(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061022
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168668
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 省吾
(72)【発明者】
【氏名】安藤 稜
(72)【発明者】
【氏名】清水 恵介
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA32
5E316AA43
5E316AA54
5E316AA55
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC54
5E316DD12
5E316DD25
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE33
5E316EE38
5E316EE39
5E316FF07
5E316FF09
5E316FF10
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG27
5E316GG28
5E316HH11
5E316JJ02
5E316JJ12
5E316JJ13
5E316JJ28
(57)【要約】
【課題】絶縁層上に複数の導体層が形成され、導体層が上部絶縁層で覆われた構造の配線基板を製造する場合の、導体層の間隔が短い部分での上部絶縁層の剥離の抑制。
【解決手段】実施形態の配線基板の製造方法は、絶縁層の上面に複数の導体パッドを形成することと、複数の電極パッドのパッド間距離が導体パッドのパッド間距離よりも短い電子部品を、電極パッドを上に向けて絶縁層上又は絶縁層内に配置することと、絶縁層の上面、導体パッド及び電子部品を覆う上部絶縁層を形成することと、上部絶縁層に第一ビア孔を形成することと、第一ビア孔内に第一デスミア処理を行うことと、上部絶縁層に第二ビア孔を形成することと、第二ビア孔内に第二デスミア処理を行うことと、第一ビア孔内に第一ビア導体を形成することと、第二ビア孔内に第二ビア導体を形成することと、を含み、第一デスミア処理を行うこと、の後に第二ビア孔を形成すること、を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層の上面に複数の導体パッドを形成することと、
複数の電極パッドを備えると共に前記電極パッドのパッド間距離が前記導体パッドのパッド間距離よりも短い電子部品を、前記電極パッドを上に向けて前記絶縁層上又は前記絶縁層内に配置することと、
前記絶縁層の上面、前記導体パッド及び前記電子部品を覆う上部絶縁層を形成することと、
前記上部絶縁層に前記導体パッドを露出させる第一ビア孔を形成することと、
前記第一ビア孔内から残渣を除去する第一デスミア処理を行うことと、
前記上部絶縁層に前記電極パッドを露出させる第二ビア孔を形成することと、
前記第二ビア孔内から残渣を除去する第二デスミア処理を行うことと、
前記第一ビア孔内に第一ビア導体を形成することと、
前記第二ビア孔内に第二ビア導体を形成することと、
を含む配線基板の製造方法であって、前記第一デスミア処理を行うこと、の後に前記第二ビア孔を形成すること、を行う。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、前記第二デスミア処理の処理時間は前記第一デスミア処理の処理時間よりも短い。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、前記第一ビア孔内に前記第一ビア導体を形成することと、前記第二ビア孔内に前記第二ビア導体を形成することと、は同時に行われる。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、さらに、複数の前記導体パッド及び複数の前記電極パッドにおいて前記上部絶縁層と向かい合う面を被覆膜で被覆すること、を含む。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、前記第一ビア孔を形成すること、及び前記第二ビア孔を形成すること、を前記上部絶縁層へのレーザ光の照射により行い、前記第二ビア孔の形成に用いる前記レーザ光の波長は、前記第一ビア孔の形成に用いるレーザ光の波長よりも短い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示する技術は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャビティにインターポーザを収容する本体基板と、本体基板とインターポーザの上に形成される外側ビルドアップ絶縁層と、外側ビルドアップ絶縁層を貫通するビア形成孔内に形成されるビア導体と、を備える配線基板の製造方法が記載されている。この配線基板の製造方法では、ビア形成孔には、厚さ方向から見たときにキャビティの外側に配置される第1ビア形成孔と、インターポーザの電極端子を露出させると共に第1ビア形成孔より小径の第2ビア形成孔とが含まれている。そして、第1ビア形成孔はレーザ加工で形成され、第2ビア形成孔は、第1ビア形成孔の形成に用いられるレーザより短波長のレーザで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
絶縁層の上に形成された複数の導体パッドをさらに上部絶縁層で覆う構造の配線基板を製造する場合、上部絶縁層には、導体層に接触する導体ビアを設けるためのビア孔が形成される。そして、ビア孔の形成後には、デスミア処理が行われてビア孔内の樹脂残渣が除去される。デスミア処理において、導体層と上部絶縁層との間に生じた隙間が絶縁層と上部絶縁層との間まで広がり、上部絶縁層が絶縁層から剥離することがある。特に、複数の導体パッドのパッド間距離に差がある配線基板では、相対的に導体層間の距離が短い部分に剥離が生じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線基板の製造方法は、絶縁層の上面に複数の導体パッドを形成することと、複数の電極パッドを備えると共に前記電極パッドのパッド間距離が前記導体パッドのパッド間距離よりも短い電子部品を、前記電極パッドを上に向けて前記絶縁層上又は前記絶縁層内に配置することと、前記絶縁層の上面、前記導体パッド及び前記電子部品を覆う上部絶縁層を形成することと、前記上部絶縁層に前記導体パッドを露出させる第一ビア孔を形成することと、前記第一ビア孔内から残渣を除去する第一デスミア処理を行うことと、
前記上部絶縁層に前記電極パッドを露出させる第二ビア孔を形成することと、前記第二ビア孔内から残渣を除去する第二デスミア処理を行うことと、前記第一ビア孔内に第一ビア導体を形成することと、前記第二ビア孔内に第二ビア導体を形成することと、を含む配線基板の製造方法であって、前記第一デスミア処理を行うこと、の後に前記第二ビア孔を形成すること、を行う。
【0006】
本開示の実施形態によれば、絶縁層の上に複数の導体パッドが形成され、複数の導体パッドが上部絶縁層で覆われた構造の配線基板を製造する場合に、導体パッドのパッド間隔が短い部分においても上部絶縁層の剥離を小さく抑え得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第一実施形態の配線基板を示す断面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態の配線基板を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図3】本開示の第一実施形態の配線基板を部分的にさらに拡大して示す断面図である。
【
図4A】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図である。
【
図4B】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図5A】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図である。
【
図5B】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6A】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6B】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6C】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6D】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6E】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6F】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6G】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図6H】本開示の第一実施形態の配線基板の製造工程の一例を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図7】本開示の第一実施形態の配線基板の第一導体パッド及び電極パッドを示す説明図である。
【
図8】本開示の第一実施形態の第一変形例の配線基板を部分的に拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0009】
なお、本開示の配線基板の製造方法によって製造される配線基板は、内部に電子部品を備える電子部品内蔵配線基板である。以下では、電子部品内蔵配線基板を単に配線基板100とする。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態の配線基板の製造方法によって製造される配線基板100を示す断面図である。
図2は、
図1に示す配線基板100の一部を拡大して示す断面図である。
図3は、
図2に示す配線基板100の一部をさらに拡大して示す断面図である。配線基板100は、本開示の技術の配線基板の一例である。
【0011】
配線基板100の厚さ方向の両面のうち、
図1における上側の面を第一面100F、下側の面を第二面100Bとする。また、以下では便宜的に、第一面100F側を上側、第二面100B側を下側として説明することがある。ただし、各図面における配線基板100の向きは、実際の配線基板100の使用状態を制限するものではない。
【0012】
図1に示すように、配線基板100は、本体基板10を有している。さらに本体基板10は、コア基板11と、複数のビルドアップ絶縁層15と、複数のビルドアップ導体層16と、を有している。
【0013】
コア基板11は、配線基板100の厚み方向の中央部分に位置している。複数のビルドアップ絶縁層15及び複数のビルドアップ導体層16は、コア基板11の上側及び下側に積層されている。
【0014】
コア基板11は、絶縁性基材11Kを有している。本実施形態では、絶縁性基材11Kはエポキシ樹脂又はBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂とガラスクロス等の補強材を含んで構成されている。絶縁性基材11Kの上面はコア基板11の第一面11Fであり、絶縁性基材11Kの下面が、コア基板11の第二面11Bである。一例として、コア基板11の厚さは、500μm以上1200μm以下である。
【0015】
コア基板11の第一面11Fと第二面11Bとには、図示しない銅箔がラミネートされている。
【0016】
コア基板11の第一面11F及び第二面11Bには、コア導体12が形成されている。一例として、コア導体12の厚さは、20μm以上50μm以下である。
【0017】
絶縁性基材11Kには、複数のスルーホール13Aが形成されている。複数のスルーホール13Aはそれぞれ、絶縁性基材11Kを厚み方向に貫通している。スルーホール13Aの壁面には、例えば、銅のめっきにより、スルーホール導体13が形成されている。第一面11Fのコア導体12と第二面11Bのコア導体12とは、スルーホール導体13によって接続されている。
【0018】
コア基板11の第一面11Fと第二面11Bには、複数のビルドアップ絶縁層15とビルドアップ導体層16とが交互に積層されている。すなわち、本体基板10は、コア基板11の第一面11F及び第二面11Bに、複数のビルドアップ絶縁層15とビルドアップ導体層16とが交互に積層された多層構造である。
【0019】
ビルドアップ絶縁層15は、絶縁性材料で構成されている。ビルドアップ絶縁層15の厚さは、例えば15μm以上35μm以下である。
【0020】
ビルドアップ導体層16は、金属(例えば、銅)で構成されている。ビルドアップ導体層16の厚さは、例えば10μm以上20μm以下である。
【0021】
複数のビルドアップ絶縁層15のうち、コア基板11に最も近いビルドアップ絶縁層15には、ビア導体17が形成されている。ビア導体17は、このビルドアップ絶縁層15を厚み方向に貫通している。複数のビルドアップ導体層16のうち、コア基板11に最も近いビルドアップ導体層16とコア導体12とは、ビア導体17によって接続されている。
【0022】
コア基板11の第一面11Fに積層されるビルドアップ絶縁層15のうち最も上側に位置するビルドアップ絶縁層15は、第一ビルドアップ絶縁層15Aである。第一ビルドアップ絶縁層15Aは、本開示の技術における「絶縁層」の一例である。
【0023】
コア基板11の第一面11F側に積層されるビルドアップ導体層16のうち最も上側に位置するビルドアップ導体層16は、第一ビルドアップ導体層16Aである。第一ビルドアップ導体層16Aは、第一ビルドアップ絶縁層15A上に形成されている。また、第一ビルドアップ導体層16Aは、外側導体回路層35及び第一導体パッド36を含んでいる。
【0024】
外側導体回路層35は、ビア導体17を介して、後述する導体回路層31Bに接続されている。
【0025】
図2及び
図3にも示すように、第一ビルドアップ絶縁層15A上には、保護層34が積層されている。保護層34は、第一ビルドアップ絶縁層15A上において、第一ビルドアップ導体層16Aが形成されていない部分と、第一ビルドアップ導体層16Aと、を覆っている。
【0026】
保護層34は、例えば、ビルドアップ絶縁層15と同じ材料で構成されている。ただし、保護層34の材料は、特に限定されず、例えば、弾性率1GPa以上10GPa以下のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることもできる。
【0027】
保護層34の厚さは、一例として15μm以上25μm以下であり、ビルドアップ絶縁層15よりも薄い。
図1に示すように、保護層34は、本体基板10の上面である第一面10Fと、本体基板10の下面である第二面10Bと、を構成している。ただし、本体基板10の第二面10B側に保護層34が形成されなくてもよい。
【0028】
本体基板10には、第一面10F側にキャビティ30が形成されている。キャビティ30は、第一ビルドアップ絶縁層15A及び保護層34を貫通して形成されている。キャビティ30は、上側に開口30A(
図2参照)を有している。
【0029】
コア基板11の第一面11F側に積層されるビルドアップ導体層16のうち外側から2番目に位置する第二ビルドアップ導体層16Bは、プレーン層31Aと、導体回路層31Bと、を含んでいる。
【0030】
プレーン層31Aは、グランド接続される層である。プレーン層31Aは、キャビティ30の内側に位置している。そして、キャビティ30の底面は、プレーン層31Aによって形成されている。プレーン層31A上には、不図示の接着層が形成されている。プレーン層31Aは、後述する電子部品80を安定して搭載するための実装パッドとして機能する。
【0031】
導体回路層31Bは、キャビティ30が形成されていない部分に位置している。導体回路層31Bは所定のパターンで形成されている。
【0032】
キャビティ30には、電子部品80が収容されている。電子部品80は、プレーン層31A上に、不図示の接着剤によって固定されている。キャビティ30が形成されていることにより、電子部品80が絶縁層(第一ビルドアップ絶縁層15A)内に配置されている構造が実現されている。
【0033】
電子部品80の上面には複数の電極パッド38が設けられている。電子部品80は、電極パッド38が上側を向くように、キャビティ30に収容されている。
【0034】
図示の例では、電極パッド38の上面は、電子部品80の上面、すなわち電極パッド38が設けられていない部分と同一平面にある。そして、電極パッド38は、後述する第一導体パッド36よりも上方にある。
【0035】
本体基板10の上側には、第一ビルドアップ絶縁層15Aの上に、複数の第一導体パッド36が設けられている。そして、複数の第一導体パッド36が、図示しない回路層によって電気的に接続され、さらに、他の導体層、例えば外側導体回路層35等に電気的に接続されている。第一導体パッド36は、第一ビルドアップ導体層16Aに含まれている。第一導体パッド36は、本開示の技術の導体パッドの一例である。
【0036】
本開示の技術では、
図7に示すように、第一導体パッド36は平面視にて円形である。電極パッド38は平面視にて円形であり、第一導体パッド36よりも小径である。
【0037】
保護層34の上には、外側ビルドアップ絶縁層21と外側ビルドアップ導体層22とが積層されている。外側ビルドアップ絶縁層21は、本開示の技術の「上部絶縁層」の一例である。
【0038】
外側ビルドアップ絶縁層21には、複数の第一ビア孔45Aと、複数の第二ビア孔45Bと、が形成されている。第一ビア孔45Aは第一導体パッド36を含む第一ビルドアップ導体層16Aに対応して形成されている。第二ビア孔45Bは電極パッド38に対応して形成されている。
【0039】
図3に示すように、第一ビア孔45Aは、底部へ近づくにつれて縮径されるテーパ状に形成されている。また、第二ビア孔45Bも、底部へ近づくにつれて縮径されるテーパ状に形成されている。なお、第二ビア孔45Bの底部の内周面には、底側の端部へ(電子部品80へ)近づくにつれて縮径されるように湾曲する湾曲縮径部48が形成されている。ただし、湾曲縮径部48がない構造であってもよい。
【0040】
第一ビア導体25Aは、第一ビア孔45Aにめっきを充填して形成されている。第一ビア導体25Aの底部は、第一導体パッド36に接触している。第二ビア導体25Bは、第二ビア孔45Bにめっきを充填して形成されている。第二ビア導体25Bの底部は、電極パッド38に接触している。
【0041】
以下、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bに関し、底部の内径を単に「孔径」という。
図7に示すように、第二ビア孔45Bの孔径N2は、第一ビア孔45Aの孔径N1より小さい。具体的には、第一ビア孔45Aの孔径N1は、一例として20μm以上40μm以下であり、第二ビア孔45Bの孔径N2は、一例として10μm以上20μm以下である。また、第一ビア孔45Aどうしの中心の間隔(ピッチP1)は、一例として80μm以上100μm以下であり、第二ビア孔45Bどうしの中心の間隔(ピッチP2)は、一例として30μm以上60μm以下である。
【0042】
ここで、第一導体パッド36及び電極パッド38に関する「座残り量」を定義する。具体的には、座残り量は、対象としているパッドの半径と、このパッドに接触するビア導体の底部の半径の差である。例えば、第一導体パッド36の座残り量Z1は、第一導体パッド36の直径をD1、第一ビア導体25Aの孔径をN1とすると、Z1=(D1-N1)/2である。電極パッド38の座残り量Z2は、電極パッド38の直径をD2、第二ビア導体25Bの孔径をN2とすると、Z2=(D2-N2)/2である。
【0043】
本開示の技術の配線基板100では、第一導体パッド36の座残り量Z1と、電極パッド38の座残り量Z2について、Z1>Z2の関係がある。
【0044】
本開示の技術の配線基板100では、複数の第一導体パッド36を有しており、また、複数の電極パッド38を有している。
【0045】
ここで、複数の第一導体パッド36及び複数の電極パッド38のそれぞれにおいて、パッドのパッド間距離を定義する。このパッド間距離は、対象としている同種のパッドのうち2つのパッドにおける間隔の長さである。
図7に示すように、本実施形態では、第一導体パッド36及び電極パッド38はいずれも平面視で円形である。したがって、例えば第一導体パッド36のパッド間距離L1は、隣どうしの第一導体パッド36において最も間隔が短い部分の間隔の長さである。電極パッド38のパッド間距離L2も、隣どうしの電極パッド38において最も間隔が短い部分の間隔の長さである。
【0046】
本開示の技術の配線基板100では、第一導体パッド36のパッド間距離L1と、電極パッド38のパッド間距離L2について、L1>L2の関係がある。
【0047】
図2に詳細に示すように、第一外側パッド23A及び第二外側パッド23Bの上には、第一面めっき層41が形成されている。第一外側パッド23A上の第一面めっき層41は、第一開口27A内に充填されており、さらに、第一面ソルダーレジスト層29Fの上側に突出している。
【0048】
第二外側パッド23B上の第一面めっき層41も第一外側パッド23A上の第一面めっき層41と同様に、第二開口27B内に充填されており、第一面ソルダーレジスト層29Fの上側に突出している。これらの第一面めっき層41において、第一面ソルダーレジスト層29Fからの突出高さは略同じである。
【0049】
図3に示すように、第一面めっき層41は、電解Cu/Ni/Sn金属層で構成されている。第一面ソルダーレジスト層29FからのCu層41L突出高さは、3μm以上20μm以下である。Ni層41Mの厚さは、2μm以上7μm以下、Sn層41Nの厚さは、5μm以上45μm以下である。
図3に示す例では、Sn層41Nは、上面が上に凸となるように湾曲する形状である。
【0050】
本体基板10の第一面10F及び第二面10Bにおいて、外側ビルドアップ絶縁層21は、ソルダーレジスト層29で覆われている。実質的にソルダーレジスト層29が、配線基板100の第一面100F及び第二面100Bを構成している。
【0051】
一例として、ソルダーレジスト層29の厚みは、7μm以上25μm以下であり、外側ビルドアップ絶縁層21の厚みは、10μm以上20μm以下であり、外側ビルドアップ導体層22の厚みは、10μm以上20μm以下である。なお、ソルダーレジスト層29の厚みは、外側ビルドアップ絶縁層21の上面からソルダーレジスト層29の上面までの距離で定義される。外側ビルドアップ絶縁層21の厚みは、保護層34の上面から外側ビルドアップ絶縁層21の上面までの距離で定義される。ビルドアップ絶縁層15の厚みは、ビルドアップ絶縁層15の上面から、その直下に形成されるビルドアップ絶縁層15の上面までの距離で定義される。
【0052】
図2に示すように、本体基板10の第一面10Fには、外側パッド23が形成されている。配線基板100の第一面100Fは、第一面ソルダーレジスト層29Fを含んでいる。第一面ソルダーレジスト層29Fには、開口27が複数形成されている。開口27は、外側ビルドアップ導体層22のうち第一面100F側に位置する第一面外側ビルドアップ導体層22Fの一部を外側パッド23として露出させている。
【0053】
複数の開口27は、第一開口27Aと第二開口27Bとを含んでいる。第一開口27Aは、第一面外側ビルドアップ導体層22Fの一部を第一外側パッド23Aとして露出させ、第二開口27Bは、第二外側パッド23Bとして露出させている。
【0054】
具体的には、外側パッド23は、第一外側パッド23Aと、第二外側パッド23Bとを含んでいる。第一外側パッド23Aは、第一ビア導体25Aを介して第一導体パッド36に接続されている。第二外側パッド23Bは、第二ビア導体25Bを介して電極パッド38に接続されている。
【0055】
図1に示すように、配線基板100の第一面100Fには、素子搭載領域R1、R2が形成されている。素子搭載領域R1、R2には、半導体素子90、91が搭載されている。キャビティ30は、素子搭載領域R1、R2の境界部分で、且つ配線基板100の内側の位置に配置されている。
【0056】
半導体素子90、91は、電極パッド38、第二ビア導体25B、第二外側パッド23B及び第一面めっき層41を介して、電気的に接続されている。
【0057】
図1に示すように、配線基板100の第二面100B側の第二面ソルダーレジスト層29Bには、複数の第三開口28が複数形成されている。第三開口28は、第二面100B側の第二面外側ビルドアップ導体層22Bの一部を第三外側パッド24として露出させる。
【0058】
第三外側パッド24は、第三ビア導体26を介して、本体基板10における第二面10B側の第一ビルドアップ導体層16A(最も下側に配置されるビルドアップ導体層16)に接続されている。
【0059】
外側ビルドアップ絶縁層21には、第三ビア孔46が複数形成されている。第三ビア導体26は、第三ビア孔46にめっきを充填して形成されている。第三ビア孔46の孔径は20μm以上40μm以下である。第三ビア孔46どうしの間隔(ピッチ)は80μm以上100μm以下である。なお、第三ビア孔46は、上側に向かって細くなるテーパ状に形成されている。
【0060】
第三外側パッド24の上には、第二面めっき層42が形成されている。第二面めっき層42は、第三開口28の底部に配置されている。そして、第二面ソルダーレジスト層29Bの外面に対して凹んでいる。第二面めっき層42は、無電解Ni/Pd/Au金属層で構成されている。なお、第二面100Bの表面処理については、特に限定されず、例えば、無電解Ni/Au層、OSP膜等を形成する表面処理であってもよい。
【0061】
次に、配線基板100の製造方法について説明する。
【0062】
図4A及び
図4Bに示すように、本開示の技術に係る配線基板100の製造方法では、本体基板10が用意される。
【0063】
図4Aに示すように、本体基板10では、コア基板11の第一面11F及び第二面11Bにコア導体12が形成されている。さらに、コア基板11の第一面11F及び第二面11Bには、複数のビルドアップ絶縁層15とビルドアップ導体層16とが交互に積層されている。
【0064】
この本体基板10に対し、第一ビルドアップ絶縁層15A上の所定位置に、第一導体パッド36が形成される。第一導体パッド36は、無電解めっき処理、めっきレジスト処理、電解めっき処理、スパッタリング等により、例えばセミアディティブ法等で形成される。なお、本開示の技術では、第一導体パッド層36は第一ビルドアップ導体層16Aに含まれる構成であり、実質的に第一ビルドアップ導体層16Aの形成によって第一導体パッド36も形成されるようにしてもよい。
【0065】
次に、
図5A及び
図5Bに示すように、第一ビルドアップ絶縁層15A上に、第一ビルドアップ導体層16A(外側導体回路層35及び第一導体パッド36を含む)の上面を覆うように、保護層34が形成される。
【0066】
次に、
図6Aに示すように、保護層34及び第一ビルドアップ絶縁層15Aに、キャビティ30が形成される。本開示の技術では、キャビティ30は、保護層34及び第一ビルドアップ絶縁層15Aに、例えば、炭酸ガスレーザが照射されることにより形成される。保護層34と第一ビルドアップ絶縁層15Aとにキャビティ30が形成されることにより、プレーン層31Aがキャビティ30の底面として露出される。本開示の技術では、炭酸ガスレーザが照射される範囲は、プレーン層31Aと同じ範囲であるが、例えば、プレーン層31Aよりも狭い範囲であってもよい。また、本開示の技術において、キャビティ30は、この段階では、底部へ近づくにつれて幅狭となる形状に形成されている。キャビティ30の底面にはプレーン層31Aが露出している。このプレーン層31Aに対しデスミア処理が行われる。キャビティ30を形成する際に生じた樹脂残渣がこのデスミア処理によって除去される。このデスミア処理には、例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液を用いた湿式デスミア処理、又は、プラズマ等の気体を用いた乾式デスミア処理等の方法を用いることができる。さらに、必要に応じて、粗化処理によってプレーン層31Aの上面が粗化される。
【0067】
次に、
図6Bに示すように、キャビティ30内に、電子部品80が収容される。プレーン層31A上には図示しない接着層が積層され、この接着層によって、電子部品80がプレーン層31Aに接着される。電子部品80は、電極パッド38が上を向くようにキャビティ30内に収容される。キャビティ30は、底部へ近づくにつれて幅狭となる形状に形成されているので、この状態では、電子部品80の側面とキャビティ30の内側面との間に隙間が生じている。
【0068】
次に、
図6Cに示すように、保護層34の上面及び電子部品80の上面(電極パッド38の上面を含む)を覆うように、外側ビルドアップ絶縁層21が形成される。すなわち、外側ビルドアップ絶縁層21が、保護層34の上面、電子部品80の上面及び電極パッド38の上面に積層される。外側ビルドアップ絶縁層21は、例えば、フィルム状のエポキシ樹脂が、ラミネート加工によって保護層34上へ積層され、加熱及び加圧されることによって形成される。外側ビルドアップ絶縁層21の樹脂の一部は、電子部品80の側面とキャビティ30の内側面との間に隙間に入り込む。これによって、隙間に樹脂が充填される。すなわち、電子部品80の側面に樹脂が位置する構造が実現される。
【0069】
次に、
図6Dに示すように、外側ビルドアップ絶縁層21及び保護層34に、第一ビア孔45Aが形成される。本開示の技術では、第一ビア孔45Aは、外側ビルドアップ絶縁層21に対し上側からレーザを照射することにより形成される。
【0070】
第一ビア孔45Aを形成する場合に用いるレーザの波長は、例えば1μm以上15μm以下である。本開示の技術では、第一ビア孔45Aの形成に炭酸ガスレーザを用いる。外側ビルドアップ絶縁層21及び保護層34に第一ビア孔45Aが形成されることにより、第一導体パッド36の上面の一部が露出される。
【0071】
第一ビア孔45Aは、底部に向かって内径が漸減する形状であり、底部は所定の孔径N1(
図7参照)に形成される。
【0072】
次に、
図6Eに示すように、第一ビア孔45Aに対し第一デスミア処理が一定の処理時間T1で行われる。第一ビア孔45Aを形成することによって生じた樹脂残渣の全部又は一部が、第一デスミア処理によって、第一ビア孔45A内から除去される。第一デスミア処理には、例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液を用いた湿式デスミア処理、又は、プラズマ等の気体を用いた乾式デスミア処理等の方法を用いることができる。
【0073】
さらに、必要に応じて第一導体パッド36に対して粗化処理が行われ、第一導体パッド36の上面が粗化される。
【0074】
次に、
図6Fに示すように、外側ビルドアップ絶縁層21に、第二ビア孔45Bが形成される。本開示の技術では、第二ビア孔45Bは、外側ビルドアップ絶縁層21に対し上側からレーザを照射することにより形成される。
【0075】
第二ビア孔45Bを形成する場合に用いるレーザの波長は、第一ビア孔45Aを形成する場合に用いられるレーザの波長よりも短い。例えば、第二ビア孔45Bを形成する場合に用いるレーザの波長は、100nm以上500nm以下である。本開示の技術では、第二ビア孔45Bの形成に、紫外線レーザとして、YAGレーザ等の固体レーザを用いる。YAGレーザを用いた場合は、例えば、355nmの波長のレーザを照射可能である。外側ビルドアップ絶縁層21に第二ビア孔45Bが形成されることにより、電極パッド38の上面の一部が露出される。
【0076】
第二ビア孔45Bは、底部に向かって内径が漸減する形状であり、底部は所定の孔径N2(
図7参照)に形成される。この孔径N2は、第一ビア孔45Aの底部の孔径N1よりも小さい。
【0077】
本開示の技術では、第二ビア孔45Bの形成に用いるレーザの波長は、第一ビア孔45Aの形成に用いるレーザの波長よりも短い。したがって、第二ビア孔45Bの形成に用いるレーザの波長が第一ビア孔45Aの形成に用いるレーザの波長よりも長い場合と比較して、第一ビア孔45Aよりも孔径の小さい第二ビア孔45Bを容易に形成できる。
【0078】
次に、
図6Gに示すように、第二ビア孔45Bに対し第二デスミア処理を一定の処理時間T2で行う。第二ビア孔45Bを形成することによって生じた樹脂残渣の全部又は一部が、第二デスミア処理によって、第二ビア孔45B内から除去される。第二デスミア処理は、第一デスミア処理と同様の方法を用いる。例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液を用いた湿式デスミア処理、又は、プラズマ等の気体を用いた乾式デスミア処理等の方法である。本実施形態では、第二デスミア処理の処理時間T2は、第一デスミア処理の処理時間T1よりも短く設定される。
【0079】
さらに、電極パッド38に対して、必要に応じて粗化処理が行われ、電極パッド38の上面が粗化される。
【0080】
このように第二ビア孔45Bに対し第二デスミア処理を行うと、実質的に、第一ビア孔
45Aに対してもデスミア処理が行われることになる。
【0081】
本開示の技術では、第一デスミア処理を行った後、第二ビア孔45Bを形成することを行う。すなわち、第一デスミア処理を行う段階では、第二ビア孔45Bは形成されていないので、第一デスミア処理において、第二ビア孔45Bに対しデスミア処理を行うことはない。
【0082】
そして、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理のトータルでの処理時間T3について、T3=T1+T2となる。第一ビア孔45Aの樹脂残渣の除去を行うにあたっては、このトータルでの処理時間T3が、樹脂残渣の除去に十分な処理時間となるように設定される。これに対し、第二ビア孔45Bのデスミア処理は処理時間T2である。したがって、例えば、まず第一ビア孔45Aに対するデスミア処理のトータルでの処理時間T3と、第二ビア孔45Bに対するデスミア処理の処理時間T2と、が決まる。そして、これらから、T1=T3-T2として、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理の処理時間T1を決めることができる。
【0083】
なお、図示は省略するが、本体基板10の第二面10Bにも、第一面10Fと同様に、外側ビルドアップ絶縁層21が形成される。そして、第二面10Bの外側ビルドアップ絶縁層21に、レーザが照射され、第三ビア孔46が形成される。
【0084】
次に、
図6Hに示すように、本体基板10の第一面10Fにおいて、第一ビア孔45A内に第一ビア導体25Aが形成され、第二ビア孔45B内に第二ビア導体25Bが形成される。本開示の技術では、第一ビア導体25Aが形成されることと、第二ビア導体25Bが形成されることとは、同時に行われる。
【0085】
以降は、図示は省略するが、本体基板10の第二面10Bにおいて、第三ビア孔46に第三ビア導体26が形成される。第一ビア導体25A、第二ビア導体25B及び第三ビア導体26は、例えば、無電解めっき処理、めっきレジスト処理、電解めっき処理等によって形成される。
【0086】
また、外側ビルドアップ絶縁層21上に、外側ビルドアップ導体層22(第一面外側ビルドアップ導体層22Fと第二面外側ビルドアップ導体層22B)が形成される。
【0087】
さらに、本体基板10の第一面10F側に第一面ソルダーレジスト層29Fが形成され、第二面10Bに第二面ソルダーレジスト層29Bが形成される。
【0088】
そして、例えばリソグラフィ処理によって、第一面ソルダーレジスト層29Fに第一開口27Aが形成され、第二面ソルダーレジスト層29Bに第三開口28が形成される。第一開口27Aは、第一面外側ビルドアップ導体層22Fの一部を第一外側パッド23Aとして露出させる。第三開口28は、第二面外側ビルドアップ導体層22B の一部を第三外側パッド24として露出させる。
【0089】
さらに、紫外線レーザの照射によって、第一面ソルダーレジスト層29Fに第二開口27Bが形成される。第二開口27Bは、第一面外側ビルドアップ導体層22Fの一部を第二外側パッド23Bとして露出させる。
【0090】
なお、必要に応じて、第一外側パッド23A、第二外側パッド23B及び第三外側パッド24にデスミア処理が施される。
【0091】
次に、第一面ソルダーレジスト層29Fが図示しない樹脂保護膜によって被覆される。そして、本体基板10の第二面10B側に無電解めっき処理が行われ、第三外側パッド24上に第二面めっき層42が形成される。
【0092】
さらに、第一面ソルダーレジスト層29Fを被覆する樹脂保護膜が除去される。また、第二面ソルダーレジスト層29Bが、同じく図示しない樹脂保護膜によって被覆される。
【0093】
そして、本体基板10の第一面10F側に電解めっき処理が行われ、第一外側パッド23A及び第二外側パッド23B上に第一面めっき層41が形成される。
【0094】
そして、第二面ソルダーレジスト層29Bを被覆している樹脂保護膜が除去されて、配線基板100が完成する。
【0095】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0096】
本開示の技術の配線基板100では、外側ビルドアップ絶縁層21には、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bが形成される。そして、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bに対してデスミア処理が行われることで、第一ビア孔45A内及び第二ビア孔45B内から樹脂残渣の全部又は一部が除去される。
【0097】
ここで、比較のために、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bに対し、等しい処理時間でデスミア処理を行う場合を想定する。例えば、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bに対し、同時にデスミア処理を行う場合等である。
【0098】
この場合、第一ビア孔45Aの孔径N1は第二ビア孔45Bの孔径N2よりも大きいので、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bの両方に対し等しい処理時間でデスミア処理を行う場合には、処理時間は、第一ビア孔45Aに対する処理時間に設定される。すなわち、相対的に孔径の小さい第二ビア孔45Bに対して、必要以上の長時間でデスミア処理を行うことになる。
【0099】
第二ビア孔45Bに対して、必要以上の長時間でデスミア処理を行うと、電極パッド38と、その上側にある外側ビルドアップ絶縁層21との間でハローイングが生じやすくなる。すなわち、外側ビルドアップ絶縁層21が、電極パッド38から剥離しやすくなる。特に、本開示の技術では、外側ビルドアップ絶縁層21が樹脂を含有している。第二ビア孔45Bに対するデスミア処理によってこの樹脂が溶け出すと、電極パッド38からの外側ビルドアップ絶縁層21の剥離を招きやすい。
【0100】
そして、剥離部分が外側ビルドアップ絶縁層21と電子部品80との間に広がるおそれがある。特に、本開示の技術のように、第一導体パッド36のパッド間距離L1に対し、電極パッド38のパッド間距離L2が相対的に短い場合は、複数の電極パッド38の間の部分で、電子部品80から外側ビルドアップ絶縁層21が剥がれやすい。
【0101】
これに対し、本開示の技術では、第二ビア孔45Bに対するデスミア処理の処理時間T2は、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理のトータルの処理時間T3よりも短い。このため、第一ビア孔45A及び第二ビア孔45Bに対し、等しい処理時間でデスミア処理を行った場合と比較して、電極パッド38と、その上側にある外側ビルドアップ絶縁層21との間におけるハローイングを抑制できる。
【0102】
特に、本開示の技術の配線基板100では、
図7に示したように、第一導体パッド36の座残り量Z1と、電極パッド38の座残り量Z2について、Z1>Z2の関係がある。このように座残り量Z2が相対的に短いと、これらの座残り量Z1、Z2の間に、Z1≦Z2の関係がある場合と比較して、電極パッド38と外側ビルドアップ絶縁層21との間でハローイングによる剥離が発生しやすい。しかし、本開示の技術では、第二ビア孔45Bに対するデスミア処理の処理時間T2は、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理のトータルの処理時間T3よりも短い。したがって、電極パッド38と外側ビルドアップ絶縁層21とのハローイングによる剥離の発生を抑制できる。
【0103】
また、本開示の技術の配線基板100では、第一導体パッド36のパッド間距離L1と、電極パッド38のパッド間距離L2について、L1>L2の関係がある。このようにパッド間距離L2が相対的に短いと、これらのパッド間距離L1、P2の間に、L1≦L2の関係がある場合と比較して、電子部品80から外側ビルドアップ絶縁層21が剥がれやすい。しかし、本開示の技術では、第二ビア孔45Bに対するデスミア処理の処理時間T2は、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理の処理時間T3よりも短いので、電子部品80と外側ビルドアップ絶縁層21とのハローイングによる剥離の発生を抑制できる。
【0104】
なお、上記では、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理の処理時間T1に対し、第二ビア孔45Bに対するデスミア処理の処理時間T2を短く設定している。すなわちT1>T2である。しかしながら、第一ビア孔45Aに対するデスミア処理のトータルでの処理時間T3については、T3=T1+T2であるので、例えば、T1≦T2の場合であっても、T3>T2の状態を実現できる。本開示の技術のようにT1>T2とすることにより、T3がT2よりも十分に長い状態を実現できる。
【0105】
いずれにしても、第一デスミア処理の処理時間T1及び第二デスミア処理の処理時間T2は、例えば予め所定の処理時間として設定できる。
【0106】
上記では、第二ビア孔45Bの形成に用いるレーザを紫外光としたが、第一ビア孔45Aの形成に用いるレーザの波長よりも短ければ、可視光であってもよい。
【0107】
なお、第一実施形態において、
図8に示す第一変形例の配線基板110の構造とすることが可能である。
【0108】
第一変形例の配線基板110では、外側導体回路層35、第一導体パッド36及び電極パッド38の表面に被覆膜112、114が形成されている。具体的には、被覆膜112は、外側導体回路層35及び第一導体パッド36の表面のうち、保護層34と向かい合っている表面を覆っている。被覆膜114は、電極パッド38の表面のうち、外側ビルドアップ絶縁層21と向かい合っている表面を覆っている。なお、被覆膜112は、外側導体回路層35及び第一導体パッド36において、保護層34と向かい合う表面の一部だけに形成されていてもよい。被覆膜114は、電極パッド38において、外側ビルドアップ絶縁層21と向かい合う表面の一部だけに形成されていてもよい。
【0109】
被覆膜112は、外側導体回路層35及び第一導体パッド36と、保護層34との密着性を向上させる。被覆膜112は、例えば、保護層34を構成する樹脂等の有機材料、及び外側導体回路層35及び第一導体パッド36を構成する金属等の無機材料の両方と結合し得る材料によって形成される。被覆膜114は、電極パッド38と、外側ビルドアップ絶縁層21との密着性を向上させる。被覆膜114は、例えば、外側ビルドアップ絶縁層21を構成する樹脂等の有機材料、及び電極パッド38を構成する金属等の無機材料の両方と結合し得る材料によって形成される。
【0110】
被覆膜112、114は、例えば、有機材料と化学結合し得る反応基及び無機材料と化学結合し得る反応基の両方を含む材料によって形成される。被覆膜112、114の材料としては、トリアゾール化合物等のアゾールシラン化合物を含むシランカップリング剤が例示される。
【0111】
なお、被覆膜112の材料は、外側導体回路層35及び第一導体パッド36の上に保護層34が直接形成される場合と比較して、外側導体回路層35及び第一導体パッド36と保護層34との密着強度を高め得るものであればよい。また、被覆膜114の材料は、電極パッド38の上に外側ビルドアップ絶縁層21が直接形成される場合と比較して、電極パッド38と外側ビルドアップ絶縁層21との密着強度を高め得るものであればよい。したがって、被覆膜112、114は、シランカップリング剤に限定されない。外側導体回路層35及び第一導体パッド36の上に保護層34が直接形成される場合と比較して、外側導体回路層35及び第一導体パッド36は保護層34に対し、被覆膜112により、高い強度で密着する。また、電極パッド38の上に外側ビルドアップ絶縁層21が直接形成される場合と比較して、電極パッド38は外側ビルドアップ絶縁層21に対し、被覆膜114により、高い強度で密着する。
【0112】
第一変形例の配線基板110の製造方法では、被覆膜112は、例えば第一ビルドアップ絶縁層15A上に第一導体パッド36が形成される状態(
図4A及
図4B参照)の後で、且つ、保護層34が形成される状態(
図5A及び
図5B参照)の前に形成される。そして、外側ビルドアップ絶縁層21及び保護層34に第一ビア孔45Aを形成する際に、第一ビア孔45Aに対応した部分の被覆膜112が除去される。
被覆膜114は、例えば電子部品80がキャビティ30に収容される状態(
図6B参照)の後で、且つ外側ビルドアップ絶縁層21が形成される状態(
図6C参照)の前に形成される。そして、外側ビルドアップ絶縁層21に第二ビア孔45Bを形成する際に、第二ビア孔45Bに対応した部分の被覆膜114が除去される。
【0113】
本開示の技術の電子部品としては、半導体素子であってもよいし、チップコンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動素子であってもよい。
【0114】
本開示の技術では、キャビティ30が形成されていることによって、電子部品が絶縁層内に配置された構造が実現されている。これに代えて、たとえば、絶縁層にキャビティ30を形成することなく、絶縁層上に電子部品が配置されている構造でもよい。
【0115】
本開示の技術の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。例えば実施形態の配線基板はコア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。
【0116】
本開示の技術の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。例えば、各導体層はフルアディティブ法によって形成されてもよい。また、各絶縁層は、フィルム状の樹脂に限らず、任意の形態の樹脂を用いて形成され得る。実施形態の配線基板の製造方法には、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 本体基板
10F 第一面(本体基板の第一面)
10B 第二面(本体基板の第二面)
11 コア基板
11F 第一面(コア基板の第一面)
11B 第二面(コア基板の第二面)
11K 絶縁性基材
12 コア導体
13 スルーホール導体
13A スルーホール
15 ビルドアップ絶縁層
15A 第一ビルドアップ絶縁層(「絶縁層」の一例)
16 ビルドアップ導体層
17 ビア導体
21 外側ビルドアップ絶縁層(「上部絶縁層」の一例)
22 外側ビルドアップ導体層
23 外側パッド
24 第三外側パッド
25A 第一ビア導体
25B 第二ビア導体
26 第三ビア導体
27 開口
27A 第一開口
27B 第二開口
28 第三開口
29 ソルダーレジスト層
30 キャビティ
30A 開口
31A プレーン層
31B 導体回路層
34 保護層
35 外側導体回路層
36 第一導体パッド(「導体パッド」の一例)
38 電極パッド
41 第一面めっき層
42 第二面めっき層
45A 第一ビア孔
45B 第二ビア孔
46 第三ビア孔
80 電子部品
90、91 半導体素子
100 配線基板
100F 第一面(配線基板の第一面)
100B 第二面(配線基板の第二面)
L1 導体パッドのパッド間距離
L2 電極パッドのパッド間距離