(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060994
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】空間構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
E04B1/343 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168623
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴規
(72)【発明者】
【氏名】宮田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】西村 たか子
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(57)【要約】
【課題】物品を見栄えよく収納することができるようにした空間構造体を提供する。
【解決手段】空間構造体1は、複数の支柱3と、これら支柱3同士の上部を交差するように連結するビーム4とを有する自立可能なフレーム体2を備え、ビーム4の少なくとも一つの交差部には物品収納空間20が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支柱と、これら支柱同士の上部を交差するように連結するビームとを有する自立可能なフレーム体を備え、前記ビームの交差部には物品収納空間が形成されていることを特徴とする空間構造体。
【請求項2】
前記物品収納空間は、前記支柱を介して隣り合う前記ビーム間に架設された架設カバー部材と、前記支柱を介して隣り合う前記ビームとにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空間構造体。
【請求項3】
前記ビームの両側面には上方に開口する空間が形成されるように側部カバー部材がそれぞれ設けられ、前記空間に前記物品収納空間が連続していることを特徴とする請求項2に記載の空間構造体。
【請求項4】
前記側部カバー部材及び前記架設カバー部材は前記ビームよりも上方に延び、それらの高さが同一に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空間構造体。
【請求項5】
前記支柱の上端は前記側部カバー部材の上端と同じ高さであることを特徴とする請求項4に記載の空間構造体。
【請求項6】
前記物品収納空間の下方の開口面はベースプレートにより閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の空間構造体。
【請求項7】
複数の前記物品収納空間にはそれぞれスピーカが収納されるとともに、前記架設カバー部材には開口が形成されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の空間構造体。
【請求項8】
複数の前記物品収納空間にはそれぞれスピーカが収納されるとともに、前記ベースプレートには上下に貫通する開口が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の空間構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に自立可能に設置され、ミーティングやワークスペースなどに使用される空間構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ミーティングやワークスペースなどに使用される従来の空間構造体としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。この従来の空間構造体は、前後左右に離間する4本のポールと、各ポールの上端部同士を連結するフレームとを備え、フレームの交差部には照明装置が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4558921号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている空間構造体においては、照明装置を露出させて取り付けているため、空間構造体の見栄えが悪くなる。スピーカ等の他の電気機器や制御機器をフレームに取り付けた場合でも同様の問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、物品を見栄えよく収納することができるようにした空間構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の空間構造体は、
複数の支柱と、これら支柱同士の上部を交差するように連結するビームとを有する自立可能なフレーム体を備え、前記ビームの交差部には物品収納空間が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ビームの交差部に形成された物品収納空間に電気機器や制御機器等の物品を外部に露出させずに収納することができるので、空間構造体の見栄えが向上する。
【0007】
前記物品収納空間は、前記支柱を介して隣り合う前記ビーム間に架設された架設カバー部材と、前記支柱を介して隣り合う前記ビームとにより形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、物品収納空間の外観がビームの直線部と整合するので見栄えが向上する。
【0008】
前記ビームの両側面には上方に開口する空間が形成されるように側部カバー部材がそれぞれ設けられ、前記空間に前記物品収納空間が連続していることを特徴としている。
この特徴によれば、物品収納空間に収納した物品に接続される配線コード等を物品収納空間に連続する空間に収納することができるので、配線コード等を露出させることなく取り回しを体裁よく行うことができる。
【0009】
前記側部カバー部材及び前記架設カバー部材は、前記ビームよりも上方に延び、それらの高さが同一に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、側部カバー部材間に形成される空間及び物品収納空間を広く形成することができるとともに、ビームに沿った空間と、支柱を挟んで隣り合う交差部の物品収納空間とをそれぞれ簡素に形成することができる。
【0010】
前記支柱の上端は前記側部カバー部材の上端と同じ高さであることを特徴としている。
この特徴によれば、交差部に配線コード等を露出させることなく見栄えよく取り回すことができる。
【0011】
前記物品収納空間の下方の開口面はベースプレートにより閉塞されていることを特徴としている。
この特徴によれば、物品収納空間の下方からの見栄えが向上するとともに、ベースプレートに物品を載置できるので、下方から物品が見えなくなり体裁がよくなる。
【0012】
複数の前記物品収納空間にはそれぞれスピーカが収納されるとともに、前記架設カバー部材には開口が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の物品収納空間に収納されたスピーカの音を、架設カバー部材の開口を介して空間構造体の内部の中央部にエリアを区画して放音することができ、空間構造体の内部に良好な音空間が形成される。
【0013】
複数の前記物品収納空間にはそれぞれスピーカが収納されるとともに、前記ベースプレートには上下に貫通する開口が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の物品収納空間に収納されたスピーカの音を、ベースプレートの開口を介して空間構造体の内部下方にエリアを区画して放音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1に係る空間構造体の外観斜視図である。
【
図9】本発明の実施例2に係る空間構造体のL字交差部の斜視図である。
【
図10】本発明の実施例3に係る空間構造体のL字交差部を斜め下方より見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の空間構造体を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0016】
実施例1に係る空間構造体につき、
図1から
図8を参照して説明する。なお、便宜上、
図1の紙面斜め右下方を前方、斜め左上方を後方、斜め右上方を右方、斜め左下方を左方として説明する。
図1に示すように、空間構造体1は、オフィスや展示場等の広い室内空間を方形に区画するために床面Fに自立させて設置されるものであり、ミーティングやワークスペースなどに使用される。
【0017】
空間構造体1は、床面Fに自立させて設置されるフレーム体2を備えている。フレーム体2は、前後左右に所定間隔おきに並ぶ角管状の6本の支柱3と、各支柱3の上端部同士を平面視「日」形状をなすように直角に連結している前後左右7本のビーム4とを備えている。各ビーム4は、両端に固着されたブラケット5の上端の係止片5aを支柱3の上端に係止した状態で上下2本のボルト6により支柱3に固定されている(
図3、
図4、
図5参照)。
【0018】
図2に示すように、各ビーム4は縦長の角管状をなし、それぞれの下面には、下端部が内向き対向状に折曲された下向きコ字状断面のガイドレール7が複数のボルト8により固定されている。各ガイドレール7は、後述するブリッジレール12を接続するために各ビーム4の全長よりも所要寸法短かく形成されている。
【0019】
支柱3を挟んで対向する前方の左右方向に延びる2本のガイドレール7、7には、間仕切9、9の上部が移動可能に支持されている。すなわち、
図2に示すように、間仕切9の上面より起立する左右一対の支持軸9aの上端部に水平回転自在に取り付けられたローラ10を、ガイドレール7内に転動可能に嵌挿することにより、間仕切9の上部がガイドレール7に移動可能に支持されている。間仕切9の下端部の左右方向の中央部には、移動時に床面に接して回転する車輪11(
図1参照)が取り付けられている。
【0020】
各支柱3を介して、言い換えると各支柱3を角としてL字状に交差するL字交差部及びT字状に交差するT字交差部における直交して延びる隣り合う2本のビーム4、4に取り付けられたガイドレール7、7の交差方向の端面には、ガイドレール7と同じ断面形状のブリッジレール12の両端が、平面視において45度をなすように、かつガイドレール7と連続するように図示しない連結金具によって連結されている(
図5参照)。なお、ブリッジレール12はフレーム体2のL字交差部及びT字交差部を補強する補強部材としての機能も有している。このようなブリッジレール12を架設することにより、間仕切9を、ブリッジレール12を介して全てのガイドレール7に支柱3を迂回して自由に移動させることができる。
【0021】
各ビーム4及びそれに取り付けられたガイドレール7の両側面は、支柱3の上端と同じ高さの側部カバー部材13、13により覆われている。各ビーム4の内側に取り付けられる側部カバー部材13の長さは、後述する架設カバー部材19の両端と連続させるために、ビーム4の外側に取り付けられる側部カバー部材13の全長より所要寸法短かく形成されている(
図1参照)。
【0022】
側部カバー部材13は、ビーム4に次のようにして取り付けられている。
図2~
図6に示すように、各ビーム4の上面には、側部カバー部材13の上端部を固定するための複数の固定具14が、ボルト15により所定間隔おきに取り付けられている。固定具14は、幅寸法がビーム4の幅寸法よりも若干大とされたほぼ上向きコ字状断面をなし、上端には、水平かつ短寸の内向片14a、14aが対向状に連設されている。
【0023】
また、各固定具14の下方において各ビーム4の下部の両側面には、側部カバー部材13の下端部を保持するための保持具16、16の上端部が、それぞれボルト15により取り付けられている。保持具16、16におけるガイドレール7の側面と対向する部分は、外側面間の幅寸法が固定具14の幅寸法とほぼ等しくなるように外側に折曲されている。また、両保持具16の下端には、内方及び上向きに折曲された係止部16aがガイドレール7の側面と若干離間するように形成されている。
【0024】
側部カバー部材13、13をビーム4に取り付けるには、下端部に内向きに形成された上向きコ字状の折曲部13aを保持具16の係止部16aに下方から嵌合した後、側部カバー部材13の上端に形成された内向片13bを固定具14の内向片14aの上面に当接させて上方からボルト17により固定する。これにより側部カバー部材13、13は、各ビーム4の上面よりも上方に延びるように取り付けられ、各ビーム4とガイドレール7の両側面が覆われる。また、各ビーム4の上方には、長手方向に連続する上方に開口する空間18が形成される。なお、空間18内に塵埃が入り込まないように、その上面を着脱可能なカバーにより覆うようにしてもよい。
【0025】
各支柱3を介してL字状に交差するL字交差部及びT字状に交差するT字交差部における隣り合う2本のビーム4、4間には、側部カバー部材13の上下寸法及び高さが同一の架設カバー部材19が、ブリッジレール12の内側面(空間構造体の内部側の側面)を覆うように、かつ短寸に形成された内側の側部カバー部材13の両端と連続するように架設されている。この架設カバー部材19と支柱3を挟んで隣り合うビーム4、4により、ビーム4の各交差部には、空間18と連続する平面視三角形の物品収納空間20が形成されている。
【0026】
物品収納空間20の下方の開口面は、物品収納空間20とほぼ同形の平面視三角形のベースプレート21により閉塞されている。
図3~
図5、及び
図8に示すように、ベースプレート21の直交する2辺の端縁には、上下方向の中間部がビーム4の内方の下面に当接するクランク状断面の固定片21a、21aが上向きに折曲形成され、固定片21a、21aの上部は、支柱3を介して隣り合うビーム4、4の内側面に複数のボルト22により固定されている(
図8参照)。また、ベースプレート21の斜辺の端縁には、上下寸法がブリッジレール12の上下寸法とほぼ等しい係止片21bが連設され、この係止片21bの上端の水平部はブリッジレール12の上面に係止されている(
図7参照)。これによりベースプレート21は、下面がブリッジレール12の下端とほぼ整合するように、ビーム4、4とブリッジレール12により強固に支持されている。固定片21a、21aと係止片21bとにより囲まれたベースプレート21の上面には、平面視三角形状のカバープレート23が載置されている。なお、カバープレート23は必ずしも必要ではなく省略することもできる。また、物品収納空間20内に塵埃が入り込まないように、その上面を着脱可能なカバーにより覆うようにしてもよい。
【0027】
以上説明したように、実施例1に係る空間構造体1においては、デッドスペースとなっているビーム4の交差部に形成された物品収納空間20に、電気機器や制御機器等の物品を収納することができるので、それらが外部に露出することはなく、空間構造体の見栄えが向上する。
【0028】
また、複数の交差部の物品収納空間20に収納した物品同士に接続される配線コード等を、物品収納空間20に連続する空間18に収納して配線することができるので、配線コード等を露出させることなく取り回しを体裁よく行うことができる。なお、空間18に収納された配線コード等は、角管状の支柱3の上端から内部に挿入して床面Fに引き出すこともできる。
【0029】
また、物品収納空間20の下方の開口面がベースプレート21により閉塞されているので、物品収納空間20の下方からの見栄えが向上するとともに、物品収納空間20内に収納された物品が下方から見えなくなるので体裁がよくなる。
【0030】
さらに、側部カバー部材13及び架設カバー部材19はビーム4の上面よりも上方に延び、それらの高さが同一に形成されているので、空間18及び物品収納空間20を広く形成することができるとともに、ビーム4に沿った空間18と、支柱3を挟んで隣り合う交差部の物品収納空間20とをそれぞれ簡素に形成することができる。
【0031】
さらに、支柱3の上端と側部カバー部材13の上端とを同じ高さとしているので、交差部に配線コード等を露出させることなく見栄えよく取り回すことができる。
実施例2のような構成とすると、例えば指向性のスピーカ25を用いた場合に、複数の物品収納空間20に収納されたスピーカ25の音を、架設カバー部材19の開口24を介して空間構造体の中央部下方にエリアを区画して放音することができ、空間構造体の内部に良好な音空間が形成される。なお、円形の開口24に代えて、2点鎖線で示すようなスリット状の開口24’としてもよい。