(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006098
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】回転電機、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106666
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】川畑 雄平
(72)【発明者】
【氏名】大菅 祥平
(72)【発明者】
【氏名】上谷 卓寛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】山内 睦
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC08
5H605CC10
5H605DD13
5H605EC20
5H605GG04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い耐久性を有する回転電機および駆動装置を提供する。
【解決手段】中心軸線を中心に回転可能なロータと、ロータの径方向外側に配置されるステータ40と、ロータおよびステータ40を内部に収容するハウジング10と、を備える。ステータ40は、ロータを径方向外側から囲むステータコア41を有する。ハウジング10は、ステータ40を径方向外側から囲む周壁部12を有する。周壁部12は、ステータコア41の外周面と接触し、周方向に延びる固定面12bと、固定面12bよりも軸方向の少なくとも一方側に位置し、周方向に延びる保持部60と、固定面12bの径方向外側に位置する流路50と、を有する。固定面12bの軸方向の両側には、周方向に延び、周壁部12とステータコア41との間を封止する封止部95が設けられる。少なくとも一つの封止部95は、保持部60に保持される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心に回転可能なロータと、
前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、
前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するハウジングと、
を備え、
前記ステータは、前記ロータを径方向外側から囲むステータコアを有し、
前記ハウジングは、前記ステータを径方向外側から囲む周壁部を有し、
前記周壁部は、
前記ステータコアの外周面と接触し、周方向に延びる固定面と、
前記固定面よりも軸方向の少なくとも一方側に位置し、周方向に延びる保持部と、
前記固定面の径方向外側に位置する流路と、を有し、
前記固定面の軸方向の両側には、周方向に延び、前記周壁部と前記ステータコアとの間を封止する封止部が設けられ、
少なくとも一つの前記封止部は、前記保持部に保持される、回転電機。
【請求項2】
前記保持部は、前記ステータコアと径方向に対向する径方向保持面を有し、
前記封止部は、前記径方向保持面と前記ステータコアとの間に充填される、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記周壁部は、前記保持部として、
前記固定面よりも軸方向一方側に位置する第1保持部と、
前記固定面よりも軸方向他方側に位置する第2保持部と、
を有する、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記保持部は、前記周壁部の内周面から径方向外側に窪み、径方向内側を向く第1面を有する溝部であり、
前記保持部は、周方向に延び、
前記径方向保持面は、前記第1面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分である、請求項2または3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記保持部は、径方向内側を向く第2面と、前記第2面と前記固定面とを繋ぎ軸方向を向く第3面と、を有し、
前記径方向保持面は、前記第2面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分である、請求項2または3に記載の回転電機。
【請求項6】
前記第1保持部は、前記周壁部の内周面から径方向外側に窪み、径方向内側を向く第1面を有する溝部であり、
前記第1保持部の前記径方向保持面は、前記第1面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分であり、
前記第2保持部は、径方向内側を向く第2面と、前記第2面と前記固定面とを繋ぎ軸方向を向く第3面と、を有し、
前記第2保持部の前記径方向保持面は、前記第2面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分である、請求項3に記載の回転電機。
【請求項7】
前記周壁部は、前記ステータコアの外周面よりも径方向内側において、前記ステータコアの軸方向を向く面と接触する支持面を有する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項8】
前記保持部は、前記ステータコアと軸方向に対向する軸方向保持面を有し、
前記封止部は、前記軸方向保持面と前記ステータコアとの間に充填される、請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
前記保持部は、前記支持面の径方向内側に配置される、請求項8に記載の回転電機。
【請求項10】
前記軸方向保持面は、径方向内側に向かうにしたがって前記ステータコアから軸方向に離れる向きに位置する傾斜面である、請求項9に記載の回転電機。
【請求項11】
前記軸方向保持面は、前記支持面よりも、前記ステータコアから軸方向に離れた位置に配置され、前記ステータコアの軸方向を向く面と対向する、請求項9に記載の回転電機。
【請求項12】
前記保持部は、前記支持面の径方向外側に配置される、請求項8に記載の回転電機。
【請求項13】
前記保持部は、周方向に延びる溝である、請求項12に記載の回転電機。
【請求項14】
周方向に見て、前記保持部は円弧状である、請求項13に記載の回転電機。
【請求項15】
前記周壁部は、前記固定面よりも軸方向の少なくとも一方側において、複数の前記保持部を有する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項16】
前記周壁部は、前記保持部として、
前記固定面よりも軸方向一方側に位置する第1保持部と、
前記固定面よりも軸方向他方側に位置する第2保持部と、
を有し、
前記第1保持部は、前記ステータコアと径方向に対向する径方向保持面を有し、
前記封止部は、前記径方向保持面と前記ステータコアとの間に充填され、
前記第2保持部は、前記ステータコアと軸方向に対向する軸方向保持面を有し、
前記封止部は、前記軸方向保持面と前記ステータコアとの間に充填される、請求項1に記載の回転電機。
【請求項17】
前記周壁部は、前記ステータコアの外周面よりも径方向内側において、前記ステータコアの軸方向を向く面と接触する支持面を有し、
前記支持面は、前記固定面よりも軸方向他方側に配置され、
軸方向において、前記第1保持部の寸法は、前記第2保持部の寸法よりも大きい、請求項16に記載の回転電機。
【請求項18】
前記ステータに電力を供給するインバータと、前記インバータと前記ステータとを電気的に接続する接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記固定面よりも軸方向一方側に配置され、
前記周壁部は、前記保持部として、
前記固定面よりも軸方向一方側に位置する第1保持部と、
前記固定面よりも軸方向他方側に位置する第2保持部と、
を有し、
前記第1保持部に保持される前記封止部の体積は、前記第2保持部に保持される前記封止部の体積よりも大きい、請求項1に記載の回転電機。
【請求項19】
前記ステータコアは、前記固定面に焼き嵌めで固定されている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項20】
前記ハウジングには、樹脂が含侵されている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項21】
請求項1に記載の回転電機と、
前記回転電機と接続される伝達機構と、を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車等の車両に搭載される駆動用の回転電機の開発が盛んに行われている。このような回転電機には冷却構造が搭載される。特許文献1には、ステータを保持するハウジングの内部に冷却水を流通させる水路を設け、ハウジングによって回転電機を冷却する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電気自動車等に搭載される回転電機においては、悪路や様々な気候条件に対応できるような高い耐久性が求められる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、高い耐久性を有する回転電機およびそのような回転電機を備える駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸線を中心に回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するハウジングと、を備える。前記ステータは、前記ロータを径方向外側から囲むステータコアを有する。前記ハウジングは、前記ステータを径方向外側から囲む周壁部を有する。前記周壁部は、前記ステータコアの外周面と接触し、周方向に延びる固定面と、前記固定面よりも軸方向の少なくとも一方側に位置し、周方向に延びる保持部と、前記固定面の径方向外側に位置する流路と、を有する。前記固定面の軸方向の両側には、周方向に延び、前記周壁部と前記ステータコアとの間を封止する封止部が設けられる。少なくとも一つの前記封止部は、前記保持部に保持される。
【0007】
本発明の駆動装置の一つの態様は、上記の回転電機と、上記の回転電機と接続される伝達機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、回転電機および駆動装置の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の駆動装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態の駆動装置のステータ固定工程を示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第1実施形態の駆動装置のステータ固定工程を示す他の断面図である。
【
図3C】
図3Cは、第1実施形態の駆動装置の他のステータ固定工程を示す断面図である。
【
図3D】
図3Dは、第1実施形態の駆動装置の他のステータ固定工程を示す他の断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第5実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第6実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第7実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第8実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。つまり、以下の実施形態において説明する鉛直方向に関する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
【0011】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。Z軸の矢印が向く側(+Z側)は、鉛直方向上側であり、Z軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。
【0012】
適宜図に示す中心軸線J1は、鉛直方向と交差する方向に延びる仮想軸線である。より詳細には、中心軸線J1は、鉛直方向と直交するY軸方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼び、軸方向のうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。適宜図に示す矢印θは、周方向を示す。
【0013】
以下の説明において、「面がA方向を向く」とは、面が厳密にA方向と直交する方向に広がり、面が厳密にA方向を向く場合に加えて、面が向く方向がA方向成分を有する場合も含む。また、「面がBとA方向に対向する」とは、面が厳密にA方向と直交する方向に広がり、面が厳密にBとA方向に対向する場合に加えて、面が向く方向がA方向成分を有し、A方向に見て面とBとが重なる場合も含む。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の駆動装置1を示す模式図である。なお、
図1は、あくまで模式図であり、各部の配置および各部の寸法を正確に図示するものではない。
【0015】
本実施形態の駆動装置1は、車両に搭載され、車両の車軸を回転させる駆動装置である。駆動装置1が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などの回転電機を動力源とする車両である。
【0016】
駆動装置1は、回転電機2と、伝達機構3と、を備える。回転電機2は、動力を発生させる部分である。また、回転電機2は、発電機としての機能を有していてもよい。伝達機構3は、回転電機2と接続され、回転電機2で発生した動力を出力シャフト6に伝達する部分である。
【0017】
回転電機2は、ロータ30と、ステータ40と、ハウジング10と、ベアリング71,73と、インバータ8と、接続部材90と、封止部95と、流体Lと、を備える。ハウジング10の内部には、回転電機2および伝達機構3を収容する収容空間18が設けられる。収容空間18は、ロータ30およびステータ40を収容するモータ室18aと、伝達機構3を収容する伝達機構室18bと、インバータ8を収容するインバータ室18cとに区画される。モータ室18aは、モータ収容部10aの内部空間である。伝達機構室18bは、伝達機構収容部10bの内部空間である。インバータ室18cは、インバータ収容部10cの内部空間である。
【0018】
ロータ30は、中心軸線J1を中心に回転可能である。ロータ30は、シャフト31と、ロータ本体32と、を有する。ロータ30の動力は、伝達機構3に伝達される。
【0019】
シャフト31は、中心軸線J1を中心として軸方向に延びる。シャフト31は、モータ室18aと伝達機構室18bとに跨って配置される。シャフト31の軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータ室18aから伝達機構室18bに突出する。シャフト31は、ベアリング71、73によって、中心軸線J1を中心として回転可能に支持される。ベアリング71、73は、例えば、ボールベアリングである。
【0020】
ロータ本体32は、シャフト31の外周面に固定される。図示は省略するが、ロータ本体32は、ロータコアと、ロータコアに固定された複数のロータマグネットと、を有する。ロータコアは、軸方向に沿って延びる円柱状である。複数のロータマグネットは、磁極を交互にして周方向に沿って配置される。
【0021】
ステータ40は、ロータ30の径方向外側に配置される。ステータ40は、ハウジング10の内側面に固定される。ステータ40は、ステータコア41と、複数のコイル42と、を有する。
【0022】
ステータコア41は、ロータ30を径方向外側から囲む略円環状である。ステータコア41の外周面は、ハウジング10の後述する固定面12bに固定される。複数のコイル42は、図示しないインシュレータを介してステータコア41に装着される。複数のコイル42は、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。
【0023】
インバータ8は、インバータ収容部10cの内部に収容される。インバータ8は、図示しない外部電源およびコイル42と電気的に接続される。インバータ8は、ステータ40に電力を供給する。
【0024】
接続部材90は、インバータ8とステータ40とを電気的に接続する。接続部材90は略鉛直方向(Z軸方向)に沿って延びる。接続部材90は、固定面12bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される。本実施形態において、接続部材90は、ステータ40のU相、V相、W相の各コイル42に対応して3個設けられる。接続部材90の個数は3個に限定されず、例えば、6個もしくは9個設けられてもよい。接続部材90は、銅合金などの電気抵抗率の低い金属材料から構成される。
【0025】
ハウジング10は、ロータ30、ステータ40、伝達機構3、およびインバータ8を内部に収容する。ハウジング10は、モータ収容部10a、伝達機構収容部10b、およびインバータ収容部10cを有する。モータ収容部10aは、ロータ30およびステータ40を内部に収容する。伝達機構収容部10bは、伝達機構3を内部に収容する。インバータ収容部10cは、インバータ8を内部に収容する。伝達機構収容部10bは、モータ収容部10aの軸方向他方側(-Y側)に配置され、モータ収容部10aと軸方向に繋がる。インバータ収容部10cは、モータ収容部10aの上側(+Z側)に配置され、モータ収容部10aと鉛直方向(Z軸方向)に繋がる。なお、インバータ収容部10cは、モータ収容部10aの軸方向一方側もしくは軸方向他方側のいずれか一方側に配置され、モータ収容部10aと軸方向に繋がってもよい。ハウジング10は、第1ハウジング部材11と、第2ハウジング部材13と、第3ハウジング部材14と、第4ハウジング部材15と、インバータハウジング82と、を有する。
【0026】
第1ハウジング部材11は、ロータ30およびステータ40を径方向外側から囲む。第2ハウジング部材13は、第1ハウジング部材11の軸方向一方側(+Y側)に位置し、第1ハウジング部材11に固定される。第3ハウジング部材14は、第1ハウジング部材11の軸方向他方側(-Y側)に位置し、第1ハウジング部材11に固定される。第4ハウジング部材15は、第3ハウジング部材14の軸方向他方側に位置し、第3ハウジング部材14に固定される。インバータハウジング82は、第1ハウジング部材11の上側(+Z側)に位置し、第1ハウジング部材11に固定される。
【0027】
第1ハウジング部材11は、中心軸線J1を中心とする略円筒状である。第1ハウジング部材11は、モータ収容部10aの一部を構成する。第1ハウジング部材11は、インバータ収容部10cの下側(-Z側)の部分を構成する。第1ハウジング部材11は、周壁部12と、流入口58と、流出口59と、を有する。
【0028】
周壁部12は、中心軸線J1を中心とする略円筒状である。周壁部12は、軸方向一方側(+Y側)および軸方向他方側(-Y側)に開口する。周壁部12は、ロータ30およびステータ40を径方向外側から囲む。周壁部12は、第1壁部12cと、固定部12aと、第2壁部12fと、流路50と、を有する。
図2に示すように、周壁部12は、保持部60を有する。保持部60については、後段で詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、第1壁部12cは、周壁部12の軸方向一方側(+Y側)の部分である。
固定部12aは、周壁部12のうち、軸方向の略中央に位置する部分である。固定部12aは、ステータコア41と径方向に対向する。固定部12aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、第1壁部12cの軸方向他方側(-Y側)の端部と繋がる。本実施形態において、固定部12aの内径は、第1壁部12cの内径よりも小さい。
【0030】
固定部12aは、固定面12bを有する。固定面12bは、固定部12aの内周面である。固定面12bは、径方向内側を向く。固定面12bは、周方向に延びる。
図2に示すように、固定面12bは、ステータコア41の外周面と接触する。固定面12bの軸方向他方側(-Y側)の端部は、ステータコア41の軸方向他方側の端部と一致する。一方で、固定面12bの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ステータコア41の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する。したがって、固定面12bの軸方向の寸法は、ステータコア41の軸方向の寸法よりも小さい。本実施形態において、ステータコア41は、固定面12bに焼き嵌めで固定される。これにより、ステータコア41は、ハウジング10に強固に固定される。なお、ステータコア41、固定面12bに、焼き嵌め以外の圧入によって固定されてもよいし、接着によって固定されてもよい。
【0031】
図1に示すように、第2壁部12fは、周壁部12の軸方向他方側(-Y側)の部分である。第2壁部12fの軸方向一方側(+Y側)の端部は、固定部12aの軸方向他方側の端部と繋がる。本実施形態において、第2壁部12fの内径は、固定部12aの内径よりも小さい。
【0032】
図2に示すように、第2壁部12fは、支持部12gを有する。支持部12gは、第2壁部12fのうち、固定面12bよりも径方向内側に位置する部分である。支持部12gは、支持面12hを有する。すなわち、第2壁部12fは、支持面12hを有する。支持面12hは、支持部12gの外側面のうち、軸方向一方側(+Y側)を向く面である。支持面12hは、ステータコア41の外周面よりも径方向内側において、ステータコア41の軸方向を向く面と接触する。本実施形態では、支持面12hは、ステータコア41の軸方向他方側(-Y側)を向く面と接触する。よって、本実施形態によれば、ハウジング10に対するステータ40の軸方向の位置を精度良く決めることができる。
【0033】
図1に示すように、流路50は、流体Lが流れる流路である。流体Lは、ステータ40およびインバータ8を冷却する。本実施形態において、流体Lは、水である。流路50は、周壁部12の内部に設けられる。流路50は、固定面12bの径方向外側に位置する。したがって、流路50は、少なくとも固定部12aの内部に設けられる。流路50は、周壁部12の軸方向一方側(+Y側)の端部から軸方向他方側(-Y側)の端部に亘って設けられる。流路50は、周壁部12の内部を周方向に沿って延び、周方向一周に亘って設けられる。上述のように、ステータコア41は、周壁部12の固定面12bに固定される。ステータ40は、周壁部12を介して、流路50を流れる流体Lによって冷却される。
【0034】
流入口58および流出口59は、それぞれ、周壁部12のうち流路50よりも径方向外側の部分を径方向に貫通する孔である。流入口58および流出口59は、それぞれ、流路50と繋がる。流入口58は、周壁部12の上側(+Z側)の部分に設けられる。流出口59は、周壁部12の下側(-Z)の部分に設けられる。流体Lは、流入口58を介して流路50に流入し、流出口59を介して流路50から流出する。なお、流入口58および流出口59が設けられる位置は、本実施形態に限定されず、流入口58が周壁部12の下側に設けられ、流出口59が周壁部の上側に設けられてもよい。また、流入口58および流出口59の両方が、周壁部12の上側に設けられてもよいし、流入口58および流出口59の両方が、周壁部12の下側に設けられてもよい。
【0035】
本実施形態において、第1ハウジング部材11は、金属製である。第1ハウジング部材11は、鋳造によって成形される。第1ハウジング部材11には、樹脂が含侵されている。よって、本実施形態によれば、第1ハウジング部材11の鋳巣等の欠陥に樹脂を含侵できるため、第1ハウジング部材11の強度を高めることができる。なお、本実施形態の駆動装置1の製造工程において、第1ハウジング部材11に樹脂を含侵する工程は、ステータ40が第1ハウジング部材11に固定される後述するステータ固定工程Pf1よりも前の工程である。第1ハウジング部材11に樹脂を含侵する工程は、ステータ固定工程Pf1よりも後の工程であってもよい。
【0036】
第2ハウジング部材13は、第1ハウジング部材11の軸方向一方側(+Y側)の開口を塞ぐ。第2ハウジング部材13は、流路50の軸方向一方側の端部を塞ぐ。第2ハウジング部材13は、モータ収容部10aの軸方向一方側の部分を構成する。第2ハウジング部材13は、中心軸線J1と直交する平面に沿って延びる蓋部13aと、蓋部13aに設けられるベアリング保持部13dと、を有する。ベアリング保持部13dは、ベアリング71を保持する。なお、第2ハウジング部材13は、流路50の軸方向一方側の端部を塞いでいなくてもよい。この場合、流路50の軸方向一方側の端部は、別途設けられる他の流路と繋がる。
【0037】
第3ハウジング部材14は、第1ハウジング部材11の軸方向他方側(-Y側)の開口を塞ぐ。第3ハウジング部材14は、流路50の軸方向他方側の端部を塞ぐ。第3ハウジング部材14は、モータ収容部10aの軸方向他方側の部分および、伝達機構収容部10bの軸方向一方側(+Y側)の部分を構成する。第3ハウジング部材14は、中心軸線J1と直交する平面に沿って延びる対向壁部14aと、対向壁部14aに設けられたベアリング保持部14cと、第1孔部14dと、を有する。対向壁部14aの下側(-Z側)の部分は、第1ハウジング部材11よりも下側に位置する。ベアリング保持部14cは、ベアリング73を保持する。第1孔部14dは、対向壁部14aを軸方向に貫通する孔である。第1孔部14dは、第1ハウジング部材11よりも下側に位置する。なお、第3ハウジング部材14は、流路50の軸方向他方側の端部を塞いでいなくてもよい。この場合、流路50の軸方向他方側の端部は、別途設けられる他の流路と繋がる。
【0038】
第4ハウジング部材15は、第3ハウジング部材14の軸方向他方側(-Y側)に配置される。第4ハウジング部材15は、軸方向一方側に開口する筒状である。第4ハウジング部材15は、第3ハウジング部材14に固定される。第4ハウジング部材15は、伝達機構収容部10bの一部を構成する。第4ハウジング部材15の内部には、伝達機構3が収容される。第4ハウジング部材15は、第2孔部15aを有する。第2孔部15aは、第4ハウジング部材15を軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、第2孔部15aは、第1孔部14dと重なる。
【0039】
インバータハウジング82は、第1ハウジング部材11の上側(+D1側)に配置される。インバータハウジング82は、第1ハウジング部材11に固定される。インバータハウジング82は下側に開口する箱状である。インバータハウジング82は、インバータ収容部10cの一部を構成する。インバータハウジング82は、インバータ流路85と、インバータ流入口88と、インバータ流出口89と、を有する。
【0040】
インバータ流路85は、インバータ室18cに設けられる。インバータ流路85には、流体Lが流れる。インバータ流入口88は、インバータ流路85の上流側の端部に位置する。インバータ流出口89は、インバータ流路85の下流側の端部に位置する。インバータ流出口89は、流入口58に接続される。流体Lは、インバータ流入口88からインバータ流路85内に流入する。インバータ流路85において、流体Lは、インバータ8の近傍を流れ、インバータ8を冷却する。流体Lは、インバータ流出口89および流入口58を介して流路50に流入する。
【0041】
伝達機構3は、伝達機構室18bに収容される。伝達機構3は、シャフト31と接続される。伝達機構3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。ロータ30から出力される動力は、減速装置4および差動装置5を介して、出力シャフト6に伝達される。
【0042】
減速装置4は、シャフト31に接続される。減速装置4は、回転電機2の回転速度を減じて、ロータ30から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、ロータ30から出力される動力を差動装置5に伝達する。
【0043】
差動装置5は、減速装置4および出力シャフト6と接続される。差動装置5は、ロータ30から出力される動力を出力シャフト6に伝達する。出力シャフト6は、中心軸線J1と平行な出力軸線J2に沿って軸方向に延びる。本実施形態において、出力シャフト6は、車両の車軸である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪と繋がる出力シャフト6に同じトルクを伝える。差動装置5は、リングギヤ5aを有する。リングギヤ5aは、出力軸線J2を中心に回転可能である。リングギヤ5aには、ロータ30から出力される動力が減速装置4を介して伝達される。
【0044】
図2に示すように、封止部95は、周壁部12およびステータコア41と接触し、周壁部12とステータコア41との間を封止する。封止部95は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。本実施形態において、封止部95は、2個設けられる。封止部95は、固定面12bに対し軸方向の両側に設けられる。一方の封止部95aは、固定面12bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される。他方の封止部95bは、固定面12bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される。本実施形態において、封止部95は、液状ガスケットである。封止部95a,95bは、それぞれ、保持部60に保持される。封止部95a,95bは、未硬化では液状であり、硬化することで周壁部12およびステータコア41に接着する。
【0045】
保持部60は、周壁部12の内側面の一部である。保持部60は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。保持部60は、固定面12bの軸方向の両側に設けられる。本実施形態において、周壁部12は、保持部60として、第1保持部61と、第2保持部63と、を有する。保持部60は、ステータコア41と対向する保持面62,64を有する。より詳細には、第1保持部61は、第1保持面62を有する。第2保持部63は、第2保持面64を有する。
【0046】
第1保持部61は、固定面12bよりも軸方向一方側(+Y側)に位置する。第1保持部61は、第1壁部12cの内側面である。第1保持部61は、第2面61aと、第3面61bと、を有する。第2面61aは、第1壁部12cの内側面のうち、径方向内側を向く面の一部であり封止部95aと接触する部分である。第3面61bは、固定部12aの内側面のうち、軸方向一方側を向く面である。第3面61bは、第2面61aの軸方向他方側(-Y側)の端部と固定面12bとを繋ぐ。
本実施形態において、第1保持面62は、第2面61aのうち、ステータコア41と径方向に対向する部分である。第1保持面62は、ステータコア41と径方向に対向する径方向保持面である。
【0047】
封止部95aは、第1保持面62、すなわち径方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部95aは、第2面61aおよび第3面61bに保持される。これにより、封止部95aは、第1保持部61に保持される。封止部95aは、径方向において、第1保持面62とステータコア41の外周面との間に配置され、第1保持面62、およびステータコア41の外周面の両方と接触する。封止部95aは、固定面12bよりも軸方向一方側において、周壁部12とステータコア41との間を封止する。
【0048】
第2保持部63は、固定面12bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。第2保持部63は、第2壁部12fの内側面の一部であり封止部95bと接触する部分である。第2保持部63は、支持面12hの径方向内側に配置される。第2保持面64は、支持面12hの径方向内側の端部と、支持部12gの内周面の軸方向一方側(+Y側)の端部と、を繋ぐ面である。本実施形態において、第2保持面64は、径方向内側に向かうにしたがってステータコア41から軸方向に離れる向きに位置する傾斜面である。第2保持面64は、ステータコア41の軸方向他方側を向く面と軸方向に対向する。第2保持面64は、ステータコア41と軸方向に対向する軸方向保持面である。本実施形態によれば、支持部12gの軸方向一方側を向く面から軸方向他方側に窪む溝を設けることなく、ステータコア41と軸方向に対向する第2保持面64を設けることができるため、支持部12gの軸方向の強度が低下することを抑制できる。したがって、支持部12gによって、ステータ40の軸方向の位置を精度良く決めることができる。
【0049】
また、上述のように第2保持部63が、支持面12hの径方向内側に配置されるため、例えば、支持部12gの支持面12hよりも径方向内側の部分に、第2保持部として軸方向他方側に窪む溝を設ける場合と比較して、支持部12gの軸方向の強度が低下することを抑制できる。したがって、支持部12gによって、ステータ40の軸方向の位置を精度良く決めることができる。
【0050】
封止部95bは、第2保持面64、すなわち軸方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部95bは、第2保持面64に保持される。これにより、封止部95bは、第2保持部63に保持される。封止部95bは、軸方向において、第2保持面64とステータコア41の軸方向他方側(-Y側)を向く面との間に配置され、第2保持面64、およびステータコア41の軸方向他方側を向く面の両方と接触する。封止部95bは、固定面12bよりも軸方向他方側において、周壁部12とステータコア41との間を封止する。上述のように、封止部95aは、固定面12bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部12とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、封止部95a,95bによって、固定面12bの軸方向両側において、周壁部12とステータコア41との間を封止できる。また、ステータコア41をハウジング10に強固に固定することができる。さらに、万が一、流体Lなどがハウジング10の内部に侵入した場合でも、封止部95a,95bによってステータコア41と周壁部12との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部12との間において流体Lなどが封止される。よって、流体Lなどがステータ40、接続部材90およびインバータ8等に付着することを抑制できる。したがって回転電機2および駆動装置1の駆動性能が低下することを抑制でき、回転電機2および駆動装置1の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0051】
上述のように、ステータコア41は、固定面12bに焼き嵌めで固定されている。本実施形態によれば、上述のように、封止部95a,95bによって、固定面12bの軸方向両側において、周壁部12とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング10に強固に固定することができる。さらに、万が一、流体Lなどがハウジング10の内部に侵入した場合でも、封止部95a,95bによってステータコア41と周壁部12との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部12との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機2および駆動装置1の駆動性能が低下することを抑制できる。
【0052】
支持面12hは、固定面12bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される。上述のように、支持面12hは、ステータコア41の軸方向他方側を向く面と接触して、ハウジング10に対するステータコア41の軸方向の位置を決める。ステータコア41の軸方向の寸法は公差を有し、また、支持面12hと第1保持部61との間の軸方向の寸法は公差を有する。そのため、軸方向において、第1保持部61とステータコア41の軸方向一方側(+Y側)の端部との相対位置は、第2保持部63とステータコア41の軸方向他方側の端部との相対位置よりもばらつきやすい。本実施形態によれば、軸方向において、第1保持部61の寸法L11は、第2保持部63の寸法L12よりも大きい。よって、第1保持部61の軸方向の寸法を大きくできるため、第1保持部61が保持する封止部95aを安定してステータコア41に接触させることができる。したがって、固定面12bの軸方向一方側において、ステータコア41をハウジング10に強固に固定することができる。また、封止部95a,95bによってステータコア41と周壁部12との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部12との間において流体Lなどが封止される。
本実施形態によれば、第1保持部61に保持される封止部95aの体積は、第2保持部63に保持される封止部95bの体積よりも大きいため、封止部95aの封止性能を高めることができる。よって、固定面12bの軸方向一方側(+Y側)において、ステータコア41をハウジング10に強固に固定することができる。また、封止部95a,95bによってステータコア41と周壁部12との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部12との間において流体Lなどが封止される。よって、ステータコア41よりも軸方向一方側に配置される接続部材90に流体Lが付着することをより好適に抑制できる。したがって、接続部材90が短絡することをより好適に抑制でき、回転電機2および駆動装置1の駆動性能が低下することをより好適に抑制できる。
【0053】
次に、本実施形態において、ステータ40を第1ハウジング部材11に固定するステータ固定工程Pf1について説明する。ステータ固定工程Pf1は、回転電機2および駆動装置1の製造工程の一部である。ステータ固定工程Pf1は、ステータコア41に未硬化の封止部95を塗布する第1工程Pf11と、ステータ40を第1ハウジング部材11に挿入する第2工程Pf12と、ステータ40を第1ハウジング部材11に固定する第3工程Pf13と、封止部95を硬化させる第4工程Pf14と、を含む。上述のように、ステータコア41は焼き嵌めによって固定面12bに固定される。なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0054】
第1工程Pf11では、作業者等は、予め、図示しないインシュレータを介してコイル42が装着されたステータコア41の外側面に未硬化の封止部95を塗布する。
図3Aに示すように、作業者等は、未硬化の封止部95aをステータコア41の外周面の軸方向一方側(+Y側)の縁部に周方向一周に亘って塗布する。作業者等は、未硬化の封止部95bをステータコア41の軸方向他方側(-Y側)を向く面の外縁部に周方向一周に亘って塗布する。
【0055】
第2工程Pf12では、作業者等は、まず、第1ハウジング部材11を加熱する。第1ハウジング部材11は熱膨張するため、周壁部12の内径が大きくなる。このとき、固定部12aの内径はステータコア41の外径よりもわずかに大きく、第2壁部12fの内径はステータコア41の外径よりも小さい。次に、作業者等は、第1ハウジング部材11の軸方向一方側(+Y側)から、ステータ40を軸方向他方側(-Y側)に移動させて、ステータ40を第1ハウジング部材11の内部に挿入する。上述のように、固定部12aの内径がステータコア41の外径よりもわずかに大きいため、ステータ40を第1ハウジング部材11の内部に容易に挿入できる。
図3Bに示すように、ステータコア41の軸方向他方側を向く面が、支持面12hに接触するまで、ステータ40を挿入すると、第2工程Pf12が終了する。このとき、未硬化の封止部95aは、第1保持面62とステータコア41との間に充填され、未硬化の封止部95bは、第2保持面64とステータコア41との間に充填される。本実施形態によれば、第1保持部61は、ステータコア41と径方向に対向し径方向内側を向く第2面61aと、第2面61aと固定面12bとを繋ぎ軸方向一方側を向く第3面61bとを有するため、第3面61bによって、未硬化の封止部95aを軸方向に堰き止めることができ、第1保持面62とステータコア41との間に未硬化の封止部95aを好適に充填できる。したがって、ステータ40を軸方向他方側に移動させる作業のみによって、第1保持面62とステータコア41との間に未硬化の封止部95aを充填でき、ステータ固定工程Pf1の作業工数が増大することを抑制できる。
【0056】
第3工程Pf13では、作業者等は、第1ハウジング部材11を冷却する。これにより、第1ハウジング部材11は熱収縮し、周壁部12の内径が小さくなる。このとき、固定部12aの内径は、ステータコア41の外径よりも小さくなり、ステータコア41は固定面12bに固定される。
【0057】
第4工程Pf14では、作業者等は、封止部95a,95bを硬化させる。硬化した封止部95aが第1保持部61に保持され、硬化した封止部95bが第2保持部63に保持されると、ステータ固定工程Pf1が終了する。なお、第4工程Pf14は、封止部95の種類によって作業の内容が選択される工程であって、例えば、封止部95が紫外線硬化性の材料である場合、第4工程Pf14として紫外線が照射される。
【0058】
なお、本実施形態において、ステータ40を第1ハウジング部材11に固定する固定する工程は、以下に説明するステータ固定工程Pf2であってもよい。ステータ固定工程Pf2は、ステータコア41に封止部95を塗布する第1工程Pf21と、ステータ40を第1ハウジング部材11に挿入する第2工程Pf22と、ステータ40を第1ハウジング部材11に固定する第3工程Pf23と、封止部95aを第1保持面62とステータコア41との間に充填する第4工程Pf24と、封止部95を硬化させる第5工程Pf25と、含む。
【0059】
第1工程Pf21では、作業者等は、
図3Cに示すように、未硬化の封止部95aをステータコア41の軸方向一方側(+Y側)を向く面の外縁部に周方向一周に亘って塗布する。第1工程Pf21のその他の作業は、上述の第1工程Pf11のその他の作業と同様である。
【0060】
第2工程Pf22では、
図3Dに示すように、上述の第2工程Pf12と同様の作業によって、ステータコア41の軸方向他方側を向く面が、支持面12hに接触するまで、ステータ40を第1ハウジング部材11の内部に挿入する。
【0061】
第3工程Pf23では、作業者等は、上述の第3工程Pf13と同様の作業によって、第1ハウジング部材11を冷却し、ステータコア41を固定面12bに固定する。
【0062】
第4工程Pf24では、作業者等は、均し部材96によって、未硬化の封止部95aを第1保持面62とステータコア41との間に充填する。
【0063】
第5工程Pf25では、上述の第4工程Pf14と同様の作業によって、封止部95a,95bを硬化させる。硬化した封止部95aが第1保持部61に保持され、硬化した封止部95bが第2保持部63に保持されると、ステータ固定工程Pf2が終了する。
【0064】
なお、固定面12bの軸方向両側において、周壁部12とステータコア41との間を封止できるならば、保持部60は、固定面12bの軸方向両側に設けられる必要は無く、固定面12bの軸方向一方側(+Y側)または軸方向他方側(-Y側)のいずれか一方にのみ設けられてもよい。例えば、第2保持部63が設けられない場合、固定面12bよりも軸方向他方側に設けられる封止部を、固定面12bと支持面12hとが繋がる角部に配置できる。これにより、固定面12bの軸方向他方側において、周壁部12とステータコア41との間を封止できる。
【0065】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の駆動装置201の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
本実施形態の回転電機202は、封止部295を有する。封止部295は、固定部212aの内周面である固定面212bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される封止部295aと、固定面212bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される封止部295bと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材211の周壁部212は、保持部260を有する。周壁部212は、保持部260として、第1保持部261と、第2保持部263と、を有する。第1保持部261は、第1保持面262を有する。第2保持部263は、第2保持面264を有する。
【0067】
第1保持部261は、固定面212bよりも軸方向一方側(+Y側)に位置する。第1保持部261は、第1壁部212cの内側面の一部である。第1保持部261は、周壁部212の内周面から径方向外側に窪む溝部である。第1保持部261は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。第1保持部261は、径方向内側を向く第1面261aを有する。
第1保持面262は、第1面261aのうち、ステータコア41と径方向に対向する部分である。第1保持面262は、ステータコア41と径方向に対向する径方向保持面である。
【0068】
封止部295aは、第1保持面262、すなわち径方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部295aは、第1保持面262、およびステータコア41の外周面の両方と接触する。封止部295aは、固定面212bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部212とステータコア41との間を封止する。封止部295aは、第1保持部261に保持される。封止部295aは、第1保持部261、すなわち径方向に窪む溝部の内部に収容される。よって、本実施形態によれば、封止部295aが第1保持部261から軸方向に漏出することを好適に抑制できるため、封止部295aをより安定してステータコア41に接触させることができる。したがって、固定面212bの軸方向一方側において、周壁部212とステータコア41との間をより好適に封止できる。
【0069】
第2保持部263は、固定面212bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。第2保持部263は、第2壁部212fの内側面の一部である。第2保持部263は、支持部212gの軸方向一方側(+Y側)を向く面から軸方向他方側に窪む溝である。第2保持部263は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。第2保持部263は、支持面212hの径方向外側に配置される。
第2保持面264は、第2保持部263の内側面のうち、軸方向一方側を向く面である。第2保持面264は、ステータコア41の軸方向他方側を向く面と軸方向に対向する。第2保持面264は、ステータコア41と軸方向に対向する軸方向保持面である。
【0070】
封止部295bは、第2保持面264、すなわち軸方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部295bは、第2保持面264、およびステータコア41の軸方向他方側(-Y側)を向く面の両方と接触する。封止部295bは、固定面212bよりも軸方向他方側において、周壁部212とステータコア41との間を封止する。封止部295bは、第2保持部263に保持される。封止部295bは、第2保持部263、すなわち径方向に窪む溝の内部に収容される。よって、本実施形態によれば、封止部295bが第2保持部263から径方向外側に漏出することを好適に抑制できるため、封止部295bをより安定してステータコア41に接触させることができる。したがって、固定面212bの軸方向他方側において、周壁部212とステータコア41との間をより好適に封止できる。
また、上述のように、封止部295aは、固定面212bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部212とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、封止部295a,295bによって、固定面212bの軸方向両側において、周壁部212とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング210に強固に固定することができる。封止部295a,295bによってステータコア41と周壁部212との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部212との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機202および駆動装置201の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、軸方向において、第1保持部261の寸法L21は、第2保持部263の寸法L22よりも大きい。よって、第1保持部261が保持する封止部295aを安定してステータコア41に接触させることができるため、固定面212bよりも軸方向一方側において、周壁部212とステータコア41との間をより好適に封止できる。
【0072】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態の駆動装置301の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第2実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
本実施形態の回転電機302は、封止部395を有する。封止部395は、固定部312aの内周面である固定面312bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される封止部295aと、固定面312bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される封止部395bと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材311の周壁部312は、保持部360を有する。周壁部312は、保持部360として、第1保持部261と、第2保持部363と、を有する。本実施形態の第1保持部261、第1保持面262および封止部295aは、上述の第2実施形態の第1保持部261、第1保持面262および封止部295aと同様の構成であるため説明を省略する。第2保持部363は、第2保持面364を有する。
【0074】
第2保持部363は、固定面312bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。第2保持部363は、第2壁部312fの内側面の一部である。第2保持部363は、支持面312hの径方向外側に配置される。第2保持部363は、固定面312bと支持面312hとが繋がる部分から、軸方向他方側と径方向外側の間を向く方向に窪む溝である。第2保持部363は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。第2保持部363は、周方向に見て、円弧状である。よって、本実施形態によれば、周方向に見て、第2保持部363が矩形状である場合と比較して、ドリル等の切削工具を用いた切削加工によって容易に第2保持部363を設けることができ、回転電機302および駆動装置301の製造工数が増大することを抑制できる。また、周方向に見て、第2保持部363が矩形状である場合と比較して、ステータコア41から支持部312gに加わる軸方向他方側を向く力が、第2保持部363の一部に集中して加わることを抑制でき、支持部312gが軸方向に撓むことを抑制できる。したがって、支持部312gによって、ステータ40の軸方向の位置を精度良く決めることができる。
【0075】
第2保持面364は、第2保持部363の内側面のうち、軸方向一方側を向く部分である。第2保持面364は、ステータコア41の軸方向他方側を向く面と軸方向に対向する。第2保持面364は、ステータコア41と軸方向に対向する軸方向保持面である。
【0076】
封止部395bは、第2保持面364、すなわち軸方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部395bは、第2保持面364、およびステータコア41の軸方向他方側(-Y側)を向く面の両方と接触する。封止部395bは、固定面312bよりも軸方向他方側において、周壁部312とステータコア41との間を封止する。封止部395bは、第2保持部363保持される。封止部395bは、第2保持部363、すなわち溝の内部に収容される。よって、本実施形態によれば、封止部395bが第2保持部363から径方向外側に漏出することを好適に抑制できるため、封止部395bをより安定してステータコア41に接触させることができる。したがって、固定面312bの軸方向他方側において、周壁部312とステータコア41との間をより好適に封止できる。
また、封止部295aは、固定面312bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部312とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、封止部295b,395bによって、固定面312bの軸方向両側において、周壁部312とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング310に強固に固定することができる。封止部295b,395bによってステータコア41と周壁部312との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部312との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機302および駆動装置301の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、軸方向において、第1保持部261の寸法L21は、第2保持部363の寸法L32よりも大きい。よって、第1保持部261が保持する封止部295aを安定してステータコア41に接触させることができるため、固定面312bよりも軸方向一方側において、周壁部312とステータコア41との間をより好適に封止できる。
【0078】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態の駆動装置401の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
本実施形態の回転電機402は、封止部495を有する。封止部495は、固定部412aの内周面である固定面412bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される封止部95aと、固定面412bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される封止部495bと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材411の周壁部412は、保持部460を有する。周壁部412は、保持部460として、第1保持部61と、第2保持部463と、を有する。本実施形態の第1保持部61、第1保持面62および封止部95aは、上述の第1実施形態の第1保持部61、第1保持面62および封止部95aと同様の構成であるため説明を省略する場合がある。第2保持部463は、第2保持面464を有する。
【0080】
第2保持部463は、固定面412bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。第2保持部463は、第2壁部412fの内側面である。第2保持部463は、第2面463aと、第3面463bと、を有する。第2面463aは、第2壁部412fの内側面のうち、径方向外側を向く面である。第3面463bは、第2壁部412fの内側面のうち、軸方向他方側を向く面である。第3面463bは、第2面463aの軸方向一方側(+Y側)の端部と固定面412bとを繋ぐ。
第2保持面464は、第2面463aのうち、ステータコア41と径方向に対向する部分である。第2保持面464は、ステータコア41と径方向に対向する径方向保持面である。
【0081】
封止部495bは、第2保持面464、すなわち径方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部495bは、第2保持面464、およびステータコア41の外周面の両方と接触する。封止部495bは、第2保持部463保持される。封止部495bは、固定面412bよりも軸方向他方側(-Y側)において、周壁部412とステータコア41との間を封止する。また、封止部95aは、固定面412bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部412とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、封止部95a,495bによって、固定面412bの軸方向両側において、周壁部412とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング410に強固に固定することができる。封止部95a,495bによってステータコア41と周壁部412との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部412との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機402および駆動装置401の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0082】
本実施形態の周壁部412は、軸方向においてステータコア41の軸方向を向く面と接触する支持面を有していない。このため、第1ハウジング部材411とステータコア41とは、周壁部412にステータコア41を組み付ける際に用いるジグによって互いに軸方向に位置決めされる。本実施形態、並びに本実施形態と同様に支持面を有さない第5、第6実施形態の構成は、ステータコア41の軸方向を向く面の平面度および軸方向の寸法が安定しない場合に好適に採用される。
【0083】
<第5実施形態>
図7は、第5実施形態の駆動装置501の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第2実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。また、以下の説明において、上述の第4実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
本実施形態の回転電機502は、封止部595を有する。封止部595は、固定部512aの内周面である固定面512bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される封止部295aと、固定面512bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される封止部495bと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材511の周壁部512は、保持部560を有する。周壁部512は、保持部560として、第1保持部261と、第2保持部463と、を有する。本実施形態の第1保持部261、第1保持面262および封止部295aは、上述の第2実施形態の第1保持部261、第1保持面262および封止部295aと同様の構成である。つまり、第1保持部261は、周壁部512の内周面から径方向外側に窪み、径方向内側を向く第1面261aを有する溝部である。第1保持面262は、第1面261aのうち、ステータコア41と径方向に対向する部分である。第1保持面262は、ステータコア41と径方向に対向する径方向保持面である。封止部295aは、固定面512bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部512とステータコア41との間を封止する。
【0085】
本実施形態の第2保持部463、第2保持面464および封止部495bは、上述の第4実施形態の第2保持部463、第2保持面464および封止部495bと同様の構成である。つまり、第2保持部463は、径方向内側を向く第2面463aと、第2面463aと固定面512bとを繋ぎ軸方向他方側(-Y側)を向く第3面463bと、を有し、第2保持面464は、第2面463aのうち、ステータコア41と径方向に対向する部分である。第2保持面464は、ステータコア41と径方向に対向する径方向保持面である。封止部495bは、固定面512bよりも軸方向他方側において、周壁部512とステータコア41との間を封止する。また、上述のように、封止部295aは、固定面512bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部512とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、封止部295a,495bによって、固定面512bの軸方向両側において、周壁部512とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング510に強固に固定することができる。封止部295a,495bによってステータコア41と周壁部512との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部512との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機502および駆動装置501の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0086】
なお、本実施形態において、第1保持部は、径方向内側を向く第2面と、第2面と固定面512bとを繋ぎ軸方向一方側(+Y側)を向く第3面と、を有し、第1保持面は、第2面のうち、ステータコア41と径方向に対向する部分であってもよい。また、第2保持部は、周壁部512の内周面から径方向外側に窪み、径方向内側を向く第1面を有する溝部であり、第2保持面は、第1面のうち、ステータコア41と径方向に対向する部分であってもよい。
【0087】
<第6実施形態>
図8は、第6実施形態の駆動装置601の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第2実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
本実施形態の回転電機602は、封止部695を有する。封止部695は、固定部612aの内周面である固定面612bよりも軸方向一方側(+Y側)に配置される封止部295aと、固定面612bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される封止部695bと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材611の周壁部612は、保持部660を有する。周壁部612は、保持部660として、第1保持部261と、第2保持部663と、を有する。本実施形態の第1保持部261、第1保持面262および封止部295aは、上述の第2実施形態の第1保持部261、第1保持面262および封止部295aと同様の構成であるため、説明を省略する場合がある。第2保持部663は、第2保持面664を有する。
【0089】
第2保持部663は、固定面212bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。第2保持部663は、第2壁部612fの内側面の一部である。第2保持部663は、周壁部612の内周面から径方向外側に窪む溝部である。第2保持部663は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。第2保持部663は、径方向内側を向く第1面663aを有する。
第2保持面664は、第1面663aのうち、ステータコア41と径方向に対向する部分である。第2保持面664は、ステータコア41と径方向に対向する径方向保持面である。
【0090】
封止部695bは、第2保持面664、すなわち径方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部695bは、第2保持面664およびステータコア41の外周面の両方と接触する。封止部695bは、第2保持部663保持される。封止部695bは、固定面612bよりも軸方向他方側(-Y側)において、周壁部612とステータコア41との間を封止する。また、封止部295aは、固定面612bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部612とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、封止部295a,695bによって、固定面612bの軸方向両側において、周壁部612とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング610に強固に固定することができる。封止部295a,695bによってステータコア41と周壁部612との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部612との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機602および駆動装置601の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0091】
<第7実施形態>
図9は、第7実施形態の駆動装置701の一部を示す断面図である。本実施形態において、固定面712bよりも軸方向一方側(+Y側)に設けられる第1保持部および封止部については図示を省略するが、第1保持部および封止部としては、第1実施形態の第1保持部61および封止部95a、または、第2実施形態の第1保持部261および封止部295aのいずれか一方の第1保持部および封止部を設けることができる。これにより、第1保持部に保持される封止部は、固定面712bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部712とステータコア41との間を封止する。
【0092】
本実施形態の回転電機702は、封止部795を有する。封止部795は、上述の第1保持部に保持される封止部と、固定部712aの内周面である固定面712bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される封止部795bと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材711の周壁部712は、保持部760を有する。周壁部712は、保持部760として、上述の第1保持部と、第2保持部763と、を有する。
【0093】
第2壁部712fの支持部712gは、支持面712h、第4面712i、および第5面712jを有する。支持面712hは、軸方向一方側(+Y側)を向く面である。支持面712hの径方向外側の端部は、固定面712bの軸方向他方側(-Y側)の端部と繋がる。支持面712hは、ステータコア41の軸方向他方側を向く面と接触する。第4面712iは、径方向内側を向く面である。第4面712iの軸方向一方側の端部は、支持面712hの径方向内側の端部と繋がる。第5面712jは、軸方向一方側を向く面である。第5面712jの径方向外側の端部は、第4面712iの軸方向他方側の端部と繋がる。第5面712jの径方向内側の端部は、第2壁部712fの内周面と繋がる。
【0094】
第2保持部763は、固定面712bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。第2保持部763は、第2壁部712fの内側面の一部である。第2保持部763は、第4面712iおよび第5面712jによって構成される。第2保持部763は、周方向に延び、周方向一周に亘って設けられる。第2保持部763は、支持面712hの径方向内側に配置される。
本実施形態において、第2保持面764は、第5面712jである。第2保持面764は、ステータコア41の軸方向他方側を向く面と軸方向に対向する。第2保持面764は、ステータコア41と軸方向に対向する軸方向保持面である。第2保持面764はステータコア41よりも軸方向他方側(-Y側)に配置される。第2保持面764、すなわち軸方向保持面は、支持面712hよりも、ステータコア41から軸方向に離れた位置に配置される。
【0095】
封止部795bは、第2保持面764、すなわち軸方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部795bは、第4面712iおよび第2保持面764に保持される。つまり、封止部795bは、第2保持部763に保持される。封止部795bは、第2保持面764、およびステータコア41の軸方向他方側(-Y側)を向く面の両方と接触する。封止部795bは、固定面712bよりも軸方向他方側において、周壁部712とステータコア41との間を封止する。上述のように、図示しない第1保持部が保持する封止部は、固定面712bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部712とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、図示しない第1保持部が保持する封止部、および封止部795bによって、固定面712bの軸方向両側において、周壁部712とステータコア41との間を封止できるため、ステータコア41をハウジング710に強固に固定することができる。封止部795bによってステータコアと周壁部との間の空間が封止されていることから、ステータコア41と周壁部712との間において流体Lなどが封止される。したがって、回転電機702および駆動装置701の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0096】
<第8実施形態>
図10は、第8実施形態の駆動装置801の一部を示す断面図である。本実施形態において、固定部812aの内周面である固定面812bよりも軸方向一方側(+Y側)に設けられる第1保持部および封止部については図示を省略するが、第1保持部および封止部としては、第1実施形態の第1保持部61および封止部95a、または、第2実施形態の第1保持部261および封止部295aのいずれか一方の第1保持部および封止部を設けることができる。これにより、第1保持部に保持される封止部は、固定面812bよりも軸方向一方側(+Y側)において、周壁部812とステータコア41との間を封止する。
【0097】
本実施形態の回転電機802は、封止部895を有する。封止部895は、上述の第1保持部に保持される封止部と、固定面812bよりも軸方向他方側(-Y側)に配置される2つの封止部895b,895cと、を有する。
本実施形態の第1ハウジング部材811の周壁部812は、保持部860を有する。周壁部812は、保持部860として、上述の第1保持部と、第2保持部863aと、第3保持部863bと、を有する。
【0098】
第2保持部863aは、固定面812bよりも軸方向の他方側(-Y側)に設けられる。第2保持部863aは、第2壁部812fの内側面の一部である。第2保持部863aは、第2保持面864aを有する。本実施形態の第2保持部863a、第2保持面864aおよび封止部895bは、上述の第1実施形態の第2保持部63、第2保持面64および封止部95bと同様の構成である。つまり、第2保持部863aは、支持面812hの径方向内側に配置される。第2保持面864aは、径方向内側に向かうにしたがってステータコア41から軸方向に離れる向きに位置する傾斜面である。第2保持面864aは、ステータコア41と軸方向に対向する軸方向保持面である。封止部895bは、第2保持面864a、すなわち軸方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部895bは、第2保持部863aに保持される。封止部895bは、第2保持面864a、およびステータコア41の軸方向他方側を向く面の両方と接触する。封止部895bは、固定面812bよりも軸方向他方側において、周壁部812とステータコア41との間を封止する。
【0099】
第3保持部863bは、固定面812bよりも軸方向の他方側(-Y側)に設けられる。第3保持部863bは、第2壁部812fの内側面の一部である。第3保持部863bは、第3保持面864bを有する。本実施形態の第3保持部863b、第3保持面864bおよび封止部895cは、上述の第2実施形態の第2保持部263、第2保持面264および封止部295bと同様の構成である。つまり、第3保持部863bは、支持面812hの径方向外側に配置される。第3保持部863bは、支持部812gの軸方向一方側(+Y側)を向く面から軸方向他方側に窪む溝である。第3保持面864bは、ステータコア41と軸方向に対向する軸方向保持面である。封止部895cは、第3保持面864b、すなわち軸方向保持面とステータコア41との間に充填される。封止部895cは、第3保持面864bおよびステータコア41の軸方向他方側を向く面の両方と接触する。封止部895cは、第3保持部863bに保持される。封止部895bは、固定面812bよりも軸方向他方側において、周壁部812とステータコア41との間を封止する。
上述のように、封止部895bは、固定面812bよりも軸方向他方側において、周壁部812とステータコア41との間を封止する。よって、本実施形態によれば、周壁部812は、固定面812bよりも軸方向の少なくとも一方側、本実施形態では固定面812bよりも軸方向他方側において、複数の保持部863a,863bを有し、各保持部863a,863bのそれぞれが保持する封止部895b,895cによって、周壁部812とステータコア41との間を封止できる。そのため、固定面812bよりも軸方向他方側において、周壁部812とステータコア41との間の封止性能を高めることができる。
【0100】
なお、本実施形態において、周壁部812は、固定面812bよりも軸方向他方側に2個の保持部863a,863bを有するが、周壁部812は、固定面812bよりも軸方向他方側に3個以上の保持部を有してもよい。また、周壁部812は、固定面812bよりも軸方向一方側にのみ複数の保持部を有してもよいし、固定面812bの軸方向の両側それぞれに、複数の保持部を有してもよい。
【0101】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、ステータと対向する保持面を有し、封止部がステータと保持面との間に充填され、封止部が周壁部とステータコアとの間を封止できるならば、保持部の形状および構成は本実施形態に限定されず、様々な構成を採用することができる。
【0102】
第1保持部と第2保持部との組み合わせは製造が可能な範囲で以下の組み合わせにもできる。例えば、第1実施形態の第1保持部61と、第2実施形態の第2保持部263または第3実施形態の第2保持部363の一方と、を組み合わせてもよい。また、第2実施形態の第1保持部261と、第1実施形態の第2保持部63と、を組み合わせてもよい。
【0103】
ステータを冷却できるならば、流路の構成は、本実施形態に限定されず、他の構成を採用できる。例えば、流路は、軸方向に延びる複数の第1流路と、互いに周方向に隣り合う第1流路同士を周方向に繋ぐ複数の第2流路と、によって構成されてもよい。
【0104】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0105】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心に回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するハウジングと、を備える。前記ステータは、前記ロータを径方向外側から囲むステータコアを有する。前記ハウジングは、前記ステータを径方向外側から囲む周壁部を有する。前記周壁部は、前記ステータコアの外周面と接触し、周方向に延びる固定面と、前記固定面よりも軸方向の少なくとも一方側に位置し、周方向に延びる保持部と、前記固定面の径方向外側に位置する流路と、を有する。前記固定面の軸方向の両側には、周方向に延び、前記周壁部と前記ステータコアとの間を封止する封止部が設けられる。少なくとも一つの前記封止部は、前記保持部に保持される、回転電機。
(2) 前記保持部は、前記ステータコアと径方向に対向する径方向保持面を有し、前記封止部は、前記径方向保持面と前記ステータコアとの間に充填される、(1)に記載の回転電機。
(3) 前記周壁部は、前記保持部として、前記固定面よりも軸方向一方側に位置する第1保持部と、前記固定面よりも軸方向他方側に位置する第2保持部と、を有する、(2)に記載の回転電機。
(4) 前記保持部は、前記周壁部の内周面から径方向外側に窪み、径方向内側を向く第1面を有する溝部であり、前記保持部は、周方向に延び、前記径方向保持面は、前記第1面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分である、(2)または(3)に記載の回転電機。
(5) 前記保持部は、径方向内側を向く第2面と、前記第2面と前記固定面とを繋ぎ軸方向を向く第3面と、を有し、前記径方向保持面は、前記第2面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分である、(2)または(3)に記載の回転電機。
(6) 前記第1保持部は、前記周壁部の内周面から径方向外側に窪み、径方向内側を向く第1面を有する溝部であり、前記第1保持部の前記径方向保持面は、前記第1面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分であり、前記第2保持部は、径方向内側を向く第2面と、前記第2面と前記固定面とを繋ぎ軸方向を向く第3面と、を有し、前記第2保持部の前記径方向保持面は、前記第2面のうち、前記ステータコアと径方向に対向する部分である、(3)に記載の回転電機。
(7) 前記周壁部は、前記ステータコアの外周面よりも径方向内側において、前記ステータコアの軸方向を向く面と接触する支持面を有する、(1)に記載の回転電機。
(8) 前記保持部は、前記ステータコアと軸方向に対向する軸方向保持面を有し、前記封止部は、前記軸方向保持面と前記ステータコアとの間に充填される、(7)に記載の回転電機。
(9) 前記保持部は、前記支持面の径方向内側に配置される、(8)に記載の回転電機。
(10) 前記軸方向保持面は、径方向内側に向かうにしたがって前記ステータコアから軸方向に離れる向きに位置する傾斜面である、(9)に記載の回転電機。
(11) 前記軸方向保持面は、前記支持面よりも、前記ステータコアから軸方向に離れた位置に配置され、前記ステータコアの軸方向を向く面と対向する、(9)に記載の回転電機。
(12) 前記保持部は、前記支持面の径方向外側に配置される、(7)または(8)に記載の回転電機。
(13) 前記保持部は、周方向に延びる溝である、(12)に記載の回転電機。
(14) 周方向に見て、前記保持部は円弧状である、(13)に記載の回転電機。
(15) 前記周壁部は、前記固定面よりも軸方向の少なくとも一方側において、複数の前記保持部を有する、(1)に記載の回転電機。
(16) 前記周壁部は、前記保持部として、前記固定面よりも軸方向一方側に位置する第1保持部と、前記固定面よりも軸方向他方側に位置する第2保持部と、を有し、前記第1保持部は、前記ステータコアと径方向に対向する径方向保持面を有し、前記封止部は、前記径方向保持面と前記ステータコアとの間に充填され、前記第2保持部は、前記ステータコアと軸方向に対向する軸方向保持面を有し、前記封止部は、前記軸方向保持面と前記ステータコアとの間に充填される、(1)に記載の回転電機。
(17) 前記周壁部は、前記ステータコアの外周面よりも径方向内側において、前記ステータコアの軸方向を向く面と接触する支持面を有し、前記支持面は、前記固定面よりも軸方向他方側に配置され、軸方向において、前記第1保持部の寸法は、前記第2保持部の寸法よりも大きい、(16)に記載の回転電機。
(18) 前記ステータに電力を供給するインバータと、前記インバータと前記ステータとを電気的に接続する接続部材と、を備え、前記接続部材は、前記固定面よりも軸方向一方側に配置され、前記周壁部は、前記保持部として、前記固定面よりも軸方向一方側に位置する第1保持部と、前記固定面よりも軸方向他方側に位置する第2保持部と、を有し、前記第1保持部に保持される前記封止部の体積は、前記第2保持部に保持される前記封止部の体積よりも大きい、(1)から(17)のいずれか一項に記載の回転電機。
(19) 前記ステータコアは、前記固定面に焼き嵌めで固定されている、(1)から(18)のいずれか一項に記載の回転電機。
(20) 前記ハウジングには、樹脂が含侵されている、(1)から(19)のいずれか一項に記載の回転電機。
(21) (1)から(20)のいずれか一項に記載の回転電機と、前記回転電機と接続される伝達機構と、を備える、駆動装置。
【符号の説明】
【0106】
1,201,301,401,501,601,701,801…駆動装置、2,202,302,402,502,602,702,802…回転電機、3…伝達機構、8…インバータ、10,210,310,410,510,610,710,810…ハウジング、12,212,312,412,512,612,712,812…周壁部、12b,212b,312b,412b,512b,612b,712b,812b…固定面、12h,212h,312h,712h,812h…支持面、30…ロータ、40…ステータ、41…ステータコア、50…流路、60,260,360,460,560,660,760,860…保持部、61,261…保持部(第1保持部)、61a,463a…第2面、61b,463b…第3面、62,262,464,664,…径方向保持面、63,263,363,463,663,763,863a…保持部(第2保持部)、863b…保持部(第3保持部)、64、264,364,764,864a,864b…軸方向保持面、90…接続部材、95,295,395,495,595,695,795,895…封止部、261a,663a…第1面、J1…中心軸線