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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060978
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】タイヤの研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/06 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B29D30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168593
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】岩出 優樹
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA13
4F215VL04
4F215VP35
4F215VP36
4F501TA13
4F501TE04
4F501TL34
4F501TL35
4F501TV04
(57)【要約】
【課題】 研磨時間を短縮することができる。
【解決手段】 空気入りタイヤTの内腔面Tbを研磨するための研磨機構3を含むタイヤの研磨装置1である。研磨機構3は、内腔面Tbの第1の位置T1に接触可能な第1研磨ユニット14Aと、第2の位置T2で内腔面Tbに接触可能な第2研磨ユニット14Bとを含む。第1研磨ユニット14Aは、内腔面Tbの第1範囲A1を研磨する。第2研磨ユニット14Bは、内腔面Tbの第2範囲A2を研磨する。第2範囲A2の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、第1範囲A1とは異なる範囲を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部の内腔面を研磨するための空気入りタイヤの研磨装置であって、
前記空気入りタイヤを予め定められた姿勢に保持するための保持部と、
前記姿勢に保持された前記空気入りタイヤの前記内腔面を研磨するための研磨機構とを含み、
前記研磨機構は、複数の研磨ユニットを含み、
前記複数の研磨ユニットは、前記内腔面の第1の位置に接触可能な第1研磨ユニットと、前記第1の位置とはタイヤ周方向で異なる第2の位置で前記内腔面に接触可能な第2研磨ユニットとを少なくとも含み、
前記第1研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第1範囲を研磨し、
前記第2研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第2範囲を研磨し、
前記第2範囲の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、前記第1範囲とは異なる範囲を含む、
タイヤの研磨装置。
【請求項2】
前記複数の研磨ユニットは、第3の位置で前記内腔面に接触可能な第3研磨ユニットをさらに含み、
前記第3研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第3範囲を研磨し、
前記第3範囲の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、前記第1範囲及び前記第2範囲とは異なる範囲を含む、請求項1に記載のタイヤの研磨装置。
【請求項3】
前記研磨機構は、前記姿勢に保持された前記空気入りタイヤの回転軸に沿って延びる主軸と、前記主軸からタイヤ半径方向に延びる複数のアームとを備え、
前記複数のアームは、前記主軸の軸方向において、異なる位置に設けられており、
前記複数のアームの先端には、それぞれ前記複数の研磨ユニットの一つが設けられている、請求項1又は2に記載のタイヤの研磨装置。
【請求項4】
前記複数のアームの少なくとも一つは、前記主軸の軸方向に対して位置調整可能に連結されている、請求項3に記載のタイヤの研磨装置。
【請求項5】
前記複数のアームは、それぞれ、タイヤ半径方向に伸縮可能である、請求項3に記載のタイヤの研磨装置。
【請求項6】
前記主軸は、回転駆動される、請求項3に記載のタイヤの研磨装置。
【請求項7】
前記複数の研磨ユニットは、それぞれ、前記内腔面に接触する研磨用ブラシを含む、請求項1又は2に記載のタイヤの研磨装置。
【請求項8】
前記研磨用ブラシは、前記アームに対して回転可能である、請求項7に記載のタイヤの研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、空気入りタイヤの内腔面を研掃しうる研掃具を含むタイヤのトレッド内腔面研掃装置が記載されている。この研掃具は、研掃材が外周面に設けられた研掃ローラを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-62441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、トレッド幅の広い空気入りタイヤが好まれる傾向にある。このような空気入りタイヤの内腔面を、研掃ローラの幅よりも大きい範囲でタイヤ軸方向に亘って研掃するためには、前記研掃ローラをタイヤ軸方向に移動させながら研掃する必要があり、時間を要するという課題に本発明者らは直面している。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、研磨時間を短縮することができるタイヤの研磨装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部の内腔面を研磨するための空気入りタイヤの研磨装置であって、前記空気入りタイヤを予め定められた姿勢に保持するための保持部と、前記姿勢に保持された前記空気入りタイヤの前記内腔面を研磨するための研磨機構とを含み、前記研磨機構は、複数の研磨ユニットを含み、前記複数の研磨ユニットは、前記内腔面の第1の位置に接触可能な第1研磨ユニットと、前記第1の位置とはタイヤ周方向で異なる第2の位置で前記内腔面に接触可能な第2研磨ユニットとを少なくとも含み、前記第1研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第1範囲を研磨し、前記第2研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第2範囲を研磨し、前記第2範囲の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、前記第1範囲とは異なる範囲を含む、タイヤの研磨装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤの研磨装置は、上記の構成を採用することで、研磨時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のタイヤの研磨装置の一実施形態を示す正面図である。
図2図1の研磨装置の保持部の側面図である。
図3図1の研磨装置の研磨機構の正面図である。
図4図3の研磨機構の側面図である。
図5】研磨の範囲を示すタイヤの内腔面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれていることがある。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤの研磨装置(以下、単に「研磨装置」という。)1の正面図である。本実施形態の研磨装置1は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある。)Tのトレッド部TAの内腔面Tbを研磨するためのものである。研磨後のタイヤTは、研磨された部分に、例えば、タイヤ内腔内の共鳴振動を抑制するための制音用の帯状スポンジ材や、パンクを防止するためのシーラント材等(図示省略)が貼り付けられる。本実施形態の研磨装置1は、例えば、乗用車用や重荷重用等、種々のタイヤTを研磨することができ、とりわけ、トレッド幅の大きいタイヤTを研磨することに好適である。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態の研磨装置1は、タイヤTを予め定められた姿勢に保持するための保持部2と、保持部2に保持されたタイヤTを研磨するための研磨機構3とを含んでいる。
【0012】
図2は、保持部2の側面図である。図1及び図2に示されるように、保持部2は、本実施形態では、タイヤTを起立させた姿勢Rで保持する。保持部2は、本実施形態では、姿勢RのタイヤTを支持する一対の支持ローラ4、4と、タイヤTのタイヤ軸方向の位置を決める位置決め具5と、タイヤTを支持ローラ4に押し付けする押付け具6とを備えている。
【0013】
一対の支持ローラ4、4は、例えば、水平かつ互いに平行に配される。タイヤTは、本実施形態では、支持ローラ4、4間に跨ることで起立の姿勢Rが維持される。一方の支持ローラ4は、モータ4aによって回転駆動される。これにより、タイヤTは、タイヤ回転軸Tx周りで回転される。姿勢RのタイヤTのタイヤ回転軸Txは、本実施形態では、水平である。本明細書では、タイヤ回転軸Txと平行な方向をX、鉛直方向(上下方向)をZ、X方向とZ方向とに直角な方向で水平をYとする。なお、保持部2は、モータ4aを含まなくても良い。
【0014】
位置決め具5は、例えば、タイヤTのサイドウォール部の両側に配された一対の支持体7、7と、両支持体7に回転可能に取り付けられた保持ローラ8とを含んでいる。支持体7は、本実施形態では、矩形状に枠組みされたフレーム7aを含んでいる。支持体7は、タイヤ軸方向に延びる一対の案内ガイド9によってX方向(タイヤ軸方向)に移動可能に案内される。
【0015】
保持ローラ8は、本実施形態では、タイヤTのサイドウォール部と接し、タイヤTのタイヤ回転軸Tx周りの回転を保持しつつ、タイヤTのX方向の移動を拘束する。保持ローラ8の軸心8cは、例えば、タイヤ回転軸Txに向かって延びるように配されている。保持ローラ8は、例えば、各支持体7に複数設けられている。
【0016】
押付け具6は、例えば、アーム10と、押さえローラ11とを含んでいる。アーム10は、Z方向に延びるロッド10aを有する周知構造のシリンダで構成されている。押さえローラ11は、ロッド10aの下端に回転可能に取り付けられている。押さえローラ11は、タイヤTのトレッド部TAの接地面Taと接触する。このような押付け具6は、モータ4aによるタイヤTの回転を安定させる。このように、本実施形態の保持部2は、周知構造のものが用いられる。
【0017】
研磨機構3は、複数の研磨ユニット14を含んでいる。また、研磨機構3は、本実施形態では、回転可能な主軸15と、主軸15から延びる複数のアーム16とを備えている。本実施形態の研磨機構3は、機構移動部17によって移動可能に保持されている。
【0018】
図3は、研磨機構3と機構移動部17との正面図である。図3に示されるように、機構移動部17は、例えば、研磨機構3をZ方向に昇降移動させる上下移動具20と、研磨機構3をX方向に水平移動させる水平移動具21とを含んでいる。なお、機構移動部17は、主軸15をY方向に移動させる移動具(図示省略)を有していても良い。
【0019】
上下移動具20は、例えば、床面に固定された台板23と、台板23から立ち上がる支柱24と、支柱24に取り付けられかつZ方向に延びるガイド25と、ガイド25に沿って昇降移動可能に案内される上下移動台26とを具える。ガイド25には、例えば、ボールねじ等の周知構造の機構が用いられる。
【0020】
水平移動具21は、例えば、上下移動台26に取り付けられ、かつ、水平に延びるガイド27と、ガイド27に沿って移動可能に案内される水平移動台28とを具える。ガイド27には、例えば、ボールねじ等の周知構造の機構が用いられる。水平移動台28には、例えば、水平に延びるモータ軸29aを備えたモータ29が取り付けられている。このように、本実施形態の機構移動部17は、周知構造のものが用いられる。
【0021】
図4は、研磨機構3の側面図である。図3及び図4に示されるように、複数の研磨ユニット14は、第1研磨ユニット14Aと第2研磨ユニット14Bとを少なくとも含んでいる。複数の研磨ユニット14は、本実施形態では、第3研磨ユニット14Cをさらに含んでいる。本実施形態の第1研磨ユニット14Aないし第3研磨ユニット14Cは、同じ構造である。なお、複数の研磨ユニット14は、2つの研磨ユニット14で構成されても良いし、4つ以上の研磨ユニット14で構成されても良い。
【0022】
各研磨ユニット14は、研磨用ブラシ30を含んでいる。研磨ユニット14は、さらに、研磨用ブラシ30を保持する保持部材31を含んでいる。
【0023】
研磨用ブラシ30は、本実施形態では、円環状の芯材33と、芯材33の外周面に取り付けられブラシ材34とを具えている。ブラシ材34は、例えば、ナイロン、鋼線、ステンレス線等、種々の周知材料から選択することができる。研磨用ブラシ30は、このような円環状のものに限定されるものではなく、種々の形状のものが用いられる。
【0024】
保持部材31は、研磨用ブラシ30を回転可能に保持している。保持部材31は、例えば、芯材33の内周面に取り付けられる保持軸35と、保持軸35を両側で支持するための一対の支持フレーム36、36とを含んでいる。一対の支持フレーム36の一方には、保持軸35を回転駆動させるための周知構造のモータ37が取り付けられている。保持軸35の回転によって、芯材33、すなわち、研磨用ブラシ30が回転される。保持軸35は、例えば、主軸15の軸方向と平行に延びている。
【0025】
主軸15は、本実施形態では、モータ軸29aに繋げられており、水平に延びている。主軸15は、モータ29によって回転駆動される。主軸15は、本実施形態では、横断面が三角形状、より詳しくは正三角形状で形成されている。主軸15は、例えば、前記三角形状を形成するように、長手方向に延びる3つの側面15aを備えている。
【0026】
本実施形態の各側面15aには、それぞれ、スライドレール38が設けられている。スライドレール38は、本実施形態では、主軸15の長手方向に延びるレール部38Aと、レール部38Aにスライド自在に案内されるガイド部38Bとを含む周知構造で形成されている。スライドレール38は、例えば、ガイド部38Bを案内させる空気式又は電気式の駆動部(図示省略)を含んでいる。
【0027】
アーム16は、例えば、主軸15の回転軸15xから延びて側面15aと直交する直線15c上に延びている。以下、本明細書では、直線15cの延びる方向が主軸15の半径方向とされる。アーム16は、本実施形態では、伸縮可能なロッド16aを有する周知構造のシリンダで構成されている。ロッド16aの先端には、研磨ユニット14の保持部材31が取り付けられている。これにより、研磨ユニット14は、主軸15の半径方向に移動可能とされる。また、研磨ユニット14の研磨用ブラシ30は、アーム16に対して回転可能とされる。
【0028】
アーム16は、本実施形態では、ガイド部38Bに連結されている。これにより、アーム16は、レール部38A上を移動可能となり、主軸15の軸方向に対して位置調整可能とされる。なお、各アーム16は、本実施形態では、3本設けられており、主軸15の回転軸15xを中心として120°ピッチで配される。
【0029】
次に、本実施形態の研磨装置1を用いたタイヤTの研磨方法が説明される。本実施形態の研磨方法は、タイヤTをセットするセット工程と、タイヤTを研磨する研磨工程とを含んでいる。図1に示されるように、本実施形態のセット工程では、タイヤTが保持部2に保持される。具体的には、タイヤTが一対の支持ローラ4、4上に起立の姿勢Rで載置される。次に、位置決め具5の一対の支持体7をタイヤ軸方向に移動させて、タイヤTのサイドウォール部と保持ローラ8とを接触させて支持体7が固定される。これにより、タイヤTは、X方向及びY方向に位置決めされるとともに、両方向への移動が拘束される。次に、アーム10のロッド10aが降下されて、押さえローラ11がタイヤTの接地面Taに接触される。これにより、タイヤTのZ方向の移動が拘束される。本実施形態のセット工程では、研磨機構3は、例えば、タイヤTの外側に控えた位置で待機されている。
【0030】
次に、研磨工程が行われる。図3に示されるように、本実施形態の研磨工程では、先ず、上下移動具20及び水平移動具21が駆動されて、主軸15がタイヤTの内腔内に移動される。このとき、主軸15の回転軸15xとタイヤ回転軸Txとが一致されるのが望ましい。次に、例えば、各アーム16のロッド16aがタイヤ半径方向に伸ばされるとともに、各ガイド部38Bが主軸15の軸方向に移動される。これにより、各アーム16は、それぞれ、主軸15の軸方向において、異なる位置に設けられる。また、各研磨ユニット14の研磨用ブラシ30が、それぞれ、予め定められたタイヤTの内腔面Tbの位置に接触される。
【0031】
次に、モータ4a、モータ29及びモータ37が駆動されて、タイヤT、主軸15及び研磨用ブラシ30が回転される。これにより、各研磨ユニット14が内腔面Tbを研磨しうる。
【0032】
図5は、各研磨ユニット14が研磨する範囲の一例を示す内腔面Tbの平面図である。図5の横方向は、タイヤ軸方向であり、縦方向は、タイヤ周方向である。また、図5の0°及び360°は、タイヤTの内腔面Tbにおいてタイヤ周方向の同じ位置を意味する。各アーム16は、それぞれ異なるガイド部38Bに連結されている。このため、図4及び図5に示されるように、第1研磨ユニット14A(研磨用ブラシ30)は、内腔面Tbの第1の位置T1に接触可能とされる。第2研磨ユニット14Bは、第1の位置T1とはタイヤ周方向で異なる第2の位置T2で内腔面Tbに接触可能とされる。第3研磨ユニット14Cは、第1の位置T1及び第2の位置T2とタイヤ周方向に異なる内腔面Tbの第3の位置T3に接触可能とされる。これにより、各研磨ユニット14の保持部材31同士が干渉しあうことが抑制され、研磨の範囲を正確に研磨することができる。第1の位置T1、第2の位置T2及び第3の位置T3は、タイヤ回転軸Txを中心として120°ピッチとされる。また、本実施形態では、主軸15が回転するので、第1の位置T1ないし第3の位置T3は、タイヤ周方向に連続して変化する。
【0033】
また、第1研磨ユニット14Aは、第1範囲A1を研磨する。また、第2研磨ユニット14Bは、第2範囲A2を研磨する。さらに第3研磨ユニット14Cは、第3範囲A3を研磨する。第1範囲A1ないし第3範囲A3は、タイヤ周方向に連続する範囲である。そして、第2範囲A2の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、第1範囲A1とは異なる範囲を含んでいる。これにより、第1研磨ユニット14Aと第2研磨ユニット14Bとで、同時に内腔面Tbの異なる範囲を研磨することができるので、第1研磨ユニット14A又は第2研磨ユニット14Bの単体で研磨できる範囲よりも大きな範囲を研磨することができる。したがって、本発明の研磨装置1は、研磨時間を短縮することができる。さらに、第3範囲A3の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、第1範囲A1及び第2範囲A2とは異なる範囲を含んでいるので、研磨時間をさらに短縮することができる。
【0034】
本実施形態では、第1範囲A1のタイヤ軸方向の第1端縁e1は、第2範囲A2のタイヤ軸方向の第2端縁e2と重なっている。また、第1範囲A1のタイヤ軸方向の第2端縁e3は、第3範囲A3のタイヤ軸方向の第1端縁e4と重なっている。本実施形態では、第2範囲A2のタイヤ軸方向の第1端縁e5と第3範囲A3のタイヤ軸方向の第2端縁e6とが、各研磨ユニット14にて研磨される研磨範囲Tpのタイヤ軸方向の両側の端縁である。
【0035】
研磨用ブラシ30の幅(タイヤ軸方向の長さ)W1(図3に示す)は、本実施形態では、各範囲A1~A3の幅(タイヤ軸方向の長さ)Waと同じであるのが望ましい。これにより、研磨時間をより一層短縮することができる。研磨用ブラシ30の幅W1は、各範囲A1~A3の幅Waよりも小さくても良い。研磨用ブラシ30の幅W1が各範囲A1~A3の幅Waより小さい場合は、ガイド部38Bによって、アーム16が主軸15の軸方向に移動される。これにより、各範囲A1ないしA3が隙間なく研磨される。
【0036】
内腔面Tbを早く研磨させる観点より、タイヤTの回転方向Raと、主軸15の回転方向Rbとは逆向きが望ましい。また、主軸15の回転方向Rbと研磨用ブラシ30の回転方向Rcとは、逆向きが望ましい。
【0037】
そして、予め定められた研磨量まで内腔面Tbが研磨されると、アーム16のロッド16aがタイヤ半径方向に縮径されるとともに、モータ4a、モータ29及びモータ37が停止される。そして、上下移動具20及び水平移動具21が駆動されて、主軸15がタイヤTの外側に移動されて、研磨工程が終了される。
【0038】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0039】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0040】
[本発明1]
トレッド部の内腔面を研磨するための空気入りタイヤの研磨装置であって、
前記空気入りタイヤを予め定められた姿勢に保持するための保持部と、
前記姿勢に保持された前記空気入りタイヤの前記内腔面を研磨するための研磨機構とを含み、
前記研磨機構は、複数の研磨ユニットを含み、
前記複数の研磨ユニットは、前記内腔面の第1の位置に接触可能な第1研磨ユニットと、前記第1の位置とはタイヤ周方向で異なる第2の位置で前記内腔面に接触可能な第2研磨ユニットとを少なくとも含み、
前記第1研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第1範囲を研磨し、
前記第2研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第2範囲を研磨し、
前記第2範囲の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、前記第1範囲とは異なる範囲を含む、タイヤの研磨装置。
[本発明2]
前記複数の研磨ユニットは、第3の位置で前記内腔面に接触可能な第3研磨ユニットをさらに含み、
前記第3研磨ユニットは、タイヤ軸方向において、前記内腔面の第3範囲を研磨し、
前記第3範囲の少なくとも一部は、タイヤ軸方向において、前記第1範囲及び前記第2範囲とは異なる範囲を含む、本発明1に記載のタイヤの研磨装置。
[本発明3]
前記研磨機構は、前記姿勢に保持された前記空気入りタイヤの回転軸に沿って延びる主軸と、前記主軸からタイヤ半径方向に延びる複数のアームとを備え、
前記複数のアームは、前記主軸の軸方向において、異なる位置に設けられており、
前記複数のアームの先端には、それぞれ前記複数の研磨ユニットの一つが設けられている、本発明1又は2に記載のタイヤの研磨装置。
[本発明4]
前記複数のアームの少なくとも一つは、前記主軸の軸方向に対して位置調整可能に連結されている、本発明3に記載のタイヤの研磨装置。
[本発明5]
前記複数のアームは、それぞれ、タイヤ半径方向に伸縮可能である、本発明3に記載のタイヤの研磨装置。
[本発明6]
前記主軸は、回転駆動される、本発明3に記載のタイヤの研磨装置。
[本発明7]
前記複数の研磨ユニットは、それぞれ、前記内腔面に接触する研磨用ブラシを含む、本発明1又は2に記載のタイヤの研磨装置。
[本発明8]
前記研磨用ブラシは、前記アームに対して回転可能である、本発明7に記載のタイヤの研磨装置。
【符号の説明】
【0041】
1 タイヤの研磨装置
3 研磨機構
14A 第1研磨ユニット
14B 第2研磨ユニット
T 空気入りタイヤ
T1 第1の位置
T2 第2の位置
Tb 内腔面
A1 第1範囲
A2 第2範囲
図1
図2
図3
図4
図5