(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060985
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20240425BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168613
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 斉志
(72)【発明者】
【氏名】實原 弘亮
(72)【発明者】
【氏名】石井 春江
(72)【発明者】
【氏名】江島 昇太
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】配信広告のコンバージョンを適切に推定すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報と、広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による対象行動の有無を示す許諾行動情報とを取得する取得部と、取得部によって取得された統計情報と許諾行動情報とに基づいて、広告のいずれかを選択した各利用者が対象行動を行った確度を示す確度情報を生成する生成部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報と、前記広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による対象行動の有無を示す許諾行動情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記統計情報と前記許諾行動情報とに基づいて、前記広告のいずれかを選択した各利用者が対象行動を行った確度を示す確度情報を生成する生成部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部によって生成された確度情報と、前記許諾行動情報とに基づいて、各広告を選択した利用者が対象行動を行う確度を推定するモデルを学習する学習部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、
前記統計情報が示す対象行動数と、前記許諾行動情報が示す対象行動数との差分が前記確度の総和となるように前記確度情報を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、
広告に対する各利用者の選択履歴に対し前記許諾利用者による対象行動の有無を対応付けた対応情報において、対象行動の有無が不明な不明箇所の前記確度情報を生成すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、
前記確度の総和を前記不明箇所の数で等分した値を前記不明箇所それぞれの前記確度情報として生成すること
を特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、
対象行動の有無に関する過去の実測値を学習した予測モデルによる予測値を前記確度情報として生成すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、
利用者の属性単位で前記確度情報を生成すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、
前記広告が配信される配信面、URL、および、ドメインの少なくともいずれか一つを用いて分類した属性単位で前記確度情報を生成すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報と、前記広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による対象行動の有無を示す許諾行動情報とを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記統計情報と前記許諾行動情報とに基づいて、前記広告のいずれかを選択した各利用者が対象行動を行った確度を示す確度情報を生成する生成工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報と、前記広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による対象行動の有無を示す許諾行動情報とを取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された前記統計情報と前記許諾行動情報とに基づいて、前記広告のいずれかを選択した各利用者が対象行動を行った確度を示す確度情報を生成する生成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを介した広告配信においては様々な指標が用いられている。例えば、CVR(Conversion Rate;「コンバージョン率」ともいう)等の様々な指標を用いて広告配信の効果を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、個人情報を保護する観点から利用者情報の匿名化が求められる。規制下においては、コンバージョン計測に必要な情報が得られない場合があり、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を生成することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報と、前記広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による対象行動の有無を示す許諾行動情報とを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記統計情報と前記許諾行動情報とに基づいて、前記広告のいずれかを選択した各利用者が対象行動を行った確度を示す確度情報を生成する生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコンバージョンデータベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る予測値を用いた確度情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.1.情報処理システム〕
まず、
図1および
図2を用いて、実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、ネットワークNによって接続された利用者端末50と、情報処理装置100と、広告主サーバ200とを有する。なお、
図1では、情報処理システム1に含まれる利用者端末50、情報処理装置100および広告主サーバ200がそれぞれで1台である場合について示しているが、利用者端末50、情報処理装置100および広告主サーバ200がそれぞれ複数台含まれるようにしてもよい。
【0012】
図1に示す情報処理装置100は、各種Webサービスに関するコンテンツを利用者端末50へ提供する情報処理装置である。たとえば、情報処理装置100は、広告主から入稿された配信広告をWebサービスに関するコンテンツとともに利用者端末50へ配信する。
【0013】
また、情報処理装置100は、利用者端末50へ提供した配信広告のコンバージョン(以下、CVとも記載する)を計測する。そして、情報処理装置100は、計測したコンバージョンに応じて、各配信広告のCVR(Conversion Rate)を最適化する。例えば、情報処理装置100は、各リクエストを各属性に分類し、属性毎のコンバージョンを学習データとして機械学習を行うことで、コンバージョンの最適化を図る。
【0014】
例えば、リクエストの属性は、リクエスト元の利用者(例えば、サイコグラフィック属性やデモグラフィック属性)、広告が配信される配信枠や配信面の種別、URL、および、ドメイン、過去の実績などに応じて、任意に分類することができる。なお、
図1の例では、キャンペーンID「Camp.1」で識別される配信広告に対しリクエストID「r1~r3」で識別されるリクエストがあったことを示す。
【0015】
また、
図1の例では、各リクエストr1~r3は、それぞれ属性f1~f3に分類されることを示している。なお、「f1~f3」は、対応する属性の特徴量のインデックスを示し、当該インデックスに対応する特徴量を用いて、上記の機械学習が行われる。
【0016】
利用者端末50は、利用者が所有する端末である。たとえば、利用者端末50は、情報処理装置100から配信されるコンテンツを配信広告とともに表示する。利用者端末50は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、ウェアラブル端末など、各種のクライアント端末である。
【0017】
また、利用者端末50は、コンテンツとともに表示した配信広告が利用者によってクリックされた場合に、コンテンツから広告主が運営する広告主サイトへ移動する。そして、利用者端末50は、広告主サイトにおいて所定のコンバージョンが行われた場合に、コンバージョン情報を情報処理装置100へと送信する。これにより、情報処理装置100では配信広告のコンバージョンを計測することができる。
【0018】
広告主サーバ200は、広告主の広告主サイトを運営するサーバ装置である。たとえば、広告主サーバ200は、利用者端末50によるアクセスに応じて広告主サイトを利用者端末50へ提供する。
【0019】
〔1.2.情報処理の一例〕
ところで、近年では、プラットフォーマーによるいわゆるITP(Intelligent Tracking Prevention)の搭載によって3rd Party Cookie等の利用が制限されてきている。
【0020】
このような制約下において、広告配信においても個人情報の匿名化が求められる。そのため、情報処理装置100は、各利用者による広告主サイトにおける行動をトラッキングすることができなくなりつつあり、これまで可能であったリクエスト単位でコンバージョンを計測できなくなりつつある。
【0021】
このような背景のもと、コンバージョンに関する情報の一部が欠損する場合がある。例えば、従来であれば、
図1のグラフに示すように、情報処理装置100は、各利用者の行動をトラッキングすることで、キャンペーンID、リクエストID(リクエストの属性を含む)およびCV(コンバージョン)をそれぞれ紐づけて計測することができる。
【0022】
一方で、ITPの搭載によって、例えば、実際には、コンバージョンが発生したリクエストであっても、そのコンバージョンが欠損する場合がある。
図1に示す例では、リクエストr3においてコンバージョンが発生にもかかわらず、コンバージョンの有無が不明であり、本来「1」であるコンバージョンが「0」となった場合を示している。なお、トラッキングを許諾した許諾利用者については、従来通り、リクエスト単位で、コンバージョンを計測することができる。
図1では、リクエストr1が許諾利用者によって行われたリクエストであり、リクエストr1で「1回」のコンバージョンを計測したものとする。
【0023】
また、情報処理装置100は、リクエストよりも粒度が荒いキャンペーン単位の粒度でコンバージョン数を取得することができ、これらの情報を用いて、各リクエストでコンバージョンが発生した確度を示す確度情報を生成することとした。
【0024】
例えば、
図2に示すように、キャンペーン単位のコンバージョン数が「2」であり、各リクエストr1~r3で計測されたコンバージョン数の総和が「1」だったとする。この場合、コンバージョンが欠損していないリクエストr1を除き、リクエストr2またはリクエストr3のいずれかで「計1回」のコンバージョンが発生したことになる。
【0025】
つまり、リクエストr2またはリクエストr3のいずれかでコンバージョンに欠損が生じたことになる。そのため、情報処理装置100は、欠損箇所に対して、コンバージョンが発生した確度を示す確度情報を生成する。なお、ここでの欠損とは、コンバージョンの有無が不明であることを示す。
【0026】
具体的には、
図2に示すように、例えば、情報処理装置100は、コンバージョンが欠損したおそれのあるリクエストr2またはリクエストr3のコンバージョン(CV)に対し数値を割り当てる。
図2に示す例では、計1回のコンバージョン数をコンバージョンの欠損数(リクエストr2およびリクエストr3)でそれぞれ等分した「1/2」を割り当てた場合を示す。
【0027】
つまり、情報処理装置100は、リクエストr2およびリクエストr3については、それぞれ「1/2回」のコンバージョンが発生したと見積もり、欠損箇所を補間する。なお、情報処理装置100は、予測モデルを用いて確度情報を生成することも可能である。予測モデルは、例えば、ITPの搭載前のコンバージョンの履歴や、許諾利用者によるデータを用いて、属性毎のリクエストとコンバージョンとの関係性を学習したモデルである。
【0028】
そして、情報処理装置100は、欠損箇所を補間した情報を用いて、機械学習処理を行う。ここでの機械学習処理により生成されるモデルは、配信モデルは、CVR(Conversion Rate)が最適化されるように属性毎のコンバージョンと、配信する広告との関係性を学習したモデルである。
【0029】
例えば、後述するように、情報処理装置100は、配信モデルを用いて、各利用者端末50に対し配信する広告を決定することで、各配信広告のCVRの最適化を図ることができる。
【0030】
このように、実施形態に係る情報処理装置100は、コンバージョンの欠損箇所ついて、各利用者が所定の行動を行う確度を示す情報を生成する。したがって、実施形態に係る情報処理装置100によれば、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を生成することができる。
【0031】
〔2.情報処理装置の構成例〕
次に、
図3を用いて、情報処理装置100の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。
【0032】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、4G(Generation)、5G、LTE(Long Term Evolution)、WiFi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークNを介して、外部装置との間で情報の送受信を行う。
【0033】
記憶部130は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部130は、広告情報データベース131、コンバージョンデータベース132、補間情報データベース133および配信モデルデータベース134を有する。
【0034】
広告情報データベース131は、広告主から配信を依頼された配信広告に関する各種広告情報を記憶するデータベースである。広告情報は、たとえば、配信広告として表示するコンテンツ(画像、映像、音声等)、配信条件(配信ターゲット)、配信目標数、目標コンバージョン単価、ランディングページのURLに関する情報が含まれる。
【0035】
コンバージョンデータベース132は、コンバージョンに関する情報を記憶するデータベースである。コンバージョンに関する情報は、例えば、各属性のインデックス(例えばf1~f3)と、リクエストおよびコンバージョン数を対応付けた情報である。
【0036】
図4は、実施形態に係るコンバージョンデータベース132の一例を示す図である。
図4に示すように、コンバージョンデータベース132は、「キャンペーンID」、「リクエストID」、「属性ID」および「コンバージョン(CV)」といった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。なお、ここでは、説明便宜のため、1つの「キャンペーンID」に関する情報を示している。
【0037】
「キャンペーンID」は、配信する広告のキャンペーンを識別するための識別子であり、「リクエストID」は、各リクエストを識別するための識別子である。「属性ID」は、各属性を識別するための識別子(インデックス)である。なお、
図4の例では、属性が「f1~f3」の3つである場合について示しているが、これに限定されるものではない。「コンバージョン」は、対応するリクエストのコンバージョンの有無を示し、例えば、対応するリクエストにおいてコンバージョンが発生した場合に「1」、コンバージョンが発生していない場合に「0」となる。なお、例えば、1つのリクエストで複数のコンバージョンが発生する場合、「コンバージョン」は、対応するコンバージョン数となる。
【0038】
例えば、
図4では、リクエストr11が属性ID「f1」の属性に含まれ、リクエストr12が属性ID「f2」の属性に含まれることを示している。また、
図4では、リクエストr11で1回のコンバージョンが発生したことを示し、リクエストr12あるいはリクエストr13においては、コンバージョンが発生していない、あるいは、コンバージョンが欠損していることを意味している。
【0039】
図3の説明に戻り、補間情報データベース133について説明する。補間情報データベース133は、補間情報を記憶するデータベースである。補間情報は、コンバージョンデータベース132において、欠損したコンバージョンに関する情報を補間した情報である。
【0040】
配信モデルデータベース134について説明する。配信モデルデータベース134は、配信モデルを記憶するデータベースである。配信モデルは、CVR(Conversion Rate)が最適化されるように配信広告と、属性毎のコンバージョンとの関係性を学習したモデルである。
【0041】
例えば、後述するように、情報処理装置100は、配信モデルを用いて、各利用者端末50による各リクエストに対し配信する広告を選択することで、各配信広告のCVRの最適化を図ることができる。
【0042】
制御部120は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部120は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0043】
図3に示すように、制御部120は、取得部121と、生成部122と、学習部123と、配信部124と、提供部125とを有する。
【0044】
取得部121は、利用者端末50から各種情報を取得する。取得部121が取得する情報は、たとえば、配信広告に対するリクエストや、配信広告へのアクセスに関する情報等が含まれる。
【0045】
また、取得部121は、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った所定の行動に関する統計情報を取得する。また、取得部121は、広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による所定の行動の有無を示す許諾行動情報を取得する。
【0046】
ここでの統計情報は、例えば、キャンペーン単位のコンバージョン数に関する情報であり、許諾行動情報は、許諾利用者によるリクエスト単位のコンバージョンに関する情報である。
【0047】
生成部122は、取得部121によって取得された統計情報および許諾行動情報に基づいて、広告のいずれかを選択した各利用者が所定の行動を行う確度を示す情報を生成する。すなわち、生成部122は、各利用者のコンバージョンに至る確度を示す情報を生成する。
【0048】
まず、生成部122は、対象となるキャンペーンの総コンバージョン数と、各リクエストで計測されたコンバージョン数との差分を算出する。なお、キャンペーンの総コンバージョン数は、統計情報から取得することができ、各リクエストで計測されたコンバージョン数は、許諾行動情報から取得することができる。
【0049】
例えば、キャンペーンIDの総コンバージョン数が「5」、各リクエストで計測されたコンバージョンの総数が「2」であれは、差分は「5-2=3」となる。
【0050】
つづいて、生成部122は、コンバージョンデータベース132においてコンバージョンが欠損している(CV=「0」)コンバージョンに対して確度を示す情報を生成する。
【0051】
例えば、既に説明したように、生成部122は、算出した差分をコンバージョンが「0」に対応する欠損数で等分した値をコンバージョンに至る確度を示す情報として生成する。
【0052】
また、生成部122は、予測モデルによる予測値をコンバージョンに至る確度を示す情報として生成するようにしてもよい。例えば、予測モデルは、ITP搭載前のデータあるいは許諾利用者のデータを用いて、リクエストと、コンバージョンとの関係性を学習したモデルである。
【0053】
例えば、生成部122は、コンバージョンデータベース132においてコンバージョンが「0」である各リクエストに関する情報を予測モデルへ入力することで、各リクエストでコンバージョンに至る確度を示す情報として生成する。
【0054】
図5は、実施形態に係る予測値を用いた確度情報の一例を示す図である。例えば、
図5に示すように、キャンペーンの総コンバージョン数が「2」であり、各リクエストのコンバージョンの総数が「1」であるとする。
【0055】
この場合、キャンペーンの総コンバージョン数と各リクエストで計測したコンバージョンの総数との差分が「2-1=1」となり、生成部122は、コンバージョンが欠損したおそれのあるコンバージョンが「0」に対応する各リクエストに関する情報(例えば、各リクエストの属性に関する情報)を予測モデルへ入力することで、各リクエストにおけるコンバージョンの予測値を算出する。
【0056】
つまり、この場合、予測モデルによってコンバージョンに至った可能性が高いと予測されるリクエストほど、予測値が高くなることなる。なお、生成部122は、例えば、許諾利用者のデータを考慮してコンバージョンに至った確度情報を生成するようにしてもよい。
【0057】
例えば、コンバージョンが「0」であるリクエストr22が許諾利用者のデータである場合には、リクエストr22ではコンバージョンに至った可能性は低く、予測値を「0」にする、あるいは、他のリクエストに対して限りなく低い値にするようなど、許諾利用者のデータとトラッキングを許諾していない利用者のデータとで重み付けを行うようにしてもよい。
【0058】
図3の説明に戻り、学習部123について説明する。学習部123は、生成部122によって生成された情報に基づいて、各広告を選択した利用者が所定の行動を行う確度を推定するモデルの学習を行う。
【0059】
つまり、学習部123は、補間情報データベース133に格納された補間情報に基づいて、配信モデルデータベース134に格納された配信モデルの学習を行う。つまり、学習部123は、配信モデルを逐次更新していくことで、CVRの最適化を逐次図ることができる。
【0060】
配信部124は、利用者端末50によるリクエストに対して配信広告を配信する。たとえば、配信部124は、リクエストに対応する属性に関する情報を配信モデルに入力することで、利用者端末50へ配信する配信広告を決定する。そして、配信部124は、リクエストに対して配信する配信広告(キャンペーン)を決定すると、リクエスト元となる利用者端末50に対して配信広告を配信する。
【0061】
提供部125は、広告主に対して広告主レポートを提供する。例えば、提供部125は、補間情報データベース133に格納された補間情報を用いて、CVやCVRに関する情報を含むレポートを生成する。提供部125によって生成された広告主レポートは、通信部110を介して、各広告主へ提供される。
【0062】
〔3.処理フロー〕
次に、
図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置100が実行する処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0063】
図6に示すように、まず、情報処理装置100は、統計情報および許諾行動情報を取得する(ステップS101)。つづいて、情報処理装置100は、ステップS101で取得した統計情報および許諾行動情報に基づいて、欠損箇所それぞれに確度を示す情報を生成する(ステップS102)。
【0064】
つづいて、情報処理装置100は、ステップS102で生成した確度を示す情報を含む補間情報に基づいて配信モデルの学習を行う(ステップS103)。また、情報処理装置100は、ステップS102で生成した確度を示す情報を含む補間情報に基づいて、広告主宛にレポートを提供する(ステップS104)。そして、情報処理装置100は、一連の処理を終了する。
【0065】
〔4.変形例〕
ところで、上述した実施形態では、対象行動がコンバージョンである場合について説明しが、これに限定されるものではない。対象行動は、資料請求など任意の行動であってもよい。
【0066】
〔5.効果〕
上述した実施形態に係る情報処理装置100は、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報と、前記広告のいずれかを選択した利用者のうち許諾を得た許諾利用者による対象行動の有無を示す許諾行動情報とを取得する取得部121と、取得部121によって取得された統計情報と許諾行動情報とに基づいて、広告のいずれかを選択した各利用者が対象行動を行った確度を示す確度情報を生成する生成部122と、を備える。
【0067】
また、情報処理装置100は、生成部122によって生成された確度情報と、許諾行動情報とに基づいて、各広告を選択した利用者が対象行動を行う確度を推定するモデルを学習する学習部123を備える。
【0068】
また、生成部122は、統計情報が示す対象行動数と許諾行動情報が示す対象行動数との差分が確度の総和となるように確度情報を生成する。また、生成部122は、広告に対する各利用者の選択履歴に対し前記許諾利用者による対象行動の有無を対応付けた対応情報において、対象行動の有無が不明な不明箇所の確度情報を生成する。
【0069】
また、生成部122は、確度の総和を不明箇所の数で等分した値を不明箇所それぞれの前記確度情報として生成する。また、生成部122は、対象行動の有無に関する過去の実測値を学習した予測モデルによる予測値を確度情報として生成する。
【0070】
また、生成部122は、利用者の属性単位で確度情報を生成する。生成部122は、広告が配信される配信面、URL、および、ドメインの少なくともいずれか一つを用いて分類したグループ単位で確度情報を生成する。
【0071】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を生成することができる。
【0072】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、実施形態に係る情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0073】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0074】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0075】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図7では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0076】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0077】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部120の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0078】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0079】
〔7.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0080】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0081】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0082】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 情報処理システム
50 利用者端末
100 情報処理装置
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 生成部
123 学習部
124 配信部
125 提供部
130 記憶部
131 広告情報データベース
132 コンバージョンデータベース
133 補間情報データベース
134 配信モデルデータベース
200 広告主サーバ