(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060971
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板の製造方法およびフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/42 20060101AFI20240425BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H05K3/42 620A
H05K1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168580
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】豊島 良一
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA11
5E317AA24
5E317BB12
5E317CC25
5E317CC33
5E317CC42
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD32
5E317GG14
5E338AA02
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB13
5E338CD02
5E338EE23
5E338EE33
(57)【要約】
【課題】層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成するための方法を提供する。
【解決手段】実施形態のフレキシブルプリント配線板1の製造方法は、絶縁基材30と、金属箔10と、金属箔20と、を有する両面金属張積層板2を用意する工程と、底面に金属箔20が露出する導通用孔H1を形成する工程と、金属箔10の上に、導通用孔H1が露出する開口13aを有するめっきレジストパターン13を形成する工程と、開口13aに、充填部41と、突出部42とを有する金属めっき40を形成する工程と、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程と、めっきレジストパターン13を除去する工程と、金属箔10の上に、金属めっき40を被覆するようにエッチングレジスト膜14を形成する工程と、エッチングレジストパターン14aを形成する工程と、配線パターンWP1を形成する工程と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、前記第1の主面に設けられた第1の金属箔と、前記第2の主面に設けられた第2の金属箔と、を有する両面金属張積層板を用意する工程と、
前記第1の金属箔および前記絶縁基材を部分的に除去して、底面に前記第2の金属箔が露出する導通用孔を形成する工程と、
前記第1の金属箔の上に、前記導通用孔が露出する開口を有するめっきレジストパターンを形成する工程と、
前記開口に金属めっき処理を施すことにより、前記導通用孔を充填する充填部と、前記充填部の上に位置し、前記第1の金属箔のうち前記導通用孔を囲う開口縁部を被覆する突出部とを有する金属めっきを形成する工程と、
前記めっきレジストパターンの前記開口に露出した前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程と、
前記めっきレジストパターンを除去する工程と、
前記第1の金属箔の上に、前記金属めっきを被覆するようにエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記エッチングレジスト膜を露光および現像して、エッチングレジストパターンを形成する工程と、
前記エッチングレジストパターンで被覆されていない前記第1の金属箔をエッチングで除去し、前記エッチングレジストパターンを除去することにより、配線パターンを形成する工程と、
を備える、フレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記突出部を残すように行う、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記突出部を完全に除去するように行う、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記第1の金属箔のうち前記突出部に被覆された金属箔の一部、および/または前記金属めっきの前記充填部の一部をさらに除去するように行う、請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、エッチング後の前記金属めっきの上面と、前記配線パターンを構成する前記第1の金属箔の上面とが略同一面となるように行う、請求項1~4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、エッチング後の前記金属めっきの上面と、前記配線パターンを構成する前記第1の金属箔の上面との高低差が±5μm以内となるように行う、請求項5に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記高低差が±2μm以内となるように行う、請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記めっきレジストパターンは、ダミー開口を有し、
前記金属めっきを形成する工程において、前記ダミー開口に露出した前記第1の金属箔の上にダミーめっきを形成し、
前記金属めっきの突出部をエッチングする工程において、前記ダミーめっきの少なくとも一部を除去する、請求項1~4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれかに記載の製造方法において、少なくとも一つの工程をロールツーロール方式にて行う、フレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記第1および第2の金属箔は、圧延銅箔である、請求項1~4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記金属めっきは、電解銅めっきである、請求項1~4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
前記開口を有する前記めっきレジストパターンを形成する工程は、
前記第1の金属箔の上に、前記第1の金属箔および前記導通用孔を被覆するめっきレジスト膜を形成する工程と、
前記めっきレジスト膜を露光および現像して、前記開口を形成する工程と、
を含み、
前記露光は、露光マスクを使用しない直描法によって行う、請求項1~4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項13】
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、
前記第1の主面に設けられた配線と、
前記第1の主面に設けられたランドと、
前記第2の主面に設けられた導電層と、
前記ランドと前記導電層を電気的に接続し、上面が前記配線の上面と略同一面である金属めっきと、
を備えるフレキシブルプリント配線板。
【請求項14】
前記金属めっきの上面と、前記配線の上面との高低差が±5μm以内である、請求項13に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項15】
前記高低差が±2μm以内である、請求項14に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項16】
前記金属めっきは複数設けられており、
前記複数の金属めっきの上面は、前記第1の主面に設けられた前記配線の上面と略同一面である、請求項13~15のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の製造方法およびフレキシブルプリント配線板に関し、より詳しくは、層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成するためのフレキシブルプリント配線板を製造する方法およびフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(FPC)は、ポリイミドなどの薄い樹脂フィルムの上に銅などの金属箔で配線パターンを形成した配線基板である。フレキシブルプリント配線板は、薄くしなやかであることから、狭隘な筐体内部やメカニカルな動作を伴う部分などに用いられている。
【0003】
スマートホンなどの情報通信機器を始めとして、電子機器は小型化、軽量化を追求している。フレキシブルプリント配線板はその目的に合致しており、電子機器に多く用いられる。そのため、フレキシブルプリント配線板には、さらなる小型化、高密度化が求められている。基板の高密度化とは、限られた面積の基板に対し、より多くの配線を形成することである。より多くの配線を形成するためには、配線パターンの微細化および多層化が必要である。
【0004】
配線パターンの形成にはエッチングを用いる。サブトラクティブ法は、エッチングにより配線パターンを形成する方法の一つであり、フレキシブルプリント配線板の配線パターンの形成において一般に用いられる。サブトラクティブ法においては、配線の深さ方向へのエッチングと、配線の幅方向へのエッチングが等方的に起こる。このため、微細な配線パターンを形成するためには、配線に用いられる金属箔は、薄い方が有利である。
【0005】
一方、多層化のため、両面に金属箔を有する基板や多層の基板には、ビアなどの層間導電路が形成され、異なる層の配線は層間導電路によって電気的に接続される。層間導電路を形成する際には、導通用孔に金属めっきを形成する。特許文献1および特許文献2には、金属めっきを形成する方法の一態様として、基板の特定部分にのみめっき処理を施すボタンめっき法と呼ばれる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-108270号公報
【特許文献2】特開平11-195849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ボタンめっき法における、配線パターンおよび層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例について、
図5A~
図5Cを参照して説明する。
図5A~
図5Cは、比較例に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【0008】
まず、
図5A(1)に示すように、金属箔100と、金属箔200と、絶縁基材300とを有する両面金属張積層板を準備する。次に、
図5A(2)に示すように、当該両面金属張積層板に対して、導通用孔Hを形成する。次に、
図5A(3)に示すように、両面金属張積層板の上面および下面にめっきレジストパターン130およびめっきレジストパターン230をそれぞれ形成する。めっきレジストパターン130は、導通用孔Hが露出する開口130aを有する。すなわち、めっきレジストパターン130は、導通用孔Hを被覆しない。
【0009】
次に、
図5A(4)に示すように、開口130aに金属めっき処理を施すことにより、金属めっき400(ボタンめっき)を形成する。これにより金属箔100と金属箔200を電気的に接続する層間導電路が形成される。金属めっき400は、充填部410と、突出部420とを有する。充填部410は、金属めっき400のうち、導通用孔Hを充填する部分であり、
図5A(4)において点線の下側部分である。突出部420は、金属めっき400のうち、充填部410の上に位置する部分であり、
図5A(4)において点線の上側部分である。突出部420は、金属箔100のうち導通用孔Hを囲う部分(開口縁部)を被覆する。突出部420は、ボタンランドとも呼ばれる。
【0010】
次に、
図5B(1)に示すように、めっきレジストパターン130,230を除去する。
【0011】
次に、
図5B(2)に示すように、金属箔100の上にエッチングレジスト膜140を形成し、金属箔200の上にエッチングレジスト膜240を形成する。エッチングレジスト膜140は、金属めっき400を被覆するように形成する。金属めっき400が突出部420を有するため、エッチングレジスト膜140は、突出部420を埋設するように形成される。次に、
図5B(3)に示すように、エッチングレジスト膜140,240を露光および現像して、エッチングレジストパターン140a,240aを形成する。
【0012】
次に、
図5C(1)に示すように、エッチングレジストパターン140aに被覆されていない金属箔100、およびエッチングレジストパターン240aに被覆されていない金属箔200を除去するエッチングを行う。その後、
図5C(2)に示すように、エッチングレジストパターン140a,240aを除去する。
【0013】
以上の工程により、複数の配線110を有する配線パターンWP10と、ランド120と、複数の配線210を有するWP20と、絶縁基材300を挟んでランド120と対向するランド220とを有するフレキシブルプリント配線板が製造される。
【0014】
上記のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、配線パターンの微細化に際し、次のような課題を有する。
【0015】
図5B(1)に示すように、金属めっき400の突出部420は、金属箔100から突出する。金属めっき400が、その後の工程でエッチングされないようにするため、
図5B(2)に示すように、エッチングレジスト膜140を形成する際に、金属箔100から突出した金属めっき400の突出部420を埋設する必要がある。このため、エッチングレジスト膜140を厚く形成する。しかしながら、エッチングレジスト膜140を厚くすると、エッチングの解像度が低下して、微細な配線パターンWP10を形成することが困難になる。
【0016】
本発明は、上記技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的は、層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成するためのフレキシブルプリント配線板を製造する方法、およびフレキシブルプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、その結果、金属めっきの突出部の少なくとも一部をエッチングして金属めっきの突出を少なくしておくことで、金属めっきを被覆するエッチングレジスト膜を薄く形成することができ、微細な配線パターンを形成できるという技術的思想に想到した。
【0018】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、前記第1の主面に設けられた第1の金属箔と、前記第2の主面に設けられた第2の金属箔と、を有する両面金属張積層板を用意する工程と、
前記第1の金属箔および前記絶縁基材を部分的に除去して、底面に前記第2の金属箔が露出する導通用孔を形成する工程と、
前記第1の金属箔の上に、前記導通用孔が露出する開口を有するめっきレジストパターンを形成する工程と、
前記開口に金属めっき処理を施すことにより、前記導通用孔を充填する充填部と、前記充填部の上に位置し、前記第1の金属箔のうち前記導通用孔を囲う開口縁部を被覆する突出部とを有する金属めっきを形成する工程と、
前記めっきレジストパターンの前記開口に露出した前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程と、
前記めっきレジストパターンを除去する工程と、
前記第1の金属箔の上に、前記金属めっきを被覆するようにエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記エッチングレジスト膜を露光および現像して、エッチングレジストパターンを形成する工程と、
前記エッチングレジストパターンで被覆されていない前記第1の金属箔をエッチングで除去し、前記エッチングレジストパターンを除去することにより、配線パターンを形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記突出部を残すように行ってもよい。
【0020】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記突出部を完全に除去するように行ってもよい。
【0021】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、さらに前記第1の金属箔のうち前記突出部に被覆された金属箔の一部、および/または前記金属めっきの前記充填部の一部を除去するように行ってもよい。
【0022】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、エッチング後の前記金属めっきの上面と、前記配線パターンを構成する前記第1の金属箔の上面とが略同一面となるように行うようにしてもよい。
【0023】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、エッチング後の前記金属めっきの上面と、前記配線パターンを構成する前記第1の金属箔の上面との高低差が±5μm以内となるように行うようにしてもよい。
【0024】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきの前記突出部をエッチングする工程は、前記高低差が±2μm以内となるように行うようにしてもよい。
【0025】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記めっきレジストパターンは、ダミー開口を有し、
前記金属めっきを形成する工程において、前記ダミー開口に露出した前記第1の金属箔の上にダミーめっきを形成し、
前記金属めっきの突出部をエッチングする工程において、前記ダミーめっきの少なくとも一部を除去するようにしてもよい。
【0026】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記各工程のうち少なくとも一つの工程をロールツーロール方式にて行うようにしてもよい。
【0027】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記第1および第2の金属箔は、圧延銅箔であるようにしてもよい。
【0028】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきは、電解銅めっきであるようにしてもよい。
【0029】
また、前記フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
前記開口を有する前記めっきレジストパターンを形成する工程は、
前記第1の金属箔の上に、前記第1の金属箔および前記導通用孔を被覆するめっきレジスト膜を形成する工程と、
前記めっきレジスト膜を露光および現像して、前記開口を形成する工程と、
を含み、
前記露光は、露光マスクを使用しない直描法によって行うようにしてもよい。
【0030】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、
前記第1の主面に設けられた配線と、
前記第1の主面に設けられたランドと、
前記第2の主面に設けられた導電層と、
前記ランドと前記導電層を電気的に接続し、上面が前記配線の上面と略同一面である金属めっきと、
を備えることを特徴とする。
【0031】
また、前記フレキシブルプリント配線板において、
前記金属めっきの上面と、前記配線の上面との高低差が±5μm以内であるようにしてもよい。
【0032】
また、前記フレキシブルプリント配線板において、
前記高低差が±2μm以内であるようにしてもよい。
【0033】
また、前記フレキシブルプリント配線板において、
前記金属めっきは複数設けられ、
前記複数の金属めっきの上面は、前記第1の主面に設けられた前記配線の上面と略同一面であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、めっきレジストパターンを除去する前に、金属めっきの突出部をエッチングして、当該突出部の少なくとも一部を除去する。これにより、厚い突出部をエッチングレジスト膜で埋設する必要が無い。したがって、より薄いエッチングレジスト膜を用いることができる。その結果、層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2A】第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図2B】
図2Aに続く、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図2C】
図2Bに続く、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3A】第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図3B】
図3Aに続く、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図4】第3の実施形態に係るダミー開口の一例について説明するための、フレキシブルプリント配線板の平面図である。
【
図5A】比較例に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図5B】
図5Aに続く、比較例に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【
図5C】
図5Bに続く、比較例に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
前述のように、本発明者は、層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板に微細な配線パターンを形成するために、エッチングレジスト膜を形成する前に金属めっきの突出部の少なくとも一部をエッチングしておくという技術的思想に想到した。一般に、金属めっきの突出部をエッチングする際に、突出部がエッチングされる程度には誤差が生じる。このことを考慮すると、エッチング後の状態は、以下のいずれかの場合となる。一つは、エッチング量が少なく、突出部を完全には除去しない場合である。もう一つは、エッチング量が多く、突出部を完全に除去する場合である。
【0037】
以下に説明する第1および第2の実施形態は、上述したそれぞれの場合に対応するものである。すなわち、第1の実施形態は、エッチング量が少なく、突出部を完全には除去しない場合であり、第2の実施形態は、エッチング量が多く、突出部を完全に除去する場合である。
【0038】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、同等の機能を有する構成要素に同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0039】
(第1の実施形態)
図1および
図2A~
図2Cを参照しつつ、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を説明する。
図1は、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
図2A~
図2Cは、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【0040】
図2A(1)に示すように、両面金属張積層板2を用意する(ステップS1)。両面金属張積層板2は、金属箔10と、金属箔20と、絶縁基材30とを有する。より詳しくは、両面金属張積層板2は、上面(第1の主面)および下面(第1の主面の反対側の第2の主面)を有する絶縁基材30と、第1の主面に設けられた金属箔10と、第2の主面に設けられた金属箔20とを有する。
【0041】
金属箔10,20は、たとえば厚さ9μmの銅箔(電解銅箔)である。なお、金属箔10,20は、厚さ5~72μmのものを用いてもよい。また、金属箔10,20の材料は、銅以外の金属(たとえば銀、アルミニウムなど)であってもよい。金属箔10,20として銅箔を用いる場合、圧延銅箔であってもよい。圧延銅箔を用いることで、屈曲性の高いフレキシブルプリント配線板を提供することができる。また、金属箔10,20は、ハーフエッチングされたものを用いてもよい。
【0042】
絶縁基材30は、たとえば厚さ25μmのポリイミドからなるものである。なお、絶縁基材30は、厚さ6~100μmのものを用いてもよい。また、絶縁基材30の材料は、たとえばPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系材料、MPI(変性ポリイミド)、PI(ポリイミド)などのポリイミド系材料、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、またはPEN(ポリエチレンナフタレート)などであってもよい。
【0043】
次に、
図2A(2)に示すように、金属箔10および絶縁基材30を部分的に除去することにより、導通用孔H1を形成する(ステップS2)。導通用孔H1は、層間導電路を形成するためのものである。導通用孔H1の底面には、金属箔20が露出する。すなわち、導通用孔H1は有底孔である。有底孔とすることにより、後述するステップS5におけるエッチングの際に、不要な部分のエッチングを抑制する必要がなく、エッチング工程を容易にすることができる。
【0044】
ステップS2において、金属箔10および絶縁基材30の除去には、たとえばコンフォーマルマスク法を用いることができる。コンフォーマルマスク法を用いる場合、まず、エッチング等により金属箔10を部分的に除去する。次に、金属箔10が除去された部分にレーザ光を照射することにより、当該部分に露出した絶縁基材30を除去する。これにより、底面に金属箔20が露出する導通用孔H1が形成される。レーザの種類は、たとえばUV-YAGレーザまたは炭酸レーザ等を用いることができる。高密度配線の形成には、UV-YAGレーザが好ましい。なお、導通用孔H1の形成には、コンフォーマルマスク法以外の他の方法(たとえばウィンドウ法、ダイレクトドリリング法)を用いてもよい。
【0045】
導通用孔H1の直径は、開口(すなわち、金属箔10が除去された部分)において、たとえば50μmである。なお、レーザ光の照射条件を調整することにより、
図2A(2)に示すように、導通用孔H1を開口から深くなるに従って内径が小さくなるように形成してもよい。これにより、後述する金属めっき40を導通用孔H1に形成しやすくすることができる。
【0046】
導通用孔H1を形成した後、底面に露出した金属箔20のクリーニング(たとえばデスミア処理)を行ってもよい。その後、導通用孔H1の導電化処理(たとえば無電解めっき処理)を行う。
【0047】
次に、
図2A(3)に示すように、金属箔10の上にめっきレジストパターン13を形成し、金属箔20の上にめっきレジストパターン23を形成する(ステップS3)。めっきレジストパターン13は、導通用孔H1が露出する開口13aを有する。
【0048】
めっきレジストパターン13,23を形成する工程の一例について、より詳しく説明する。まず、金属箔10の上に金属箔10および導通用孔H1を被覆するめっきレジスト膜を形成する。また、金属箔20の上に金属箔20を被覆するめっきレジスト膜を形成する。次に、めっきレジスト膜を露光および現像して、開口13aを形成する。以上の工程により、めっきレジストパターン13,23を形成する。
【0049】
なお、めっきレジスト膜の露光には、直描法(直描露光)、プロキシミティ露光、プロジェクション露光等が用いられる。好ましくは、露光マスクを使用しない直描法(たとえばレーザ直描法または電子線直描法など)によって行う。直描法を用いることにより、露光工程以前の工程において絶縁基材30などが伸縮した場合であっても、その伸縮に応じた露光パターンを描画できる。そのため、導通用孔H1と開口13aの位置ズレを抑制することができる。これにより、たとえば開口13aの直径を小さくすることができる。
【0050】
次に、
図2A(4)に示すように、開口13aに金属めっき処理を施すことにより、金属めっき40を形成する(ステップS4)。これにより、金属箔10と金属箔20を電気的に接続する層間導電路が形成される。本実施形態では、導通用孔H1が有底孔であったため、当該層間導電路は有底ビアとなる。なお、以降のステップにおいて金属めっき40がエッチングされるため、金属めっき40はフィルドビアとすることが好ましい。
【0051】
金属めっき40は、充填部41と、突出部42とを有する。充填部41は、金属めっき40のうち、導通用孔H1を充填する部分であり、
図2A(4)において点線の下側部分である。突出部42は、金属めっき40のうち、充填部41の上に位置する部分であり、
図2A(4)において点線の上側部分である。突出部42は、金属箔10のうち導通用孔H1を囲う部分(開口縁部)を被覆する。突出部42は、ボタンランドとも呼ばれる。金属めっき40の形成は、たとえば突出部42の厚さが13μmとなるように行う。
【0052】
本実施形態において、金属めっき40は、電解めっきである。より詳しくは、ステップS4において電解めっき処理を行い、金属めっき40を形成する。電解めっきを用いることで、無電解めっきを用いる場合に比べて、めっき処理の時間を短くすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0053】
なお、金属めっき40は、金属箔10と同じ金属を用いてもよい。同一の金属を用いることで、物理的、電気的、化学的性質が揃うため、取り扱いが簡易になる。特に、金属箔10が銅箔である場合、金属めっき40は、電解銅めっきであってもよい。電解銅めっきを形成することで、金属めっき40の金属を、フレキシブルプリント配線板の場合に好ましい圧延銅箔と同じ金属(銅)とすることができる。
【0054】
次に、
図2B(1)に示すように、金属めっき40の突出部42をエッチングする(ステップS5)。より詳しくは、めっきレジストパターン13の開口13aに露出した金属めっき40の突出部42のうち、少なくとも一部をエッチングする。エッチングには、たとえば塩化銅を用いる。
【0055】
本実施形態において、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程は、突出部42を残すように行う。これにより、突出部42の一部が除去され、より突出が少ない突出部42aとなる。たとえば、突出部42の厚さが13μmの場合、10μmをエッチングにより除去する。この場合、エッチング後の突出部42aの厚さは、3μm程度となる。
【0056】
次に、
図2B(2)に示すように、めっきレジストパターン13,23を除去する(ステップS6)。
【0057】
次に、
図2B(3)に示すように、金属箔10の上にエッチングレジスト膜14を形成し、金属箔20の上にエッチングレジスト膜24を形成する(ステップS7)。エッチングレジスト膜14は、金属めっき40を被覆するように形成する。本実施形態では金属めっき40が突出部42aを有するため、エッチングレジスト膜14は、突出部42aを埋設するように形成される。
【0058】
本実施形態では、突出部42aの厚さが突出部42の厚さに比べて小さいため、より薄いエッチングレジスト膜14(たとえば厚さ7~15μmのもの)を形成することができる。
【0059】
また、エッチングレジスト膜24については、絶縁基材30の下面側に金属めっき40が設けられていないためより薄いものを形成することができる。なお、導通用孔H1が複数存在する場合、突出部42aが絶縁基材30の下面側(第2の主面側)にも存在してもよい。この場合であっても、上述した通り、突出部42aの厚さが突出部42の厚さに比べて小さいため、より薄いエッチングレジスト膜24を形成することができる。
【0060】
次に、
図2B(4)に示すように、エッチングレジスト膜14を露光および現像して、エッチングレジストパターン14aを形成する。また、エッチングレジスト膜24を露光および現像して、エッチングレジストパターン24aを形成する(ステップS8)。
【0061】
本実施形態では、エッチングレジスト膜14,24が薄いため、露光および現像の解像度が上昇し、微細なパターンを有するエッチングレジストパターン14a,24aを形成できる。また、エッチングレジストパターン14a,24aの厚さが薄くなり、エッチング液が金属箔に到達しやすくなる。これらにより、エッチングの解像度が増加し、より微細な配線パターンを形成することができる。
【0062】
次に、
図2C(1)に示すように、エッチングレジストパターン14aで被覆されていない金属箔10をエッチングで除去する。また、エッチングレジストパターン24aで被覆されていない金属箔20をエッチングで除去する(ステップS9)。
【0063】
次に、
図2C(2)に示すように、エッチングレジストパターン14a,24aを除去する(ステップS10)。これにより、絶縁基材30の上面(第1の主面)には、複数の配線11を含む配線パターンWP1、およびランド12が形成される。また、絶縁基材30の下面(第2の主面)には、複数の配線21を含む配線パターンWP2、およびランド22が形成される。
【0064】
本実施形態では、エッチングレジストパターン14a,24aが微細なパターンを有し、かつ薄いため、エッチングの解像度が増加し、微細な配線パターンWP1,WP2を形成できる。
【0065】
以上のステップS1~S10によって、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を製造することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態においては、めっきレジストパターン13,23を除去する前に、金属めっき40の突出部42をエッチングして、突出部42の一部を除去し、より突出の少ない突出部42aを形成する。これにより、厚い突出部42をエッチングレジスト膜14で埋設する必要が無い。したがって、突出部42aを埋設するエッチングレジスト膜14として、より薄いものを用いることができる。また、エッチングレジスト膜24として、より薄いものを用いることができる。
【0067】
エッチングレジスト膜14,24が薄くなることで、露光および現像の解像度が増加し、解像度の高いエッチングレジストパターン14a,24aを形成できる。エッチングレジストパターン14a,24aの解像度が高く、かつその厚さが薄いため、エッチングの解像度が増加し、微細な配線パターンWP1,WP2を形成できる。すなわち、層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板1の製造において微細な配線パターンWP1,WP2を形成することができる。
【0068】
また、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程においては、めっきレジストパターン13をエッチングマスクとしてそのまま使用する。これにより、工程を短縮できる。さらに、めっきレジストパターン13と金属めっき40の位置ズレを抑制することができるため、より確実に突出部42をエッチングすることができる。
【0069】
また、金属箔10,20として圧延銅箔を用い、フレキシブルプリント配線板の屈曲部分に金属めっき40を形成しないようにすることで、屈曲性の高いフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、
図1、
図2A、
図3Aおよび
図3Bを参照しつつ、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について説明する。本実施形態と第1の実施形態との間の相違点の一つは、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程である。以降、本実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0071】
図2A(1)に示すように、両面金属張積層板2を用意する(ステップS1)。本実施形態の両面金属張積層板2は、たとえば金属箔10,20が厚さ12μmの圧延銅箔であり、絶縁基材30が厚さ12.5μmのポリイミドからなるものである。なお、金属箔10,20として銅箔を用いる場合、電解銅箔であってもよい。
【0072】
次に、
図2A(2)に示すように、金属箔10および絶縁基材30を部分的に除去することにより、導通用孔H1を形成する(ステップS2)。導通用孔H1の直径は、開口(すなわち、金属箔10が除去された部分)において、たとえば35μmである。
【0073】
ステップS3およびステップS4は、第1の実施形態と同様である(
図2A(3),(4)参照)。
【0074】
次に、
図3A(1)に示すように、金属めっき40の突出部42をエッチングする(ステップS5)。本実施形態では、第1の実施形態と異なり、本ステップにおいて、金属めっき40の突出部42を完全に除去する。詳しくは、オーバーエッチングとなるように行う。
【0075】
オーバーエッチングとなるように行う場合、突出部42を完全に除去し、さらに、金属箔10の一部および/または充填部41の一部を除去するように行ってもよい。より詳しくは、ステップS5は、金属めっき40の突出部42を完全に除去し、さらに、金属箔10のうち突出部42に被覆された金属箔の一部、および/または金属めっき40の充填部41の一部を除去するように行ってもよい。これにより、金属箔10および/または充填部41は薄化される。オーバーエッチングの程度は、金属箔10と金属めっき40の間の電気的接続が失われない程度とする。
【0076】
図3A(1)には、突出部42を完全に除去し、さらに金属箔10の一部および充填部41の一部を除去する場合が示されている。これにより、金属箔10および充填部41は薄化される。
図3A(1)に示す例では、たとえば突出部42の厚さが13μmの場合、エッチング量を15μmとする。
【0077】
なお、ステップS5は、金属めっき40の突出部42を丁度除去するように行ってもよい。
【0078】
次に、
図3A(2)に示すように、めっきレジストパターン13,23を除去する(ステップS6)。
【0079】
次に、
図3A(3)に示すように、金属箔10の上にエッチングレジスト膜14を形成し、金属箔20の上にエッチングレジスト膜24を形成する(ステップS7)。エッチングレジスト膜14は、金属めっき40を被覆するように形成する。
【0080】
本実施形態では、金属めっき40の突出部42が完全に除去されているため、エッチングレジスト膜14が突出部42を埋設する必要が無い。よって、薄いエッチングレジスト膜14(たとえば厚さ7~15μmのもの)を用いることができる。なお、突出部42を埋設する必要が無いことから、第1の実施形態と比べて、より薄いエッチングレジスト膜14を形成してもよい。
【0081】
ステップS8~S10は、第1の実施形態と同様である(
図3A(4)、
図3B(1),(2)参照)。
【0082】
以上のステップS1~S10を経て、
図3B(2)に示すように、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1Aが製造される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態においては、めっきレジストパターン13,23を除去する前に、金属めっき40の突出部42を完全に除去する。これにより、エッチングレジスト膜14が突出部42を埋設する必要が無いため、エッチングレジスト膜14として、より薄いものを用いることができる。また、第1の実施形態と同様に、エッチングレジスト膜24として、より薄いものを用いることができる。エッチングレジスト膜14,24がより薄くなることで、露光および現像の解像度が増加し、より解像度の高いエッチングレジストパターン14a,24aを形成できる。エッチングレジストパターン14a,24aの解像度が高いため、エッチングの解像度が増加し、より微細な配線パターンWP1,WP2を形成できる。
【0084】
(第1および第2の実施形態のまとめ)
第1の実施形態によれば、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程において、突出部42を一部残すように行う。これにより、突出部42の一部が除去され、より突出が少ない突出部42aとなるため、薄いエッチングレジスト膜14,24を用いることができる。その結果として、層間導電路を有するフレキシブルプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成することができる。
【0085】
一方、第2の実施形態によれば、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程において、突出部42を完全に除去するように行う。これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
なお、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程は、エッチング後の金属めっき40の上面と、配線パターンWP1を構成する金属箔10の上面(すなわち、配線11の上面)とが略同一面となるように行ってもよい。たとえば、突出部42を丁度除去することを狙ってエッチングを行う。上述したように、エッチングの程度には誤差が生じることから、エッチング後の状態は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の状態となる。いずれの場合も、薄いエッチングレジスト膜を用いることができ、微細な配線パターンを形成することができる。
【0087】
また、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程は、エッチング後の金属めっき40の上面と、配線パターンWP1を構成する金属箔10の上面との高低差が±5μm以内となるように行ってもよい。これにより、より薄いエッチングレジスト膜を用いることができ、より微細な配線パターンを形成することができる。
【0088】
また、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程は、当該高低差が±2μm以内となるように行ってもよい。これにより、さらに薄いエッチングレジスト膜を用いることができ、さらに微細な配線パターンを形成することができる。
【0089】
(第3の実施形態)
次に、
図1および
図4を参照しつつ、第3の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について説明する。本実施形態と第1および第2の実施形態との間の相違点の一つは、ダミー開口の存在である。以降、本実施形態について、第1および第2の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0090】
本実施形態では、ステップS3において、めっきレジストパターン13にダミー開口を形成する。本実施形態に係るめっきレジストパターン13,23を形成する工程(ステップS3)について、より詳しく説明する。
【0091】
まず、金属箔10の上に金属箔10および導通用孔H1を被覆するめっきレジスト膜を形成する。また、金属箔20の上に金属箔20を被覆するめっきレジスト膜を形成する。
【0092】
次に、めっきレジスト膜を露光および現像して、開口13aを形成する。本実施形態では、
図4(1)に示すように、導通用孔H1が複数設けられている。そのため、めっきレジスト膜に複数の開口13aを形成する。
【0093】
図4(1)に示すように、一般に各導通用孔H1は、配線の形状に応じて配置されるため、平面視で均等に配置されない。そのため、導通用孔H1がまばらな部分(図中上側)と、密な部分(図中下側)が存在することとなる。
【0094】
各導通用孔H1が均等に配置されていないため、ステップS4において開口13aに形成される金属めっき40の析出量は、各導通用孔H1で異なる。たとえば、導通用孔H1がまばらな部分では、金属めっき40が厚く(上面が高く)形成される。一方、導通用孔H1が密な部分では、金属めっき40が薄く(上面が低く)形成される。このように、各導通用孔H1の金属めっき40の上面の高さが均一にならない。そのため、ステップS5において金属めっき40の突出部42をエッチングした後の金属めっき40の上面の高さも均一にならない。
【0095】
そこで、本実施形態においては、
図4(2)に示すように、めっきレジスト膜を露光および現像することで、ダミー開口13bを形成する。これにより、各導通用孔H1および開口13a内に析出する金属めっきの量を均一にすることができる。このように、めっきレジストパターン13は、ダミー開口13bを有する。なお、各開口13aと各ダミー開口13bの形成順は任意であり、同時でもよい。
図4(2)に示すように、ダミー開口13bには、金属箔10が露出する。なお、ダミー開口は絶縁基材30の第2の主面側に形成してもよい。この場合、当該ダミー開口には、金属箔20が露出する。また、ダミー開口を絶縁基材30の第1の主面側および第2の主面側の両方に形成してもよい。
【0096】
金属めっき40を形成する工程(ステップS4)において、ダミー開口13bに露出した金属箔10の上にダミーめっきを形成する。上述したように、各導通用孔H1および開口13a内に析出する金属めっきの量を均一にすることができる。すなわち、各開口13a内の金属めっき40の上面の高さを揃えることができる。
【0097】
なお、
図4(2)に示すように、ダミー開口13bの位置および形状は任意である。ダミー開口13bの内部に形成されたダミーめっきの少なくとも一部は、後のステップで除去するためである。
【0098】
より詳しくは、金属めっき40の突出部42をエッチングする工程(ステップS5)において、ダミーめっきの少なくとも一部を除去する。ダミーめっきのエッチング量が少ない場合は、ダミーめっき一部が残る。一方、ダミーめっきのエッチング量が多い場合は、完全に除去される。
【0099】
なお、ステップS5において、ダミーめっきが完全に除去されず、一部が金属箔上に残存した場合であっても、エッチングレジスト膜14,24の形成に影響を与えない程度であれば問題とならない。たとえば、ダミーめっきの上面と、金属箔10(および/または金属箔20)の上面とが略同一面となればよい。また、残存したダミーめっきのうち、配線11(配線21)となる金属箔以外の金属箔上に形成されたものについては、エッチングレジストパターン14a,24aで被覆されていない金属箔10,20をエッチングで除去する工程(ステップS9)において完全に除去される。
【0100】
本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、複数の導通用孔H1を形成する場合であっても、第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、複数の導通用孔H1を形成する場合であっても、複数の金属めっき40の上面と、金属箔10の上面(すなわち、配線11の上面)とが略同一面となるようにすることができる。これにより、薄いエッチングレジスト膜を用いることができ、微細な配線パターンを形成することができる。
【0101】
なお、第1~第3の実施形態においては、導通用孔H1は、開口が絶縁基材30の第1の主面に存在することとしたが、これに限られず、導通用孔H1の開口が存在する絶縁基材30の主面(すなわち、絶縁基材30の主面のうち、導通用孔H1の底面と反対側の主面)は、第1の主面および第2の主面のいずれでもよい。また、複数の導通用孔H1を形成してもよく、このうち少なくとも2つの導通用孔H1の開口は、第1の主面および第2の主面のうち、互いに異なる主面に存在してもよい。
【0102】
また、第1~第3の実施形態においては、2層の金属箔を有する両面金属張積層板を用いたが、3層以上の金属箔を有する多層フレキシブルプリント配線板を出発材料として用いてもよい。この場合、配線パターンおよび層間導電路を形成する対象である当該多層フレキシブルプリント配線板の最外層を、本実施形態における両面金属張積層板の第1の主面とみなして、本実施形態に係る方法を適用する。
【0103】
また、第1~第3に係るフレキシブルプリント配線板の製造工程において、各工程(ステップS1~S10)のうち、少なくとも一つの工程をロールツーロール方式(連続搬送)にて行ってもよい。これにより、フレキシブルプリント配線板の製造効率を向上させることができる。なお、全ての工程をロールツーロール方式にて行ってもよい。
【0104】
(フレキシブルプリント配線板)
図2C(2)および
図3B(2)に示すように、第1および第2の実施形態で説明した方法により製造されたフレキシブルプリント配線板は、絶縁基材30と、配線11と、ランド12と、ランド22(導電層)と、金属めっき40とを備える。
【0105】
絶縁基材30は、上面(第1の主面)および下面(第1の主面の反対側の第2の主面)を有する。
【0106】
配線11は、絶縁基材30の第1の主面に設けられている。ランド12は、絶縁基材30の第1の主面に設けられ、配線11に接続されている。なお、配線11およびランド12は、いずれも複数設けられてもよい。
【0107】
ランド22は、絶縁基材30の第2の主面に設けられ、絶縁基材30を挟んでランド12と対向する。なお、ランド22の代わりに、ランド22の位置にグランド層が設けられてもよい。また、絶縁基材30の第2の主面には、1つまたは複数の配線21が設けられてもよい。
【0108】
金属めっき40は、ランド12と導電層を電気的に接続する。金属めっき40は、上面が配線11の上面と略同一面である。
【0109】
なお、金属めっき40の上面と、配線11の上面との高低差が±5μm以内、あるいは高低差が±2μm以内であってもよい。
【0110】
なお、金属めっき40は複数設けられてもよい。この場合、複数の金属めっき40の上面は、配線11の上面と略同一面であってもよい。また、複数の金属めっき40のうち少なくとも2つの金属めっき40の上面は、第1の主面および第2の主面のうち、互いに異なる主面側に存在してもよい。さらに、第2の主面に配線21が設けられている場合、上面が第2の主面側に存在する金属めっき40の上面は、配線21の上面と略同一面であってもよい。
【0111】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1,1A フレキシブルプリント配線板
2 両面金属張積層板
10,20,100,200 金属箔
11,21,110,210 配線
12,22,120,220 ランド
13,23,130,230 めっきレジストパターン
13a,130a 開口
13b ダミー開口
14,24,140,240 エッチングレジスト膜
14a,24a,140a,240a エッチングレジストパターン
30,300 絶縁基材
40,400 金属めっき
41,410 充填部
42,42a,420 突出部
H1,H 導通用孔
WP1,WP2,WP10,WP20 配線パターン