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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060999
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】測定システム及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20240425BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01N21/78 A
G01N33/543 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168628
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平村 史人
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2G054
【Fターム(参考)】
2G054AA06
2G054AA07
2G054AB05
2G054CA20
2G054CA21
2G054EA01
2G054EA05
2G054EA10
2G054FA02
2G054FA19
2G054FA33
2G054GB10
(57)【要約】
【課題】試験片に複数の撮影領域がある場合、撮影領域に応じて適切な撮影を行う。
【解決手段】第一領域及び第二領域を有する試験片が挿入される挿入口と、挿入口から挿入された試験片を内部に収容する収容部と、収容部に収容された試験片に対向する窓を有するハウジングと、収容部に収容された試験片の第二領域を照明する照明部及び第一領域及び第二領域を撮影する撮影部を有するスマートデバイスと、で構成される測定システムであって、ハウジングは、撮影部及び照明部を窓に面する位置に配置した状態でスマートデバイスを外面に載置する載置部と、収容部に収容された試験片の第一領域を照射する位置に設けられた測定光源と、を有し、撮影部による第一領域の撮影時には測定光源を点灯しつつ照明部を消灯し、撮影部による第二領域の撮影時には照明部を点灯する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一領域及び第二領域を有する試験片が挿入される挿入口と、前記挿入口から挿入された前記試験片を内部に収容する収容部と、前記収容部に収容された前記試験片に対向する窓を有するハウジングと、前記収容部に収容された前記試験片の前記第二領域を照明する照明部及び前記第一領域及び前記第二領域を撮影する撮影部を有するスマートデバイスと、で構成され、
前記ハウジングは、前記撮影部及び前記照明部を前記窓に面する位置に配置した状態で前記スマートデバイスを外面に載置する載置部と、前記収容部に収容された前記試験片の前記第一領域を照射する位置に設けられた測定光源と、を有し、
前記撮影部による前記第一領域の撮影時には前記測定光源を点灯しつつ前記照明部を消灯し、前記撮影部による前記第二領域の撮影時には前記照明部を点灯する、測定システム。
【請求項2】
前記撮影部による前記第二領域の撮影時には、前記照明部を点灯しつつ前記測定光源を消灯する、請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記スマートデバイスは、前記第二領域の撮影時には前記照明部を点灯させるとともに、前記第一領域の撮影時には前記照明部を消灯させる制御部を備え、
前記ハウジングは、前記第一領域の撮影時には前記測定光源を点灯させるとともに、前記第二領域の撮影時には前記測定光源を消灯させる光源制御部を備える、請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記第一領域は、前記試験片に点着される試料が含有する測定対象物が測定される測定領域であり、前記第二領域は前記試験片に関する識別情報が記録された識別領域である、請求項3に記載の測定システム。
【請求項5】
前記測定光源は、前記測定領域において前記測定対象物の検出に適した測定光源である、請求項4に記載の測定システム。
【請求項6】
請求項3に記載の測定システムを用いた測定方法であって、
前記制御部が前記照明部を点灯させる段階、
前記撮影部が、前記ハウジングに挿入された前記試験片の前記第二領域を撮影する段階、
前記制御部が、前記照明部を消灯させる段階、
前記光源制御部が、前記測定光源を点灯させる段階、
前記撮影部が、前記測定光源に照明された前記第一領域を撮影する段階、及び、
前記光源制御部が、前記測定光源を消灯させる段階、
を含んでなる、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の測定対象物を試験片で展開して光学的に検出する測定システム及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体中の測定対象物を試験片で展開して光学的に検出する測定システムとしては、たとえば、下記特許文献1及び2に示すようなものが開示されている。特許文献1に記載の技術では、多色LEDで試験片を照明し、カメラで試験片と校正パッドとを同時に撮影した画像から試験片の色強度の分析を行っている。特許文献2に記載の技術では、環境光を遮断する画像読み取り装置において、複数の点灯パターンを制御するために、複数の光源を制御するための光源制御部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2020/003021 A1
【特許文献2】特開2015-070572号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術文献1に記載の技術では、多色LEDの光源の異なる組み合わせで複数の画像を撮影し、これらのうちから最適な画像を得ることを目的としている。また、上記先行技術文献2に記載の技術では、複数の光源を備え、光源に応じて異なる画像を撮影した上で、これらの異なる画像を合成して品位の高い画像データを得ることを目的としている。すなわち、これら先行技術文献に記載の技術では、複数の光源による異なる画像が、専ら試験片の一つの撮影領域の撮影のために利用されることとなっている。
【0005】
そこで本開示の実施態様は、試験片に複数の撮影領域がある場合、撮影領域に応じて適切な撮影を行うことのできる測定システム及び測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第一領域及び第二領域を有する試験片が挿入される挿入口と、挿入口から挿入された試験片を内部に収容する収容部と、収容部に収容された試験片に対向する窓を有するハウジングと、収容部に収容された試験片の第二領域を照明する照明部及び第一領域及び第二領域を撮影する撮影部を有するスマートデバイスと、で構成される測定システムである。そして、ハウジングは、撮影部及び照明部を窓に面する位置に配置した状態でスマートデバイスを外面に載置する載置部と、収容部に収容された試験片の第一領域を照射する位置に設けられた測定光源と、を有する。さらに、撮影部による第一領域の撮影時には測定光源を点灯しつつ照明部を消灯し、撮影部による第二領域の撮影時には照明部を点灯する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施態様によれば、試験片に複数の撮影領域がある場合、撮影領域に応じて適切な撮影を行うことのできる測定システム及び測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態で使用される保持部を上方斜視図で示す。
図2】保持部の挿入口付近を下方斜視図にて拡大して示す。
図3】実施形態で使用される試験片を平面視で示す。
図4】保持部に試験片が装着された状態を上方斜視図で示す。
図5図4の状態を平面視で示す。
図6】実施形態で使用される載置部を上方斜視図で示す。
図7】載置部を底面視で示す。
図8】実施形態のハウジングを上方斜視図で示す。
図9図8のハウジングに試験片が装着された状態を上方斜視図で示す。
図10】実施形態で使用されるスマートデバイスを底面視で示す。
図11】実施形態の測定システムを上方斜視図で示す。
図12図11の測定システムから外壁部の一部を除いた状態を上方斜視図で示す。
図13図12のXIII-XIII断面を示す。
図14】実施形態の測定システムの機能ブロック図である。
図15】制御部をブロック図で示す。
図16】実施形態の測定システムにおける測定対象物の測定方法の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における実施形態を、図面を参照しつつ説明する。各図において共通する符号は、特段の説明がなくとも同一の部分を指し示す。また、各図に現された各部材や各部位はあくまで模式的に描かれたものであって、実際の製品のサイズ及び位置関係は必ずしも正確には表現されていない。
【0010】
(1)保持部
図1は、本実施形態の測定システム10(図11参照)で用いられる保持部40を上方斜視図で示したものである。本開示の測定システム10においては、ハウジング20(図8参照)を構成する部材として、図1に示すような保持部40を含んでいてもよい。保持部40は箱形の形状を呈し、上面には測定用開口部43及び識別用開口部44の2つの開口が形成されている。測定用開口部43には光学フィルター45が嵌め込まれている。上面にはさらに光を感知するセンサ47が設けられている。保持部40の側面には、後述の試験片60(図3参照)が挿入される挿入口41が開口している。挿入口41の内部空間は、測定用開口部43及び識別用開口部44とも連通し、試験片60の一部が収容される空間である、収容部46となっている。
【0011】
図2は、保持部40の挿入口41付近を下方斜視図にて拡大して示したものである。挿入口41の内部空間である収容部46の、測定用開口部43の近傍には、前記のセンサ47が設けられている。収容部46の内部に設けられた測定光源42(図13参照)からは、第一領域61の撮影に適した波長の光線を含む光が照射される。そして、光学フィルター45は、その撮影に適した波長の光線のみを好適に透過させる光学特性を有する。
【0012】
(2)試験片
図3は、本実施形態の測定システム10(図11参照)で用いられる試験片60を平面視で示したものである。試験片60は平たい棒状の外形を呈する。試験片60の一端には上面側が窪んだ把持部65が形成され、ここを持って手指で試験片60を把持することができる。試験片60の内部には、試験片60の長手方向に沿った長尺形状の試験紙64が収容される。試験紙64は、試験片60の上面に形成された2箇所の開口において上方に露出している。これら2箇所の開口のうち、把持部65に近い方が試料点着部63であり、把持部65から遠い方が測定対象物の測定が行われる測定領域である第一領域61である。さらに、試験片60の他端側、すなわち、把持部65から最も離れた箇所の上面には、試験片60に関する情報が記録された、識別領域としての第二領域62が形成されている。以下、試験片60について、把持部65に近い側を「上流側」と称し、第二領域62に近い側を「下流側」と称する。
【0013】
試験紙64は、濾紙のような吸水体、又は、合成樹脂製の基板の表面に吸水層が塗布されたものである。試験紙64には、測定対象物と反応して発色する試薬が含有されている。試料点着部63に、測定対象物が含有されると想定される試料が点着される。試料としては、生体から採取される液体検体、たとえば血液若しくは尿又はこれらを適当な溶媒で希釈した希釈液、あるいは、生体から採取された固形物若しくは粘液又はそれらを適当な溶媒に希釈若しくは懸濁した液体検体、等が挙げられる。測定対象物としては、液体検体に含まれる成分、又は、外来の微生物若しくはウイルスに由来する抗原等が挙げられる。
【0014】
図4は、保持部40に試験片60が装着された状態を上方斜視図で示すものである。また、図5は、この状態を平面視で示すものである。図4及び図5に示すように、試験片60は、下流側を先にして、挿入口41から収容部46の内部に挿入される。この状態で、図5に示すように、第一領域61は測定用開口部43と、また、第二領域62は識別用開口部44と、それぞれ同一の平面位置にある。
【0015】
この状態で、試料点着部63にたとえば液体検体が点着されると、試験紙64を毛細管現象にて下流側へ流動していき、第一領域61において液体検体の点着を示すコントロール反応帯が生ずることとなっている。さらに、液体検体中に測定対象物が含まれている場合、その濃度に応じた強さの対象反応帯が生ずる。この対象反応帯に、測定光源42から発する光を照射して、生じた光の強度を測定することによって、本実施形態の測定システム10は測定対象物の濃度を測定する。前記した第二領域62には、たとえば、この試験片60にはどのような種類の試験紙64が収容されているか、といった試験片60に関する情報である識別情報が記録されている。識別情報としては、バーコードやQRコード(登録商標)等が挙げられる。
【0016】
(3)載置部
図6は、本実施形態の測定システム10(図11参照)で用いられる載置部30を上方斜視図で示すものである。また、図7は、この載置部30を底面視で示すものである。載置部30は、上面及び下面が開放した略直方体形状の紙箱として構成される。載置部30の4側面は垂直に立設された外壁部34となっている。載置部30の上面には、後述のスマートデバイス50(図10参照)が載置される枠である載置枠32が形成されている。載置部30の内部の一方側(以後、「前方側」と称する。)には、窓31を開口しつつ上面が閉塞し、かつ、下面が開放(図7参照)した箱状の遮光部33が形成される。
【0017】
ここで、外壁部34の4面のうち、遮光部33が位置している側の面を正面34a、その反対側の面を背面34b、正面34aから見て左側の面を左側面34c、及びその反対側の面を右側面34dとする。また、載置部30の内部は、正面34a及び背面34bと平行な補強部35で仕切られている。さらに、左側面34cの前方側下縁には、矩形の切欠部36が形成されている。
【0018】
(4)ハウジング
図7に示すように、遮光部33の下縁と、外壁部34の下縁との間には間隙が生じていて、この間隙を高さとして、四方を正面34a、補強部35、左側面34c及び右側面34dで囲まれた空間を、収容領域37と称する。この収容領域37に、保持部40が装着されると、図8に示すハウジング20が構成される。この状態で、載置部30の切欠部36と、保持部40の挿入口41とが一致している。この状態の挿入口41に、図4及び図5に示すように試験片60が装着された状態は、図9に示す上方斜視図に示すとおりである。
【0019】
(5)スマートデバイス
図10は、本実施形態の測定システム10(図11参照)で用いられるスマートデバイス50をハウジング20に載置された状態における底面視で示したものである本実施形態では、スマートデバイス50としてスマートフォンが充てられているが、カメラ機能付きのタブレット端末をスマートデバイス50としてもよい。スマートデバイス50の底面側(いわゆる裏面)には、カメラとして構成された撮影部51と、その脇の可視光を照射するフラッシュとして構成された照明部52とが設けられている。なお、スマートデバイス50の天面側(いわゆる表面)は表示部53となっている。
【0020】
(6)測定システム
図9に示すハウジング20の載置枠32の内側に、図10に示すスマートデバイス50を、撮影部51及び照明部52を窓31に一致させつつ、表示部53を上向きにして載置させることで、図11の上方斜視図に示すような本実施形態の測定システム10が構成される。この状態から、外壁部34のうち正面34a、左側面34c及び右側面34dを除いた状態を示す図12の上方斜視図に示すように、保持部40の測定用開口部43及び識別用開口部44は遮光部33で覆われ、外界からの光の進入が妨げられている。
【0021】
また、図12をXIII-XIII断面で示す図13に示すように、試験片60の第一領域61の上方には測定用開口部43及び光学フィルター45が位置し、また、第二領域62の上方には識別用開口部44が位置している。さらに、識別用開口部44の下方のやや背面側には第一領域61を斜め上方から照射する測定光源42が設置されている。測定用開口部43の真上には、載置部30の窓31が位置しており、ここを通して、スマートデバイス50の撮影部51が、第一領域61に加えて第二領域62も視野に収めている。
【0022】
図14は、本実施形態の測定システム10を機能ブロック図で表したものである。スマートデバイス50には、図10に示す撮影部51及び照明部52並びに図11に示す表示部53、並びにこれらを制御する制御部100が設けられている。制御部100は、後述するCPU110、ROM120、RAM130及び記憶装置150をコンピュータのハードウェア資源として利用することで、以下の各手段として機能する。
【0023】
すなわち、制御部100は、照明部52による照明のオン/オフ(点灯/消灯)を切り替える照明切替手段200として機能する。照明切替手段200は、具体的にはスマートデバイス50にインストールされたアプリケーションとして実現することができるが、他にも、保持部40との間の電気的又は光学的なセンシングを利用した手段として、あるいは、保持部40との間の無線通信手段(たとえば、Bluetooth(登録商標)等)として実現することもできる。また、制御部100は、撮影部51による撮影の条件が記憶される撮影条件記憶手段210として機能する。撮影条件として規定される条件には、たとえば、測定対象物と試薬との反応に要する待機時間が含まれる。また、制御部100は、撮影部51を通じて、試験片60への試料の点着を検出する点着検出手段220として機能する。また、制御部100は、待機時間を計測する待機時間計測手段230として機能する。そして、制御部100は、撮影部51によって撮影された第一領域61の画像を記憶する画像記憶手段240として機能する。
【0024】
制御部100は、図15のハードウェア構成に示すように、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)120、RAM(Random Access Memory)130及び記憶装置150を有する。各構成は、バス190を介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
CPU110は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU110は、ROM120又は記憶装置150からプログラムを読み出し、RAM130を作業領域としてプログラムを実行する。CPU110は、ROM120又は記憶装置150に記録されているプログラムに従って、測定システム10の制御を行う。
【0026】
ROM120は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM130は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。記憶装置150は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリによるストレージとして構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0027】
一方、保持部40には、第一領域61を照射する測定光源42と、照明部52のオン/オフ(点灯/消灯)を検出するセンサ47と、センサ47からの信号が入力されると測定光源42を点灯させる光源制御部48とを備える。光源制御部48は、スマートデバイス50の制御部100と同様に、コンピュータのハードウェア資源として構成される。なお、光源制御部48は、後述の第一領域61の撮影時に測定光源42を点灯させる制御を行うことができるものであれば、センサ47からの信号の入力態様の如何(たとえば、有線又は無線)を問わずに測定光源42を点灯させることを実現できる。また、光源制御部48は測定光源42を消灯させる制御も行うことができる。
【0028】
上述のとおり、本実施形態の測定システム10は、第一領域61及び第二領域62を有する試験片60が挿入される挿入口41と、挿入口41から挿入された試験片60を内部に収容する収容部46と、収容部46に収容された試験片60に対向する窓31を有するハウジング20と、収容部46に収容された試験片60の第二領域62を照明する照明部52及び第一領域61及び第二領域62を撮影する撮影部51を有するスマートデバイス50と、で構成される。ハウジング20は、撮影部51及び照明部52を窓31に面する位置に配置した状態でスマートデバイス50を外面に載置する載置部30と、収容部46に収容された試験片60を内部に保持する保持部40と、保持部40の内部において第一領域61を照射する位置に設けられた測定光源42と、を有する。そして、この測定システム10では、後述するように、撮影部51による第一領域61の撮影時には測定光源42を点灯しつつ照明部52を消灯し、撮影部51による第二領域62の撮影時には照明部52を点灯する。このように構成されていることで、本実施形態の測定システム10では、試験片60に複数の撮影領域(すなわち、第一領域61及び第二領域62)がある場合、撮影領域に応じて適切な光源を用いた撮影を行うことができる。
【0029】
ここで、照明部52による照明のオン/オフ(点灯/消灯)を切り替える照明切替手段200として機能する制御部100は、第二領域62の撮影時には照明部52を点灯させるとともに、第一領域61の撮影時には照明部52を消灯させるように制御することができる。また、光源制御部48は、第一領域61の撮影時には測定光源42を点灯させるように制御することができる。また、測定光源42の消耗を防ぐ観点から、光源制御部48は、第二領域62の撮影時には測定光源42を消灯するように制御することが好ましい。
【0030】
ここで前記したように、第一領域61は、試験片60での測定対象物を測定する測定領域であり、第二領域62は試験片60の識別情報が記録されている識別領域である。測定領域では、対象反応帯において測定対象物と特異的に反応する試薬による発色や、測定対象物と特異的に結合する試薬による測定対象物の捕捉等によって、試料中の測定対象物を検出する。識別領域としては、たとえば、バーコードやQRコード(登録商標)等が付された領域が挙げられる。識別領域に記録される識別情報としては、試験片60に収容される試験紙64の種類、試験片60に適した測定条件、試験片60のロット情報などが挙げられる。また、測定光源42は、測定領域としての第一領域61において測定対象物の検出に適した光源である。たとえば、第一領域61の対象反応帯において測定対象物と反応する物質が紫外光に吸収を持つ場合、測定光源42は紫外光とすることで適切な撮影を行うことができる。なお、これによって、測定領域である第一領域61の撮影には、測定対象物に応じた波長の測定光源42を用い、識別領域である第二領域62の撮影にはスマートデバイス50の照明部52を光源として用いることができる。
【0031】
なお、第一領域61は、測定領域に限られず、測定光源42の点灯下で適切に撮影を行うことができるのであれば、識別領域でもよく、または、測定光源42や照明部52の光量や試験紙64の劣化を測定し、測定対象物の測定を補正するための補正領域であってもよく、またはそれ以外の領域であってもよい。また、第二領域62は、識別情報に限られず、照明部52の点灯下で適切に撮影を行うことができるのであれば、測定領域でもよく、補正領域であってもよく、又はそれ以外の領域であってもよい。照明部52は、一般的に可視光を照射するスマートデバイス50のフラッシュであるため、第二領域62は可視光で測定することができる対象物を含む領域であることが好ましい。
【0032】
なお、撮影部51による識別領域としての第二領域62の撮影時には、照明部52を点灯しつつ測定光源42を消灯することが望ましい。これによって、測定光源42を第一領域61の撮影に必要な際にのみ点灯することができるので、測定光源42の消耗を防ぐことができる。
【0033】
(7)測定システムによる測定対象物の測定方法
本実施形態の測定システム10による測定対象物の測定方法の一例を、図16のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、このフローチャートでは、スマートデバイス50が直接行う動作以外の操作を示す段階については、括弧書きでその概要を表示している。
【0034】
まず、図11に示すように、載置部30に保持部40を装着したハウジング20に、スマートデバイス50を載置した測定システム10を準備し、挿入口41から試験片60を挿入する。この段階で、表示部53(図11及び図14参照)の画面が操作されると、スマートデバイス50にインストール済の測定用のアプリケーションが起動され、測定が開始される。
【0035】
最初に、S100に示す段階において、照明切替手段200(図14参照)が、照明部52を点灯させる。この段階では、保持部40の測定光源42は消灯している。次いで、S110に示す段階において、撮影部51が、照明部52を光源として、識別領域である第二領域62を撮影する。撮影が完了すると、S120に示す段階へ進む。
【0036】
S120に示す段階では、制御部100は、撮影された第二領域62の画像から、撮影条件記憶手段210(図14参照)を参照して、当該試験片60による測定に際しての撮影条件を取得する。
【0037】
一方、この間に、測定者によって、試験片60の試料点着部63(図3参照)に、適量の試料が点着される。点着された試料は、試験片60の内部で試験紙64(図3参照)により下流側へ展開される。
【0038】
この間、制御部100の点着検出手段220(図14参照)は、S140に示す段階において、撮影部51からの画像を通じて、測定領域である第一領域61において、点着が完了したことを示す画像(たとえば、測定対象物との反応で生じたコントロール反応帯)が検出されたかどうかを監視し続ける。かかる画像が検出されると、S150に示す段階へ進む。
【0039】
S150に示す段階では、S140に示す段階における点着の完了の検出後、制御部100の待機時間計測手段230(図14参照)が、S120に示す段階で取得した撮影条件のうち、試験紙64における測定対象物と試薬との反応に要する待機時間が経過したかどうかを監視し続ける。
【0040】
S150に示す段階において、待機時間計測手段230によって、待機時間が経過したと判断されると、S160に示す段階で、照明切替手段200が、照明部52を消灯させる。
【0041】
一方、S170に示す段階において、保持部40では、照明部52の消灯をセンサ47(図1及び図14参照)を通じて光源制御部48が検知すると、測定光源42を点灯させる。
【0042】
測定光源42が点灯すると、S180に示す段階において、撮影部51が、第一領域61において測定光源42の波長で可視化される対象反応帯を撮影する。撮影が完了すると、保持部40の光源制御部48は、測定光源42を消灯させる。なお、撮影された画像は画像記憶手段240(図14参照)に記憶され、その後、測定対象物の含有量の計算に供される。
【0043】
(8)その他
上記の実施形態の測定システム10は、載置部30に別体の保持部40が組み合わされてハウジング20が形成されていたが、ハウジング20は、載置部30と保持部40とが一体となった構造であってもよい。その場合、ハウジング20に挿入口41が設けられ、その奥に設けられる空間が収容部46となる。そして、挿入口41から試験片60が挿入され、収容部46に収容された試験片60の第一領域61及び第二領域62が、上述の実施形態と同様にスマートデバイス50の撮影部51による撮影に供されることになる。
【0044】
また、試験片60は、上記の実施形態で記述したような、内部に試験紙64を収容した構造となっているが、たとえば尿試験紙のような試験紙64そのものを試験片60としてもよい。この場合、試験片60としての試験紙64の上に、第一領域61のみならず第二領域62が設けられることになる。またこの場合、試験紙64の材質については、上記の実施形態でも記載したように、濾紙のような吸水体、又は、合成樹脂製の基板の表面に吸水層が塗布されたものを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、試料中の測定対象物を試験片で展開して光学的に検出する測定システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 測定システム
20 ハウジング
30 載置部
41 挿入口
42 測定光源
46 収容部
50 スマートデバイス
51 撮影部
52 照明部
60 試験片
61 第一領域(測定領域)
62 第二領域(識別領域)
図1
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