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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061020
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】地際形状形成具及び地際形状保持具
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/10 20060101AFI20240425BHJP
   A01M 29/30 20110101ALI20240425BHJP
【FI】
A01G13/10 Z
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168666
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】521348683
【氏名又は名称】モリマーマテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】金野 智広
【テーマコード(参考)】
2B024
2B121
【Fターム(参考)】
2B024GA02
2B024GA10
2B121AA01
2B121BB27
2B121BB30
2B121BB32
2B121BB35
2B121EA24
2B121FA01
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】支柱の折損防止の効果の低減できる地際形状形成具及び地際形状保持具を提供する。
【解決手段】
地際形状形成具は、長手軸方向に延び、一方側が地面への挿入側となる棒状部材と、棒状部材の一方側と反対の他方側に配置される地際形成体であって、一方側から他方側に向かって広がる拡径面を有する地際形成体と、地際形成体の他方側に配置されるハンドル部と、を備える、。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸方向に延び、一方側が地面への差し込み側となる棒状部材と、
前記棒状部材の前記一方側と反対の他方側に配置される地際形成本体であって、前記一方側から前記他方側に向かって広がる拡径面を有する地際形成本体と、
前記地際形成本体の前記他方側に配置されるハンドル部と、
を備える、地際形状形成具。
【請求項2】
前記拡径面は、前記長手軸方向に沿う断面視において、直線である、請求項1に記載の地際形状形成具。
【請求項3】
前記拡径面が、前記長手軸方向に沿う断面視において、曲線である、請求項1に記載の地際形状形成具。
【請求項4】
前記曲線が、二次曲線である請求項3に記載の地際形状形成具。
【請求項5】
前記二次曲線が、前記棒状部材に向かって凸の二次曲線である請求項4に記載の地際形状形成具。
【請求項6】
前記地際形状形成具が、金属、樹脂又は前記金属及び前記樹脂の組み合わせで構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の地際形状形成具。
【請求項7】
地際形状保持本体を含む地際形状保持具であって、
前記地際形状保持本体は一方側から他方側に向かって広がる拡径面を有し、前記地際形状保持本体の内部には前記一方側と前記他方側とを貫通する貫通孔が形成されている、地際形状保持具。
【請求項8】
前記拡径面は、前記一方側から前記他方側に沿う断面視において、直線である、請求項7に記載の地際形状保持具。
【請求項9】
前記拡径面は、前記一方側から前記他方側に沿う断面視において、曲線である、請求項7に記載の地際形状保持具。
【請求項10】
前記曲線が、二次曲線である、請求項9に記載の地際形状保持具。
【請求項11】
前記二次曲線が、前記貫通孔に向かって凸の二次曲線である、請求項10に記載の地際形状保持具。
【請求項12】
前記貫通孔の内周面が、前記一方側から前記他方側に沿う断面視において、平行である、請求項7から11のいずれか一項に記載の地際形状保持具。
【請求項13】
前記貫通孔の内周面が、前記一方側から前記他方側に向けて一部において平行である第一部分と、前記第一部分から前記他方側に向けて拡径する第二部分とにより構成される、請求項7から11のいずれか一項に記載の地際形状保持具。
【請求項14】
前記地際形状保持具が、独立発泡の熱可塑性フォーム材、ウレタンゴム又はエチレンプロピレンゴムで構成される、請求項7から11のいずれか一項に記載の地際形状保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地際形状形成具及び地際形状保持具に関し、食害防止チューブ用及び防獣柵用の支柱を埋設する場合の地際形状形成具及び地際形状保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植樹された苗木又は若木の苗などの幼齢木を野生動物からの食害等から保護するため種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1は、幼齢木を保護するため、ポリエステル、ポリオレフィン繊維の布あるいは不織布を縫製、融着あるいは接着してなる苗木の被覆保護用筒状物を、筒の基部から先端まで直線状に支柱で固定し、被覆保護用筒状物により幼齢木を覆うことを開示する。
【0004】
特許文献2は、鳥獣被害を防止するため、金属パイプ等の筒状の複数の支柱と、支柱の上端に係止する上段係止金具と、支柱の下部を挟持して係止する下段係止金具と、上段係止金具と下段係止金具とに上端と下端とを係止させることにより支柱の間に張設する樹脂製の網とを備えた鳥獣侵入防止柵を開示する。
【0005】
この、鳥獣侵入防止柵では、冬季間には、網の下端に位置する下端ロープも上段係止金具に係止して、網を上下中間で折り畳んだ状態に維持し、積雪による網の損傷を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-190165号公報
【特許文献2】特開2011-239712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、被覆保護用筒状物、又は鳥獣侵入防止柵などでは棒状の支柱が用いられる。支柱が地面に埋設され、筒状物又は樹脂製の網を保持している。
【0008】
湿雪や霜粗目雪が堆雪する地域では、支柱には、雪の自重、又は融雪時の沈降圧などに起因して、折損しないことが求められている。このため、支柱には、例えば、折損防止策が施されることがある。
【0009】
しかしながら、折損防止策の施された支柱であっても、支柱を埋設する際の地際の形状が、雪の自重、融雪時の沈降圧の際に、支柱の折損防止の効果が低減する場合があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、地際形状に起因する支柱の折損防止の効果の低減を抑制できる地際形状形成具及び地際形状保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様の地際形状形成具は、長手軸方向に延び、一方側が地面への差し込み側となる棒状部材と、棒状部材の一方側と反対の他方側に配置される地際形成本体であって、一方側から他方側に向かって広がる拡径面を有する地際形成本体と、地際形成本体の他方側に配置されるハンドル部と、を備える。
【0012】
第2態様の地際形状形成具において、拡径面は、長手軸方向に沿う断面視において、直線である。
【0013】
第3態様の地際形状形成具において、拡径面が、長手軸方向に沿う断面視において、曲線である。
【0014】
第4態様の地際形状形成具において、曲線が、二次曲線である。
【0015】
第5態様の地際形状形成具において、二次曲線が、棒状部材に向かって凸の二次曲線である。
【0016】
第6態様の地際形状形成具において、地際形状形成具が、金属、樹脂又は金属及び樹脂の組み合わせで構成される。
【0017】
第7態様の地際形状保持本体を含む地際形状保持具において、地際形状保持本体は一方側から他方側に向かって広がる拡径面を有し、地際形状保持本体の内部には一方側と他方側とを貫通する貫通孔が形成されている。
【0018】
第8態様の地際形状保持具において、拡径面は、一方側から他方側に沿う断面視において、直線である。
【0019】
第9態様の地際形状保持具において、拡径面は、一方側から他方側に沿う断面視において、曲線である。
【0020】
第10態様の地際形状保持具において、曲線が、二次曲線である。
【0021】
第11態様の地際形状保持具において、二次曲線が、貫通孔に向かって凸の二次曲線である。
【0022】
第12態様の地際形状保持具において、貫通孔の内周面が、一方側から他方側に沿う断面視において、平行である。
【0023】
第13態様の地際形状保持具において、貫通孔の内周面が、一方側から他方側に向けて一部において平行である第一部分と、第一部分から他方側に向けて拡径する第二部分とにより構成される。
【0024】
第14態様の地際形状保持具において、地際形状保持具が、独立発泡の熱可塑性フォーム材、ウレタンゴム又はエチレンプロピレンゴムで構成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、地際形状に起因する支柱の折損防止の効果の低減を抑制できる地際形状形成具及び地際形状保持具を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は地際形状形成具の第1実施形態の構造を説明するための斜視図である。
図2図2図1の地際形状形成具の断面図である。
図3図3は地際形状形成具の第1実施形態の使用方法を説明するための図である。
図4図4は、支柱の一例である支柱アセンブリの構造を説明するため図である。
図5図5は支柱アセンブリの作用を説明するための図である。
図6図6は支柱アセンブリの作用を説明するための図である。
図7図7は、地際形状形成具で形成された穴に支柱を差し込んで、食害防止チューブを幼齢木に装着した状態を示す斜視図である。
図8図8は地際形状形成具の第2実施形態の断面図である。
図9図9は地際形状保持具の第1実施形態の斜視図である。
図10図10は地際形状保持具の第1実施形態の使用例を説明するための図である。
図11図11は地際形状保持具の第2実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施形態について説明する。数値に関して「~」を使用する表現する場合、両側の数値を含む。
【0028】
<地際形状形成具の第1実施形態>
地際形状形成具の第1実施形態について説明する。図1は地際形状保持具の第1実施形態の斜視図であり、図2図1の地際形状保持具の断面図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、地際形状形成具10は、長手軸方向Axに延びる棒状部材12を備える。棒状部材12は概略円柱形状を有している。棒状部材12の直径D1は、例えば、φ3mm~φ30mmであり、棒状部材12の長さL1は、100mm~1000mmである。棒状部材12の一方側が地面への差し込み側になる。実施形態では、棒状部材12の差し込み側の先端部12Aは、先細りの円錐形状を有している。先端部12Aが円錐形状を有している場合、棒状部材12を地面に容易に差し込むことができる。
【0030】
地際形状形成具10は、棒状部材12の他方側に地際形成本体14を備える。地際形成本体14は、一方側から他方側に向けて拡径する拡径面14Aを備える。棒状部材12と接続する地際形成本体14の一方側は、長手軸方向Axに直交する面で切断した切断面において、棒状部材12と同じ断面積を有する。但し、棒状部材12の他方側と地際形成本体14の一方側とは同じ断面積を有する必要はない。地際形成本体14の一方側は、長手軸方向Axから見て、地際形成本体14における小面積部14Bとなる。地際形成本体14の他方側は、拡径面14Aにより拡径され、長手軸方向Axから見て、地際形成本体14における大面積部14Cとなる。
【0031】
第1実施形態では、地際形成本体14は全体として概略円錐台形状を有している。小面積部14Bの直径D2は、例えば、直径D1と同じφ3mm~φ30mmである。一方、大面積部14Cの直径D3は、例えば、φ20mm~φ200mmである。小面積部14Bと大面積部14Cとの距離、いわゆる地際形成本体14の長さL2は、20mm~200mmである。図2に示すように、拡径面14Aは、一方側から他方側に向けて、棒状部材12から離れる方向に直線状に延びている。ただし、地際形成本体14の形状、及び大きさは特に限定されない。
【0032】
地際形状形成具10は、地際形成本体14の他方側に打ち込み用のハンドル部16を備える。ハンドル部16は、地際形成本体14の大面積部14Cから他方側に延びる支持部16Aと、支持部16Aに連結するハンドル部本体16Bとを備える。支持部16Aは、概略円柱形状を有している。支持部16Aの直径は、例えば、直径D1と同じφ3mm~φ30mmである。支持部16Aの長さは、0mm~500mmである。ハンドル部本体16Bは、貫通孔16Cが形成された環状の構造で、レーストラック形状を有している。レーストラック形状は、互いに平行で、且つ同じ長さの一対の直線部と、この直線部の端部同士をつなぐ円弧部とを、有する形状である。支持部16Aとハンドル部本体16Bの直線部とが直交する向きに連結される。ハンドル部本体16Bの支持部16Aと連結されない直線部は、支持部16Aの延長線(棒状部材12の側とは反対方向に延びる)上に位置する。
【0033】
地際形状形成具10の素材は、地際形状形成具10を施工する場所の地面又は地盤に対抗できる強度を有する穴開け器具として機能できるもので、特に限定されない。例えば、素材は、望ましくは鉄製である。ただし、チタン、ステンレス、又はアルミニウム等のその他金属、非鉄金属でもよい。
【0034】
また、素材が熱硬化性樹脂素材であれば、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)、CFRP(炭素繊維強化樹脂)又はAFRP(アラミド維強化樹脂)等を適用してもよい。素材が熱可塑性樹脂素材であれば、塩ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)等でもよく、またはガラス素材等でもよい。更には、上述の各素材の組み合わせでもよい。
【0035】
次に、地際形状形成具10の使用方法を、図3を参照して説明する。図3の301に示すように、作業者は、施工したい場所、例えば地面30に、先端部12Aを地面に向けた状態で地際形状形成具10を設置する。作業者は、例えば、ハンマー(不図示)でハンドル部16を打ち、地際形状形成具10を地面30に差し込むことができる。
【0036】
図3の302に示すように、地際形成本体14が地面30に埋まるまで、地際形状形成具10を地面30に打ち込む。棒状部材12と地際形成本体14とが地面30に埋まることで、地際形状形成具10が、地面30に形成される穴32(図3の303参照)の形状を決定する。
【0037】
最後に図3の303に示すように、地際形状形成具10が地面30からに引き抜かれる。その結果、地際形状形成具10により、穴32が地面30に形成される。穴32は、棒状部材12の形状に倣う棒状形状穴部32Aと、地際形成本体14の形状に倣う地際形状穴部32Bとを含んでいる。棒状形状穴部32Aは地面30の深い位置に形成され、地際形状穴部32Bは地面30の表面に近い位置に形成される。穴32の形状は、地際形状形成具10の棒状部材12及び地際形成本体14の形状を変更することで、変更することが可能である。
【0038】
<支柱>
次に、穴32に差し込まれる食害防止チューブ用、又は防獣柵用の支柱の構造について説明する。図4は、支柱の一例である支柱アセンブリ100の構造を説明するため図である。
【0039】
図4の401に示すように、支柱アセンブリ100(図4の403参照)を構成するロッド束112の斜視図である。401に示すロッド束112は7本のロッド材110で構成される。ロッド束112は、最小本数2本から最大本数10本まで本数のロッド材110で構成することができる。
【0040】
ロッド束112の長さL3は、180cm~210cmであることが好ましい。長さL3を180cm以上とすることにより地中に40cmを埋め込んだ際にも、地表部で140cmを確保でき、また長さL3を210cm以下とすることにより地中に40cmを埋め込んだ際にも、地表部で170cmを確保できる。
【0041】
ロッド材110の材質は、強化繊維を含む繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)、又は強化繊維を含む繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)であることが好ましい。繊維強化熱硬化性樹脂及び繊維強化熱可塑性樹脂の含まれる強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及び鋼繊維などの無機繊維、アラミド繊維及びその他有機繊維など含む有機繊維を適用することができる。
【0042】
繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)に含まれるマトリックス樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを適用することができる。
【0043】
上記のマトリックス樹脂のなかでも、不飽和ポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂との2種のブレンド品であることが好ましく、不飽和ポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂との質量比が20:80~70:30であることが好ましい。このような構成にすることにより、ロッド材110のマトリックス樹脂は、曲げ応力に対して柔軟に対応するために可撓性を有することができ、また、コスト的にも安価にできる。
【0044】
繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)に含まれるマトリックス樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂などを適用することができる。上記のマトリックス樹脂なかでも、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂であることが好ましい。
【0045】
図4の402は、ロッド束112を切断面線I-Iから見た断面図である。402に示すように、ロッド束112は7本のロッド材110で構成されている。それぞれのロッド材110の直径D4は、φ2mm~6mmの範囲内とされる。402では、ロッド束112を構成する複数(7本)のロッド材110は同じ直径D4である。
【0046】
ただし、複数のロッド材110は同じ直径D4でなくてもよく、複数のロッド材110は、異なる直径のロッド材110を少なくとも1本含む、例えば、異なる直径D4同士の組み合わせでもよい。
【0047】
異なる直径D4同士の組み合わせは、例えば、複数のロッド材110の直径D4は全て異なっていてもよい。また、複数のロッド材110は、ある直径D4を有する数本のロッド材110のグループと、異なる直径D4を有する数本のロッド材110のグループとにより、構成できる。ただし、複数のロッド材110の直径D4はこれらに限定されない。
【0048】
図4の403は、支柱アセンブリ100の全体図である。403に示すように、支柱アセンブリ100は、ロッド束112と、ロッド束112の長さ方向の両端部を結束固定する結束固定部114と、を備える。
【0049】
結束固定部114は、接着剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、固定具又はこれらの組み合わせで構成できる。
【0050】
403に示す支柱アセンブリ100の結束固定部114は、金属、プラスチック、各種材料のキャップ状の固定具で構成されている。キャップ状の固定具がロッド束112の端部に取り付けられている。
【0051】
結束固定部114となる接着剤としては、エポキシ接着剤、アクリル接着剤などを適用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂などを適用でき、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などを適用できる。
【0052】
結束固定部114により結束固定されるロッド束112の結束部分の結束長さL1は、5cm~20cmであることが好ましい。また、結束長さL4とロッド束112の長さL3との比は、1:21~1:5.25であることが好ましい。
【0053】
結束固定部114は、ロッド束112の長さ方向両端部の少なくとも2箇所にもけられ、さらに、両端部の結束固定部114の間に少なくとも1個以上の追加の結束固定部(不図示)を設けることができる。両端部の結束固定部114を含め、ロッド束112に最大で10箇所の位置に結束固定部114を設けることができる。
【0054】
<支柱アセンブリの作用>
支柱アセンブリ100によれば、2mm~6mmの直径のロッド材110を複数本のロッド束112とし、ロッド束112の長さ方向の両端部の少なくとも2か所を結束固定部114で結束固定することにより、支柱アセンブリ100の自立性を維持しながら、積雪の荷重に対し、屈曲時における局部的な断面形状の変形自由度を確保することにより、折損を低減することが可能となる。
【0055】
支柱アセンブリ100の作用について、7本のロッド材110で構成されたロッド束112を例に、図5及び図6に基づいて説明する。
【0056】
図5は施工後、静置時から小変形時における支柱アセンブリ100のロッド束112の断面形状の変化を示している。
【0057】
図5の501は、支柱アセンブリ100の静置時の状態の全体図であり、図5の502は支柱アセンブリ100の静置時の状態のロッド束112を切断面線II-IIから見た断面図である。図5の501及び502に示すように、支柱アセンブリ100に荷重が加えられていない鉛直状態の場合、ロッド束112の断面形状は、隣接するロッド材110同士が接触する配置となる断面形状となる。なお、図5の502に示す断面形状は、ロッド束112の結束固定部114により結束固定されている部分(結束部分)の断面形状(不図示)と基本的に一致する。
【0058】
図5の503は、支柱アセンブリ100に外力(荷重)が加えられた小変形状態の全体図であり、図5の504は支柱アセンブリ100の小変形状態のロッド束112を切断面線III-IIIから見た断面図である。図5の503及び504に示すように、曲げ変位に応じて、結束固定部114により結束固定されていな部分(無結束部分)は、断面形状に微少な変形が発生し、静置段階における座屈強度及び曲げ剛性からは徐々に低下していく。図5の502と504とを比較すると、各ロッド材110の配置位置に小さな変化が見られる。
【0059】
一方、支柱アセンブリ100の静置時から小変形時において、ロッド束112の結束部分の断面形状(不図示)は変化しない。
【0060】
図6は施工後、小変形時から大変形時における支柱アセンブリ100のロッド束112の断面形状の変化を示している。
【0061】
図6の601及び602は、図5の503及び504と同じで、支柱アセンブリ100に外力が加えられた小変形状態を示している。図6の601及び602の説明は省略する。
【0062】
図6の603は、支柱アセンブリ100に、さらに外力が加えられた大変形状態の全体図であり、図6の604は支柱アセンブリ100の大変形状態のロッド束112を切断面線IV-IVから見た断面図である。
【0063】
支柱アセンブリ100に小変形時から大変形時に至るまでの曲げ特性は、図6の604に示すように、ロッド束112が無結束部分の中央付近を起点として、均一な曲率になる様に、外力に応じて安定した断面配置を求めて概ね規則的に移動することにより断面形状が変化する。
【0064】
結果として、曲げ荷重の入力に対して直交する方向から見て、断面形状が見かけ上、薄肉化を模する様に変形する。なお、変形の終局においては、ロッド束112を構成する各ロッド材110が、図6の604に示すように、一直線に近い形状に配置されることにより、個々のロッド材110に発生する局部的な屈曲が緩和され、ロッド束112の破壊が抑制される。
【0065】
支柱アセンブリ100の小変形時から大変形時において、ロッド束112の結束部分の断面形状(不図示)は変化しない。
【0066】
図5及び図6において、ロッド束112の断面形状を例示したが、これらの断面形状に限定されず、支柱アセンブリ100に加えられる外力に応じて、ロッド束112の断面形状は変化しうることが理解できる。
【0067】
支柱アセンブリ100のロッド束112は、複数本のロッド材110を、その両端部の位置において結束固定部114により結束固定されているので、自立性も確保できる。
【0068】
<食害防止チューブ>
次に、地際形状形成具10で形成された穴32に支柱アセンブリ100を差し込んだ食害防止チューブ130について説明する。図7は、食害防止チューブ130を幼齢木136に装着した状態を示す斜視図である。
【0069】
図7に示すように、食害防止チューブ130は、支柱アセンブリ100と、ネット部材132と、留め具150と、を備える。支柱アセンブリ100は、地際形状形成具10で形成された穴32に差し込まれている。地中において、支柱アセンブリ100の一部は棒状形状穴部32Aに差し込まれている。支柱アセンブリ100の直径と、棒状形状穴部32Aの穴径とは略一致する。支柱アセンブリ100は棒状形状穴部32Aにより比較的強固に保持される。したがって、支柱アセンブリ100の動きは制限される。
【0070】
地中において、支柱アセンブリ100の他の部分は地際形状穴部32Bに位置している。地際形状穴部32Bは逆円錐台形状(すり鉢状)を有しており、地中から地表に向けて拡径する。支柱アセンブリ100は地際形状穴部32Bにより保持されておらず、支柱アセンブリ100の動きは制限されない。
【0071】
ネット部材132は、合成繊維の織物から成り、筒状の覆い部133と、覆い部133から内方に突出して覆い部133の長手方向に沿って延び、支柱アセンブリ100が挿通可能な筒状の挿通部134とを含む。食害防止チューブ130は、ネット部材132の覆い部133が、地面30に植生された幼齢木136を覆った状態で、挿通部134に挿通された支柱アセンブリ100が地面30の穴32に差し込まれて、幼齢木136に装着される。既述したように支柱アセンブリ100は、複数のロッド材110を備えるロッド束112と、ロッド束112の両端部を結束固定する結束固定部114とを備える。
【0072】
ネット部材132に用いられる合成繊維として、例えば、ポリ乳酸繊維である東レ株式会社製の商品名「エコディア」(登録商標)、高耐候性ポリプロピレンなどが適用される。ポリ乳酸繊維であるエコディアは、生分解性繊維であり、耐久性を有する期間が経過した後、微生物によって、完全に消費され、炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなどの自然的副産物に変化するので、自然環境に悪影響を与えることを防止できる。
【0073】
ネット部材132は、覆い部133を実現するための第1筒状部140の一方側に、一重織によって第1筒状部140の長さ方向に製織される第1耳部142を有し、第1筒状部140の他方側に、一重織によって第1筒状部140の長さ方向に製織される第2耳部143を有している。さらに、挿通部134を実現するための第2筒状部141が、第1耳部142の中間部に第1筒状部140と平行に製織されている。第1筒状部140の両側は、一重織された、第1耳部142と第2耳部143とによって、第1筒状部140の長手方向に補強されており、第2筒状部141の両側は、一重織された、第1耳部142によって、第2筒状部141の長手方向に補強されている。また、支柱アセンブリ100を挿通部134に挿通することによって、挿通部134と覆い部133とで構成されるネット部材132を支柱アセンブリ100に沿って延びる筒状とすることができる。これによって、食害防止チューブ130の部品点数を削減し、現場での組み立てを容易化できる。
【0074】
また、覆い部133が地面30に植生された幼齢木136を覆った状態で、支柱アセンブリ100を挿通部134に挿通し、支柱アセンブリ100の下端を地面30に形成された穴32に差し込むだけで、地面30に植生された幼齢木136に食害防止チューブ130を容易に装着することができる。
【0075】
図7に示すように、ネット部材132が支柱アセンブリ100から抜け出ないように、留め具150によりネット部材132と支柱アセンブリ100とを固定することが好ましい。留め具150は弾性変形可能な断面形状がC形の部材である。
【0076】
上側の留め具150は覆い部133の内側から、挿通部134と支柱アセンブリ100とを、挟み込むようにして固定する。下側の留め具150は、覆い部133の外側から、覆い部133と挿通部134と支柱アセンブリ100とを挟み込むようにして固定する。留め具150の挟み込む方向、位置、及び個数は特に制限されない。
【0077】
ネット部材132の覆い部133の直径×長さは、例えば、25cm×170cmである。覆い部133の直径が25cmであれば、該直径方向の幅寸法が概ね30cm以下の幼齢木136に、幼齢木136の成長を妨げることなく装着できる。なお、覆い部133は、円筒状に装着されるものに限定されない。例えば、幼齢木136の枝の向きに沿った、断面が楕円形の筒状に装着されるものでもよい。
【0078】
例えば、支柱アセンブリ100の長さが210cmで、地面30に40cm程度、穴32に差し込まれ、ネット部材132の長さが170cmである場合、支柱アセンブリ100は、ネット部材132の開口部から上方向に突出する長さを10cm未満にすることが好ましい。
【0079】
覆い部133の下端部は、幼齢木136が植生された地面30に、杭160により杭打ちされる。杭160は、細長な竹製の短尺材を用いて作製可能である。杭160の打ち込み方向先端部161は、杭打ちされるときに杭160が地面30から受ける抵抗を低減するために、鋭角に形成されている。杭160の打ち込み方向と垂直な側部162には、杭160に覆い部133を係止する係止部163が形成されている。係止部163は、例えば、側部162に形成された溝部である。
【0080】
次に、地際形状形成具10を用いて、棒状形状穴部32Aと地際形状穴部32Bとを含む穴32を形成する理由について説明する。
【0081】
食害防止チューブ130に適用される支柱アセンブリ100は、支柱アセンブリの作用で説明したように、屈曲時における局部的な断面形状の変形自由度を確保できるよう構成されている。その結果、覆い部133に積もった雪の重み、および強風などによって、曲げ荷重が支柱アセンブリ100に加わった場合でも、曲げ荷重に起因して支柱アセンブリ100が破断することを抑制できる。覆い部133に積もった雪が解け、覆い部133が受ける荷重が解除されると、支柱アセンブリ100は、荷重を受ける前の形状に戻ることができる。
【0082】
支柱アセンブリ100が、上記の作用を発現するには、屈曲時における局部的な断面形状の変形自由度が確保されていることが重要となる。支柱アセンブリ100が、棒状形状穴部32Aと地際形状穴部32Bとを含む穴32に差し込まれ場合、地際形状穴部32Bが逆円錐台に広がるので、地面30の地際において、曲げ荷重を受けた際に、支柱アセンブリ100に逃げ代、すなわち移動できる空間が確保される。支柱アセンブリ100の変形自由度が確保されることになる。さらに、支柱アセンブリ100が棒状形状穴部32Aに差し込まれているので、支柱アセンブリ100の自立性が維持される。
【0083】
支柱アセンブリ100が地際形状穴部を備えない穴に差し込まれた場合(穴は棒状形状穴部のみを備える)、支柱アセンブリ100は地面30の地際においても地中内と同様に強固に保持されため、支柱アセンブリ100の変形自由度が確保されなくなる。その結果、地際近傍の支柱アセンブリ100に曲げによる応力集中が負荷して、支柱アセンブリ100が破損する懸念がある。
【0084】
そこで、支柱アセンブリ100を地面30に差し込む前に、地際形状形成具10により、棒状形状穴部32Aと、逆円錐台形状の地際形状穴部32Bとを備える穴32を形成することで、支柱アセンブリ100の作用を発現させることができる。
【0085】
なお、支柱アセンブリ100の長さが、210cmで、地面30の穴32に40cm程度打ち込まれ、ネット部材132の長さが140cmである場合、支柱アセンブリ100は、ネット部材132の開口部から上方向に突出する長さを30cm未満にすることが好ましい。地中の支柱アセンブリ100が深さ40cmの穴32に打ち込まれる場合、棒状形状穴部32Aの深さは20cm~50cmであり、地際形状穴部32Bの深さは3cm~8cmであることが好ましい。棒状形状穴部32Aの深さと地際形状穴部32Bの深さとの比率は20~50:3~8(最適は35:5)であることが好ましい。この比率にすることで、支柱アセンブリ100の自立性と、支柱アセンブリ100の移動性とを確保することが可能となる。
【0086】
<地際形状形成具の第2実施形態>
次に、地際形状形成具の第2実施形態について説明する。図8は地際形状保持具の第2実施形態の断面図である。図8に示すように、地際形状形成具20は、長手軸方向Axに延び、一方側に先端部22Aを備える棒状部材22と、棒状部材22の他方側に設けられた地際形成本体24と、地際形成本体24の他方側に設けられたハンドル部26と、を備える。
【0087】
地際形状形成具20の棒状部材22とハンドル部26とは、地際形状形成具10の第1実施形態の棒状部材12とハンドル部16と同じ形状である。地際形状形成具20の地際形成本体24の形状は、地際形状形成具10の地際形成本体14の形状と異なる。
【0088】
地際形成本体24の拡径面24Aは、地際形成本体14の拡径面14Aの直線状とは異なり、長手軸方向に沿う断面視において曲線であり、より具体的には二次曲線である。図8に示すように、拡径面24Aは棒状部材22に向かって凸の二次曲線である。拡径面24Aを二次曲線とすることにより、直線状の拡径面14Aと比較して、支柱アセンブリ100には、より広い逃げ代(移動空間)が確保される。
【0089】
<地際形状保持具の第1実施形態>
次に、地際形状保持具の構造について説明する。図9は地際形状保持具の第1実施形態の斜視図であり、図10は地際形状保持具の第1実施形態の使用例を説明するための図である。
【0090】
図9に示すように、地際形状保持具40は、地際形状保持本体42を備え、地際形状保持本体42は一方側から他方側に向かって広がる拡径面42Aを有する。地際形状保持本体42の内部には一方側と他方側とを貫通する貫通孔42Bが形成されている。
【0091】
地際形状保持具40は、地際形状形成具10により形成された穴32の地際形状穴部32Bの形状を保持するための用具である。地際形状穴部32Bは、地際形状形成具10の地際形成本体14で形成されるため、地際形状保持本体42は地際形成本体14と略同じ外径形状を有している。地際形状保持本体42の拡径面42Aは、一方側から他方側に沿う面で切断した断面視で、直線状である。なお、貫通孔42Bには支柱アセンブリ100が挿通される。
【0092】
上述したように、地際形状形成具10により地面30に穴32が形成され、食害防止チューブ130の支柱アセンブリ100が差し込まれる。食害防止チューブ130を設置した当初において、穴32の地際形状穴部32Bが地際形状形成具10により固められて、その形状が維持される。その後、食害防止チューブ130は幼齢木136を食害から保護するため長期間に亘って使用される。長期の使用により、地際形状穴部32Bに異物が混入し、地際形状穴部32Bが閉塞する場合があり、支柱アセンブリ100の作用が発現できない懸念がある。そこで、地際形状穴部32Bに対応する位置に地際形状保持具40を設置する。この地際形状保持具40により異物の侵入を防止しすることで、地際形状穴部32Bの形状を長期間保持することができる。地際形状保持具40の形状は地際形状穴部32Bの形状にほぼ一致するので、地際形状保持具40を地際形状穴部32Bに容易に設置できる。
【0093】
地際形状保持本体42の長さL5は20mm~200mmであり、貫通孔42Bの内径D5はφ1mm~25mmであることが好ましい。貫通孔42Bの内径D5は、例えば、棒状部材12の直径D1と同じか、少し小さいことが好ましい。
【0094】
地際形状保持具40の素材は、支柱アセンブリ100を施工する場所の地面又は地盤に形成された逆円錐台形状の地際形状穴部32Bに異物が混入し、閉塞することを防止するために設置され、かつ、支柱アセンブリ100が曲げ荷重が負荷した際に、その自由な変形挙動の妨げにならない部材である必要がある。その素材としては、水の侵入を抑制し、且つ屋外施工に耐えうるためには、独立発泡の熱可塑性フォーム材が好ましい。独立発泡のフォーム材の素材としては、各種熱可塑素材(例えば、ポリウレタン系、ポリスチレン系,、ポリオレフィン系等)に加えて、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)ゴム等でもよい。
【0095】
一方、支柱アセンブリ100の変形の妨げになる、鉄、ステンレス、チタン、等の金属製、硬質プラスチック製、ガラス製、GFRP、CFRP、AFRP等は好ましくない。
【0096】
図10は地際形状保持具40の使用例を説明するための図面である。図10に示されるように、地際形状形成具10により地面30に穴32を形成し、食害防止チューブ130を設置する際、地際形状穴部32Bに対応する位置に地際形状保持具40が設置される。地際形状保持具40により、長期間に亘り支柱アセンブリ100の作用を発現させることができる。
【0097】
<地際形状保持具の第2実施形態>
次に、第2実施形態の地際形状保持具について説明する。図11は、第2実施形態の地際形状保持具の断面図である。図11に示すように、地際形状保持具50は、地際形状保持本体52を備え、地際形状保持本体52は一方側から他方側に向かって広がる拡径面52Aを有する。地際形状保持本体52の内部には一方側と他方側とを貫通する貫通孔52Bが形成されている。
【0098】
地際形状保持具50は地際形状形成具20により形成された穴の地際形状穴部の形状を保持するための用具である。地際形状保持本体52は、地際形成本体24と略同じ外径形状を有している。したがって、地際形状保持本体52の形状は、地際形状保持具40の地際形状保持本体42の形状と異なる。
【0099】
地際形状保持本体52の拡径面52Aは、一方側から他方側に沿う面で切断した断面視で、曲線状であり、より具体的には二次曲線である。図11に示すように、拡径面52Aは貫通孔52Bに向かって凸の二次曲線である。地際形状保持具50は地際形状形成具20により形成された地際形状穴部に容易に適用できる。なお、地際形状保持具の第1実施形態及び第2実施形態は貫通孔が円柱形状であり、貫通孔の内周面が、一方側から他方側に沿う断面視において、平行である。しかし、貫通孔の形状はこれに限定されず、貫通孔の内周面が、一方側から他方側に向けて一部において平行である第一部分と、第一部分から他方側に向けて拡径する第二部分とにより構成される。すわなち、貫通孔は円柱形状と逆円錐台形状との組み合わせとなる。
【0100】
<実施例>
複数の支柱を準備し、屋外に設置し、フィールドテストを実施した。タイプAの支柱として、φ4mmのロッド材×7本で構成される支柱アセンブリを準備した。タイプBの支柱として、φ4mmのロッド材×5本で構成される支柱アセンブリを準備した。タイプCの支柱として、φ7.8mmのロッド材×1本で構成されるものを準備した。ロッド材はGFRP製とした。なお、表1は、試験結果をまとめたものである。
【0101】
【表1】
【0102】
自立は、地面に対し垂直に差し込まれた支柱が、その状態を維持している場合を意味する。傾きは地面に対し垂直に差し込まれた支柱が、地面に対し傾いている、又は支柱アセンブリの場合数本が折れている場合を意味する。倒れとは、全てのロッド材が折れている場合を意味する。
【0103】
施工本数中の自立本数の割合いを合格率とした。「傾き」及び「倒れ」の状況を確認したところ、支柱の差込部地際が固められ、支柱が拘束力を受けている傾向が観察された。
【0104】
「自立」の状況を確認したところ、支柱の差込部地際がすり鉢状に広がっており、支柱に曲げ荷重を受けた際の逃げ代が確保され、変形自由度が確保されている傾向が観察された。
【0105】
支柱の差込部地際をすり鉢状に形成する地際形状形成具は、地際形状が支柱の折損防止の効果が低減できることが理解できる。
【符号の説明】
【0106】
10…地際形状形成具、12…棒状部材、12A…先端部、14…地際形成本体、14A…拡径面、14B…小面積部、14C…大面積部、16…ハンドル部、16A…支持部、16B…ハンドル部本体、16C…貫通孔、20…地際形状形成具、22…棒状部材、22A…先端部、24…地際形成本体、24A…拡径面、26…ハンドル部、30…地面、32…穴、32A…棒状形状穴部、32B…地際形状穴部、40…地際形状保持具、42…地際形状保持本体、42A…拡径面、42B…貫通孔、50…地際形状保持具、52…地際形状保持本体、52A…拡径面、52B…貫通孔、100…支柱アセンブリ、110…ロッド材、112…ロッド束、114…結束固定部、130…食害防止チューブ、132…ネット部材、133…覆い部、134…挿通部、136…幼齢木、140…第1筒状部、141…第2筒状部、142…第1耳部、143…第2耳部、150…留め具、160…杭、161…方向先端部、162…側部、163…係止部、Ax…長手軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11