(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060989
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0273 20230101AFI20240425BHJP
【FI】
G06Q30/02 438
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168617
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 斉志
(72)【発明者】
【氏名】田代 崇
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告枠への広告の割り当てを適切に行うことができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、算出部と、決定部とを備える。算出部は、複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する。決定部は、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、前記複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる前記広告効果の変動度合いと、前記広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する算出部と、
算出した前記広告効果の変動度合いと、前記コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる前記広告枠のランクを決定する決定部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
決定した前記広告枠のランクに対する入札額を決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記広告枠のランクに関するランク情報に基づいて、前記入札額を決定し、
前記ランク情報は、
ランク毎の最高入札額と、広告単価と、広告効果に関する重み係数とを少なくとも含む
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記ランクの入れ替えが生じない前記入札額を決定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、
前記広告効果の変動度合いと、前記コストの変動度合いとに基づいて、前記ランクを変えた場合の費用対効果を算出し、算出した費用対効果に基づいて前記広告を割り当てる前記広告枠のランクを決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、
隣接するランク間における前記広告効果の変動度合いと、前記コストの変動度合いとを算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記広告効果は、
コンバージョン数、クリック数、閲覧数の少なくともいずれかを含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、前記複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる前記広告効果の変動度合いと、前記広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する算出工程と、
算出した前記広告効果の変動度合いと、前記コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる前記広告枠のランクを決定する決定工程と
を含む情報処理方法。
【請求項9】
複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、前記複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる前記広告効果の変動度合いと、前記広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する算出手順と、
算出した前記広告効果の変動度合いと、前記コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる前記広告枠のランクを決定する決定手順と
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RTB(Real-Time Bidding)等の広告枠売買システムを用いたオンライン広告がある。例えば、RTBシステムでは、落札者が広告枠を落札した場合に、広告枠に対する支払額を2番目の入札額とする方式、いわゆるGSP(Generalized Second Price auction)方式が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、広告枠への広告の割り当てをより適切に行う点で改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、広告枠への広告の割り当てを適切に行うことができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、算出部と、決定部とを備える。前記算出部は、複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、前記複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる前記広告効果の変動度合いと、前記広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する。前記決定部は、算出した前記広告効果の変動度合いと、前記コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる前記広告枠のランクを決定する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、広告枠への広告の割り当てを適切に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理装置が実行する処理を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、決定部の決定処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理装置(広告主端末)が実行する処理について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置が実行する処理を示す図である。なお、
図1では、実施形態に係る情報処理装置1を含む情報処理システムSの動作例を示している。実施形態に係る情報処理システムSは、広告主と広告媒体(広告枠)との取引を仲介するシステムであり、詳細には、広告が表示される瞬間に、広告枠毎に複数の広告主で入札を行い、最も条件の良い広告を掲載するシステム、いわゆるRTBシステムを用いる。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システムSは、広告主端末である情報処理装置1と、広告サーバ100とを含む。
【0012】
実施形態に係る情報処理システムSでは、複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出し、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する。
【0013】
具体的には、広告サーバ100は、広告を表示するインプレッションのトリガーが発生したことを通知する(ステップS1)。トリガーは、例えば、検索サイトにおける検索処理の開始(検索クエリの入力)である。また、広告サーバ100は、トリガー発生の通知とともに、広告枠に関するランク情報を情報処理装置1へ通知する。
【0014】
つづいて、情報処理装置1は、複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する(ステップS2)。広告効果は、例えば、コンバージョン数、クリック数、閲覧数等の広告の効果に関する指標であれば任意の指標を採用可能である。なお、各ランクの広告効果は、例えば、過去の広告掲載実績等に基づいて算出可能である。コストは、例えば、広告効果がコンバージョン数である場合には、コンバージョン1回あたりの課金額にコンバージョン数を掛けた値である。
【0015】
情報処理装置1は、変更前のランクの広告効果と、変更後のランクの広告効果との差分を広告効果の変動度合いとして算出する。また、情報処理装置1は、変更前のランクのコストと、変更後のランクのコストとの差分を広告効果の変動度合いとして算出する。
【0016】
つづいて、情報処理装置1は、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する(ステップS3)。具体的には、情報処理装置1は、広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、ランクを変えた場合の費用対効果(いわゆるコストパフォーマンス)を算出し、算出した費用対効果に基づいて、ランクを変えるか否かを判定する。なお、費用対効果に基づいてランク判定の詳細については、
図5で後述する。
【0017】
そして、情報処理装置1は、判定結果に基づいて、広告を割り当てる広告枠を決定する。つまり、情報処理装置1は、ランクを変えると判定した場合には、変更後のランクを広告の割り当て対象(入札対象)として決定する。また、情報処理装置1は、ランクを変えないと判定した場合には、変更前のランクを広告の割り当て対象(入札対象)として決定する。
【0018】
つづいて、情報処理装置1は、入札対象の広告枠に対する入札額を決定する(ステップS4)。なお、入札額の決定方法の詳細については後述する。
【0019】
つづいて、情報処理装置1は、決定した広告枠および入札額を用いて、広告サーバ100に対して広告枠の入札を行う(ステップS5)。
【0020】
つづいて、情報処理装置1は、入札額に基づいて、落札者を広告枠毎に決定し、決定した落札者が入港した広告をかかる広告枠に表示する(ステップS6)。
【0021】
このように、実施形態に係る情報処理装置1では、広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定することで、広告枠への広告の割り当てを適切に行うことができる。
【0022】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理システムSの構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理システムSの構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システムSは、情報処理装置1と、広告サーバ100とがネットワークNに対して有線又は無線により接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワークである。
【0023】
情報処理装置1は、実施形態に係る情報処理方法を実行するサーバ装置である。なお、情報処理装置1は、広告主が扱う広告主端末に内蔵されてもよく、所定のネットワークを介して広告端末と通信接続されてもよい。情報処理装置1は、複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出し、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する。
【0024】
広告サーバ100は、広告枠毎に広告の落札処理を行い、不図示のユーザ端末に対して落札した広告を表示する。
【0025】
また、広告サーバ100は、情報処理装置1や広告主端末、ユーザ端末と連携し、情報処理装置1や広告主端末、ユーザ端末に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0026】
また、広告サーバ100は、情報処理装置1や広告主端末、ユーザ端末に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、広告サーバ100は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引(EC:Electronic Commerce)、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、広告サーバ100は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0027】
次に、
図3を参照して、情報処理装置1の構成例について説明する。
【0028】
図3は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す図である。
図3に示されるように、情報処理装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを有する。制御部3は、算出部31と、決定部32と、入札部33とを備える。記憶部4は、ランク情報41を記憶する。
【0029】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、有線または無線によりネットワーク網と接続される。
【0030】
制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)等の集積回路により実現されてもよい。
【0031】
記憶部4は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0032】
ランク情報41は、広告枠のランクに関する情報である。ランク情報は、広告サーバ100からインプレッションのトリガー発生の通知の際に取得され、都度更新される。
【0033】
図4は、ランク情報41の一例を示す図である。
図4に示すように、ランク情報41は、「ランクID」、「ランク」、「Bid」、「CPC」、「Bias」等の項目を含む。
【0034】
「ランクID」は、ランクを識別する識別情報である。「ランク」は、広告枠のランクを示す情報であり、入札最高額(Bid)が最も高いランクを1としてBid順に設定される。「Bid」は、広告枠の最高入札額を示す情報である。「CPC」は、クリック単価(Cost Per Click)であり、広告単価の一例である。「Bias」は、広告効果に関する重み係数であり、ランク1の場合のBiasを1.0として、各ランクのBiasが設定される。つまり、ランク2のBiasが0.8とは、ランク1の広告効果に対して0.8倍の広告効果となることを示している。なお、「Bias」は、広義の単調増加である。この場合、下記説明するランク決定について、GSPのランク<決定部32により割り当てられたランクとなるため、下記で説明する決定部32においてランクが低いところから順番に処理することができる。
【0035】
次に、情報処理装置1の制御部3の各機能(算出部31、決定部32および入札部33)について説明する。
【0036】
算出部31は、広告サーバ100からインプレッションのトリガー発生の通知があった場合に、ランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する。
【0037】
例えば、
図4を参照して、ランク1の広告効果であるコンバージョン数が1000である場合、各Biasの値から、ランク2のコンバージョン数は800となる。また、ランク1のコストは、CPCにコンバージョン数を掛けた値である100000となり、ランク2のコストは、10000(12.5×800)となる。
【0038】
この場合、広告効果の変動度合いは、200(1000-800)となり、コストの変動度合いは、90000(100000-10000)となる。
【0039】
例えば、算出部31は、広告主が入札を予定している(もしくは過去に入札した)ランクを変更前のランクとして、変更前のランクから変更後のランクに変えた場合の広告効果の変動度合いおよびコストの変動度合いを算出する。具体的には、算出部31は、変更前のランクから他のすべてのランクを変更後のランクとして広告効果の変動度合いおよびコストの変動度合いを算出する。
【0040】
なお、算出部31は、どのランクの組み合わせを変動度合いの算出対象とするかは、例えば、広告主の広告予算によって決定してもよい。つまり、算出部31は、広告予算を超えるコストのランクについては、変動度合いの算出対象から除外する。
【0041】
また、算出部31は、変動度合い算出に伴う処理負荷を軽減するため、隣接するランク(1つ上のランクもしくは1つ下のランク)との変動度合いのみを算出してもよい。
【0042】
決定部32は、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する。具体的には、決定部32は、広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、ランクを変えた場合の費用対効果を算出し、費用対効果に基づいて、ランクを変えるか否かを判定する。かかる点について、
図5を用いて説明する。
【0043】
図5は、決定部32の決定処理の一例を示す図である。
図5では、ランク1~3の広告枠を、コストとCV数(費用対効果)との2軸で構成したグラフで示している。なお、
図5では、ランク3からランク2にランクを変える場合の処理について説明する。
【0044】
具体的には、決定部32は、まず、ランク3からランク2に変えた場合の増分コストと、増分CVとを算出する。増分コストは、ランク3からランク2に変えた場合のコストの上昇度合い(変動度合い)である。増分CVは、ランク3からランク2に変えた場合のCV数の上昇度合い(変動度合い)である。
【0045】
つづいて、決定部32は、増分コストおよび増分CVに基づいて、ランク3からランク2に変えた場合の費用対効果(増分コスパ)を算出する。つまり、決定部32は、
図5に示すグラフにおいて、ランク3およびランク2を結ぶ直線の傾きを増分コスパとして算出する。言い換えれば、増分コスパは、1/増分CPA(Cost Per Action)である。また、増分CPAは、増分コスト/増分CVである。
【0046】
そして、決定部32は、増分コスパと基準コスパとを比較する。基準コスパは、例えば、広告主によって任意に設定される。例えば、決定部32は、増分コスパが基準コスパよりも高い場合(傾きが急の場合)、ランク3からランク2に変えると判定する。一方、決定部32は、増分コスパが基準コスパよりも低い場合(傾きが緩やかの場合)、ランク3からランク2に変えない、すなわち、ランク3を維持すると判定する。
【0047】
つまり、決定部32は、ランク3からランク2に変えると判定した場合、ランク2の広告枠に広告を割り当てると決定し、ランク3を維持すると判定した場合、ランク3の広告枠に広告を割り当てると決定する。
【0048】
なお、決定部32によるランク決定処理は、ランク間距離iが1からr-1になるまで繰り返し実行される。具体的には、決定部32は、まず、初期(変更前)のランクを最下位のランクに設定する。つづいて、決定部32は、変更前のランクから1つ上のランクに上げる場合の増分コスパおよび基準コスパの大小関係を判定し、増分コスパが基準コスパ未満(増分CPA>基準CPA)の場合には、変更前のランクから2つ上のランクに上げる場合の増分コスパおよび基準コスパの大小関係を判定する。つまり、決定部32は、増分コスパが基準コスパ未満の場合には、ランク間距離を1つ広げて再度増分コスパおよび基準コスパの大小関係を判定する処理を、増分コスパが基準コスパ以上となるランクを見つけるまで繰り返す。なお、決定部32は、増分コスパが基準コスパ以上となるランクが存在しない場合、変更前のランクを最終的な割当先のランクとして決定する。
【0049】
また、決定部32は、増分コスパが基準コスパ以上(増分CPA≦基準CPA)ランクを見つけた場合には、かかるランクを変更前のランクに設定し、上記した変更前のランクから他のランクに上げる場合の増分コスパおよび基準コスパの大小関係を判定する処理を行う。
【0050】
すなわち、決定部32は、増分コスパが基準コスパ以上の高い場合には、変更前のランクを上げて再度コスパの大小関係の判定処理を行い、増分コスパが基準コスパ未満となった場合には、変更前のランクを最終的な割当先のランクとして決定する。なお、変更前のランクを上げた先が最高位(
図4の例では、ランク1)のランクとなる場合には、コスパの大小関係の判定処理を行わず、かかる最高位のランクを最終的な割当先のランクとして決定する。
【0051】
なお、上記では、ランクを上げた場合のコスパの大小関係の判定処理を行う例を示したが、ランクを下げた場合のコスパの大小関係の判定処理をさらに行ってもよい。
【0052】
以下、ランク割当の具体例について説明する。例えば、ランクが3つである場合、下記1~3の手順に沿って繰り返し実行されることで割当先のランクを決定する。
1.r=3(最下位)に設定する
1-a.(i=1)ランク3からランク2にあげた時の増分CPA<基準CPAを満たす場合、下記2に進む。なお、満たさない場合下記1-bに進む
1-b.(i=2)ランク3からランク1にあげた時の増分CPA<基準CPAを満たす場合、下記3に進む。満たさない場合、ランク3を割当先とする。
2.r=2に設定する
2-a.(i=1)ランク2からランク1にあげた時の増分CPA<基準CPAを満たす場合、下記3に進む。満たさない場合、ランク2を割当先とする。
3.ランク1を割当先とする。
【0053】
つづいて、決定部32は、広告の割当先として決定した広告枠に対する入札額を決定する。ここで、例えば、GSP方式によりランクiだった広告が前述の割り当てによってランクjに割り当てられた場合の入札額を考える。具体的には、決定部32は、入札額をx、入札対象であるランクjにおけるバイアスをbj、GSPでランクiに割り当てられた広告のBidをBidi、ランクjにおけるCPCをCPCjとした場合、下記式より、入札額xを決定する。なお、下記式(1)は、j>1の場合に適用され、j=1の場合には、x=bidiとなる。
【0054】
【0055】
ここで、
図4のランク情報におけるランク2を入札対象とした場合の入札額を算出する。すなわち、x=1/1.0×(150×(1.0-0.8)+12.5×0.8)=40
となり、ランク2の入札額は40となる。
【0056】
言い換えれば、上記した式では、ランクk-nの広告がランクkに入札可能である入札額を決定する。これにより、ランクk-nとランクkとが入札額の大小関係の逆転により入れ替わらないようにできる。つまり、決定部32は、ランクの入れ替えが生じない入札額を決定する。
【0057】
入札部33は、決定部32によって決定された広告枠のランクおよび入札額に基づいて、広告サーバ100に対して広告枠の入札を行う。
【0058】
次に、
図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理の処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図6に示すように、制御部3は、まず、ランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとを算出する(ステップS101)。
【0060】
つづいて、制御部3は、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する(ステップS102)。
【0061】
つづいて、制御部3は、決定した広告枠のランクに対する入札額を決定する(ステップS103)。
【0062】
つづいて、制御部3は、決定した広告枠のランクに対する入札処理を行い(ステップS104)、処理を終了する。
【0063】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の一部を手動的に行うこともできる。あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0064】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0065】
例えば、
図3に示した記憶部4の一部又は全部は、各装置によって保持されるのではなく、ストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、各装置は、ストレージサーバにアクセスすることで、各種情報を取得する。
【0066】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0067】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一時的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0068】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0069】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0070】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0071】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0072】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置1として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部3の機能を実現する。
【0073】
〔効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置1は、算出部31と、決定部32とを備える。算出部31は、複数の広告枠それぞれに設定されるランクであって、複数の広告枠それぞれの広告効果に関するランクを変えた場合に生じる広告効果の変動度合いと、広告枠を使用する際のコストの変動度合いとを算出する。決定部32は、算出した広告効果の変動度合いと、コストの変動度合いとに基づいて、広告を割り当てる広告枠のランクを決定する。
【0074】
上述した各実施形態に係る情報処理装置1によれば、広告枠への広告の割り当てを適切に行うことができる。
【0075】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0076】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0077】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0078】
また、上述してきた実施形態に記載した各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0079】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部3は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
31 算出部
32 決定部
33 入札部
41 ランク情報
100 広告サーバ
S 情報処理システム