(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000610
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】駆動伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 21/10 20060101AFI20231226BHJP
B41J 19/78 20060101ALI20231226BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F16H21/10 Z
B41J19/78 H
B41J2/01 303
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099375
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】荒川 悠太
(72)【発明者】
【氏名】白井 陽久
【テーマコード(参考)】
2C056
2C480
3J062
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA21
2C056EC54
2C056EC57
2C056FA10
2C056HA28
2C056HA29
2C056HA34
2C056HA37
2C056HA38
2C056JA01
2C056JA04
2C056JA13
2C056JB04
2C056JC13
2C056JC23
2C480CA31
2C480CB02
2C480CB08
2C480CB14
2C480CB27
2C480CB35
3J062AA35
3J062AB27
3J062AC08
3J062BA14
3J062CB02
3J062CB15
3J062CB27
3J062CB32
(57)【要約】
【課題】切替ギアの位置精度を確保しつつ、キャリッジと当接する位置と当接しない位置とに切替レバーを移動できる駆動伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動伝達装置70,80は、第1支軸82にスライド可能に支持され、駆動ギア81から駆動力が伝達されて回転する切替ギア83と、第1支軸82にスライド可能かつ回転可能に支持され、キャリッジ14の移動領域S1に突出した突出部84bが移動向きへ移動するキャリッジ14と当接することによって、切替ギア83を第1切替位置から第2切替位置へスライドさせる切替レバー84と、第2支軸41aに回転可能に支持され、駆動ギア81から駆動力が伝達されることにより、切替レバー84を回転させる回転部材94と、を備える。切替レバー84は、回転部材94により回転されて、突出部84bが移動領域S1内に位置する第1位置と、突出部84bが移動領域S1外に位置する第2位置と、に移動する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
上記モータから駆動力が伝達されて回転する駆動ギアと、
移動向きに移動可能なキャリッジと、
上記移動向きと平行な第1支軸にスライド可能に支持されており、上記駆動ギアから上記駆動力が伝達されて回転する切替ギアと、
上記第1支軸にスライド可能かつ回転可能に支持されており、上記キャリッジの移動領域に突出した突出部が上記移動向きへ移動する上記キャリッジと当接することによって、上記切替ギアを第1切替位置から第2切替位置へスライドさせる切替レバーと、
上記第1支軸に平行な第2支軸に回転可能に支持されており、上記駆動ギアから駆動力が伝達されることにより、上記切替レバーを回転させる回転部材と、を備えており、
上記切替レバーは、上記回転部材により回転されて、上記突出部が上記移動領域内に位置する第1位置と、上記突出部が上記移動領域外に位置する第2位置と、に移動する駆動伝達装置。
【請求項2】
上記第2支軸を有しており、上記モータから上記駆動力が伝達されて回転する搬送ローラと、
上記駆動ギアと上記回転部材との間に介在して駆動伝達する伝達部材と、を更に備えており、
上記搬送ローラの軸心は、上記移動向きと平行であり、
上記駆動ギアは、上記搬送ローラと一体に回転するものであり、
上記回転部材は、上記搬送ローラの軸心を中心に回転自在であり、
上記伝達部材は、摩擦力によって上記駆動ギアから上記回転部材に駆動力を伝達する請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
上記搬送ローラは、第1向きへ回転することによりシートを搬送し、
上記切替レバーは、上記第1向きの上記搬送ローラの回転が伝達されて上記第1位置から上記第2位置へ移動する請求項2に記載の駆動伝達装置。
【請求項4】
上記回転部材に当接して上記回転部材の回転範囲を規制する規制部材を更に備えており、
上記規制部材は、上記回転部材の回転範囲を、上記切替レバーが上記第1位置と上記第2位置との間となる範囲に規制する請求項3に記載の駆動伝達装置。
【請求項5】
上記回転部材は、上記第2支軸に回転可能に支持された筒状の回転部と、上記回転部の外周面から上記回転部の半径方向に沿って突出する凸部と、を有しており、
上記切替レバーは、上記第1位置と上記第2位置のうちの少なくとも一方に位置する状態において、上記凸部の突出端面に接触する接触面を有する請求項1から4のいずれかに記載の駆動伝達装置。
【請求項6】
モータと、
上記モータから駆動力が伝達されて回転する駆動ギアと、
移動向きに移動可能なキャリッジと、
上記移動向きと平行な第1支軸にスライド可能に支持されており、上記駆動ギアから上記駆動力が伝達されて回転する切替ギアと、
上記第1支軸にスライド可能かつ回転可能に支持されており、上記キャリッジの移動領域に突出した突出部が上記移動向きへ移動する上記キャリッジと当接することによって、上記切替ギアを第1切替位置から第2切替位置へスライドさせる切替レバーと、
上記切替レバーの上記切替ギアとは反対側に配置されており、上記駆動ギアから上記駆動力が伝達されることにより、上記切替レバーを回転させる回転伝達部材と、を備えており、
上記切替レバーは、上記回転伝達部材により回転されて、上記突出部が上記移動領域内に位置する第1位置と、上記突出部が上記移動領域外に位置する第2位置と、に移動する駆動伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動力を複数の部位へ伝達可能な駆動伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動力を複数の部位へ伝達可能な駆動伝達装置としては、例えば、特許文献1に記載された画像形成装置が知られている。特許文献1の画像形成装置は、モータと、上記モータの回転によって回転する駆動ギアと、上記モータの動力が伝達されて動作する複数の作動部位と、被記録媒体が供給される方向と直交する方向に往復移動可能なキャリッジと、上記キャリッジの移動方向と平行な支軸に回転可能、かつ、摺動可能に支持されており、上記駆動ギアと噛み合って回転する切替えギアと、上記支軸に摺動可能かつ回動可能に支持された切換えレバーと、上記切換えギアと切換えレバーとの間において、上記支軸に摺動可能かつ回転可能に支持されており、上記切換えギアの回転を上記切換えレバーに伝達する回転伝達部材と、を備える。
【0003】
切換えレバーは、キャリッジの移動経路上の接触可能位置と移動経路外の非接触位置とのいずれかの位置に回動可能な接触部を有する。切換えレバーは、キャリッジが接触可能位置にある接触部と接触したときに、複数の作動部位と対応する複数の作動位置のいずれかの位置に切換えギアを移動させる。回転伝達部材は、切換えギアの回転を切換えレバーに伝達することにより、切換えレバーを接触可能位置と非接触位置との間で回動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された画像形成装置では、回転伝達部材は、切替えギアと切換えレバーとの間に介在され、羊毛繊維のフェルトによって形成された弾性を有する部材であるので、切替ギアの複数の作動位置に対する位置が、回転伝達部材の影響を受けやすい。このため、切替えギアは、切替えレバーによって複数の作動位置のいずれかの位置へ移動したときに、複数の作動位置に対する位置が移動方向にずれやすいという問題がある。その結果、モータの動力の駆動切り替えが正常に作動しないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、切替ギアの位置精度を確保しつつ、キャリッジと当接する位置と当接しない位置とに切替レバーを移動できる駆動伝達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る駆動伝達装置は、モータと、上記モータから駆動力が伝達されて回転する駆動ギアと、移動向きに移動可能なキャリッジと、上記移動向きと平行な第1支軸にスライド可能に支持されており、上記駆動ギアから上記駆動力が伝達されて回転する切替ギアと、上記第1支軸にスライド可能かつ回転可能に支持されており、上記キャリッジの移動領域に突出した突出部が上記移動向きへ移動する上記キャリッジと当接することによって、上記切替ギアを第1切替位置から第2切替位置へスライドさせる切替レバーと、上記第1支軸に平行な第2支軸に回転可能に支持されており、上記駆動ギアから駆動力が伝達されることにより、上記切替レバーを回転させる回転部材と、を備える。上記切替レバーは、上記回転部材により回転されて、上記突出部が上記移動領域内に位置する第1位置と、上記突出部が上記移動領域外に位置する第2位置と、に移動する。
【0008】
切替レバーは、突出部がキャリッジの移動領域内に位置する第1位置に配置されても、回転部材の回転により、突出部がキャリッジの移動領域外に位置する第2位置へと移動できるので、シートの搬送時において、切替レバーを第2位置へ移動させることにより、キャリッジが切替レバーに接触しないようにできる。モータの駆動力は、第1支軸に平行な第2支軸に回転可能に支持された回転部材から切替レバーに伝達されるので、弾性を有する回転伝達部材が切替ギアと切替レバーとの間に介在される場合に比べて、切替ギアの第1切替位置および第2切替位置に対する位置が移動向きにずれにくい。このため、切替ギアの位置精度を確保することができる。
【0009】
(2)上記駆動伝達装置は、上記第2支軸を有しており、上記モータから上記駆動力が伝達されて回転する搬送ローラと、上記駆動ギアと上記回転部材との間に介在して駆動伝達する伝達部材と、を更に備えてもよい。上記搬送ローラの軸心は、上記移動向きと平行であってもよい。上記駆動ギアは、上記搬送ローラと一体に回転するものであってもよい。上記回転部材は、上記搬送ローラの軸心を中心に回転自在であってもよい。上記伝達部材は、摩擦力によって上記駆動ギアから上記回転部材に駆動力を伝達してもよい。
【0010】
上記切替レバーを第1位置または第2位置に維持した状態で、駆動ギアから切替ギアにモータの駆動力を伝達することができる。このため、切替レバーを第2位置に維持した状態では、搬送ローラによるシートの搬送動作を連続して行うことができる。
【0011】
(3)上記搬送ローラは、第1向きへ回転することによりシートを搬送してもよい。上記切替レバーは、上記第1向きの上記搬送ローラの回転が伝達されて上記第1位置から上記第2位置へ移動してもよい。
【0012】
搬送ローラによるシートの搬送時において、移動向きに移動するキャリッジが切替レバーに接触しない状態を維持できる。
【0013】
(4)上記駆動伝達装置は、上記回転部材に当接して上記回転部材の回転範囲を規制する規制部材を更に備えてもよい。上記規制部材は、上記回転部材の回転範囲を、上記切替レバーが上記第1位置と上記第2位置との間となる範囲に規制してもよい。
【0014】
切替レバーが他部品に接触することによる摩耗を抑制することができる。
【0015】
(5)上記回転部材は、上記第2支軸に回転可能に支持された筒状の回転部と、上記回転部の外周面から上記回転部の半径方向に沿って突出する凸部と、を有してもよい。上記切替レバーは、上記第1位置と上記第2位置のうちの少なくとも一方に位置する状態において、上記凸部の突出端面に接触する接触面を有してもよい。
【0016】
回転部材から作用する力とは別の外力により、切替レバーが回転しようとしたときに、回転部材の中心に向かう向きの力が接触面から突出端面に作用するので、切替レバーが回転しにくい。このため、切替レバーが意図した状態とは異なる状態に切り替わりにくい。
【0017】
(6)本発明に係る駆動伝達装置は、モータと、上記モータから駆動力が伝達されて回転する駆動ギアと、移動向きに移動可能なキャリッジと、上記移動向きと平行な第1支軸にスライド可能に支持されており、上記駆動ギアから上記駆動力が伝達されて回転する切替ギアと、上記第1支軸にスライド可能かつ回転可能に支持されており、上記キャリッジの移動領域に突出した突出部が上記移動向きへ移動する上記キャリッジと当接することによって、上記切替ギアを第1切替位置から第2切替位置へスライドさせる切替レバーと、上記切替レバーの上記切替ギアとは反対側に配置されており、上記駆動ギアから上記駆動力が伝達されることにより、上記切替レバーを回転させる回転伝達部材と、を備える。上記切替レバーは、上記回転伝達部材により回転されて、上記突出部が上記移動領域内に位置する第1位置と、上記突出部が上記移動領域外に位置する第2位置と、に移動する。
【0018】
切替レバーは、突出部がキャリッジの移動領域内に位置する第1位置に配置されても、回転部材の回転により、突出部がキャリッジの移動領域外に位置する第2位置へと移動できるので、シートの搬送時において、切替レバーを第2位置へ移動させることにより、キャリッジが切替レバーに接触しないようにできる。モータの駆動力は、切替レバーの上記切替ギアとは反対側に配置された回転伝達部材から切替レバーに伝達されるので、回転伝達部材が切替ギアと切替レバーとの間に介在される場合に比べて、切替ギアの第1切替位置および第2切替位置に対する位置が移動向きにずれにくい。このため、切替ギアの位置精度を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、切替ギアの位置精度を確保しつつ、キャリッジと当接する位置と当接しない位置とに切替レバーを移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における画像記録装置1の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、筐体2の内部構成を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、筐体2の内部構成の一部を拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、メンテナンス機構60を示す図である。
【
図5】
図5は、切替ギア83が給紙伝動ギア92と噛み合う給紙伝動位置に位置する状態を示す図である。
【
図6】
図6は、切替レバー84が突出位置に位置する状態を示す図である。
【
図7】
図7は、切替レバー84が退避位置に位置する状態を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、レバー部84bが第1レバー位置PS1に位置する状態を示す図であり、
図8(b)は、レバー部84bが第2レバー位置PS2に位置する状態を示す図である。
【
図9】
図9は、切替ギア83がメンテ伝動ギア93と噛み合う給紙伝動位置に位置する状態を示す図である。
【
図10】
図10は、画像記録装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、画像記録処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、給紙動作処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2実施形態の動力伝達機構70および動力伝達切替機構80を示す図であり、(a)は、切替ギア83が給紙伝動ギア92と噛み合う給紙伝動位置に位置する状態を示す図であり、(b)は、切替ギア83がメンテ伝動ギア93と噛み合うメンテ伝動位置に位置する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明において、開口2aが向く向きを前向き51とし、前方の反対向きを後向き52とする。前方と後方とを合せて前後方向51,52とする。前後方向51,52と直交する上下の方向を上下方向53,54とする。前後方向51,52および上下方向53、54と直交する方向を左右方向55,56とする。上下方向53,54の上向きを上向き53とし、下向きを下向き54とする。画像記録装置1を後向き52に視て、左右方向55、56の左向きを左向き55とし、右向きを右向き56とする。
【0022】
[画像記録装置1の外観構成]
図1に示されるように、画像記録装置1は、下部に設けられたプリンタ部6と上部に設けられたスキャナ部3とを一体的に備えた複合機である。なお、画像記録装置1は、必ずしもスキャナ部3を有している必要はなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタとして実施されてもよい。
【0023】
[スキャナ部3]
スキャナ部3は、プリンタ部6の上方に位置する。スキャナ部3は、いわゆるフラットベッドスキャナである。スキャナ部3は、プリンタ部6の上方に設けられたスキャナ本体3aと、スキャナ本体3aの上方に設けられた原稿カバー3bとを有する。スキャナ本体3aの上面には、原稿が載置されるプラテンガラス(非図示)が設けられている。スキャナ本体3aの内部には、プラテンガラス上の原稿の画像を光学的に読み取り可能なイメージセンサ(図示せず)が設けられている。原稿カバー3bは、後述の筐体2の後方側端部に左右方向55,56に延びる回動軸を中心に回動可能に取り付けられている。原稿カバー3bは、例えば、ヒンジによって筐体2に取り付けられる。
【0024】
原稿カバー3bの上面には操作パネル4が配置されている。操作パネル4は、原稿カバー3bの上面の前部に位置している。操作パネル4は、数字ボタンやスタートボタン、機能操作ボタン等の各種のボタン4aが配置されている。操作パネル4は、画像記録装置1の設定状態や各種の操作メッセージ等を表示するディスプレイ5を有する。ディスプレイ5は、操作パネル4の左右方向55,56の中央に位置している。
【0025】
[プリンタ部6の外観構成]
プリンタ部6は、筐体2を有する。筐体2の前面には、筐体2の内部空間を外部へ開放する開口2aが形成されている。開口2aは、筐体2の左右方向55,56の略中央に位置している。開口2aは、上下方向53,54よりも左右方向55,56に長い矩形状である。開口2aを通して筐体2の内部空間から筐体2の外部へ引出可能な給紙カセット7および排紙トレイ44が設けられている(
図2参照)。給紙カセット7は、複数枚の用紙P(シートの一例)をほぼ水平に堆積状態に載置可能である。排紙トレイ44は、給紙カセット7の上方に位置している。排紙トレイ44は、記録済みの用紙Pを支持する。
【0026】
[プリンタ部6の内部構成]
図2、
図3に示されるように、筐体2の内部空間には、キャリッジ移動機構10、インク供給機構20、給紙機構30、搬送機構40、メンテナンス機構60、動力伝達機構70、および動力伝達切替機構80が配置されている。動力伝達機構70および動力伝達切替機構80は、駆動伝達装置の一例である。
【0027】
筐体2の内部空間には、前後方向51,52に離間する位置において各々が左右方向55,56に延設された一対のガイドプレート12,13が設けられている。ガイドプレート12は、ガイドプレート13の後方に位置している。一対のガイドプレート12,13は、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに支持されている。ガイドプレート12,13は、プラテン43上を搬送される用紙Pに画像が形成される画像記録範囲K1よりも左右方向55,56の外方まで延びている。
【0028】
一対のガイドプレート12,13にはキャリッジ14が支持されている。キャリッジ14は、搭載部14aおよび当接部14bを有する。搭載部14aは、後述の記録ヘッド15を搭載可能な空間を有する箱型に形成されている。搭載部14aは、下向き54に開口している。搭載部14aは、記録ヘッド15を搭載している。当接部14bは、搭載部14aの後方端から後向き54に突出している。キャリッジ14の前後方向51,52の長さは、一対のガイドプレート12,13の前後方向51,52の間隔よりも長い。キャリッジ14は、一対のガイドプレート12,13に左右方向55,56(移動向きの一例)に摺動可能に支持されている。記録ヘッド15は、インクジェット方式でインクを吐出する。記録ヘッド15は、下向き54にインクを吐出する複数のノズル140を有する。記録ヘッド15の下方にプラテン43が配置されている。プラテン43は、記録ヘッド15と上下方向53,54に対向している。プラテン43は、搬送機構40によって搬送される用紙Pを下方から支持する。プラテン43は、画像記録範囲K1よりも左右方向55,56の外方まで延びている。プラテン43は、後述の搬送路35の一部を形成している。
【0029】
プラテン43上における画像記録範囲K1よりも左方にインク受け部57が配置されている。インク受け部57は、記録動作中に定期的にフラッシング位置FPに移動した記録ヘッド15から吐出されたインクを受ける。これにより、ノズル140の目詰まりを防止している。
【0030】
キャリッジ移動機構10は、CRモータ16、駆動プーリ17a、従動プーリ17b、およびタイミングベルト18を有する。CRモータ16は、ガイドプレート13の右側端部の下方に位置している。CRモータ16は、キャリッジ14を駆動するためのものである。CRモータ16の回転速度および回転方向は、後述のASIC306によって制御される。駆動プーリ17aは、ガイドプレート13の右側端部の上方に位置している。駆動プーリ17aは、CRモータ16と接続している。従動プーリ17bは、ガイドプレート13の左側端部の上方に位置している。タイミングベルト18は、ガイドプレート13の上方において左右方向55,56に延びるように駆動プーリ17aと従動プーリ17bとの間に掛け渡されている。タイミングベルト18の一部分においてキャリッジ14が連結されている。これにより、CRモータ16が正逆回転すると、駆動プーリ17aおよび従動プーリ17bを介してタイミングベルト18が左右方向55,56に往復移動する。その結果、記録ヘッド15が搭載されたキャリッジ14が左右方向55,56に往復移動する。キャリッジ14は、画像記録範囲K1よりも右方に位置するホームポジションHPと、画像記録範囲K1よりも左方に位置するフラッシング位置FPと、の間において左右方向55,56に移動可能である。キャリッジ14が左右方向55,56に往復移動し得る空間の領域がキャリッジ14の移動領域S1である。フラッシング位置FPに位置するキャリッジ14は、インク受け部57と上下方向53,54に対向している。
【0031】
インク供給機構20は、インクカートリッジ24、およびインクチューブ23を有する。インクカートリッジ24は、記録ヘッド15に供給されるインクを収容している。インクカートリッジ24は、異なる色のインクを収容した4個のインクカートリッジ24を有する。本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色であるが、それ以上の色のインクが使用されてもよい。インクカートリッジ24は、筐体2の内部空間の右側前方に配置されたカートリッジ装着部に着脱可能である。インクチューブ23は、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジ24と記録ヘッド15とを接続している。インクチューブ23を通じてインクカートリッジ24から記録ヘッド15にインクが供給される。インクチューブ23は、可撓性を有する素材によって形成されている。
【0032】
図2に示されるように、給紙機構30は、駆動軸31、給紙アーム32、給紙ローラ33、および歯車伝達機構34、を有する。駆動軸31は、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに回転可能に支持されている。駆動軸31は、左右方向55,56に沿って延びている。駆動軸31は、後述するLFモータ71(モータの一例)の駆動力によって駆動する。給紙アーム32は、駆動軸31を中心に回動自在に駆動軸31に支持されている。給紙アーム32は、不図示のアーム付勢バネによって下向きに回動する方向に付勢されている。給紙ローラ33は、給紙アーム32の先端に回転可能に支持されている。給紙ローラ33は、給紙カセット7に堆積された用紙Pに当接している。歯車伝達機構34は、給紙アーム32内に配置されている。歯車伝達機構34は、駆動軸31からの駆動力を給紙ローラ33に伝達するための複数の歯車を有する。これにより、給紙ローラ33は、LFモータ71が逆回転すると、
図2で時計回りに回転し、給紙カセット7に堆積された用紙PをU字状の搬送路35に給送する。一方、給紙ローラ33は、LFモータ71が正回転すると、用紙Pから離れて用紙Pを搬送路35に給送しないように構成されている。
【0033】
搬送路35は、給紙カセット7の後方から前向き51にUターンするようにカーブしている。搬送路35のUターンする部分は、前後方向51,52に間隔を空けて対向する外側ガイド部材21及び内側ガイド部材19の内部空間によって形成されている。搬送路35は、Uターンする部分の下流端から開口2aまで前向き51にストレートに延びている。
【0034】
搬送機構40は、搬送ローラ対41および排紙ローラ対42を有する。搬送ローラ対41は、プラテン43よりも用紙Pの搬送方向22の上流に位置している。搬送ローラ対41は、搬送ローラ41a(第2支軸の一例)と従動ローラ41bとを有する。搬送ローラ41aは、搬送路35の下方に位置している。搬送ローラ41aは、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに回転可能に支持されている。搬送ローラ41aは、左右方向55,56に沿った軸心29を有する。搬送ローラ41aは、後述するLFモータ71を駆動源として駆動される。搬送ローラ41aは、LFモータ71が正回転すると、
図2において時計回り方向(第1向きの一例)に回転する。搬送ローラ41aは、LFモータ71が逆回転すると、
図2において反時計回り方向に回転する。
【0035】
従動ローラ41bは、搬送路35の上方において搬送ローラ41aに当接するように位置している。従動ローラ41bは、搬送ローラ41aとの間で用紙Pをニップしつつ、プラテン43上に用紙Pを搬送する。
【0036】
排紙ローラ対42は、プラテン43よりも用紙Pの搬送方向22の下流に位置している。排紙ローラ対42は、排紙ローラ42aおよび拍車ローラ42bを有する。排紙ローラ42aは、搬送路35の下方に位置している。排紙ローラ42aは、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに回転可能に支持されている。排紙ローラ42aは、左右方向55,56に沿った回転軸28を有する。排紙ローラ42aは、後述するLFモータ71を駆動源として駆動される。排紙ローラ42aは、LFモータ71が正回転すると、
図2において時計回り方向に回転する。排紙ローラ42aは、LFモータ71が逆回転すると、
図2において反時計回り方向に回転する。排紙ローラ42aは、不図示の伝達機構によって搬送ローラ41aと連動している。
【0037】
拍車ローラ42bは、搬送路35の上方において排紙ローラ42aに当接するように位置している。拍車ローラ42bは、排紙ローラ42aとの間で用紙Pをニップしつつ、排紙トレイ44に記録済みの用紙Pを搬送する。
【0038】
図3、
図4に示されるように、メンテナンス機構60は、プラテン43上における画像記録範囲K1よりも右方に位置するメンテナンス位置MPに位置している。メンテナンス機構60は、ホームポジションHPに位置するキャリッジ14と上下方向53,54に対向している。メンテナンス機構60は、可動部111と、可動部111を上下方向53,54へ移動させるカム機構112と、ワイパーブレード63と、インクが流れるチューブ121と、インクを吸引する吸引ポンプ113と、を備えている。
【0039】
可動部111には、ゴム材料からなるキャップ114が設けられている。キャップ114は、ホームポジションHPに位置するキャリッジ14に搭載された記録ヘッド15と上下方向53,54に対向している。キャップ114は、上向き53に開口する箱型である。カム機構112は、キャッピングモータ62(
図10参照)により駆動され、可動部111を上下方向53,54に移動させる。これにより、キャップ114は、記録ヘッド15の下面に密着してノズル140を覆った密着位置とノズル面から下方に離間した待機位置とに移動可能である。ワイパーブレード63は、キャップ114の左方に位置している(
図3参照)。ワイパーブレード63は、記録ヘッド15のノズル面を払拭してクリーニングを行うためのものである。なお、カム機構112は、キャリッジ14がカムに接触した状態で左右方向55,56に移動することによって可動部111を上下方向53,54に移動させてもよい。この場合、キャリッジ14がホームポジションHPに近づくにつれて、可動部111が上向き53に移動するように構成される。キャリッジ14がホームポジションHPから離れるにつれて、可動部111が下向き54に移動するように構成される。キャリッジ14がホームポジションHPに位置したときに、キャップ114が記録ヘッド15の下面に密着するように構成される。
【0040】
チューブ121は、可撓性を有する樹脂チューブである。チューブ121の一端は、キャップ114に接続されている。チューブ121の他端は、廃インクタンク120に接続されている。吸引ポンプ113は、ロータリー式のチューブポンプである。吸引ポンプ113は、内壁面を備えたケーシングと、内壁面に沿って転動される転動ローラとを有する。転動ローラと内壁面との間にチューブ121が配置される。転動ローラは、後述するLFモータ71(
図10参照)により駆動される。吸引ポンプ113は、キャップ114が記録ヘッド15のノズル面に下方から密着した状態で、ノズル140からインクを吸引するパージ処理を実行するためのものである。具体的には、吸引ポンプ113は、転動ローラが駆動されることにより、ノズル140内のインクをキャップ114に吸引する。キャップ114に吸引されたインクは、チューブ121通して廃インクタンク120に排出される。
【0041】
図5に示されるように、動力伝達機構70は、LFモータ71、歯車伝達機構72、搬送ローラ41a、および駆動ギア81を有する。LFモータ71は、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに固定されている。LFモータ71は、搬送ローラ41aの前方に位置している。LFモータ71は、搬送ローラ41aと平行に左向き56に延びるモータ駆動軸71aを有する。
【0042】
歯車伝達機構72は、LFモータ71の左方に位置している。歯車伝達機構72は、ピニオン72aおよび伝動ギア72bを有する。ピニオン72aは、LFモータ71のモータ駆動軸71aの左端部に固定されている。伝動ギア72bは、ピニオン72aの後側においてピニオン72aと噛み合っている。伝動ギア72bは、搬送ローラ41aの左端部に固定されている。これにより、歯車伝達機構72は、LFモータ71の駆動力をピニオン72aおよび伝動ギア72bを介して搬送ローラ41aに伝達可能である。駆動ギア81は、搬送ローラ41aの左右方向55,56の中間位置よりも右方において軸心29に固定されている。駆動ギア81は、LFモータ71の駆動力を動力伝達切替機構80に伝達する。
【0043】
動力伝達切替機構80は、給紙ローラ33とメンテナンス機構60の吸引ポンプ113との間で駆動ギア81からの駆動力の伝達を切り替えるためのものである。動力伝達切替機構80は、回転部材94、切替ギア83、切替レバー84、および動力伝達部90を有する。
【0044】
回転部材94は、駆動ギア81の右方に間隔を空けて搬送ローラ41aの右端部において軸心29に回転可能に支持されている。
図6に示されるように、回転部材94は、第1回転部95、凸部96、および回転止め部97を有する。第1回転部95は、左右方向55,56に沿って延びる円筒状である。第1回転部95の左右方向55,56の両端は開口している。第1回転部95は、搬送ローラ41aの右端部に固定された平板状のギア止め98により、搬送ローラ41aから抜け止めされている。
【0045】
凸部96は、第1回転部95の外周面から第1回転部95の半径方向に沿って突出している。凸部96は、切替レバー84に向かって後向き52に突出している。凸部96は、第1回転部95の左端から右端に亘って形成されている。凸部96は、搬送ローラ41aの軸心29に直交する平面で切断した断面において矩形状に形成されている。凸部96は、第1回転部95の外周面に接触する仮想的な接平面101と平行な突出端面96aと、突出端面96aと直角を成す上側面96bおよび下側面96cとを有する。上側面96bは上向き53である。下側面96cは下向き54である。
【0046】
回転止め部97は、第1回転部95の外周面において凸部96と円周方向に間隔を空けて配置されている。回転止め部97は、第1回転部95の外周面から突出するように形成されている。回転止め部97は、搬送ローラ41aの軸心29を中心に凸部96に対して90度の位置に位置している。本実施形態では、回転止め部97は、第1回転部95の外周面において凸部96よりも下方の位置から下向きに突出している。回転止め部97は、第1回転部95の左端から右端に亘って形成されている。回転止め部97は、搬送ローラ41aの軸心29に直交する平面で切断した断面において下向き54に細くなる直角三角形状に形成されている。回転止め部97は、互いに直角を成す後当接面97aおよび下当接面97bを有する。後当接面97aは後向き52である。下当接面97bは下向き54である。
【0047】
回転部材94は、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに形成された規制部材99によって回転範囲が規制されている。規制部材99は、回転部材94の下方に形成されている。規制部材99は、互いに前後方向51,52に間隔を空けて位置する前規制部99aおよび後規制部99bを有する。前規制部99aは、後規制部99bの前方に位置している。前規制部99aは、回転止め部97の下当接面97bに当接可能な上係止面99aaを有する。上係止面99aaは後方斜め上向きである。後規制部99bは、回転止め部97の後当接面97aに当接可能な前係止面99bbを有する。前係止面99bbは前向き51である。回転部材94は、下当接面97bが上係止面99aaに当接する第1当接位置(
図6参照)と、後当接面97aが前係止面99bbに当接する第2当接位置(
図7参照)と、の間で回転可能である。
【0048】
回転部材94と駆動ギア81との間に第1付勢バネ86a(伝達部材の一例)が配置されている(
図5参照)。第1付勢バネ86aは、コイルバネによって形成されている。第1付勢バネ86aは、内部に搬送ローラ41aが挿入されることによって搬送ローラ41aに取り付けられている。第1付勢バネ86aは、左右方向55,56に圧縮した状態で回転部材94の左端面と駆動ギア81の右端面とに接触している。これにより、駆動ギア81が回転したときに、駆動ギア81の右端面と第1付勢バネ86aとの間、および、第1付勢バネ86aと回転部材94の左端面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力により、駆動ギア81の回転が第1付勢バネ86aを介して回転部材94に伝達されるようにしている。一方、回転部材94が第1当接位置または第2当接位置に当接して回転が止められた状態で駆動ギア81が回転すると、第1付勢バネ86aが回転部材94に対して空回りする。これにより、搬送ローラ41aが連続して回転可能である。
【0049】
図5、
図6に示されるように、切替ギア83は、搬送ローラ41aと平行に左右方向55,56に沿って延びる支軸82(第1支軸の一例)にスライド可能かつ回転可能に支持されている。支軸82は、駆動ギア81の後方に位置している。支軸82は、筐体2の内部空間に配置された内部フレームに支持されている。切替ギア83は、複数の歯を外周面に有する筒状のギア部83aと、ギア部83aの右端面から右向き56に延びる筒状の筒部83bと、を有する。ギア部83aは、駆動ギア81と噛み合っている。ギア部83aは、駆動ギア81の回転に伴って回転する。ギア部83aは、駆動ギア81の回転を動力伝達部90に伝達する。筒部83bは、駆動ギア81よりも右方に延びている。筒部83bの半径方向の長さは、ギア部83aの半径方向の長さよりも短い。
【0050】
切替レバー84は、支軸82において切替ギア83の筒部83bの右方に配置されている。切替レバー84は、回転部材94の後方に位置している。切替レバー84は、第2回転部84a、レバー部84b、および係合溝84cを有する。第2回転部84aは、左右方向55,56に沿って延びる筒状である。第2回転部84aは、支軸82にスライド可能かつ回転可能に支持されている。レバー部84b(突出部の一例)は、第2回転部84aの外周面から半径方向に沿って延びている。本実施形態では、レバー部84bは、上向き53に延びている。レバー部84bは、ガイドプレート12に形成された規制孔88を上向き54に通過してガイドプレート12の上方に至っている。規制孔88の詳細については後述する。
【0051】
係合溝84cは、第2回転部84aにおける回転部材94と対向する側に形成されている。本実施形態では、係合溝84cは、第2回転部84aの前側に形成されている。係合溝84cは、第2回転部84aの外周面から凹むように形成されている。係合溝84cは、左右方向55,56に沿って延びている。係合溝84cは、第2回転部84aの左右方向55,56の全長に亘って形成されている。係合溝84cは、第2回転部84aの左右方向55,56の両端面に開口している。係合溝84cは、回転部材94の凸部96と係合している。係合溝84cは、左右方向55,56から視て直角を成す前向き面84ca(接触面の一例)および下向き面84cb(接触面の一例)を有する。前向き面84caおよび下向き面84cbは、第1当接位置の回転部材94の凸部96の突出端面96aおよび上側面96bにそれぞれ接触している(
図6参照)。これにより、切替レバー84は、回転部材94が第1当接位置から第2当接位置に向けて回転(
図6において反時計回り)すると、回転部材94とは反対向き(
図6において時計回り)に回転する。前向き面84caおよび下向き面84cbは、第2当接位置の回転部材94の凸部96の下側面96cおよび突出端面96aに接触している(
図7参照)。これにより、切替レバー84は、回転部材94が第2当接位置から第1当接位置に向けて回転(
図7において時計回り)すると、回転部材94とは反対向き(
図7において反時計回り)に回転する。
【0052】
切替レバー84は、回転部材94が第1当接位置と第2当接位置との間で回転することにより、突出位置(第1位置の一例)と退避位置(第2位置の一例)との間で回転する。突出位置は、レバー部84bが規制孔88の後述の案内孔88aに位置することにより、キャリッジ14の移動領域S1内にレバー部84bが位置する位置である(
図3、
図6参照)。退避位置は、レバー部84bが規制孔88の後述の退避孔88bを後向き52に移動することにより、キャリッジ14の移動領域S1外にレバー部84bが位置する位置である(
図3、
図7参照)。
【0053】
図3に示されるように、規制孔88は、ガイドプレート12における画像記録範囲K1よりも右方に位置している。規制孔88は、ガイドプレート12を上下方向53,54に貫通している。規制孔88は、左右方向55,56に沿って延びる案内孔88aと、前後方向51,52に沿って延びる退避孔88bと、を有する。規制孔88は、平面視においてL字状に連続している。案内孔88aは、レバー部84bが左右方向55,56に沿って移動可能に形成されている。案内孔88aの左端部は、画像記録時にキャリッジ14が左右方向55,56に沿って移動する画像記録動作範囲K2と上下方向53,54に重なっている。画像記録動作範囲K2の左右方向55,56の両端は、画像記録範囲K1よりも左右方向55,56の外方に位置している。退避孔88bは、案内孔88aの左端部から後向き52に延びている。退避孔88bは、切替レバー84が突出位置と退避位置との間で回転するときに、レバー部84bが前後方向51,52に沿って移動可能に形成されている。
【0054】
図5に示されるように、切替レバー84の右方に第2付勢バネ86bが配置されている。第2付勢バネ86bは、コイルバネによって形成されている。第2付勢バネ86bは、内部に支軸82が挿入された状態で筐体2の内部空間の内部フレームに取り付けられている。第2付勢バネ86bは、左右方向55,56に圧縮した状態で切替レバー84の右端面に接触している。これにより、第2付勢バネ86bは、切替レバー84を左向き55に付勢することにより、切替レバー84を切替ギア83に押し付けている。
【0055】
切替ギア83の左方に第3付勢バネ86cが配置されている。第3付勢バネ86cは、コイルバネによって形成されている。第3付勢バネ86cは、内部に支軸82が挿入された状態で筐体2の内部空間の内部フレームに取り付けられている。第3付勢バネ86cは、左右方向55,56に圧縮した状態で切替ギア83の左端面に接触している。第3付勢バネ86cは、切替ギア83を右向き56に付勢することにより、切替ギア83を切替レバー84に押し付けている。第3付勢バネ86cの付勢力は、第2付勢バネ86bの付勢力よりも小さくなるように設定されている。
【0056】
図8(a)に示されるように、突出位置の切替レバー84のレバー部84bは、キャリッジ14が画像記録時に画像記録範囲K1に位置するとき、第2付勢バネ86bの付勢力により、案内孔88aの左端部である第1レバー位置PS1に位置している。第1レバー位置PS1のレバー部84bは、左右方向55,56から視て、キャリッジ14の当接部14bと重なっている(
図3,
図8参照)。切替ギア83は、動力伝達部90の後述の給紙伝動ギア92と噛み合う給紙伝動位置(第1切替位置の一例)に位置している(
図5参照)。
【0057】
図8(b)に示されるように、突出位置の切替レバー84のレバー部84bは、画像記録範囲K1からホームポジションHPに向けて右向き56に移動するキャリッジ14の当接部14bに当接することにより、第2付勢バネ86bの付勢力に抗して案内孔88aを右向き56に移動する。このとき、切替ギア83は、第3付勢バネ86cの付勢力によって右向き56に移動して、動力伝達部90の後述のメンテ伝動ギア93に噛み合うメンテ伝動位置(第2切替位置の一例)まで移動する(
図9参照)。レバー部84bは、キャリッジ14がホームポジションHPまで移動した状態では、案内孔88aの右端部である第2レバー位置PS2に位置している。なお、
図8(b)では、規制孔88とレバー部84bとの位置関係を分かりやすくするため、キャリッジ14を小さく描いている。
【0058】
図5に示されるように、動力伝達部90は、支軸91、給紙伝動ギア92、およびメンテ伝動ギア93を有する。支軸91は、支軸82の後方に位置している。支軸91は、支軸82と平行である。支軸91は、筐体2の内部空間の内部フレームに支持されている。
【0059】
給紙伝動ギア92は、支軸91に回転可能に取り付けられている。給紙伝動ギア92は、給紙伝動位置の切替ギア83と噛み合っている。給紙伝動ギア92は、不図示の伝達機構を介して給紙機構30の駆動軸31に連結されている。メンテ伝動ギア93は、給紙伝動ギア92の右方に間隔を空けて位置している。メンテ伝動ギア93は、支軸91に回転可能に取り付けられている。メンテ伝動ギア93は、メンテ伝動位置の切替ギア83と噛み合っている。メンテ伝動ギア93は、不図示の伝達機構を介してメンテナンス機構60の吸引ポンプ113のポンプギアに連結されている。
【0060】
図10に示されるように、画像記録装置1の全体的な動作を制御するコントローラが設けられている。コントローラは、CPU300、ROM301、RAM302、EEPROM303、およびASIC306を有する。CPU300は、バス305を介してASIC306に接続されている。
【0061】
ROM301は、インクジェットプリンタの各種動作を制御するプログラム等を格納している。RAM302は、CPU300がこれらのプログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。EEPROM303は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等を格納する。
【0062】
ASIC306は、CPU300からの指令に従い、LFモータ71に通電する相励磁信号等を生成する。駆動回路311は、この相励磁信号に従ってLFモータ71に通電し、LFモータを回転駆動する。駆動回路311は、LFモータ71の励磁相の切換えにより、LFモータ71を正回転または逆回転させる。
【0063】
ASIC306は、CPU300からの指令に従い、CRモータ16に通電する相励磁信号等を生成する。駆動回路312は、この相励磁信号に従ってCRモータ16に通電し、CRモータ16を回転駆動する。駆動回路312は、CRモータ16の励磁相の切換えにより、CRモータ16を正回転または逆回転させる。
【0064】
ASIC306は、CPU300からの指令に従い、キャッピングモータ62に通電する相励磁信号等を生成する。駆動回路319は、この相励磁信号に従ってキャッピングモータ62に通電し、キャッピングモータ62を回転駆動する。
【0065】
ASIC306は、CPU300からの指令に従い、記録ヘッド15に通電する通電制御信号等を生成する。駆動回路314は、この通電制御信号に従って記録ヘッド15に通電し、記録ヘッド15を駆動する。駆動回路314は、記録ヘッド15の通電により、記録ヘッド15から所定のタイミングでインクを選択的に吐出させる。
【0066】
[画像記録処理]
次に、
図11を参照して、画像記録装置1のCPU300により実行される画像記録処理について説明する。
【0067】
画像記録処理では、まず、画像記録装置1に電源投入され、制御がスタートする。尚、制御がスタートする前の初期状態では、
図8(b)に示されるように、キャリッジ14はホームポジションHPに位置している。このとき、切替レバー84のレバー部84bは、案内孔88aの右端部である第2レバー位置PS2に位置している。切換えギア83は、メンテ伝動ギア93と噛み合うメンテ伝動位置に位置している(
図9参照)。キャップ114は、記録ヘッド15のノズル面を下方から密着する密着位置に位置している。
【0068】
CPU300は、図示しない外部コンピュータ等から画像記録命令を受信すると(S1)、前回の印刷から所定時間が経過しているか否かを判断する(S2)。CPU300は、前回の印刷から所定時間が経過していないと判断した場合(S2:NO)、キャッピングモータ62を所定量回転し、ホームポジションHPに位置しているキャリッジ14の記録ヘッド15と密着状態にあるキャップ114を密着位置から待機位置に移動させる(S3)。CPU300は、前回の印刷から所定時間経過していると判断した場合(S2:YES)、LFモータ71を正回転させることによって吸引ポンプ113を作動して、ノズル140からインクを吸引させるパージ処理を実行する(S19)。これにより、ノズル140から吸引されたインクは、キャップ114およびチューブ121を通して廃インクタンク120に排出される。このとき、切替レバー84は、レバー部84bが案内孔88aの内面に接触することによって回転できないので、回転部材94の回転が規制される。このため、第1付勢バネ86aが回転部材94に対して空回りした状態になる。CPU300は、パージ処理が終了すると、LFモータ71を停止して、処理をステップS4に進める。
【0069】
CPU300は、ホームポジションHPに位置しているキャリッジ14を、
図3に示すフラッシング位置FPに向けて左向き56に移動させる(S4)。このとき、第2付勢バネ86bの付勢力によって切替ギア83および切替レバー84が左向き56に押圧され、レバー部84bが案内孔88aに沿って左向き56に移動する。その結果、レバー部84bは、案内孔88aの左端に当接して第1レバー位置PS1に保持された状態になる。この状態では、切替ギア83は給紙伝動ギア92と噛み合っている(
図5参照)。
【0070】
CPU300は、キャリッジ14がフラッシング位置FPまで移動すると、ノズル140の目詰まり防止のためのフラッシング動作として、記録ヘッド15からインクを吐出させる(S5)。CPU300は、フラッシング動作が終了すると、
図2に示す給紙カセット7に堆積された用紙Pの給紙動作処理を実行する(S6)。給紙動作処理の詳細については、後述する。
【0071】
CPU300は、搬送ローラ41aが間欠的に正回転(
図6で反時計回り)するように、LFモータ71を正回転させる(S7)。これにより、搬送ローラ41aと従動ローラ41bとの間にニップされた用紙Pがプラテン43上に搬送される。
【0072】
このとき、駆動ギア81から第1付勢バネ86aを介して回転部材94に駆動力が伝達される。これにより、回転部材94は、第1当接位置から第2当接位置に向けて回転(
図6で反時計回り)する。このとき、切替レバー84は、係合溝84cの下向き面84cbが回転部材94の凸部96の上側面96bに上向き53に押圧されることにより、突出位置から退避位置に向けて回転する(
図6で時計回り)このとき、レバー部84bが第1レバー位置PS1から退避孔88bを後向き52に移動する。これにより、切替レバー84は、キャリッジ14の移動領域S1外に位置する退避位置に位置した状態になる。このとき、切替レバー84には、駆動ギア81によって回転する切替ギア83の回転力が作用するが、切替ギア83の回転方向が
図7で時計回りであるため、切替レバー84が退避位置から突出位置へ向けて回転することはない。回転部材94は、回転止め部97の後当接面97aが後規制部99bの前向き面84caに接触することにより、第2当接位置で回転を停止する(
図7参照)。この状態で、搬送ローラ41aが正回転し続けると、第1付勢バネ86aが回転部材94に対して空回りした状態になる。
【0073】
S7において用紙Pが搬送ローラ対41により間欠的に搬送されると、CPU300は、キャリッジ14を左右方向55,56に沿って往復移動させて記録ヘッド15のノズル140からインクを吐出させる(S8)。これにより、画像記録が開始される。このとき、レバー部84bは、キャリッジ14の移動領域S1外に位置するので、往復移動するキャリッジ14に接触することがない。
【0074】
次に、CPU300は、用紙Pの1頁分の記録が終了したか否かを判断する(S9)。CPU300は、用紙Pの1頁分の記録が終了していないと判断した場合(S9:NO)、用紙Pの1頁分の記録が終了するまで記録動作を続ける。CPU300は、用紙Pの1頁分の記録が終了したと判断した場合(S9:YES)、搬送ローラ41aおよび排紙ローラ42aを連続的に正回転(
図6で反時計回り)させることにより、記録済みの用紙Pの排紙を開始させる(S10)。次いで、CPU300は、LFモータ71が所定量正回転したか否かを判断する(S11)。CPU300は、LFモータ71が所定量正回転していないと判断した場合(S11:NO)、LFモータ71が所定量正回転するまで回転動作を続ける。CPU300は、LFモータ71が所定量正回転したと判断した場合(S11:YES)、LFモータを停止する(S12)。
【0075】
次に、CPU300は、次頁に対する画像記録データの有無を判断する(S13)。CPU300は、次頁に対する画像記録データが有ると判断した場合(S13:YES)、ステップS6に処理を戻す。CPU300は、次頁に対する画像記録データが無いと判断した場合(S13:NO)、LFモータ71を逆回転させる(S14)。これにより、回転部材94は、駆動ギア81から第1付勢バネ86aを介して伝達される駆動力により、第2当接位置から第1当接位置に向けて回転(
図7で時計回り)する。このとき、切替レバー84は、係合溝84cの前向き面84caが回転部材94の凸部96の下側面96cおよび突出端面96aに後方斜め下向きに押圧されることにより、退避位置から突出位置に向けて回転する。このとき、レバー部84bは、第1レバー位置PS1に向けて退避孔88bを前向き51に移動する。
【0076】
次いで、CPU300は、LFモータ71が所定量逆回転したか否かを判断する(S15)。CPU300は、LFモータ71が所定量逆回転していないと判断した場合(S15:NO)、LFモータ71が所定量逆回転するまでLFモータ71を所定量逆回転する。CPU300は、LFモータ71が所定量逆回転したと判断した場合(S15:YES)、LFモータ71を停止する(S16)。その結果、レバー部84bは、第1レバー位置PS1に位置する状態になる。
【0077】
次に、CPU300は、キャリッジ14をホームポジションHPまで移動させる(S17)。このとき、切替レバー84は、第1レバー位置PS1に位置しているレバー部84bにキャリッジ14の当接部14bが当接することにより、第1付勢バネ86aの付勢力に抗して案内孔88aを右向き56に移動する。その結果、レバー部84bは、第2レバー位置PS2に保持される。同時に、切替ギア83は、第2付勢バネ86bの付勢力によって右向き56に移動して、メンテ伝動位置においてメンテ伝動ギア93と噛み合う状態になる。
【0078】
最後に、CPU300は、キャッピングモータ62を所定量回転する(S18)。これにより、キャップ114が待機位置から密着位置に上昇し、記録ヘッド15のノズル面にキャップ114が下方から密着した状態になって画像記録処理が終了する。
【0079】
[給紙処理]
以下に、給紙処理の詳細について、
図12を参照して説明する。なお、給紙処理が実行される前は、キャリッジ14はフラッシング位置FP(
図3参照)に位置している。切替ギア83は、給紙伝動ギア92と噛み合う給紙伝動位置に位置している。切替レバー84のレバー部84bは、第1レバー位置PS1に位置している。
【0080】
給紙処理では、まず、CPU300は、LFモータ71を逆回転させる(S20)。これにより、LFモータ71の駆動力が、給紙伝動ギア92、給紙機構30の駆動軸31、および歯車伝達機構34を介して給紙ローラ33に伝達され、給紙ローラ33が連続的に正回転(
図2で時計回り)する。これにより、給紙ローラ33は、給紙カセット7に堆積された用紙PをU字状の搬送路35に給送する。このとき、搬送ローラ41aが逆回転(
図6で時計回り)するので、切替レバー84は回転しない。
【0081】
次いで、CPU300は、LFモータ71が所定量逆回転したか否かを判断する(S21)。CPU300は、LFモータ71が所定量逆回転していないと判断した場合(S21:NO)、LFモータ71が所定量逆回転するまで、LFモータ71の回転動作を続ける。CPU300は、LFモータ71が所定量逆回転したと判断した場合(S21:YES)、LFモータ71を停止する(S22)。これにより、給紙処理が終了する。
【0082】
[第1実施形態の作用効果]
画像記録装置1では、切替レバー84は、用紙Pの搬送時においてレバー部84bがキャリッジ14の移動領域S1外に位置する退避位置へ移動する。このため、切替レバー84は、レバー部84bがキャリッジ14の移動領域S1内に位置する突出位置に配置されても、用紙Pの搬送時においてキャリッジ14に接触することがない。LFモータ71の駆動力は、搬送ローラ41aに支持された回転部材94から支軸82に支持された切替レバー84に伝達される。このため、仮に、LFモータ71の駆動力が、切替ギア83と切替レバー84との間に介在されたフリクションパッドを介して切替レバー84に伝達される場合に比べて、切替ギア83の給紙伝動位置およびメンテ伝動位置に対する位置が左右方向55,56にずれにくい。
【0083】
画像記録装置1では、回転部材94が搬送ローラ41aに回転可能に支持されている。このため、レバー部84bが退避位置に位置した状態(回転部材94が第2当接位置に位置した状態)で搬送ローラ41aが正回転(
図7で反時計回り)すると、第1付勢バネ86aが回転部材94に対して空回りするので、搬送ローラ41aによる用紙Pの搬送動作を連続して行うことができる。突出位置のレバー部84bが第2レバー位置PS2に位置した状態で搬送ローラ41aが正回転(
図6で反時計回り)すると、第1付勢バネ86aが回転部材94に対して空回りするので、吸引ポンプ113による吸引動作を連続して行うことができる。
【0084】
画像記録装置1では、搬送ローラ41aが正回転(
図6で反時計回り)することにより、用紙Pがプラテン43に搬送されるとともに、切替レバー84が突出位置から退避位置へ移動する。このため、搬送ローラ41aによる用紙Pの搬送時において、切替レバー84の切替動作が簡単であるとともに、切替レバー84は、左右方向55,56に移動するキャリッジ14に接触しない状態に維持される。
【0085】
画像記録装置1では、規制部材99は、切替レバー84が突出位置と退避位置との間で回転する範囲に回転部材94の回転範囲を規制するので、切替レバー84が他部品に接触することによる摩耗が抑制される。
【0086】
画像記録装置1では、切替レバー84は、突出位置において回転部材94の凸部96の突出端面96aと接触する前向き面84caと、退避位置において回転部材94の凸部96の突出端面96aと接触する下向き面84cbを有する。このため、切替レバー84は、回転部材94から作用する力とは別の外力によって突出位置と退避位置との間で回転しようとしたときに、回転部材94の中心に向かう向きの力が、前向き面84caもしくは下向き面84cbから突出端面96aに作用するので、回転部材94が回転しにくい。このため、切替レバー84が回転しようとしても、切替レバー84の回転が回転部材94によって止められるので、切替レバー84が意図した状態とは異なる状態に切り替わりにくい。
【0087】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態の画像記録装置について説明する。第2実施形態の画像記録装置では、駆動ギア81の駆動力が、切替レバー84の切替ギア83とは反対側に配置されたフリクションパッド133(回転伝達部材の一例)を介して切替レバー84に伝達される他は、第1実施形態と同様の構成である。したがって、第2実施形態の画像記録装置については、第1実施形態と構成の異なる点のみ説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と対応する構成については、第1実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0088】
図13に示されるように、第2実施形態の画像記録装置は、第1回転ギア131、第2回転ギア132、およびフリクションパッド133をさらに備える。第1実施形態の回転部材94および第1付勢バネ86aは省略されている。
【0089】
第1回転ギア131は、搬送ローラ41aの右端部に固定されている。第1回転ギア131は、搬送ローラ41aの軸心29を中心に搬送ローラ41aと一体に回転する。第2回転ギア132は、切替レバー84の右方に間隔を空けて支軸82に回転可能かつスライド可能に支持されている。第2回転ギア132は、第1回転ギア131と噛み合っている。フリクションパッド133は、切替レバー84と第2回転ギア132との間で支軸82に回転可能かつスライド可能に支持されている。フリクションパッド133は、切替レバー84の右端面と第2回転ギア132の左端面とに接触している。フリクションパッド133は、例えば、羊毛繊維のフェルトによって形成されている。第2付勢バネ86bは、第2回転ギア132の右側に位置している。第2付勢バネ86bは、第2回転ギア132を左向き55に付勢することにより、第2回転ギア132およびフリクションパッド133を介して切替レバー84を切替ギア83に押し付けている。
【0090】
第2実施形態の画像記録装置では、
図13(a)に示されるように、LFモータ71が正回転して用紙Pが搬送ローラ41aによって搬送されるとき、第1回転ギア131は、搬送ローラ41aと同じ向き(右方から視て反時計回り)に回転する。第1回転ギア131と噛み合う第2回転ギア132は、右方から視て時計回りに回転する。このとき、切替レバー84は、第2回転ギア132とフリクションパッド133との間、および、フリクションパッド133と切替レバー84との間に生じる摩擦力により、右方から視て時計回りに回転する。その結果、切替レバー84は、突出位置から退避位置に移動するので、キャリッジ14が用紙Pの搬送時において切替レバー84に接触することがない。なお、切替レバー84を突出位置から退避位置に移動させたときに、切替レバー84の回転を退避位置で止める係止片が筐体2の内部フレームに形成されてもよい。
【0091】
一方、LFモータ71が逆回転した場合は、第1回転ギア131は、搬送ローラ41aと同じ向き(右方から視て時計回り)に回転する。第2回転ギア132は、右方から視て反時計回りに回転する。このとき、切替レバー84は、第2回転ギア132とフリクションパッド133との間、および、フリクションパッド133と切替レバー84との間に生じる摩擦力により、右方から視て反時計回りに回転する。その結果、切替レバー84は、退避位置から突出位置へ移動する。
【0092】
第2実施形態の画像記録装置では、突出位置の切替レバー84は、ホームポジションHPに向かって移動するキャリッジ14にレバー部84bが当接することにより、フリクションパッド133および第2回転ギア132とともに右向き56に移動する。切替ギア83は、
図13(b)に示されるように、給紙伝動ギア92と噛み合う給紙伝動位置からメンテ伝動ギア93と噛み合うメンテ伝動位置へ移動する。
【0093】
第2実施形態の画像記録装置では、LFモータ71の駆動力は、切替レバー84と第2回転ギア132との間に配置されたフリクションパッド133から切替レバー84に伝達されるので、フリクションパッド133が切替ギア83と切替レバー84との間に介在される場合に比べて、切替ギア83の給紙伝動位置およびメンテ伝動位置に対する位置が左右方向55,56にずれにくい。このため、切替ギア83の位置精度が高い。
【符号の説明】
【0094】
14・・・キャリッジ
29・・・軸心
41a・・・搬送ローラ
70・・・動力伝達機構
71・・・LFモータ
80・・・動力伝達切替機構
81・・・駆動ギア
82・・・支軸
83・・・切替ギア
84・・・切替レバー
84b・・・レバー部
84ca・・・前向き面
84cb・・・下向き面
86a・・・第1付勢バネ
94・・・回転部材
95・・・第1回転部
96・・・凸部
99・・・規制部材
133・・・フリクションパッド
P・・・用紙
S1・・・移動領域