることにより、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを機械的に固定して前記締結部を形成する、締結部形成工程と、
前記締結部から離れた位置で、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを金属接合して金属接合部を形成する、金属接合部形成工程と、
を有し、
前記締結部形成工程において、前記締結部の近傍で、前記第1導電部材と前記フランジ部との間に空隙を確保する、
電池用端子の製造方法。
【請求項8】
前記第2導電部材の前記フランジ部は、側面にくびれ部を有し、
前記締結部形成工程では、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記くびれ部とを機械的に固定し、
前記第2導電部材の前記フランジ部は、上面を有し、前記第1導電部材は、前記フランジ部の前記上面と対向する上面対向領域を有し、
前記金属接合部形成工程では、前記上面と前記上面対向領域とを金属接合する、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記締結部形成工程では、前記フランジ部の前記上面において前記金属接合部から前記上面の外周縁までの距離をL1としたときに、前記外周縁から前記距離L1の25%以内の長さの領域として規定される端部領域に、前記空隙を確保する、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記フランジ部の前記上面の外周縁の近傍に、凹み部が設けられている、
請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1導電部材において、前記フランジ部の前記上面の外周縁と対向する部分に、凹み部が設けられている、
請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項8または9に記載の製造方法で製造された電池用端子を用いる、
二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及びそれを備えた電池並びにそれらの製造方法に関する。詳しくは、電池用端子及びそれを備えた二次電池並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リチウムイオン二次電池等の電池は、電極を有する電極体と、電極体を収容する電池ケースと、を備える。この種の電池においては、電池ケースの内部で電極と電気的に接続された端子を電池ケースの外部に引き出した端子が知られている。かかる端子に関連する従来技術として、例えば特許文献1には、第1導電部材と、上記第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを機械的に固定する締結部と、上記締結部から離れた位置で、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを金属接合する金属接合部と、を備える端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、第1導電部材と第2導電部材とを機械的に締結するときに、例えば第2導電部材の外形に沿って第1導電部材が変形すると、第1導電部材の余肉の逃げ場が無くなり、第1導電部材が第2導電部材から離れるように反りかえってしまうことがある。その結果、第1導電部材と第2導電部材とを金属接合する個所に隙間が空いて、金属接合部の接合強度が低下する虞があることが新たに判明した。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属接合部の導通信頼性が向上した端子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、第1導電部材と、上記第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを機械的に固定する締結部と、上記締結部から離れた位置で、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを金属接合する金属接合部と、を備え、上記締結部の近傍で、上記第1導電部材と上記フランジ部との間に空隙が設けられている、電池用端子が提供される。
【0007】
上記端子では、締結部の近傍に空隙が確保されている。当該空隙は、締結部が形成される際に、変形する方の導電部材の余肉の逃げ場となる十分なスペースが存在していたことを裏付けるものである。このように、締結部の形成時に余肉の逃げ場となる十分なスペースが存在していることにより、変形する方の導電部材の反りかえりが低減され、金属接合部が形成される個所の形状が安定する。したがって、第1導電部材と第2導電部材とが密接した金属接合部を実現でき、金属接合部の導通信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図3は、負極端子の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る負極端子を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る負極端子を模式的に示す下面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る負極端子を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図4のVII-VII線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図8】
図8は、
図7の締結部の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る組電池を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る負極端子の要部を示す模式図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る空隙の一例を模式的に示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0010】
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。
【0011】
<電池100>
図1は、電池100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、U、Dは、左、右、上、下を表し、図面中の符号X、Y、Zは、電池100の長辺方向、上記長辺方向と直交する短辺方向、上下方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0012】
図2に示すように、電池100は、電極体10と、電池ケース20と、正極端子30と、負極端子40と、を備えている。電池100は、ここに開示される正極端子30および/または負極端子40を備えることによって特徴付けられ、それ以外の構成は従来同様であってよい。電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。図示は省略するが、電池100は、ここではさらに電解質を備えている。電池100は、電極体10と図示しない電解質とが電池ケース20に収容されて構成されている。
【0013】
電極体10は従来と同様でよく、特に制限はない。電極体10は、正極および負極(図示せず)を有する。電極体10は、例えば、帯状の正極と帯状の負極とが帯状のセパレータを介して絶縁された状態で積層され、捲回軸を中心として捲回されてなる扁平な捲回電極体である。ただし、電極体10は、方形状(典型的には矩形状)の正極と方形状(典型的には矩形状)の負極とが絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0014】
正極は、正極集電体11と、正極集電体11上に固着された正極合剤層(図示せず)と、を有する。正極集電体11は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。正極合剤層は、正極活物質(例えば、リチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。負極は、負極集電体12と、負極集電体12上に固着された負極合剤層(図示せず)と、を有する。負極集電体は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極合剤層は、負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。
【0015】
図2に示すように、電極体10の長辺方向Xの中央部分(斜線部分)には、正極合剤層と負極合剤層とが絶縁された状態で積層された積層部分が形成されている。一方、電極体10の長辺方向Xの左端部には、正極合剤層の形成されていない正極集電体11の一部分(正極集電体露出部)が積層部分からはみ出している。正極集電体露出部には、正極リード部材13が付設されている。正極リード部材13は、正極集電体11と同じ金属材料、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。また、電極体10の長辺方向Xの右端部には、負極合剤層の形成されていない負極集電体12の一部分(負極集電体露出部)が積層部分からはみ出している。負極集電体露出部には、負極リード部材14が付設されている。負極リード部材14の材質(金属種)は正極リード部材13と異なっていてもよい。負極リード部材14は、負極集電体12と同じ金属種、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。
【0016】
電解質は従来と同様でよく、特に制限はない。電解質は、例えば、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水系の液状電解質(非水電解液)である。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類を含んでいる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩である。ただし、電解質は固体状(固体電解質)で、電極体10と一体化されていてもよい。
【0017】
電池ケース20は、電極体10を収容する筐体である。電池ケース20は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)に形成されている。ただし、電池ケース20の形状は角形に限定されず、円柱等の任意の形状であってよい。電池ケース20の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース20は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の軽量で熱伝導性の良い金属材料で構成されている。
図2に示すように、電池ケース20は、開口部22hを有するケース本体22と、開口部22hを塞ぐ蓋体(封口板)24と、を備えている。電池ケース20は、ケース本体22の開口部22hの周縁に蓋体24が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。電池ケース20は、気密に封止(密閉)されている。
【0018】
ケース本体22は、平板状の底面22dを有する。蓋体24は、ケース本体22の底面22dに対向している。蓋体24は、ここでは略矩形状である。なお、本明細書において「略矩形状」とは、完全な矩形状(長方形状)に加えて、例えば、矩形状の長辺と短辺とを接続する角部がR状になっている形状や、角部に切り欠きを有する形状等をも包含する用語である。
【0019】
図1に示すように、正極端子30および負極端子40は、電池ケース20の外部に突出している。正極端子30および負極端子40は、ここでは、電池ケース20の同じ面(具体的には蓋体24)からそれぞれ突出している。ただし、正極端子30および負極端子40は、電池ケース20の異なる面からそれぞれ突出していてもよい。正極端子30および負極端子40は、電池ケース20(具体的には蓋体24)に固定されている。正極端子30および負極端子40は、蓋体24の長辺方向Xの両端部分に配置されている。正極端子30および/または負極端子40は、ここに開示される電池用端子の一例である。なかでも、負極端子40が、ここに開示される電池用端子であることが好ましい。
【0020】
正極端子30は、電池ケース20の内部で正極リード部材13を介して電極体10の正極と電気的に接続されている。負極端子40は、電池ケース20の内部で、負極リード部材14を介して電極体10の負極と電気的に接続されている。正極端子30および負極端子40は、それぞれ、蓋体24に取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、それぞれ、後述するガスケット50(
図3参照)およびインシュレータ60(
図3参照)を介して蓋体24とは絶縁されている。
【0021】
図3は、負極端子40の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。なお、以下では負極端子40の側の端子構造を例として詳しく説明するが、正極端子30の側の端子構造についても同様であってよい。その場合、以下の記載において、「負極」の個所を適宜「正極」と読み替えることができる。
【0022】
図3に示すように、蓋体24には、上下方向Zに貫通した端子引出孔24hが形成されている。平面視において、端子引出孔24hは、例えば環状(例えば円環状)である。端子引出孔24hは、後述する負極端子40のかしめ加工前の軸柱部42sを挿通可能な大きさの内径を有する。端子引出孔24hは、後述する負極端子40のフランジ部42fよりも小さく形成されている。
【0023】
負極リード部材14は、負極集電体12の負極集電体露出部に付設され、負極と負極端子40とを電気的に接続する導通経路を構成している。負極リード部材14は、蓋体24の内側の表面に沿って水平に広がった平板状部分14fを有する。平板状部分14fには、端子引出孔24hに対応する位置に、貫通孔14hが形成されている。貫通孔14hは、後述する負極端子40のかしめ加工前の軸柱部42sを挿通可能な大きさの内径を有する。負極リード部材14は、かしめ加工によって、インシュレータ60を介して絶縁された状態で、蓋体24に固定されている。
【0024】
ガスケット50は、蓋体24の上面(外側の面)と負極端子40との間に配置される絶縁部材である。ガスケット50は、ここでは蓋体24と負極端子40とを絶縁すると共に、端子引出孔24hを閉鎖する機能を有する。ガスケット50は、電気絶縁性を有し、弾性変形が可能な樹脂材料、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、脂肪族ポリアミド等で構成されている。
【0025】
図3に示すように、ガスケット50は、筒部51と基部52とを有する。筒部51は、蓋体24と負極端子40の軸柱部42sとの直接接触を防止する部位である。筒部51は、中空の円筒形状である。筒部51は、上下方向Zに貫通した貫通孔51hを有する。貫通孔51hは、かしめ加工前の負極端子40の軸柱部42sを挿通可能なように形成されている。筒部51は、蓋体24の端子引出孔24hに挿通されている。基部52は、蓋体24と、後述する負極端子40のフランジ部42fと、の直接接触を防止する部位である。基部52は、筒部51の上端に連結している。基部52は、筒部51の上端から水平方向に延びている。基部52は、蓋体24の端子引出孔24hを囲むように、例えば円環状に形成されている。基部52は、蓋体24の上面に沿って延びている。基部52は、負極端子40のフランジ部42fの下面42dと、蓋体24の上面との間に挟み込まれ、かしめ加工によって上下方向Zに圧縮されている。
【0026】
インシュレータ60は、蓋体24の下面(内側の面)と負極リード部材14との間に配置される絶縁部材である。インシュレータ60は、蓋体24と負極リード部材14とを絶縁する機能を有する。インシュレータ60は、蓋体24の内面に沿って水平に広がった平板状部分を有する。この平板状部分には、端子引出孔24hに対応する位置に貫通孔60hが形成されている。貫通孔60hは、負極端子40の軸柱部42sを挿通可能な大きさの内径を有する。インシュレータ60は、使用する電解質に対する耐性と電気絶縁性とを有し、弾性変形が可能な樹脂材料、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等で構成されている。インシュレータ60の平板状部分は、蓋体24の下面と負極リード部材14の上面との間に挟み込まれ、かしめ加工によって、上下方向Zに圧縮されている。
【0027】
<負極端子40>
負極端子40は、端子引出孔24hを挿通して電池ケース20の内部から外部へと延びている。後述するように、負極端子40は、2種類の導電部材、すなわち第1導電部材41と第2導電部材42とが、締結部43および金属接合部45によって一体化されて構成されている。
図3に示すように、負極端子40は、かしめ加工によって、蓋体24とは絶縁された状態で、蓋体24の端子引出孔24hを囲む周縁部分にかしめられている。負極端子40の下端部には、鋲部40cが形成されている。負極端子40は、かしめ加工により、蓋体24に固定されると共に、負極リード部材14と電気的に接続されている。
【0028】
図4~
図6は、それぞれ、蓋体24に取り付けられる前の(すなわち、かしめ加工前の)負極端子40の模式図であり、
図4は平面図(上面図)、
図5は下面図、
図6は側面図である。また、
図7は、
図4のVII-VII線に沿う模式的な縦断面図であって、負極端子40の要部を模式的に示す縦断面図である。
図7に示すように、負極端子40は、第1導電部材41と、第2導電部材42と、締結部43と、金属接合部45と、を備える。第1導電部材41と第2導電部材42は、連結方法の異なる2種類の連結部、すなわち、締結部43と金属接合部45とを介して一体化され、相互に電気的に接続されている。
【0029】
第1導電部材41は、電池ケース20の外部に配置される部材である。第1導電部材41は、ここでは金属製である。第1導電部材41は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼、銅等の導電性金属からなっている。第1導電部材41は、ブリネル硬さ(HB)が40以上であることが好ましい。第1導電部材41は、ここではアルミニウム製である。アルミニウムの調質は、A1050-H18・H24、A3003-H18・H24等が好ましい。第1導電部材41は、加工性を良化させる目的等で、微小元素が添加され調質が変更されていてもよい。第1導電部材41は、正極リード部材13と同じ金属、または同じ金属元素を第1成分(質量比で最も配合割合の高い成分。以下同じ。)とする合金であってもよい。
【0030】
図4~
図6に示すように、第1導電部材41は、板状である。第1導電部材41は、板状であることが好ましい。第1導電部材41は、ここでは平板状である。第1導電部材41は、下面41dと、上面41uと、を有する。下面41dは、電池ケース20(具体的には蓋体24)と対向する側の面である。上面41uは、電池ケース20から離れた側の面である。第1導電部材41は、ここでは略矩形状である。第1導電部材41は、長辺方向Xに2つに区分けされた部分であって、第2導電部材42と電気的に接続される接続部41aと、接続部41aから長辺方向Xの一方側(
図4~
図6の左方)に延びる延伸部41bと、を有する。
【0031】
接続部41aは、
図7に示すように、延伸部41bよりも厚みが薄く形成された薄肉部41t(
図4も参照)と、上下方向Zに貫通した貫通孔41hと、第1導電部材41の下面41dから凹んだ凹部41rと、を有する。薄肉部41tには、金属接合部45が設けられている。
図4に示すように、薄肉部41tは、平面視において環状(例えば円環状)に形成されている。第1導電部材41は、薄肉部41tを有することが好ましい。薄肉部41t貫通孔41hの周縁を囲むように設けられていることが好ましい。
【0032】
貫通孔41hは、平面視において環状(例えば円環状)に形成されている。第1導電部材41の上面41uには、貫通孔41hから第2導電部材42(具体的には、フランジ部42f)が露出している。
図7に示すように、貫通孔41hは、薄肉部41tの中央部に設けられている。貫通孔41hは、薄肉部41tの中央部に設けられていることが好ましい。貫通孔41hは、締結部43および金属接合部45よりも内周側に設けられている。貫通孔41hは、溶接の際に発生したガスや熱の逃げ道として機能しうる。第1導電部材41は、第2導電部材42と対向する領域(特には、金属接合部45の近傍)に、貫通孔41hを有することが好ましい。
【0033】
凹部41rは、金属接合部45よりも外周側に設けられている。図示は省略するが、凹部41rは、平面視において環状(例えば円環状)に形成されている。凹部41rは、ここでは第1導電部材41の下面41dに向かって(言い換えれば、第2導電部材42に近づくほど)縮径するテーパ形状に形成されている。凹部41rには、後述する第2導電部材42のくびれ部42nが挿入されている。第1導電部材41は、下面41dに凹部41rを有し、凹部41r内に後述する第2導電部材42の一部(例えばくびれ部42n)が配置されることが好ましい。詳しくは後述するが、凹部41rは、第2導電部材42と締結される前のザグリ径が、くびれ部42nの外形よりも大きい。これにより、凹部41rの側方では、第2導電部材42のくびれ部42nとの間に空隙Sがあいている。
【0034】
凹部41rは、底壁41mを有する。底壁41mは、薄肉部41tに向かって延びている。底壁41m(薄肉部41tの下面)は、第2導電部材42(詳しくは、後述するフランジ部42fの上面42u)と対向している。凹部41rの底壁41mは、反りがない平坦面(断面視において直線状)である。凹部41rの底壁41mは、第2導電部材42と密接している。凹部41rの底壁41mは、第2導電部材42の上面42uと対向する上面対向領域の一例である。
【0035】
延伸部41bは、例えば複数の電池100を相互に電気的に接続して組電池200(
図9参照)を作製する場合に、導電部材であるバスバー90(
図9参照)が付設される部位である。延伸部41bを有することで、バスバー90との接地面積を十分に確保することができ、組電池200の導通信頼性を向上することができる。
図4、
図5に示すように、第1導電部材41は、延伸部41bを有することで、その中心位置41cが、第2導電部材42の中心位置(詳しくは、後述するフランジ部42fの中心位置)42cから長辺方向Xの右方にずれている。
【0036】
第2導電部材42は、電池ケース20の内部から外部へと延びる部材である。第2導電部材42は、ここでは金属製である。第2導電部材42は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。第2導電部材42の材質は、例えば第1成分が、第1導電部材41と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2導電部材42は、ここでは第1導電部材41よりも硬度が高い金属で構成されている。第2導電部材42は、ここでは銅製である。銅の調質は、C1020、C1100等が好ましい。第2導電部材42は、加工性を良化させる目的等で、微小元素が添加され調質が変更されていてもよい。第2導電部材42は、負極リード部材14と同じ金属、または同じ金属元素を第1成分とする合金であってもよい。第2導電部材42は、一部または全部の表面に、Ni等の金属が被覆された金属被覆部を備えていてもよい。これにより、電解質に対する耐性を高めて、耐食性を向上することができる。
【0037】
第2導電部材42は、柱状であることが好ましい。第2導電部材42は、
図6、
図7に示すように、第2導電部材42は、軸心Cを有する。第2導電部材42は、第1導電部材41と電気的に接続されるフランジ部42fと、フランジ部42fの下端部に連結する軸柱部42sと、を有する。
【0038】
フランジ部42fは、軸柱部42sよりも外形が大きい。
図3に示すように、フランジ部42fは、蓋体24の端子引出孔24hよりも外形が大きい。フランジ部42fは、蓋体24の端子引出孔24hから電池ケース20の外部に突出した部位である。
図5~
図7に示すように、フランジ部42fの外形は、ここでは略円柱形状である。
図6、
図7に示すように、フランジ部42fの軸心は、第2導電部材42の軸心Cと一致している。
図7に示すように、フランジ部42fは、下面42dと、下面42dから上方に延びる側面(外周面)42oと、側面42oの一部がくびれたくびれ部42nと、くびれ部42nから上方に延びる上面42uと、を有する。
【0039】
くびれ部42nは、フランジ部42fの側面42oの一部に、連続的或いは間欠的に設けられている。くびれ部42nは、側面42oにおいて、上面42u側の端部近傍(例えば、上面42uから10mm以内の領域)に形成されていることが好ましい。図示は省略するが、くびれ部42nは、ここでは平面視において環状(例えば円環状)に形成されている。くびれ部42nが環状に形成されていると、高強度な締結部43を形成することができる。くびれ部42nは、フランジ部42fの軸心Cに対して、軸対称に形成されている。くびれ部42nは、上面41uに向かって(言い換えれば、軸柱部42sから離れるほど)拡径する逆テーパ形状に形成されている。くびれ部42nは、第1導電部材41の凹部41rに挿入されている。くびれ部42nは、ここでは第1導電部材41の凹部41rに嵌入され、凹部41rと嵌合している。詳しくは後述するが、くびれ部42nの側方では、第1導電部材41の凹部41rとの間に空隙Sがあいている。
【0040】
上面42uは、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(薄肉部41tの下面)と対向している。上面42uは、ここでは平坦面(断面視において直線状)である。ただし、曲面(断面視において曲線状)であってもよい。
【0041】
軸柱部42sは、
図7に示すように、フランジ部42fの下端部から下方に延びている。
図5~
図7に示すように、軸柱部42sは、ここでは円筒形状である。軸柱部42sの軸心は、フランジ部42fの軸心Cと一致している。かしめ加工前において、軸柱部42sの下端部、すなわちフランジ部42fが位置する側とは反対側の端部は、中空状である。
図3に示すように、軸柱部42sは、負極端子40が蓋体24に取り付けられる際に、蓋体24の端子引出孔24hに挿通される部位である。軸柱部42sの下端部は、負極端子40が蓋体24に取り付けられる際に、かしめ加工によって押し広げられ、鋲部40cを構成する部位である。軸柱部42sは、かしめ加工によって、電池ケース20の内部で負極リード部材14と電気的に接続される。
【0042】
締結部43は、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとを機械的に固定する連結部である。締結部43は、ここでは平面視において金属接合部45よりもフランジ部42fの外周側に設けられている。締結部43は、平面視において環状(例えば円環状)に形成されている。これにより、締結部43の強度を高めて、負極端子40の導通信頼性をさらに向上することができる。締結部43は、ここでは連続的に形成されている。特に限定されるものではないが、締結部43は、ここでは、第1導電部材41の下面41dに設けられている。具体的には、第1導電部材41の凹部41rの側壁が第2導電部材42のくびれ部42nの側面で固定(例えば押圧固定)されることによって構成されている。これにより、締結部43の強度を向上することができる。
【0043】
締結部43の形成方法は、力学的エネルギーによる機械的接合であれば特に限定されず、例えば、圧入、焼きばめ、かしめ、リベット、折り込み、ボルト接合等であってよい。いくつかの好適な実施形態において、締結部43は、第1導電部材41の凹部41rと第2導電部材42のくびれ部42nとが嵌合された嵌合部である。これにより、例えば第1導電部材41と第2導電部材42とが異種金属で構成されていても、第1導電部材41と第2導電部材42とを好適に固定することができる。締結部43は、例えば、第2導電部材42のくびれ部42nが圧入によって第1導電部材41の凹部41rに嵌合された圧入嵌合部であってもよい。
【0044】
図8は、
図7の締結部43の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
図8に示すように、本実施形態では、締結部43の近傍で、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとの間に、空隙Sが設けられている。空隙Sは、締結部43が形成される際に、変形する方の導電部材(ここでは、第1導電部材41)の余肉の逃げ場となる十分なスペースが存在していたことを裏付けるものである。
【0045】
すなわち、本発明者らの検討によれば、締結部43が形成される際に、締結部43形成位置の近傍に十分なスペースがないと、第2導電部材42の外形に沿って第1導電部材41が変形したときに、くびれ部42nに倣って潰された第1導電部材41の余肉の逃げ場が無い。そのため、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)が、第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uから離れるように反りかえってしまうことがある。その結果、第1導電部材41と第2導電部材42とを金属接合する個所、ここでは第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uと、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)と、の間に隙間が空いてしまうことがある。
【0046】
これに対して、本実施形態では、第1導電部材41が変形するときに、余肉の逃げ場となるスペースが十分存在していたために、第1導電部材41の反りかえりが低減されており、凹部41rの底壁41m(上面対向領域)の形状が安定している。したがって、第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uと、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)と、が好適に密接している。
【0047】
図8に示すように、空隙Sは、端部領域EAに設けられていることが好ましい。端部領域EAは、
図8に破線で示すように、フランジ部42fの上面42uにおいて、金属接合部45の端から上面42uの外周縁42eまでの距離(最短距離)をL
1としたときに、上面42uの外周縁42eから距離L
1の25%以内(すなわち、L
1/4以内)の長さの範囲である。端部領域EAは、締結時に負荷が小さい箇所であるので、安定して余肉の逃げ場となるスペースを確保でき、ひいては空隙Sを保持できる。特に限定されるものではないが、距離L
1は、ここでは2.2mmである。したがって、端部領域EAは、上面42uの外周縁42eから0.55mm(=2.2/4)の長さの範囲である。端部領域EAは、フランジ部42fの上面42uに接する領域、および/または、フランジ部42fの側面42o(例えば、くびれ部42n)に接する領域、でありうる。
【0048】
締結部43において、第2導電部材42のくびれ部42nは、第1導電部材41の凹部41rと当接する領域に、第1領域A1と、第2領域A2と、を有する。第1領域A1は、第2導電部材42の軸心Cに対して、例えば60~110°の角度で傾斜している。第1領域A1は、第2導電部材42の軸心Cに対して、70~100°の角度で傾斜していることが好ましく、80~95°の角度で傾斜していることがより好ましい。第1領域A1は、ここでは平坦面(断面視において直線状)である。ただし、曲面(断面視において曲線状)であってもよい。
【0049】
第2領域A2は、第1領域A1よりもフランジ部42fの上面42uに近い側に位置している。第2領域A2は、第2導電部材42の軸心Cに対して、例えば15~70°の角度で傾斜している。第2領域A2は、第2導電部材42の軸心Cに対して、概ね90°未満の角度で傾斜しており、20~70°の角度で傾斜していることが好ましく、45~70°の角度で傾斜していることがより好ましく、60~70°の角度で傾斜していることがさらに好ましい。第2領域A2は、第1領域A1よりも傾斜の角度が小さいことが好ましい。第2領域A2は、ここでは平坦面(断面視において直線状)である。ただし、曲面(断面視において曲線状)であってもよい。
【0050】
第2導電部材42のくびれ部42nは、第1領域A1と第2領域A2とを連結する第3領域A3を含むことが好ましい。第3領域A3は、断面視において、湾曲面を有する凹状に形成されていることが好ましい。第3領域A3は、第1導電部材41の凹部41rと当接している。第2導電部材42のくびれ部42nは、第2領域A2よりも上面42uに近い側に、第2導電部材42の軸心Cと略平行(±10°以内)に配置された第4領域A4を含むことが好ましい。第4領域A4は、ここでは第2領域A2と上面42uとを連結している。これにより、端部領域EA、例えば第4領域A4と接する位置に、空隙Sを好適に確保できる。
【0051】
なお、このような空隙Sは、例えば、第1導電部材41および/または第2導電部材42のフランジ部42fの締結部43が形成される部分に、事前に加工を施しておくことで確保することができる。ここでは、第1導電部材41において、第2導電部材42と締結される前の凹部41rのザグリ径を、予め、くびれ部42nの外形よりも大きくしておくことで、空隙Sが確保されている。
【0052】
空隙Sのサイズや形状は、ここに開示される技術の効果を奏する限りにおいて、特に限定されない。第2導電部材42の軸心Cを通過し、軸心Cに沿う任意の断面の断面視において、空隙Sの断面積は、0.002mm
2以上が好ましく、0.005mm
2以上がより好ましく、0.008mm
2以上がさらに好ましい。空隙Sの断面積は、0.06mm
2以下が好ましく、0.03mm
2以下がより好ましく、0.01mm
2以下がさらに好ましい。空隙Sの高さ(上下方向Zにおける最大長さ)は、0.03mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.08mm以上がさらに好ましい。空隙Sの高さは、0.50mm以下が好ましく、0.30mm以下がより好ましく、0.10mm以下がさらに好ましい。空隙Sの幅(長辺方向Xにおける最大長さ)は、0.03mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.08mm以上がさらに好ましい。空隙Sの幅は、0.50mm以下が好ましく、0.30mm以下がより好ましく、0.10mm以下がさらに好ましい。なお、
図8では、空隙Sの幅が0.25mm(距離L
1の0~12%)である。
【0053】
空隙Sは、ここでは上面42uの外周縁42eに沿って、平面視において環状(例えば円環状)に設けられている。空隙Sの総体積は、0.05mm3以上が好ましく、0.1mm3以上がより好ましく、0.3mm3以上がさらに好ましい。空隙Sの総体積は、3mm3以下が好ましく、1.5mm3以下がより好ましく、0.5mm3以下がさらに好ましい。空隙Sのサイズないし総体積を所定値以上とすることで、空隙Sを安定して確保できる。空隙Sのサイズないし総体積を所定値以下とすることで、締結部43の強度を向上することができる。
【0054】
金属接合部45は、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとの冶金的な接合部である。金属接合部45は、締結部43から離れた位置に設けられている。金属接合部45は、ここでは第1導電部材41の上面41uに設けられている。具体的には、金属接合部45は、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)と、第2導電部材42の上端面(フランジ部42fの上面42u)とが金属接合されることによって構成されている。金属接合部45は、貫通孔41hから離れた位置に設けられている。金属接合部45は、貫通孔41hよりも外周側に設けられている。金属接合部45は、例えば締結部43に比べて、相対的に剛性が高い接合部でありうる。
【0055】
金属接合部45は、ここでは平面視において締結部43よりもフランジ部42fの径方向の内周側(中心側)に設けられている。金属接合部45は、光エネルギー、電子エネルギー、熱エネルギー等を用いて形成されるため、締結部43に比べて相対的に強度が低い(脆い)接合部でありうる。このような金属接合部45を締結部43の内周側に配設することで、金属接合部45を安定して維持し、長期にわたって負極端子40の導通信頼性を高めることができる。金属接合部45は、ここでは薄肉部41tに設けられている。金属接合部45は、薄肉部41tに形成されることが好ましい。これにより、接合時のエネルギーが少なくて済み、溶接性を向上することができる。
【0056】
金属接合部45は、連続的或いは間欠的に形成されている。金属接合部45は、フランジ部42fの軸心Cに対して、軸対称に形成されている。金属接合部45は、平面視において環状(例えば円環状)に形成されている。これにより、金属接合部45の強度を高めて、負極端子40の導通信頼性をさらに向上することができる。
【0057】
金属接合部45の形成方法は特に限定されず、例えば、融接、圧接、ろう接等であってよい。いくつかの好適な実施形態において、金属接合部45は、例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接、超音波溶接、抵抗溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接、等の溶接によって形成された溶接接合部である。これにより、高強度の金属接合部45を安定して形成することができる。ただし、金属接合部45は、溶接以外の方法、例えば、熱圧着、超音波圧接、蝋付け等で形成されていてもよい。
【0058】
<負極端子40の製造方法>
特に限定されるものではないが、負極端子40は、例えば、上記したような第1導電部材41と第2導電部材42とを用意し、締結部形成工程と、金属接合部形成工程とを、含む製造方法によって製造することができる。金属接合部形成工程は、締結部形成工程の後に行うことが好ましい。ただし、締結部形成工程と金属接合部形成工程との順序は逆であってもよいし、略同時であってもよい。また、ここに開示される製造方法は、任意の段階でさらに他の工程を含んでもよい。
図10は、締結部形成工程を説明する説明図である。
【0059】
締結部形成工程では、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとを、機械的に固定して、締結部43を形成する。締結部43は、例えば、第1導電部材41の凹部41rに第2導電部材42のくびれ部42nを挿入し、第2導電部材42のくびれ部42nの外形に沿って第1導電部材41の凹部41rを変形させることで、凹部41rの内壁を第2導電部材42で固定することにより形成しうる。これにより、締結部43の強度を向上することができる。本実施形態では、締結部43は、第1導電部材41の凹部41rと第2導電部材42のくびれ部42nとを嵌合することで形成される。例えば、第1導電部材41の凹部41rに第2導電部材42のくびれ部42nを水平圧入することで形成される。これにより、締結部形成工程の作業性を向上することができる。
【0060】
具体的には、例えば
図10(1)に示すように、第1導電部材41は、第2導電部材42と締結される前の状態で、凹部41rの底壁(上面対向領域)から下方に延びる環状の側壁部41sを有する。側壁部41sのザグリ径は、くびれ部42nの第4領域A4の外形よりも幅Δdの分だけ大きい。このような第1導電部材41を第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uに当接させ、
図10(2)に矢印で示すように、第1導電部材41に対して、第2導電部材42の軸心Cと一致する方向に圧力を加える。これにより、第1導電部材41の側壁部41sが、第2導電部材42の第1領域A1に押し付けられる。すると、
図10(3)に矢印で示すように、側壁部41sの一部(環状の内側領域)の肉が、くびれ部42nに沿って、上方側に移動する。これにより、第2導電部材42の第1領域A1および第2領域A2が、第1導電部材41の側壁部41sと当接する。そして、第1導電部材41の側壁部41sが、第2導電部材42のくびれ部42n内に入り込むようにして、変形する。
【0061】
このとき、ここに開示される方法では、締結部43が形成される部分の近傍、詳しくは、第2導電部材42の第4領域A4の側方に、第1導電部材41の側壁部41sの肉が充填されきらずに、空隙Sが確保される。言い換えれば、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとの間に空隙Sが形成される。空隙Sは、上方側に移動してきた第1導電部材41の余肉の逃げ場となるスペースが十分存在していたことを示す。すなわち、空隙Sが確保されていることは、第1導電部材41の余肉の行き場がなくなって、第1導電部材41の反りかえるような事態が生じていないことを示す。ゆえに、ここに開示される方法によれば、凹部41rの底壁41m(上面対向領域)の形状が安定し、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)と、第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uと、を好適に密接させることができる。以上のようにして、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとが接続され、締結部43が形成される。
【0062】
金属接合部形成工程では、第1導電部材41の薄肉部41tと第2導電部材42のフランジ部42fとを金属接合、すなわち冶金的に接合して、金属接合部45を形成する。締結部形成工程の後に金属接合部形成工程を行うことで、形状の安定した金属接合部45を精度よく形成することができる。金属接合部45は、例えば、第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)と、第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uとを、金属接合することによって形成しうる。より詳しくは、第1導電部材41の薄肉部41tと、第2導電部材42のフランジ部42fとが積層された個所を、薄肉部41tを貫通するように溶接することによって形成しうる。溶接の際に発生したガスや熱は、貫通孔41hから放出・拡散される。貫通孔41hによって、薄肉部41tとフランジ部42fとの間にガスや熱が滞留することを抑制できる。溶接により、高強度の金属接合部45を安定して形成することができる。
【0063】
いくつかの好適な実施形態において、金属接合部45は、締結部43よりも内周側に形成される。これにより、接合箇所がずれにくくなり、金属接合部形成工程の作業性を向上することができる。また、溶接によって金属接合部45を形成する場合には、溶接個所がぐらつきにくくなり、溶接性を向上することができる。さらに、薄肉部41tを溶接する場合には、エネルギーが少なくて済み、溶接性を向上することができる。
【0064】
<電池100の製造方法>
電池100は、上記したような製造方法によって製造された正極端子30および/または負極端子40を用いることで特徴付けられる。それ以外の製造プロセスは従来同様であってよい。電池100は、例えば、上記したような電極体10と電解質とケース本体22と蓋体24と正極端子30と負極端子40とを用意し、取付工程と、接合工程と、を含む製造方法によって製造することができる。
【0065】
取付工程では、蓋体24に、正極端子30と、正極リード部材13と、負極端子40と、負極リード部材14と、を取り付ける。負極端子40および負極リード部材14は、例えば
図3に示すように、かしめ加工(リベッティング)によって蓋体24に固定する。かしめ加工は、負極端子40と蓋体24との間にガスケット50を挟み、さらに蓋体24と負極リード部材14との間にインシュレータ60を挟んで行われる。詳しくは、負極端子40のかしめ加工前の軸柱部42sを、蓋体24の上方から、ガスケット50の筒部51と、蓋体24の端子引出孔24hと、インシュレータ60の貫通孔60hと、負極リード部材14の貫通孔14hと、に順番に貫通させて、蓋体24の下方に突出させる。そして、上下方向Zに対して圧縮力が加わるように、蓋体24の下方に突出した軸柱部42sをかしめる。これにより、負極端子40の軸柱部42sの先端部(
図3の下端部)に、鋲部40cを形成する。
【0066】
このようなかしめ加工によって、ガスケット50の基部52とインシュレータ60の平板状部分とが圧縮され、ガスケット50と蓋体24とインシュレータ60と負極リード部材14とが蓋体24に一体に固定されるとともに、端子引出孔24hがシールされる。なお、正極端子30および正極リード部材13の取付方法も、上記した負極端子40および負極リード部材14と同様であってよい。負極リード部材14は、負極集電体12の負極集電体露出部に溶接され、電極体10の負極と負極端子40とが電気的に接続される。同様に、正極リード部材13は、正極集電体11の正極集電体露出部に溶接され、電極体10の正極と正極端子30とが電気的に接続される。これにより、蓋体24と、正極端子30と、負極端子40と、電極体10と、が一体化される。
【0067】
接合工程では、蓋体24と一体化された電極体10をケース本体22の内部空間に収容し、ケース本体22と蓋体24とを封止する。封止は、例えばレーザ溶接等の溶接によって行うことができる。その後、図示しない注液口から非水電解液を注入し、注液口を塞ぐことによって、電池100を密閉する。以上のようにして、電池100を製造することができる。
【0068】
<電池100の用途>
電池100は各種用途に利用可能であるが、高い接合強度が要求される用途、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。
【0069】
図9に示すように、電池100は、バスバー90を介して複数の電池100を相互に電気的に接続してなる組電池200としても好適に用いることができる。この場合、複数の電池100の間の電気的な接続は、第1導電部材41の延伸部41bの間に、例えば平板状のバスバー90を架け渡すことで行いうる。バスバー90は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。バスバー90と延伸部41bとは、例えばレーザ溶接等の溶接によって電気的に接続しうる。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0071】
(1)例えば、上記した実施形態では、第1導電部材41と第2導電部材42とが異種金属で構成されていた。具体的には、第1導電部材41がアルミニウム製であり、第2導電部材42が銅製であった。しかし、これには限定されない。第1導電部材41と第2導電部材42とは同種の金属で構成されていてもよい。例えば、第1導電部材41と第2導電部材42とが、いずれもアルミニウム製であってもよく、第1導電部材41と第2導電部材42とが、いずれも銅製であってもよい。
【0072】
(2)例えば、上記した実施形態では、第1導電部材41のザグリ径を、第2導電部材42のくびれ部42nの外形よりも大きくしておくことで、空隙Sが確保されていた。しかし、これには限定されない。空隙Sは、例えば第1導電部材41の凹部41rの底壁41m(上面対向領域)の一部に、凹み部(段差、溝、切り欠き等を含む。以下同じ。)を形成することによっても、確保することができる。凹部41rの底壁41m(上面対向領域)は、締結時に負荷が小さい箇所であるため、上面42uに凹み部を設けることで、安定した体積の空隙Sを確保できる。また、空隙Sは、第1導電部材41において、くびれ部42nの第4領域A4と対向される部分に、凹み部を形成することによっても、確保することができる。さらに、空隙Sは、第2導電部材42のフランジ部42fの上面42uの一部に、凹み部を形成することによっても、確保することができる。
【0073】
図11は、変形例に係る
図10対応図である。
図11(1)に示すように、第2導電部材142は、第1導電部材141と締結される前の状態で、フランジ部142fの上面142uに環状の段差部142sを有する。段差部142sは、上面142uの外周縁の近傍(図示しない端部領域EA)に設けられている。段差部142sは、上面142uより窪んでいる。段差部142sは、凹み部の一例である。
【0074】
このような第2導電部材42を第1導電部材141の凹部141rの底面141m(上面対向領域)に当接させ、
図11(2)に矢印で示すように、上記した実施形態と同様に圧力を加える。これにより、第1導電部材141の肉が、第2導電部材42のくびれ部42n内に入り込むようにして、変形する。本変形例では、このとき
図11(3)に示すように、段差部142sに第1導電部材41の肉が充填されきらず、上面142uの外周縁の近傍に空隙S1が確保される。上面142uは、締結時に負荷が小さい箇所であるため、上面142uに段差部142sを設けることで、安定した体積の空隙S1を確保できる。なお、空隙S1のサイズないし総体積は、上記した実施形態の範囲であるとよい。
【0075】
(3)上記した実施形態では、第1導電部材41の凹部41rに第2導電部材42のくびれ部42nが挿入されていた。しかし、これには限定されない。締結部43は、例えば下記の変形例のような構成であってもよい。
【0076】
図12は、変形例に係る負極端子240の要部を示す模式図である。負極端子240は、第1導電部材241と、フランジ部242fを有する第2導電部材242と、締結部243と、金属接合部245と、を備える。第1導電部材241は、外形が略T字状の部分を有する。第1導電部材241は、凹部242rに挿入される柱状部241cを有する。柱状部241cは、軸心Cを有する。第2導電部材242のフランジ部242fは、円環状の凹部242rを有する。凹部242rは、第1導電部材241に近づくほど縮径するテーパ形状に形成されている。凹部242rは、上下方向Zに貫通した貫通孔であってもよい。第2導電部材242は、凹部242rと上面242uとの連結部(
図12の丸印の個所)に、溝や切り欠きを有していてもよい。
【0077】
締結部243は、例えば、第1導電部材241の柱状部241cを第2導電部材242の凹部242rに挿入して、柱状部241cの軸心Cと一致する方向に圧力を加えることで形成できる。圧力は、第1導電部材241の柱状部241cに加えてもよいし、第2導電部材242の凹部242rに加えてもよい。また、凹部242rが貫通孔である場合は、柱状部241cを上下から挟むように圧力を加えてもよい。このとき、締結部243の近傍、詳しくは、凹部242rと上面242uとの連結部(
図12の丸印の個所)では、柱状部241cの肉が充填されきらずに、空隙が確保される。
【0078】
図13は、
図12の丸印の個所の拡大図であり、変形例に係る空隙の一例を模式的に示す部分拡大断面図である。
図13(A)では、第2導電部材242の凹部242rと上面242uとの連結部に溝を設けることで、空隙S2が確保されている。
図13(B)では、第2導電部材242の凹部242rと上面242uとの連結部に切り欠きを設けることで、空隙S3が確保されている。空隙S2,S3のサイズないし総体積は、上記した実施形態の範囲であるとよい。
【0079】
(4)例えば、上記した実施形態では、第1導電部材41が薄肉部41tを有し、薄肉部41tに金属接合部45が形成されていた。金属接合部45は、貫通孔41hから離れた位置に設けられていた。しかし、これには限定されない。金属接合部45は、例えば、薄肉部41t以外に形成されていてもよいし、貫通孔41hの外縁に沿って形成されていてもよい。
【0080】
(5)例えば、上記した実施形態では、負極端子40の軸柱部42sを変形させてかしめることによって、負極リード部材14と負極端子40とが電気的に接続されていた。しかし、これには限定されない。負極リード部材14と負極端子40とを電気的に接続する方法は、例えば、かしめ加工以外の機械的な固定であってもよいし、溶接に代表される金属接合であってもよいし、それらの組み合わせでもよい。接続部の信頼性を高める観点からは、負極リード部材14と負極端子40との接続部分に、負極リード部材14と負極端子40とを機械的に固定する締結部と、締結部の周縁を連続的或いは間欠的に金属接合する金属接合部と、が形成されていてもよい。
【0081】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:第1導電部材と、上記第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを機械的に固定する締結部と、上記締結部から離れた位置で、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを金属接合する金属接合部と、を備え、上記締結部の近傍で、上記第1導電部材と上記フランジ部との間に空隙が設けられている、電池用端子。
項2:上記第2導電部材の上記フランジ部は、側面にくびれ部を有し、上記締結部は、上記第1導電部材と上記フランジ部の上記くびれ部とが機械的に固定されて構成されており、上記第2導電部材の上記フランジ部は、上面を有し、上記第1導電部材は、上記フランジ部の上記上面と対向する上面対向領域を有し、上記金属接合部は、上記上面と上記上面対向領域とが金属接合されて構成されている、項1に記載の電池用端子。
項3:上記フランジ部の上記上面において、上記金属接合部から上記上面の外周縁までの距離をL1としたときに、上記外周縁から上記距離L1の25%以内の長さの領域として規定される端部領域に、上記空隙が設けられている、項2に記載の電池用端子。
項4:上記フランジ部の上記上面の外周縁の近傍に、凹み部が設けられている、項2または3に記載の電池用端子。
項5:上記第1導電部材において、上記フランジ部の上記上面の外周縁と対向する部分に、凹み部が設けられている、項2または3に記載の電池用端子。
項6:項1から5のいずれか1つに記載の電池用端子を備える、二次電池。
項7:第1導電部材と、上記第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを機械的に固定する締結部と、上記締結部から離れた位置で、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを金属接合する金属接合部と、を備える電池用端子の製造方法であって、上記第1導電部材を変形させることにより、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを機械的に固定して上記締結部を形成する、締結部形成工程と、上記締結部から離れた位置で、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記フランジ部とを金属接合して金属接合部を形成する、金属接合部形成工程と、を有し、上記締結部形成工程において、上記締結部の近傍で、上記第1導電部材と上記フランジ部との間に空隙を確保する、電池用端子の製造方法。
項8:上記第2導電部材の上記フランジ部は、側面にくびれ部を有し、上記締結部形成工程では、上記第1導電部材と上記第2導電部材の上記くびれ部とを機械的に固定し、上記第2導電部材の上記フランジ部は、上面を有し、上記第1導電部材は、上記フランジ部の上記上面と対向する上面対向領域を有し、上記金属接合部形成工程では、上記上面と上記上面対向領域とを金属接合する、項7に記載の製造方法。
項9:上記締結部形成工程では、上記フランジ部の上記上面において上記金属接合部から上記上面の外周縁までの距離をL1としたときに、上記外周縁から上記距離L1の25%以内の長さの領域として規定される端部領域に、上記空隙を確保する、項8に記載の製造方法。
項10:上記フランジ部の上記上面の外周縁の近傍に、凹み部が設けられている、項8または9に記載の製造方法。
項11:上記第1導電部材において、上記フランジ部の上記上面の外周縁と対向する部分に、凹み部が設けられている、項8または9に記載の製造方法。
項12:項7から11のいずれか1つに記載の製造方法で製造された電池用端子を用いる、二次電池の製造方法。
【符号の説明】
【0082】
10 電極体
14 負極リード部材
20 電池ケース
24 蓋体
24h 端子引出孔
30 正極端子
40、240 負極端子
41、141、241 第1導電部材
42、142、242 第2導電部材
43、143、243 締結部
45、245 金属接合部
100 電池