IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ティシュペーパー収納体 図1
  • 特開-ティシュペーパー収納体 図2
  • 特開-ティシュペーパー収納体 図3
  • 特開-ティシュペーパー収納体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061015
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ティシュペーパー収納体
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20240425BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A47K10/16 C
A47K7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168656
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 里夏
【テーマコード(参考)】
2D135
【Fターム(参考)】
2D135AA04
2D135AA07
2D135AA15
2D135AB03
2D135AC01
2D135BA11
2D135DA06
2D135DA10
2D135DA11
(57)【要約】
【課題】低坪量でも「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すティシュペーパー収納体を提供する。
【解決手段】
2プライ1組のティシュペーパーがポップアップ式に折り畳み積層された束が収納箱に収納されているティシュペーパー収納体であって、ティシュペーパーは、保湿薬液を含み、 1プライの坪量が9.0~13.6g/m2であり、2プライでの紙厚が100~130μmであり、収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積が9.0~10.8m2/収納箱である、ティシュペーパー収納体により解決される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2プライ1組のティシュペーパーがポップアップ式に折り畳み積層された束が収納箱に収納されているティシュペーパー収納体であって、
ティシュペーパーは、保湿薬液を含み、
1プライの坪量が9.0~13.6g/m2であり、
2プライでの紙厚が100~130μmであり、
収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積が9.0~10.8m2/収納箱である、
ことを特徴とする、ティシュペーパー収納体。
【請求項2】
シート総面積/保湿薬液量の値が、400~550m2/gである、請求項1記載のティシュペーパー収納体。
【請求項3】
保湿薬液量/収納箱体積の値が、0.015~0.030g/cm3である、請求項1記載のティシュペーパー収納体。
【請求項4】
ティシュペーパーの保湿薬液の含有率が、16~24質量%である、請求項1記載のティシュペーパー収納体。
【請求項5】
ティシュペーパーの両面のSdrが、0.02~0.04である、請求項1記載のティシュペーパー収納体。
【請求項6】
ティシュペーパーの両面のSq(mm)が、0.015~0.025である、請求項1記載のティシュペーパー収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーの束が収納箱に収納されているティシュペーパー収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
保湿ティシュー、ローションティシューと称される薬液が付与されたティシュペーパーは、ドライタイプのティシュペーパーのなかでも洟をかむ際や顔の清拭などに適する。
保湿ティシューは、薬液の吸湿作用によって紙中の水分率が高められ、薬液が付与されていないティシュペーパーより「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」が高められている。
【0003】
保湿ティシューは、坪量が15~17g/m2程度の製品価格の高い高級タイプのものが主流であったが、坪量がやや低い14g/m2程度とされた製品価格を抑えた、汎用しやすいタイプのものも普及している。
【0004】
ティシュペーパー収納体の特に汎用品や普及価格帯の製品では、坪量が10~11g/m2程度の保湿薬液が付与されていない非保湿ティシュペーパーが収納されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-150138
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、日常的に従来の汎用タイプの保湿ティシューを使用している消費者にとって、汎用品や普及価格帯の非保湿ティシュペーパーは、特に洟をかむ際や顔の清拭の際に、「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」において不満を感じることがある。
【0007】
一方、日常的に汎用品や普及価格帯の非保湿ティシュペーパーを使用している消費者にとっては、汎用タイプの保湿ティシューでも過剰な品質と感じたり、製品価格が高価格であると感じることがある。
【0008】
そこで、従来の汎用タイプの保湿ティシューよりも、さらに低坪量化した保湿ティシューが検討されるが次のような問題がある。
【0009】
保湿ティシューでは、水分率が高まるため原紙よりも強度が低下する。保湿ティシューにおいて過度に坪量を低下させると、必要な強度が確保し難くなる。また、繊維密度が粗となり「滑らかさ感」が低下する。
【0010】
必要な強度を確保するために保湿薬液量を少なくすると、保湿薬液による「柔らかさ」や「しっとり感」が十分に感じられ難くなる。多くすれば「べたつき感」が高まる。
【0011】
このため、低坪量の保湿ティシューは、目的の品質確立が困難であった。特に、消費者において満足のいく低坪量の保湿ティシューとすることが難しかった。
【0012】
そこで、本発明の主たる課題は、低坪量の保湿ティシューでありながら、十分な「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すティシュペーパー収納体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決した第一の手段は、
2プライ1組のティシュペーパーがポップアップ式に折り畳み積層された束が収納箱に収納されているティシュペーパー収納体であって、
ティシュペーパーは、保湿薬液を含み、
1プライの坪量が9.0~13.6g/m2であり、
2プライでの紙厚が100~130μmであり、
収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積が9.0~10.8m2/収納箱である、
ことを特徴とする、ティシュペーパー収納体である。
【0014】
第二の手段は、
シート総面積/保湿薬液量の値が、400~550m2/gである、上記第一の手段に係るティシュペーパー収納体である。
【0015】
第三の手段は、
保湿薬液量/収納箱体積の値が、0.015~0.030g/cm3である、上記第一の手段に係るティシュペーパー収納体である。
【0016】
第四の手段は、
ティシュペーパーの保湿薬液の含有率が、16~24質量%である、上記第一の手段に係るティシュペーパー収納体である。
【0017】
第五の手段は、
ティシュペーパーの両面のSdrが、0.02~0.04である、上記第一の手段に係るティシュペーパー収納体である。
【0018】
第六の手段は、
ティシュペーパーの両面のSq(mm)が、0.015~0.025である、上記第一の手段に係るティシュペーパー収納体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低坪量の保湿ティシューでありながら、十分な「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すティシュペーパー収納体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ティシュペーパー収納体の斜視図である。
図2】ティシュペーパー収納体を説明するための斜視図である。
図3】ティシュペーパー収納体の使用時の斜視図である。
図4】ティシュペーパーの束の構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るティシュペーパー収納体を図1図4を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明に係るティシュペーパー収納体は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本明細書(特許請求の範囲、図面を含む。)に記載の事項を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【0022】
本実施形態に係るティシュペーパー収納体1は、保湿薬液を含む複数枚のティシュペーパー2t,2t…が、折り畳まれ積層されてなるティシュペーパーの束2が、天面部11に環状に閉じた部分を有する取出口形成用ミシン目20が形成された収納箱10に収納され、使用時に取出口形成用ミシン目20の裂開により形成される取出口20Xからティシュペーパー2tを取り出すと、隣接して積層されている下層のティシュペーパー2tの一部が取出口20Xから露出される、所謂ポップアップ形式のものである。そして、特に収納箱内におけるティシュペーパーの総面積が9.0~10.8m2/収納箱となっている。
【0023】
[収納箱]
ティシュペーパー2tの束2が収納される収納箱10は、カートン箱とも呼ばれる直六面体形状の箱体である。この収納箱10は、製品外観をなすものであり、ティシュペーパー収納体1を示す図1及び図2に示されるとおり、天面部11に環状の取出口形成用ミシン目20を有する紙箱と、前記取出口形成用ミシン目20により囲まれる取出口形成部20aを紙箱内側から覆う樹脂製フィルム31とを有する。
【0024】
紙箱は、収納箱10の外郭をなす紙製の箱体であり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の収納箱10の紙箱の構成が採用される。例えば、図1及び図2に示す形態では、底面部(図示されない)と一方の長側面部13とを糊代部を介して箱内部で糊付けして筒状とした後、天面部11、底面部及びこれらを連接する長側面部13から延出する各フラップF1,F2,F3を箱内面側に折り返し、各フラップF1,F2,F3の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して短側面部14を構成した構造が例示できる。実施形態の収納箱10は、長側面部13からのフラップF1を折り返し、底面部12からのフラップF2を折り返して前記長側面部13からのフラップF1に重ね、さらに天面部11からのフラップF3を折り返して、底面部12からのフラップF2に重ねるようにして短側面部14が形成されている。但し、収納箱10は、この構造に限定されるわけではない。
【0025】
収納箱10を構成する紙箱の素材としては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の紙素材が採用できる。好適には、紙箱の素材は、坪量250~500g/m2、好適には350~400g/m2のコートボール紙である。
【0026】
他方、収納箱10を構成する紙箱の天面部11に形成される取出口形成用ミシン目20は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成され、これにより囲まれる範囲の具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱10においては、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0027】
他方、前記樹脂製フィルム31は、取出口形成部20aのサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱上面の内面側において、特に取出口形成用ミシン目20の切り剥がしに影響がないように、取出口形成部20aの外側で接着されている。この樹脂製フィルム31の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
【0028】
樹脂製フィルム31の厚みは、10~200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー2tの取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0029】
樹脂製フィルム31には、スリット30が形成されており、このスリット30は取出口形成用ミシン目20により囲まれる範囲に位置されている。従って、図1及び2に示されるとおり、取出口形成用ミシン目20を裂開して取出口形成部20aを切り剥がすことにより、収納箱10の天面部11に取出口20Xが形成されるとともに、前記樹脂製フィルム31及びそれに形成されたスリット30が取出口20Xを介して露出される。なお、前記スリット30の長さは、適宜の長さとすることができ、取出口20Xの大きさとの関係で適するとされる長さとすることができる。
【0030】
収納箱10に束2として収納されているティシュペーパー2tは、前記スリット30を介して取出口20Xから一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット30によって、取出口20Xから露出されるティシュペーパー2tの一部が支持されて収納箱10の内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0031】
なお、既述の収納箱の大きさとしては、限定されないが、図1に示す、収納箱幅(長手縁)L1が200~225mm、収納箱奥行(短手縁)L2が、95~120mm、高さL3が、70~105mmが例示できる。収納箱の各部の長さは、JIS1級の金属製直尺で測定する。各箇所5点の平均値とする。なお、収納箱体積は、L1×L2×L3で算出する。
【0032】
[ティシュペーパーの束]
ティシュペーパー2tの束2は、ティシュペーパー2tが折り畳まれ、積層されてなるポップ式の束である。より具体的には、図4に示すとおり、方形のティシュペーパー2tが折り縁2Cで実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁部2Bが上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面2Aに位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0033】
本積層構造のティシュペーパー2tの束2は、図3及び図4に示すように、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦等により上方に引きずられて持ち上げられる。そして、かかる構造のティシュペーパー2tの束2は、その最上面が上述の天面部11に取出口20Xを有する収納箱10の当該天面部11に向かいあって収納され、前記取出口20X、特にスリット30から一枚(最上面に位置する一枚)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一枚の一部が露出される。なお、ポップアップ式の束は、公知のインターフォルダにより形成できる。インターフォルダは、マルチスタンド式、スタンド式、折板式とも称される折板によって折り加工を行う設備であってもよいし、ロータリー式とも称される一対のフォールディングロールで折り加工を行う設備であってもよい。但し、低坪量、低紙厚の製品は、安価であることが求められるため、大量かつ高速生産に適する折板によって折り加工を行う設備であるのが望ましい。
【0034】
[保湿薬液]
保湿薬液は、ポリオールを主成分とするものである。保湿薬液の吸湿性によってティシュペーパーの水分率が高められる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロースが挙げられるが、好ましくは、グリセリンである。グリセリンとともに、1,3-プロパンジオールを含有してもよい。1,3-プロパンジオールは、「べたつき感」を低減させ、さらっとした感触を増加させる。
【0035】
保湿薬液中のポリオール含有量は、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは75~95質量%である。保湿薬液中には、本発明の効果を妨げない助剤として、無機および有機の微粒子粉体、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール等の油性成分、親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸等の保湿補助剤、香料、各種の天然物由来のエキス、ビタミン類、乳化剤、消泡剤、防黴剤、消臭剤、抗酸化剤等が一種又は複数種が含まれていてもよい。
【0036】
[ティシュペーパー]
実施形態において束2を構成する及び収納箱10に収納されるティシュペーパー2tは、2プライ1組のティシュペーパーである。エンボスは形成されていない。1プライ又は3プライ以上では、所望の作用効果を得難い。このティシュペーパーは、保湿薬液を含むものであり、1プライの坪量は9.0~13.6g/m2とされる。坪量は、好ましくは、10.0~13.4g/m2、より好ましくは、11.5~12.9g/m2である。従来の比較的安価で汎用的に使用しやすい保湿ティシューの坪量は、14g/m2程度であり、この9.0~13.6g/m2という坪量は、それよりも低い坪量である。坪量が過度に低いと十分な品質の強度の確保し難くなる。坪量は、JIS P 8124(2011)に準拠して、1プライ当たりの坪量として計測を行う。
【0037】
2プライでの紙厚は100~130μmとされる。望ましくは105~125μm、特に望ましくは110~120μmである。従来の比較的安価で汎用的に使用しやすい保湿ティシューの紙厚は、150μm程度であり、この100~130μmという値は、それよりも薄い紙厚である。坪量と同様のことを言える。すなわち紙厚が過度に薄いと十分な品質の強度の確保し難くなる。この紙厚は、2プライの試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定した値である。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試験片を測定台の上におき、プランジャーをゆっくりと1mm/秒以下の速度で下ろしその時のゲージを読み取る。測定時には、金属製のプランジャーの端子(直径10mmの円形の平面)が紙平面に対し垂直に当たるように留意する。紙厚の測定値は、測定を10回行って得られる平均値とする。
【0038】
本発明は、この低坪量及び薄い紙厚においても、十分な「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すものとすることができる。これは、収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積が9.0~10.8m2/収納箱であることによる。この本発明に係るティシュペーパーの総面積とは、ティシュペーパーの表裏一方面の総面積である。つまり、ティシュペーパー1枚(一組)の一方面の面積×組数で算出される。ティシュペーパー1枚の一方面の面積は、1枚のティシュペーパーの縦及び横の長さをJIS1級の金属製の直尺で測定し、縦長さ×横長さで算出する。また、最上部と最下部を除く任意のティシュペーパー5枚の平均値とする。ポップアップに伴う折筋は、紙が伸びない程度に均して測定する。
【0039】
これまでティシュペーパー、特に保湿ティシューにおける「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」は、個々のシートの紙厚及び坪量との関係にのみ着目され、収納体全体、特に収納箱や束との関係について検討がされていなかった。しかるに、従来の汎用タイプの保湿ティシューでは、収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積が7.0~8.0m2/収納箱となっていた。これは、一般的な従来の収納箱の大きさ、シート寸法、束を構成する枚数を基準に設計がされていたことによる。
【0040】
この実施形態では、ティシュペーパーの総面積が9.0~10.8m2/収納箱と総面積が大きくなっている。ポップアップ式の束では、ティシュペーパーが積層されて束を構成する。よって、収納箱内におけるティシュペーパーの総面積が増えれば、収納箱内における繊維量と保湿薬液量が増え、束全体として保湿薬液の吸湿性の効果が十分に発現されると推測される。さらには、ティシュペーパーは、一般には、収納箱から取り出して直ちに使用されるため、束の状態での保湿効果が使用時の官能性においても十分な評価となると推測される。
【0041】
実施形態における好ましい一態様では、上記坪量及び紙厚において、ティシュペーパーの総面積とともに、また、単独の形態として、シート総面積/保湿薬液量の値は、400~550m2/gとされる。この範囲であると、使用時に単位当たりの薬液が外気に触れる面積が適当となり、保湿ティシューとしての効果が高まる。すなわち、シート総面積/保湿薬液量の値が過度に低いと、狭いシート範囲に単位量の薬液が存在していることになり、べたつき感を感じやすくなる。反対に、シート総面積/保湿薬液量の値が過度に高いと、広範な範囲に単位量の薬液が存在していることになり、十分な保湿性を感じ難くなる。低坪量かつ薄い紙厚であっても上記範囲であると十分な「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すことができる。好ましくは、シート総面積/保湿薬液量の値は、450~500m2/gである。
【0042】
ここでの保湿薬液量は、JISP8111の標準状態23℃50%RHで調湿されたティシュペーパーに含まれる保湿薬液の量に基づいて算出される束に含まれる保湿薬液の総量である。具体的には、次のようにして測定する。まず、上記のJIS P 8124(2011)に準拠して、保湿薬液を含むティシュペーパー1プライ当たりの坪量を測定する。次に、同様にJIS P 8124(2011)に準拠して、この保湿薬液を含むティシュペーパーの原紙と同一又は同等の原紙から製造される保湿薬液を含まない2プライのティシュペーパーの1プライあたりの坪量を測定する。次いで、保湿薬液を含むティシュペーパー(1プライ)の米坪から、保湿薬液を含まないティシュペーパー(1プライ)の米坪を差し引いた、保湿薬液の量を算出する。次に、この保湿薬液の量にシート総面積をかけて2プライ換算を行い、保湿薬液量を算出する。すなわち、((保湿薬液を含むティシュペーパー1プライの坪量)-(保湿薬液を含まないティシュペーパー1プライの坪量))×2(プライ分)×(シート総面積)で保湿薬液量を算出する。
【0043】
実施形態における好ましい一態様では、上記坪量及び紙厚において、ティシュペーパーの総面積及びシート総面積/保湿薬液量の値の少なくとも一方とともに、また、単独の形態として、保湿薬液量/収納箱体積の値は、0.015~0.030g/cm3であるとされる。収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積、シート総面積/保湿薬液量と同様に考えられる。低坪量かつ薄い紙厚では、収納箱内のティシュペーパー全体として検討するのがよい。特に、ティシュペーパー収納体では、収納箱体積は、収納箱内の容積とほぼ同様と考えられる。つまり、保湿薬液量/収納箱体積の値は、収納箱内における保湿薬液量の割合ともいえる。上記範囲であれば、収納箱内に対して十分に保湿薬液が存在し、低坪量かつ薄い紙厚であっても「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すことができる。より好ましい、保湿薬液量/収納箱体積の値は、0.017~0.024g/cm3である。
【0044】
ティシュペーパーの保湿薬液の含有率は、16~24質量%であるのが望ましい。16~24質量%であれば、「柔らかさ」、「しっとり感」、「滑らかさ感」を示すことができる。
【0045】
実施形態のティシュペーパー収納体において、収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積、シート総面積/保湿薬液量の値、保湿薬液量/収納箱体積の値については、束を構成するティシュペーパーの組数、収納箱の大きさ、ティシュペーパーの大きさ等により調整される。これらの調整に関し、従来の保湿ティシューの製品は、ティシュペーパーの寸法が200~205mm(縦)×205~225mm(横)であり、組数は、180~200組とされている。実施形態の低坪量及び低紙厚においては、特にティシュペーパーの寸法を202~208mm(縦)×188~196mm(横)とし、組数を220組以上、好ましくは230組以上とするのが望ましい。但し、ティシュペーパーの寸法に関しては、ティシュペーパーの1枚の面積が、0.041m2以下、特に0.040m2未満とするのが望ましい。
【0046】
つまり、実施形態では、従来品よりも、ティシュペーパーの横寸法を小さくし、組数を多くするのが好ましい。この寸法及び組数で構成される束は、上記の従来一般的な保湿ティシューよりも束の上面面積(底面面積)が小さくなる。収納箱内に納められる組数を増加させることで、ティシュペーパーの総面積、シート総面積/保湿薬液量の値を確保し、上面面積(底面面積)を小さくすることで、ティシュペーパー中の保湿薬液が蒸散し難くなる。なお、組数の増加によって束の高さが高くなるが、低坪量及び低紙厚では増加分は小さくなる。また、組数の増加は積層数が多くなり保湿薬液の蒸散が抑制される。
【0047】
さらに、ティシュペーパー2tの寸法及び組数の好ましい実施形態に応じて、収納箱の形状をコンパクト化することで、保湿薬液量/収納箱体積の値を調整できる。収納箱10の大きさは、限定されないが、ティシュペーパー2tの束2より大きく、内径を束2の外形よりも1~25mmの範囲に納めるのが望ましい。
【0048】
加えて、束と収納箱との関係において、束の高さに対する収納箱の高さの割合は、100%未満が好ましく、より好ましくは80~90%、特に好ましくは、83~88%である。束上面と収納箱上面とが接触せず、かつ、その間の距離は離れすぎないようにすることで束に保湿薬液が保持されやすくなる。ここでの、束の高さは、束を水平台の上に置き、四角の高さをJIS1級の金属製直尺で測定し、その四角の平均値とする。
【0049】
また、実施形態における好ましい一態様では、上記坪量及び紙厚において、ティシュペーパーの総面積、シート総面積/保湿薬液量の値及び保湿薬液量/収納箱体積の値の少なくとも一つとともに、また、単独の形態として、収納箱内の総保湿薬液量を35~60g/収納箱、好ましくは、38~50g/収納箱、特に好ましくは40~46g/収納箱とされる。収納箱内に十分な量の保湿薬液が存在することで、吸湿性による効果を十分に発現させることができる。これは上記の束及び収納箱とティシュペーパーの保湿薬液の含有率で調整できる。
【0050】
なお、既述の収納箱の大きさとしては、限定されないが、図1に示す、収納箱幅(長手縁)L1が200~225mm、収納箱奥行(短手縁)L2が、95~120mm、高さL3が、70~105mmが例示できる。収納箱の各部の長さは、JIS1級の金属製直尺で測定する。各箇所5点の平均値とする。なお、収納箱の体積は、L1×L2×L3で算出する。
【0051】
ところで、保湿ティシューにおける低坪量化は、必要な強度を確保し難くなり、また、繊維密度が粗となり「滑らかさ感」が低下するとされている。この強度低下については、湿潤紙力剤によって湿潤紙力を高めればよい。湿潤紙力剤の含有量を高めると強度が高まるため硬く感じやすくなる。しかし、低坪量で薄いティシュペーパーでは、保湿薬液を含有せずとも、そもそもコシが弱いため、湿潤紙力剤の増加にともなう剛直さの感じ方への影響が小さい。このため、少なくとも本発明に係る範囲の坪量及び紙厚では、強度不足は湿潤紙力剤で調整される。さらに、本発明者らは、湿潤紙力剤の配合量を高めることで、特に低坪量の原紙製造時における湿紙のドライヤーへの張付きが高まることにより、クレーピングによってティシュペーパーの表面性から「柔らかさ」、「滑らかさ」をより十分な品質にすることができることを知見した。
【0052】
なお、実施の形態の保湿ティシューの湿潤引張強度は、必ずしも限定されないが、最も弱いとされる横方向において30~40cN/25mm、好ましくは、35~45cN/25mmに調整すればよい。なお、ここでの湿潤引張強度は、JIS P 8135(1998)に準じて測定した値であり、次のようにして測定する。試験片は縦・横方向ともに巾25mm(±0.5mm)×長さ150mm程度に裁断したものを用いる。複数プライのまま測定する。試験機は、ミネベア株式会社製ロードセル引張り試験機TG-200N及びこれに相当する相当機を用いる。なお、つかみ間隔100mm、引張速度は50mm/minに設定する。試験片の両端を試験機のつかみに締め付けた後、水を含ませた平筆を用い、試験片の中央部に約10mm幅で水平に水を付与し、その後、直ちに紙片に対して上下方向に引張り荷重をかけ、紙が破断する時の指示値(デジタル値)を読み取る手順で測定を行う。縦方向、横方向ともに各々5組の試料を用意して各5回ずつ測定し、その測定値の平均を各方向の湿潤引張強度とする。
【0053】
上記のティシュペーパーの好ましい表面性に関しては、特に2プライシートの両外側面のSdrは、0.02~0.04であるのが好ましい。
【0054】
[Sdr]
ISO25178表面性状(面粗さ測定)、表面粗さの評価方法を定めた国際規格に基づく。つまり、定義領域の展開面積(表面積)が、定義領域の面積に対してどれだけ増大したかを表す。実施の形態では、湿潤紙力剤の添加によるドライヤーへの原紙の張り付きを良好にするとともに、クレープ率を13~17%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ、滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR-3200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVR-3200アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSdrは、界面の展開面積比であり、「(凹凸を含む面積)/(見た目の面積)-1」を示す。(凹凸を含む面積)と(見た目の面積)の差は、シート表面の主にクレープ等によって生ずると推定される。実施の形態では、Sdrが、0.02~0.04の範囲にあると、凹凸が適度で指が触った箇所で過度のクッション性を感じず、平面的な感触となり「滑らかさ」を感じやすく、頼りなさは感じ難くなる。
【0055】
[ワンショット3D形状測定機VR-3200によるSdrの測定方法]
ティシューを測定可能な大きさに裁断したシートの表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し、領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。測定パラメーターは「複合パラメーターSdr」を適用する。設定したSdrの測定領域内で3次元画像のデータ分析を行なう。表面粗さ測定で画像解析領域を10mm×10mmの正方形範囲内に設定し、画像解析を行いSdrを求める。測定はシート1枚につき5か所3次元画像データを撮影し、画像解析を行う。これらの測定をN=5で実施し、その平均値からSdrを算出する。
【0056】
また、このティシュペーパーの好ましい表面性に関しては、特に、2プライシートの両外側面のSq(mm)は、0.015(mm)~0.025(mm)であるのが好ましい。
【0057】
[Sq(mm)]
ISO25178表面性状(面粗さ測定)、表面粗さの評価方法を定めた国際規格に基づく。つまり、平均面からの距離の標準偏差に相当するSq二乗平均平方根高さを示す。実施の形態では、湿潤紙力剤の添加によるドライヤーへの原紙の張り付きを良好にするとともに、クレープ率を13~17%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ、滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR-3200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVR-3200アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSq(mm)は、高さの標準偏差に相当し、値が大きいとシートに触れたときに表面の凹凸感を感じる。値が小さいとシートに触れたとき平面的で固さを感じる。Sqが大きいとシートに触れたときに凸部や山部が凸凹に感じられ、Sqが小さいと凹凸が無く、指が触った箇所で平面的な感触が得られると考えられる。実施の形態では、Sq(mm)が、0.015(mm)~0.025(mm)あると、凹凸感を感じがたく、保湿薬液との関係で固さは感じ難い。
【0058】
[ワンショット3D形状測定機VR-3200によるSqの測定方法]
ティシューを測定可能な大きさに裁断したシートの表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。測定パラメーターは「高さパラメーターSq(mm)」を適用する。その設定したSq(mm)の測定領域内で3次元画像のデータ分析を行なう。表面粗さ測定で画像解析領域を10mm×10mmの正方形範囲内に設定し画像解析を行いSq(mm)を求める。測定はシート1枚につき5か所3次元画像データを撮影し、画像解析を行う。これらの測定をN=5で実施し、その平均値からSq(mm)を算出する。
【0059】
さらに、このティシュペーパーの好ましい表面性に関しては、2プライシートの両外側面の[Spd(1/mm2)]は、7.5~12.0(1/mm2)が好ましく、9.8~11.5(1/mm2)であるのが特に好ましい。
【0060】
[Spd(1/mm2)]
Spd(1/mm2)は、ISO25718表面形状の定義による。実施の形態では、湿潤紙力剤の添加によるドライヤーへの原紙の張り付きを良好にするとともに、クレープ率を15~19%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ、滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR-3200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVR-3200アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSpd(1/mm2)は「山の頂点密度」を示し、1mm2当たりの頂点の数(1/mm2)が大きいほど頂点が詰まって配置されており肌触りが滑らかに感じる。頂点とはシート表面のクレープ等により形成される山頂部と推定される。実施の形態では、2プライシートの両外側面の[Spd(1/mm2)]は、7.5~12.0(1/mm2)であれば、滑らかさを感じやすい。
【0061】
[ワンショット3D形状測定機VR-3200によるSpdの測定方法]
ティシューを測定可能な大きさに裁断したシートの表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。測定パラメーターは「形態パラメーターSpd(1/mm2)」を適用する。その設定したSpd(1/mm2)の測定領域内で3次元画像のデータ分析を行なう。表面粗さ測定で画像解析領域を10mm×10mmの正方形範囲内に設定し画像解析を行いSpd(1/mm2)を求めた。測定はシート1枚につき5か所3次元画像データを撮影し、画像解析を行う。これらの測定をN=5で実施し、その平均値からSpd(1/mm2)を算出する。
【0062】
さらに、このティシュペーパーの好ましい表面性に関しては、Spc(1/mm)は、3.0(1/mm)~4.5(1/mm)が好ましく、3.6(1/mm)~4.3(1/mm)が特に好ましい。
【0063】
[Spc(1/mm)]
ISO25178表面性状(面粗さ測定)、表面粗さの評価方法を定めた国際規格に基づく。実施の形態では、湿潤紙力剤の添加によるドライヤーへの原紙の張り付きを良好にするとともに、クレープ率を13~17%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ、滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR-3200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVR-3200アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSpc(1/mm)は、表面の凸形状の頂部の主曲率の平均を示し、Spc(1/mm)の値が小さいと、他の物体と接触する点が丸みを帯びていることを示し、指で感じる抵抗を大きく感じる。また、Spc(1/mm)の値が大きいと、他の物体と接触する点が尖っていることを示し、指で感じる抵抗を小さく感じる。表面の凸形状の頂部とはシート表面のクレープ等により形成される山頂部と推定される。実施の形態では、Spc(1/mm)が、3.0(1/mm)~4.5(1/mm)であると、表面の肌触りの滑らかさにおいて特に好ましい。
【0064】
[ワンショット3D形状測定機VR-3200によるSpcの測定方法]
ティシューを測定可能な大きさに裁断したシートの表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。測定パラメーターは「形態パラメーターSpc(1/mm)」を適用する。その設定したSpc(1/mm)の測定領域内で3次元画像のデータ分析を行なう。表面粗さ測定で画像解析領域を10mm×10mmの正方形範囲内に設定し画像解析を行いSpc(1/mm)を求めた。測定はシート1枚につき5か所3次元画像データを撮影し、画像解析を行う。これらの測定をN=5で実施し、その平均値からSpc(1/mm)を算出する。
【0065】
他方で、実施形態のティシュペーパーにおけるパルプ繊維は、特に限定されないがバージンパルプ90~100質量%、古紙パルプ0~10質量%、好ましくはバージンパルプ100質量%である。特にそのバージンパルプは、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)と広葉樹クラフトパルプ(LBKP)であるのが望ましい。これらの配合比率は、NBKP:LBKPを20:80~49:51とするのが望ましい。特には、NBKP:LBKPを25:75~28:72とするのが望ましい。LBKPを高配合するとで「柔らかさ」と「滑らかさ」の品質を高めやすい。
【0066】
以下、ティシュペーパー収納体の実施例、比較例を参照しながら、さらに本発明に係るティシュペーパーの効果について説明する。
【実施例0067】
各例に係るティシュペーパーは、比較例1は、汎用タイプの保湿ティシュペーパー収納体の市販品、比較例2及び比較例3は、製品価格の高い高級タイプの汎用タイプの保湿ティシュペーパー収納体の市販品、比較例4は、非保湿タイプの普及品のティシュペーパー収納体の市販品である。各例に係るティシュペーパーの測定値、収納体の構成等については、下記表1に示すとおりである。
【0068】
また、実施例3と、汎用タイプの保湿ティシュペーパー収納体の市販品である比較例1、非保湿タイプの普及品のティシュペーパー収納体の市販品である比較例4とにおいて、ティシュペーパーの官能評価試験を行った。試験は25名で行い、平均値を評価点とした。結果は表2に示す。
【0069】
官能評価試験は、被験者に実際に各例に係るティシュペーパーを使用してもらい、「しっとり感」、「柔らかさ」、「滑らかさ」について評価を行なうこととした。評価は、絶対評価で行い、かなり良い7点、良い6点、やや良い5点、どちらともいえない4点、やや悪い3点、悪い2点、かなり悪い1点、として点数付けを行い、その平均値を算出した。
【0070】
【表1】
【表2】
【0071】
表1の結果によると、ティシュペーパー収納体の構成を見ると、実施例は、「収納箱内の収納されるティシュペーパーの総面積」が、「高級タイプ」の比較例2及び3に近い。また、「シート総面積/保湿薬液量」の値は、高級タイプの比較例3に近く、高級タイプの比較例2よりも高い。さらに、「保湿薬液量/収納箱」は、高級タイプの比較例2と比較例3の間にある。
また、表2の結果によると、官能評価において、実施例は、非保湿の市販品よりも優れ、汎用タイプとほぼ同等の評価を得ている。
【0072】
これらから、ティシュペーパー一枚の品質ではなく、本発明に係る特定の束及び収納箱との関係に係る構成を高級タイプに近い設計とすることで、低坪量及び紙厚が低くとも、十分な品質を得ることができる。特に、日常的に従来の汎用タイプの保湿ティシューを使用している消費者においても不満ない品質といえ、また、普及価格帯の非保湿ティシュペーパーを使用している消費者にとっても、過剰な品質と感じることがなく、組数を多くでき製品価格も高価格であると感じ難くすることができる。
【0073】
さらに、ティシュペーパー自体の表面性に関し、実施例のSpd及びSpcの値からして比較例よりも表面の凹凸が少ない傾向にあると考えられる。低坪量でクレープが延ばされて滑らかとなっていることが分かる。その一方でクレープの伸びによるクッション性等の低下は、コシのなさによって相殺され「柔らかさ」の感じ方が低くならないと推測される。
【0074】
以上のように、本発明に係るティシュペーパー収納体は、束及び収納体全体の構成によって、低坪量及び低紙厚であっても「しっとり感」、「柔らかさ」、「滑らかさ」において、十分な品質を確保できている。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のティシュペーパーは家庭用のほか、業務用(例えば不特定多数が使用する空港のトイレ、病院など)としても使用できる。
【符号の説明】
【0076】
1…ティシュペーパー収納体、2…ティシュペーパー束、2t…ティシュペーパー、2A…折り返し内面、2B…折り返し片の縁部、2C…折り縁、10…収納箱、11…天面部、12…底面部、13…長側面部、14…短側面部、20…取出口形成用ミシン目、
20a…取出口形成部、20X…取出口、31…樹脂製フィルム、30スリット、
F1~F3…フラップ、L1…収納箱幅、L2…収納箱奥行、L3…収納箱高さ。
図1
図2
図3
図4